秋風2
秋風2
例句を挙げる。
人ごみに誰か笑へる秋の風 飛鳥田[れい]無公
人に似て猿も手をくむ秋の風 洒堂
人の国の牛馬淋しや秋の風 飯田蛇笏 霊芝
人の眼に涸れぬなみだや秋の風 西島麦南 人音
人も居らずほこりも立たず秋の風 正岡子規
人声のどれも念仏や秋の風 碧雲居句集 大谷碧雲居
人形は薄着してゐる秋の風 廣江八重櫻
人攀ぢる焼岳の肌秋の風 石原舟月 山鵲
人毎に吹かず吹き吹け秋の風 斎藤玄 雁道
人遠く去りゆきしまゝ秋の風 山口青邨
人間に骨なかりけり秋の風 会津八一
今はたゞ生死句にあり秋の風 松瀬青々
今日は今日の世情を帰る秋の風 米沢吾亦紅 童顔
今日も亦曠野の夕焼秋の風 相馬遷子 山国
仏体に海の匂ひや秋の風 加藤知世子 花 季
仰がるゝ鳶の破れ羽や秋の風 飯田蛇笏 霊芝
仰臥こそ終の形の秋の風 野見山朱鳥
佐渡に立つ雲のしろさよ秋の風 金尾梅の門 古志の歌
何がここにこの孤児を置く秋の風 加藤秋邨 野哭
何とせん母痩せたまふ秋の風 正岡子規
何時呼ぶも母は覚めをり秋の風 猪俣千代子 堆 朱
便船にさゝ波もなし秋の風 雑草 長谷川零餘子
停りても木馬は奔馬秋の風 杉本零
停年も間近になって秋の風 源氏鶏太
健かにわれ愚かなり秋の風 会津八一
傾きがちに体はかたし秋の風 池田澄子
先生の疎髯(そぜん)を吹くや秋の風 夏目漱石 明治三十二年
八景の中吹きぬくや秋の風 広瀬惟然
八朔や日は炎えながら秋の風 竹尾梅塢
冥土より振り向く貌や秋の風 倉橋弘躬
切りすぎし髪の中まで秋の風 朝倉和江
刈り残す一畝の粟や秋の風 寺田寅彦
刑冠の上の罪標秋の風 野見山朱鳥
初塩や間に吹き入るる秋の風 立花北枝
別れぎは手をひらひらと秋の風 奥田杏牛
化(あだし)野や蛇の衣(きぬ)ふく秋の風 野童 俳諧撰集「藤の実」
十六夜の雲吹去りぬ秋の風 蕪村遺稿 秋
十団子の碑(いしぶみ)秋の風招(よ)べり 高澤良一 燕音
十團子(とおだご)も小粒になりぬ秋の風 森川許六 (きょりく)(1656-1715)
千万の山毛欅の白さの秋の風 堀口星眠 火山灰の道
千仭の岩に蔦なし秋の風 西山泊雲 泊雲句集
南とも北ともいはず秋の風 古白遺稿 藤野古白
印南野や笠の蝿追ふ秋の風 才麿
厠より日鼻を晒す秋の風 小林康治 四季貧窮
又いつとよるべのはたや秋の風 広瀬惟然
又三郎鳴らせし窓に秋の風 辻桃子
友の愛身に相鬩ぐ秋の風 杉山岳陽 晩婚
受難図の朱衣がしたたり秋の風 大島民郎
叢に沈める橋や秋の風 楠目橙黄子 橙圃
口重の身にひゞかふも秋の風 杉山岳陽 晩婚
古倫母の夜の話きく秋の風 長谷川かな女 雨 月
古刀根や鴨来そめたる秋の風 野村喜舟 小石川
古城址は大きからねど秋の風 高浜虚子
古関を通りぬけたり秋の風 古白遺稿 藤野古白
只赭き露助タンポポ秋の風 久米正雄 返り花
右京左京中は畑なり秋の風 正岡子規
吊橋や百歩の宙の秋の風 水原秋桜子(1892-1981)
名苑の景整然と秋の風 柴田白葉女 花寂び 以後
向日葵の大き黒蕋秋の風 瀧春一 菜園
向日葵の金ンの古びや秋の風 野村喜舟 小石川
吹きふきて蝉の殻ふくや秋の風 中勘助
吹き迷ふ奈落の底の秋の風 成瀬桜桃子 風色
吾が子てふ切札持たず秋の風 後藤綾子
吾を追ふは秋の風にはあらざりき 相馬遷子 山河
味すぐるなまり豆腐や秋の風 道芝 久保田万太郎
咲いそぐ蔓草の花や秋の風 白水郎句集 大場白水郎
咳ひようとひようと乗つたり秋の風 斎藤空華 空華句集
唐きびのおどろき安し秋の風 蕪村遺稿 秋
嘘うそと囁くごとし秋の風 照敏
国土なくてある民族や秋の風 雉子郎句集 石島雉子郎
圃に立てば四辺に起る秋の風 温亭句集 篠原温亭
地に縄をおけば乱れて秋の風 今瀬剛一
坑内に入る鉄扉を押せば秋の風 成瀬正とし 星月夜
垂れ毛虫みな木にもどり秋の風 臼田亜浪 旅人
垣ごしに草がちらつく秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
塀について塀をまがれば秋の風 久保田万太郎 草の丈
塚も動けわが泣く声は秋の風 松尾芭蕉
墨の黴拭ひぬ秋の風とかな 石川桂郎 四温
墨染の蝶もとぶ也秋の風 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
壁越しに病問ひあふ秋の風 加藤秋邨 起伏
売るものゝそこばくは有ち秋の風 石塚友二 方寸虚実
夕月のけば~しさを秋の風 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
夕顔は糸瓜にいづれ秋の風 会津八一
夜の波のかたみに冴ゆる秋の風 すみだ川 新井聾風
大いなる雲の穴目や秋の風 廣江八重櫻
大き声小さきを殺す秋の風 小川軽舟
大き荷の男結びに秋の風 宇多喜代子 象
大仏の尻より吹きぬ秋の風 正岡子規
大佛と共に吹かれむ秋の風 会津八一
大佛や五躰ならんで秋の風 会津八一
大口を開けば大きな秋の風 永末恵子 留守
大杉の裂目匂へり秋の風 雑草 長谷川零餘子
大濤を越え去る泡や秋の風 佐野青陽人 天の川
大秋と白林を弟子や秋の風 飯田蛇笏 山廬集
大阪や屋根の上吹く秋の風 古白遺稿 藤野古白
太極拳かまへて蛇の手秋の風 井沢正江 湖の伝説
妙高に雲動かねど秋の風 大須賀乙字
妙高の雲動かねど秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
妹泣きそ天下の晝なり秋の風 渡邊水巴
子のたまをむかへて山河秋の風 飯田蛇笏 雪峡
子の目口たちまち泣きぬ秋の風 榎本冬一郎 眼光
子守歌念誦のごとし秋の風 山本洋子
子爪このごろ親指にのみ秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
学舎よりコーラス乗せし秋の風 今泉貞鳳
宝来屋さるやの跡や秋の風 白水郎句集 大場白水郎
家もろともに闇に入る秋の風 飯田龍太
家出れば家を忘れぬ秋の風 高橋淡路女 梶の葉
宿借蟹にやる飯粒や秋の風 宮武寒々 朱卓
寝ころびし爪先にはね秋の風 皆吉爽雨 泉声
寝ころびて砂丘は白し秋の風 引田逸牛
寝ね足りて残るさびしさ秋の風 高澤晶子
寺に来て/什器となるや/秋の風 大岡頌司
尺八吹けば琴のよくなる秋の風 龍胆 長谷川かな女
山姥の木の葉のころも秋の風 中勘助
山畑や茄子笑み割るゝ秋の風 村上鬼城
山聳え川流れたり秋の風 蓼太
山車を曳く童児童女に秋の風 伊藤いと子
山道に麥丘人や秋の風 今井杏太郎
岩をかむ人の白歯や秋の風 飯田蛇笏 山廬集
巌ぬれ巌乾きぬ秋の風 露月句集 石井露月
巌群のゆらぐと見つつ秋の風 瀧春一 菜園
川底の見える流れに秋の風 浅見信八良
己(わ)が庵に火かけて見むや秋の風 原石鼎(1886-1951)
市小家に火ぶせの札や秋の風 維駒 五車反古
帽子すこし曲げかぶるくせ秋の風 久保田万太郎 草の丈
干してある薪にさす日や秋の風 久保田万太郎 流寓抄
幼子の素足アジアの秋の風 高澤晶子
床下の蕗のそよぎや秋の風 会津八一
庭石に石の根が張り秋の風 桑原三郎 晝夜 以後
引越せばここにも秋の風はやし 会津八一
形代のあと知らずゆく秋の風 松山足羽
彩らぬ切篭の総に秋の風 高井几董
御札捧げて家三めぐりや秋の風 比叡 野村泊月
御無事でさ往てござりましよ秋の風 広瀬惟然
心頭に飛花落葉や秋の風 尾崎迷堂 孤輪
忌に酌みて心に秋の風を聴く 吉村ひさ志
忘じゐし山河老いたり秋の風 小松崎爽青
恨みあふ二つの墓や秋の風 会津八一
息ぎれのしづまるまでや秋の風 久保田万太郎 流寓抄以後
悲しさや釣の糸吹く秋の風 蕪村
感化院秋の風口笛吹く人影 成瀬正とし 星月夜
憑きものの落ちたるごとく秋の風 西村和子 窓
懐に熱きこぶしや秋の風 会津八一
我死なで君生きもせで秋の風 正岡子規
戦争は斯くして起こる秋の風 高澤良一 随笑
戸障子のゆるびを覚まし秋の風 鷲谷七菜子 花寂び
手にもてる団扇に来たり秋の風 高橋淡路女 梶の葉
手に秘めし薔薇捨てばやな秋の風 横光利一
手一合零余子貰ふや秋の風 芥川龍之介 ひとまところ
手枕の腕三角に秋の風 近藤一鴻
打ち臥して何思ふらん秋の風 会津八一
拝まれて倒れる石や秋の風 桑原三郎
