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油虫

油虫

例句を挙げる。

あるはずのなき隙間へと油虫 土生重次
かくながき飛翔ありしや油虫 山口波津女 良人
くらがりに悪を働く油虫 山口波津女(1906-85)
こほろぎが油虫らの夜に替る 百合山羽公 故園
ごきぶりに涙と思ふ齢かな 秋澤猛
ごきぶりのどうでもよきが髭を振る 高澤良一 随笑
ごきぶりの何と大きく舞ふ雪夜 殿村莵絲子 花寂び 以後
ごきぶりの右往左往の鞭の修羅 河野南畦 湖の森
ごきぶりの声のまにまに逃げゐたる 作山 大祐
ごきぶりの夜ごとの罠に二匹づつ 赤松[けい]子 白毫
ごきぶりの棲み古る家に吾も住み 田中暖流
ごきぶりの眼といふものを見しことなし 行方克巳
ごきぶりの追ひつめられて壺酒を楯 亀井糸游
ごきぶりの銭より光るとろろ汁 古舘曹人 能登の蛙
ごきぶりも乗りたるノアの箱船に 副島いみ子
ごきぶりも同じ驚きなりしこと 下田実花
ごきぶりや妻の怒りははげしきもの 森川暁水
ごきぶりや孤りのこころ試されて 徳田千鶴子
ごきぶりや氷河を滑り来たる艶 小檜山繁子
ごきぶりよ溲瓶あやまついかにせん 小林康治 玄霜
ごきぶりをどうしてくれやう丑満刻 高澤良一 随笑
ごきぶりを前にわくわくする一打 高澤良一 随笑
ごきぶりを天敵として友として 坊城としあつ
ごきぶりを打馴れてゐて打洩らす 高澤良一 素抱
ごきぶりを目に追ひ電話つづけをり 長屋せい子
ごきぶりを見しより疑心兆したる 西村和子 窓
ごきぶりを見とがめし妻さあ大変 高澤良一 随笑
ごきぶり一匹せともの割れる淋しさあり 加賀谷洋
ごきぶり取器小物ばかりが掛りけり 樋笠文
ごきぶり逃がす鉄筋の十重二十重かな 内田啓
さんざ騒ぎ果てたる後を居残れば油虫だらけの穴ぞこの酒場 島田修三
つとめ読む書は飽き易し油虫 五十嵐哲也
ねぶたさがからだとらへぬ油虫 中村汀女
ねむたさがからだとらへぬ油虫 中村汀女
ねむたさの襷をかけぬ油虫 雛津夢里
ひとの家の油虫妻抱くときも 細川加賀 『傷痕』
ものを書くわれに髭ふり油虫 下村梅子
一家族初ごきぶりに動顛す 林翔 和紙
僧を過ぎ女人の方へ油虫 鈴木六林男
出でてすぐ逃ぐる気配の油虫 中村秋晴
刃の上を走りて逃げし油虫 長田等
命令で油虫打つ職にあり 守屋明俊
売文や夜出て髭の油虫 秋元不死男
夜寒さや吹けば居すくむ油虫 木歩句集 富田木歩
太古より生きて髭振る油虫 柴田奈美
夫が逃げわれの打ちたる油虫 吉田 麗子
影を出て影を曳き出す油虫 鷹羽狩行
愛されずして油虫ひかり翔つ 橋本多佳子
我いまだ寝ても居らずよ油虫 鈴村 寿満
手加減の出来ずごきぶり打つときは 千賀富太郎
抜糸して四日ごきぶり打ちすゑたり 中山純子 沙 羅以後
拭きあげて広き厨や油虫 岩本初子
文学は遠し油虫に這ひ寄られ 藤木清子
更けて寧し礦夫長屋の油虫 小林康治 玄霜
母が家や母が叱する油虫 岸田稚魚 筍流し
油虫かくまひ燈下の青瓜どち 香西照雄 対話
油虫くみし易しと髭振れる 行方克巳
油虫したたか打たれ酔ふごとし 行方克巳
油虫しつかと打ちて婚十年 矢口由起枝
油虫にぶくなりしをもう追はず 山口誓子
油虫われを嫌がらせて走る 山口波津女 良人
油虫ネオンの赤き夜に会ふ 右城暮石 声と声
油虫ヨーチン丸く塗りて少女 香西照雄 対話
油虫人をうかゞひゐる如く 豊東 蘇人
油虫仕留めて心よろこばず 遠藤梧逸
油虫出づ鬱々と過す人に 山口青邨
油虫外は月光隈なくて 山口波津女 良人
油虫多きわが家に妻迎ふ 茨木和生
油虫手を施すも出るには出る 高澤良一 素抱
油虫打たず憐むにもあらず 亀井糸游
油虫打たれた後の絨毯なり 四ッ谷 龍
油虫暗きに居ればゆるしけり 山口波津女 良人
油虫死して触角風に動く 山口波津女 良人
油虫死ぬ触角を伸し切り 八木三日女 紅 茸
油虫殺すいちめんの夕日いろ 加藤楸邨
油虫瓦斯の焔が美しく 嶋田みつ子
油虫窺はれゐて窺ふよ 飯島静子
油虫紙よりうすき隙くぐる 右城暮石(1899-1995)
油虫跋扈厨に隣る妻の閨 磯貝碧蹄館 握手
油虫追ひつめられぬ胸に詩 小林康治 玄霜
油虫追ひ打つ音の続けざま 山川能舞
油虫途中で笑ひ消えし顔 岸田稚魚
油虫高熱地獄覗き去る 小林康治 玄霜
淑女には遠しごきぶり打ち据ゑて 林明子
灯すや歓喜走りの油虫 細川加賀
灯すや飲喜走りの油虫(鎌ヶ谷に転居) 細川加賀 『傷痕』
燈をつけしことにうろたへ油虫 山口波津女 良人
甲羅へて只憎まるゝ油虫 百合山羽公 故園
異端夜にきざす髭立て油虫 古舘曹人 能登の蛙
百姓の楽寝のそばに油虫 百合山羽公 故園
翅持たぬ仔を置きざりに油虫 右城暮石 上下
見逃してまた憎み見る油虫 百合山羽公 寒雁
身を護るため油虫桟より墜つ 山口波津女 良人
逃ぐるとき身の透き暁の油虫 北原志満子
逃げず打たれず南国の油虫 品川鈴子
遁走の夜の高級車油虫 嶋田麻紀
遅き帰宅油虫を妻打擲せり 中戸川朝人
電灯を傾け探す油虫 右城暮石 上下
風呂場寒し共に裸の油虫 西東三鬼
食堂車にも足早の油虫 品川鈴子
髭振りつ次はどうでる油虫 高澤良一 ももすずめ
*あぶらむし尻立てて夏至くもりけり 佐野俊夫
*あぶらむし明るき雨にぬれそぼつ 白川京子
うたたねの猫の鼻先ごきかぶり 藤井寿江子
ごきかぶりがあらわれ 貧乏におそわれている 吉岡禅寺洞
ごきかぶりのあわてよう おかしくもない夜です 吉岡禅寺洞
ごきかぶりゲストのやうに現はるる 高澤良一 ぱらりとせ
ごきかぶり初太刀二の太刀かいくぐり 高澤良一 ぱらりとせ
にげるにまかせておく ごきかぶりの訪問者だ 吉岡禅寺洞
世情騒然*あぶらむしわきゐたりけり 磯部尺山子
抽出の中の野明りあぶら虫 栗林千津
夜寒さや吹けば居すくむ油蟲 富田木歩

以上
by 575fudemakase | 2014-06-28 09:55 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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