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初時雨

初時雨

例句を挙げる。

あらかたは二番煎じに初しぐれ 加藤郁乎
あんぱんのへそや銀座に初しぐれ 仙田洋子 雲は王冠
きのふ見し山を越えをり初しぐれ 豊長みのる
その中に唯の雲あり初時雨 千代尼
たふとさや息つく坂の初しぐれ 水田正秀
つはぶきのまがねたゝかむ初時雨 安東次男 昨
ででむしのえりうつくしき初時雨 達治
ときじゆくのかぐのこのみや初時雨 細木芒角星
なまぐさきものを厨に初しぐれ 篠田悌二郎 風雪前
はつと灯が点りはらりと初時雨 山田弘子
ひとときの淋しさならん初時雨 汀子
ひともとの松の根濡れず初しぐれ 植山 露子
ふる里の米炊く匂ひ初しぐれ 伊藤京子
ぼた餅の来べき空也初時雨 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
まだ鹿の迷ふ道なり初しぐれ 千代尼
みのむしの得たりかしこし初時雨 蕪村 冬之部
ゆく道のひかり出したる初時雨 岸田稚魚 『紅葉山』
マッチの絵五十三次初時雨 河野南海
一本の川より三河初しぐれ 宇佐美魚目
一車なき夜の始発駅初しぐれ 宮武寒々 朱卓
亡き母の御仏事の日を初時雨 四明句集 中川四明
京へ出て目にたつ雲や初時雨 千代尼
今日ばかり人も年寄れ初時雨 芭蕉
仏彫る石飛び散つて初時雨 栗田ひろし
佛にも真水を汲まん初しぐれ 秋篠光広
入洛や地圖ひろげゐる初時雨 室生犀星 犀星発句集
再会は駅の北口初時雨 岡部名保子
出稽古の妣の通ひ路初しぐれ 藤井寿江子
分校の廃校となる初時雨 河村昌子
初しぐれ京の町屋に学者ゐて 田中裕明 先生から手紙
初しぐれ今日菴のぬるゝほど 高井几董
初しぐれ俵屋の飴なめてゆく 上野さち子
初しぐれ出立ちを急かせ舟揺るる 関森勝夫
初しぐれ吉備路どこにも桃太郎 太田土男
初しぐれ峡の暮色を急かせけり 高橋利雄
初しぐれ松ぼつくりの青鎧 藤田あけ烏 赤松
初しぐれ江戸は兎に角ひろいやね 加藤郁乎 江戸桜
初しぐれ猿も小簑をほしげなり 芭蕉
初しぐれ猿蓑会の師を憶ふ 山田九茂茅
初しぐれ病む身がおもふ人の上 石川桂郎 四温
初しぐれ眉に烏帽子の雫哉 與謝蕪村
初しぐれ空ら鳥籠を北向きに 宮武寒々 朱卓
初しぐれ竹を並べし井戸の蓋 佐藤和夫
初しぐれ自在の竹に吹かゝれ 松岡青蘿
初しぐれ草の庵にてはなかりけり 加舎白雄
初しぐれ藍甕の蓋しかと閉づ 富田潮児
初しぐれ誰が雨男雨女 石川桂郎 四温
初しぐれ野道はすぐに山の道 落合水尾
初しぐれ風もぬれずに通りけり 千代尼
初しぐれ魚山の道に猫を喚ぶ 宮武寒々 朱卓
初時雨いのちの灯りそめし身に 小池文子 巴里蕭条
初時雨からおもひ立首途哉 井上井月
初時雨こぼせし空のいま真青 藤崎久を
初時雨これより心定まりぬ 高浜虚子
初時雨して北山の紅葉まだ 木村蕪城 一位
初時雨せし美術館出づる時 市ノ瀬 さよ子
初時雨その時世塵無かりけり 高浜虚子
初時雨とは聞くからに濡れて見ん 池内たけし
初時雨はるゝ日かげも暮れ果て 前中納言定家
初時雨また猿簑を読まんと思ふ 福田蓼汀 山火
初時雨われに降りゐて砂丘に降る 町田しげき
初時雨キリシタン灯籠うるほせり 坂井建
初時雨人なつかしく待ちにけり 星野立子
初時雨初の字を我が時雨哉 松尾芭蕉
初時雨吐息にも似て時計鳴る 中村喜美子
初時雨夕飯買ひに出たりけり 一茶