指話の子を抜け秋の風ひびき去る 小松崎爽青
捨てられしこうもり傘や秋の風 ジャック・スタム
捨てゝある芒の束に秋の風 阿部みどり女 笹鳴
掃きやめて顧みにけり秋の風 竹末春野人
掃落し窓より秋日秋の風 後藤夜半
掌をつらぬく三筋秋の風 原月舟
掴むものなければ秋の風掴む 岸田稚魚 『紅葉山』
掻巻もまくらも秋の風の中 久保田万太郎 草の丈
揚幕のふくらみどほし秋の風 高濱年尾 年尾句集
支那人が布團干したり秋の風 内田百間
故郷を七度あとに秋の風 会津八一
散りやすきものから吹くや秋の風 正岡子規
数珠玉の壁に立ち添ふ秋の風 右城暮石
敵役どつと討たれし秋の風(文弥人形) 岸田稚魚 『雪涅槃』
施米仕舞ふや翌の空吹く秋の風 中島月笠 月笠句集
旅に飽きてけふ幾日(いくか)やら秋の風 松尾芭蕉
旅の果葎をしぼる秋の風 小林康治 四季貧窮
旅寝して我句を知れや秋の風 松尾芭蕉
日に三度たく竃火や秋の風 橋本鶏二 年輪
日の暮や人の皃より秋の風 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
日覆の古りし艀や秋の風 高濱年尾 年尾句集
昨日吹いて今日吹くものや秋の風 東洋城千句
昼の灯のあまりに淡き秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
晝酒の早き酔なり秋の風 内田百間
曉烏文庫内灘秋の風 高浜虚子
最上川舳(みよし)へどんと秋の風 高澤良一 随笑
月落ちて丘の線くらし秋の風 太田鴻村 穂国
朝露や鬱金畠の秋の風 凡兆
朝顔も実がちになりぬ秋の風 松岡青蘿
木からもののこぼるる音や秋の風 千代尼
木の股の抱ける暗さや秋の風 高浜虚子
木原より草原行かん秋の風 高田蝶衣
木隠れに小溝鳴りをり秋の風 村沢夏風
未成とは心尽しの秋の風 仁平勝 東京物語
本堂に上る土足や秋の風 尾崎放哉
朱の丸の入日の中や秋の風 毛紘 七 月 月別句集「韻塞」
机より身を起すとき秋の風 井沢正江 火襷
杉本寺まつくらがりの秋の風 松本たかし
材木や米代川の秋の風 石井露月
来て見ればここにも吹くや秋の風 正岡子規
東西あはれさひとつ秋の風 松尾芭蕉
松山の人に馴染めば秋の風 斉藤夏風
松山の日の落ちさうや秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
枕頭に柚子置けば秋の風到る 草城
果知らずの記のあとを来ぬ秋の風 河東碧梧桐
枝さきに西日かかりて秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
枝もろし緋唐紙破る秋の風 松尾芭蕉
枝打ちの猿渡りす秋の風 龍太
柩舁く背高ぞろひや秋の風 大橋櫻坡子 雨月
栓取れば水筒に鳴る秋の風 相馬遷子 山国
校庭を磁石もて這う秋の風 二村典子
格子よりうすき来書や秋の風 鷲谷七菜子 黄 炎
桃の木のその葉散らすな秋の風 松尾芭蕉
桜蝦干し居り海は秋の風 田中冬二 行人
梨食うて顔吹き分くる秋の風 森澄雄 浮鴎
棟越しの木々夕焼けて秋の風 木歩句集 富田木歩
棟越に鳥群れ落つる秋の風 富田木歩
植ゑたせる小松の生死秋の風 西山泊雲 泊雲句集
椽側にトマトー喰ふや秋の風 会津八一
業平塚にそひたちて秋の風の中 成瀬正とし 星月夜
榛の木に子鴉むれて秋の風 飯田蛇笏 霊芝
槍の穂に咎人もなし秋の風 飯田蛇笏
槍山頂歩む不安の秋の風 沢 聰
樒売る小家の窓や秋の風 永井荷風
模写進み壁画うするる秋の風 大岳水一路
横町に横町のあり秋の風 渋沢秀雄
檸檬青し海光秋の風に澄み 西島麦南
檻の鵜も鵜籠も秋の風の中 島谷征良
櫂入れて沼はつぶやく秋の風 木村蕪城 寒泉
欠伸して鳴る頬骨や秋の風 内田百鬼園
歩きつゝ草矢とばしぬ秋の風 銀漢 吉岡禅寺洞
歩行器を使ふまはりに秋の風 朝倉和江
歯のぬけた夢の夜半や秋の風 幸田露伴 谷中集
歳月の千手(せんじゅ)なりけり秋の風 永田耕衣 物質
死ぬことをしつて死けり秋の風 松岡青蘿
死ぬものも生きのこるものも秋の風 久保田万太郎 草の丈
死屍来ると禿鷹啼くか秋の風(インド拝火教徒の鳥葬) 角川源義 『口ダンの首』
殺生の網のもつるる秋の風 大木あまり 雲の塔
母を訪ふ足音ながらに秋の風 耕衣
水なしやさくさくとして秋の風 惟中
水のめば臍へますぐに秋の風 伊東月草
水底のゆれはじめたる秋の風 藤崎久を
水引を燈籠のふさや秋の風 芥川龍之介 ひとまところ
水草の花まだ白し秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
水馬とどまる時の秋の風 高野素十
水馬走りしときの秋の風 高野素十
汐燃ゆる白亜紀化石断崖(コイコロべなぎ)秋の風 石原八束 雪稜線
波白く岩捉へをり秋の風 深見けん二
泣く母も笑ふ其子も秋の風 正岡子規
泣く者をつれて行とや秋の風 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
洛外の辻堂いくつ秋の風 服部嵐雪
洞門の曲りゐて吹く秋の風 松本たかし
洪水の尺とる門よ秋の風 一茶 ■享和二年壬戌(四十歳)
流れつゝも萍青し秋の風 碧雲居句集 大谷碧雲居
流れ入る水に逆らひ秋の風 阿部みどり女
流行の靴に疲れぬ秋の風 朝倉和江
浜の子も乙女さびたる秋の風 川崎展宏
海をみて佇てば海より秋の風 久保田万太郎 流寓抄
淀川やわたり~の秋の風 妻木 松瀬青々
淋しさに飯をくふなり秋の風 一茶
渋(さ)ビ壁に何をたよりの秋の風 程己 七 月 月別句集「韻塞」
渓魚の一串炉火に秋の風 飯田蛇笏 春蘭
湖の冷運びて秋の風となり 高木晴子 花 季
湖の波琳琅と起る秋の風(十和田湖) 内藤吐天
湖尻とは即ち野末秋の風 杉本零
湯上りのふぐり軽しや秋の風 今井杏太郎
漢方の粒真黒に秋の風 富安風生
濤のむた胸を透けゆく秋の風 内藤吐天 鳴海抄
火に落る鮎のあぶらや秋の風 増田龍雨 龍雨句集
火の中の鍋づるを見て秋の風 福田甲子雄
火を焚いて顔あかき子や秋の風 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
火口湖の色吹き替はる秋の風 高澤良一 随笑
火山灰つむじ先だつ下山秋の風 皆吉爽雨 泉声
灯は個々の思ひをいそぐ秋の風 福田甲子雄
灸花消しに来てゐし秋の風 後藤比奈夫 花びら柚子
無花果の葉の面の黴や秋の風 西山泊雲 泊雲句集
焼きたての飯のにほひや秋の風 李由 七 月 月別句集「韻塞」
焼原の日も暮れてゆく秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
焼捨の人のむくろに秋の風 高井几董
焼柱転げたなりに秋の風 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
熊野では縄飛びするか秋の風 坪内稔典
熔岩原をぶつかつてゆく秋の風 山田みづえ 手甲
熔鉱炉火の色動く秋の風 深見けん二
燈籠の流るゝ果や秋の風 太茂津
燭はいま祈りの在り処秋の風 飯田龍太
片なびくビールの泡や秋の風 会津八一
片時の木槿揺るれば秋の風 斎藤玄 雁道
片町を軍人行くや秋の風 内田百間
牛の目はいまも寄り目に秋の風 宇多喜代子 象
牛の耳また牛の耳秋の風 石田郷子
牛蝿は牛をたのもつ秋の風 移竹
牛部屋に蚊の声よわし秋の風 ばせを 芭蕉庵小文庫
牛部屋に蚊の声暗き残暑哉 牛部屋に蚊の声弱し秋の風 松尾芭蕉
牛飼が好きで牛飼ふ秋の風 飯島晴子
物いへば唇寒し秋の風 芭蕉翁 芭蕉庵小文庫
物音のかたりことりと秋の風 山田みづえ
犬追うてかけ出る猫や秋の風 橋本鶏二 年輪
猪垣のむすびめきれて秋の風 暁台
猿を聞く人捨子に秋の風いかに 芭蕉
瓔珞に秋の風鳴る観世音 狹川青史
瓦斯弾に睫毛かなしや秋の風 長谷川かな女 雨 月
生きのこることの辛さよ秋の風 吉田絃二郎 吉田絃二郎句集
生魚の切目の塩や秋の風 重頼
町に入る道ひろ~と秋の風 内田百間
病む人の髪ぼうぼうと秋の風 会津八一
病人は齢とりやすし秋の風 朝倉和江
病床に駈くる真似して秋の風 石田波郷
病犬の鼻づらかわく秋の風 寺田寅彦
痣に利く薬便りや秋の風 内田百間
