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甘藷

甘藷

例句を挙げる。

あかあかと吉野は藷を洗ひあげ 日原傳
あかあかと藷ゆたけしや茎漬も 石田波郷
あかあかと藷洗ひあげ終戦日 高澤良一 ねずみのこまくら
あかつきの甘藷蔓焚火鶴を待つ 河野静雲 閻魔
うす味に馴らされて今日走り藷 朝倉和江
うつくしきもの献饌の走り藷 黒田杏子
うゑをへし拓地の藷に返り梅雨 飯田蛇笏 春蘭
おのが息見えて夜に入る甘藷集め 藤原たかを
お十夜の供物の甘藷にくる鼠 小原菁々子
がやがやと藷穴に藷ひしめける 白井 爽風
これ当り藷は流行りのベニアズマ 高澤良一 寒暑
しろしめす国土の恩甘藷太る 河野静雲
てっぺんに山羊と赤ん坊甘藷を掘る 右城暮石 上下
ほうらまた日が射してくる甘藷刈 如月真菜
みそなはせ仏勤も藷よごれ 松藤夏山 夏山句集
みづみづしき藷掘りつづけ敗者の背 加藤楸邨
むきてまですすむる藷を食ひにけり 木津柳芽
やはらかき土につまづく藷集め 市村究一郎
よき婢来て甘藷煮ころばす新厨 林翔 和紙
るいるいと生きゐる藷を掘りおこす 百合山羽公
コロッケに藷のかたまり夜学果つ 辻桃子 ねむ 以後
バスの雨漏わらふ他なく甘藷提げて 原田種茅 径
ミサの鐘藷掘る夫婦立ち上り 秋吉良聞
ヴェルテルに朱線引き藷小粒も食ふ 川口重美
一鍬に藷いくつもの肌すこしみゆ 篠原梵 雨
下顎を動かし食らふ熱き藷 森澄雄 鯉素
串ざしの甘藷宝前に初閻魔 井上治子
主人拙を守る十年つくね藷 芥川龍之介 我鬼窟句抄
予後の妻藷の畝見てまた歩む 斉藤夏風
何といふ幸福甘藷蔓車の上の妻は 加倉井秋を 『真名井』
供藷眼耳鼻舌身意もなしと 阿波野青畝
八方へ逃げゆく藷を掘り上ぐる 神生彩史
内閣改造甘藷包みし新聞紙 星野禎三
冬空へ打つ甘藷の鳥威し 太田土男
初甘藷を甘しと思ふ大暑かな 瀧澤伊代次
利心も漸く失せて藷旨し 相生垣瓜人
割ってみて知れりお藷の甲乙丙 高澤良一 寒暑
半漁の糊口の藷に濤ひびく 大岳水一路
南大門址の藷掘り起す頃 百合山羽公 故園
古墳近し甘藷掘って丘丸裸 右城暮石 上下
君去なば食はむ藷君に見られしや 石田波郷
土われてべにあかこえる藷畠 飯田蛇笏 春蘭
土塊にくつついてゐる子藷かな 松藤夏山 夏山句集
夫婦して主に汗捧げ甘藷挿す(肥前長崎十字架山) 上村占魚 『萩山』
子育ての頃の重みや藷背負ふ 羽根嘉津
子規に供ふ早掘り甘藷の赤ら甘藷 右城暮石 上下
山を向くゆまり念仏藷の里 赤松[けい]子 白毫
山頂に女藷食ふかなしけれ 石田あき子 見舞籠
島畑の藷蔓のみや戻り籠 石丸恭子
掘り残す甘藷足裏が捉へけり 藤野 力
敷き返す日ざかりの葉の甘藷畑 長谷川素逝 村
新馬鈴藷や農夫掌よく乾き 中村草田男
新馬鈴藷や黒土の窪器めく 香西照雄 素心
日に酔うて藷挿しをるや山畑 藤田あけ烏 赤松
日の沈む地平線まで藷畑 本間 登世
早くすむ水仕はさびし甘藷を食ふ 亀井糸游
春の甘藷くすべて炉火のなほつゞく 百合山羽公 故園
春鹿も所詮貧しう藷食へり 原コウ子
晩紅を汚して藷を掘りつくす 百合山羽公 故園
暮の富士女ばかりが甘藷負ふか 岩田昌寿 地の塩
暮るるまで後一仕事藷をさす 中村 志ま
月いかに照るとも畑に甘藷あらず 山口波津女 良人
月明の箸を逃げたる甘煮藷 斎藤玄 雁道
柳川や汲水場に洗ふ走り藷 有働亨 汐路
樹々多き町富田浜甘藷分つ 山口誓子
欸欸の終焉の島藷を挿す 阿波野青畝
死の雨へ鋼の手足藷買ひに 熊谷愛子
母よ藷が真赤に晩年もいいね 北原志満子
水盤に活けて甘藷蔓ただ暗し 小池文子 巴里蕭条
水藷といへども笑棄てざりき 石田波郷
海に日が落つるや藷を掘り疲れ 田村吾亀等
海近き夜明の藷の畝が冷え 中拓夫 愛鷹
猪の鼻が藷掘る無月かな 龍岡晋
甘藷かこふひと日ぬくたく穴掘つて 長谷川素逝 村
甘藷にも鰯にも溺れそめにけり 徳永山冬子
甘藷の籠にほうと張る腰仮祝言済み 石川桂郎 含羞
甘藷の芽やたちまち砂塵襲ふなる 小池文子 巴里蕭条
甘藷の蔓かたよせてある恵方かな 佐野青陽人 天の川
甘藷の貨車出勤の踏切断ちぬ 原田種茅 径
甘藷を掘り運ぶラジオを鳴らしづめ 右城暮石 声と声
甘藷を掘ることを暮色の中に止む 山口誓子
甘藷を掘る一家の端にわれも掘る 西東三鬼
甘藷を掘る三保の松原に尻立てて 古館曹人
甘藷を掘る女の欲は限りなし 右城暮石 声と声
甘藷凍つをわが罪の如隠し棄つ 殿村菟絲子 『繪硝子』
甘藷売の火屑をこぼす鳥総松 久保田晴朗
甘藷屑がころぶ彼岸の土乾く 松村蒼石 雁
甘藷引いてどれも三河の貌ばかり 望月たかし
甘藷掘に神父手を貸す島畑 松原直庵
甘藷掘に荒れたるわが手クラス会 野島知代子
甘藷掘りしその夜の雨を聞きにけり 山口波津女 良人
甘藷掘りを牛はかなしき瞳もて待つ 才記翔子
甘藷掘るや木の根まだある開拓地 岩下鳴堂
甘藷掘をねぎらふおのが手の白く 馬場移公子
甘藷洗ふ少女に乞ひて水あまき 塚本 久子
甘藷畑のかぎり時化雲たれてゆく 長谷川素逝 村
甘藷畑の崖下に紺日本海 茨木和生 遠つ川
甘藷穴のひとつは満ちて掃かれけり 遠藤正年
甘藷穴より突き出て赤き農夫の首 野沢節子
甘藷穴をふさぎてよりの霜日和 金子伊昔紅
甘藷蔓の焚火いぶりに塚はあり 下村ひろし 西陲集
甘藷蔓を捨てゝ肥とす島の畑 森田 峠
甘藷負つてこゝに年暮るゝ楢櫟 岩田昌寿 地の塩
甘藷車押すは大江の神父かも 古場青芒
甘藷配つ街裏大河流れたり 中島斌男
甘藷食ひしあとの放心一茶の忌 猿橋統流子
甘藷食ふは至福にちかし寝転べば 伊藤白潮
甘藷食ぶまだ信仰に遠くゐて 岩岡中正
生きて会ひぬ彼のリユツクも甘藷の形り 原田種茅 径
敗戦日と云へば母の答えて
疎開地の機銃掃射の藷畑 高澤良一 鳩信
真青な空に鍬立て甘藷を掘る 大平 喜代子
眼に見えて榜ぎ去る舟の甘藷盗人 佐野まもる 海郷
福引の当りてどかと藷大根 新津香芽代
秋風や甘藷酒通す咽仏 野村喜舟 小石川
稀の栗愛でたし常の藷親し 瓜人
空海のまるみを土の中の藷 大坪重治
筆折つて藷に窶るゝ六腑かな(文章書かぬ言ひわけに) 『定本石橋秀野句文集』
粗壁に夕日が射して甘藷煮ゆる 柏 禎
芒わけて甘藷先生の墓を得たり 子規句集 虚子・碧梧桐選
草市や僅に細き甘藷 野村喜舟 小石川
莫迦戦争藷が主食の座につきて 高澤良一 随笑
藁担ぎ来て甘藷穴の霜覆 根岸善雄
藪ふかく甘藷竃古る華鬘草 富安風生
藪鴬笑ひ甘藷提げ三鬼去る 沢木欣一 塩田
藷おもく畚におはれてになひけり 飯田蛇笏 春蘭
藷たべてゐる子に何が好きかと問ふ 京極杞陽
藷つるの谷へかむさる大暑かな 『定本石橋秀野句文集』
藷の付く頃を猪よく知れり 高澤良一 燕音
藷の葉に大いなる穴開けし奴 高澤良一 鳩信
藷の蔓羅漢を指してゆれてをり 下村槐太 光背
藷を挿す屋の上の畑の白き日に 篠原梵 雨
藷堀の意を強うせる風が吹き 高澤良一 鳩信
藷掘のもどりて佳景のみ言へる 亀井糸游
藷掘の楽しみ畝に探り当て 高浜年尾
藷掘の藷より多き子の話 永井たえこ
藷掘られ土と無縁のごと乾く 津田清子 礼 拝
藷掘りて信仰支ふ大江びと 下村ひろし 西陲集
藷掘りて島は目にたつみどりなし 佐野まもる 海郷
藷掘りに新月かゝり始めけり 松藤夏山 夏山句集
藷掘りを猿が見に来る岬かな 須原正三
藷掘る子彼岸の川に走りけり 米沢吾亦紅 童顔
藷掘れる島に向つて舟を寄す 松藤夏山 夏山句集
藷掘を見下ろしたまふ野の聖母 朝倉和江
藷殻の黒塚群れてわれを待つ 西東三鬼
懐旧 隣家のおばさん
藷洗ふ笠置シズ子のブギウギに 高澤良一 ぱらりとせ
藷畑にただ秋風と潮騒と 山本健吉
藷畑のへりの土はや秋深む 百合山羽公 故園
藷畑の起伏二の丸三の丸 下村ひろし 西陲集
藷穴の大きく長子還り来る 大江かずこ
藷等みな土中にみのれりたたかい前 赤城さかえ句集
藷腹に軽き飢あり示現流 橋本榮治
藷蔓をひきずり入るる牛舎暮れ 市村究一郎
藷蔓を抱きよろめくを免かれずや 殿村菟絲子 『路傍』
藷蔓を押しかぶせたる茶垣かな 比叡 野村泊月
藷蔓を焚きて火の穂を揚げ得むや 篠田悌二郎 風雪前
藷蔓を衾ちちろの鳴けるなり 高澤良一 ぱらりとせ
藷負ふや焦土の果の夜明富士 加藤楸邨
藷食うてをれば何とか耐へらるる 佐々木六戈
藷食うて鰯を食うて膂力かな 東洋城千句
虹の雨そゝぐ藷蔓うちかへす 西島麦南 人音
赤城峰は青し甘藷あかの手を洗ふ 下鉢清子
走り藷少し並べて朝市女 柿島貫之
跼む背に闇の重さや甘藷集め 藤原たかを
辺戸岬甘藷蔓たぐりゐし女 沢木欣一
道端に甘藷ころげ落つ短かき日 岩田昌寿 地の塩
遠嶺も晴いく畑となく藷掘られ 古沢太穂 古沢太穂句集
酒赤し、甘藷畑、草紅葉 芥川龍之介 蕩々帖〔その一〕
野分にも藷にも今や號ありぬ 相生垣瓜人
鍬切れの藷の白傷ごまかし得ず 津田清子
隠れ耶蘇今も貧しく甘藷掘れり 山口喜久子
雉子よけ網かたよせ藷を掘りにけり 新井 英子
雜俳と藷作っても作っても 高澤良一 宿好
雨降嶺晴れ藷の長畝もっこりと 高澤良一 寒暑
顔撫でてゐしが甘藷をつかみけり 岸本尚毅 舜
風の雁甘藷蔓あげの朝海女に 橋本鶏二
風荒き畑にしなひて甘藷穂立つ 伊舎堂根自子
黒島の藷の畑に時雨虹 松藤夏山 夏山句集
観自在菩薩(かんじーざいぼーさつ)藷の蒸けたるを 高澤良一 ももすずめ
襤褸くそに云はれ折らるる蒸し藷 高澤良一 さざなみやつこ
ふかし藷あてがはれをり留守居役 高澤良一 ぱらりとせ
いいとこどりして立つ句評ふかし藷 高澤良一 随笑

人前をもう憚らぬふかし藷 高澤良一 寒暑
さる人
ふかし藷なんつったって戦中派 高澤良一 寒暑
お藷蒸す土偶体形疎んずも 高澤良一 寒暑
浄見寺 大岡越前守墓所
忠相の生れ在所や藷畠 高澤良一 石鏡
美味けりゃ佳し藷の器量を云ふ勿れ 高澤良一 石鏡
乾燥藷焙れば月(ルナ)の隕石(クレーター)孔 高澤良一 暮津
ふかし藷皮の赤さの切なけれ 高澤良一 暮津
大学芋食うて戦争あやしまず 高澤良一 暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-10-30 00:25 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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