青瓢
青瓢
例句を挙げる。
あをあをとかたちきびしき瓢かな 飯田蛇笏 山廬集
いと小さきも容そなへて瓢かな 中島月笠 月笠句集
いと小さき瓢も形とゝのへし 佐藤一村
くゝりゆるくて瓢正しき形かな 杉田久女
この露に瓢箪公事も有りけるや 中村史邦
しぶしぶと瓢になりし形かな 浜田波静
その古き瓢箪みせよ鉢たたき 去 来
それ~の形決りし青瓢 十万南夫子
たれこめて瓢箪生らす亭主かな 阿波野青畝
だんだんに五十五才へ青瓢 斉藤夏風
にんげんをこわす音して青瓢 栗林千津
はじめから年とつて居る婆・瓢 清水径子
ひとりはえてひとつなりたる瓢かな 高井几董
ひやう~と瓢の風も九月哉 一茶 ■文化二年乙丑(四十三歳)
ふらふらとして怪我もなき青瓢 井上井月
ぶらり瓢箪仰ぐだれもが隙ある顔 名取思郷
ものひとつ瓢は軽き我が世かな 芭蕉
もの一つ瓢はかろきわが世かな もの一つ瓢はかろきわが世かな 松尾芭蕉
ゆさぶれば念なう音す瓢かな 高桑化羊
われになき重心もてり青瓢 平野謹三
ピアノ連弾大小の瓢箪生る 林翔
ポン~と瓢の音や寒念仏 河野静雲
ワルツ止み瓢箪光る黴の家 西東三鬼
一つのみわがたのむなる瓢かな 小杉余子 余子句選
一瓢に酔ふや出初の鉢叩 名和三幹竹
一陽を出て走るや瓢の駒 松岡青蘿
世は口切瓢箪空し野人が軒調 枕子 選集「板東太郎」
中年や風の瓢のごときもの 大木あまり 火球
九十九を他所に持たる瓢(ひさご)かな 千代尼
井月の瓢は何処へ暮の秋 芥川龍之介
人ありて琵琶にや作る長瓢 松岡青蘿
代々の瓢作りや瓢右衛門 岡田燕子
似てをれどどこか違へる瓢かな 岩崎 裕
作務僧の石に腰して瓢鳴らす 松本弘孝
出初を祝うて叩く瓢かな 一茶
剃刀あてて数へてゐたる青瓢 森澄雄 鯉素
口を切る瓢や禅のかの刀 炭 太祇 太祇句選
吐せども酒まだ濁る瓢かな 河東碧梧桐
嘘いふて歯を抜かれたる瓢かな 佐藤紅緑
坐りよきことのをかしき青瓢 大橋敦子
夕顔や秋はいろいろの瓢哉 松尾芭蕉
大津絵の瓢のながき大暑かな 榎本 好宏
大風に三尺瓢箪まかり出る 本多やすな
女男にて棲むあわれさは共どもに瓢箪に呑み込まるるごとし 阿木津英
妻の持つ我が恋文や青瓢 小川軽舟
官を辞して大なる瓢を愛す哉 寺田寅彦
尻据ゑし厠の屋根の瓢かな 青嵐
島住みや長く短かく青瓢 辻桃子
帰省子に瓢の蔓の伸ぶ迅さ 阿部みどり女
庭せまき酒屋の裏の瓢哉 鈴木杏村
庵に在りて風瓢々の夏衣 河東碧梧桐
形よき瓢もとめて仰ぎ寄る 軽部烏頭子
形よき瓢を種に残しけり 柿本英二
忘恩やくびれの足らぬ青瓢 服部百合子
愛されず青瓢箪のくびれかな 大畠新草
我頭程の瓢を作り見ん 寺田寅彦
日ざらしの石にひとつや瓢虫 中田剛 竟日
日の影の石にこぼるる瓢かな 巴人
昼寝して顔のかなしき青瓢 森 澄雄
晩涼やうぶ毛生えたる長瓢 杉田久女
月の客瓢を舟とするはなし 田中裕明 櫻姫譚
歎けとて瓢ぞ残る垣の霜 素堂
気に染まぬ聟つまはじく瓢 尾崎紅葉
水音や川添垣の青瓢 古白遺稿 藤野古白
池籬や瓢すがるる蔓はなれ 飯田蛇笏 山廬集
添へ板に尻落ちつけて大瓢 杉山三知子
潮臭き軒に瓢を吊るしあり 仙田洋子 雲は王冠
炭取となりて年ふる瓢かな 寺野守水老
父の世も空へ立てけり瓢竹 宇佐美魚目 天地存問
物種を入れたる瓢爐邊にあり 高濱虚子
瓢々と歩きつかれぬ羽抜鶏 吉武月二郎句集
瓢として尊き秋日一つかな 飯田蛇笏 山廬集
瓢のはなし聴かねば瓢呉れぬらし 鈴木しげを
瓢の実といふ訝しきものに逢ふ 後藤夜半
瓢の実と教へてあとはにこにこと 高橋悦男
瓢の実につく波音のしらべかな 原裕 正午
瓢の実のかろ~と枯色をなし 高木晴子
瓢の実を上手に吹けば笑はるる 上野章子
瓢の実を吹きて犬山城下かな 成瀬正俊
瓢の実を貰ひて縁生れけり 星野 椿
瓢一ツいつ迄もいつ迄も下りけり 石井露月
瓢亭の茄子汁の香も秋近し 四明句集 中川四明
瓢入れて夜寒の柩狭からず 碧雲居句集 大谷碧雲居
瓢実るみな手の届くところにて 風間啓二
瓢成て入り七合や今年酒 純
瓢棚下蔭に秋を覚へたり 癖三酔句集 岡本癖三酔
瓢棚母屋の古井晒しけり 雑草 長谷川零餘子
瓢棚火だね絶やさぬ母なりし 宇佐美魚目 天地存問
