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日傘

日傘

例句を挙げる。

あつまれば子沢山かな砂日傘 赤坂静住
あてやかに日傘をたゝむ墓のまへ 林原耒井 蜩
あによめの日傘を借りてせみしぐれ 筑紫磐井 婆伽梵
あひみての後の日傘をひるがへす 中尾杏子
お寺の屋根のつまらなさ日傘さして来た 中塚一碧楼
かちわりやひとつ日傘に娘と座せる 伊藤いと子
きのこ雲へ熱いクルスの日傘ショウ 八木三日女 赤い地図
けふのことけふに終らぬ日傘捲く 上田五千石
この町に生くべく日傘購ひにけり 西村和子(1948-)
さしかけし日傘に染まり尼若し 西本一都 景色
しだれ桜日傘の中にあるごとし 阿部みどり女
しづけさに日傘をたたむ大薪棚 田中裕明 花間一壺
すぐそこの栗山にさへ日傘さし 山田弘子 螢川
たたまれて日傘も草に憩ふかな 阿部みどり女 『微風』
たたみたる日傘のぬくみ小脇にす 千原叡子
たゝまれて日傘も草に憩ふかな 阿部みどり女
たゝみたる日傘のぬくみ小脇にす 千原叡子
だんだんに日傘大きく神楽坂 小島健 木の実
つぶら眼の日傘乙女や眼鏡橋 下村ひろし 西陲集
つぼめある日傘はみ出し臙脂濃し 篠原梵 雨
つゝじ野をさして皆ゆく日傘かな 野村泊月
どつと着く都会の日傘美山村 山田弘子 懐
ぬけうらを抜けうらをゆく日傘かな 久保田万太郎 草の丈
ねむさうな足裏揃へり浜日傘 仙田洋子 橋のあなたに
ねむれねば悪戯を思う日傘かな 大井恒行
はらからの墓にあづけし日傘かな 松村幸一
ばら園に住みゐる人のさす日傘 田中裕明 山信
ひとり身の日傘廻せば遠くに森 菖蒲あや 路 地
ひらきたる日傘の陰に這入りけり 後藤夜半 翠黛
ふりむけばすでに日傘の人である 夏井いつき
ふり向きし尼の日傘も竹の影 岸田稚魚 筍流し
ぶら下げし電話が遠し砂日傘 松浦敬親
まだ日傘さしてとほるや生姜市 加藤覚範
みごもりて日傘に浮力あるごとし 辻美奈子
みちをしへ日傘たゝめばすでにゐず 福島小蕾
むらさきは君が日傘やくれやすき 芥川龍之介
もう哭いてをれぬ日傘を開きけり 河野緋佐子
やすみ立つ太夫に日傘静まれり 高濱年尾 年尾句集
ゆつくりと絵日傘たたむ妊婦かな 桑山撫子
ゆるゆると日傘おちゆく薔薇のとき 久保純夫 水渉記
よだちあとすゞろに日傘ひらきけり 林原耒井 蜩
りんとさす日傘これより百日喪 赤松[けい]子 白毫
わからない未来へ賭けて ひらく日傘 伊丹公子 メキシコ貝
わが影とし開く小さき日傘かな 長谷川かな女 牡 丹
アリバイの足跡消され砂日傘 柴田奈美
ガスタンクの裾よぎり行く日傘の朱 有働亨 汐路
ザビエルの聖鐘浴びる 日傘傾げ 伊丹公子 メキシコ貝
ソ連船待つ影日傘はみ出せる 河野南畦 『試走車』
ハイカラな日傘と出合ふ軽井沢 高澤良一 燕音
ベルリンの壁跡またぐ日傘かな 小川辰二
ペン返すために日傘をさして来し 岩淵喜代子 朝の椅子
ボンジユルと言ひて入りたき砂日傘 稲岡長
一本落葉松 しみじみ 日傘さす妻で 伊丹三樹彦 樹冠
一橋に道絞らるる日傘かな ながさく清江
世を恋ひて明日に倦みをり日傘さす 仙田洋子 橋のあなたに
丘の上の人に応へてゐる日傘 山田弘子 螢川
乗るまでもなし大仏へ日傘さし 星野立子
乳母車中に日傘や寺の前 田中裕明 山信
二三本京の日傘を土産にもと 阿部みどり女 笹鳴
二児連れて日傘の妻の遅れがち 山崎ひさを
五月雨や筏組行く日傘 丸露 選集「板東太郎」
京人の言葉やさしき日傘かな 高橋淡路女 梶の葉
