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猫の恋

猫の恋

例句を挙げる。


あの声は何いふ事ぞ猫の恋 猫の恋 正岡子規
あまり鳴て石になるなよ猫の恋 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
あらすぢも仔細もあらぬ猫の恋 三田きえ子
あらすぢも仔細もなくて猫の恋 三田きえ子
いたく汚れしわが恋猫とすれちがふ 黒木 夜雨
うき人に石投げらるゝ猫の恋 猫の恋 正岡子規
うき猫をくどく声音や屋根の上 猫の恋 正岡子規
うつゝなに泣く児あやすや猫の恋 高橋淡路女 梶の葉
うらやましおもひ切る時猫の恋 越智越人 (1656-?)
うらやまし思ひきる時猫の恋 越人
うらやまし思ひ切る時猫の恋 越人
おそろしや石垣崩す猫の恋 猫の恋 正岡子規
おもひ寐の耳に動くや猫の恋 炭 太祇 太祇句選
かもめ食堂本日休業猫の恋 浪山克彦
きけばやさし見れはこはらし猫の恋 猫の恋 正岡子規
きぬきぬの猫を見てやる夜明哉 猫の恋 正岡子規
くぐり行く土椽の音や猫の恋 会津八一
げんげ田に恋猫がいて神宿る 三谷昭 獣身
げんげ田に恋猫がゐて神宿る 三谷昭
こひ猫や何の思ひを忍びあし 猫の恋 正岡子規
そそくさと水飲んで去る猫の恋 原裕 正午
たんざくの数にやさしや猫の恋 浜田酒堂
どら猫に恋の名もあり祇園町 猫の恋 正岡子規
なれも恋猫に伽羅(きゃら)焼いてうかれけり 服部嵐雪
なれも恋猫に伽羅焼てうかれけり 服部嵐雪
ぬかるみに来て恋猫に見入らるる 太田鴻村 穂国
のら猫も女の声はやさしとや 猫の恋 正岡子規
のら猫や思ふがまゝに恋ひわたる 猫の恋 正岡子規
はるかなる地上を駆けぬ猫の恋 石田波郷
ふみ分けて雪にまよふや猫の恋 千代尼
またうどな犬ふみつけて猫の恋 松尾芭蕉
み仏の半眼となる猫の恋 都竹禎子
よもすがら簀の子の下や猫の恋 猫の恋 正岡子規
わが屋根をゆく恋猫は恋死ねよ 藤田湘子
われわれが案ずるときに猫の恋 下村槐太 天涯
エジプトの恋猫の闇青からむ 布施伊夜子
コインテレビはたと像消ゆ猫の恋 奈良文夫
バツハ死して今日まで猫の恋つづく 皆吉司
ランボーを五行とびこす恋猫や 寺山修司(1935-83)
一字だけつかぬネオンや猫の恋 栗林明弘
一座黙し迎う汚れし恋猫なり 赤城さかえ
三つ並ぶ真中が鳴けり猫の恋 小野恵美子
三匹になりて喧嘩す猫の恋 猫の恋 正岡子規
両方で睨みあひけり猫の恋 猫の恋 正岡子規
両方に髭がある也猫の恋 来山
中垣や行きあふ猫のいどみ顔 猫の恋 正岡子規
乳のみ子は恋猫程になきにけり 猫の恋 正岡子規
二つ来てしばしはよらず猫の恋 猫の恋 正岡子規
五器の飯ほとびる猫の思ひかや 猫の恋 正岡子規
人の恋見下ろしてゐる猫の恋 吉年虹二
位牌光れり恋猫の鳴いてをり 村上賢一
俳句にも修羅場がありし猫の恋 森田かずや
俳諧の昼のふかみに猫の恋 下村槐太 光背
光明寺境内にして猫の恋 森 澄雄
八車線渡り切つたる猫の恋 出口善子
内でなけば外でもなくやうかれ猫 猫の恋 正岡子規