痩せたりや二十五年の秋の風 正岡子規
痩る身をさするに似たり秋の風 服部嵐雪
白壁が廻る廻るよ秋の風 阿部みどり女
百人を産みそれからの秋の風 宇多喜代子
盆すぎの屋並まばらや秋の風 小林康治 四季貧窮
目にあまる青葉けうとし秋の風 林原耒井 蜩
眉剃つてかんばせ広し秋の風 西島麥南 金剛纂
眼のあきし思ひの一歩秋の風 村越化石
着古りたる服脱ぐ胸に秋の風 杉山岳陽 晩婚
石を売る娘と雲仰ぐ秋の風 福田甲子雄
石山の石より白し秋の風 芭蕉
石山や行かで果たせし秋の風 野澤羽紅女
砂掻いてころがる馬や秋の風 木歩句集 富田木歩
砲台の眼窩乾けり秋の風 西村和子 かりそめならず
硝子戸のべかりべかりと秋の風 太田鴻村 穂国
碾臼を道のしるべに秋の風 磯貝碧蹄館
祈る手の胸の高さに秋の風 金子三起子
禅寺の石より生れし秋の風 原 礼子
秋の風いくたび髪に手を触れし 渕上千津
秋の風いのちを浚ふほど吹かず 齋藤玄 『玄』
秋の風お中道見ゆ室も見ゆ 岡田日郎
秋の風かうかうと吹き竹出しす 冬の土宮林菫哉
秋の風かざす十指に吹きわかる 斎藤空華 空華句集
秋の風かまつかの炎をはなれては 石原舟月 山鵲
秋の風こゝろ渇きの夜に入りつ 林原耒井 蜩
秋の風しぶきをあげて瀬をわたる(半歳前の冬、青梅にて山田一雄精興社社長の急逝に逢ひしを想ふ) 石原八束 『操守』
秋の風つねにひびける端山かな 雨宮北里
秋の風のろまのほとを吹き渡り 岸田稚魚 筍流し
秋の風ふいてゐる駝鳥大股に 富澤赤黄男
秋の風ほとけの水をゆらしをり 田中ひさ子
秋の風むかしは虚空声ありき 加藤楸邨(1905-93)
秋の風レールに汽車の音残り 山本歩禅
秋の風一茶心に思ふやう 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
秋の風万の祷を汝一人に 石田波郷
秋の風三井の鐘より吹起る 暁台
秋の風乞食の飯のけぶりかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
秋の風乞食は我を見くらぶる 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
秋の風人のかほより吹そむる 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
秋の風伊勢の墓原なほ凄し 松尾芭蕉
秋の風低くくること語り継ぐ 宇多喜代子 象
秋の風地をふきたてゝ澄みにけり 松瀬青々
秋の風塩鯖を吹く皇子を吹く 坪内稔典
秋の風夜の山脈のかはりけり 中島月笠 月笠句集
秋の風大河しゞむや漁者の恭 幸田露伴 拾遺
秋の風子規恢々の眼あり 石嶌岳
秋の風実ならぬ梨を吹すさむ 成美
秋の風富士の全貌宙にあり 飯田蛇笏 椿花集
秋の風山越すに海遠白き 上村占魚 鮎
秋の風岩魚は串にさゝれけり 白水郎句集 大場白水郎
秋の風巌をみつめて顔痩せぬ 岸田稚魚 筍流し
秋の風強ければ跼み話聴く 五十嵐播水 埠頭
秋の風悪い母親吹かれおり 高澤晶子
秋の風捨身飼虎絵の窟出れば 田中英子
秋の風故山に父母をゆだね去る 大串章
秋の風新聞紙など池に浮く 山本歩禅
秋の風旅は身辺にもの殖ゆる 米沢吾亦紅 童顔
秋の風書き憂かりけむ字の歪み 加藤秋邨 野哭
秋の風書むしはまず成にけり 蕪村 秋之部 ■ 旅人に別る
秋の風最上川面を吹き広げ 高澤良一 随笑
秋の風枕の塵もとめあへず 飯田蛇笏 山廬集
秋の風柱の裏へまはりけり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
秋の風死して世を視る細眼なほ 飯田蛇笏 椿花集
秋の風母の怒りのいづこより 千葉 皓史
秋の風水うちあふひびきかな 野老 野田別天樓
秋の風水のうちあふひゞきかな 野田別天楼
秋の風激ち硫気を吹き散らす 岡田日郎
秋の風獄囚は手になにもなし 飯田蛇笏 雪峡
秋の風男のむら気吹かれゐる 直人
秋の風白く楊に溢れけり 西村公鳳
秋の風目に見えぬものすこし信ず 小檜山繁子
秋の風眼鏡はづせばまつげ吹く 山本歩禅
秋の風秋の川自動車速さ増す 林原耒井 蜩
秋の風箸おきて妻何を泣くや 安住敦
秋の風細りて通ふ櫺子窓 吉屋信子
秋の風芙蓉に雛を見付けたり 蓼太
秋の風親なきに我を吹そぶり 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
秋の風跫音うしろより来る 楸邨
秋の風都に吹くか唄の声 椎本才麿
秋の風魚すみがたく長藻ゆる 飯田蛇笏 春蘭
秋の風龍舌蘭のほかに鳴る 鷲谷七菜子 黄 炎
秋の風龍駕かゞよひ往き給ふ 飯田蛇笏 霊芝
税関に一つも荷なし秋の風 森田峠 三角屋根
種豚が猫鳴きするや秋の風 内田百間
積肥の乾き火発す秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
穴蔵の断頭台や秋の風 有馬朗人 耳順
空き壜のラベルになった秋の風 津沢マサ子 空の季節
空をゆく透明獣の秋の風 堀口星眠 青葉木菟
立つ秋の風を力や畑の木木 中川宋淵 詩龕
竹には竹の杉には杉の秋の風 柴田白葉女 花寂び 以後
竹割れば粉虫身に降る秋の風 金尾梅の門 古志の歌
竹寺は竹のみで佳し秋の風 石川桂郎 高蘆
笑ひて子泣きて子育つ秋の風 成瀬正とし 星月夜
笛吹川雲間の割るる秋の風 石原八束 空の渚
笠の端に山かさなりて秋の風 正岡子規
笹百合や土用をかけて秋の風 中村史邦
算盤の古く重たき秋の風 高篤三
箸おいて居睡る癖や秋の風 内田百間
簗打つて山河引き緊む秋の風 松本たかし
簾透く水のひかりや秋の風 久保田万太郎 草の丈
籠耳の老い痴らむなり秋の風 文挟夫佐恵
粉薬やあふむく口に秋の風 永井荷風
紋付の落人踊り秋の風 八牧美喜子
経を焼(た)く火のたうとさや秋の風 服部嵐雪
網をすく燈火あをつ秋の風 乙総
綿積んで雪より白し秋の風 久米正雄 返り花
緞帳と川面を覆す秋の風 宇多喜代子
緬羊の後肢艶めく秋の風 杉山岳陽 晩婚
緬羊の遠くゐるとき秋の風 森田峠 避暑散歩
群羊のまん中暗し秋の風 大峯あきら
義朝の心に似たり秋の風 芭蕉
翡翆の淵あり瀬々は秋の風 水原秋櫻子
老い深む樹より鳴りだす秋の風 鷲谷七菜子
老の手に草よく引けて秋の風 後藤夜半 底紅
老師座に在るうれしさや秋の風 内田百間
老犬の眼うるめり秋の風 堀田和子
耳かきもつめたくなりぬ秋の風 地角 古句を観る(柴田宵曲)
肉魂のかけら飛び去る秋の風 萩原麦草 麦嵐
肘あげて能面つけぬ秋の風 小川軽舟
背伸びする骨を哭かせて秋の風 片山依子
胸に置く粥一椀や秋の風 岩田昌寿 地の塩
胸像のあはれ若きよ秋の風 池内友次郎 結婚まで
能登の子の浄瑠璃まなこ秋の風 折井眞琴
自動車を欲しやと思ふ秋の風 京極杞陽 くくたち上巻
舟捨てし広き磧の秋の風 高濱年尾 年尾句集
航く空の雲とびとびに秋の風 飯田蛇笏 椿花集
船よする築島寺や秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
芭蕉より義仲思ふ秋の風 後藤比奈夫
芭蕉破れて先住の発句秋の風 古白遺稿 藤野古白
芭蕉破れて酒旗を吹くなり秋の風 古白遺稿 藤野古白
芭蕉葉は何になれとや秋の風 路通
花を踏むことの狼籍秋の風 古舘曹人 砂の音
花買つて抱へて秋の風の中 車谷弘
苦吟してとつてつけたる秋の風 高澤良一 ももすずめ
草に斬られし血のうつくしや秋の風 畑耕一
草の家の大ついたてや秋の風 橋本鶏二 年輪
草を吹き鉄管に入る秋の風 秋元不死男
草山のすつかり刈られ秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
草木のみ吹くにはあらず秋の風 井上井月
草花の種の光や秋の風 露月句集 石井露月
草花やいふもかたるも秋の風 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
荒野原いつも吹きをり秋の風 高木晴子 晴居
蔦からむ階あり秋の風に佇つ 高濱年尾 年尾句集
藍嘗めて消えし魚毒や秋の風 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
