例句を挙げる。

*はまなすや裸婦像永久に妊らず 桜庭梵子
あけぼのの光げさしふるふ裸の木 臼田亞浪 定本亜浪句集
あやめむらさき死んだピカソも半裸なれ 竹中宏 句集未収録
ありありと裸子なりし女の子 綾部仁喜 樸簡
いくさ知らぬ裸が海を輝かす 赤井淳子
いつまでも裸で居たき子をさとす 水谷千家
いつも断崖おんおん裸身みがくなり 岸本マチ子
うつしみの裸に焚ける門火哉 篠原鳳作
うつせみを裸になつて晝寝哉 会津八一
かなかなや胸裸のわれに妻の影 杉山 岳陽
かねをうつ閻魔祭の裸形あり 銀漢 吉岡禅寺洞
かの裸子に吾が齢の悔ふかし 杉山岳陽 晩婚
かはほりや裸掃除の御坊達 河野静雲 閻魔
かまつかや石屋の裸身影もたず 松原地蔵尊
がつしりと百姓の子の裸かな 今井杏太郎
がらんどう浮き草走りガス裸体 富岡和秀
ぎりぎりの裸でゐる時も貴族 櫂未知子 貴族
くらがりにはゞかりもなく裸かな 小沢杜童
くらげふえし海よりかへり来る裸 久保田万太郎 流寓抄
さよならを言ふには遠き裸かな 石原八束 操守
しゝむらを骨のあはれむ裸かな 松根東洋城
すべる砲車を裸身ささふる汗を見よ 長谷川素逝 砲車
せがまれしさかだち吾子と裸なり 目迫秩父
ぜろにもが裸でさらふ聖(さんと)の井 筑紫磐井 婆伽梵
その朝が来て麻酔裸のポインセチア 大石悦子 百花
たくましき裸日輪に愛されて 柴田白葉女
だんだんにいのち淋しき裸かな 原田青児
ちよこまかと動く裸を診察す 藤巻伽岳
つかつかと怒濤に向かふ裸の子 橋木美智代
つきまとふ日差し裸の木となりて 村田美代子
ともに裸身ともに浪聴き父子なる 大野林火
とんどの海若き裸身の綱競ふ 関口祥子
なまぐさき裸の土へ麦蒔きゆく 小松礼子
ひえびえと海女の裸に裸の影 飯田龍太
ひと死ねり兵器手入れの兵裸体 片山桃史 北方兵團
ぷりぷりとコーヒー色の裸かな 今井千鶴子
への字よりくの字にもどる裸かな 加藤郁乎 江戸桜
ぼろ市の裸婦の絵の美しすぎる 後藤立夫
まつぶさに眺めてかなし月こそは全き裸身と思ひいたりぬ 水原紫苑
まぼろしの群裸は白き焔と燃ゆる 日野草城
まら振り洗う裸海上勞働濟む 金子兜太
まんばうのやうな親爺と裸の子 坊城俊樹
みつめられ汚る裸婦象暖房に 西東三鬼
みんな毛深い男裸でするナワ飛び 久保純夫 瑠璃薔薇館
むくむくと雲湧き働く者裸 椎橋清翠
むしられて裸職安の棕梠の毛は 田川飛旅子 花文字
もたれゐる裸の男楽屋口 山田 静雄
もりもりと裸身砲弾をいだき運ぶ 長谷川素逝 砲車
よろこびの裸踊りや日野薬師 丈 石
わが好む白ふんどしの裸かな 飯田蛇笏 山廬集
わが愛は菓子呉るるだけ裸孫 田川飛旅子 『使徒の眼』
わが裸唖のいとどの出て遊ぶ 千代田葛彦 旅人木
わが裸草木虫魚幽くあり 藤田湘子
アトリエの父は裸身に雲を描く 皆吉司
アメリカの国旗を巻いて裸なり 依光陽子
グラビア版カレンダーあり薔薇と裸婦 高澤良一 宿好
ゴヤの裸婦ドガの踊り子水澄めり 青木重行
ゴヤの裸婦一枚残し暦果つ 井桁蒼水
サンダルを履く裸子や基地の町 木場田秀俊
タオル一枚はおる裸やバツ悪し 高澤良一 素抱
ダリの裸婦見て風死ぬる交差点 田口風子
ダンサーの裸の上の裘 高浜虚子
チワン族の裸寄り来る竹筏 石寒太 翔
