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雲の峯

雲の峯

例句を挙げる。

かさなるや山々の峯雲の峯 森鴎外
ぐわらぐわらと峰雲崩る筈もなし 高澤良一 ぱらりとせ
ねぶた太鼓打つ峯雲にとどくまで 椎名書子
ふるさとの入道雲に母ひとり 金田志津枝
まつたうな入道雲として白し 酒井一鍬
まひまひの澄むや入道雲のうへ 高橋睦郎 舊句帖
エスプレッソ飲んで入道雲の下 鳥居おさむ
ピッチング入道雲の高さより 高澤良一 随笑
ミサに行く道の彼方に光りつつ積乱雲立つ神は旱にあり 前田透
ミジンコも入道雲のいただきにいるか 夏石番矢 人体オペラ
一人が欠けても欠ける群像積乱雲 磯貝碧蹄館 握手
丘青く峯雲立つとき恃まるる 大野林火
乳母車帰る峰雲ばら色に 橋本多佳子
仰ぎ見る峰雲一基一菩薩 熊野鳥湖
入道雲あまたを友に職場の汗 西東三鬼
入道雲くづれた暗き長良川 國島十雨
入道雲しづかに羽化のはじまれる 上野さち子
入道雲ひどくねじれて日本脱出 夏石番矢
入道雲もくもくと吐く山を削ぐ 八木三日女 紅 茸
入道雲吾が物として安房の海女 菊地万里
入道雲癒えよ生きよと窓覗く 秋澤猛
入道雲鮎見ぬ鮠の秋となり 廣江八重櫻
兵征けりしろき峰雲ゆるぎなく 藤木清子
剣ヶ峰雷雲寄せず肩やさし 澤田緑生
句格・人格峰雲にある雲の格 つじ加代子
君よたとへば千年先の約束のやうに積乱雲が美しい 目黒哲朗
吾の航く天に峯雲堵列せる 山口誓子
喜撰山入道雲の頭出て 辻田克巳
天を灼く積乱雲の育つ峡 大野林火
天を突く気なき峯雲は斥けむ 高澤良一 さざなみやっこ
定年後峯雲つくづく見ることも 高澤良一 随笑
寂寥や入道雲湧くを見てさえも 勝村茂美
寝つつ見る空埋めゆくは峰雲らし 篠原梵 雨
峯雲にひびく鐃*はち地獄劇 町田しげき
峯雲に亀裂入ることなかりけり 高澤良一 ももすずめ
峯雲に見下ろされゐる鮫州駅 高澤良一 ももすずめ
峯雲のよく聳つ日なり鵬を見ず 高澤良一 ももすずめ
峯雲の三千丈の国に来し 鷹羽狩行 長城長江抄
峯雲の伸びざかり水高く撒く 右城暮石 上下
峯雲の放埓許す火の島は 三好潤子
峯雲の最たるを見ずもう月中 高澤良一 素抱
峯雲の漲れる日を産見舞 高澤良一 素抱
峯雲の白き造型ニュータウン 辻田克巳
峯雲の立つ根もたざる島の山 右城暮石 上下
峯雲の翳の陸地の菫色 八木林之介 青霞集
峯雲の贅肉ロダンなら削る 山口誓子(1901-94)
峯雲や一人生れて一人死す 長田等
峯雲や朱肉くろずむ村役場 土生重次
峯雲や薪の木口樹液噴き 関森勝夫
峯雲より滑走ジェットコースター 高澤良一 素抱
峯雲を崩し去りゆく風の神 柴田奈美
峰雲いくたび育ちしならむ樫の方 栗生純夫 科野路
峰雲にあつけらかんと下着干す 北野民夫
峰雲にかさなりそだつ峰雲あり 篠原梵 雨
峰雲に招待席のあるごとし 大木あまり 火球
峰雲の下に来し頂きの強雨かな 乙字俳句集 大須賀乙字
峰雲の下生国を同じうし 原裕 青垣
峰雲の募れつつくづれ山つつむ 篠原梵 雨
峰雲の夕べ赤うるし黒うるし 伊藤敬子
峰雲の峰をおそれず草の絮 原裕 青垣
峰雲の映りみちたる湊に寄る 篠原梵 雨
峰雲の暮れつつくづれ山つつむ 篠原梵
峰雲の根の海坂の濃く流る 篠原梵 雨
峰雲の沖へすさりぬ能舞台 青木重行
峰雲の秀に秀をつらね神座は つじ加代子
峰雲へ木馬は百円だけ跳ねる 西尾照子
峰雲へ身を傾けてヨット押す 西村梛子
峰雲も拠りどころとす島の山 右城暮石 上下
峰雲やほのくれなゐの弥生土器 山本洋子
峰雲や佐渡にひとつの国分寺 山本洋子
峰雲や動かぬものに氷川丸 吉田松籟
峰雲や奈良井千軒のきつらね 加古宗也
峰雲や島に一つの井戸涸るる 高左木芳
峰雲や村の出合に荒物屋 山本洋子
