彼岸
彼岸
例句を挙げる。
あか~と彼岸微塵の仏かな 川端茅舎
あがなひぬ彼岸の市の黒椿 星野麦丘人
あたたかく波がながれて彼岸かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
いとけなき彼岸の水を掬いけり 徳弘純 麦のほとり
いや白く雪嶺媚びぬ彼岸前 相馬遷子 山河
いろ~の墓見歩くも彼岸かな 野村喜舟
うき人よ彼岸参りの薄化粧 正岡子規
うつくしき尼にまみえし彼岸かな 阿部みどり女 笹鳴
うと~と彼岸の法話ありがたや 河野静雲 閻魔
うまさうに見れば彼岸の焼茄子 正岡子規
おくつきの空の日高き彼岸かな 井沢正江
おろがみて斎藤茂吉先生の彼岸なり 百合山羽公 故園
お彼岸に妻子を遣りて雨嗅ぎし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
お彼岸に水の行きつくところなし 藤田湘子
お彼岸に追はれ掃除や春の草 河野静雲 閻魔
お彼岸のあたまもあげぬかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸のおはぎを持ちて見舞ひ客 青木 歌子
お彼岸のきれいな顔の雀かな 勝又一透
お彼岸のとしはもゆかぬかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の中婆々ばかり一と屯ろ 河野静雲
お彼岸の乞ひあらそへるかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の園に下ろさる車椅子 小林 勲
お彼岸の夫婦仲よきかたゐかな 森川曉水
お彼岸の子に背負はれてかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の巣から啼きゐる鴉かな 原石鼎
お彼岸の狐帰り来る夜道かな 内田百間
お彼岸の見られ疲れの幼長子 池田澄子
お彼岸の踏まれもせずにかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の道路に穴をあけてをり 吉田汀史
お彼岸の都合のつかぬ身内ばかり 小島千架子
お彼岸の酒気堪へがたきかたゐ居ぬ 森川暁水 黴
お彼岸の鐘が渡るよ水の上 林原耒井 蜩
お彼岸の鐘きゝとむる樵夫かな 飯田蛇笏 霊芝
お彼岸の間合ひやや詰め島渡舟 大西 桑風
お彼岸や月のごとくに沖の船 金箱戈止夫
お彼岸や末寺の尼ぜ本山へ 星野立子
お彼岸や畝間々々のはだれ雪 金尾梅の門 古志の歌
お彼岸や輪袈裟かけたる渡舟守 山口豊日子
お彼岸や音羽の滝のにぎやかに 誓子
お彼岸や風船あげてありし墓 神谷阿乎美
かくやくと額に彼岸の入日かな 洞 夢
くにはらの水縦横に彼岸鐘 飯田蛇笏 春蘭
くもりしがふらで彼岸の夕日影 其角
こけし師の酒飲みてゐる彼岸かな 沢木欣一
こゝにきて 彼岸の入日 額にうける 吉岡禅寺洞
さら~と琥珀の念珠彼岸僧 河野静雲 閻魔
しみたれの袋をさげて彼岸婆々 河野静雲 閻魔
すぐろ野の日に尼つるる彼岸かな 飯田蛇笏 山廬集
ぜんまいをねんごろに煮て彼岸入 細見綾子
ちちははの彼岸にいつも鳰 田中荒砂
ついて来た犬も乗る哉彼岸舟 一茶
つく~し彼岸坊主は渾名なり 寺田寅彦
つる~に剃りて和尚や彼岸来 河野静雲
とことはに添ふも椽や春彼岸 清治法子
なんとなく彼岸の空は澄みにけり 齋藤玄 『無畔』
はらからは彼岸へ吾れに滝飛沫 原 不沙
ひとりゐの曇りつめたき彼岸かな 金尾梅の門 古志の歌
ふところにのぞける経や彼岸翁 河野静雲 閻魔
