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帰省

帰省

例句を挙げる。

うちつけに夜の戸叩く帰省かな 高橋淡路女 梶の葉
ぐんぐんと山が濃くなる帰省かな 黛 執
これからをどうすると言ふ帰省かな 辻 直美
さきだてる鵞鳥踏まじと帰省かな 芝不器男(1903-30)
さざなみに飛礫くぐらせ帰省果つ 宮坂静生 山開
さすらひの果のごとくに帰省しぬ 井沢正江
すき焼やいつもふらりと帰省の子 永井みえ子
せゝらぎは片陰りゐる帰省かな 高橋馬相 秋山越
たま棚に帰省の机ならべけり 会津八一
つれだてる老母の小さき帰省かな 篠原鳳作
どこまでも海星を踏んで帰省かな 辻桃子 ねむ
なつかしや帰省の馬車に山の蝶 水原秋桜子(1892-1981)
なれそめは帰省列車の手弁当 細谷定行
はじめてのごと大山河帰省子に 皆吉爽雨
はればれと冬木枝ふる帰省かな 西島麥南
ひとつ家に今も井戸鳴り帰省道 亀井糸游
みどり児を抱きて一家の帰省かな 稲畑汀子
わが土産われも食ひて帰省の夜 大串章
わが帰省待ちゐし人の墓を撫づ 北野里波亭
シャツ白く帰省の青年 鱶かわく村へ 伊丹公子 メキシコ貝
トンネルに耳のつまりし帰省かな 森川光郎
ドア開いて何時も突然帰省の子 高橋笛美
万歳の三河の国へ帰省かな 風生
井戸をつく音に目覚めし帰省かな 金子兜太
仏壇の水替へてゐる帰省の子 長野啓女
何よりも母に逢ひたく帰省かな 木水存女
凍光や帰省す尿を大胆に 飯田龍太
凭りかかる柱のありし帰省かな 阿部静雄
前山は月下の古墳帰省せり 鈴木豊子
四十路の帰省疣太りしと言はれしよ 香西照雄 対話
埠頭いま帰省の錨しぶきあぐ 矢野 聖峰
夕焼の麓の村の帰省かな 田中冬二 俳句拾遺
夕顔に怒濤とどろく帰省かな 鈴木真砂女 夕螢
大杉の真下を通る帰省かな 黛執
太箸や帰省子の名もしつかりと 竹内光江
島の灯の中に母の家帰省かな 武田孝子
帰省してなつかしき雨蜘蛛の囲に 京極杞陽 くくたち下巻
帰省してまづ水をくむ松の花 田中冬二 俳句拾遺
帰省して村に与せず小屋棲ひ 竹下しづの女句文集 昭和二十三年
帰省して杭一本の重さ負ひ 栗林千津
帰省して父の代りの往診に 中村聖鳥
帰省して葬ひに三度来し清水 中塚一碧樓
帰省して青田をめぐる藁帽子 寺田寅彦
帰省すや泳げる児等の顔知らず 松藤夏山 夏山句集
帰省すや雷雨のあとの町さびれ 五十嵐播水 播水句集
帰省するふるさとみちの夜市かな 飯田蛇笏 山廬集
帰省するを忘れずに歩く町夜毎 高濱年尾 年尾句集
帰省する母の手さげのさくらんぼ 山下典子
帰省せし顔新米の湯気の中 井沢正江
帰省せぬ子の灯か一つ寮の窓 亀井糸游
帰省せぬ寮生ひとり門を掃く 亀井糸游
帰省せり蝿取リボン吊る家に 高澤良一 ねずみのこまくら
帰省の子みな立ち去りし七草や 相馬遷子 雪嶺
帰省の子畑の母に手をひろげ 室谷匡洋
帰省の日延ばし銀座の灯にありぬ 伊藤萩絵
帰省の日近づくお国なまりかな 成瀬正とし 星月夜
帰省の荷襤褸の如く届きけり 吉武紀代子
帰省はや蛙鳴く夜となりにけり 瀧澤伊代次
帰省二日古き自転車ひきいだす 那須泰
帰省便り玄海灘に友釣ると 高澤良一 ねずみのこまくら
