初秋
初秋
例句を挙げる。
あたらしき目籠のいろの初秋かな 飯田龍太
きつつきや新秋白き山の湖 千代田葛彦 旅人木
きりこきりこと初秋の乳母車 原田喬
ひえびえと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏 春蘭
みどり子の髪やはらかき初秋かな 近藤 うめこ
むら星にうす雲わたる初秋かな 飯田蛇笏 霊芝
わが天のいづこに隠れ水晶のこゑよ初秋の茅蜩(かなかな)見えず 佐竹弥生
ナホトカの玩具初秋のストール纒ひ 長谷川かな女 花寂び
丘の径から初秋の漁夫のこゑ 飯田龍太 山の木
冷え冷えと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏
初秋と思ふはるかだと思ふ 野見山朱鳥
初秋に大事がらるる宿り哉 正岡子規
初秋のどれが露やら雨の露 上島鬼貫
初秋のまひるまぶしき皿割りぬ 桂 信子
初秋のまぶたに涼し芳野山 古白遺稿 藤野古白
初秋のわがために鳴る打点鐘 野見山ひふみ
初秋の三日月ほのと雲のあひ 西島麦南 人音
初秋の人に知らさぬ旅に在り 大場白水郎 散木集
初秋の伊那の谷間のまんじゅう屋 森 慎一
初秋の千本の松動きけり 夏目漱石 明治二十九年
初秋の四十もうとき寐覚哉 松岡青蘿
初秋の土ふむ靴のうす埃 杉田久女
初秋の埃もつかぬ茄子かな 中島月笠 月笠句集
初秋の大きな富士に対しけり 星野立子
初秋の子がふぐりさげ地をたたく 長谷川双魚 『ひとつとや』
初秋の子に伸びるだけ桑摘まれ 萩原麦草 麦嵐
初秋の小鯵の味も忌のこゝろ 斎藤空華 空華句集
初秋の尚宵々を出ありきぬ 露月句集 石井露月
初秋の屋根を鳩とぶ日本橋 長谷川かな女 雨 月
初秋の山日が崩す山の砂 長谷川かな女 雨 月
初秋の月大川に光りけり 阿部みどり女 笹鳴
初秋の椎の木下る蚊喰鳥 萩原麦草 麦嵐
初秋の歩けば物をもらふ子よ 岩田由美
初秋の水いさぎよき寝ざめかな 柴田白葉女 花寂び 以後
初秋の水をいきいきと山の奥 柴田白葉女 『冬泉』
初秋の浅間裾野に夜雨はげし 長谷川かな女 雨 月
初秋の潮の香闇の波間より 相河美智子
初秋の火をいきいきと山の奥 柴田白葉女 雨 月
初秋の灯を定め澄む油かな 雑草 長谷川零餘子
初秋の珈琲にがく少女期終る 内藤吐天 鳴海抄
初秋の竹の枯葉や竹の垣 古白遺稿 藤野古白
初秋の簾に動く日あしかな 正岡子規
初秋の純白をもて参籠す 加倉井秋を
初秋の色なになにぞ山の川 飴山實 『花浴び』以後
初秋の芝踏んで来つ足袋白し 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋の芭蕉動きぬ枕元 夏目漱石 明治四十二年
初秋の花つけてゐる柘榴かな 渡辺水巴 白日
初秋の蓮の葉ひろき面かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
初秋の蚊帳を打つかに芭蕉かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋の蛇打ちし石火を発す 萩原麦草 麦嵐
初秋の蝗つかめば柔かき 芥川龍之介
初秋の見渡せる眼の欲しき日よ 村越化石
初秋の言づてせられゐたりけり 有働亨 汐路
初秋の逆光に入る鳥の数 沼尻巳津子
初秋の雲がかゝるや富士の山 谷活東
初秋の雲を宿せる山の湖 加藤耕子
初秋の風大だも(樟)の千枝わたる 鈴鹿野風呂 浜木綿
初秋はうすむらさきの遠嶺かな 豊田都峰
初秋やあたま冴出す葉鶏頭 滝井孝作 浮寝鳥
初秋やきのふと違ふ山の丈 手塚美佐 昔の香
初秋やここに楫斐川長良川 八木林之介 青霞集
初秋やそろりと顔へ蚊屋の脚 廬元坊
初秋やほのかにしぶきりんご食む 久保より江
初秋やまだうつくしい水の音 千代尼
初秋やまだ美しい水の色 千代女
初秋や三人つれだちてそこらあたり 子規句集 虚子・碧梧桐選
初秋や人のうしろを風が過ぎ 桂信子 遠い橋
初秋や仏にあげて五目飯 小澤碧童 碧童句集
初秋や余所の灯見ゆる宵の程 蕪村
初秋や反古を燃やせる火の匂ひ 河合澄子
初秋や名札を足に新生児 斎藤志津子
初秋や噴井流るゝ草の中 白水郎句集 大場白水郎
初秋や子に描く汽車に煙も描く 加倉井秋を
初秋や宗祇も看たる山川よ 滝井孝作 浮寝鳥
初秋や富士の見ゆるも朝のうち 稲畑汀子
初秋や寺の電話を借りて語る 永井龍男
初秋や小雨ふりこむ膳の上 成美
初秋や山中は魚串刺しに 斎藤玄 雁道
初秋や帷子ごしにかかる雨 毛* 七 月 月別句集「韻塞」
初秋や往来端の竹細工 井上井月
初秋や抱く子によべの天瓜粉 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋や旭出ぬ間の寺まいり 高井几董
初秋や朝顔ひらく午さがり 芥川龍之介 蕩々帖〔その一〕
初秋や杉の谷より青煙 沢木欣一
初秋や松葉の土の松ぼくり 小川軽舟
初秋や海も青田も一みどり 初秋は海やら田やら緑哉 松尾芭蕉
初秋や畳みながらの蚊屋の夜着 松尾芭蕉
初秋や眼覚めて被る夜のもの 吉野左衛門
初秋や耳かきけづる朝朗 上島鬼貫
初秋や舟子が着たる白襦袢 阿部みどり女 笹鳴
初秋や草をくぐれる水のおと 鷲谷七菜子 天鼓
初秋や薬にうつる星の影 黒柳召波 春泥句集
初秋や蚊屋に透き来る銀河 嘯山
初秋や蝗つかめば柔かき 芥川龍之介 澄江堂句抄
初秋や蝗握れば柔かき 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
初秋や親に離れし相撲取 米巒 七 月 月別句集「韻塞」
初秋や軽き病に買ひ薬 高浜虚子
初秋や通夜の灯うるむ花氷 渡辺水巴 白日
初秋や酢のきゝ過ぎし膳の物 温亭句集 篠原温亭
初秋や障子さす夜とさゝぬよと 炭 太祇 太祇句選
初秋や飯粒を踏むあしのうら 中山純子
初秋や餘所の灯見ゆる宵のほど 蕪村 秋之部
初秋よしオークル色のわが肢体 藤木清子
初秋よし静脉透きて脉摶つよ 藤木清子
初秋を告げて湖水の瑠璃深し 今橋眞理子
墓に木を植ゑたる夢も初秋かな 飯田蛇笏 霊芝
壺の塩甕の水など秋はじめ 長谷川双魚 風形
夢かれて初秋犬の遠音かな 西吟
山に来て山の夢みてゐし初秋(上州草津高原自門洞) 上村占魚 『かのえさる』
山水やまだ初秋の香*(こうじゅ)散 句空 俳諧撰集「有磯海」
峠にて朴の鬱たる秋はじめ 森澄雄
峡初秋老のせて舟平らなり 山本古瓢
文机に初秋風を招きけり 阿波野青畝
新秋のことに真萩の雨あがり 清原枴童 枴童句集
新秋の光となりて滝落ちる 山根きぬえ
新秋の出湯あみつづけ酒毒抜く(上州草津高原自門洞滞在二句) 上村占魚 『かのえさる』
新秋の墨の匂ひのをとこかな 小島千架子
新秋の帆を巻くに胸つかひをり 山西雅子
新秋の斜に榾へつつ来りけり 稲畑廣太郎
新秋の舟に四五人棹し下る 薗田 秀子
新秋の草食みて牛つや~し 長沢鴨水
新秋の遠見に白き牧の柵 倉橋弘躬
新秋やチロル木彫の皿軽し 有働亨 汐路
新秋や両耳立てし筑波山 皆川東水
新秋や体内の水入れ換ふる 北村典子
新秋や女体かがやき夢了る 金子兜太
新秋や影絵に雨の光げはしる 臼田亞浪 定本亜浪句集
新秋や書架増えたるに司書の病む 森田峠 逆瀬川
新秋や火の島に置く島の影 山田みづえ
木賊には木賊のみどり秋はじめ 神尾久美子 桐の木以後
母に抱かれて初秋の波の音 藤原満喜
水に手をつけて貴船の秋はじめ 山上樹実雄
水打つてまつ初秋の日の出かな 中島月笠 月笠句集
水郷の初秋風に舟を棹す 岩崎照子
瀑に対す簀戸や初秋の日の光り 久米正雄 返り花
物置かぬ机上初秋風のもの 井沢正江 湖の伝説以後
物音は一個にひとつ秋はじめ 藤田湘子
琴の裏なんにもなくて秋はじめ 神尾久美子 桐の木
白樺に樹液一すぢ秋はじめ 大久保幸子
秋初風狭山の夜の藪うごく 長谷川かな女 花 季
秋初風粒の小芋の箸を逃ぐ 長谷川かな女 花寂び
秋口に降りては埃くさき雨 高澤良一 宿好
秋口のいくたびそそぐ竹の雨 松村蒼石 寒鶯抄
秋口のこんにやく畑の峠かな 阿波野青畝
秋口のすはやとおもふ通り雨 飯田蛇笏 霊芝
秋口のひかる砥石をどこで見し 宇佐美魚目 天地存問
秋口の他意なきものに夕鴉 長谷川双魚 『ひとつとや』
秋口の夜となる茶房クオ・バディス 長谷川双魚
秋口の庭池の扉や月の雨 飯田蛇笏 霊芝
秋口の振舞餅を食ひにゆく 田中裕明 櫻姫譚
秋口の星みどりなる嶽の上 飯田蛇笏
秋口の横波鳴れりタグボート 高澤良一 寒暑
秋口の泉に生きるもの動き 佐野美智
秋口の湯治の客の宵寝かな 宇佐美魚目 秋収冬蔵
秋口の粥鍋しづむ梓川 飯田蛇笏 霊芝
秋口の草紙のあそびごとづくし 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
秋口の薔薇の小さき火色かな 嶋田麻紀
秋口の雨にぬれたる岩魚釣 飯田蛇笏 春蘭
秋口や戻り俥の幌の揺れ 石川桂郎 四温
秋口や目先をかへてカプチーノ 西谷孝
秋口や雨にぎやかに潦 岸田稚魚
秋口をまつしぐらなる風通る 矢島渚男 梟
筆の先双つにわれて秋初 中嶋秀子
芋の秋初孫ふぐり忘れずに 西島麦南
荒寥と日は草に載り秋はじめ 鳥海むねき
藍よりも濃き花開く初秋かな 横光利一
赤帽のポーター徘徊驛初秋 高澤良一 寒暑
辞書は机上に開きおくもの秋初風 高澤良一 寒暑
鎌倉をぬけて海ある初秋かな 飯田龍太 山の影
陶のいろ水にありけり秋はじめ 岩本明美
雁行や初秋の雪の降る地平 対馬康子 吾亦紅
雨降つて一足飛びに秋口ヘ 近藤一鴻
飛ぶもののみな新秋のひかリ負ふ 石塚友二
飲食の肘張りて秋はじめかな 長谷川双魚 『ひとつとや』
鱒泳ぐ初秋風の水の皺 森田峠 逆瀬川以後
以上
例句を挙げる。
あたらしき目籠のいろの初秋かな 飯田龍太
きつつきや新秋白き山の湖 千代田葛彦 旅人木
きりこきりこと初秋の乳母車 原田喬
ひえびえと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏 春蘭
みどり子の髪やはらかき初秋かな 近藤 うめこ
むら星にうす雲わたる初秋かな 飯田蛇笏 霊芝
わが天のいづこに隠れ水晶のこゑよ初秋の茅蜩(かなかな)見えず 佐竹弥生
ナホトカの玩具初秋のストール纒ひ 長谷川かな女 花寂び
丘の径から初秋の漁夫のこゑ 飯田龍太 山の木
冷え冷えと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏
初秋と思ふはるかだと思ふ 野見山朱鳥
初秋に大事がらるる宿り哉 正岡子規
初秋のどれが露やら雨の露 上島鬼貫
初秋のまひるまぶしき皿割りぬ 桂 信子
初秋のまぶたに涼し芳野山 古白遺稿 藤野古白
初秋のわがために鳴る打点鐘 野見山ひふみ
初秋の三日月ほのと雲のあひ 西島麦南 人音
初秋の人に知らさぬ旅に在り 大場白水郎 散木集
初秋の伊那の谷間のまんじゅう屋 森 慎一
初秋の千本の松動きけり 夏目漱石 明治二十九年
初秋の四十もうとき寐覚哉 松岡青蘿
初秋の土ふむ靴のうす埃 杉田久女
初秋の埃もつかぬ茄子かな 中島月笠 月笠句集
初秋の大きな富士に対しけり 星野立子
初秋の子がふぐりさげ地をたたく 長谷川双魚 『ひとつとや』
初秋の子に伸びるだけ桑摘まれ 萩原麦草 麦嵐
初秋の小鯵の味も忌のこゝろ 斎藤空華 空華句集
初秋の尚宵々を出ありきぬ 露月句集 石井露月
初秋の屋根を鳩とぶ日本橋 長谷川かな女 雨 月
初秋の山日が崩す山の砂 長谷川かな女 雨 月
初秋の月大川に光りけり 阿部みどり女 笹鳴
初秋の椎の木下る蚊喰鳥 萩原麦草 麦嵐
初秋の歩けば物をもらふ子よ 岩田由美
初秋の水いさぎよき寝ざめかな 柴田白葉女 花寂び 以後
初秋の水をいきいきと山の奥 柴田白葉女 『冬泉』
初秋の浅間裾野に夜雨はげし 長谷川かな女 雨 月
初秋の潮の香闇の波間より 相河美智子
初秋の火をいきいきと山の奥 柴田白葉女 雨 月
初秋の灯を定め澄む油かな 雑草 長谷川零餘子
初秋の珈琲にがく少女期終る 内藤吐天 鳴海抄
初秋の竹の枯葉や竹の垣 古白遺稿 藤野古白
初秋の簾に動く日あしかな 正岡子規
初秋の純白をもて参籠す 加倉井秋を
初秋の色なになにぞ山の川 飴山實 『花浴び』以後
初秋の芝踏んで来つ足袋白し 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋の芭蕉動きぬ枕元 夏目漱石 明治四十二年
初秋の花つけてゐる柘榴かな 渡辺水巴 白日
初秋の蓮の葉ひろき面かな 癖三酔句集 岡本癖三酔
初秋の蚊帳を打つかに芭蕉かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋の蛇打ちし石火を発す 萩原麦草 麦嵐
初秋の蝗つかめば柔かき 芥川龍之介
初秋の見渡せる眼の欲しき日よ 村越化石
初秋の言づてせられゐたりけり 有働亨 汐路
初秋の逆光に入る鳥の数 沼尻巳津子
初秋の雲がかゝるや富士の山 谷活東
初秋の雲を宿せる山の湖 加藤耕子
初秋の風大だも(樟)の千枝わたる 鈴鹿野風呂 浜木綿
初秋はうすむらさきの遠嶺かな 豊田都峰
初秋やあたま冴出す葉鶏頭 滝井孝作 浮寝鳥
初秋やきのふと違ふ山の丈 手塚美佐 昔の香
初秋やここに楫斐川長良川 八木林之介 青霞集
初秋やそろりと顔へ蚊屋の脚 廬元坊
初秋やほのかにしぶきりんご食む 久保より江
初秋やまだうつくしい水の音 千代尼
初秋やまだ美しい水の色 千代女
初秋や三人つれだちてそこらあたり 子規句集 虚子・碧梧桐選
初秋や人のうしろを風が過ぎ 桂信子 遠い橋
初秋や仏にあげて五目飯 小澤碧童 碧童句集
初秋や余所の灯見ゆる宵の程 蕪村
初秋や反古を燃やせる火の匂ひ 河合澄子
初秋や名札を足に新生児 斎藤志津子
初秋や噴井流るゝ草の中 白水郎句集 大場白水郎
初秋や子に描く汽車に煙も描く 加倉井秋を
初秋や宗祇も看たる山川よ 滝井孝作 浮寝鳥
初秋や富士の見ゆるも朝のうち 稲畑汀子
初秋や寺の電話を借りて語る 永井龍男
初秋や小雨ふりこむ膳の上 成美
初秋や山中は魚串刺しに 斎藤玄 雁道
初秋や帷子ごしにかかる雨 毛* 七 月 月別句集「韻塞」
初秋や往来端の竹細工 井上井月
初秋や抱く子によべの天瓜粉 碧雲居句集 大谷碧雲居
初秋や旭出ぬ間の寺まいり 高井几董
初秋や朝顔ひらく午さがり 芥川龍之介 蕩々帖〔その一〕
初秋や杉の谷より青煙 沢木欣一
初秋や松葉の土の松ぼくり 小川軽舟
初秋や海も青田も一みどり 初秋は海やら田やら緑哉 松尾芭蕉
初秋や畳みながらの蚊屋の夜着 松尾芭蕉
初秋や眼覚めて被る夜のもの 吉野左衛門
初秋や耳かきけづる朝朗 上島鬼貫
初秋や舟子が着たる白襦袢 阿部みどり女 笹鳴
初秋や草をくぐれる水のおと 鷲谷七菜子 天鼓
初秋や薬にうつる星の影 黒柳召波 春泥句集
初秋や蚊屋に透き来る銀河 嘯山
初秋や蝗つかめば柔かき 芥川龍之介 澄江堂句抄
初秋や蝗握れば柔かき 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
初秋や親に離れし相撲取 米巒 七 月 月別句集「韻塞」
初秋や軽き病に買ひ薬 高浜虚子
初秋や通夜の灯うるむ花氷 渡辺水巴 白日
初秋や酢のきゝ過ぎし膳の物 温亭句集 篠原温亭
初秋や障子さす夜とさゝぬよと 炭 太祇 太祇句選
初秋や飯粒を踏むあしのうら 中山純子
初秋や餘所の灯見ゆる宵のほど 蕪村 秋之部
初秋よしオークル色のわが肢体 藤木清子
初秋よし静脉透きて脉摶つよ 藤木清子
初秋を告げて湖水の瑠璃深し 今橋眞理子
墓に木を植ゑたる夢も初秋かな 飯田蛇笏 霊芝
壺の塩甕の水など秋はじめ 長谷川双魚 風形
夢かれて初秋犬の遠音かな 西吟
山に来て山の夢みてゐし初秋(上州草津高原自門洞) 上村占魚 『かのえさる』
山水やまだ初秋の香*(こうじゅ)散 句空 俳諧撰集「有磯海」
峠にて朴の鬱たる秋はじめ 森澄雄
峡初秋老のせて舟平らなり 山本古瓢
文机に初秋風を招きけり 阿波野青畝
新秋のことに真萩の雨あがり 清原枴童 枴童句集
新秋の光となりて滝落ちる 山根きぬえ
新秋の出湯あみつづけ酒毒抜く(上州草津高原自門洞滞在二句) 上村占魚 『かのえさる』
新秋の墨の匂ひのをとこかな 小島千架子
新秋の帆を巻くに胸つかひをり 山西雅子
新秋の斜に榾へつつ来りけり 稲畑廣太郎
新秋の舟に四五人棹し下る 薗田 秀子
新秋の草食みて牛つや~し 長沢鴨水
新秋の遠見に白き牧の柵 倉橋弘躬
新秋やチロル木彫の皿軽し 有働亨 汐路
新秋や両耳立てし筑波山 皆川東水
新秋や体内の水入れ換ふる 北村典子
新秋や女体かがやき夢了る 金子兜太
新秋や影絵に雨の光げはしる 臼田亞浪 定本亜浪句集
新秋や書架増えたるに司書の病む 森田峠 逆瀬川
新秋や火の島に置く島の影 山田みづえ
木賊には木賊のみどり秋はじめ 神尾久美子 桐の木以後
母に抱かれて初秋の波の音 藤原満喜
水に手をつけて貴船の秋はじめ 山上樹実雄
水打つてまつ初秋の日の出かな 中島月笠 月笠句集
水郷の初秋風に舟を棹す 岩崎照子
瀑に対す簀戸や初秋の日の光り 久米正雄 返り花
物置かぬ机上初秋風のもの 井沢正江 湖の伝説以後
物音は一個にひとつ秋はじめ 藤田湘子
琴の裏なんにもなくて秋はじめ 神尾久美子 桐の木
白樺に樹液一すぢ秋はじめ 大久保幸子
秋初風狭山の夜の藪うごく 長谷川かな女 花 季
秋初風粒の小芋の箸を逃ぐ 長谷川かな女 花寂び
秋口に降りては埃くさき雨 高澤良一 宿好
秋口のいくたびそそぐ竹の雨 松村蒼石 寒鶯抄
秋口のこんにやく畑の峠かな 阿波野青畝
秋口のすはやとおもふ通り雨 飯田蛇笏 霊芝
秋口のひかる砥石をどこで見し 宇佐美魚目 天地存問
秋口の他意なきものに夕鴉 長谷川双魚 『ひとつとや』
秋口の夜となる茶房クオ・バディス 長谷川双魚
秋口の庭池の扉や月の雨 飯田蛇笏 霊芝
秋口の振舞餅を食ひにゆく 田中裕明 櫻姫譚
秋口の星みどりなる嶽の上 飯田蛇笏
秋口の横波鳴れりタグボート 高澤良一 寒暑
秋口の泉に生きるもの動き 佐野美智
秋口の湯治の客の宵寝かな 宇佐美魚目 秋収冬蔵
秋口の粥鍋しづむ梓川 飯田蛇笏 霊芝
秋口の草紙のあそびごとづくし 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
秋口の薔薇の小さき火色かな 嶋田麻紀
秋口の雨にぬれたる岩魚釣 飯田蛇笏 春蘭
秋口や戻り俥の幌の揺れ 石川桂郎 四温
秋口や目先をかへてカプチーノ 西谷孝
秋口や雨にぎやかに潦 岸田稚魚
秋口をまつしぐらなる風通る 矢島渚男 梟
筆の先双つにわれて秋初 中嶋秀子
芋の秋初孫ふぐり忘れずに 西島麦南
荒寥と日は草に載り秋はじめ 鳥海むねき
藍よりも濃き花開く初秋かな 横光利一
赤帽のポーター徘徊驛初秋 高澤良一 寒暑
辞書は机上に開きおくもの秋初風 高澤良一 寒暑
鎌倉をぬけて海ある初秋かな 飯田龍太 山の影
陶のいろ水にありけり秋はじめ 岩本明美
雁行や初秋の雪の降る地平 対馬康子 吾亦紅
雨降つて一足飛びに秋口ヘ 近藤一鴻
飛ぶもののみな新秋のひかリ負ふ 石塚友二
飲食の肘張りて秋はじめかな 長谷川双魚 『ひとつとや』
鱒泳ぐ初秋風の水の皺 森田峠 逆瀬川以後
以上
by 575fudemakase
| 2014-08-01 00:34
| 秋の季語
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
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クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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