人知れず悔を抱きゆく日傘かな 山田弘子 こぶし坂
今たたみ凭せし日傘息づける 後藤夜半 底紅
佇てば岬の潮鳴りばかり旅日傘 稲垣きくの 牡 丹
借りてさす日傘は派手や豆の花 中村汀女
傾けし日傘の中の砂丘かな 石田阿畏子
僧正が野糞遊ばす日傘哉 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
億劫や妻の日傘を讃へるは 草間時彦 櫻山
先阻む日傘やうやくそれにけり 白岩三郎
児に戯れゆく旅芸人の日傘かな 比叡 野村泊月
全員が喪服で日傘さしてをり 辻桃子 ねむ 以後
出迎への日傘を高く突堤に 池田秀水
別れきて日傘の熱を折りたたむ 松永典子
北への旅あきらめ街へ日傘さし 中村明子
医へ通ふのみの日傘を選び買ふ 古賀まり子 緑の野
医師の嘘信じて日傘ひらきけり 矢野 聖峰
十ばかり雨の痕ある日傘哉 桂花
十字路の果を透かせて花日傘 対馬康子 愛国
千体仏ひらく日傘に一つ入る 馬場移公子
古日傘われからひとを捨てしかな 稲垣きくの
君がさす日傘の前を耕耘機 仁平勝 東京物語
君が代の日傘に成りしさくらかな 辰下 俳諧撰集玉藻集
吾と歩む教へ子日傘ひらかざる 森田峠 避暑散歩
吾を送り戻る日傘の妻あらん 波多野爽波 鋪道の花
唐寺を出る真白な日傘かな 有馬朗人
国あげてひがし日傘をさしゆけり 大井恒行
坂の上日傘沈んでゆきにけり 大串 章
垂らしたる手より真直に日傘垂れ 波多野爽波 鋪道の花
垣の上を日傘が通る日となりぬ 阿部みどり女
墓に来て日傘の太く巻かれけり 岸本尚毅 鶏頭
外出がちなる負目の日傘ふかくさす 山田こと江
夢二展出でて日傘を回しけり 升田 義次
大いなる日傘のもとに小商ひ 篠原鳳作
大磯へ日傘その他忘れくる 岡田史乃
天上は骨のにおいの日傘かな 久保純夫 聖樹
天草干し日傘のなかに赤子囲ひ 宮坂静生 青胡桃
夫なしにけふな〔ら〕れしよ日傘 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
女あり岩頭に佇ち日傘濃し 高濱年尾 年尾句集
好く化粧ひ好く着こなして日傘さし 高浜虚子
妊りて紅き日傘を小さくさす 森澄雄
妹に買ううるしぐろなる日傘 飯田蛇笏 霊芝
妻と娘の日傘並んで坂下る 谷川昌弘
妻のものならぬ日傘の中に入る 大隅三虎
妻の嘘妻の日傘の中で聴く 市川愁子
妻の旅日傘を海に山に開く 伊丹三樹彦
子を堕す あいるらんどの祭の日傘 星永文夫
子を抱ける男にかざす日傘かな 比叡 野村泊月
子を持たず日傘の影を間隔に 原田種茅 径
宇治木幡茶商人の日傘かな 四明句集 中川四明
密會の忘れ日傘に頭文字(イニシャル) 筑紫磐井 婆伽梵
少女の反抗は肩にした桃いろの日傘くるくる廻す 安斎櫻[カイ]子
居てゝかと格子を覗く日傘かな 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
山が乗る日傘の重し奥吉野 浦野芳南
山笠なだれのしりへ漂へる日傘かな 清原枴童 枴童句集
山路ゆくさしかけ日傘しかと寄れ 皆吉爽雨 泉声
山里や日傘さしたる町戻 髭家
岩にのぼりてたゝみし日傘かざしけり 龍胆 長谷川かな女
峡の道遠く日傘をたたむ見ゆ 大岳水一路
峡ふかく日傘曲折してくだる 桂信子 黄 瀬
島庁は真白し日傘人松に 久米正雄 返り花
川の子に土手の日傘が母の位置 山田弘子 こぶし坂
川照りの日傘のうちにこもりたる 阿部みどり女
川風や日傘をたゝみ渡し舟 山田三子
広島や日傘の中に五十年 松下千代