藍染めの布はてしれず秋の風 平井照敏 天上大風
藜吹き人の脛吹き秋の風 右城暮石
蚊帳出づる地獄の顔に秋の風 加藤楸邨(1905-93)
蛇取は西瓜喰ひ喰ひ秋の風 会津八一
蜂の巣がなじむわが家の秋の風 百合山羽公 故園
蜘(くも)の囲のたるみ初けり秋の風 素顰女
蜘の巣のたるみ初めけり秋の風 素顰 俳諧撰集玉藻集
蜘何と音をなにと鳴く秋の風 芭蕉
蜘蛛何と音をなにと鳴く秋の風 松尾芭蕉
蜻蛉の四枚の薄羽秋の風 阿部みどり女 月下美人
蝸牛目やさますらん秋の風 立花北枝
蟻地獄いとど小地獄秋の風 赤松[けい]子 白毫
行くわいの麥湯もやがて秋の風 会津八一
行く秋の風むらさきに水暮るる 浅沼 艸月
行く秋の風より白き滝の糸 石田厚子
袖擦りの尼僧見かへる秋の風 石塚友二 方寸虚実
裏山や枝おろし行く秋の風 室生犀星 魚眠洞發句集
裸鶏羽摶たんとする秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
襖絵の海金剛に秋の風 桂樟蹊子
見ゆるはず聞こゆるはずの秋の風 玄
見ゆるもの言ひとめがたく秋の風 後藤夜半 底紅
見送りのうしろやさびし秋の風 松尾芭蕉
親里は見えなくなりて秋の風 一茶 ■文政八年乙酉(六十三歳)
言の葉は透明であり秋の風 池田澄子
象も耳立てゝ聞くかや秋の風 荷風
貝割菜の一叢生や秋の風 西山泊雲 泊雲句集
起きあがる風倒樹より秋の風 岸田稚魚 筍流し
足元がやさしくなりぬ秋の風 山田みづえ 木語
足許に日のさしてゐる秋の風 長谷川双魚 『ひとつとや』
身にしみて大根からし秋の風 芭蕉
身になきて打ふるはるれ秋の風 立花北枝
身の上や御鬮を引けば秋の風 正岡子規
追分にむさぼる飯や秋の風 齋藤玄 飛雪
逃げ水も藺草のあをも秋の風 石川桂郎 高蘆
逆光の烏賊曼陀羅に秋の風 文挟夫佐恵 黄 瀬
逝く秋の風をききをり風の中 洋子
逢ひたきは故人ばかりよ秋の風 結城昌治(1927-1996)
連なりて国分つ山秋の風 井上康明
道となき畠つづきや秋の風 会津八一
道の辺に債鬼と揖す秋の風 小林康治 四季貧窮
道ゆづるときに丸腰秋の風 行方克巳
道東の直路三里の秋の風 伊藤いと子
遺児の手のかくもやはらか秋の風 飯田蛇笏 雪峡
酒焼の胸くれなゐや秋の風 野村喜舟 小石川
金塊と並ぶ銀塊秋の風 野見山朱鳥
金屏の金痩せにけり秋の風 小川軽舟
金無しが仰ぐ上棟の秋の風 小林康治
釣ばりやなぐりかねたる秋の風 水田正秀
釣人や笠の陰りの秋の風 後藤夜半 翠黛
釣鐘に椎の礫や秋の風 几董
銅盤に溢るゝ清水秋の風 西山泊雲 泊雲句集
鍬を洗ふ土橋の下や秋の風 寺田寅彦
長櫃や昔虫食ふ秋の風 野村喜舟 小石川
門出でて旅の心す秋の風 殿村莵絲子 雨 月
闇の夜は闇を吹きけり秋の風 闌更
闇市に人かげみだれ秋の風 高井北杜
阿蘇山頂がらんどうなり秋の風 野見山朱鳥(1917-70)
降りそゝぐ山の烈日秋の風 相馬遷子 山国
隆起して富士玄くなる秋の風 野沢節子 八朶集以後
隨神やお弓も持たず秋の風 村上鬼城
雌雉子彫り雄雉子に添はす秋の風 野見山ひふみ
雑草に悲しき名あり秋の風 雑草(零餘子俳句集) 長谷川零餘子
雲に明けて月夜あとなし秋の風 渡邊水巴
雷鳥の消えし岩の間秋の風 勝俣ひとし
青かりし須磨の簾を秋の風 尾崎紅葉
靡くものありしところに秋の風 稲畑汀子
順々に牀几を起ちて秋の風 富田巨鹿
須磨の秋の風のしみたる帆莚か 上島鬼貫
須磨寺は戸を閉(たて)にけり秋の風 士朗
顔拭いてもらひ鞠つく秋の風 長谷川双魚 『ひとつとや』
風交や流離相寄る秋の風 小林康治 四季貧窮
風鐸が鳴りしと思ふ秋の風 高濱年尾 年尾句集
飄々と餌にくる鯉や秋の風 古舘曹人 樹下石上
飯食つてさみしくなりぬ秋の風 菖蒲あや 路 地
飼猿も見おくるふりや秋の風 三好達治 路上百句
首たてて海を見にゆく秋の風 寺田京子 日の鷹
首立てて海を見にゆく秋の風 寺田京子
馬の尾に仏性ありや秋の風 正岡子規
馬の瞳のひつそりとある秋の風 石田郷子
馬の背に入りのこる日や秋の風 会津八一
馬下りて川の名問へば秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
駒ヶ嶽を謎とし去りぬ秋の風 佐野良太 樫
騎馬警官胸張れる辻秋の風 伊藤京子
驢馬に乗り口アブー奏づ秋の風 田中英子
高麗の國に異形の山や秋の風 内田百間
高麗人の冠を吹くや秋の風 夏目漱石 明治四十二年
髪切るにいきさつはなし秋の風 尾山正子
魂棚やぼた餅さめる秋の風 炭 太祇 太祇句選
魚ばかり食べて肌透く秋の風 野澤節子 遠い橋
魚を獲し貧厨の灯や秋の風 会津八一
鯉たちの遊びの跡や秋の風 斎藤玄 雁道
鱒池に鯉まぎれなし秋の風 石川桂郎 高蘆
鳥に似て川に魚栖む秋の風 和田耕三郎
鳥飛ぶや巌が生める秋の風 磯貝碧蹄館
鵜殿まで土手半みちや秋の風 高濱年尾 年尾句集
鹿小屋も修復次手や秋の風 中村史邦
黒人の子の黒人や秋の風 高野素十
金風に提げて野のもの山のもの 馬見塚吾空
金風の美しければ蝶も又 星野椿
金風の翳す仏顔ほのに笑む 臼田亞浪 定本亜浪句集
金風や廡壁の論語あな鮮し 下村ひろし 西陲集
金風や若狭の旅の餉鯛づくし 北野民夫
金風や虚子記念館古里に 稲畑廣太郎
金風白露いつしか雁聞く夜となりぬ 寺田寅彦
鳩吹く風リフトにひとりぼつちかな 鈴木寿美子
鳩吹く風日付の判る時計買ふ 高澤良一 素抱
かさね着の老を見せけり秋のかぜ 水田正秀
すかすかと西瓜切るなり秋のかぜ 伊賀-陽和 俳諧撰集「有磯海」
人に似て猿も手を組む秋のかぜ 浜田酒堂
作り木の糸をゆるすや秋のかぜ 嵐雪 七 月 月別句集「韻塞」
元の名を忘れて呼ぶや秋のかぜ 水田正秀
刈株の蕎麦も心や秋のかぜ 野澤凡兆
吹尽しのちは草根に秋のかぜ 加舎白雄
大仏をさかる別れや秋のかぜ 内藤丈草
月になくあれは千鳥か秋のかぜ 広瀬惟然
みちのくの秋かぜ満たむおんめがね 林原耒井 蜩
子の顔に秋かぜ白し天瓜粉 黒柳召波 春泥句集
秋かぜを蹤けゆかばわれ豹とならむ 河原枇杷男 蝶座
あきかぜをいとひて閉めし障子かな 久保田万太郎 流寓抄
静岡県島田帯まつり
練り歩くやっこの毛臑秋の風 高澤良一 石鏡
牧牛の尾を振る他は秋の風 高澤良一 石鏡
鶴ケ城櫓々に秋の風 高澤良一 石鏡
秋の風翳を何處かに忘れ来し 高澤良一 暮津
秋風が見えるが如く眼鏡拭き 高澤良一 石鏡
鼻に通る秋風人體展出でて 高澤良一 石鏡
秋風が攫ひに来るよ机上のもの 高澤良一 石鏡
秋風に浮き足立てるものばかり 高澤良一 石鏡
秋風に団子しみじみ米の味 高澤良一 暮津
鯛ノ浦色なき風に鯛肥ゆる 高澤良一 ねずみのこまくら
色なき風背に釈尊の出山圖 高澤良一 ねずみのこまくら
大観
五柳先生色無き風に吹かるる圖 高澤良一 ももすずめ
十団子に添えて十団子由来状 高澤良一 宿好
以上
例句を挙げる。
人ごみに誰か笑へる秋の風 飛鳥田[れい]無公
人に似て猿も手をくむ秋の風 洒堂
人の国の牛馬淋しや秋の風 飯田蛇笏 霊芝
人の眼に涸れぬなみだや秋の風 西島麦南 人音
人も居らずほこりも立たず秋の風 正岡子規
人声のどれも念仏や秋の風 碧雲居句集 大谷碧雲居
人形は薄着してゐる秋の風 廣江八重櫻
人攀ぢる焼岳の肌秋の風 石原舟月 山鵲
人毎に吹かず吹き吹け秋の風 斎藤玄 雁道
人遠く去りゆきしまゝ秋の風 山口青邨
人間に骨なかりけり秋の風 会津八一
今はたゞ生死句にあり秋の風 松瀬青々
今日は今日の世情を帰る秋の風 米沢吾亦紅 童顔
今日も亦曠野の夕焼秋の風 相馬遷子 山国
仏体に海の匂ひや秋の風 加藤知世子 花 季
仰がるゝ鳶の破れ羽や秋の風 飯田蛇笏 霊芝
仰臥こそ終の形の秋の風 野見山朱鳥
佐渡に立つ雲のしろさよ秋の風 金尾梅の門 古志の歌
何がここにこの孤児を置く秋の風 加藤秋邨 野哭
何とせん母痩せたまふ秋の風 正岡子規
何時呼ぶも母は覚めをり秋の風 猪俣千代子 堆 朱
便船にさゝ波もなし秋の風 雑草 長谷川零餘子
停りても木馬は奔馬秋の風 杉本零
停年も間近になって秋の風 源氏鶏太
健かにわれ愚かなり秋の風 会津八一
傾きがちに体はかたし秋の風 池田澄子