瓢棚真下に瀬音ありにけり 樋口桂紅
瓢箪が夜あそび覚えはじめけり 山尾玉藻
瓢箪にしみさす迄や秋の雨 成美
瓢箪に先きだち落つる零余子かな 飯田蛇笏 山廬集
瓢箪に興ず亭主の顔が見え 高澤良一 寒暑
瓢箪のそだちさがりのふらりとす 松澤 昭
瓢箪のできすぎてをり水禍あと 寺田絵津子
瓢箪のみなちひさくて捨てられぬ 細川加賀 生身魂
瓢箪の出来の話も残暑かな 松本たかし
瓢箪の大炭取の運ばるる 杉山 喜代子
瓢箪の尻に集まる雨雫 棚山波朗
瓢箪の水の粉ちらす別れかな 内藤丈草
瓢箪の瓢箪らしき形かな 大塚 あつし
瓢箪の種白かりし軽かりし 佐藤 亜矢子
瓢箪の窓や人住まざるが如し 高浜虚子
瓢箪の老美しく耳遠し 古舘曹人 砂の音
瓢箪は瓢箪となる妻が畑 山口青邨
瓢箪も亦やられけり根切虫 高松喜山
瓢箪や大張り小張り赤児の声 中村草田男
瓢箪や婆の三人の一人消え 岸田稚魚
瓢箪や青葉につなぐ牧の駒 丸露 選集「板東太郎」
病ひよき妻ゆゑ眩し青瓢 成田千空
病よき妻ゆゑ眩し青瓢 成田千空
秋涼し山椒ふり出す小瓢箪 稲垣きくの 牡 丹
秋翳に一瓢の酒酌みゐたり 今泉貞鳳
空に向く瓢の芯を摘みにけり 牧山 美佐子
空也忌のやれ瓢打つ太鼓打つ 前田比呂志
空也忌やうやうやしげに古瓢 蝶 夢
空也念佛腰の瓢の踊りけり 成瀬櫻桃子
老たりな瓢と我が影法師 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
蔓長に下がる瓢や初嵐 癖三酔句集 岡本癖三酔
蝿打ちに馴るる雀の子飼ひかな 河瓢 芭蕉庵小文庫
行く秋の声も出づるや瓢から 千代尼
赤きもの見えて瓢の手もそこに 宇佐美魚目 天地存問
赤蜻蛉のせて流るゝ瓢かな 寺田寅彦
酔ふて後枕にすこの瓢かな 乙字俳句集 大須賀乙字
量を以て形補ふやこの瓢 菅原師竹句集
雨雲の奥より日ざし瓢棚 山口恭徳
露けさやうぶ毛生えたる繭瓢 杉田久女
露の蟻瓢の肩をのぼりけり 阿波野青畝
青く重き瓢手にあり木曾の果 林翔 和紙
青嵐瓢に酒鳴る別れかな 幸田露伴 江東集
青瓢うつくしき声立ちにけり 原田喬
青瓢こころもとなく坐りけり 猪俣千代子 堆 朱
青瓢つつき解決まだ先に 浅野明子
青瓢ふらりと教師立ち寄れり 益永孝元
青瓢ふらり散歩に出でしまま 櫛原希伊子
青瓢ぶら~病の秋久し 尾崎紅葉
青瓢をめでて賢しき女かな 飯田蛇笏 山廬集
青瓢成らせて子無き老夫婦 武田光子
風の桜空しき瓢のうたゝ鳴る 尾崎紅葉
風の腰裾えて太りぬ青瓢 武田敬子
颱風に傾くままや瓢垣 杉田久女
餉のあとの顔ゆるびをり青瓢 森澄雄
馬鹿でかい夕顔瓢抱いてみる 後藤綾子
麦草庵居ず青瓢垂るるのみ 石田あき子 見舞籠
黴拭きて古き瓢をいつくしむ 大橋櫻坡子 雨月
おもしろう生きるは未だ青ふくべ 手塚美佐 昔の香
かにかくに人は生きやう青ふくべ 高澤良一 寒暑
ふくべけふひさごとなりぬ山日和 岡井省二
ふくべ棚ふくべ下りて事もなし 高浜虚子
冷夏てふ巡り合はせに痩せふくべ 高澤良一 素抱
子ふくべの微風頼みに老患者 岸田稚魚 筍流し
富士講の御師の胡座やあをふくべ 若山すみ江
此別れふくべ叩いて惜みけり 福田掬水
狐雨すぎし雫や青ふくべ 辻桃子
百生(ももなり)や蔓(つる)一すじの心より 千代尼
短冊の書はころころと青ふくべ 宇佐美魚目 天地存問
考えのひとつに死あり青ふくべ 寺田絵津子
耳遠き僧へ手真似や青ふくべ 羽部洞然
青ふくべ一つは月にさらされて 日野草城
青ふくべ地をするばかり大いさよ 杉田久女
青ふくべ容さだまり懐胎す 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
以上
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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メモ帳
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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