内のチヨマが隣のタマを待つ夜かな 猫の恋 正岡子規
円覚寺料峭として猫の恋 青木重行
凍え死ぬ人さへあるに猫の恋 正岡子規
初恋の心を猫に尋ねばや 猫の恋 正岡子規
化粧(けはひ)する果やなき出す猫の恋 中村史邦
午前三時の猫の感情春の星 岡 あきら
去勢の猫と去勢せぬ僧春の日に 金子兜太 詩經國風
吾が前に梅雨の恋猫身をなめる 八牧美喜子
喧嘩とも恋とも知らず猫の声 猫の恋 正岡子規
嗅で見てよしにする也猫の恋 一茶 ■文化十二年乙亥(五十三歳)
嘴に菜の花くはえ海猫の恋 福田甲子雄
嚏して恋猫と同じ眼の光り 河野多希女 納め髪
地震して恋猫屋根をころげけり 猫の恋 正岡子規
地震やみしあとのしじまや猫の恋 深見けん二
坐禅僧またたきひとつ猫の恋 加藤知世子 花 季
埋葬や恋猫の四肢やわらかく 岡村知昭
城山のまた颪しをり猫の恋 大峯あきら
墓番となりて恋猫傷癒す 毛塚静枝
墨色の夜のむかうの猫の恋 木栓恵美
声たてぬ時がわかれぞ猫の恋 千代尼
声たてぬ時が別れぞ猫の恋 千代女
声真似る小者おかしや猫の恋 炭 太祇 太祇句選
売家のいせが軒ばや猫の恋 高井几董
夕月の楔打つたり猫の恋 行方克巳
夜空染め遠火事消ゆる猫の恋 宮武寒々 朱卓
大仏にもつてのほかの猫の恋 角川春樹 夢殿
大比叡の表月夜や猫の恋 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
大猫の恋にやつるゝあはれさよ 猫の恋 正岡子規
天窓の低き家並や猫の恋 松本美簾
太陽も恋猫ふとるにまかせたり 桜井博道 海上
奈良町は宵庚申や猫の恋 飴山實
好き嫌ひありてかなしき猫の恋 帖地津木
始まりも終りもなくて猫の恋 桑原信子
婆の臥所出て恋猫となりゆけり 三浦紀水 『湖その後』
学僧に梅の月あり猫の恋
学問の灯をゆるがして猫の恋 五十嵐播水
宝石の瞳をもちにけり猫の恋 廣田松枝
宵の間や小猫が恋のあわたゞし 猫の恋 正岡子規
寝て起て大欠〔伸〕して猫の恋 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
寝て起て大欠して猫の恋 一茶
対岸の日向を歩く猫の恋 大木あまり 火球
対峙してゐし猫の恋追はれたる 稲畑汀子
寿福寺の四つ目垣より春の猫 棚山波朗
尾は蛇の如く動きて春の猫 高浜虚子
尾を水平に猫の恋了はりけり 小澤實
山中に恋猫のわが猫のこゑ 橋本多佳子
山国の暗すさまじきや猫の恋 原石鼎(1886-1951)
山峨々としてその麓猫の恋 岸本尚毅
山形訛り恋猫をわしづかみ 今井 聖
山門を出て恋猫に豹変す 町田しげき
巨燵の山流しの川や猫の恋 猫の恋 正岡子規
己が傷を舐めて終りぬ猫の恋 清水基吉
待つ恋にこがれて泣くや臼の猫 猫の恋 正岡子規
微震ある日本列島猫の恋 大木あまり 火球
忍びあへず男猫泣くなり塀の上 猫の恋 正岡子規
忍ぶれど猫に出でにけり我恋は 猫の恋 正岡子規
恋しらぬ猫や鶉を取らんとす 猫の恋 正岡子規
恋は皆やせるならひか猫の五器 猫の恋 正岡子規
恋猫がうしろ忘れているうしろ 池田澄子