先生の疎髯(そぜん)を吹くや秋の風 夏目漱石 明治三十二年
八景の中吹きぬくや秋の風 広瀬惟然
八朔や日は炎えながら秋の風 竹尾梅塢
冥土より振り向く貌や秋の風 倉橋弘躬
切りすぎし髪の中まで秋の風 朝倉和江
刈り残す一畝の粟や秋の風 寺田寅彦
刑冠の上の罪標秋の風 野見山朱鳥
初塩や間に吹き入るる秋の風 立花北枝
別れぎは手をひらひらと秋の風 奥田杏牛
化(あだし)野や蛇の衣(きぬ)ふく秋の風 野童 俳諧撰集「藤の実」
十六夜の雲吹去りぬ秋の風 蕪村遺稿 秋
十団子の碑(いしぶみ)秋の風招(よ)べり 高澤良一 燕音
十團子(とおだご)も小粒になりぬ秋の風 森川許六 (きょりく)(1656-1715)
千万の山毛欅の白さの秋の風 堀口星眠 火山灰の道
千仭の岩に蔦なし秋の風 西山泊雲 泊雲句集
南とも北ともいはず秋の風 古白遺稿 藤野古白
印南野や笠の蝿追ふ秋の風 才麿
厠より日鼻を晒す秋の風 小林康治 四季貧窮
又いつとよるべのはたや秋の風 広瀬惟然
又三郎鳴らせし窓に秋の風 辻桃子
友の愛身に相鬩ぐ秋の風 杉山岳陽 晩婚
受難図の朱衣がしたたり秋の風 大島民郎
叢に沈める橋や秋の風 楠目橙黄子 橙圃
口重の身にひゞかふも秋の風 杉山岳陽 晩婚
古倫母の夜の話きく秋の風 長谷川かな女 雨 月
古刀根や鴨来そめたる秋の風 野村喜舟 小石川
古城址は大きからねど秋の風 高浜虚子
古関を通りぬけたり秋の風 古白遺稿 藤野古白
只赭き露助タンポポ秋の風 久米正雄 返り花
右京左京中は畑なり秋の風 正岡子規
吊橋や百歩の宙の秋の風 水原秋桜子(1892-1981)
名苑の景整然と秋の風 柴田白葉女 花寂び 以後
向日葵の大き黒蕋秋の風 瀧春一 菜園
向日葵の金ンの古びや秋の風 野村喜舟 小石川
吹きふきて蝉の殻ふくや秋の風 中勘助
吹き迷ふ奈落の底の秋の風 成瀬桜桃子 風色
吾が子てふ切札持たず秋の風 後藤綾子
吾を追ふは秋の風にはあらざりき 相馬遷子 山河
味すぐるなまり豆腐や秋の風 道芝 久保田万太郎
咲いそぐ蔓草の花や秋の風 白水郎句集 大場白水郎
咳ひようとひようと乗つたり秋の風 斎藤空華 空華句集
唐きびのおどろき安し秋の風 蕪村遺稿 秋
嘘うそと囁くごとし秋の風 照敏
国土なくてある民族や秋の風 雉子郎句集 石島雉子郎
圃に立てば四辺に起る秋の風 温亭句集 篠原温亭
地に縄をおけば乱れて秋の風 今瀬剛一
坑内に入る鉄扉を押せば秋の風 成瀬正とし 星月夜
垂れ毛虫みな木にもどり秋の風 臼田亜浪 旅人
垣ごしに草がちらつく秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
塀について塀をまがれば秋の風 久保田万太郎 草の丈
塚も動けわが泣く声は秋の風 松尾芭蕉
墨の黴拭ひぬ秋の風とかな 石川桂郎 四温
墨染の蝶もとぶ也秋の風 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
壁越しに病問ひあふ秋の風 加藤秋邨 起伏
売るものゝそこばくは有ち秋の風 石塚友二 方寸虚実
夕月のけば~しさを秋の風 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
夕顔は糸瓜にいづれ秋の風 会津八一
夜の波のかたみに冴ゆる秋の風 すみだ川 新井聾風
大いなる雲の穴目や秋の風 廣江八重櫻
大き声小さきを殺す秋の風 小川軽舟
大き荷の男結びに秋の風 宇多喜代子 象
大仏の尻より吹きぬ秋の風 正岡子規
大佛と共に吹かれむ秋の風 会津八一
大佛や五躰ならんで秋の風 会津八一
大口を開けば大きな秋の風 永末恵子 留守
大杉の裂目匂へり秋の風 雑草 長谷川零餘子
大濤を越え去る泡や秋の風 佐野青陽人 天の川
大秋と白林を弟子や秋の風 飯田蛇笏 山廬集
大阪や屋根の上吹く秋の風 古白遺稿 藤野古白
太極拳かまへて蛇の手秋の風 井沢正江 湖の伝説
妙高に雲動かねど秋の風 大須賀乙字
妙高の雲動かねど秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
妹泣きそ天下の晝なり秋の風 渡邊水巴
子のたまをむかへて山河秋の風 飯田蛇笏 雪峡
子の目口たちまち泣きぬ秋の風 榎本冬一郎 眼光
子守歌念誦のごとし秋の風 山本洋子
子爪このごろ親指にのみ秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
学舎よりコーラス乗せし秋の風 今泉貞鳳
宝来屋さるやの跡や秋の風 白水郎句集 大場白水郎
家もろともに闇に入る秋の風 飯田龍太
家出れば家を忘れぬ秋の風 高橋淡路女 梶の葉
宿借蟹にやる飯粒や秋の風 宮武寒々 朱卓
寝ころびし爪先にはね秋の風 皆吉爽雨 泉声
寝ころびて砂丘は白し秋の風 引田逸牛
寝ね足りて残るさびしさ秋の風 高澤晶子
寺に来て/什器となるや/秋の風 大岡頌司
尺八吹けば琴のよくなる秋の風 龍胆 長谷川かな女
山姥の木の葉のころも秋の風 中勘助
山畑や茄子笑み割るゝ秋の風 村上鬼城
山聳え川流れたり秋の風 蓼太
山車を曳く童児童女に秋の風 伊藤いと子
山道に麥丘人や秋の風 今井杏太郎
岩をかむ人の白歯や秋の風 飯田蛇笏 山廬集
巌ぬれ巌乾きぬ秋の風 露月句集 石井露月
巌群のゆらぐと見つつ秋の風 瀧春一 菜園
川底の見える流れに秋の風 浅見信八良
己(わ)が庵に火かけて見むや秋の風 原石鼎(1886-1951)
市小家に火ぶせの札や秋の風 維駒 五車反古
帽子すこし曲げかぶるくせ秋の風 久保田万太郎 草の丈
干してある薪にさす日や秋の風 久保田万太郎 流寓抄
幼子の素足アジアの秋の風 高澤晶子
床下の蕗のそよぎや秋の風 会津八一
庭石に石の根が張り秋の風 桑原三郎 晝夜 以後
引越せばここにも秋の風はやし 会津八一
形代のあと知らずゆく秋の風 松山足羽
彩らぬ切篭の総に秋の風 高井几董
御札捧げて家三めぐりや秋の風 比叡 野村泊月
御無事でさ往てござりましよ秋の風 広瀬惟然
心頭に飛花落葉や秋の風 尾崎迷堂 孤輪
忌に酌みて心に秋の風を聴く 吉村ひさ志
忘じゐし山河老いたり秋の風 小松崎爽青
恨みあふ二つの墓や秋の風 会津八一
息ぎれのしづまるまでや秋の風 久保田万太郎 流寓抄以後
悲しさや釣の糸吹く秋の風 蕪村
感化院秋の風口笛吹く人影 成瀬正とし 星月夜
憑きものの落ちたるごとく秋の風 西村和子 窓
懐に熱きこぶしや秋の風 会津八一
我死なで君生きもせで秋の風 正岡子規
戦争は斯くして起こる秋の風 高澤良一 随笑
戸障子のゆるびを覚まし秋の風 鷲谷七菜子 花寂び
手にもてる団扇に来たり秋の風 高橋淡路女 梶の葉
手に秘めし薔薇捨てばやな秋の風 横光利一
手一合零余子貰ふや秋の風 芥川龍之介 ひとまところ
手枕の腕三角に秋の風 近藤一鴻
打ち臥して何思ふらん秋の風 会津八一
拝まれて倒れる石や秋の風 桑原三郎
指話の子を抜け秋の風ひびき去る 小松崎爽青
捨てられしこうもり傘や秋の風 ジャック・スタム
捨てゝある芒の束に秋の風 阿部みどり女 笹鳴
掃きやめて顧みにけり秋の風 竹末春野人
掃落し窓より秋日秋の風 後藤夜半
掌をつらぬく三筋秋の風 原月舟
掴むものなければ秋の風掴む 岸田稚魚 『紅葉山』
掻巻もまくらも秋の風の中 久保田万太郎 草の丈
揚幕のふくらみどほし秋の風 高濱年尾 年尾句集
支那人が布團干したり秋の風 内田百間
故郷を七度あとに秋の風 会津八一
散りやすきものから吹くや秋の風 正岡子規
数珠玉の壁に立ち添ふ秋の風 右城暮石
敵役どつと討たれし秋の風(文弥人形) 岸田稚魚 『雪涅槃』
施米仕舞ふや翌の空吹く秋の風 中島月笠 月笠句集
旅に飽きてけふ幾日(いくか)やら秋の風 松尾芭蕉
旅の果葎をしぼる秋の風 小林康治 四季貧窮
旅寝して我句を知れや秋の風 松尾芭蕉
日に三度たく竃火や秋の風 橋本鶏二 年輪
日の暮や人の皃より秋の風 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
日覆の古りし艀や秋の風 高濱年尾 年尾句集
昨日吹いて今日吹くものや秋の風 東洋城千句
昼の灯のあまりに淡き秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
