夕月夜

夕月夜

例句を挙げる。

あとひとつ泊るてふ子や夕月夜 前田よう子
なぐさみに蚊やりす須磨の夕月夜 蚊遣 正岡子規
なにとなく君に待たるる心地して出でし花野の夕月夜かな 与謝野晶子
ほのめくや墨染桜夕月夜 夕桜 正岡子規
わが骨の髄はくれなゐ夕月夜 沼尻巳津子(1927-)
人の名の梅ほのかなり夕月夜 尾崎紅葉
夕月夜乙女(みやらび)の歯の波寄する 沢木欣一
夕月夜乙女の歯の波寄する 澤木欣一
夕月夜人は家路に吾は旅に 星野立子
夕月夜早少女うたひつゝ帰る 早乙女 正岡子規
夕月夜畑の中の角力かな 田口酔月
夕月夜神楽のまえのためし笛 渡辺寿子
夕月夜萩ある門を叩きけり 夕月 正岡子規
大根引く音聞きに出ん夕月夜 大根引 正岡子規
大阪に来て夕月夜近松忌 大峯あきら
小障子に菖蒲の影や夕月夜 菖蒲 正岡子規
居酒屋の窓に梨さく夕月夜 梨の花 正岡子規
掌の中の蕎麦種を見る夕月夜 萩原麦草 麦嵐
新雪の白馬も見ゆれ夕月夜 金尾梅の門 古志の歌
旅寝よし宿は師走の夕月夜 芭蕉
早々と百姓寝ねし夕月夜 遠山 楠翁子
春蘭の蕾もたぐる夕月夜 福田萬喜子
枯蘆やこえ船歸る夕月夜 枯芦 正岡子規
棣棠の影さす扨は夕月夜 高井几董
泥やなぎ枯るる中洲の夕月夜 三好達治 俳句拾遺
淋しさや雁も渡らぬ夕月夜 夕月 正岡子規
湯をはじく乳房の張りよ夕月夜 藤田洋子
狐出て人に餌を乞ふ夕月夜 飯塚秀城
狐出て人に餌乞ふ夕月夜 飯塚秀城
瓜盗む人朧なり夕月夜 赤木格堂
神の夏身のうらがはも夕月夜 小檜山繁子
空壕に鈴虫鳴くや夕月夜 寺田寅彦
窓推すや時雨ながらの夕月夜 時雨 正岡子規
竹椽にこほろぎ飛ぶや夕月夜 夕月こほろぎ<虫+車> 正岡子規
紅葉から二町はなれて夕月夜 夕月 正岡子規
紫の映山紅(つゝじ)となりぬ夕月夜 泉鏡花
紫蘇匂ふ京弁当や夕月夜 大島民郎
色鳥のねし木なるべし夕月夜 玉川湃山
花火せよ淀の御茶屋の夕月夜 蕪村 秋之部 ■ 葛の棚葉しげく軒端を覆ひければ、晝さへいとくらきに
菊や鍬や買ひけり市の夕月夜 菊 正岡子規
襞削ぎて穂高山塊夕月夜 猪俣サチ
都心にも夕月夜あり生活あり 高木晴子 花 季
酒のあと水恋しくて夕月夜 高澤良一 石鏡
露けくて芋の葉白き夕月夜 大熊輝一 土の香
風に騒ぐ心や須磨の夕月夜 京極杞陽 くくたち下巻
馬子遲し兒待つ門の夕月夜 夕月 正岡子規
鹿ずれの松の光りや夕月夜 内藤丈草

以上