峰雲や櫻のはだのつめたきに 田中裕明 櫻姫譚
峰雲や赤子を立たす膝の上 山本洋子
峰雲や鉄に喰ひこむ一打鋲 近藤一鴻
峰雲を生みつぐ海の力業 原裕 青垣
峰雲を蹴りたる海女の双足よ 佐野鬼人
抜糸せし夫峯雲へ抱き起こす 品川鈴子
抽象A濃き峰雲と対話せる 田川飛旅子 『使徒の眼』
持山に生れ峰雲の親しけれ 影島智子
捕虫網駈けて入道雲も取れ 荒井正隆
旺んなり朝の峯雲も食欲も 高澤良一 随笑
昂ぶりてのぼる峯雲赤子泣き 大野林火
梅雨空へ三十六峰雲を吐く 滝青佳
樫茂りね見えぬ峰雲がその彼方 栗生純夫 科野路
決勝の壁と峯雲峙てり 高澤良一 燕音
河童子にのしかかりたる入道雲 石原舟月
湧きいでし入道雲の笑顔なる 瀧澤伊代次
溶岩渓を出て雷雲に登りけり 長谷川零余子
灘超ゆるこころ逸りを峰雲へ 太田鴻村 穂国
熔岩渓を出て雷雲に登りけり 零餘子句集第二 長谷川零餘子、長谷川かな編
田中正造ほどの男と入道雲 高島茂
痛恨の峯雲をそこに置かれたる 高澤良一 素抱
盆太鼓雷雲かづく壱岐暮れて 山崎冨美子
直ぐ崩れては形なしの入道雲 高澤良一 素抱
磐梯に峰雲の照り母働く 原裕 青垣
積乱雲つねに淋しきポプラあり 金子兜太
積乱雲以来爆音けはしく聴く 竹下しづの女句文集 昭和二十五年
積乱雲北には暗き野もあらむ 菅原達也
積乱雲巨船大地より現はるる 富澤赤黄男
積乱雲登檣礼の百の帽 下田稔
積乱雲野に湧き野に湧き貨車灼くる 相馬遷子 山国
紅さして峰雲崩るるとも見えず 野澤節子 黄 炎
肉桂干す奥美濃峰雲競ひけり 田中英子
興るとき紺天冒す一雷雲 野澤節子 黄 瀬
茸さぐり倦けば峯雲恋はれけり 林原耒井 蜩
落葉松に雷雲下りしまのあたり 龍胆 長谷川かな女
足車踏む峯雲へ登るごと 羽部洞然
逢曳が入道雲に入りゆかん 八木三日女 紅 茸
郵便受の白き来信峯雲より 宮津昭彦
雛の日の雷雲さへも遣り難し 殿村莵絲子 遠い橋
雲の峰雲の峡あり大石田 福永耕二
雷雲と待人どちら先に着く 山田弘子
雷雲にいざなはれゐる風の葦 松村蒼石 雁
雷雲に巻かれ来りし小鳥かな 高浜虚子
雷雲に波郷を急かせ案じつゝ 杉山岳陽 晩婚
雷雲のたむろせる嶺を主座となす 篠原梵 雨
雷雲のひろごりしのみ立葵 大橋櫻坡子 雨月
雷雲の上げし拳の下のわれ 久米正雄 返り花
雷雲の上に臥しなほ撃ちあへり 片山桃史 北方兵團
雷雲の日にまみれ咲く浅むらさき 阿部みどり女
雷雲の立ちのたしかさ悲報来 小林康治 四季貧窮
雷雲の間に残光の空しばし 中村草田男
雷雲は四海より急山肌錆び 古舘曹人 能登の蛙
雷雲やシャツを括りし大漁旗 関口祥子
雷雲や少年立志の日もありし 角川源義 『口ダンの首』
雷雲や翳るにはやきお花畠 岡本まち子
雷雲や赤ん坊の髪ほうほうと 蓬田紀枝子
雷雲や轟々変る海の紺 加藤知世子 花寂び
雷雲をひたして湖心明かるみぬ 内田百間
雷雲を待つや野茨のしづけさは 林火
雷雲を生み山なみの力瘤 平井さち子
雷雲を裾に退け青妙義 関森勝夫
雷雲を野に学生のオーケストラ 津田清子 礼 拝
雷雲下國境山脈惨と伏す 相馬遷子 雪嶺
雷雲車窓の吾を明るくしこの午後果つ 金子兜太 少年/生長
飛騨信濃の峯雲丈を競ひ合ふ 羽部洞然
鯱に入道雲の聳ち損ね 高澤良一 ぱらりとせ
麻酔して積乱雲に包まれし 太田土男
「撫牛」の鼻面の輝り雲の峯 毛塚静枝
あしもとの熔岩がくづるる雲の峰 片岡 青苑
あつけなく五十を過ぎし雲の峰 小島千架子
あの先で修羅はころがれ雲の峯 幸田露伴 礫川集
いくさ息む一葦かなたの雲の峰 石塚友二
いざ風の鑽(たがね)きりこめ雲の峰 尾崎紅葉
いつ見ても比叡のあたり雲の峰 まそほ貝 武定巨口
うしろより月日蹤きくる雲の峰 飯田龍太
うまれつき外連のこころ雲の峰 櫂未知子 蒙古斑
おのづからおのづからこそ雲の峰 広瀬惟然