まけよ蒔け仏の種も彼岸から 上島鬼貫
まだ雪の中なる墓も彼岸来る 西沢破風
みぎひだり廊下まちがへ彼岸婆々 河野静雲 閻魔
ハンカチでものをつつみて彼岸かな 八木林之介 青霞集
リリック・ソプラノの称名彼岸婆 塚本邦雄 甘露
一つ二つ蜻蛉とべり彼岸過 山口青邨
一山を越え来し思ひ彼岸来る 稲畑汀子
一族の婆先頭に彼岸墓地 山田節子
一竿の老いの物干す彼岸明け つや女
丈六の卒塔婆みちを彼岸婆 原 裕
三井寺の彼岸に詣る湖舟かな 比叡 野村泊月
下席の彼岸寒なる人形町 長谷川かな女 牡 丹
世に絶えぬ乞食出ならぶ彼岸かな 森川暁水 黴
丘陵の雑木吹鳴る彼岸道 高澤良一 随笑
二三日つゞき耐へもし彼岸寒 高浜年尾
亡き母のことあれこれと彼岸寺 塩川雄三
人ごみに蝶の生るゝ彼岸かな 耕衣
人の和を希へる樹下の彼岸過 下村槐太 天涯
人暗き聴法の灯や彼岸寺 会津八一
人界のともしび赤き彼岸かな 遷子
仮堂にして彼岸会の燭太し 百合山羽公 寒雁
会釈して影の縮まる彼岸婆 岸田稚魚
何迷ふ彼岸の入り日人だかり 鬼貫
信濃路は雪間を彼岸参りかな 也有
倒れたるまゝの一杖彼岸講 高澤良一 ねずみのこまくら
借りて住む小寺うれしき彼岸哉 会津八一
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
僧の間に古りし助炭や彼岸寺 冨田みのる
僧代りあひつゝ彼岸法話かな 阿波野青畝
兄妹の相睦みけり彼岸過 石田波郷
入彼岸口淋しさの空也蒸し 脇本千鶴子
入彼岸恋のこゑするかいつむり 森 澄雄
八十の彼岸聾となりてゐし 麦草 (帰京して老母と語る)
到彼岸ぬくとい乞食日和かな 尾崎紅葉
割ればあかき味噌餡兄の初彼岸 奈良文夫
千円で陰を撮らせる彼岸かな 辻桃子
古寺の彼岸の門の開かれし 岩田 麗日
古町を通りぬけたる彼岸かな 原 裕
合せ鏡に微ぐものあり彼岸寒 寺井谷子
名ばかりの戦火の佛彼岸来る 猿山木魂
吹きどよむ風もをさまり彼岸過ぐ 加藤三七子
吹つれて梵論も彼岸の歩み哉 加舎白雄
命婦より牡丹餅たばす彼岸かな 蕪村
哀れなる法師も見えつ彼岸寺 会津八一
善根に灸居てやる彼岸かな 炭 太祇 太祇句選
四ッ手網すみずみ乾く彼岸かな 吉田鴻司
国原の水たてよこに彼岸鐘 飯田蛇笏
土下座して彼岸の篝焚きにけり 古舘曹人
土手の上の人の大きく彼岸過ぐ 岡本 眸
墓の間に彼岸の猫のやつれけり 石田波郷
墓の雪払ひて彼岸詣かな 鈴木 康永
声高に灸のはなし入彼岸 土田桂子
夕ぐれの彼岸詣はなつかしき 深川正一郎
夢に観音彼岸の雨となりにしよ 照子
大屋根の鳩にあまねし彼岸の日 吉澤 卯一
大法話いまつゞきゐる彼岸かな 阿波野青畝
大鴉一樹に一羽彼岸墓地 阿部みどり女 月下美人
姉の忌へ集ふ彼岸の雪のあと 冨田みのる
婆々達に木魚ぽく~彼岸来 河野静雲 閻魔
婆がのぞく大甕の水彼岸寺 倉橋羊村
嫁ぐ娘の数珠を選びし彼岸かな 山田弘子
安達太良や彼岸の雪の二尽ほど 今井杏太郎
宝蔵の扉開けある彼岸寺 中島信峯
家々に雨ふりしぶく彼岸道 飯田龍太
寺要日記に滲む墨色彼岸入 殿村莵絲子 牡 丹
小鳥をも没日が呼べり春彼岸 木附沢麦青
尼の数珠を犬もくはへし彼岸かな 飯田蛇笏 山廬集
山の木のつぶさに見ゆる彼岸かな 大峯あきら 鳥道
山の端に宝珠のまるき彼岸かな 青畝
山一つかはり雪みち彼岸前 魚目
山吹の帰花見る彼岸かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
山国に雪の彼岸の一会かな 金田あさ子