トルソーの裸婦の量感夏来る 松本三千夫
ブロンズの裸婦佇てる森青嵐 梅田実三郎
プールサイドに夕日の裸母が待つ 大井雅人 龍岡村
ポインセチア肉むら厚き裸婦の像 加古宗也
ヨハンシュトラウス像前裸の子 山本歩禅
リラ咲いて窓の裸身の泳ぐらし 林 壮俊
一月や裸身に竹の匂ひして 和田耕三郎(1954-)
一群の裸子光り来たりけり 不破 博
不死男忌の裸の幹のさるすべり 本宮鼎三
世界病むを語りつゝ林檎裸となる 中村草田男
中指の絵の裸婦はみな花疲れ 皆吉司
九月四日わが裸のうらおもて獄吏のまえ(入獄) 橋本夢道
乳乞ひも交る裸の日野踊 鴨 水
五月すでに父と子裸麦育つ 中島斌男
亡父の裸の何処かにありし赤きほくろ 田川飛旅子
人形をみな裸にす暖炉の前 田川飛旅子 『薄荷』
仁王立ちの海中にある裸かな 仙田洋子 橋のあなたに
仏法を裸にしたる産湯かな 許六 四 月 月別句集「韻塞」
伸びる肉ちぢまる肉や稼ぐ裸 中村草田男(1901-83)
優曇華や納屋にはいまも裸の灯 鈴木伊都子
八月よバービー人形は裸のままだ 天野素子
八階の裸に赭く製鉄所 和知喜八 同齢
円匙の背に偲ぶや山死の若き裸 香西照雄 素心
函抱ふ裸可笑しやレントゲン 高澤良一 寒暑
刀匠の裸足でありく花杏 西本一都 景色
刺青の裸体茂りを出て来たり 六角耕
勾配こそ裸婦の幻想風花して 河野多希女
化粧田や付てよびぬる裸麦 井原西鶴
博多人形裸になれず朧月 大石雄鬼
友の死がとどく銭湯真裸に 寺田京子
口ひらき死がかけのぼる裸の樹 桜井博道 海上
古畳いとひはらばふ裸かな 下村槐太 光背
台風にひらきなほりて真っ裸 高澤良一 素抱
向日葵の金を身に浴び裸児よ 金箱戈止夫
吹く風に細き裸の狐花 西東三鬼
吹けど吹けどふくらまぬ毬裸の稚児 古沢太穂 古沢太穂句集
呼鈴を押せばのぞきに裸の子 丹波美代子
唄へといへば唄ひやまぬよ裸子ら 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
噴水のまなかの裸像濡れてゐず 加藤三七子
回覧板持ち裸子の抱かれくる 篠原暁子
地にあれば裸十字のKewpieよ 木村聡雄
地響きは貨車焦れ泣きは裸子ぞ 中島斌男
墓参惨裸婦の如きが思わるる 永田耕衣 冷位
壕に寝しひと夜の裸身拭きに拭く 金子兜太 少年/生長
声なき慟哭裸身ささげる手術台 加藤知世子 花寂び
夏山に対ふ裸身に湯手拭 遠藤梧逸
夏服に裸のままの小銭鳴る 能村研三 鷹の木 以後
夕づゝや石油買ひに裸の子 萩原麦草 麦嵐
夕立の沖には裸船頭かな 藤野古白
夜は誰に胸かす 祭の島の半裸 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 島嶼派
夜更けては厠洗へる裸かな 石塚友二 方寸虚実
夢の夜や裸で生れて衣がヘ 井原西鶴
大いなる宇宙の中に裸かな 中杉隆世
天心へ裸偽りなかりけり 渡辺恭子
夾竹桃背を向け合ひて裸となる 岩田昌寿 地の塩
女三助(ケセジー)にうらがへされし裸かな 仙田洋子 雲は王冠
女郎花天の裸に咲く日かな 津沢マサ子 楕円の昼
好きならば裸になりし時に言へ 仙田洋子 橋のあなたに
妻が呼ぶ犬猫寄りぬ裸子も 杉山岳陽 晩婚
