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三月

三月

例句を挙げる。

あり暮らす三月尽の草戸哉 松瀬青々
いきいきと三月生まる雲の奥 飯田龍太
かさなりて絵馬三月の風の中 佐久間采一
この橋のすなはち三月十日かな 前野雅生
さよならは三月の水の色で風に透く 鶴田育久
はや咲かす三月狂言紙ざくら 菊川千代子
ふるさとは陽の音生めり三月来て 新谷ひろし
みのむしを仰ぐ三月燈ともし頃 下村槐太 天涯
わが年齢おそれ三月雪の花 寺田京子 日の鷹
わが知らぬ噂三月風に昏れ 伊藤京子
ボンカレー匂う三月逆上り 坪内稔典
ポストまで通ふ日多し三月尽 馬場利春
三月に入る小鳥らもすばやくて 相馬遷子 山河
三月に南米にゆく冬籠 上野泰 春潮
三月に雪にはまたずほとゝぎす 井原西鶴
三月のお尻にさはる痴漢とは 筑紫磐井 花鳥諷詠
三月のかの地いかにと旅支度 稲畑汀子
三月のきらめきとなり瀞の水 臺 きくえ
三月のささくれ深き舟繋ぐ 谷口摩耶
三月のとぼそのひまの粉雪かな 石橋秀野
三月のとろろ昆布へ往かん、いざ 坪内稔典
三月のまだ枯色の美しく 冨永 津耶
三月の光の中の盲導犬 花島陽子
三月の十日の墓地に人の聲 冨田正吉
三月の埒もなき風日をよごす 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
三月の壁に戯る水の影 佐藤美恵子
三月の声のかかりし明るさよ 富安風生(1885-1979)
三月の大雪見ませ淡路女忌 阿部みどり女
三月の太陽近し展望台 大久保白村
三月の山に化仏のごとくをり 岡井省二
三月の手前に開く扉かな 有馬英子
三月の旅の支度にパスポート 千原草之
三月の旅程少しは遠出して 稲畑廣太郎
三月の日記びつしり生きること 中山純子
三月の日輪わたる水湖かな 木村蕪城 一位
三月の枯葦原は遠くうすれ 松村蒼石 雁
三月の枯蔓走る水の中 萩原麦草 麦嵐
三月の桑畑のぼる男下駄 桜井博道 海上
三月の梢艶噴く島の空 飯田龍太
三月の水をあつめに水走る 鎌倉佐弓 水の十字架
三月の沖へ捧げて赤ん坊 山本 源
三月の海のくろさや貝細工 中拓夫 愛鷹
三月の海の彩濃き干物選る 山田晴彦
三月の甘納豆のうふふふふ 坪内稔典(1944-)
三月の産屋障子を継貼りす 石田波郷
三月の筆のつかさや白袷 飯田蛇笏 霊芝
三月の筋書桃の大枝描き 長谷川かな女 花寂び
三月の素足や下駄の緒の大き 兼巻旦流子
三月の鉄塔一つ車窓をすぎ 皆吉 司
三月の闇まつさをの祝女の庭 上村占魚
三月の雑誌の上の日影かな 前田普羅
三月の雨に時々雪まじる 中家 徳三郎
三月の雨大枯木ひたに濡れ 久保田万太郎 流寓抄以後
三月の雪さもあらばあれ炉を塞ぐ 河野静雲 閻魔
三月の雪の阿蘇とは知らで来し 岡崎多恵子
三月の雲のひかりに植林歌 飯田蛇笏 春蘭
三月の青い船見て飽きてをる 加倉井秋を 午後の窓
三月の風に紛らす淡泪 殿村莵絲子 雨 月
三月の風は移り気花売女 草間時彦
三月の飛雪見てをり税務署にて 相馬遷子 雪嶺
三月の鳩や栗羽を先づ翔ばす 石田波郷
三月の鴎よ人は別るるのみ 金箱戈止夫
三月は人の高さに歩み来る 榎本 好宏
三月は孔雀の季節三女生る 北野民夫
三月は我が生れ月父母を恋ふ 川口咲子
三月は雨にはじまる舟溜り 藤田あけ烏 赤松
三月は鳥も啼かずにくれにけり 原石鼎 花影以後
三月は鼻に微風を送る山 森澄雄
三月も閏の分の寒さかな 水魚 閏 月 月別句集「韻塞」
三月やうつつに栗鼠のよこぎりて 小池文子 巴里蕭条
三月やまづ水神の深大寺 鈴木しげを
三月やモナリザを賣る石畳 秋元不死男
三月やレモン噛み来し妻の唇 草間時彦
三月や丘に黒牛出揃ひて 高橋悦子
三月や人のきれいな膝小僧 坪内稔典(1944-)
三月や伊勢にまた来て鳥貝を 森澄雄
三月や冬の景色の桑一木 内藤丈草
三月や夜半ふきおこる風の音 久保田万太郎 流寓抄以後
三月や子に尽したく手を荒らす 殿村莵絲子 雨 月
三月や寝足りてけぶる楢林 宮田正和
三月や山から見ればきれいなり 岡井省二
三月や廊の花ふむ薄草履 飯田蛇笏 山廬集