恋猫がよぎるうつろの蚕卵氷室 堀口星眠 営巣期
恋猫が佃島より逃げてくる 大石雄鬼
恋猫が啼く考えてゐるわれに 加倉井秋を 『午後の窓』
恋猫が啼く考へてゐるわれに 加倉井秋を 午後の窓
恋猫が屋根にゐるピアノを叩く 加倉井秋を
恋猫が屋根に居るピアノを叩く 加倉井秋を 『胡桃』
恋猫が恋す復元穴居にて 茨木和生 野迫川
恋猫が貯炭地獄を賑はすも 小林康治 玄霜
恋猫が過ぎてあをあを青畳 加藤秋邨 吹越
恋猫が闇のすべてを負ひもどる 山本つぼみ
恋猫といふ厄介を抱きとりぬ ふけとしこ 鎌の刃
恋猫として愛嬌を忘れたる 後藤比奈夫 めんない千鳥
恋猫となりきれずはや戻り来し 一ノ木文子
恋猫となりげんげ田を彷徨す 三谷昭 獣身
恋猫となりしにはかの汚れかな 遠藤若狭男
恋猫となりたり昼は寝てばかり 大塚友治
恋猫となりぬそれより素つ気なし 長谷川久美
恋猫となりミー子ではなくなりし 橋本佐智
恋猫とはやなりにけり鈴に泥 青畝
恋猫とゐて身辺を乱さるる 赤尾恵以
恋猫と未だ至らず人恋へり 石塚友二 光塵
恋猫と獏を戦列に入れる 瀬戸美代子
恋猫と語る女は憎むべし 西東三鬼(1900-62)
恋猫にうしろを鳴かれ急ぐなり 田中菅子 『紅梅町』
恋猫にうって変はれる日も近し 高澤良一 随笑
恋猫にそそのかされて告白す 竹間祥子
恋猫にたつきの水を落しけり 辻桃子
恋猫にとりまかれてゐる無重力 八木荘一
恋猫にとり囲まれて早寝せり 古賀まり子 緑の野
恋猫にまだ北風荒き三崎かな 久米正雄 返り花
恋猫にまつくらがりの浮御堂 大峯あきら
恋猫にみられ独りの刻ながし 田邊香代子
恋猫に夜の闇の渦なすところ 山田弘子 螢川
恋猫に夜闇の火の気いつまでも 飯田龍太
恋猫に大きなドアも開けもする 中村汀女
恋猫に大きなドアを開けもする 中村汀女
恋猫に大きな月ののぼりけり 稲田眸子
恋猫に大学の垣長くあり 田村了咲
恋猫に小石浮き出る峡の畑 鍵和田[ゆう]子 浮標
恋猫に屋根貨してをる悉皆屋 大石悦子 聞香
恋猫に思ひのほかの月夜かな 中村汀女(1900-88)
恋猫に憎まれながら路地抜ける 佐野美智
恋猫に戸をあけてやる森の星 及川貞 夕焼
恋猫に手振る病師の爪が鳴りし 森川暁水 淀
恋猫に投げたる石の見えて弾む 波多野爽波 鋪道の花
恋猫に月の荒磯は照りにけり 大峯あきら
恋猫に柔らかき尾の戻る朝 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
恋猫に水ぶつかけて路地に老ゆ 菖蒲あや
恋猫に留守あづけるや桃の花 桃の花 正岡子規
恋猫に給水塔のただ高し 池田秀水
恋猫に豹変したる月夜かな 山田弘子 懐
恋猫に身ほとり揺らぐ神詣 鍵和田[ゆう]子 浮標
恋猫に音叉を一つ打ちやりぬ 大石悦子
恋猫に颯とたてがみのやうなもの いのうえかつこ
恋猫に魚とられる島の店 島原徳栄
恋猫のあはれやある夜泣寝入 猫の恋 正岡子規
恋猫のいぎたなく寝て昼のバラ 久米正雄 返り花
恋猫のうかがひ走り蜑の路地 行方克巳
恋猫のうかれて塀を踏み外す 稲畑廣太郎
恋猫のかへる野の星沼の星 橋本多佳子