山寺の扉に雲あそぶ彼岸かな 飯田蛇笏 霊芝
山辺には*たらの芽を摘む彼岸かな 白雄
山門にラジオ放送彼岸寺 岸風三楼 往来
岸であることに疲れて彼岸過ぎ 鳴戸奈菜
川の音彼岸の空に届きをり 高澤良一 随笑
常のごと日にくつがへる彼岸波 畠山譲二
座蒲団を高く積み上げ彼岸寺 田守としを
庭池に漬けし樒も彼岸かな 刈谷 次郎丸
引水に豆腐沈めて彼岸寺 伊沢四子
役に立つ子を一人連れ彼岸かな 一柳文子
彼岸あつし焚火のいろの鈍ろく捲く 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
彼岸から片手の伸びて草団子 鳴戸奈菜
彼岸から続く日和や田螺取 増田龍雨 龍雨句集
彼岸くるうす暗がりを猫はしる 中山純子 沙羅
彼岸くる山まぼろしの極楽鳥 中山純子 沙羅
彼岸くる目刺来たりし海辺より 百合山羽公 故園
彼岸には消えてしまひぬ曼珠沙華 鳥居美智子
彼岸の交番一式古りし清掃具 磯貝碧蹄館 握手
彼岸の木風の騒ぐは無心なり 高澤晶子
彼岸の雀よ他界想はで他界せしは 中村草田男
彼岸はじまれり法楽の干し布団 中山純子 沙羅
彼岸へつづく薄明のなか ああ蝶のさなぎが鳴いてゐる 松川洋子
彼岸またいで鉢梅の咲く遅さかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
彼岸まで雪の橋あり睡り鴨 立花波絵
彼岸みちいま踏切のあきしかな 久保田万太郎
彼岸みちゆつくり薬瓶提げて 関戸靖子
彼岸より庭木動かし夏に入る 高浜虚子
彼岸より此岸へ螢うつつなる 加藤三七子
彼岸中ひとりの海女の息ながし 萩原麦草 麦嵐
彼岸中ペン胝の手のやすらはず 萩原麦草 麦嵐
彼岸中日したたかに濁り川 瀧澤宏司
彼岸中日砂山のピラミッド 上田日差子
彼岸会にわが夕厨鯖を煮る 百合山羽公 故園
彼岸会に問いかけの椅子昏れそめて 川崎ふゆき
彼岸会のなほ西方に日暮星 百合山羽公 寒雁
彼岸会の回向鐘たゞわんわんと 右城暮石 上下
彼岸会の心経誦せば母のこゑ 岡田 和子
彼岸会の故山ふかまるところかな 飯田蛇笏 春蘭
彼岸会の昼からの雨濃かりけり 大場白水郎
彼岸会の氷菓正体なくなりぬ 横山白虹
彼岸会の浮雲ひとつのこしけり 吉田鴻司
彼岸会の片頬さむし水飲んで 中拓夫 愛鷹
彼岸会の蝋涙あをく夕寂びぬ 大竹孤悠
彼岸会の雀の腹の暗がりヘ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
彼岸会の音たててゐる焚火かな 吉田鴻司
彼岸会の風にのりくる牛の声 神坂知恵子
彼岸会の風のちらばる山ばかり 松澤 昭
彼岸会の鵯一羽来て二羽となる 角川照子
彼岸会やお西お東こだはらず 天川物丸
彼岸会やこゑの枯れたる老鸚鵡 松村蒼石 雪
彼岸会やすべて有髪の墓ならで 平畑静塔
彼岸会やふるさと人も背広着て 草村素子
彼岸会や双手について老の杖 助 二郎
彼岸会や妻の煮しめの薄味に 中拓夫 愛鷹
彼岸会や手空きの僧の遅昼餉 静 良夜
彼岸会や浮世話の縁者たち 清水基吉
彼岸会や身内の下駄を一纏め 久米幸叢
彼岸会や院家も生けるよろこびに 河野静雲
彼岸会や雨はらはらと通り過ぎ 草間時彦
彼岸会や霙まじりの蘆の雨 庄司圭吾
彼岸会をいづこの魚の赤き鰭 斎藤玄 雁道
彼岸入とて萩の餅波郷氏も 及川貞 夕焼
彼岸入漆が綴る椀の裂け 殿村莵絲子 牡 丹
彼岸冷えおぼえ法話も身につかず 小原菁々子
彼岸前寒さも一夜二夜かな 路通
彼岸囃子児が飴のある口で泣き 樋口みよ子
彼岸太郎水田に大き夕日据ゆ 西村公鳳