妻の裸身白背掻きやる赤らみぬ 中村草田男
威し銃裸の山が谺返す 津田清子 礼 拝
婚約の身の裸にて読み耽る 鷹羽狩行 誕生
子は裸父はててれで早苗舟 利牛
宅配の人にあはてる裸かな 高澤良一 素抱
宍道湖へ向つて笑ふ裸かな 岡田史乃
家のなかの裸かがやき夏蚕飼ふ 石原舟月
寡婦貧し子等を裸にして濯ぐ 吉良比呂武
小さなる裸子の如露やつと持つ 京極杞陽
小鳥来る手足の長き裸婦の像 上山茅萱
少年の日の我が裸身終戦日 真鍋つとむ
少年の裸かがやく蛇苺 町田しげき
尼寺を裸に稲を刈り終る 右城暮石 声と声
居間塞ぐ裸寝妻に咎められ 高澤良一 素抱
山の湯泉や裸の上の天の川 子規句集 虚子・碧梧桐選
山の蒸湯へ筵小腋の裸ども 石川桂郎 高蘆
屹立の裸の山や赤光忌 林 徹
岩山に裸の櫟光りあふ 佐藤鬼房
崖上の耕馬に海の裸の日 友岡子郷 遠方
川狩や頬被して真裸 新免一五坊
川風や裸身寒う千鳥啼く 幸田露伴 竹芝集
巨き裸病廊に来て氷挽く 肥田埜勝美
師の僧に裸の沙彌のへだてなく 橋本鶏二 年輪
帰路は論強し銀杏は全く裸 中戸川朝人 残心
平日や百姓半裸で鯛洗う 山口 伸
廃伽藍裸子が攀ず隠れなし 小林康治 玄霜
彫刻の森林浴の聖者・裸婦 倉本 岬
往くと来とみな真つ裸章魚下げぬ 佐野まもる 海郷
往に足をあげてねむれる裸みゆ 篠原梵 雨
後ろにも目のある父の片裸 高橋悦男
御院主に裸女肩を抱へ逃げ 河野静雲 閻魔
悲しみを承知できない裸かな 二村典子
慮外なから月に裸の涼しさよ 尾崎紅葉
我が裸見るにつけても生き延びし 古藤一杏子
戦に死なず病に死なず裸かな 肥田埜勝美
扇風機に似てくる骨だらけの裸身 高澤良一 燕音
手術了ふ裸形包める花浴衣 石川文子
手術着に所詮孤りとなる裸 高澤良一 鳩信
手足先に老いて農寡婦裸たくまし 加藤知世子
抱いて柔は柔は友の遺児なり裸子なり 奈良文夫
教職に倦む日曜の裸かな 那須淳男
新しい歴史の日影が 裸像の線にながれる 吉岡禅寺洞
新じやが掘る裸アポロの力瘤 平畑静塔
新縄で締めてすがしや裸鉾 長谷川櫂 蓬莱
日の掛声朝から半裸の日の寵児へ 磯貝碧蹄館 握手
日野の夜の裸祭を見に行かな 辻田克巳
早苗饗の御あかし上ぐる素つ裸 高野素十
早鞆を今落す船舸子裸 高濱年尾 年尾句集
旱梅雨剥げし絵に生く裸婦の唇 雨宮抱星
昼の湯に裸の長し盆の雨 辻桃子 ねむ 以後
昼門を鎖す残暑の裸かな 正岡子規
晩年の全景ならむ裸の木 倉橋羊村
暑き日の餘生の裸體ああ鏡ありて映り 安斎櫻[カイ]子
暑けれど裸身は見ず船祭 来山
曲げてみる裸足の指の親指を 草間時彦 櫻山
月光に濡れて裸像の深ねむり 古市絵未
有馬の湯しづかなるとき妻も裸女 阿波野青畝
朝の裸泉のごとし青年立つ 島津 亮
朝まだき裸子のごと胡桃落つ 宮坂静生 青胡桃
朝庭に立ちて帰省の裸白し 谷野予志
木がくれにお茶揉む人の裸かな 佐野青陽人 天の川
木の車押す裸子の静脈透く 田川飛旅子 花文字
木流しや堰に立ちたる裸杣 樋渡清石
村の子は丈夫で裸赤のまま 上村占魚 球磨
松蝉や裸身の火山別に立つ 中村汀女
柩担きし痕のあらなく裸かな 岸田稚魚
柴折つて焚きし飯食ふ裸子と 細見綾子 花寂び
柿干して一村柿の木は裸 野沢節子