初時雨姫街道の石紅し 有馬朗人
初時雨客車片側かがやけり 加藤耕子
初時雨家のまはりの藁にほふ 児玉輝代
初時雨帯むらさきに逢はむとす 河野多希女 琴 恋
初時雨提(どて)をもやして遊けり 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
初時雨故人の像を拝しけり 夏目漱石 明治三十八年
初時雨旅のこころを濡れ通す 八幡城太郎
初時雨暮れゆく海のひとところ 角川春樹
初時雨榎はづるゝ日脚かな 井上井月
初時雨煮鍋の音の静かなり 本下ひでを
初時雨猿も小蓑を欲しげなり 芭蕉
初時雨白鳳仏のひざの金 沢木欣一 赤富士
初時雨百舌鳥野の使ひもどつたか 大サカ-諷竹 十 月 月別句集「韻塞」
初時雨真昼の道をぬらしけり 大魯
初時雨胸処に音を残し過ぐ 柴田白葉女 『冬泉』
初時雨蛙ひとつの声しかと 石川桂郎 四温
初時雨赤子に肩を叩かれて 岸田稚魚 『萩供養』
初時雨釣瓶なげうつ仮ずまひ 石橋秀野
初時雨風もぬれずに通りけり 千代尼 五車反古
初時雨鬼も旅人も韋駄天に 熊谷愛子
北国のこれも好日初時雨 明石春潮子
北山の雲片寄せて初しぐれ 稲畑汀子
医者が来て発句よむ也初しぐれ 正岡子規
十月や十日も過ぎて初時雨 正岡子規
叡山にのこるあをぞら初しぐれ 佐川広治
口に出てわが足いそぐ初時雨 石田波郷
古郷に高い杉あり初しぐれ 荊口 俳諧撰集「有磯海」
吹まはす風のしまりや初時雨 立花北枝
呼び出し音ひとつで切りて初時雨 谷口桂子
唐崎は松に音きく初しぐれ 中村君永
埋火の灰ならしたる初時雨 清水基吉
大原女の眉は山の香初しぐれ 渡辺恭子
大原女の紺が匂ふよ初時雨 富岡犀川
天蚕の織ぬんめりと初時雨 上田五千石 琥珀
夫ときに遠くなりたる初しぐれ 市川アツ
奈良三彩みどりがちなる初しぐれ 野見山ひふみ
婿入の宵月ほそし初しぐれ 鉄僧
宵々の砧もうとし初しぐれ 我則
小買物いつか暮れゐし初時雨 福永みち子
少年の白き襟首初しぐれ 宮本みさ子
居坐りて仮の庵とや初しぐれ 石塚友二 光塵
山茶花のかたき蕾や初時雨 癖三酔句集 岡本癖三酔
山茶花の蕾そろひぬ初時雨 山口青邨
巨船より小舟の迅し初時雨 倉橋美智子
座敷から湯〔に〕飛入るや初時雨 一茶 ■文政四年辛巳(五十九歳)
愛車とは小さな個室初時雨 岡田順子
房垂れに櫨の実黒し初時雨 五十嵐播水 播水句集
手土産に大き虹懸け初時雨 比田井耕
打水にあらず祗園の初しぐれ 大島民郎
托鉢の衣を濡らし初時雨 西沢信生
折鶴のこゑ消えゆけり初しぐれ 牧石剛明
捨猫の熱き目と逢ふ初時雨 広本俊枝
放人と我が名呼ばれん初時雨 芭蕉
新庭の石も落ち付く初しぐれ 浜田酒堂
新聞で見るや故郷の初しぐれ 正岡子規
新藁の屋根の雫や初しぐれ 許六 十 月 月別句集「韻塞」
旅人とわが名よばれん初しぐれ 芭蕉
旅先のビニール傘や初時雨 堀之内和子
月と雲時宜(じき)はすんだり初時雨 立花北枝
朔日の出合ひがしらや初しぐれ 浜田酒堂
朝浄うれし夜の間の初しぐれ 正白
松手入終りしあとへ初時雨 吉屋信子
柞より音はしり来る初時雨 渡邊千枝子
柳にもかへり花あり初しぐれ 羅雲
橡の実は朴におくれて初しぐれ 飯田蛇笏 霊芝
武蔵野の端に蕎麦食む初時雨 田中治夢
母子今日はフランス刺繍 初しぐれ 楠本憲吉
沖浪に日の当りをり初時雨 加藤みさ子
波郷土に山坂すべる初時雨 古舘曹人 砂の音
泥鰌とる鷺のむらがる初時雨 飯田蛇笏 椿花集