帰省子となる利根川を渡るとき 金田志津枝
帰省子と共に夜更かすことに慣れ 黒田充女
帰省子と書物往来ありにけり 下村槐太 光背
帰省子にかかって来たる長電話 安藤 寿胡
帰省子にその夜の故園花幽き 飯田蛇笏 霊芝
帰省子にどぢやうへうきん泥隠れ 工藤 義夫
帰省子にふる里の海見えて来し 山下 輝畝
帰省子にまづ朝掘のふかし甘藷 綿谷ただ志
帰省子にトマトの青も門辺なる 岸 風三楼
帰省子に一抹の霧夜明の藪 山口冬男
帰省子に北窓よりの風青し 相馬遷子 雪嶺
帰省子に山羊前脚を柵に掛け 池上樵人
帰省子に岐阜提灯を吊る老母 松藤夏山 夏山句集
帰省子に年々ちさき母のあり 篠原鳳作
帰省子に月夜の富嶽雲おびず 西島麦南 人音
帰省子に朝一臼の蓬餅 松村蒼石 雁
帰省子に杉山にほふ胡瓜もみ 野澤節子
帰省子に村の不良といふが優し 大串章 朝の舟
帰省子に母耳とほくなりにけり 池内鎖錨
帰省子に浦島草の色濃きも 今井千鶴子
帰省子に父の医学の古びたり 五十嵐播水 播水句集
帰省子に父深井戸の西瓜揚ぐ 有動 亨
帰省子に瓢の蔓の伸ぶ迅さ 阿部みどり女
帰省子に筧はつよく流れけり 波多野爽波 『一筆』以後
帰省子に糸瓜大きく垂れにけり 杉田久女
帰省子に繭を煮る香の夕まぐれ 塚原 夜潮
帰省子に腹ばふ畳ありにけり 生田恵美子
帰省子に船止めの島ともりけり 白岩てい子
帰省子に茹で章魚吊す土間くらき 黒田櫻の園
帰省子に葉がくれ茄子の濃紫 水原秋桜子
帰省子に鉄の翅擦る源五郎 高井北杜
帰省子に雨の紫陽花濃むらさき 水原秋桜子
帰省子のすぐ泳ぎ子にまぎれけり 朝倉 和江
帰省子のひと日凭るる太柱 清水節子
帰省子のまづ一杯の水を干す 田原央子
帰省子のみやこ恋しき麒麟草 森澄雄
帰省子の云ふがまゝにて母たのし 丸橋静子
帰省子の去にて再び妻無口 角南旦山
帰省子の去りて吾が掌はからっぽに 嶋田摩耶子
帰省子の喧嘩腰にてもどりけり 如月真菜
帰省子の声の加はる太鼓打 岡部名保子
帰省子の声も立居も嵩たかき 小川節子
帰省子の子連れとなりし大鞄 影島智子
帰省子の学問古りぬ草の家 原裕 出雲
帰省子の弥次郎兵衛めく手土産に 高澤良一 ねずみのこまくら
帰省子の心は先に著いてをり 板東福舎
帰省子の投げし白球頭上で受け 鳥飼土筆
帰省子の投げてゆきたる一波紋 藤崎美枝子
帰省子の抛りだしたる手足かな 黛 執
帰省子の次男の奴が赤ふどし 岩木躑躅
帰省子の気がやさしくて野菜とる 飯田蛇笏 春蘭
帰省子の湯殿にて足洗ふ音 辻田克巳
帰省子の胸幅広し農継がず 宮田 勝
帰省子の親離れしてをりにけり 重松里人
帰省子の言葉少なし柏餅 岡 和子
帰省子の車がひろふ畑の母 白岩三郎
帰省子の酒より汁粉好みけり 小川あやめ
帰省子の電話の相手母は知る 森田峠 三角屋根
帰省子の鞄に入れる針と糸 松田吉憲
帰省子の飲みにゆくてふ齢なるよ 嶋田摩耶子
帰省子の駅にぬきんで弓袋 本多静江
帰省子の髪はとやかく言はずおく 森田 峠
帰省子の黙して居れど頼もしく 各務りん子
帰省子へ声ひた押しに夕蛙 羽部洞然
帰省子も乗せて出て行く漁船かな 酒井 京
帰省子やばつたり出逢ふ稲かつぎ 飯田蛇笏 山廬集