桟橋に裸子水中翼船来る 杉本寛
森は裸にひとりの仏像倒る 和田悟朗
楼門は傾ぎ遊び場裸の子 沢木欣一
槍投の裸像の空を若葉風 福本天心
橋柱をすべり下りし裸かな 比叡 野村泊月
檳榔樹と裸婦擦りかはる夏日かな 磯貝碧蹄館
歳月の母の胸裸の冷まじや 小林康治 玄霜
死を忘れゐしが裸体の青きかな 八木三日女 紅 茸
死近き裸の子やな枇杷を食ふ 雑草 長谷川零餘子
殉教のなぎさ裸足で歩きけり 鈴木厚子
残月をくすぐり了えし裸の木 増田まさみ
母に強く犬に弱しや裸の子 高野素十
母老いぬ裸の胸に顔の影 中村草田男
母親を呼びにゆく子の裸かな 中山 允晴
水光にけた~笑ふ裸かな 飯田蛇笏 霊芝
水無月はいつか来にけん裸嶋 幽山 選集「板東太郎」
水牛の背より飛込む裸の子 常盤しづ子
水車踏んで月焼けのしゝ裸かな 乙字俳句集 大須賀乙字
氾濫を感ずる裸女かな 松瀬青々
汝いとどいつの世よりの裸身なるや 森川暁水 淀
江ノ島の裸弁天東風吹けり 高澤良一 寒暑
沼に月いでし裸の夕餉かな 橋本鶏二 年輪
波よりもくらき裸子波をふみ 山西雅子
浦安の子は裸なり蘆の花 高浜虚子
浴後裸婦らんまんとしてけむらへり 日野草城(1901-56)
海あがり裸足で連るるカンナや 原田種茅 径
海の闇はねかへしゐる裸かな 大木あまり 雲の塔
海潜り来し裸の厚み視野塞ぐ 殿村莵絲子 遠い橋
海胆を採る少年の裸身眩しき 橋本美智代
涼しく裸のうらおもてからほくろ寫しとらる 橋本夢道
涼しさや裸でこゆる筥根山 子規句集 虚子・碧梧桐選
淋しさを裸にしたり須磨の月 山口素堂
深夜工事の半裸傷つきてはならじ 大井雅人 龍岡村
深海魚のしずかさで 裸婦の肢體を見ている (みどりのかげ) 吉岡禅寺洞
混浴の飄(ひょう)と上がれる赤裸 高澤良一 素抱
渓底の声々裸より発す 赤松[けい]子 白毫
温泉の小屋を出でし裸や柿若葉 田中王城
湯を出でし裸で試すおじぎ草 田川飛旅子 『植樹祭』
源平の祠の裸蟋蟀よ 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
漂うて処置室に措くわが裸身 藤村多加夫
漆かく裸男のあつさ哉 正岡子規
漣のあなた裸子けむりをり 小宮山政子
濁暑なり清裸を以て處らむとす 相生垣瓜人
火の国の肥後に生ひたち裸かな 上村占魚 球磨
灯に遠き裸の面の飯を食ふ 軽部烏帽子 [しどみ]の花
灯籠の火で飯をくふ裸かな 一茶
炎天の巌の裸子やはらかし 飯田龍太 百戸の谿
焼芋屋裸参りの後につき 佐藤淑子
煙草吸うて命ありけり裸人 村上鬼城
煙草捨て働くための裸となる 宮下時雨
熱鉄を摶てる裸や月を前 松村蒼石 寒鶯抄
燈籠の火で飯をくふ裸かな 一茶
父子二人裸となりて嘘もなし 細木芒角星
父母のこと憶ひゐる裸かな 乾 燕子
父病んで裸拭きおる文化の日 大口元通
片言の裸子とをり巴里祭 堀口星眠 営巣期
犇きて裸子が押す車椅子 小林康治 玄霜
犇めきて裸子が押す車椅子 小林康治 『玄霜』
玉すだれ裸叩いてゐる男 高澤良一 素抱
生涯の裸を見せぬ人なりし 山口青邨
田が始り厨に裸足朝の妻 大熊輝一 土の香
画室では父もピカソも裸身なり 皆吉司
留守番の半裸にチャイム鳴りにけり 坂本たけ乃