恋猫のがう~として藪の月 原石鼎
恋猫のこゑの百態聞きて癒ゆ 橋本榮治 麦生
恋猫のこゑを真似して通りけり 高澤良一 さざなみやつこ
恋猫のごう~として藪の月 石鼎
恋猫のつきくる初瀬詣かな 堀 文子
恋猫のひそみて闇の艶あける 能村登四郎
恋猫のふくろふ貌の難儀かな 藤田湘子 てんてん
恋猫のふんはりと垣を越えゆけり 小沢みき代
恋猫のやおらふりむく夜の坂 石崎素秋
恋猫のやおら振り向く夜の坂 石崎素秋
恋猫のゐどころせまし湖の村 堀口星眠 青葉木菟
恋猫の一心あの距離をとびし 角光雄
恋猫の一方的に鳴き通す 岬雪夫
恋猫の中のわが猫うひうひし 殿村菟絲子 『繪硝子』
恋猫の丹下左膳よ哭く勿れ 阿波野青畝(1899-1992)
恋猫の乾ける舌や水を飲む 篠原温亭
恋猫の二つの声のうらがへる 安田晃子
恋猫の二三疋なる姿かな 楠目橙黄子 橙圃
恋猫の人になつきて舟に居る 岸本尚毅 舜
恋猫の人を怖れず人目避け 西村和子 窓
恋猫の人語に似たるゆゑ憎む 金子伊昔紅
恋猫の今日は抱かれて通りけり 高尾方子
恋猫の何にのぼれる爪の音 高澤良一 さざなみやつこ
恋猫の別れを惜む戸口かな 猫の恋 正岡子規
恋猫の別れ見てやる夜明哉 猫の恋 正岡子規
恋猫の和声荒声たゞ睡し 岸風三樓
恋猫の声しづまりて月上る 佐藤のぶ女
恋猫の声と分りて気ぬけせり 右城暮石
恋猫の声のうれしき頃となり 北原志満子
恋猫の声のまじれる夜風かな 長谷川櫂 蓬莱
恋猫の声ひたすらに闇の中 関根喜美
恋猫の声まねてゐよ泣いてゐよ 仙田洋子 橋のあなたに
恋猫の夜の隣りの壁をまぢかに見た シヤツと雑草 栗林一石路
恋猫の夜毎泥置く小縁かな 本田あふひ
恋猫の夜闇の火の気いつまでも 飯田龍太
恋猫の姿態月蝕赤茶け来る 河野多希女 彫刻の森
恋猫の季節と云ふか黙らっしゃい 高澤良一 燕音
恋猫の屋根を揺るがすまくらがり 妹尾 健
恋猫の帰る野の星海の星 加倉井秋を 『風祝』
恋猫の彼奴此奴が庭通る 高澤良一 ももすずめ
恋猫の往き来にそぞろ心かな 高澤良一 ぱらりとせ
恋猫の思ひのほかの月夜かな 中村汀女
恋猫の思想の胴の伸び縮み 須藤 徹
恋猫の恋する猫で押し通す 耕衣
恋猫の恋の果てなる勾玉寝 大石悦子 群萌
恋猫の恋ふ声何もはばからず 原絹江
恋猫の恋励ますか猿田彦 大石悦子 聞香
恋猫の恋若ければ空をとぶ 荻野杏子
恋猫の恨みがましきこゑ収め 高澤良一 寒暑
恋猫の手足手荒に拭いてやる 永野照子
恋猫の抜け毛を風に持たせけり 大沼きみ
恋猫の昼は寝ている椅子の上 大木正子
恋猫の昼は紙干し場に眠り 星野恒彦
恋猫の書斎の人を慕ひつつ 岸本尚毅 舜
恋猫の水だけ飲んで出てゆきぬ 木田千女
恋猫の水をぶつかけられ戻る 木田千女
恋猫の水呑むかげの日は白き 原田種茅 径
恋猫の汚れきつたる寧けさよ 行方克巳
恋猫の泰らかに過ぐ栗咲く夜 中拓夫 愛鷹
恋猫の火の玉となり失せ去んぬ 石塚友二
恋猫の片一方は知つてをり 仙入麻紀江
恋猫の犬より強くなりにけり 國廣美奈子
恋猫の瓦一枚ずらし跳ぶ 石垣青☆子
恋猫の留守あづかるや桃の花 桃の花 正岡子規