父のいろに村立ちあがり初時雨 熊谷愛子
狼の群に入らばや初時雨 寺田寅彦
猿もなけ虎も嘯け初しぐれ 井上井月
田はもとの地に落ち付くや初時雨 千代尼
番傘の油の匂ふ初しぐれ 内田白花
登りゆく高雄の寺や初時雨 比叡 野村泊月
石経の墨を添へけり初しぐれ 内藤丈草
立つてゐる子は子の心初時雨 深見けん二
笑はれて懐炉抱く夜の初時雨 長谷川かな女 雨 月
箒目をしめらす程の初時雨 飯村周子
絶えだえの雲のしのびず初しぐれ 蕪村
絶壁に吹き返へさるゝ初時雨 前田普羅 春寒浅間山
絶絶の雲しのびずよ初しぐれ 蕪村遺稿 冬
縁に抱く小き手炉や初時雨 比叡 野村泊月
老い父の濡れそぼち来ぬ初時雨 遷子
船降りてすぐに参道初しぐれ 原島初女
色花はもう倦きにけり初時雨 照敏
花の末のいろみな濃ゆし初時雨 松村蒼石 雪
草はらのほのぼの黄なる初しぐれ 瀧春一 菜園
落葉松の高き巣箱に初しぐれ 飯田蛇笏 椿花集
葦原のどこかに叛旗初しぐれ 岩間民子
蓋置の竹の青さや初しぐれ 増田龍雨 龍雨句集
蓑むしの死なで鳴夜や初しぐれ 松岡青蘿
蓖麻の実の眠むるより初しぐれ 飯田蛇笏 霊芝
薔薇園の咲き殻だまり初時雨 原田青児
藪なかや朽ち垣ぬらす初時雨 飯田蛇笏 山廬集
虹をもて飾りしことも初時雨 山田弘子
街中の茅葺屋根に初しぐれ 癸生川昭
西虚子忌今日となりつゝ初時雨 高浜年尾
詩語俗語英語日本語初時雨 加藤耕子
賣に来る薄塩物や初しぐれ 井上井月
起きぬけに匂ふ藁火や初しぐれ 金尾梅の門 古志の歌
過ぐといふこと美しや初時雨 京極杞陽
遺言の末尾に花押初時雨 塚本邦雄 甘露
野曝しの陶器市立ち初時雨 川口利夫
野風ふく室町がしら初時雨 高井几董
野風吹く室町かしら初時雨 几菫
釣りあげし鮠に水の香初しぐれ 飯田龍太
鉢たたき洛中洛外初しぐれ 角川春樹 夢殿
長崎の灯の美しき初時雨 東原 すや子
降りさしてまた幾所(いくとこ)か初しぐれ 千代尼
降り立ちし鍵屋の辻の初時雨 菖蒲あや
陶談のふかきに過ぎし初時雨 桂樟蹊子
雀らの飛ぶなり軽の初時雨 藤田あけ烏 赤松
雪見ゆる峰をかくして初時雨 高井几董
雷おつる松はかれ野の初しぐれ 内藤丈草
飯食ひに妻と出て初時雨かな 草間時彦 櫻山
髪結ひに出づる身軽さ初時雨 酒井小蔦
鳶の羽もかいつくろひぬ初時雨 去来
鶏の眼の金環冴えて初時雨 北原志満子
鶏頭を伐るにものうし初時雨 子規句集 虚子・碧梧桐選
黒門やかざり手桶の初時雨 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
はつしぐれコスモスいまだ咲きやめず 久保田万太郎 草の丈
はつしぐれ垣つくろひしばかりかな 久保田万太郎
はつしぐれ大根おろしに甘味かな 大野林火
はつしぐれ濡れて淋しき羽織かな 琴堂 五車反古
はつしぐれ芝居につきてやみにけり 久保田万太郎 草の丈
吹上るほこりの中のはつしぐれ 高井几董
義仲寺へいそぎ侯はつしぐれ 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)


以上
by 575fudemakase | 2014-11-14 00:08 | 冬の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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