病者等の焚火に裸婦の表紙燃え 長田等
痩せぎすの煮しめた顔の胸裸かな 杉山 岳陽
痩せて人のうしろにありし裸かな 西島麦南 人音
発想のひしめく中の裸なり 能村登四郎(1911-2002)
白樺の裸身紅葉の天に照る 中島斌男
百号の裸婦アトリエに蝉しぐれ 斉藤 節
百合を得て謡れる裸形童子かな 五十崎古郷句集
百姓の裸の背ナを汗ながる 橋本鶏二 年輪
百尺の裸岩より夏の海 高浜虚子
盆の月裸かくさず風呂場出し 長谷川かな女 花寂び
真裸にて辿り着きたる正念場 高澤良一 鳩信
真裸に笙聴く飢ゑてはならぬなり 斎藤玄
真裸に罪の手のひら二枚かな 赤松[ケイ]子
真裸のたたらを踏むや刀鍛冶 筑紫磐井 婆伽梵
真裸の厚胸持てり飛魚舟 藤後左右
真裸の果てはしくしくさびしかり 能村登四郎 菊塵
真裸の百日紅が東大寺 原田喬
石像の裸女に新樹の夜更けぬる 池内友次郎 結婚まで
硝子吹く胸汚したる裸かな 村上鬼城
硯屏の裸羅漢に似て書けり 中戸川朝人 尋声
神庫壁の裸婦画は月に虫名残 宮武寒々 朱卓
神輿瘤そばだてて来る裸かな 鈴木貞雄
穴より火のごと土工の裸が出る遠景 細谷源二
空へ抛られ抛られ裸子笑ひどほし 池田梓郎
空海の裸形螢火まとひけり 黒田杏子 花下草上
竹の子の産毛ひかりを裸にす 河野南畦 湖の森
笑う漁夫怒る海蛇ともに裸 西東三鬼
筏士の裸をやすき相撲かな 江戸-不卜 元禄百人一句
簗番に裸電燈ぶらさがる 青波
素裸になりて見せたる涼しさよ 竹冷句鈔 角田竹冷
素裸に電極五箇所心電図 高澤良一 寒暑
素裸のこれが私のオリジナル 櫂未知子 貴族
素裸の水担く海女に逢ひしこと 高野素十
素裸を朝からたのしむ誕生日 高澤良一 随笑
紫苑へと走る裸足の男たち 徳弘純 麦のほとり 以後
縞蜂の飛び交ふ中の裸かな 細見綾子
老いましゝ父のみまへの裸かな 上村占魚 鮎
老体に近づく裸にも産毛 高澤良一 寒暑
肥後の子は裸跣に天が下 上村占魚 球磨
胸にたこ出来たる漁夫の裸見よ 高濱年尾 年尾句集
胸の傷痕裸子に攀ぢのぼらるる 細川加賀 『傷痕』
胸布団あて裸漁夫網たぐる 高濱年尾 年尾句集
胸張つて裸参の瞳のすがし 横内照代
胸板に莨火うつる裸かな 橋本鶏二 年輪
脱ぐもののもうなき裸とは暑し 今瀬剛一
腰蓑を著けし裸や夜水番 橋本鶏二 年輪
腹話術習つてをりし裸かな 清水安奈
腹這ひの裸子と立つ裸子と 山西雅子
船すゝぐ裸に高き帰燕かな 金尾梅の門 古志の歌
船台上半裸もつとも柔きもの 中島斌男
芦煽つ風ゆ生れて裸太郎 林翔 和紙
花木槿裸童のかざし哉 松尾芭蕉
苦しいぞよく見よ妻よ泥鰌は裸でいる 橋本夢道 無礼なる妻
茶の花に裸の桐の高さかな 温亭句集 篠原温亭
草刈りし裸の畦も露ありぬ 大熊輝一 土の香
草賊大敗とかくる裸かな 尾崎迷堂 孤輪
荷を負うて裸の胸や花ざくろ 池内友次郎 結婚まで
菖蒲湯に裸一貫の男見よ 尾崎紅葉
菜種刈る半裸油彩の如く照り 宇佐美魚目
葉柳に舟を出でたる裸かな 佐藤紅緑
葉櫻や裸身ひかりて砂利くづす 細見綾子
蒼天に氷れる滝の裸身めき 佐野美智
薫風や裸の上に松の影 子規句集 虚子・碧梧桐選
薬鑵もつ裸の杣について行く 比叡 野村泊月
虹たたふ子の冷えてゐる裸かな 松村蒼石 寒鶯抄