恋猫の皿なめてすぐ鳴きにゆく 加藤楸邨
恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく 楸邨
恋猫の目にものぼりし月ならん 原田喬
恋猫の眸のなかの縦の闇 佐藤恭子
恋猫の眼ばかりに痩せにけり 夏目漱石
恋猫の眼ばかりに瘠せにけり 夏目漱石 明治四十年
恋猫の眼四つとなり光る 山田節子
恋猫の老嬢坐り直しけり 高澤良一 ぱらりとせ
恋猫の耳の手触り和紙のごと 三森鉄治
恋猫の脱糞の瞳の古色かな 永田耕衣 悪霊
恋猫の薄き褥をうらがへす 岩田昌寿 地の塩
恋猫の試し鳴きして消え去りぬ 牧石剛明
恋猫の足の跡あり化粧部屋 猫の恋 正岡子規
恋猫の足冷えきつて戻りけり 多摩茜
恋猫の足噛まれたる不首尾哉 射水庵
恋猫の足萎え猫の艶やかに 三谷昭 獣身
恋猫の身も世もあらず啼きにけり 敦
恋猫の近くにゐるは洒煽る 石川桂郎 高蘆
恋猫の通ふ深雪の紅殻戸 佐野美智
恋猫の酒樽を飛び跳ねてゆく 高橋とも子
恋猫の鈴の遠音や姥子宿 井上久枝
恋猫の闇に連なる動きかな 真鍋蟻十
恋猫の闇も会陽の寺にあり 宮津昭彦
恋猫の闇やかすかに光立つ 小池文子 巴里蕭条
恋猫の闇よりも濃く走りけり 藤松遊子
恋猫の陥ちたる音の闇ふかし 菖蒲あや あ や
恋猫の雄叫び星驚けり 殿村莵絲子 花寂び 以後
恋猫の雲に隠れぬ塔の屋根 猫の恋 正岡子規
恋猫の顔の大きが来たりけり 辻桃子
恋猫の香油のやうなこゑを曳き 高澤良一 ぱらりとせ
恋猫の馬柵渡りたる疾さかな 藤木倶子
恋猫の馬柵渡りたる迅さかな 藤木倶子
恋猫の驚くほどのふぐりかな 二村恵子
恋猫の鼻に患ひしたりけり 菅原師竹
恋猫はあらきこゑさへあはれなり 猫の恋 正岡子規
恋猫は日に膨らめる瞑想家 高澤良一 ぱらりとせ
恋猫やからくれなゐの紐をひき 松本たかし(1906-56)
恋猫やたしかにやねをとんだ音 猫の恋 正岡子規
恋猫やラジオは風邪を警しめつ 岸風三樓
恋猫や世界を敵にまはしても 大木あまり 火球
恋猫や仮寓常より厚ふすま 皆吉爽雨
恋猫や城の石垣かけのぼる 猫の恋 正岡子規
恋猫や屋根ばかりなる桑名港 永井龍男
恋猫や椎の木にある夕木霊 古舘曹人 樹下石上
恋猫や横浜中華街通り 長谷川久々子
恋猫や物干竿の丸木橋 猫の恋 正岡子規
恋猫や蕎麦屋に酒と木遣節 春樹 (木場)
恋猫や表札小さく荷風遺居 村上 光子
恋猫よ汝乳削ぎの刑に処す 田邊香代子
恋猫を一歩も入れぬ夜の襖 杉田久女
恋猫を俵の中に入れにけり 廣江八重櫻
恋猫を唐天竺へ遣はしぬ 瀬戸美代子
恋猫を墓ある闇の方へ追ふ 不死男
恋猫を涅槃の闇が封じけり 矢野聖峰
恋猫を追へば打たるる身構へす 加藤知世子 黄 炎
恋知らぬ猫のふり也球あそび 猫の恋 正岡子規
恨みわびニヤニヤと泣く也猫の妻 猫の恋 正岡子規
悪猫が舐めあふ春の猫の味 三橋敏雄
我事とうらやむ猫の恋路哉 猫の恋 正岡子規
我事となくてものうし猫の恋 猫の恋 正岡子規
我心猫にうつりてうかるゝか 猫の恋 正岡子規
我恋のかくても猫に劣りけん 猫の恋 正岡子規