晝酒の早き酔なり秋の風 内田百間
曉烏文庫内灘秋の風 高浜虚子
最上川舳(みよし)へどんと秋の風 高澤良一 随笑
月落ちて丘の線くらし秋の風 太田鴻村 穂国
朝露や鬱金畠の秋の風 凡兆
朝顔も実がちになりぬ秋の風 松岡青蘿
木からもののこぼるる音や秋の風 千代尼
木の股の抱ける暗さや秋の風 高浜虚子
木原より草原行かん秋の風 高田蝶衣
木隠れに小溝鳴りをり秋の風 村沢夏風
未成とは心尽しの秋の風 仁平勝 東京物語
本堂に上る土足や秋の風 尾崎放哉
朱の丸の入日の中や秋の風 毛紘 七 月 月別句集「韻塞」
机より身を起すとき秋の風 井沢正江 火襷
杉本寺まつくらがりの秋の風 松本たかし
材木や米代川の秋の風 石井露月
来て見ればここにも吹くや秋の風 正岡子規
東西あはれさひとつ秋の風 松尾芭蕉
松山の人に馴染めば秋の風 斉藤夏風
松山の日の落ちさうや秋の風 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
枕頭に柚子置けば秋の風到る 草城
果知らずの記のあとを来ぬ秋の風 河東碧梧桐
枝さきに西日かかりて秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
枝もろし緋唐紙破る秋の風 松尾芭蕉
枝打ちの猿渡りす秋の風 龍太
柩舁く背高ぞろひや秋の風 大橋櫻坡子 雨月
栓取れば水筒に鳴る秋の風 相馬遷子 山国
校庭を磁石もて這う秋の風 二村典子
格子よりうすき来書や秋の風 鷲谷七菜子 黄 炎
桃の木のその葉散らすな秋の風 松尾芭蕉
桜蝦干し居り海は秋の風 田中冬二 行人
梨食うて顔吹き分くる秋の風 森澄雄 浮鴎
棟越しの木々夕焼けて秋の風 木歩句集 富田木歩
棟越に鳥群れ落つる秋の風 富田木歩
植ゑたせる小松の生死秋の風 西山泊雲 泊雲句集
椽側にトマトー喰ふや秋の風 会津八一
業平塚にそひたちて秋の風の中 成瀬正とし 星月夜
榛の木に子鴉むれて秋の風 飯田蛇笏 霊芝
槍の穂に咎人もなし秋の風 飯田蛇笏
槍山頂歩む不安の秋の風 沢 聰
樒売る小家の窓や秋の風 永井荷風
模写進み壁画うするる秋の風 大岳水一路
横町に横町のあり秋の風 渋沢秀雄
檸檬青し海光秋の風に澄み 西島麦南
檻の鵜も鵜籠も秋の風の中 島谷征良
櫂入れて沼はつぶやく秋の風 木村蕪城 寒泉
欠伸して鳴る頬骨や秋の風 内田百鬼園
歩きつゝ草矢とばしぬ秋の風 銀漢 吉岡禅寺洞
歩行器を使ふまはりに秋の風 朝倉和江
歯のぬけた夢の夜半や秋の風 幸田露伴 谷中集
歳月の千手(せんじゅ)なりけり秋の風 永田耕衣 物質
死ぬことをしつて死けり秋の風 松岡青蘿
死ぬものも生きのこるものも秋の風 久保田万太郎 草の丈
死屍来ると禿鷹啼くか秋の風(インド拝火教徒の鳥葬) 角川源義 『口ダンの首』
殺生の網のもつるる秋の風 大木あまり 雲の塔
母を訪ふ足音ながらに秋の風 耕衣
水なしやさくさくとして秋の風 惟中
水のめば臍へますぐに秋の風 伊東月草
水底のゆれはじめたる秋の風 藤崎久を
水引を燈籠のふさや秋の風 芥川龍之介 ひとまところ
水草の花まだ白し秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
水馬とどまる時の秋の風 高野素十
水馬走りしときの秋の風 高野素十
汐燃ゆる白亜紀化石断崖(コイコロべなぎ)秋の風 石原八束 雪稜線
波白く岩捉へをり秋の風 深見けん二
泣く母も笑ふ其子も秋の風 正岡子規
泣く者をつれて行とや秋の風 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
洛外の辻堂いくつ秋の風 服部嵐雪
洞門の曲りゐて吹く秋の風 松本たかし
洪水の尺とる門よ秋の風 一茶 ■享和二年壬戌(四十歳)
流れつゝも萍青し秋の風 碧雲居句集 大谷碧雲居
流れ入る水に逆らひ秋の風 阿部みどり女
流行の靴に疲れぬ秋の風 朝倉和江
浜の子も乙女さびたる秋の風 川崎展宏
海をみて佇てば海より秋の風 久保田万太郎 流寓抄
淀川やわたり~の秋の風 妻木 松瀬青々
淋しさに飯をくふなり秋の風 一茶
渋(さ)ビ壁に何をたよりの秋の風 程己 七 月 月別句集「韻塞」
渓魚の一串炉火に秋の風 飯田蛇笏 春蘭
湖の冷運びて秋の風となり 高木晴子 花 季
湖の波琳琅と起る秋の風(十和田湖) 内藤吐天
湖尻とは即ち野末秋の風 杉本零
湯上りのふぐり軽しや秋の風 今井杏太郎
漢方の粒真黒に秋の風 富安風生
濤のむた胸を透けゆく秋の風 内藤吐天 鳴海抄
火に落る鮎のあぶらや秋の風 増田龍雨 龍雨句集
火の中の鍋づるを見て秋の風 福田甲子雄
火を焚いて顔あかき子や秋の風 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
火口湖の色吹き替はる秋の風 高澤良一 随笑
火山灰つむじ先だつ下山秋の風 皆吉爽雨 泉声
灯は個々の思ひをいそぐ秋の風 福田甲子雄
灸花消しに来てゐし秋の風 後藤比奈夫 花びら柚子
無花果の葉の面の黴や秋の風 西山泊雲 泊雲句集
焼きたての飯のにほひや秋の風 李由 七 月 月別句集「韻塞」
焼原の日も暮れてゆく秋の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
焼捨の人のむくろに秋の風 高井几董
焼柱転げたなりに秋の風 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
熊野では縄飛びするか秋の風 坪内稔典
熔岩原をぶつかつてゆく秋の風 山田みづえ 手甲
熔鉱炉火の色動く秋の風 深見けん二
燈籠の流るゝ果や秋の風 太茂津
燭はいま祈りの在り処秋の風 飯田龍太
片なびくビールの泡や秋の風 会津八一
片時の木槿揺るれば秋の風 斎藤玄 雁道
片町を軍人行くや秋の風 内田百間
牛の目はいまも寄り目に秋の風 宇多喜代子 象
牛の耳また牛の耳秋の風 石田郷子
牛蝿は牛をたのもつ秋の風 移竹
牛部屋に蚊の声よわし秋の風 ばせを 芭蕉庵小文庫
牛部屋に蚊の声暗き残暑哉 牛部屋に蚊の声弱し秋の風 松尾芭蕉
牛飼が好きで牛飼ふ秋の風 飯島晴子
物いへば唇寒し秋の風 芭蕉翁 芭蕉庵小文庫
物音のかたりことりと秋の風 山田みづえ
犬追うてかけ出る猫や秋の風 橋本鶏二 年輪
猪垣のむすびめきれて秋の風 暁台
猿を聞く人捨子に秋の風いかに 芭蕉
瓔珞に秋の風鳴る観世音 狹川青史
瓦斯弾に睫毛かなしや秋の風 長谷川かな女 雨 月
生きのこることの辛さよ秋の風 吉田絃二郎 吉田絃二郎句集
生魚の切目の塩や秋の風 重頼
町に入る道ひろ~と秋の風 内田百間
病む人の髪ぼうぼうと秋の風 会津八一
病人は齢とりやすし秋の風 朝倉和江
病床に駈くる真似して秋の風 石田波郷
病犬の鼻づらかわく秋の風 寺田寅彦
痣に利く薬便りや秋の風 内田百間
痩せたりや二十五年の秋の風 正岡子規
痩る身をさするに似たり秋の風 服部嵐雪
白壁が廻る廻るよ秋の風 阿部みどり女
百人を産みそれからの秋の風 宇多喜代子
盆すぎの屋並まばらや秋の風 小林康治 四季貧窮
目にあまる青葉けうとし秋の風 林原耒井 蜩
眉剃つてかんばせ広し秋の風 西島麥南 金剛纂
眼のあきし思ひの一歩秋の風 村越化石
着古りたる服脱ぐ胸に秋の風 杉山岳陽 晩婚
石を売る娘と雲仰ぐ秋の風 福田甲子雄
石山の石より白し秋の風 芭蕉
石山や行かで果たせし秋の風 野澤羽紅女
砂掻いてころがる馬や秋の風 木歩句集 富田木歩
砲台の眼窩乾けり秋の風 西村和子 かりそめならず
硝子戸のべかりべかりと秋の風 太田鴻村 穂国
碾臼を道のしるべに秋の風 磯貝碧蹄館
祈る手の胸の高さに秋の風 金子三起子
禅寺の石より生れし秋の風 原 礼子
秋の風いくたび髪に手を触れし 渕上千津
秋の風いのちを浚ふほど吹かず 齋藤玄 『玄』
秋の風お中道見ゆ室も見ゆ 岡田日郎
秋の風かうかうと吹き竹出しす 冬の土宮林菫哉
秋の風かざす十指に吹きわかる 斎藤空華 空華句集
秋の風かまつかの炎をはなれては 石原舟月 山鵲
秋の風こゝろ渇きの夜に入りつ 林原耒井 蜩
秋の風しぶきをあげて瀬をわたる(半歳前の冬、青梅にて山田一雄精興社社長の急逝に逢ひしを想ふ) 石原八束 『操守』