蚊屋釣や夜学を好む真ッ裸 炭 太祇 太祇句選
蚊遣火や裸ながらに網をすく 寺田寅彦
蚊遺香あちこちたてゝ僧裸 河野静雲 閻魔
蛇打たん得物索むる裸かな 島村元句集
蜩や裸肌近温泉窓辺 松根東洋城
蝋番の修羅の真裸堂押祭 勝又水仙
蟷螂の如き裸婦見て二科を出づ 山口青邨
行水の四股踏む裸和尚かな 河野静雲 閻魔
行水の曲突築いて居る裸かな 尾崎紅葉
行水の裸に麦の夕日影 飯田蛇笏 山廬集
行水や黍畑から裸にて 癖三酔句集 岡本癖三酔
裸か身や股の血脈あおく引き 鈴木しづ子
裸ぐせつき人前をはばからず 田中延幸
裸たのしみ自由たのしむ荒磯に 津田清子 礼 拝
裸で焼き黍を食ふ家の前の砂原 梅林句屑 喜谷六花
裸で飯を食うて淋しいか足を組みなさい 中塚一碧樓
裸で鯛の刺身を食べてをり 藤岡筑邨
裸となれば俄におのれ充満す 能村登四郎
裸にて世間の事をどうかうと 如月真菜
裸にて人を替へたるごとくをり 松山足羽
裸にて死の知らせ受く電話口 長谷川櫂 虚空
裸にて焔と化すや曼珠沙華 中勘助
裸にはまだ衣更着の嵐哉 芭蕉
裸に取り巻かれ溺死者運ばるゝ 右城暮石 上下
裸に子もだいて何んと生き生きと飲む酒で暗い灯の下 橋本夢道 無禮なる妻抄
裸の命しぶきをあげて夜雨来る 成田千空 地霊
裸の子叩いて愛撫天草海女 橋本鶏二
裸の子抱いているうち昏くなる 田川飛旅子 花文字
裸の子花を摘みとり我を見し 太田鴻村 穂国
裸の子裸の父に抱かれけり 渡辺桂子
裸の子顔一杯に笑ひをり 上野章子
裸の肱濕すため舌拭くため舌 竹中宏 句集未収録
裸の胸飲む水のこぼれ落つることよ 原田種茅 径
裸の腕垂らすが憩ひ肱ゑくぼ 香西照雄 対話
裸の膝同じ血流る尻を置く 猿橋統流子
裸をふいてもらい月にのぞかれていた 住宅顕信 未完成
裸人ドウカイナ氏の陰毛消ゆれば夏木立 磯貝碧蹄館
裸体なる先生胡坐す水泳所 夏目漱石 明治三十年
裸像あり橙の木の脇をゆく 山西雅子
裸児と烏とさはぐ野分哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
裸夫馬にまたがり山野はるかなり 池内友次郎 結婚まで
裸女の蛾によごれたる肌などや 長谷川かな女 雨 月
裸婦ねむく薔薇一弁を解きにけリ 岸風三樓
裸婦の図を見てをりいのちおとろへし 日野草城
裸婦像の仰ぐ大樹に恋鴉 大島民郎
裸婦像の倒れくるなり日の盛り 柿本多映
裸婦像の吐息沈めて冴え返る 小川廣男
裸婦像の背のよごれや厄日過ぎ 高木 杏子
裸婦像や青松虫の青に濡れ 阿部ひろし
裸子がわれの裸をよろこべり 千葉皓史(1947-)
裸子がスリッパ揃へ呉れにけり 山尾 玉藻
裸子が地を撫づ母をなづるごと 長谷川双魚 風形
裸子が来る渡岸寺観世音 大峯あきら 鳥道
裸子が観音堂を開けに来る 岩田和代
裸子にかすかな熱の竈口 飯田龍太 童眸
裸子に甚平著せよ紅藍の花 高浜虚子
裸子に砂礫は熱き鋲なして 大井雅人 龍岡村
裸子に貰ひし海の石ひとつ 岩淵喜代子 硝子の仲間
裸子に道たづねつつ幾曲り 下村ひろし
裸子のあふるる家や奥吉野 永島靖子
裸子のくるくる廻りころと寝る 斉藤夢有
裸子のつまみどころもなかりけり 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