我恋のそれにも猫のうらみ哉 猫の恋 正岡子規
打ぢゆうの田を踏み歩く春の猫 広瀬直人
振袖を着せてやりたや猫の妻 猫の恋 正岡子規
文章に閊へてをれば猫の恋 猪俣千代子 秘 色
日の入やはや屋根に出る猫の恋 猫の恋 正岡子規
日はけふの月はきのふの猫の恋 藤村克明
明家やところところに猫の恋 猫の恋 正岡子規
昏睡の母にひびきて猫の恋 堀口星眠 営巣期
昔わが飼猫美なりき春の猫 及川貞
星はみな西へ下りゆく猫の恋 山口誓子
星影の屋根踏みならし春の猫 堀部寿子
春の夜や鼠の御所の猫の怪 菅原師竹
春の猫しづごころなき寝耳かな 西島麦南 人音
春の猫アコーディオンのごと背伸び 今井嘉子
春の猫三日目に水腐りけり 中尾寿美子
春の猫名前は夏目金之助 坪内稔典
春の猫吾に倚り来る固き頭蓋 右城暮石
春の猫夕づく炉辺にめざめけり 西島麦南 人音
春の猫我に倚り来る固き頭蓋 右城暮石 声と声
春の猫戻りの足を運びつつ 波多野爽波 鋪道の花
春の猫抱いて川幅ながめおり 橋石 和栲
春の猫明るき方に目をつむり 山田みづえ
春の猫身を長うして塀渡る 赤岡淑江
春動く雀環に飛び地に恋猫 石塚友二 光塵
月が出て月がまんまる恋猫広場 横山白虹
月もなく恋猫ばかり跳梁す 菖蒲あや
月恍と恋猫の声地をくぐる 柴田白葉女 遠い橋
望楼に星座さだまる猫の恋 平沢陽子
朧夜になりても久し猫の恋 朧夜 正岡子規
本の山また崩れたり猫の恋 鈴木鷹夫 春の門
村ぢゆうの田を踏み歩く春の猫 廣瀬直人
松の木の闇にかけこむ猫の恋 猫の恋 正岡子規
枕頭の歳時記更へむ猫の恋 相馬遷子 雪嶺
梅二三輪簪のごとし猫の恋 原石鼎 花影以後
梅寿忌や不謹慎なる猫の恋 岸風三樓
椎茸がうまるゝ夜の猫の恋 萩原麦草 麦嵐
檜葉垣に満月のれる猫の恋 遠藤梧逸
歌よまばやさしかるべきに猫の恋 猫の恋 正岡子規
止り木を跳下りしより春の猫 石田波郷
武蔵より相模へ通ふ猫の恋 有馬朗人 耳順
水鉢の水呑む猫のこがれかな 猫の恋 正岡子規
水飲んで恋猫全身癒しけり 稲垣暁星子
泣くことをおぼえて哭けり恋猫は 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
浅ましやもらふた日より猫の恋 猫の恋 正岡子規
涅槃図を抜け恋猫となりゐたる 北見さとる
淡雪や通ひ路細き猫の恋 寺田寅彦
温室に水したたるや猫の恋 日原傳
源氏山風に恋猫の声すなり 篠田悌二郎
火の山へ荒星帰る猫の恋 橋本榮治 麦生
炭斗にとぼしき炭や猫の恋 原石鼎 花影以後
爪かくす日頃わすれて猫の恋 旦爾
父の墓あたりがさかん猫の恋 櫂未知子 蒙古斑以後
猫のこひ巨燵をふんで忍ひけり 猫の恋 正岡子規
猫の妻昨日の恋の名残り見せ 綿利信子
猫の恋お堀をこえて通ひけり 猫の恋 正岡子規
猫の恋がらす障子に無分別 猫の恋 正岡子規
猫の恋やむとき閨の朧月 芭蕉
猫の恋やむとき闇の朧月 芭蕉
猫の恋やむ時閨の朧月 芭蕉
猫の恋やんだ其夜や春の雨 猫の恋 正岡子規
猫の恋やんだ其夜や雨の音 猫の恋 正岡子規
猫の恋クリーニングに出しちゃうぞ 中原幸子
猫の恋シヤワー激しく使ひけり 中西夕紀(1953-)