彼岸婆和讃終へてもつぶやけり 町田しげき
彼岸寒闘癌の記の未完稿 平井さち子
彼岸寒雨しみじみと降りにけり 星野立子
彼岸寺いづこ風船をどり来る 林原耒井 蜩
彼岸寺こぼれるやうに雀ゐて 宇咲冬男
彼岸寺に囀り早く旭の樹頭 青峰集 島田青峰
彼岸寺庫裏に干しある女傘 茂里正治
彼岸御堂四隅朽ちつゝ微風吹く 百合山羽公 故園
彼岸御堂百年寄進瓦乞ふ 百合山羽公 寒雁
彼岸晴といふ好日に恵まれし 藤井巨水
彼岸會やこゑの枯れたる老鸚鵡 松村蒼石 雪
彼岸果つる月夜鴉ぞ明るけれ 渡辺水巴 白日
彼岸此岸薄明を待つ暖め鳥 京武久美
彼岸牡丹餅木曾義仲の墓前かな 下田稔
彼岸田に電球浮べ農の亡び 斎藤玄
彼岸花火山灰降る村は昼灯し 大津希水
彼岸荒れ塔婆に塔婆応へゐて 高澤良一 宿好
彼岸観世音来給ふ村の悪路より 百合山羽公 寒雁
彼岸詣鐘の供養に撞きにけり 岡本松浜
彼岸過ぎたり久久に和服著て 下村槐太 天涯
彼岸過ぎてより暗き日も寒き日も 高木晴子 晴居
彼岸過ぎの川向日葵の焼柱 中拓夫 愛鷹
彼岸過ぐと云へどぬくさの今一つ 高澤良一 宿好
彼岸過ぐ枯葦がうすももいろに 蒼石
彼岸過大洲の泥がまのあたり 松村蒼石 雪
彼岸道あまりに草の深きかな 白水郎句集 大場白水郎
彼岸道つきさうもなき立話 河野静雲 閻魔
彼岸道比叡まばゆき行手かな 島村元句集
彼岸鉦洩らして波浮の小商 奈良文夫
彼岸鐘草木聞けり鳥聞けり 大野林火
彼岸鐘雨の水輪の曼陀羅図 高澤良一 寒暑
彼岸雪尺余一茶の六代目 西本一都 景色
彼岸香具師一嚢嗄れし声も入れ 百合山羽公 寒雁
待つといふ身の獣めく彼岸過ぎ 鳥居美智子
御院家にちよとものいひに彼岸婆々 河野静雲 閻魔
恋衣紅白彼岸の青芝に 香西照雄 素心
手に持ちて線香賣りぬ彼岸道 高濱虚子
投げ団子鴉のうける彼岸かな 菅原師竹句集
折本のお経拾ひし彼岸かな 野村喜舟 小石川
抱いて見る彼岸の湯婆埓もなや 萩原麦草 麦嵐
新らしき杖まゐらする彼岸哉 尾崎紅葉
日当りて彼岸寺なり白毫寺 外川飼虎
春の河彼岸をいそぐわれが見ゆ 鈴木六林男
昼の湯に四肢伸ばすこと彼岸前 下村槐太 天涯
暗がりにあるから秘仏彼岸冷え 尾関乱舌
暮るる湖の白さ彼岸の走り野火 山口草堂
曇りしが降らで彼岸の夕日影 其角
月山の山ひだ深き春彼岸 有馬朗人
月日過ぎただ何となく彼岸過ぎ 富安風生
月明の彼岸につづく草ひばり 平原玉子
朝の間の見えぬ雨なり春彼岸 安原楢子
朝市も日和つゞきや彼岸寺 四明句集 中川四明
木履あまた草履も見えて彼岸寺 廣江八重櫻
未亡人と見てうら若し彼岸みち 占魚
本降りの雪となりたる入彼岸 芝 由紀
村中を法華の叩く彼岸哉 小澤碧童 碧童句集
杖にかさね老の両掌や彼岸坂 河野静雲 閻魔
杖をつく顔がぶる~彼岸婆々 河野静雲 閻魔
東京の寺に詣づる彼岸かな 永井龍男
桃の木のうすき夕日や彼岸過 大嶽青児
梅林に雪積む彼岸詣でかな 浦野栄一
樒花咲くや彼岸の挨拶に 尾崎紅葉
横顔の母老い給ふ彼岸かな 相馬遷子 山国
歩きつづける彼岸花咲きつづける 種田山頭火 草木塔
死んだ児の阿難に似たる彼岸かな 菅原師竹句集
母のため彼岸団子を買ひにけり 錦織 鞠
毎年よ彼岸の入りに寒いのは 正岡子規(1867-1903)
水一杯飲みて彼岸の香貝師あはれ 羽公
水煙の上まぶしき彼岸かな 下村槐太 天涯
沈みゆく春の彼岸の大き日は紅燃ゆる燃えつくるがに 半田良平
沢庵のつみきり喰ひも彼岸婆 河野静雲 閻魔
浮葉みえてさゞ波ひろき彼岸かな 渡辺水巴 白日
海に出づ彼岸の餅を平らげて 中拓夫
