人気ブログランキング | 話題のタグを見る

蛍籠

蛍籠

例句を挙げる。

あけがたやうすきひかりの螢籠 大野林火
あぶな絵にいやにちひさき螢籠 中原 道夫
いたつきの母にふた夜の螢籠 茂里正治
いつまでも吊る蛍籠燃えざるを 藤田湘子 途上
うしろより乳房殺され螢籠 出口善子
くらがりに釣して円き螢籠 鈴木花蓑句集
ともしびのあつまる螢籠の隅 赤松[けい]子 白毫
なぜポオの詩なのか朝の蛍籠 佐藤鬼房 潮海
ひとすぢの茅の葉つらぬき螢籠 軽部烏帽子 [しどみ]の花
ひとり覚めてあかつきさみし螢籠 成瀬櫻桃子 風色
ふたり子の顔寄せあひぬ螢籠 鈴木貞雄
ふりしきる雨となりけり蛍籠 久保田万太郎(1889-1963)
ふるさとの草沢山の螢籠 後藤夜半 底紅
ほたる這ふ昼のさびしき螢籠 長谷川櫂 古志
わが心ひとこそ知らね螢籠 鈴木真砂女 夕螢
一つ入れたるより蛍籠となる 石井とし夫
二人子の向き合うて寝る蛍籠 野中亮介
亡き母の帯解く姿螢籠 松尾隆信
人に蹤き思慕としもなき蛍籠 岩坂満寿枝
仲よしの禿二人や蛍籠 織田烏不関
伊那谷の雨大粒に蛍籠 藺草慶子
傘立の上に移せし蛍籠 斉藤夏風
兄病めば母病む螢籠ひとつ 黒田杏子 花下草上
冥きより冥きに出づる蛍籠 齋藤玄 『無畔』
前帯にさげてをりけり螢籠 比叡 野村泊月
吊橋を渡りくるもの螢籠 加藤三七子
吹きかけし真水がひかり螢籠 嶋田麻紀
吾子の死へ朝が来てゐる蛍籠 時田光子
喪の妻に蛍籠はやかすかなり 石田波郷
地蔵盆負ふ児曳く児に螢籠 飯田蛇笏 椿花集
堪忍の火もふつ三つ蛍籠 本庄登志彦
女一人目覚めてのぞく螢籠 鈴木真砂女
妻はいま闇の水音螢籠 友岡子郷 日の径
嫁がざる身を照らしをり螢籠 藺草慶子
子ら寝落つよりいきいきと螢籠 菖蒲あや あ や
宵よりもあかつきさみし螢籠 成瀬櫻桃子 風色
宿直の教師に炎えて蛍籠 安田 晃子
寝たきりの父へ吉野の螢籠 木田千女
寝床より母の手招く螢籠 大木あまり 雲の塔
少年の夢のシグナル蛍籠 中村智子
引越しの荷物さいごに蛍籠 土生重次
復習すかたはら螢籠のから 梅林句屑 喜谷六花
思ふさま泣くも女か螢籠 鈴木真砂女 夕螢
手につたふ露の雫や螢籠 高橋淡路女 梶の葉
敦忌のため蛍籠編み上げし 伊藤通明
文人の遠き日を見し蛍籠 岩井秀子
旅の土産丹波野草と蛍籠 稲畑汀子
旅土産の螢籠はや水吹かむ 皆吉爽雨 泉声
明日もまた人間嫌ひ螢籠 石寒太 あるき神
明滅にわが息合はす蛍籠 栗原政子
晩涼やともらぬものに螢籠 鈴木真砂女 夕螢
暗闇に道のあらはれ蛍籠 斉藤美規
梅の木に螢籠吊る点る点る 金子兜太
横笛のごと波光り螢籠 田川飛旅子
死ねば雨その中に降る螢籠 古舘曹人 砂の音
死は黒き一点となり螢籠 遠藤若狭男
死をひとつふたつと数へ螢籠 遠藤若狭男
死んでいる螢籠つるして二三日はすぎた 橋本夢道 無禮なる妻抄
母亡くて暗きところに螢籠 棚山波朗
水くれて夕かげ待つや螢籠 井月の句集 井上井月
海も闇陸も闇にて螢籠 山口波津女 良人
漠然と見てゐるがよし螢籠 鈴木栄子
濡るる夜や風立てば炎え螢籠 鷲谷七菜子 雨 月
火を入れてかへりのみちの螢籠 上田五千石 田園
灯さぬ晨あるべし螢籠 六本和子
父のほか昼は淋しい蛍籠 中川秀司
異腹(ふたはら)の子等の面輪や蛍籠 西島麦南
病める子の夜は眠るなる螢籠 中村汀女
病人のつゞきてさびし螢籠 五十嵐播水 播水句集
目覚むれば夜またありぬ蛍籠 五所平之助(1902-81)
眠る子の髪の根青し螢籠 岡田貞峰
眼覚むれば夜まだありぬ螢籠 五所平之助
約束の数だけ吊るす螢籠 大西泰世 椿事
船員螢籠提げ漆黒の夜の汽船に戻る 人間を彫る 大橋裸木
蘇る大きひかりや螢籠 石田あき子 見舞籠