秋の風つねにひびける端山かな 雨宮北里
秋の風のろまのほとを吹き渡り 岸田稚魚 筍流し
秋の風ふいてゐる駝鳥大股に 富澤赤黄男
秋の風ほとけの水をゆらしをり 田中ひさ子
秋の風むかしは虚空声ありき 加藤楸邨(1905-93)
秋の風レールに汽車の音残り 山本歩禅
秋の風一茶心に思ふやう 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
秋の風万の祷を汝一人に 石田波郷
秋の風三井の鐘より吹起る 暁台
秋の風乞食の飯のけぶりかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
秋の風乞食は我を見くらぶる 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
秋の風人のかほより吹そむる 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
秋の風伊勢の墓原なほ凄し 松尾芭蕉
秋の風低くくること語り継ぐ 宇多喜代子 象
秋の風地をふきたてゝ澄みにけり 松瀬青々
秋の風塩鯖を吹く皇子を吹く 坪内稔典
秋の風夜の山脈のかはりけり 中島月笠 月笠句集
秋の風大河しゞむや漁者の恭 幸田露伴 拾遺
秋の風子規恢々の眼あり 石嶌岳
秋の風実ならぬ梨を吹すさむ 成美
秋の風富士の全貌宙にあり 飯田蛇笏 椿花集
秋の風山越すに海遠白き 上村占魚 鮎
秋の風岩魚は串にさゝれけり 白水郎句集 大場白水郎
秋の風巌をみつめて顔痩せぬ 岸田稚魚 筍流し
秋の風強ければ跼み話聴く 五十嵐播水 埠頭
秋の風悪い母親吹かれおり 高澤晶子
秋の風捨身飼虎絵の窟出れば 田中英子
秋の風故山に父母をゆだね去る 大串章
秋の風新聞紙など池に浮く 山本歩禅
秋の風旅は身辺にもの殖ゆる 米沢吾亦紅 童顔
秋の風書き憂かりけむ字の歪み 加藤秋邨 野哭
秋の風書むしはまず成にけり 蕪村 秋之部 ■ 旅人に別る
秋の風最上川面を吹き広げ 高澤良一 随笑
秋の風枕の塵もとめあへず 飯田蛇笏 山廬集
秋の風柱の裏へまはりけり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
秋の風死して世を視る細眼なほ 飯田蛇笏 椿花集
秋の風母の怒りのいづこより 千葉 皓史
秋の風水うちあふひびきかな 野老 野田別天樓
秋の風水のうちあふひゞきかな 野田別天楼
秋の風激ち硫気を吹き散らす 岡田日郎
秋の風獄囚は手になにもなし 飯田蛇笏 雪峡
秋の風男のむら気吹かれゐる 直人
秋の風白く楊に溢れけり 西村公鳳
秋の風目に見えぬものすこし信ず 小檜山繁子
秋の風眼鏡はづせばまつげ吹く 山本歩禅
秋の風秋の川自動車速さ増す 林原耒井 蜩
秋の風箸おきて妻何を泣くや 安住敦
秋の風細りて通ふ櫺子窓 吉屋信子
秋の風芙蓉に雛を見付けたり 蓼太
秋の風親なきに我を吹そぶり 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
秋の風跫音うしろより来る 楸邨
秋の風都に吹くか唄の声 椎本才麿
秋の風魚すみがたく長藻ゆる 飯田蛇笏 春蘭
秋の風龍舌蘭のほかに鳴る 鷲谷七菜子 黄 炎
秋の風龍駕かゞよひ往き給ふ 飯田蛇笏 霊芝
税関に一つも荷なし秋の風 森田峠 三角屋根
種豚が猫鳴きするや秋の風 内田百間
積肥の乾き火発す秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
穴蔵の断頭台や秋の風 有馬朗人 耳順
空き壜のラベルになった秋の風 津沢マサ子 空の季節
空をゆく透明獣の秋の風 堀口星眠 青葉木菟
立つ秋の風を力や畑の木木 中川宋淵 詩龕
竹には竹の杉には杉の秋の風 柴田白葉女 花寂び 以後
竹割れば粉虫身に降る秋の風 金尾梅の門 古志の歌
竹寺は竹のみで佳し秋の風 石川桂郎 高蘆
笑ひて子泣きて子育つ秋の風 成瀬正とし 星月夜
笛吹川雲間の割るる秋の風 石原八束 空の渚
笠の端に山かさなりて秋の風 正岡子規
笹百合や土用をかけて秋の風 中村史邦
算盤の古く重たき秋の風 高篤三
箸おいて居睡る癖や秋の風 内田百間
簗打つて山河引き緊む秋の風 松本たかし
簾透く水のひかりや秋の風 久保田万太郎 草の丈
籠耳の老い痴らむなり秋の風 文挟夫佐恵
粉薬やあふむく口に秋の風 永井荷風
紋付の落人踊り秋の風 八牧美喜子
経を焼(た)く火のたうとさや秋の風 服部嵐雪
網をすく燈火あをつ秋の風 乙総
綿積んで雪より白し秋の風 久米正雄 返り花
緞帳と川面を覆す秋の風 宇多喜代子
緬羊の後肢艶めく秋の風 杉山岳陽 晩婚
緬羊の遠くゐるとき秋の風 森田峠 避暑散歩
群羊のまん中暗し秋の風 大峯あきら
義朝の心に似たり秋の風 芭蕉
翡翆の淵あり瀬々は秋の風 水原秋櫻子
老い深む樹より鳴りだす秋の風 鷲谷七菜子
老の手に草よく引けて秋の風 後藤夜半 底紅
老師座に在るうれしさや秋の風 内田百間
老犬の眼うるめり秋の風 堀田和子
耳かきもつめたくなりぬ秋の風 地角 古句を観る(柴田宵曲)
肉魂のかけら飛び去る秋の風 萩原麦草 麦嵐
肘あげて能面つけぬ秋の風 小川軽舟
背伸びする骨を哭かせて秋の風 片山依子
胸に置く粥一椀や秋の風 岩田昌寿 地の塩
胸像のあはれ若きよ秋の風 池内友次郎 結婚まで
能登の子の浄瑠璃まなこ秋の風 折井眞琴
自動車を欲しやと思ふ秋の風 京極杞陽 くくたち上巻
舟捨てし広き磧の秋の風 高濱年尾 年尾句集
航く空の雲とびとびに秋の風 飯田蛇笏 椿花集
船よする築島寺や秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
芭蕉より義仲思ふ秋の風 後藤比奈夫
芭蕉破れて先住の発句秋の風 古白遺稿 藤野古白
芭蕉破れて酒旗を吹くなり秋の風 古白遺稿 藤野古白
芭蕉葉は何になれとや秋の風 路通
花を踏むことの狼籍秋の風 古舘曹人 砂の音
花買つて抱へて秋の風の中 車谷弘
苦吟してとつてつけたる秋の風 高澤良一 ももすずめ
草に斬られし血のうつくしや秋の風 畑耕一
草の家の大ついたてや秋の風 橋本鶏二 年輪
草を吹き鉄管に入る秋の風 秋元不死男
草山のすつかり刈られ秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
草木のみ吹くにはあらず秋の風 井上井月
草花の種の光や秋の風 露月句集 石井露月
草花やいふもかたるも秋の風 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
荒野原いつも吹きをり秋の風 高木晴子 晴居
蔦からむ階あり秋の風に佇つ 高濱年尾 年尾句集
藍嘗めて消えし魚毒や秋の風 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
藍染めの布はてしれず秋の風 平井照敏 天上大風
藜吹き人の脛吹き秋の風 右城暮石
蚊帳出づる地獄の顔に秋の風 加藤楸邨(1905-93)
蛇取は西瓜喰ひ喰ひ秋の風 会津八一
蜂の巣がなじむわが家の秋の風 百合山羽公 故園
蜘(くも)の囲のたるみ初けり秋の風 素顰女
蜘の巣のたるみ初めけり秋の風 素顰 俳諧撰集玉藻集
蜘何と音をなにと鳴く秋の風 芭蕉
蜘蛛何と音をなにと鳴く秋の風 松尾芭蕉
蜻蛉の四枚の薄羽秋の風 阿部みどり女 月下美人
蝸牛目やさますらん秋の風 立花北枝
蟻地獄いとど小地獄秋の風 赤松[けい]子 白毫
行くわいの麥湯もやがて秋の風 会津八一
行く秋の風むらさきに水暮るる 浅沼 艸月
行く秋の風より白き滝の糸 石田厚子
袖擦りの尼僧見かへる秋の風 石塚友二 方寸虚実
裏山や枝おろし行く秋の風 室生犀星 魚眠洞發句集
裸鶏羽摶たんとする秋の風 乙字俳句集 大須賀乙字
襖絵の海金剛に秋の風 桂樟蹊子
見ゆるはず聞こゆるはずの秋の風 玄
見ゆるもの言ひとめがたく秋の風 後藤夜半 底紅
見送りのうしろやさびし秋の風 松尾芭蕉
親里は見えなくなりて秋の風 一茶 ■文政八年乙酉(六十三歳)
言の葉は透明であり秋の風 池田澄子
象も耳立てゝ聞くかや秋の風 荷風
貝割菜の一叢生や秋の風 西山泊雲 泊雲句集