深川に一つの墓の彼岸かな 大場白水郎 散木集
温泉の里の一つの寺の彼岸かな 楠目橙黄子 橙圃
烏骨鶏の夫婦出歩き彼岸寺 熊谷愛子
無住寺の灯りの見えて彼岸入り 関根昌子
熊笹の水にうち伏す彼岸かな 村沢夏風
燕来てなき人問ん此彼岸 炭 太祇 太祇句選
爺婆の蠢き出づる彼岸かな 内藤鳴雪
牡丹餅の昼夜を分つ彼岸かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
犀が水たまりを押してゐる彼岸 大石雄鬼
珊瑚樹のうちに鳥ごゑさき彼岸 岸田稚魚
現し世に彼岸此岸あり年迎ふ 岡村羊羽
瓦せんべい大きく焼けて彼岸かな 小島千架子
甘藷屑がころぶ彼岸の土乾く 松村蒼石 雁
田の水に生くるものふえ彼岸来ぬ 前田 青紀
田螺鳴く夕淋しや彼岸道 癖三酔句集 岡本癖三酔
町なかに鴎のあそぶ彼岸かな 安住 敦
町中が彼岸の匂ひしてをりぬ 稲畑汀子
疱瘡の神へ彼岸詣のついでかな 子規句集 虚子・碧梧桐選
瞬けば小豆こぼるる彼岸かな 橋石 和栲
石段のいま照つてゐる彼岸かな 大峯あきら 鳥道
砂山の砂の崩るゝ彼岸かな 鈴木真砂女 生簀籠
砂町や電柱の辺の彼岸墓地 萩原麦草 麦嵐
神楽坂上りて彼岸脂かな 島村茂雄
種売に彼岸の御堂峨々とたつ 百合山羽公 寒雁
稲妻の夜の鏡中は彼岸かな 小檜山繁子
空き袋脱兎にしたり風彼岸 福島美香子
竹の芽も茜さしたる彼岸かな 龍之介
竹垣の縄のゆるみも彼岸寺 神尾久美子 桐の木
糯米を半分殺す彼岸かな 山尾滋子
紙苞の鯉の荒息春彼岸 藤岡筑邨
網入ぬ海の凪見る彼岸哉 霞夫
緋座布団たまはる彼岸の鐘の中 青邨
総門の高さも空も彼岸かな 白水郎句集 大場白水郎
緑の羽根さして彼岸の餅黄なり 百合山羽公 寒雁
義仲寺の水のにごれる彼岸かな 深見けん二
老のせて彼岸過ぎなる船荒るる 原裕 葦牙
老ゆるまで彼岸の香具師の目のひかり 百合山羽公 寒雁
耳遠き婆の餅買ふ彼岸かな 白岩三郎
聴法の女ぞ多き彼岸かな 会津八一
腰の手のはだか線香や彼岸婆々 河野静雲 閻魔
色々の墓見歩くも彼岸かな 野村喜舟
芋串の味噌の焦げたる彼岸かな 大嶽青児
苔寺の苔の漸く彼岸かな 尾崎迷堂 孤輪
萩咲くや彼岸すぎたるくつろぎに 河野静雲 閻魔
葛飾にむかしをおもふ彼岸かな 永井荷風
蓬摘む彼岸の母に逢うために 長谷川草々
蔀戸を上げて彼岸の一宇かな 河野静雲 閻魔
藁屋根のあをぞらかぶる彼岸かな 久保田万太郎 流寓抄
藤蔓にすがり彼岸の子ら遊ぶ 西村公鳳
藷掘る子彼岸の川に走りけり 米沢吾亦紅 童顔
虻蜂蚊彼岸櫻に聚まれる 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
蝌蚪生れていまだ覚めざる彼岸かな 松本たかし
蟇ひかりを彼岸より曳き来 小檜山繁子
行人裡ゆきて彼岸だなとおもふ 下村槐太 天涯
街上にもの食ぶる見て彼岸かな 八木林之介 青霞集
襟巻をふんまへあるき彼岸媼 河野静雲 閻魔
誘ひあひ彼岸詣の老姉妹 星野立子
説く僧に合点々々や彼岸婆 森永杉洞
谷戸の道彼岸の鐘がうしろより 町田しげき
豆腐屋の来る頃に来て彼岸過ぎ 藤岡筑邨
賓頭廬の膝に灯ともる彼岸かな 会津八一
起々に蒟蒻もらふ彼岸かな 炭 太祇 太祇句選
踊り子の曲がりてひらく彼岸かな 攝津幸彦
身命といふ語しみじみ彼岸過 風生
輪をかいてつきゆく杖や彼岸婆々 河野静雲 閻魔
近山に彼岸の雪のふりにけり 石原舟月 山鵲
逆か詣のお彼岸舟の浪かぶり 安斎櫻[カイ]子
這ひ出して来たとよろこび彼岸婆々 河野静雲
通りすがりの人掴まえて彼岸婆 高澤良一 宿好