店々へ顔かくし行く日傘かな 野村喜舟 小石川
弾き金音よくかゝる日傘かな 松藤夏山 夏山句集
影遠く逃げてゐるなり砂日傘 松本たかし
忘れゐし遠き日かへる日傘の裏 佐野美智
思ひ出のあらねばかろき日傘かな 西村和子 かりそめならず
恐山日傘抹香臭くなり 高澤良一 随笑
我を入れぬ日傘の人と話かな 高濱年尾 年尾句集
抜けうらと抜けうらとゆく日傘かな 久保田万太郎
拝観の日傘をたゝみつゝましく 川名句一歩
振り返り日傘に余る女かな 高澤良一 寒暑
捧ぐるものなし墓前にて日傘たたむ 津田清子 礼 拝
撫肩に日傘をあづけ串だんご 平子 公一
放哉の句碑を日傘の裡に容る 三好潤子
教へ子と知れる二人の砂日傘 冨田みのる
断崖に怒濤見て立つ日傘あり 大橋敦子
旅日傘多忙は家に置いて来し 嶋田摩耶子
日傘から子供育てし腕あまる 大石雄鬼
日傘さしてまねぶ嬌態艶姿かな 岡本松浜
日傘さして亡き母が往く交差点 長谷川治子
日傘さして畑中の細き道をゆく寂しきわれの原風景か 伝田幸子
日傘さして草に坐りて空忘れ 阿部みどり女
日傘さし三十路の貌を持ち歩く 谷口桂子
日傘さし海美しとひとことを 茨木和生 野迫川
日傘さし白き壁画の中通る 中山玲子
日傘さし空と一枚隔てをり 小林草吾
日傘さし荷蘭陀こちを向きにけり 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
日傘さし跼み馴れたる物腰に 後藤夜半 底紅
日傘さすとき突堤をおもひ出す 岡本眸(1928-)
日傘さす音のパチンと空へ逃ぐ 高浜年尾
日傘させば海の底より淋しさ来る 津田清子 礼 拝
日傘して危うきものに近寄れり 森田智子
日傘して寝墓の端をとほりけり 石嶌岳
日傘して次に浮き来る亀を待つ 高澤良一 宿好
日傘して母子の会話かこひたり 上田日差子
日傘して汽笛の音の次を待つ 藤田湘子
日傘して琉球人の妻ならん 寺田寅彦
日傘して砂に子を待つ我が齢 文挟夫佐恵 黄 瀬
日傘たゝむや空の広さに逃げし色 高濱年尾 年尾句集
日傘てふ情緒的なるものありけり 鈴木栄子
日傘にうけきれぬ西日の中帰る 津田清子 礼 拝
日傘に映え紅顔ただに冷徹に 香西照雄 対話
日傘のつくる影のむらさき胸冷やす 野澤節子 黄 瀬
日傘の影うすく恋をしている 住宅顕信 未完成
日傘の影母に先んじ映り出づ 野澤節子 牡 丹
日傘また遠くあらはれ野の起伏 桂信子 黄 瀬
日傘まはして水のむかうの娘が笑ふ 佐野良太 樫
日傘もつ姉妹ほどよき距離たもつ 岩月星火
日傘ゆく日傘ゆく亡き妻がゆく 藤村多加夫
日傘ゆらぐ坂や牛深子守唄 倉橋羊村
日傘より余る半身疎ましき 出口善子
日傘より帽子が好きで二児の母 西村和子 夏帽子
日傘一つ出作り村へ浮かびゆく 野澤節子 遠い橋
日傘一時雨なり竜田川 調機 選集「板東太郎」
日傘人見る砂文字の異花奇鳥 芥川龍之介
日傘先づくるりと廻し歩きけり 小泉安寿子
日傘入りて杉の木の暮きはまりぬ 岸田稚魚 筍流し
日傘売場次第に沈む螺旋階 佐野美智
日傘女に何処ともなく二時のうつ 島村元句集
日傘女に眼開きし犬や今は閉ぢぬ 島村元句集
日傘廻して万葉の海を見に 小杉優子
日傘得て辨天よりの戻り船 北野民夫
日傘持たず出てつばくろのひるがへる 金久美智子
日傘洗うめぐりくる夏疑わず 柏岡恵子
日傘畳み天の火照りも畳むなり 柴田奈美
日傘立て老靴磨自愛せよ 山本歩禅
日傘素足にさしたくて出づ板下まで 鈴木栄子
日傘置く更けて戻りし玄関に 波多野爽波 鋪道の花
日傘置く洞の光陰なきところ 赤松[ケイ]子
