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鈴虫

鈴虫

例句を挙げる。

ある家から鈴虫道は流れたり 金子兜太
くらがりに鈴虫を飼ふ風の盆 高澤良一 宿好
くんち過ぎ籠の鈴蟲もう鳴かず 下村ひろし 西陲集
こと切れし鈴虫の音を身に飼へる 脇 祥一
こゑ落ちし鈴虫月はくもりしか 野田 翠揚
それぞれの部屋に子は去り夜の部屋に波よするごと鈴虫の鳴く 田谷鋭
どの家も鈴虫飼つて女ゐて 鈴木真砂女 夕螢
ひきかへす背に鈴虫のまた近し 柳芽
ふと見れば鈴虫の髭まるめをり 高木晴子 晴居
まだ鳴かぬ鈴虫忘れられさうに 汀子
マンシヨンに鈴虫鳴かせ老夫婦 高橋達子
レール朽ちて鈴虫鳴くや舊線路 寺田寅彦
一振りのあと鈴虫のしぐれ啼き 石原八束 『幻生花』
一病のあとや鈴虫野へ返す 井上 雪
一病のなく鈴虫のうつむく死 秋元不死男
亜流でしか鳴けぬ鈴虫ありにけり 櫂未知子 貴族
人語露けし鈴虫は鈴の声 中山純子 沙 羅以後
借りて来し鈴虫まてど鳴かぬなり 高木晴子 晴居
化粧して鈴虫の籠のぞきけり 山尾玉藻
声出せば鈴虫鈴を振り出しぬ 阿部みどり女 月下美人
壺に飼ふ鈴虫鳴けり恃まむや 小林康治 『存念』
夕月天下散乱して自裁の鈴虫 阿部完市 春日朝歌
夢殿の床に鈴虫ひげを振る 小長井和子
夫とふたり籠の鈴蟲鳴きすぎる 及川貞 夕焼
寝も寝ず甕の鈴虫長鳴くに 風生
師に届くる鈴虫茶房にて鳴けり 樋笠文
後架拝借どこか鈴虫鳴いてゐて 及川貞
戸を細目に野の鈴虫の声入るゝ 篠田悌二郎
放ちたる鈴虫ならめ虫の中 直原玉青
放任せし鈴虫の子が孵りけり 樋笠文
星に鳴く鈴虫舟に飼はれゐて 新田 巣鳩
春一番梢明りを濃くし去る 月鈴子
更るほど鈴虫の音や鈴の音 之道
月出でゝをらむ鈴虫鳴き澄むは 岸風三樓
松籟や昼の鈴虫音たえだえ 石塚友二 方寸虚実
松虫や鈴虫も何も雨降りして 松根東洋城
松虫鈴虫汐騒の涼しくなれる 臼田亜浪
松蟲も鈴蟲も忌み給ふなり 京極杞陽
泣きしむかし鈴虫飼ひて泣かぬいま 鈴木真砂女
海へ出る風が枯野をまぶしくす 中江月鈴子
淋しらにいつまでも鳴く鈴虫か 増田手古奈
献じたる鈴虫月に音を張れる 大橋敦子
甕に飼ふふたつ鈴虫ちやうちやうと鳴くしづけさに灯をともしをり 杜沢光一郎
白妙の砂や鈴虫を甕に飼ふ 栗生純夫 科野路
空壕に鈴虫鳴くや夕月夜 寺田寅彦
筆置けば鈴虫闇に鳴きそろふ 西浦末寿
籠の鈴虫あらはなる動かず 原田種茅 径
膝がさみしと鈴虫育てゐる母か 鈴木栄子
虫は鈴虫嶺の夕雲乗り出して 松本旭
蟋蟀の闇鈴虫の籠の闇 片山由美子 水精 以後
鈴虫が死して一寸法師泣く 秋元不死男
鈴虫と童女しばらく見つめあひ 大串章
鈴虫にいくらも降らず暮色なる 目迫秩父
鈴虫にきりかけやりてまだ鳴かぬ 高木晴子 晴居
鈴虫に少女の祈り篤きかな 甘利啓子
鈴虫に時化の津軽の明けにけり 塩入田鶴
鈴虫に炭を濡らして置きしこと 後藤夜半 底紅
鈴虫に蝋燭惜しみ灯しけり 阿部みどり女