三月や暗香浮動、梅ならざるはなし 橋本夢道 無類の妻
三月や暮るる間際の空青し 西村和子 窓
三月や枯蔓なかの葛一条 松村蒼石 雪
三月や水をわけゆく風の筋 久保田万太郎 流寓抄以後
三月や甘き樹脂ふく松の瘤 小松崎爽青
三月や生毛生えたる甲斐の山 森澄雄 浮鴎
三月や茜さしたる萱の山 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
三月や虹のひといろ残す海 朝倉和江
三月や見事なる牡丹雪降り良妻愚母 橋本夢道 良妻愚母
三月や酒進むこと進むこと 稲畑廣太郎
三月や長き恙の衣も脱ぎて 石塚友二 光塵
三月や風の出雲の男松 望月たかし
三月や魚ゐるらしき瀬のひかり 木附沢麦青
三月吉日菓子と島とういている 阿部完市 春日朝歌
三月四日草庵の雛灰かぶる 萩原麦草 麦嵐
三月場所所司衣裳の萌黄色 杉浦典子
三月尽兄妹いつまで倶にあらむ 石田波郷
三月尽校塔松と空ざまに 石田波郷
三月尽船ゆつくりと夕闇を 大井雅人
三月果つる鎧戸雀焦げ色に 成田千空 地霊
三月果つ竈の中に火が狂ひ 櫛原希伊子
三月没日古蘆の澄みほそりけり 松村蒼石 雪
三月盡遊學ずれの子が戻る 相馬遷子 雪嶺
三月風ひと日ひかりてはたと寒し 森澄雄
三月風吹く浅蜊を水に沈める 人間を彫る 大橋裸木
二月三月あとずさりして浅田飴 坪内稔典
二月三月赤星へ歩く男かな 坪内稔典
人棲まぬ山から昏れて三月は 茨木和生 野迫川
人生を考へる三月となりぬ 皆吉司
人逝きし三月さくら・ゆきやなぎ 林原耒井 蜩
冷え切つて三月の鉦一つ打つ 殿村莵絲子 雨 月
午餐会われ等すうぷを啜り三月明るい窓窓 涓滴不喚洞 宇佐美不喚洞
吾児病んで三月寒きみとりかな 青峰集 島田青峰
唐扇も三月の風に渡りけり 調試 選集「板東太郎」
土筆なと摘まな三月戦災忌 上田五千石 琥珀
地に鳴るは三月尽の夜のあられ 飯田蛇笏 雪峡
塔の屋根青き三月来りけり 久保田万太郎 草の丈
大雨や花の三月ふりつぶす 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
妻の荷を解く三月の雪の中 林徹
富士に傍(そう)て三月七日八日かな 伊藤信徳 (1633-1698)
師のこゑを仰ぐ三月欅立つ 神蔵器
彼の水筒三月の風にろろんと鳴る 星野紗一
散り失せぬ松や二木を三月越し 松尾芭蕉
春三月ありのすさびに詩もよまず 幸田露伴 江東集
春日山三月寒き落花かな 岡本松浜 白菊
来し方のただはるかにし思ほえてしみじみと降る三月の雨 清水房雄
桜より松は二木を三月越し 芭蕉
桜三月箒のような犬と争う 西川徹郎 瞳孔祭
残り餅焼く三月のくらき炉火 能村登四郎
母子犬之図と三月の硝子戸と 山西雅子
涅槃圖も三月十日に焼きしこと 八木林之介 青霞集
濁り酒澄みて三月たり得たり 萩原麦草 麦嵐
烈風を以て三月はじまれり 篠田悌二郎
無為徒食二月三月尾を生やし 栗林千津
父が倒れぬ樹々に三月雪の花 寺田京子 日の鷹
眉青き女三月水のいろ 佐藤惣之助 春羽織
眞菰生ふや三月あらぶ沼の波 篠田悌二郎
秋三月馬鹿を尽して別れけり 正岡子規
萩の筆買ふ三月の雨強し 沢木欣一 地聲
蝌斗の水三月の雪降りにけり 増田龍雨 龍雨句集
蝌蚪曇りなほ三月の日のごとき 山口誓子
街川に水輪増やして三月尽 下山宏子
速度計微動 三月 雑木山 沙羅冬笛
遅き日や三月二十八九日 小杉余子 余子句選
酒断つてはや三月経ぬ茶立虫 石川桂郎 高蘆
障子の穴くぐり三月来るなり 村越化石
雨がちにはや三月もなかばかな 久保田万太郎 流寓抄
飛ぶ鳥も光のかけら三月野 金箱戈止夫
鯛ばかり描かされていて三月尽く 長谷川かな女 花 季
黒字倒産出づ三月の馬鹿陽気 川村紫陽
人参は三月のいろ煮て和えて 高澤良一 素抱

以上
by 575fudemakase | 2015-03-01 00:41 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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