連翹は雪に明るき彼岸かな 渡辺水巴 白日
道端の墓にも彼岸詣かな 宇都木未曾二
遠浅の海おそろしき彼岸かな 岩下四十雀
遮二無二と婆々が工面の彼岸餅 河野静雲
部屋に火を置いて壁塗る彼岸寒 平間彌生
重箱の牡丹剥げたり彼岸餅 大谷句佛 我は我
銭捨てに京へ出でたる彼岸かな 寺野守水老
鎌倉や松の中なる彼岸寺 青峰集 島田青峰
鐘の音を彼岸へ運ぶ風の船 内田正美
鐘打つて彼岸の寒さのこりけり 山田桂三
長病の癒へてまかれる彼岸媼 河野静雲 閻魔
長老に鴉のなるゝ彼岸哉 竹冷句鈔 角田竹冷
長谷寺に法鼓轟く彼岸かな 高浜虚子
隣人の薬くさくて彼岸かな 松本文子
雉子若し春の彼岸をかきわけて 中山純子 茜
雨闇に紛れ降るなり入彼岸 高澤良一 随笑
雲に古る扉の花鳥彼岸寺 飯田蛇笏 春蘭
雲海の彼岸の富士や今日あけつゝ 中村草田男
霊廟の門ひらきある彼岸かな 河野静雲 閻魔
預けおく彼岸団子を帰るさに 高澤良一 さざなみやっこ
頭ふりにげゆく彼岸木魚かな 河野静雲 閻魔
風上の草に火のつく彼岸かな 桑原三郎 晝夜
飲食のあとちりぢりの彼岸かな 清水径子
駄々走り来て小水の彼岸婆々 静雲
高札をかついで僧や彼岸道 比叡 野村泊月
魚影の国のぞく 彼岸の膝ついて 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 磁針彷徨
鳥消えし空を見てゐる彼岸人 木附沢麦青
鳩尾長総出の日なり彼岸前 石田波郷
以上
例句を挙げる。
あか~と彼岸微塵の仏かな 川端茅舎
あがなひぬ彼岸の市の黒椿 星野麦丘人
あたたかく波がながれて彼岸かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
いとけなき彼岸の水を掬いけり 徳弘純 麦のほとり
いや白く雪嶺媚びぬ彼岸前 相馬遷子 山河
いろ~の墓見歩くも彼岸かな 野村喜舟
うき人よ彼岸参りの薄化粧 正岡子規
うつくしき尼にまみえし彼岸かな 阿部みどり女 笹鳴
うと~と彼岸の法話ありがたや 河野静雲 閻魔
うまさうに見れば彼岸の焼茄子 正岡子規
おくつきの空の日高き彼岸かな 井沢正江
おろがみて斎藤茂吉先生の彼岸なり 百合山羽公 故園
お彼岸に妻子を遣りて雨嗅ぎし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
お彼岸に水の行きつくところなし 藤田湘子
お彼岸に追はれ掃除や春の草 河野静雲 閻魔
お彼岸のあたまもあげぬかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸のおはぎを持ちて見舞ひ客 青木 歌子
お彼岸のきれいな顔の雀かな 勝又一透
お彼岸のとしはもゆかぬかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の中婆々ばかり一と屯ろ 河野静雲
お彼岸の乞ひあらそへるかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の園に下ろさる車椅子 小林 勲
お彼岸の夫婦仲よきかたゐかな 森川曉水
お彼岸の子に背負はれてかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の巣から啼きゐる鴉かな 原石鼎
お彼岸の狐帰り来る夜道かな 内田百間
お彼岸の見られ疲れの幼長子 池田澄子
お彼岸の踏まれもせずにかたゐかな 森川暁水 黴
お彼岸の道路に穴をあけてをり 吉田汀史
お彼岸の都合のつかