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紙魚

紙魚

例句を挙げる。

月明の紙魚と遊びて師の忌くる 高澤良一 ねずみのこまくら
うたたねに見し夢思へり紙魚はしる 森川暁水 黴
おのが職やめもならざり紙魚はしる 森川暁水 黴
つく~と紙魚のなげきにいほり主 河野静雲 閻魔
つままれて紙魚は指紋となりにけり 大石石仏
なりはひの紙魚と契りてはかなさよ 富田木歩
はひ上る紙魚や晝寝の足のひら 会津八一
わが書庫の紙魚と契りし月日あり 星野半酔
キラリと紙魚がにげた うれのこりの和本のなげき 吉岡禅寺洞
ドイツ語の紙魚の辞書あり父は亡し 岩崎照子
ホトトギス創刊号紙魚許されず 稲畑廣太郎
一巻のをはりの紙魚の走りけり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
三代の紙魚の更科日記かな 景山筍吉
亡き母の行李に紙魚を太らせし 肥田埜恵子
住み古りて紙魚ころころと太りけり 頓所 八重子
光琳忌きらゝかに紙魚走りけり 飴山實 『次の花』
公理より定理導く雲母虫 高澤良一 さざなみやっこ
創世記より紙魚出でて曝書かな 長田等
勿体なや紙魚に食はれし虚子の軸 西村行矢
同一の紙魚の仕業でありにけり 高澤良一 ぱらりとせ
唐櫃は紙魚の経文蔵しけり 下村梅子
夫婦して十年の紙魚晒しけり 小林康治
子規の書に棲みたる紙魚ぞきらきらす 辻桃子
孑孑は蚊になる紙魚は何になる 坂本四方太
字の間を紙魚の急いでをりにけり 鈴木貞雄
宸筆もものかは紙魚の確信犯 高澤良一 随笑
寂として万緑の中紙魚は食ふ 楸邨
寂として萬緑の中紙魚は食ふ 加藤楸邨
就中宋の拓本紙魚多し 真鍋 蕗径
師の遺句にもつとも近き紙魚なりし 蓬田紀枝子
平がなの中よりこぼれ落ちし紙魚 宇佐美魚目 天地存問
廂間の濃き朝空や書より紙魚 宇佐美魚目 秋収冬蔵
我書て紙魚くふ程に成にけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
手にせるも置かれしも紙魚の書なりけり 尾崎迷堂 孤輪
打払ふ紙魚かげもなし松の風 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
拡大して紙魚の歯なんぞ見てみたし 高澤良一 素抱
拾得の顔を這ひたる紙魚の跡 鎌田たづ
指先の銀はつぶせし紙魚のもの 品川鈴子
書の紙魚の一行にある大事かな 尾崎迷堂 孤輪
曼荼羅圖喰うとは紙魚のふてえ奴 高澤良一 ぱらりとせ
月明の書を出て遊ぶ紙魚ひとつ 大野林火
木乃伊の亜麻布紙魚の類がつかぬかと 高澤良一 燕音
本を出て遠くゆきけりあはれ紙魚 山口青邨
松陰の書をはゞかりて紙魚乏し 森田 峠
検閲の書の伏字を紙魚食らふ 柴田奈美
死者の書は畏多きと紙魚云うも 高澤良一 燕音
死顔の写真いでゝ紙魚かくれたり 渡邊水巴 富士
母の書を離れず紙魚の生きゐたり 橋本美代子
温故知新紙魚の季寄せに佳句多し 小島左京
無用の書紙魚食ひあきて死ぬるらむ 高濱虚子
煽ぎ死ぬ紙魚あり扇秋にして 安斎櫻[カイ]子
真筆の野ざらし紀行紙魚寄せず 田中英子
眩しみて生きる五月の紙魚とわれ 千代田葛彦 旅人木
碩学の紙魚を讃へてわれも書に 三嶋 隆英
神の旅古事記の紙魚の穴よりす 野村喜舟 小石川
秋澄むや偸安紙魚を飼ふごとし 小林康治 玄霜
窯元に伝はる紙魚の図柄帖 岸川鼓虫子
筐底の暗きに沈む紙魚の銀 日野草城
紙魚あまた寺の文庫を引継ぎぬ 山口笙堂
紙魚おづる愚かな妻をいとしとも 森川暁水 黴
紙魚かくも侵し侵せし笠を見る 鈴鹿野風呂 浜木綿
紙魚がゐて蔵書ますます増えにけり 山口波津女 良人
紙魚ちよろ~歌に痩するか時に肥ゆか 竹冷句鈔 角田竹冷
紙魚として二匹のゐるはかくかなし 山口誓子
紙魚ならば棲みても見たき一書あり 能村登四郎
紙魚に逢うため松本の古本屋 石井美左於
紙魚に逢ふことにも起居古りにけり 後藤夜半 底紅
紙魚のあとひさしのひの字しの字かな 高濱虚子
紙魚のあと一つ一つがなつかしく 鈴鹿野風呂 浜木綿
紙魚のあと深く残りて文字かくす南北朝期の乱れさながら 市野千鶴子
紙魚の怪きららこぼして逃ぐるなり 森川暁水 黴
紙魚の書に天窓の日の瞑さかな 石田阿畏子
紙魚の書に老後の一事考へる 河野南畦 湖の森
紙魚の書の深きに入りて父と会ふ 深谷雄大
紙魚の書の還らざる書の何々ぞ 石田あき子 見舞籠
紙魚の書を惜まざるにはあらざれど 高浜虚子
紙魚の書を愛する父を怖れけり 白岩三郎
紙魚の書を知恵のはじめの如く読む 井沢正江
紙魚の痕とどめ平家の幡守る 鷹羽狩行
紙魚の穴等間隔の懐紙かな 岩崎照子
紙魚の行方を白眼に転読つゞけゝり 高田蝶衣
紙魚の跡たどりて紙魚に逢はんとす 後藤夜半 底紅
紙魚の跡舟をならべし如くなり 京極杞陽
紙魚の銀身をうねらせて走るかな 野村喜舟
紙魚はをらず踊つて読ます字のくばり 廣江八重櫻
紙魚ふたつ蛇性の婬の条より 相生垣瓜人 微茫集
紙魚もまたしたしまるなりおのが職 森川暁水 黴
紙魚を詠むこころ世過ぎの足しにせん 高澤良一 随笑
紙魚一つ四角に箱を走りけり 野村喜舟
紙魚喰うて玄白訳と読まれけり 岩田深叢
紙魚喰ひのカフカの夢と落ちゆけり 小檜山繁子
紙魚払ひ掛くる亡き師の「露」の軸 小原菁々子
紙魚払ふ亡父の昔知りたくて 加藤不倒
紙魚殺す売文の指撓はせて 小林康治 玄霜
紙魚老いて白毫の如し秋の暮 永田耕衣 闌位
紙魚走りあといなづまとなりゐたり 松山足羽
紙魚走りゐる最澄に空海に 橋本榮治 逆旅
紙魚走り素逝の手紙古りにけり 山本歩禅
紙魚走る文ひろひ読む史料館 渡辺和子
紙魚追ふと伸べし女体の脾のあたり 下村槐太 天涯
紙魚食うてこゝろもとなき和綴本 片岡片々子
紙魚食める祖父の百姓一揆図絵 古賀桂水
経文に紙魚となるまで帰依したり 古橋成光
縞帳に紙魚のはしれる女文字 桂樟蹊子
聖書いま荒野の章に紙魚もをり 井沢正江 以後
虚構をも喰ひものにする紙魚なりし 中原道夫
見せくれし紙魚の郷土史著者不詳 石井とし夫
質ぐさにきらりと紙魚の走りけり 三原草雨
軍帽は夫の青春衣魚育て 市川弥栄乃
迯る也紙魚が中にも親よ子よ 一茶
逍遥忌シェクスピアに紙魚の跡 米山宣子
邪宗門一揆を綴る紙魚の文 山本歩禅
隠元木庵即非にあらず紙魚の幅 尾崎迷堂 孤輪
雛箱の紙魚きらきらと失せにけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
風撃つや明治の辞書が紙魚育て 河野南畦 『硝子の船』
きららよりはげしき舌のありにけり 櫂未知子 蒙古斑
光琳忌きららかに紙魚走りけり 飴山實(1926-2000)
冷素麺きらら光りの切子鉢 星川佐保子
秋あざみ振りむけば海きららなす 野澤節子 黄 炎
紙魚の怪きららこぼして逃ぐるなり 森川暁水 淀
草の絮飛びそむ空の雲母刷(きららずり) 高澤良一 ぱらりとせ


以上
by 575fudemakase | 2014-07-19 00:35 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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