日傘行くや大空の光あつむべし 原田種茅 径
日傘読むかたはらに置きにけり 田中裕明 櫻姫譚
日傘閉づ大山門に侏儒となり 皆吉爽雨 泉声
日傘開く音はつきりと別れ哉 松浦為王
早や日傘ささねば悔の残りさう 田中祥子
昂然と仏蘭西日傘ひらきけり 櫂未知子 蒙古斑
昔日の淀の風来る日傘かな 山田弘子 懐
昼が夜となりし日傘を持ちつづけ 波多野爽波 鋪道の花
曳売を日傘に入れて購へり 橋本榮治 麦生
朝ぐもり海岸日傘ひとつ開く 相生垣瓜人
木もれ日の斑が流れつゝ行く日傘 高濱年尾 年尾句集
杉闇き坂より日傘たたみ持つ 山下率賓子
松伐りしいくさを嗤ひ日傘おく 原コウ子
柄天に沖しろがねの砂日傘 高浜虚子
棒ぐるものなし墓前にて日傘たたむ 津田清子
棧橋の日傘に白き雲湧けり 河合凱夫 藤の実
橋上に日傘をひらく合図かな 夏井いつき
橋詰に日傘の姉妹鉄を接ぐ 徳弘純 非望
欄干に胸あづけゐる日傘かな 西村和子 かりそめならず
次々に日傘開きて上陸す 中山梟月
此日傘あづけ申すぞけふ一日 尾崎紅葉
死後ならず遠く無数の日傘ゆく 徳弘純 麦のほとり 以後
母ともの足りなくて日傘軽くて少女 中塚一碧楼
母ひとり大河を渡る日傘かな 老川敏彦
気位のいまに日傘を高くさす 有賀辰見
水辺ゆく日傘の思ひ深げなる 山田弘子 螢川
汐灼の婆の日傘も影一つ 行方克巳
江の島の外ゆく舟の日傘かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
江の島の緑につゞく日傘かな 島村元句集
汽車を出て直に日傘の野路哉 巌谷小波
沓掛へ日傘降りゆく男郎花 角川源義
河骨やしんと日傘を透す日に 中村汀女
波乗りの子を目守りゐつ浜日傘 原田種茅 径
派手日傘逢ふ人なきに心張り 柴田白葉女 遠い橋
浜日傘すぼめ立つありありて久し 篠田悌二郎
浜日傘幾日は立ちし夏終る 石塚友二 光塵
浜日傘横目に投函したるのみ 石塚友二 光塵
浜日傘砂浜に柄を深く差し 塩川雄三
浜日傘腹這へる肢の砂弄ぶ 原田種茅 径
浜日傘雨ひと粒の染ひろぐ 宮津昭彦
海上に自愛の日傘白く張る 津田清子 礼 拝
海岸日傘中年男ひとりをり 草間時彦
涅槃会や何処の内儀かもふ日傘 井月の句集 井上井月
涼風忌しばしは墓に日傘かけ 渡辺恭子
渓日傘飛んで二度とは行かぬ海 櫂未知子 貴族
渡し舟蓮にさはりて日傘かな 雑草 長谷川零餘子
渡り廊くぐりてひらく日傘と声 平井さち子 完流
渡舟待つ先ほどよりの日傘かな 木村草雨
渡船降り島教会へ日傘さし 小原菁々子
漣のさみしくなりし日傘かな 岡本眸
潮風にはばたく日傘ひらきけり 西村和子 夏帽子
烈日に君が日傘の小さゝよ 青峰集 島田青峰
熔岩原や水母の如く日傘ゆく 角川源義
父の墓見えて日傘を閉ぢにけり 永方裕子
牧の山羊日傘の影を慕ひよる 阿部みどり女 『微風』
物落ちし如く日傘の影生れ 西井五山
犬吠の浜離れ行く日傘かな 菅谷泰夫
狐舎を見る朱の日傘を傾けつ 石田波郷
玄室を出て人の世の日傘さす 有馬朗人 母国
王宮の遺跡をあるく日傘かな 中矢伸子
珈琲の香にいまは飢ゆ浜日傘 横山白虹
産み月の日傘を何時も手放さず 右城暮石 上下
町を出てすぐに草原日傘さし 大島早苗
病む夫をかばふ日傘を高くしぬ 岡本眸
病む身にて妻の日傘にまもられゆく 白石蒼羽
病人に仕へて古りし日傘かな 吉武月二郎句集
白い地球儀のかげに海べがあれば少女よ日傘をひろげよ 中野嘉一
白人の鼻が並びて砂日傘 嶋田一歩
白麻の日傘の陰にひそかにゐ 長谷川櫂 虚空
百段の宙より芙美子日傘振る 田中水桜
目を戻すたびにはためく浜日傘 横山房子
真直ぐにさす追悼の青日傘 鳥居美智子
砂山に泳がぬ妹の日傘見ゆ 日野草城
砂日傘あらぬ方より彼がくる 波多野爽波 鋪道の花
砂日傘さつきの犬がまた通る 波多野爽波 鋪道の花
砂日傘ちよつと聞違へ立ち戻る 波多野爽波 鋪道の花
砂日傘ひらいてすぐにジャズ鳴らす 池田秀水
砂日傘ひらき大きな影ひらく 福田花仙
砂日傘ひらき頃なる砂の灼け 能村登四郎
砂日傘ジブラルタルの波寄する 岩崎照子
砂日傘一つ大きく賑かに 嶋田青峰
砂日傘三つや朝の地中海 小池文子 巴里蕭条
砂日傘守りて母の遠まなざし 鈴木貞雄
砂日傘幸せさうな色ばかり 鈴木昌江
砂日傘微動だに日の深さかな 末次雨城
砂日傘抜かれ真昼の穴のこる 大屋達治 絵詞
砂日傘濡れきし男かくまへり 辻美奈子
砂日傘睡気催す波の音 笠原古畦
砂日傘開いてすぐにジヤズ鳴らす 池田秀水
砂日傘開けば隠れ竹生島 佐伯哲草
砂日傘黄色の女よこたはる 中島斌男
磯の香の日傘のうちにこもりゐる 阿部みどり女 『微風』
禅林へ日傘さしたる尼戻る 高濱年尾 年尾句集
稚子すでに上りし鉾の日傘 後藤夜半 翠黛
立ててすぐ砂に影生む砂日傘 池田秀水
笑ひ声日傘大きく揺れにけり 廣田 幸子
紺碧の波にたゝめる日傘かな 上村占魚 鮎
結界は日傘の及ぶところまで 櫂未知子 蒙古斑
絵日傘に中国服の身の細く 下村非文
絵日傘に亡き児や行くと眺めけり 安斎櫻[カイ]子
絵日傘に会ひたるのみの異人墓地 池田 悦子
絵日傘のうしろ奪はれやすきかな 攝津幸彦
絵日傘の映りし水の美しき 本多 勝彦
絵日傘の相合傘や老夫婦 稲畑廣太郎
絵日傘の絵もおとなしく京らしや 上村占魚 球磨
絵日傘やぼんてんに日のありどころ 島村元句集
絵日傘や今年四つの男の子 寺田寅彦
絵日傘や媚びを踏出す裾短か 寺田寅彦
絵日傘や海に崩れし石の上 雑草 長谷川零餘子
絵日傘をかしげ袖摺稲荷より 清原枴童 枴童句集
絵日傘をひとつ廻してへだたりぬ 永末恵子 発色
絵日傘を閉ぢて炎をたたみけり 橋本榮治 麦生
縁側に緋毛氈ある日傘ある 京極杞陽 くくたち下巻
置き忘れられさうにある日傘かな 長谷川朝子
老人がすつぽり入りし日傘かな 細川加賀 『玉虫』
耳に執る履音窓染むる日傘かな 島村元句集
肩につく影こそばゆし浜日傘 仙田洋子 橋のあなたに
脱ぎ棄ての羽衣ばかり砂日傘 日野草城
舞妓見てたしかに京や日傘 阿部みどり女 笹鳴
色日傘万葉園の杜歩く 塩川雄三
芝居して小猿の小さき日傘かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
花菊芋日傘に保母の瞳が涼し 宮坂静生 青胡桃
草そよぐ日傘さしたりたたんだり 岸本尚毅 鶏頭
草山を又一人越す日傘かな 渡辺水巴
荷を負うて日傘さしたる女かな 高濱年尾 年尾句集
葬にゆく白き日傘でありにけり 有我重代
蓮池の向ふを妻の日傘来る 前山 百年
藤棚に入りたる日傘もてあそぶ 高濱年尾 年尾句集
蘆間よリ紅き日傘の吾子その健 深川正一郎
虚無と名づけあと揺ぎをり野の日傘 竹中宏 饕餮
蝶の香ふと姉の日傘に入りしとき 河原枇杷男 蝶座
行末の見えて見ぬふり日傘さす 仙田洋子 橋のあなたに
話し来る一つ日傘に出つ入りつ 高浜虚子
誕生日日傘購ひ自己満足に陥つ 津田清子
象潟の森の松かげ日傘見ゆ 露月句集 石井露月
貴船道日傘たゝめばよきものを 森田峠 三角屋根
追ひついて日傘たゝめば人違ふ 丸橋静子
這婢少く背の子概ね日傘の外 竹下しづの女 [はやて]