帰省子や父に替りて渡舟守 大森積翠
帰省子を待つ地球儀とギターかな 黛まどか
帰省子を待つ夫の手の時刻表 西岡千鶴子
帰省子を眠らせ山河拂騰す 平吹束子
帰省子を籠の小鳥のいぶかれる 青柳志解樹
帰省行員より埋め休暇予定表 鈴木栄子
干網の青い紗くぐり 織子帰省 伊丹三樹彦
干網の香の夕風に帰省待つ 田守としを
急な帰省戸締りしっかり枕並べて しまかわひとし
恋持たぬ帰省子あはれ芸妓あはれ 池内友次郎 結婚まで
揺籃の八丈富士に帰省かな 松藤夏山 夏山句集
新しき橋を渡りて帰省かな 遠藤若狭男
新婚のやぼ用のある帰省かな 橋本榮治 逆旅
日々野良にゐて悪友の帰省待つ 佐野まもる
星かげの七夕ちかき帰省かな 石原舟月 山鵲
月見草萎れし門に帰省せり 前田普羅
朝庭に立ちて帰省の裸白し 谷野予志
枇杷を食うこと楽しみに帰省せる 荒巻 大愚
桃の木の脂すきとほる帰省かな 山西雅子
桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな 水原秋櫻子
梅の木の*すわえを剪るも帰省かな 岡井省二
母あはれ帰省子迎ふ髪たばね 岸風三楼 往来
母と泣きし帰省も遠き昔かな 河野静雲
母の手の葱の匂へる帰省かな 坂本謙二
母恋の長子長身帰省せり 脇本星浪
母語り帰省のわれを眠らせず 白幡千草
水打つて暮れゐる街に帰省かな 高野素十
父母の闇をおそるる帰省かな 橋本榮治 麦生
甲斐となる瀬々群山を帰省みち 皆吉爽雨
畑打に声かけてゆく帰省かな 瀧澤伊代次
畔火進む帰省の電車遅ければ 香西照雄 対話
真つ向に川ひかりゐる帰省かな 山上敦子
祭幟帰省の頬打ちかつ撫でて 香西照雄 対話
紀の川の水痩せてゐし帰省かな 竹中弘明
耶馬渓を上りつめたる帰省かな 楠目橙黄子 橙圃
胡麻叩く母のうしろへ帰省かな 市野波人
自転車で駅まで運ぶ帰省の荷 高澤良一 素抱
花かとも帰省の君の降り立つを 松山足羽
花つけて畦みな眠き帰省かな 飯田龍太
茄子畑に夕風渡る帰省かな 鈴木真砂女 夕螢
茗荷掘るゆふべの母に帰省しぬ 西島麦南 人音
萩の雨なゝめに白き帰省かな 岸風三楼 往来
萬歳の三河の國へ帰省かな 富安風生
落ちてゐるのは帰省子の財布なり 波多野爽波
虚子記念文字館に帰省かな 稲畑廣太郎
詰め込みし話はじける帰省の子 岡村 清美
諸共に帰省すれども相逢はず 高濱虚子
買ひ足りぬ帰省の土産駅で買ふ 小室梅子
酸模の野路くもりくる帰省かな 芝不器男
里心あはれうすれて帰省せり 鳥越すみ子
釣人に声掛けてゆく帰省かな 黛 まどか
門前に家鴨を追ふは帰省子か 田中冬二 俳句拾遺
露草の当麻路ゆけば帰省めく 亀井糸游
首なげて帰省子弱る日中かな 飯田蛇笏 山廬集
鬼やんま帰省の土産かすめ飛ぶ 大串章 百鳥
鳳仙花触るればはじけ帰省果つ 宮坂静生 青胡桃
黴臭き納戸今なき帰省かな 佐藤綺峰


以上
by 575fudemakase | 2014-07-09 00:05 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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