鈴虫に須磨の人とて遥かかな 長谷川かな女 雨 月
鈴虫のいつか遠のく眠りかな 阿部みどり女
鈴虫のお伽に安き眠りかな 阿部みどり女 月下美人
鈴虫のかよはき羽を開きたる 椎橋清翠
鈴虫のこゑの全き朝餉かな 裕
鈴虫のこゑ水となり風となり 堀口星眠 営巣期
鈴虫のこゑ球体をまはしをり 小檜山繁子
鈴虫のそれらしく鳴くが届けられ 高濱年尾
鈴虫のひげをふりつつ買はれける 日野草城
鈴虫のひるも鈴振る地下茶房 福島富美子
鈴虫のまだいとけなき酒田かな 岸本尚毅 舜
鈴虫のりりと鳴き澄むこゑ聞けば腕といはずかなしみきざす 醍醐志万子
鈴虫のりんりんと夜をゆたかにす 永井博文
鈴虫のをとこを磨く髯ねぶり 鳥居美智子
鈴虫の一つ減りゐる休み明け 下田稔
鈴虫の一ぴき十銭高しと妻いふ 日野草城
鈴虫の人に飼はれて鳴き叛き 石塚友二 光塵
鈴虫の卵にも水週末なり 樋笠文
鈴虫の啼そろひたる千草かな 桃妖
鈴虫の声の全き朝飼かな 原裕 青垣
鈴虫の声ふりこぼせ草の闇 亜柳
鈴虫の声を遠ざけ喪にこもる 立長久枝
鈴虫の声噴きのぼる通夜の家 堀口星眠 営巣期
鈴虫の壺中の楽の澄みわたり 青木芳草
鈴虫の夜通しみがく星の空 宇都宮 靖
鈴虫の小さなかごをかざしみて 高木晴子 晴居
鈴虫の屍にわが息のかかりけり 阿部みどり女 『陽炎』
鈴虫の昼は琴きいて居たりけり 星野麦人
鈴虫の暫く優雅なる暮し 後藤夜半 底紅
鈴虫の死んで虫籠焚く日なり 中山純子 沙羅
鈴虫の残る二匹にかしづける 片山由美子
鈴虫の渾身の業たしかめし 星野享央
鈴虫の瓶と孤老と置かれあり 龍男
鈴虫の甕に顔寄せ夫婦かな 富安風生
鈴虫の生くるも死ぬも甕の中 安住敦
鈴虫の生れると直ぐ白き鬚 飛旅子
鈴虫の稚き声を甕に飼ふ 原田種茅 径
鈴虫の終の一つは鳴き上手 大阿久雅子
鈴虫の終の声断つ闇透ける 鷲谷七菜子 雨 月
鈴虫の終焉の鈴かと思ふ 樋笠文
鈴虫の翅立てていて何もこぬ 和知喜八 同齢
鈴虫の老けしと思ふ冷まじき 後藤夜半 底紅
鈴虫の話ばかりをたわいなく 岩佐 たか
鈴虫の逃げしと思ふ鳴きゐたり 高浜年尾
鈴虫の鈴のこぼるる樫の枝 沢木欣一
鈴虫の鈴よ佛と二人ゐて 成瀬桜桃子
鈴虫の音毎に透て葡萄哉 仙鼠
鈴虫の音色一つを神棚に 原裕 『王城句帖』
鈴虫の食はれ残りが髭触れる 楸邨
鈴虫の飼はれ漆の匂ふ籠 後藤夜半 底紅
鈴虫の髭を白眉と見て遊ぶ 後藤比奈夫
鈴虫の鳴き継ぐ夜を書き継げる 稲畑汀子
鈴虫の鳴く叢の二三人 高木晴子 晴居
鈴虫の黒き点より飼ひ始む 鈴木栄子
鈴虫は水芸人よ翅けぶり 堀口星眠 営巣期
鈴虫は雨邯鄲は雫打つ 松山足羽
鈴虫は鳴きやすむなり虫時雨 松本たかし(1906-56)
鈴虫へ夜な夜な読めぬ本溜めて 長谷川かな女 花寂び
鈴虫やねむごろに拭く写経筆 長谷川 翠
鈴虫や一人生き残る疫痢の子 雑草 長谷川零餘子
鈴虫や他人のため置く酒一壷 岡本 眸
鈴虫や写経の墨をおろすとき 大森保延
鈴虫や声の力にゆるる闇 鶯塘
鈴虫や壺中の天地うち顫へ 松本幹雄
鈴虫や大鈴小鈴ふりわけて 中村秋晴
鈴虫や妻とへだたり寝て読むに 佐野良太 樫
鈴虫や孫に手枕かしてやり 斎藤 みつ子
鈴虫や手洗ひするも蒔絵物 暁台
鈴虫や早寝の老に飼はれつつ 後藤夜半 底紅
鈴虫や松明さきへ荷はせて 榎本其角
鈴虫や止りし駅の薄月夜 瀧 春一
鈴虫や浄土に案内の鈴を振れ 阿部みどり女
鈴虫や甕に別れて籠に死す 百合山羽公 寒雁
鈴虫や甕の谺に鳴き溺れ 林原耒井 蜩
鈴虫や眠たがる子の掌の熱く 西村和子 夏帽子
鈴虫や筧も音となる夕べ 田中俊尾
鈴虫や翅の合羽を立てて鳴く 堀口星眠
鈴虫や老いて框に坐る母 辻田克巳
鈴虫や草木の丈闇を被て 野澤節子 花 季
鈴虫や道は弧なりと試歩の妻 斉藤夏風
鈴虫や道極つて河の岸 寺田寅彦
鈴虫や銀器触れ合ひ唯の音 香西照雄 素心
鈴虫よあとを歩くは年長者 板垣鋭太郎
鈴虫よ振り向けばしんかんと山国 児玉悦子
鈴虫を塞ぎの虫と共に飼ふ 草間時彦 櫻山
鈴虫を壺に鳴かせて人形師 杉森干柿
鈴虫を死なして療者嘆くなり 秋元不死男
鈴虫を相模ヶ原にきゝて住む 素十
鈴虫を聴く庭下駄の揃へあり 高浜虚子
鈴虫を頒つといふは音を分つ 木村滄雨
鈴虫を飼ひて死にゆくことも見る 秀雄
鈴虫を飼ひ殺し詩を生み殺し 鷹羽狩行 第九
鈴虫を飼ふや中年とはいまか 山田弘子
鈴虫を飼ふ子離れの父と母 朝倉和江
鈴虫を飼ふ老人に月夜の山 福田甲子雄
鈴虫を飼へり万年患者にて 右城暮石
鈴虫を飼へる荒磯の豆腐店 飴山實 辛酉小雪
鈴虫凛々心労豊かと言ひて自慰 香西照雄 素心
鈴虫凛々闇から溢れ燈の圏へ 香西照雄 素心
鈴虫坂の鈴虫、宿の下駄であるく 荻原井泉水
鈴虫孵る甕にけむりの湧くごとし 蒼石
鈴虫松虫 こんやも袋を張つておこう 吉岡禅寺洞
鈴蟲のいつか遠のく眠りかな 阿部みどり女
鈴蟲のかすれ音にふと胃の不安 下村ひろし 西陲集
鈴蟲の生れると直ぐ白き鬚 田川飛旅子
鈴蟲の老けしと思ふ冷まじき 後藤夜半
鈴蟲の聲の詰まりし井筒かな 佐々木六戈 百韻反故 初學
鈴蟲は鳴きやすむなり蟲時雨 松本たかし
鈴蟲や早寝の老に飼はれつつ 後藤夜半
鈴蟲や西瓜のつるの痩せてゆく 高田蝶衣
鈴蟲孵る甕にけむりの湧くごとし 松村蒼石 雪
雨来り鈴虫声をたたみあへず 臼田亞浪 定本亜浪句集
雪の坂鈴虫聴くも温泉のめぐみ 西本一都 景色
霊還る夜を鈴蟲のにぎやかに 松村蒼石 露
風さはる小松鈴虫糸鹿山 秋之坊
風俄か鈴虫の鈴一つ減る 下村ひろし
飼ひ置きし鈴虫死で庵淋し 正岡子規
鳴き疲れたる鈴虫と共に寝む 文
鳴疲れたる鈴虫と共に寝む 樋笠文
すず虫を買うて帰りぬすぐに鳴く 石原八束
すず虫や月無き夜の声たゆたふ 草田男

以上



by 575fudemakase | 2014-09-24 00:38 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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