逢曳や女に日傘の影加はる 津田清子
遠くゆく七里ケ浜の日傘かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
遠くよりゴルフ見てゐる日傘かな 大場白水郎 散木集
遠ざかる日傘よ樹々を恃み行け 肥田埜勝美
遠会釈日傘の色におぼえあり 室町まさを
遠山や馬も日傘も橋の塵 尾崎紅葉
鈴の音のかすかにひゞく日傘かな 飯田蛇笏 霊芝
銀行に強き妻なり日傘さし 高澤良一 素抱
銭使ひはたして日暮れ日傘たたむ 中山純子 沙羅
鎌倉の五山めぐりに日傘さす 斉藤夏風
鎌倉の日傘の下の少女かな 皆吉司
長堤や蒲に日移りまた日傘 清原枴童 枴童句集
門を出て日傘ひろげて色生れ 上村占魚 球磨
閑居して日傘の中の國訛 古舘曹人 砂の音
降りしきる松葉に日傘かざしけり 立子
陶榻に憩ふ一人は日傘さし 中村芳子
陽の匂ふ日傘膝にして祈りを籠める 人間を彫る 大橋裸木
雁鳴くやどこで失くせし日傘の柄 稲垣きくの 黄 瀬
雨ありしあとの日傘や菖蒲園 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
音もなくいのちの老いて日傘かな 藤田あけ烏 赤松
音強く日傘をひらき病院出る 橋本美代子
音高く日傘ひらきぬ晶子の忌 渡邊千枝子
頂上は日傘を畳む程の風 星野椿
顔せや日傘の中の日の匂ひ 露月句集 石井露月
風あまり強くて日傘たゝみもし 高浜虚子
風景は松風ばかり日傘かな 鳴戸奈菜
飛火野の一人が日傘ひらきけり 田畑美穂女
馬小屋を覗く日傘の女かな 山田弘子 螢川
駈けて来る子を掬ひとる日傘かな 石川文子
黒傘を日傘に唯一神を説く 工藤克巳
黒日傘乞食坊主か高僧か 辻田克巳
パラソルが似合ふと言はる泣黒子 内田美紗 誕生日
パラソルにいますれすれの海原よ 齋藤愼爾
パラソルに盗み見てゐる喉仏 内田美紗 浦島草
パラソルのつきささりゐる鞄あり 京極杞陽
パラソルのひとつ外れゆき喪の家へ 川口重美
パラソルの下で遺跡を掘つており 内藤住子
パラソルの中を孤独と思はずや 鷲巣ふじ子
パラソルの北見女や草競馬 京極杞陽
パラソルの熱つ骨脇に化石館 八木三日女 赤い地図
パラソルや犬は児に蹤き児は母につき 鈴木栄子
パラソルをかざしてゆくよ有史より死者は生者の数を凌ぐに 佐伯裕子
パラソルをさしてト書のやうに行く 内田美紗 浦島草
パラソルをさして入道峠かな 京極杞陽
パラソルをさして小さき馬車をよけ 京極杞陽
パラソルをさし絵葉書を買ひに行く 西村和子 夏帽子
パラソルを廻し胎児をよろこばす 中尾寿美子(1914-89)
パラソルを細巻きにしてちひろ館 高岡いつ
パラソル売場造花の藤のかげの鏡に 京極杞陽 くくたち上巻
マドンナのパラソルさしてクラス会 坂田栄三
先客の経木帽子とパラソルと 永井龍男
古城出てパラソル一つ咲かせけり 中村明子
大型のパラソル広げ果実売る 関根淑子
影の陰その翳にをりパラソル屋 林 翔
母の白いパラソル降りるドックの街 川崎展宏
砂丘ゆくパラソルの色海の色 藤崎久を
陰気なりこのパラソルの売場悪し 京極杞陽 くくたち上巻
雲多き日のパラソルは花の類 中尾寿美子

以上
by 575fudemakase | 2014-07-18 00:16 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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