起きあがる風倒樹より秋の風 岸田稚魚 筍流し
足元がやさしくなりぬ秋の風 山田みづえ 木語
足許に日のさしてゐる秋の風 長谷川双魚 『ひとつとや』
身にしみて大根からし秋の風 芭蕉
身になきて打ふるはるれ秋の風 立花北枝
身の上や御鬮を引けば秋の風 正岡子規
追分にむさぼる飯や秋の風 齋藤玄 飛雪
逃げ水も藺草のあをも秋の風 石川桂郎 高蘆
逆光の烏賊曼陀羅に秋の風 文挟夫佐恵 黄 瀬
逝く秋の風をききをり風の中 洋子
逢ひたきは故人ばかりよ秋の風 結城昌治(1927-1996)
連なりて国分つ山秋の風 井上康明
道となき畠つづきや秋の風 会津八一
道の辺に債鬼と揖す秋の風 小林康治 四季貧窮
道ゆづるときに丸腰秋の風 行方克巳
道東の直路三里の秋の風 伊藤いと子
遺児の手のかくもやはらか秋の風 飯田蛇笏 雪峡
酒焼の胸くれなゐや秋の風 野村喜舟 小石川
金塊と並ぶ銀塊秋の風 野見山朱鳥
金屏の金痩せにけり秋の風 小川軽舟
金無しが仰ぐ上棟の秋の風 小林康治
釣ばりやなぐりかねたる秋の風 水田正秀
釣人や笠の陰りの秋の風 後藤夜半 翠黛
釣鐘に椎の礫や秋の風 几董
銅盤に溢るゝ清水秋の風 西山泊雲 泊雲句集
鍬を洗ふ土橋の下や秋の風 寺田寅彦
長櫃や昔虫食ふ秋の風 野村喜舟 小石川
門出でて旅の心す秋の風 殿村莵絲子 雨 月
闇の夜は闇を吹きけり秋の風 闌更
闇市に人かげみだれ秋の風 高井北杜
阿蘇山頂がらんどうなり秋の風 野見山朱鳥(1917-70)
降りそゝぐ山の烈日秋の風 相馬遷子 山国
隆起して富士玄くなる秋の風 野沢節子 八朶集以後
隨神やお弓も持たず秋の風 村上鬼城
雌雉子彫り雄雉子に添はす秋の風 野見山ひふみ
雑草に悲しき名あり秋の風 雑草(零餘子俳句集) 長谷川零餘子
雲に明けて月夜あとなし秋の風 渡邊水巴
雷鳥の消えし岩の間秋の風 勝俣ひとし
青かりし須磨の簾を秋の風 尾崎紅葉
靡くものありしところに秋の風 稲畑汀子
順々に牀几を起ちて秋の風 富田巨鹿
須磨の秋の風のしみたる帆莚か 上島鬼貫
須磨寺は戸を閉(たて)にけり秋の風 士朗
顔拭いてもらひ鞠つく秋の風 長谷川双魚 『ひとつとや』
風交や流離相寄る秋の風 小林康治 四季貧窮
風鐸が鳴りしと思ふ秋の風 高濱年尾 年尾句集
飄々と餌にくる鯉や秋の風 古舘曹人 樹下石上
飯食つてさみしくなりぬ秋の風 菖蒲あや 路 地
飼猿も見おくるふりや秋の風 三好達治 路上百句
首たてて海を見にゆく秋の風 寺田京子 日の鷹
首立てて海を見にゆく秋の風 寺田京子
馬の尾に仏性ありや秋の風 正岡子規
馬の瞳のひつそりとある秋の風 石田郷子
馬の背に入りのこる日や秋の風 会津八一
馬下りて川の名問へば秋の風 子規句集 虚子・碧梧桐選
駒ヶ嶽を謎とし去りぬ秋の風 佐野良太 樫
騎馬警官胸張れる辻秋の風 伊藤京子
驢馬に乗り口アブー奏づ秋の風 田中英子
高麗の國に異形の山や秋の風 内田百間
高麗人の冠を吹くや秋の風 夏目漱石 明治四十二年
髪切るにいきさつはなし秋の風 尾山正子
魂棚やぼた餅さめる秋の風 炭 太祇 太祇句選
魚ばかり食べて肌透く秋の風 野澤節子 遠い橋
魚を獲し貧厨の灯や秋の風 会津八一
鯉たちの遊びの跡や秋の風 斎藤玄 雁道
鱒池に鯉まぎれなし秋の風 石川桂郎 高蘆
鳥に似て川に魚栖む秋の風 和田耕三郎
鳥飛ぶや巌が生める秋の風 磯貝碧蹄館
鵜殿まで土手半みちや秋の風 高濱年尾 年尾句集
鹿小屋も修復次手や秋の風 中村史邦
黒人の子の黒人や秋の風 高野素十
金風に提げて野のもの山のもの 馬見塚吾空
金風の美しければ蝶も又 星野椿
金風の翳す仏顔ほのに笑む 臼田亞浪 定本亜浪句集
金風や廡壁の論語あな鮮し 下村ひろし 西陲集
金風や若狭の旅の餉鯛づくし 北野民夫
金風や虚子記念館古里に 稲畑廣太郎
金風白露いつしか雁聞く夜となりぬ 寺田寅彦
鳩吹く風リフトにひとりぼつちかな 鈴木寿美子
鳩吹く風日付の判る時計買ふ 高澤良一 素抱
かさね着の老を見せけり秋のかぜ 水田正秀
すかすかと西瓜切るなり秋のかぜ 伊賀-陽和 俳諧撰集「有磯海」
人に似て猿も手を組む秋のかぜ 浜田酒堂
作り木の糸をゆるすや秋のかぜ 嵐雪 七 月 月別句集「韻塞」
元の名を忘れて呼ぶや秋のかぜ 水田正秀
刈株の蕎麦も心や秋のかぜ 野澤凡兆
吹尽しのちは草根に秋のかぜ 加舎白雄
大仏をさかる別れや秋のかぜ 内藤丈草
月になくあれは千鳥か秋のかぜ 広瀬惟然
みちのくの秋かぜ満たむおんめがね 林原耒井 蜩
子の顔に秋かぜ白し天瓜粉 黒柳召波 春泥句集
秋かぜを蹤けゆかばわれ豹とならむ 河原枇杷男 蝶座
あきかぜをいとひて閉めし障子かな 久保田万太郎 流寓抄
静岡県島田帯まつり
練り歩くやっこの毛臑秋の風 高澤良一 石鏡
牧牛の尾を振る他は秋の風 高澤良一 石鏡
鶴ケ城櫓々に秋の風 高澤良一 石鏡
秋の風翳を何處かに忘れ来し 高澤良一 暮津
秋風が見えるが如く眼鏡拭き 高澤良一 石鏡
鼻に通る秋風人體展出でて 高澤良一 石鏡
秋風が攫ひに来るよ机上のもの 高澤良一 石鏡
秋風に浮き足立てるものばかり 高澤良一 石鏡
秋風に団子しみじみ米の味 高澤良一 暮津
鯛ノ浦色なき風に鯛肥ゆる 高澤良一 ねずみのこまくら
色なき風背に釈尊の出山圖 高澤良一 ねずみのこまくら
大観
五柳先生色無き風に吹かるる圖 高澤良一 ももすずめ
十団子に添えて十団子由来状 高澤良一 宿好
以上
by 575fudemakase
| 2014-10-07 00:02
| 秋の季語

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
カテゴリ
全体無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
j
未分類
以前の記事
2026年 04月2026年 01月
2025年 12月
more...
フォロー中のブログ
ふらんす堂編集日記 By...魚屋三代目日記
My style
メモ帳
▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
検索
タグ
お最新の記事
| 最近の嘱目句あれこれ47 2.. |
| at 2026-04-12 04:06 |
| 季語別鈴木しげを句集を読んで.. |
| at 2026-04-10 13:21 |
| 俳句年鑑2026年版を読んで.. |
| at 2026-01-17 22:31 |
| 最近の嘱目句あれこれ46 2.. |
| at 2026-01-03 05:49 |
| 最近の嘱目句あれこれ45 2.. |
| at 2025-12-16 16:16 |
| 最近の嘱目句あれこれ44 2.. |
| at 2025-11-17 10:38 |
| 辻桃子句集 水蜜抄を読んで .. |
| at 2025-11-06 07:28 |
| 角川 俳句賞(2025年)を.. |
| at 2025-10-26 07:29 |
| 最近の嘱目句あれこれ43 2.. |
| at 2025-10-24 01:30 |
| 最近の嘱目句あれこれ43 2.. |
| at 2025-10-24 01:11 |
| 樹令 |
| at 2025-10-24 00:17 |
| 最近の嘱目句あれこれ42 2.. |
| at 2025-10-04 11:56 |
| 最近の嘱目句あれこれ41 2.. |
| at 2025-10-02 06:12 |
| 最近の嘱目句あれこれ40 .. |
| at 2025-09-15 00:50 |
| 最近の嘱目句あれこれ39 .. |
| at 2025-09-08 08:51 |
| 最近の嘱目句あれこれ37 2.. |
| at 2025-09-04 19:58 |
| 最近の嘱目句あれこれ38 2.. |
| at 2025-09-04 19:52 |
| 最近の嘱目句あれこれ36 2.. |
| at 2025-08-28 03:10 |
| 最近の嘱目句あれこれ35 2.. |
| at 2025-08-19 21:35 |
| 最近の嘱目句あれこれ34 2.. |
| at 2025-08-17 20:50 |