蚊くすべや吊るしかへたる螢籠 河野静雲 閻魔
蛍籠かざし合ひては行き合へる 豊田長子
蛍籠ともりそむれば見ゆるなり 後藤夜半
蛍籠ともりて草の青かりき 副島いみ子
蛍籠どこへ置きても灯りたる 大越晶
蛍籠よべ吊り今宵芝に置く 清水忠彦
蛍籠よりもさびしく夜明けたり 行方克巳
蛍籠わが寝しあとは誰も見ず 山口波津女
蛍籠われに安心あらしめよ 石田波郷(1913-69)
蛍籠光点つねにすれ違ひ 野沢節子 飛泉
蛍籠吊りてみどりの夜のうつる 石原舟月
蛍籠吊りて亡き母偲びけり 永井靖晁
蛍籠吊るす踵を見られけり 西村和子 夏帽子
蛍籠小児病棟消灯す 中沢三省
蛍籠届きぬ子の忌明日にして 大久保白村
蛍籠微風の枝にかゝりけり 紅葉
蛍籠明日を近づけ遠ざけて 鷹羽狩行
蛍籠昏ければ揺り炎えたたす 橋本多佳子
蛍籠暗き処に移しけり 田中寒楼
蛍籠極星北に懸りたり 山口誓子
蛍籠網戸のごとく灯りたる 行方克巳
蛍籠蛍の死後も闇に置く 岡本 眸
蛍籠離別なくとも死別来む 安住敦
蛍籠霧吹くことを愛として 山口波津女
蛍籠飛ぶ火落つる火にぎやかに たかし
螢籠いづこに置かば安からむ 関戸靖子
螢籠おやゆびほどの戸がひとつ 木田千女
螢籠かゝげて道にあがりけり 比叡 野村泊月
螢籠さげて入りけり露路の奥 吉屋信子
螢籠さげて母子の道を行く 壷井 さえ子
螢籠さびしきままに眠るべし 鈴木真砂女 夕螢
螢籠つるや蓬のかくし妻 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
螢籠ともりそむれば見ゆるなり 後藤夜半 翠黛
螢籠よりもさびしく夜明けたり 行方克巳
螢籠よるひる音のなきままに 山口波津女 良人
螢籠わが寝しあとは誰も見ず 山口波津女 良人
螢籠二日三日と過ぎにけり 星野麦丘人
螢籠五銭で買ひてうれしけれ 細見綾子 花寂び
螢籠今宵もともりそむるなり 後藤夜半 翠黛
螢籠口をきかぬはきけぬなり 久保田万太郎 流寓抄
螢籠吊す踵を見られけり 西村和子
螢籠吊りぬ初むる連歌かな 尾崎迷堂 孤輪
螢籠吊るす踵を見られけり 西村和子
螢籠振つて草の香たたしめぬ 大石悦子 群萌
螢籠昏ければ揺り炎えたたす 橋本多佳子(1899-1963)
螢籠水にかざしてひとりかな 中島紅からす
螢籠海べの鹹き風が吹き 友岡子郷 日の径
螢籠病めるベッドに昼灯す 石川文子
螢籠臨海学校寝しずまる 田川飛旅子 花文字
螢籠螢の死後も闇に置く 岡本眸(1928-)
螢籠螺鈿の卓の光りけり 中戸川朝人 残心
螢籠行燈に遠くつるしけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
螢籠見られて悪き手紙も来ず 鈴木真砂女 夕螢
螢籠霧吹くことを愛として 山口波津女 良人
螢籠飛ぶ火もありて光ること 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
螢草しつかり詰めし螢籠 大石悦子 百花
行く末の見えきて朝の螢籠 澤村昭代
衣ずれの音のかかりし螢籠 伊藤通明
褪せはてし写真の祖母や蛍籠 楸邨
豊麗の闇となりけり蛍籠 加藤三七子
逢へばまた逢つた気になり螢籠 久保田万太郎 流寓抄
遠山のかたちのこりぬ螢籠 細川加賀 『傷痕』
野の闇の一掬ひなる蛍籠 水田むつみ
野の闇の匂ひのありぬ蛍籠 山下美典
雨少し降りたる軒の螢籠 山口波津女 良人
霧吹いて蛍籠より火の雫 鷹羽狩行 遠岸
香典に口さしはさむ螢籠 青木重行
高々と欅に風や蛍籠 小川軽舟


以上
by 575fudemakase | 2014-06-25 08:01 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング