9月の拙句
9月の拙句
ねずみのこまくら句会 14年間の9月投句の拙句をリストアップする。
2013年
夕立と夕刊いづれが先に来る
夜を更に深めて皿の黒ぶだう
夫婦とはそもそも赤の他人にして秋
もう誰も見遣ることなく蝉の穴
古びるといふことふうせんかづらにも
本題になかなか入らず秋扇
気のついた時には初老いぼむしり
蟷螂も種採日和の日に浴し
新藷のはおるむらさき薄衣
芙蓉越し登校誘ふこゑのして
2012年
真っ直ぐをまっつぐと云ふ老花火師
よりにより鼻のてっぺん蚊に喰はる
川音を糧とし長ける青すすき
芙蓉より淡き花無し晩年へ
足踏みをしてゐる颱風図に二つ
ぶち当たり怯むは女郎蜘蛛の方
俳人は霞を啖ひ大昼寐
秋の蕾中途半端は許されず
仕方なく蹤いてゆくなり秋の風
だいたいの事情は聞いた冷やし酒
2011年
秋曇りうどんこ病の始末せり
七節虫と気付きのけぞる下駄の音
夕立に痣をつくりて取り込みもの
蚊遣り臭き吾が身押したて起床かな
青柿の小さけれども数こなす
秋の蝶黄にしてパタパタやってをり
あきらめの境地に似たり雨の蝉
甌穴に入りて激する滝の水
生身魂一糸乱れぬ生活ぶり
夏の果鰤の血合に箸つけて
2010年
夏掛の軽き不安も寝入りばな
ヴラジャーに包み込むもの目が泳ぐ
秋草の乱れを解きに小さき風
老斑を蚊と間違へて打つはをかし
蟲時雨応(いら)えなければもう寝たか
かう云へばああ云ふ妻と衣被
冷やし酒ややもするとの言呈し
単純と云へば単純蜘蛛の意図
露の世に生まれ誰にも看取りごと
草の花そのうち何處かに出るだろう
2009年
左様かとぶんぶん逃がして遣りにけり
がむしゃらや火蛾もピストン堀口も
水着濡れ後は野となれ山となれ
図に乗ってはたき落とさる金亀子
雲の峯本腰入れる気のありや
考えても駄目なことあり天の川
蝉の穴そこへ蝉殻突っ込む子
かなぶんは悪(わる)ぞ証拠を押さえたぞ
飽食の腹さすり出づ夏の月
垢じみしものを拾へば蚊の骸
2008年
水といふ光鎧ふて遠泳者
裸にて応対せんと指栞
めうが汁妻はきのふの残りもの
消しゴムの滓指先に丸め秋
房州うちわ握り易くて女竹の柄
新涼のキャラメル臘の包み紙
年寄の日なり奮発して酢豚
敬老日近場歩きし脚の塵
草の実をしごく力も老いたれば
老人の脾腹吹くなり秋の風
2007年
芙蓉咲きこっちを向ひて呉れぬ花
徒浪の盆供曳きては打寄せぬ
颱風禍まざまざチャンネル切り替えても
颱風のそれはないだろ土砂崩れ
草と草擦れ合ふ音も秋のもの
小雨にもすぐに馴染みてしじみ蝶
また夕立こどもだましのやうな空
さきに寐し秋夜の妻の後向き
朝顔に水やる朝の内がよし
よその子とすぐうちとけて水遊び
2006年
ぶん投げられ糶らる鰹のメタリック
逞しきいとどの腿に及ばざり
一歩づゝ秋来る空とおもひけり
端居して退職挨拶読み返す
蝉時雨晩年押しつけられてをり
夕顔の莟のこれは明後日
満月にほっとする顔寄せにけり
小遣いの前借りなどして八月盡
ゲラ刷這ふ蟻の大きさ9ポほど
紅にもう一盛り百日紅
2005年
つんつんとへなりと野辺の秋草は
図書館の席取りの列今朝の秋
穴惑通しどぎまぎしてゐる妻
来客にすててこの腰泳がせて
腹に据えかねるところをはたた神
船蟲に持ち場持ち場のあるごとし
煮浸しの鮃を返す八月尽
昨(きぞ)よりけふ気力の優る紅芙蓉
かまつかに殴りかからんばかりの雨
苦瓜の渋面雨に叩かれて
2004年
雨に馴れ雨の隙とぶしじみ蝶
かさぶたを掻きこはす癖八月尽
新涼やあらかた骨の膝小僧
土埃立つ道にこそ田村草
鮑金(がね)一丁持って海底へ
かまつかや来し方透いてみえるとも
犯人を妻の見破る夜の秋
朝顔の数の引算晦日へ
紅蜀葵倒れ易きを立たせ咲かす
芙蓉咲きけふもぼんやり日を過ごす
2003年
珊瑚樹の実や百日をうち過ぎて
葉鶏頭勢いづいて来たりけり
夕飯の支度そろそろ蝉音減る
紫薇花下に極楽おもへとや
こおろぎが畳のうへに上がり込む
定年後峯雲つくづく見ることも
鬼やんま飛行高度を上げにけり
世尊に掌合はせるごとく芙蓉閉ず
秋蝉として一日を長びかす
新藷を水に濯げば紅はしる
2002年
くらげ文様六文銭に相似たり
刀豆の天麩羅つまむごわつけり
蟹のいふ事情とやらを聞きやらむ
通院日またぞろ扇子持ち出して
いちげんの客とし覗く生姜市
覚め際に一つ伸びせり保己一忌
月なかまでお向いさんの芙蓉咲く
多羅葉の青き実善根積めとこそ
無常迅速生死事大と萩咲けり
買うてゆけ神明生姜とめ組絵馬
2001年
白露の亀怪訝さうなる顔を向け
老人のお手の物なる芝刈機
むづかしき顔して郁子を詠む御仁
行ずりの墓地の塀越し槍鶏頭
にこにこと寺の石榴の和尚顔
青柿や雷親爺首出す家(懐旧)
実ざくろや法事の木魚ぽこぽこと
まんじゅさげ此処を黄泉路と違へ咲く
ひょろひょろと優(やさ)彼岸花茎を立て
玄関にて鳴くはこほろぎの居候
2000年
激賞のかまつか折れて仕舞ひけり
年金の手続きあれこれ日の盛
孫の来る部屋片づけて鳩麦茶
さしあたり定期預金に片陰道
片陰ゆくハローワークの呼び出し日
風受けて直ぐなる幹をあゆむ蝉
太幹に蝉ひっついて鳴きにけり
しゃかりきになりて己(し)が声通す蝉
さざなみの運河に百の目震災忌
定年の挨拶状書き八月盡
以上
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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