裸子の乳の匂ひを抱きにけり 佐藤信子
裸子の五体といふを見やりけり 皆吉爽雨
裸子の匂へることよ原爆忌 白澤良子
裸子の反り身に陰の無かりけり 北村 保
裸子の尻の青あざまてまてまて 小島健
裸子の尻らつきようのごと白く 本井英
裸子の尿るに弓をなす背かな 波多野爽波 『湯呑』
裸子の腹が突き出し村貧し 清崎敏郎
裸子の臍に飯粒よくこぼれ 脇本星浪
裸子の裸見ぬふりしてとほる 仙田洋子 橋のあなたに
裸子の逐へば家鴨の逃ぐるなり 高浜虚子
裸子は男にかぎる離宮より 古舘曹人 能登の蛙
裸子へ父の如雨露の大雨かな 奈良文夫
裸子も古めかしくてこの辺り 京極杞陽
裸子や我も欲し慾深きかや 小池文子 巴里蕭条
裸子や涙の顔をあげて這ふ 野見山朱鳥
裸子よ汝も翳もつ肩の骨 林翔 和紙
裸子よ羅*ご羅(らごら)の運命僧になれ 中谷興瑞
裸子ら闇に没して闇に波紋 香西照雄 対話
裸子をひつさげ歩く温泉の廊下 高濱虚子
裸子をひとり得しのみ礼拝す 石橋秀野(1909-47)
裸子を打てば二歳の音がして 川野祀代
裸子を負ひさんさんと布紋る 飯田龍太
裸子遊ぶ一茶の土蔵「なんにもない」 鍵和田[ゆう]子 未来図
裸寝のおどろく飛騨の露の冷え 能村登四郎
裸寝の覚めて出歩く終戦日 林 徹
裸寝の身を打つてをり土用浪 森澄雄
裸涼みキャベツ畑は「青海波」 香西照雄 対話
裸涼み蔕が子茄子にかむさりて 香西照雄 対話
裸独居のめし作り終えまずごろ寝 赤城さかえ句集
裸男の子おっぱいぽつちりしゃぼん吹く 古沢太穂 古沢太穂句集
裸者と死者向日葵の種採りし夜の 徳弘純 麦のほとり 以後
裸身にうつろふ雲や唐菖蒲 銀漢 吉岡禅寺洞
裸身に夜半の鐘や辻相撲 炭 太祇 太祇句選
裸身に神うつりませ夏神樂 蕪村 夏之部 ■ 宮島
裸身に蚊をうつ人や写し物 赤木格堂
裸身に蚊屋の布目の月夜かな 魚日 古句を観る(柴田宵曲)
裸身に麻の匂ひやすまひ取 許六 七 月 月別句集「韻塞」
裸身の色艶もなし紅の花 村上鬼城
見せあはぬかなしさ父とわれの裸 仙田洋子 橋のあなたに
覚如忌や銀杏雙樹の裸鳴り 比叡禽化
診察のそばかす裸裏返す 高澤良一 随笑
話題は中共聴き手かたり手夜々裸 赤城さかえ
豆抜きし裸の畝と雲の畝 宮津昭彦
貨車に沿い歩む浴後の裸にて 田川飛旅子 花文字
踵つぎ人来て去りぬいざ裸 石塚友二 方寸虚実
農婦らに裸足の季節胡麻の花 西村公鳳
透明な温泉壺に沈ませている裸形の恋人も 橋本夢道 無禮なる妻抄
遊覧船の鏡裸に 軍艦と少年の首 伊丹公子 メキシコ貝
道元を考へてゐる裸かな 伊藤白潮
道問へば露地に裸子充満す 加藤楸邨(1905-93)
遠蛙月は裸身となりにけり 小川真理子
遠里や茶の花の上の裸土蔵 一茶
郵便局の娼婦の裸体を包みに行こう 武馬久仁裕
郷に入り郷に従ふ裸かな 本宮 鬼首
酒倉に裸参りの支度かな 田村了咲
重荷つり上げんと裸体ぶら下る 竹中 宏
野の欅裸となりて伐られけり 林原耒井 蜩
金閣をにらむ裸の翁かな 大木あまり 雲の塔
銛先に蛸をどらせて裸の子 岡安迷子
鋼断る青き火ごとに裸形群れ 片山桃史 北方兵團
鏡屋の前の鈴懸裸となる 内藤吐天 鳴海抄
闇なれば衣まとふ間の裸かな 高浜虚子(1874-1959)
闇ふかき半裸の無言おそろしき 加藤楸邨
雑草ほほけた花降らし子ども裸 シヤツと雑草 栗林一石路
雨降るに裸の柿の尉鶲 石塚友二 光塵
雲のかたちへ背のびする裸女朝の羽 久保純夫 瑠璃薔薇館
雲助の裸で寝たる緋木瓜かな 泉鏡花
霧ふかし山の湯に親も子も裸 栗林一石路
青竹に裸か灯吊す夜の簗 棚山波朗
青竹の裸身火を噴きどんど立つ 原裕 葦牙
須磨の浦や松に涼しき裸蜑 子規句集 虚子・碧梧桐選
風の渦日の渦をとこの裸かな 柴田白葉女 『月の笛』
風呂を出て裸のままに鮎を焼く 橋本鶏二 年輪
飛沫あび裸身湯気立て玉せせり 岡部六弥太
餅を搗く半裸鶯鳴くしきり 松村蒼石 露
馬上の子に遠嶺ふくらむ裸の雲 飯田龍太
馬裸人も裸や潮を浴び 長谷川櫂 蓬莱
馬足掻き止め呉るる裸稲光り 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
駈けて来てまきつきし子の裸かな 富田潮児
骨壺の前に裸でまた泣けり 成瀬櫻桃子 風色
高原の裸身青垣山よ見よ 山口誓子
髪を梳く乳のしたゝれる裸かな 西島麦南 人音
髪乱し濃霧裸身の夜明かな 岩田昌寿 地の塩
鬼貫忌裸になればなほ暑し 三橋敏雄 巡禮
魂送る裸蝋燭風を曳き 西本一都 景色
魚船捲く裸アイヌに童子と山羊 石原八束 空の渚
鮎掛の巌下りつたふ裸かな 橋本鶏二 年輪
鯉の子に佇てば裸子出て来たる 石橋辰之助 山暦
鯊釣の子供の裸小さくて 岸本尚毅 舜
鯊釣れて裸足で歩く女かな 岸本尚毅 鶏頭
鱒突くと魚扠かまへたる裸かな 白水郎句集 大場白水郎
鱚焼く娘のうしろ半裸を憚り過ぐ 宮武寒々 朱卓
鳥寄する裸ざくらの苔からび 太田鴻村 穂国
鶺鴒の裸足いたんでゆく海辺 八木原祐計
けふいちにち裸でとほす巴旦杏 高澤良一 暮津
ごろ寝して裸の王様すだれ裡 高澤良一 暮津
朝刊をさてと開きて丸裸 高澤良一 随笑
老體に近づく裸にも産毛 高澤良一 寒暑
湯上がりのすっぽんぽんは佳かりけり 高澤良一 寒暑
急雨来る韻き裸にはおるもの 高澤良一 石鏡
虫刺され酸の如きを裸身に 高澤良一 暮津
はらと落つ抜け毛のあたる裸かな 高澤良一 暮津
驚破地震と咄嗟に裸にはおるもの 高澤良一 暮津
賢愚邪正貧福貴賎(けんぐじやしようひんふくきせん)皆裸 高澤良一 暮津(*浮世風呂)
裸体(はだかみ)の前を押さえて「御免なさい」 高澤良一 暮津
銭湯の徳を数えて赤裸 高澤良一 暮津
裸形(はだか)にて湯浴び孔子も権助も 高澤良一 暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-08-12 04:44 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)
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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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