かさなるや山々の峯雲の峯 森鴎外
くぼみたるところは峠雲の峰 島田紅帆
ぐん~と伸び行く雲の峰のあり 高浜虚子
けふ孫に嫌はれてをり雲の峯 高澤良一 素抱
げつそりと日本語痩せて雲の峰 櫂未知子 蒙古斑
こころざしわれに劣らぬ雲の峯 遠藤若狭男
これで了る一日雲の峯ばらばらに 津田清子 礼 拝
さびしらに風のみ吹くや雲の峰 吉田絃二郎 吉田絃二郎句集
しぐるるや南に低き雲の峯 几董 五車反古
しづかさや湖水の底の雲の峰 一茶
すき腹に風の吹けり雲の峰 一茶 ■文化二年乙丑(四十三歳)
たのもしや西紅の雲の峰 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
ちちははの墓は異郷に雲の峰 宇佐見ふく
つち風のおし動かすや雲の峯 几董 五車反古
つみ上げし白き髑ろか雲の峯 会津八一
なまなまと黒子朝より雲の峯 宇佐美魚目 天地存問
にごり江を鎖す水泡や雲の峰 芝不器男
ひら~と海女潜り消ゆ雲の峰 鈴木真砂女 生簀籠
ひる近き市の真上や雲の峯 会津八一
ほの~と日出づる前の雲の峰 原石鼎 花影以後
またがりし馬の名ジャック雲の峰 仙田洋子 雲は王冠
まほろばの国なれ雲の峰四方に 西本一都 景色
みちのくの奥へ誘ふ雲の峯 津田清子 二人称
めぐり出る動物園や雲の峯 会津八一
ゆたかなる転舵の水尾や雲の峰 丹羽 啓子
ゆつくりと雲の峰より達磨船 佐川広治
ゆづり葉に一線の朱や雲の峰 石鼎
わがゆくてわれにも知れず雲の峯 川上梨屋
オホーツクに朽つる捨舟雲の峰 岡部六弥太
カヌー皆雲の峯より帰りくる 篠原鳳作
キラキラと雲の峰より蝉の尿 大峯あきら
グライダーゆき雲の峯損はず 津田清子 礼 拝
サボテンを食はされてをり雲の峰 猿橋統流子
ジヤンクの帆高し支那海雲の峰 坊城としあつ
ストローとコップが残り雲の峰 川嶋隆史
タッチの差でわたしは女雲の峰 栗林千津
テーブルにリモコン二つ雲の峰 佐々木千代恵
ブルドーザー雲の峯まで平らさむと 津田清子 二人称
ペーロンの沸騰点か雲の峰 朝倉和江
マタイ書につまびらかなり雲の峯 山本洋子
ヨセミテに雲の峰湧く安息日 仙田洋子 雲は王冠
ランニングシャツ駆けてゆく雲の峰 坊城俊樹
ワタナベのジュースの素です雲の峰 三宅やよい
一輛車走り過ぎたる雲の峰 吉村春風子
上ミ京にかなしき雲の峰となる 大峯あきら 鳥道
久松橋蠣浜橋や雲の峰 道芝 久保田万太郎
乙女子がすべりも落ちよ雲の峰 斯波園女
乳母車が佝僂の歩行器雲の峰 国弘賢治
京の町は鉾立つる日や雲の峰 四明句集 中川四明
人として在る寂しさや雲の峰 斎藤玄 雁道
人のなす罪より低し雲の峰 一茶
人形のだらりと抱かる雲の峰 保坂敏子
仮縫のピンの直立雲の峰 岡部名保子
仰向き寝るは夢見るすがた雲の峰 宮津昭彦
作者都合により本日休載雲の峰 龍岡晋
傾ける地の雲の峯麦畑 京極杞陽 くくたち下巻
全円に廻す牛の尾雲の峰 遠山弘子
全力か否か崩るる雲の峯 耕衣
公事たくむ人の見ている雲の峰 作者不詳
兵俑となりても序列雲の峰 鈴木やす江
再会のみな大声や雲の峰 中村明子
写真屋の塔をなす屋根雲の峰 京極杞陽 くくたち上巻
凝ると言ふ魚を頭に飼ひ雲の峰 大木あまり 火のいろに
初恋のモールス信号雲の峰 仙田洋子 雲は王冠
初漁のわかさぎ雲の峯に干す 大串章
動かざる塔の風見や雲の峯 会津八一
十億の民の広場の雲の峰 高橋真佐子
十歩出て左方に海や雲の峯 高澤良一 さざなみやっこ
南天のみなあだ花や雲の峰 増田龍雨 龍雨句集
厚餡割ればシクと音して雲の峰 中村草田男(1901-83)
取りつきて消ゆる雲あり雲の峰 千代女
口開けて向き合ふ烏雲の峰 池内友次郎 結婚まで
古稀過ぎて一誌を興す雲の峰 山口超心鬼
合掌の屋根の鋭角雲の峰 小田中雄子
吾子の吸ふ乳房よ雲の峰より張れ 野見山朱鳥
喉もとのさみしくなりぬ雲の峰 岡本眸
噴煙を包みて太る雲の峯 羽部洞然
土偶見し眼にたたなはる雲の峯 高澤良一 素抱
土用餅腹で広がる雲の峰 許六
地の果てに鉄路の消えて雲の峰 徳永敬二
塔屋(タワー)白しそだちやまざる雲の峯 竹下しづの女句文集 昭和十年
墓群立つ兵も尼前も雲の峯 古舘曹人 能登の蛙
壁ぬりの泥鏝の動きや雲の峯 榎本其角
変貌に変貌雲の峰さかん 山口超心鬼
夕立のしてかくしゐし雲の峰 右城暮石 声と声
夕風にあてなくなりぬ雲の峯 鶴英
大の字に寝て見たりけり雲の峰 小林一茶
大佐渡の切れ目は雲の峯のなか 吉田紫乃
大景を完成させし雲の峰 近江小枝子
大牧場あり雲の峰立ちわたり 石田雨圃子
大猟に浜の人出や雲の峯 高橋淡路女 梶の葉
大阪や烟突に立つ雲の峰 古白遺稿 藤野古白
大鯉のはねて驚く雲の峰 五十島典子
天幕や砲車引き出す雲の峯 寺田寅彦
天竜に舟躍り出づ雲の峰 清水節子
太閤は土になりけり雲の峯 寺田寅彦
寂しさのてのひら返す雲の峯 間石
寂滅の鐘の響きや雲の峯 水田正秀
富十山頂天へ聳ゆる雲の峯 山口誓子 大洋
寝てくらす麓の嵯峨ぞ雲の峰 来山
寝むしろや足でかぞへる雲の峰 一茶 ■文政元年戊寅(五十六歳)
尾花吹くスコール速し雲の峰 横光利一
屋根歩み渡る烏や雲の峰 池内友次郎 結婚まで
屋根草の上なる国栖の雲の峰 大峯あきら 鳥道
山一つあなた丹波や雲の峯 百池
山居してただ雲の峰仰ぐのみ 浅井青陽子
峰渡り行くや手届く雲の峰 乙字俳句集 大須賀乙字
峰雲の峰をおそれず草の絮 原裕 青垣
島山貧し雲の峯にも見離され 津田清子 礼 拝
崩れては浅間うづめよ雲の峯 会津八一
嵐にも崩れぬものよ雲の峰 鬼貫
嵯峨の雅困が閑を訪て 曠野行身にちかづくや雲の峰 蕪村遺稿 夏
川の面の赤き日向や雲の峯 内田百間
川光るとき決雁して雲の峰 角光雄
巻きあがる回峰笠や雲の峰 四明句集 中川四明
布巾きちんと畳んで白し雲の峰 中山純子 茜
帆の多き阿蘭陀船や雲の峰 正岡子規
帆船の刻々帰る雲の峰 広本俊枝
帚木は五尺になりぬ雲の峰 大野洒竹
庭に沸く年忌の白湯や雲の峰 山本洋子
弁天様に下船の一歩雲の峯 毛塚静枝
弱音吐かなくて何吐く雲の峰 飯島晴子(1921-2000)
強振の三振にして雲の峯 高澤良一 素抱
影を己へ刻む青葡萄雲の峰 宮津昭彦
怪鳥を出して見せうぞ雲の峰 高澤良一 鳩信
我が夢を盧生笑ふか雲の峯 水田正秀
我妹子をおもへば赤し雲の峰 会津八一
戦事隊入り雲の峰汚れけり 殿村莵絲子 遠い橋
投げ出した足の先なり雲の峰 小林一茶 (1763-1827)
投出した足の先也雲の峰 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
指長き念仏僧や雲の峰 原田喬
揚州の津も見へそめて雲の峰 蕪村
握りたる拳の強さ雲の峰 宮内むさし
援兵の沙汰も聞えず雲の峯 寺田寅彦
摩天楼肩そびやかせども雲の峯 今泉貞鳳
新しきセンターライン雲の峰 二村典子
旅に出ねばそれもあこがれ雲の峯 森澄雄
日の道にあたるゆるぎや雲の峯 廣江八重櫻
日曜に遠き月曜雲の峰 嶋田摩耶子
早稲の香や夜さりも見ゆる雲の峰 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
暑き日もはや雲の峯つくりえず 古沢太穂 古沢太穂句集
暮れ待つや藪のひかへの雲の峯 去来 六 月 月別句集「韻塞」
暮待や藪のひかへの雲の峯 向井去来
最果ての夜も居坐りて雲の峰 永田耕一郎 雪明
最高となりて崩るる雲の峰 池田秀水
月呑みてなか~吐ず雲の峰 西山泊雲 泊雲句集




月山に速力のある雲の峰 皆川盤水
望なき身を横ふや雲の峰 会津八一
朝顔に水をやりけり雲の峯 寺田寅彦
木皿なる豆腐の上の雲の峯 廣江八重櫻
東京の方に當りて雲の峰 石井露月
東塔と西塔つなぎ雲の峰 佐藤信子
松の芽の伸び美しき雲の峰 横光利一
松商の打線の厚み雲の峰 高澤良一 随笑
松葉掻きいづこに去りし雲の峰 乙字俳句集 大須賀乙字
柿色の囚衣干しけり雲の峯 寺田寅彦
桐の木の梢にちかし雲の峯 是岩 五車反古
桑摘みの昼をもどるや雲の峰 臼田亞浪 定本亜浪句集
楼の屋根に人あり雲の峰 嘯山
橋立の松の乱れや雲の峯 京極杞陽
檣頭の桶に旗振る雲の峰 比叡 野村泊月
死なんとていづちをあゆむ雲の峰 石原八束 『高野谿』
残る日の匂ひや雲の峯隣 水田正秀
母病めり雲の峰聳つ葛西沖 館岡沙緻
比叡より鞍馬に高し雲の峰 伊藤京子
水をかぶせて神輿しづめつ雲の峯 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
水色の一筆箋や雲の峰 環 順子
水虫にきく薬なし雲の峰 龍岡晋
汽車に寝る眉ふく風や雲の峯 会津八一
沖に出て陸地見えざる雲の峰 右城暮石 上下
泥くさき子供の髪や雲の峰 井月の句集 井上井月
泳ぎ見る橋の高さや雲の峯 著森遺稿集 貴志著森
洛北や夜目にも白き雲の峰 岩田由美
津の柳茂り極めぬ雲の峯 野村喜舟 小石川
流木にまたがる海女や雲の峰 橋本鶏二
浜木綿や暁よりたてる雲の峰 鈴鹿野風呂 浜木綿
浜砂に潮しむひびき雲の峰 高井北杜
海の上や雲の峯立ちて時久し 尾崎迷堂 孤輪
海人(うみんちゅ)の胸三寸の雲の峯 進藤一考
涼しさよ手まり程なる雲の峰 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
湖へずり出しけり雲の峯 一茶 ■文政三年庚辰(五十八歳)
湖水から出現したり雲の峯 小林一茶 (1763-1827)
溜り水脱かけてや雲の峯 宜路
溝川に蓮咲きけり雲の峰 泉鏡花
滝の上に光りて小き雲の峰 比叡 野村泊月
滞空や雲の峯には頭が増えて 津田清子 礼 拝
漕艇の櫂揃ひ立つ雲の峰 大矢美代子
濡れてこそ海女いきいきと雲の峰 影島智子
火の山を掴みて立つや雲の峰 白井 新一
無実勝ちぬ翳みずいろに雲の峰 赤城さかえ句集
父の見しことのみ見えて雲の峰 佐藤恭治
父よりも母の一喝雲の峰 北見さとる
父よりも母死ぬこわさ雲の峰 大森照子
爼の魚の眼が見る雲の峰 桂信子 黄 瀬
牛の尾の宙を払へば雲の峰 渡邊千枝子
牛乳を一気に飲みて雲の峰 和田子
牛見えぬ牧の広さや雲の峰 大森三保子
牧はるか屯す馬に雲の峰 阿部みどり女 笹鳴
牧草を積みし間の雲の峯 長谷川かな女 雨 月
物干しの猿股遠し雲の峰 内田百間
生々と切株にほふ雲の峰 橋本多佳子
生きながら雲の峯とやなりぬらん 寺田寅彦
田よ畠よ寸馬豆人雲の峰 一茶 ■文政八年乙酉(六十三歳)
田水車に大工入れけり雲の峰 冬葉第一句集 吉田冬葉
甲を経し厚み見せゐる雲の峰 右城暮石 声と声
畑中の植木の棚や雲の峯 会津八一
白も黄もなく蝶まぎれ雲の峯 山口青邨
白壁の焔硝蔵や雲の峯 寺田寅彦
白樺の馬柵より雲の峰は湧く 福田蓼汀 山火
白雨に跡かたもなし雲の峯 正白
百の牛風が散らせり雲の峰 太田土男
眼にさわる鳥は消たり雲の峰 千代尼
眼球に血の一筋や雲の峯 能村登四郎 寒九
碧天へいきなり到達雲の峯 高澤良一 素抱
祈る間も娘は雲の峰登りさう 渡辺恭子
祖国遠し方位の果の雲の峰 皆川白陀
神眠る蒼き氷河に雲の峰 仙田洋子 雲は王冠
秀吉のひるねの夢や雲の峰 会津八一
秋暑し一むら雲の峯つくる 寺野守水老
秋風はまだこえかねつ雲の峰 正岡子規
空(くう)をはさむ蟹死にをるや雲の峰 河東碧梧桐(1873-1937)
空つぽの少年の魚籠雲の峰 斉藤幸三
空をはさむ蟹死にをるや雲の峰 河東碧梧桐
空港に眼鏡の力士雲の峰 吹野 保
突然に病葉雲の峰よぎり 上野泰 佐介
突然に腕掴まるる雲の峰 和田耕三郎
立ちならぶ有象無象や雲の峰 会津八一
立科の雲の峰なりこんじきに 岡井省二
竹伐やいかづち雲の峰に生る 岸風三楼
筆の林つくろひ物や雲の峯 調泉 選集「板東太郎」
米喰はぬ日は怒りがち雲の峰 大木あまり 山の夢
米国や夜もつゝ立雲の峰 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
縄とびのきらりきらりと雲の峰 加藤知世子
繃帯巻いた巨き手のごと雲の峯 田川飛旅子 花文字
聲すれど禽樹を出でず雲の峰 高田蝶衣
胸に湧く鎮魂曲(レクイエム)あり雲の峰 仙田洋子 雲は王冠
胸はりて水着の娘雲の峰 星野立子
胸中に生れ胸中に雲の峰 玉城一香
舟着きて揺るる浮き橋雲の峰 加藤憲曠
航海やよるひるとなき雲の峰 高浜虚子
船この日運河に入るや雲の峰 夏目漱石 明治三十六年
船出待つ他郷の雲の峯に向き 津田清子 礼 拝
船頭のはだかに笠や雲の峰 其角
茂助田に石灰ふるや雲の峯 寺田寅彦
草いろの市電のむかし雲の峯 友岡子郷
草の上を迯る小雨や雲の峰 妻木 松瀬青々
草を馬四角に積んで雲の峰 阿部みどり女 笹鳴
草臥れし行手に遠し雲の峰 露月句集 石井露月
葉がくれの蝉をねらふや雲の峯 寺田寅彦
葺捨ての菖蒲枯れけり雲の峯 大谷句佛 我は我
薔薇色の雲の峯より郵便夫 橋本多佳子
薬干す今を崩れて雲の峯 宇佐美魚目 天地存問
藪越しに動く白帆や雲の峰 永井荷風
蘭刈りする日の急がるゝ雲の峰 乙字俳句集 大須賀乙字
虚無僧の二人つれだつ雲の峰 泉鏡花
虹懸けて男盛りの雲の峰 沢木欣一 沖縄吟遊集
蟻の道雲の峰よりつづきけん 一茶
血にわづか鉄の味する雲の峰 辻美奈子
補陀落の雲の峰より滝の音 春樹 (日光の二荒山(男体山)は補陀洛山なり)
襤褸を干すとも雲の峯抽ん出て 津田清子 礼 拝
見よ雲の峯も一と日の夕のくづをれ 梅林句屑 喜谷六花
諸肌を脱ぎいなせなる雲の峰 高澤良一 寒暑
豁然と海昂然と雲の峯 大串章 百鳥
豪快に笑へば淋し雲の峰 椎橋清翠
赤兎の攀ぢ上る見ゆ雲の峰 石井露月
転舵して雲の峰わく鬼ケ島 那須淳男
逃水に行止りなし雲の峰 仁平勝 東京物語
遊ぶ声瀬々にとび交ひ雲の峰 阪井 貞子
遠ざかる基地よ幕舎よ雲の峰 皆川白陀
野社に太鼓うちけり雲の峰 北枝
野良で飲む生水うまし雲の峰 影島智子
釣りに出る品川沖や雲の峯 野村喜舟 小石川
釣人の大きむすびや雲の峰 渡部恭子
鈴の音や真近に湧いて雲の峯 中川宋淵 詩龕
鉄枴の真上に出たり雲の峯 寺田寅彦
長城の起伏いく谿雲の峰 桂樟蹊子
長安や史の伝ふ日の雲の峯 尾崎迷堂 孤輪
闘病に休止符のなし雲の峰 影島智子
阿房宮は灰になりけり雲の峯 寺田寅彦
離陸機の翼下湧き立つ雲の峰 塙 きく
雨と成恋はしらじな雲の峰 蕪村
雨乞ひや火影にうごく雲の峯 闌 更
雨遠し入日に向ふ雲の峯 秋則
雲の峯いくつ並びて海の盆 森 澄雄
雲の峯いくつ崩れて月の山 芭 蕉
雲の峯いつも伏目の修道女 長田等
雲の峯きのふに似たる今日も有 加舎白雄
雲の峯きはまり蜂の子をこぼす 中戸川朝人
雲の峯けふの昼餉もこんにやくか 加藤楸邨
雲の峯たなそこの貝もにじりあふ 太田鴻村 穂国
雲の峯もう父母の居ぬ四国 品川鈴子
雲の峯や山見ぬ国の拾ひ物 井原西鶴
雲の峯や長汀曲浦太陽の香 幸田露伴 谷中集
雲の峯プールどこでも足が立つ 橋本美代子
雲の峯丹波にはなき芭蕉の句 澄雄
雲の峯佐渡に行く日の日どりかな 会津八一
雲の峯八方焦土とはなりぬ 楸邨
雲の峯唖少年と唖少女 津田清子 二人称
雲の峯噴煙小さくなりにけり 大串章
雲の峯四沢の水の涸てより 蕪村
雲の峯塵の都に立ちにけり 高浜虚子
雲の峯妻は粉をひく板の間に 栗林一石路
雲の峯擁して甲子園のあり 蔦 三郎