猫の恋ストマイつんぼ加はりぬ 安江緑翠 『枯野の家』
猫の恋パリの月下でありにけり 山田弘子
猫の恋五百羅漢をはばからず 山本歩禅
猫の恋六日とし越ふけにけり 加舎白雄
猫の恋円きはものゝうとましき 尾崎紅葉
猫の恋初手から鳴きて哀れなり 野坡
猫の恋初手から鳴て哀也 野坡
猫の恋地下鉄郡部まで延びて 前山松花
猫の恋声まねをれば切なくなる 加藤楸邨
猫の恋大長刀をわたりけり 猫の恋 正岡子規
猫の恋巴里の月下でありにけり 山田弘子 懐
猫の恋後夜かけて父の墓標書く 中村草田男
猫の恋打切棒(ぶつきらぼう)に別れけり 一茶
猫の恋新撰組の屯所跡 内海良太
猫の恋昴は天にのぼりつめ 山口誓子
猫の恋暗夜行路を跳び交し 狩行
猫の恋月に嘯くとはいへど 川端茅舎
猫の恋樹の輪郭のしどけなく 永方裕子
猫の恋止むとき閨の朧月 芭蕉
猫の恋漢方薬を煮てをれば 大竹準芳
猫の恋犬が通つてゆきにけり 塙告冬
猫の恋猫の口真似したりけり 久保田万太郎 流寓抄
猫の恋稲荷に修羅をはばからず 古田悦子
猫の恋老松町も更けにけり 草城
猫の恋老梅幹を横ふる 楠目橙黄子 橙圃
猫の恋隣の屋根へ移りけり 猫の恋 正岡子規
猫の恋風のおこらぬ斗(ばかり)なり 風国 俳諧撰集「有磯海」
猫の恋風呂まつくろに沸きにけり 原田喬
猫居らず一夜やもめの泣きにけり 猫の恋 正岡子規
猫迷ふ恋の闇路や牛の角 猫の恋 正岡子規
瓜人忌の恋猫にして憚らず 堀井爪紅
白猫の恋のはじめの闇夜かな 藤本始子
目も見えぬやうなふり也猫の恋 猫の恋 正岡子規
目薬は夜も空色猫の恋 宮脇白夜
眠り薬利く夜利かぬ夜猫の恋 松本たかし
知命とや恋猫ほどの度胸なし 福田純子
石垣をひた登りゆく猫の恋 ジャンポール絹子
破垣や行きあふ猫のいどみ顔 猫の恋 正岡子規
神代より誰か教へて猫の恋 猫の恋 正岡子規
稚児が描く恋猫の貌人間に 加藤知世子 黄 炎
窓に干す満艦飾や猫の恋 白石多稔
竹椽をふみ折る猫の思ひかな 猫の恋 正岡子規
竹椽を踏みわる猫の思ひ哉 猫の恋 正岡子規
第一の恋猫以後の乱世かな 小内春邑子
筑波嶺の歌垣(かがひ)遥かや猫の恋 角川源義 『神々の宴』
簡単に則を越えけり春の猫 山田 弘子
紅梅や秘蔵の娘猫の恋 紅梅 正岡子規
紙たたむ音にあおられ猫の恋 二村典子
義仲の田を横飛びに春の猫 進藤一考
義士の碑の水舐めにくる春の猫 鳥越恭子
羽二重の膝に飽きてや猫の恋 支考
老残の恋猫として啼けるかな 安住敦
老猫の恋のまとゐに居りにけり 虚子
耳うとき老に飼はれて猫の恋 几董
膝にくる恋猫にして眇かな 大木あまり 火球
船屋より船屋へ入りし春の猫 山尾玉藻
色町や真昼しづかに猫の恋 永井荷風(1879-1959)
色町や真昼ひそかに猫の恋 荷風
花嫁の声とも聞かじ猫の恋 猫の恋 正岡子規
草をはむ胸安からじ猫の恋 炭 太祇 太祇句選
荒行の法華経寺裏猫の恋 中江月鈴子
菜の花にまぶれて来たり猫の恋 一茶
蒲公〔英〕の天窓はりつゝ猫の恋 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