雲の峯朝より北にあふれ立つ 田川飛旅子 花文字
雲の峯水なき川を渡りけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
雲の峯浜砂乾く手を払ふ 原田種茅 径
雲の峯湧きて地中に薯太る 成瀬桜桃子 風色
雲の峯男ばかりの海の上に 津田清子 礼 拝
雲の峯白帆南にむらがれり 子規句集 虚子・碧梧桐選
雲の峯石臼を挽く隣かな 李由 六 月 月別句集「韻塞」
雲の峯硯に蟻の上りけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
雲の峯立ちつゝ粉雨奥信濃 鈴鹿野風呂 浜木綿
雲の峯立つそのかみの金の露頭 津田清子 二人称
雲の峯端くづれては霞みけり 佐野良太 樫
雲の峯花火のけむりしばしある 佐野良太 樫
雲の峯藍ふかくなる夕かな 田川飛旅子 花文字
雲の峯見る~雲を吐かんとす 寺田寅彦
雲の峯農夫と同じ帽を買ふ 羽部洞然
雲の峯遂に崩れて仕舞ひけり 会津八一
雲の峯静臥の口に飴ほそり 石田波郷
雲の峯高観音をはなれたり 亀友
雲の峰あたり人かげなかりけり 久保田万太郎 流寓抄以後
雲の峰あの山あたり甲斐の国 荻田千鶴子
雲の峰あの立山はつつたてり 前野雅生
雲の峰いくつ並びて海の盆 森澄雄
雲の峰いくつ崩れて月の山 芭蕉
雲の峰いつぽん道のはじめ佳し 鳥居おさむ
雲の峰いよいよ雲の力で立つ 鷹羽狩行 平遠
雲の峰おのれに甘えゐる間なし 飯田龍太
雲の峰から宇治川の流れけり 山根 真矢
雲の峰きのふに似たるけふもあり 白雄
雲の峰けふまたおなじかたにかな 久保田万太郎 流寓抄
雲の峰この時布留の山しづか 大峯あきら
雲の峰ころがつていく毬の先 飯田龍太 遅速
雲の峰ごみ収集車連なりて 対馬康子 吾亦紅
雲の峰しづかに春ののぼりゆく 飯田龍太
雲の峰たてがみ青くいななけり 甘糟怜子
雲の峰つめたき風をまなぶたに 佐野青陽人 天の川
雲の峰なほ峰づくる逢はぬも佳し 節子
雲の峰に肘する酒呑童子かな 蕪村遺稿 夏
雲の峰の根より盆僧現はるる 神蔵 器
雲の峰ひとりの旅をつづけをり 大峯あきら
雲の峰ほどの思ひの我にあらば 松瀬青々
雲の峰また鶸の鳴き渡るなり 龍太
雲の峰まぶしみて発つ砂丘馬車 伊藤京子
雲の峰みるみるしらがのおじいさん 小沢信男
雲の峰めがけゆく鳥見えずなり 佐野青陽人 天の川
雲の峰もうつる水なくなりにけり 柑子句集 籾山柑子
雲の峰もう奪ひあふもののなし 大木あまり 雲の塔
雲の峰より戻り来る喰べざかり 中山純子 沙 羅以後
雲の峰より自転車の僧衣くる 中山一路
雲の峰を看る放参の法師原 露月句集 石井露月
雲の峰シャツ干してある分教場 岩永はるみ
雲の峰シラノの鼻のさきにかな 龍岡晋
雲の峰ピアスの穴の大きくて 仙田洋子 雲は王冠
雲の峰ピエロは神の忘れもの 栗林千津
雲の峰ヨット俄かに迷走す 佐藤稚男
雲の峰一人の家を一人発つ 岡本眸
雲の峰一峰暗く聳てりけり 石塚友二
雲の峰一茶の国に入りにけり 大峯あきら 鳥道
雲の峰上手に死んでやらうかな 栗林千津
雲の峰人間小さく働ける 星野立子
雲の峰信濃太郎として崩る 西本一都 景色
雲の峰八方焦土とはなりぬ 加藤楸邨
雲の峰凌雲閣に並びけり 正岡子規
雲の峰千の太鼓の揃ひ打ち 沢木欣一
雲の峰吸ひ込まれゆく機影あり 稲畑汀子 春光
雲の峰四方に涯なき印度洋 山本暁鐘
雲の峰土手行く人を呑まんとす 紅緑
雲の峰壜にパセリを挿したるよ 岸本尚毅 舜
雲の峰夜は夜で湧いてをりにけり 鳳作
雲の峰夢にもわきてかぎりなし 加藤楸邨
雲の峰大峰道者つゞきけり 冬葉第一句集 吉田冬葉
雲の峰大志は山に閉さるる 福田甲子雄
雲の峰天の群雄割拠かな 西田浩洋
雲の峰宗旨つたへて島百戸 大峯あきら 鳥道
雲の峰屈葬のほか何も見ず 橋本榮治 逆旅
雲の峰屋根々々の深夜白けけり 中島月笠 月笠句集
雲の峰山ふところに氷室秘す 神蔵 器
雲の峰崩ゆる中より湧きたかまる 篠原梵 雨
雲の峰崩れてすべて崩れ果つ 右城暮石 上下
雲の峰崩れてはまた山河抱く 彦坂範子
雲の峰崩れんとしてなほ高く 高浜年尾
雲の峰帰鴉のさきがけ一羽くる 百合山羽公 寒雁
雲の峰故郷のかたに立つ日哉 会津八一
雲の峰教師にもある落ちこぼれ 今瀬剛一
雲の峰早やへこたれてをりにけり 高澤良一 寒暑
雲の峰晩年は充つ悲しみに 殿村莵絲子
雲の峰朝より湧きて火噴く島 小城古鐘
雲の峰杉いつぽんを軸とせり 角川春樹 夢殿
雲の峰水の子にしてひかりの子 仙田洋子 雲は王冠以後
雲の峰浪穂に海豚没しけり 高田蝶衣
雲の峰海と一線ひき犯さず 櫛原希伊子
雲の峰無職としるす乗船簿 北見さとる
雲の峰牛一方に動き出す 田浦夢泉
雲の峰留守の電話が鳴りつづく 吉田ひで女
雲の峰百姓うごくばかりなり 松浜
雲の峰盲人しろき足袋穿けり 久保田万太郎 流寓抄以後
雲の峰眉間に湧くは掴むべし 富安風生
雲の峰眦あつき病臥かな 太田鴻村 穂国
雲の峰石伐る斧の光かな 鏡花
雲の峰稲穂のはしり 河東碧梧桐
雲の峰空海の杖近づけり 神蔵器
雲の峰立ち塞がりし船路かな 栗田虚船
雲の峰立つも男時に無縁かな 冨田みのる
雲の峰立や野中の握飯 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
雲の峰立正安国論を蔵す 川崎展宏
雲の峰簪ひとつ売れゆくも 河原枇杷男 定本烏宙論
雲の峰聳つ古里の文宝川 谷口荒太
雲の峰育つ檜山を子に譲る 影島智子
雲の峰臨月信楽狸かな 仙田洋子
雲の峰葱の坊主の兀と立つ 河東碧梧桐
雲の峰街より低くなりゐたり 右城暮石 声と声
雲の峰裏は明るき入日かな 内藤鳴雪
雲の峰見下ろして立つ鐘楼かな 比叡 野村泊月
雲の峰鐙に足を掛けてより 森田智子
雲の峰阿蘇は男の子の山なりけり 村崎望有子
雲の峰雲の峡あり大石田 福永耕二
雲の峰雷を封じて聳えけり 夏目漱石 明治三十六年
雲の峰青き表紙の記憶のみ 久保田万太郎 草の丈
雲の峰静臥の口に飴ほそり 石田 波郷
雲の峰音立てて貨車つながりぬ 秋山牧車
雲の峰風なき海を渡りけり 夏目漱石 明治三十三年
雲の峰風を孕みて網乾く 福島 鼓調
雲の峰高きは女人禁制す 平畑静塔
雲の峰魯般の智慧を喚びにけり 龍岡晋
露天湯に赤子の鼓動雲の峰 飯田龍太 遅速
青空の深くて曲る雲の峰 右城暮石 声と声
静かさの極限にて雲の峯完成す 加藤秋邨 怒濤
静さや湖水にうつる雲の峯 霞東
順々にうごき出しけり雲の峰 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
須彌山のゆるぎ出しけり雲の峯 寺田寅彦
飛のりの戻り飛脚や雲の峰 蕪村遺稿 夏
飛び魚の過ぎ行く方や雲の峯 会津八一
飛騨高山櫛・*こうがいの雲の峯 辻田克巳
飯粒のねばり強さよ雲の峰 日原傳
駈けてゆく水際遠し雲の峰 星野立子
骨太のおばばとなるか雲の峰 小島千架子
骸馬をかついで行くや雲の峰 中川宋淵
高跳びの少年触るる雲の峰 穐好須磨子
魚の寄る藻の下かげや雲の峰 井月の句集 井上井月、下鳥勲編
麻の葉のあからむすゑや雲の峰 中村史邦
黒人の唇に音楽雲の峰 仙田洋子 雲は王冠
黒潮のうねりて太し雲の峰 溝口みさを
黒船の瀬戸に入りけり雲の峰 夏目漱石 明治二十九年
龍の落し畑見にゆくや雲の峯 几董


以上
by 575fudemakase | 2014-07-15 00:05 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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