蔵王堂より朝帰り春の猫 浦野芳南
蕗かげにひそむ泥眼猫の恋 平井さち子 鷹日和
藁灰のごときもゐたり春の猫 友岡子郷
虎といふ仇名の猫ぞ恋の邪魔 猫の恋 正岡子規
蜑の路地すでに夜深く猫の恋 行方克己 知音
裏地図のもうすぐ出来る猫の恋 中川順子
親鸞の九十の春や猫の恋 野村喜舟 小石川
角はゆる迄啼つらん猫の恋 松岡青蘿
諌めつゝ繋ぎ居にけり猫の恋 炭 太祇 太祇句選
議事堂の守衛に戯れる春の猫 井上千恵子
貝の飯食へぬうき身や猫の恋 尾崎紅葉
赤い実くらがりを恋猫通す 栗林一石路
越して来て早や恋猫として鳴けり 奈良文夫
路地裏に路地裏があり猫の恋 関口篠山
身を低く来て恋猫に加はれる 長沼利恵子
身を舐めてゐて恋猫に加はらず 能村登四郎
身贔屓に加担しゐるや猫の恋 松山足羽
転び落ちし音してやみぬ猫の恋 几董
転居の荷に加はる恋猫ともならで 田中英子
追はれたる恋猫鳴くや塀の外 五十嵐播水 播水句集
退勤の夕闇明り猫の恋 深見けん二
道よぎる恋猫の尾のいそがざる 皆吉爽雨 泉声
酒蔵の表も裏も猫の恋 三木多美子
野の宮や垣の内外に猫の恋 猫の恋 正岡子規
釜滾りをり恋猫の通る頃 九鬼あきゑ
鉄板に余熱の効いて猫の恋 内田美紗 魚眼石 以降
鉄槌を跳びそこねたる猫の恋 須藤 徹
鉄門に爪の思ひや廓の猫 猫の恋 正岡子規
銀座生れ銀座育ちの猫の恋 大久保白村
鎌倉も別のことなし猫の恋 南隣 芭蕉庵小文庫
鏡台に男が座り猫の恋 富安風生
鐘塔に糸月かかり猫の恋 柏原口出子
闇の庭目のきらめくや猫の恋 野村きよみ
階段を恋猫追つて登るかな 長谷川かな女 牡 丹
雨に濡れままならぬまま猫の恋 榎本眞千
雨足の激しくなりぬ猫の恋 田原幹一郎
雪どころにも恋猫の恋のころ 茨木和生 丹生
雪の陰恋猫の眼にひたと遇ふ 良太
雪よりも真白き春の猫二匹 高浜虚子
雪解風恋猫のこゑぼろぼろに 中拓夫 愛鷹
震災の闇の地つづき猫の恋 白井房夫
青芒より現れぬ猫の恋 平井照敏
順礼の宿とる軒や猫の恋 蕪村
顔大き飛鳥仏や猫の恋 森澄雄
風呂けむり火の粉まじれる猫の恋 宮武寒々 朱卓
飼猫や思ひのたけを鳴あかし 猫の恋 正岡子規
鳴き声の腹話術めく猫の恋 佐藤母杖 『一管の笛』
鳴き通る雪間雪の上猫の恋 皆吉爽雨 泉声
鳴けば恋猫遠江国府跡 折井紀衣
鼻先に飯粒つけて猫の恋 小林一茶
須らく恋する顔の猫であり  高澤良一  ぱらりとせ
恋の猫別誂えの声を出す  高澤良一  燕音
三一(さんぴん)の弥太郎戀猫徘徊す  高澤良一  宿好
首筋を吹かれて恋の猫となる  高澤良一  随笑
あひびきのわが世とばかり恋の猫  高澤良一  随笑
恋すてふをみなの猫の富士額  高澤良一  寒暑
猫の恋人目なんぞにおかまいなく  高澤良一  素抱

以上
by 575fudemakase | 2015-02-07 00:10 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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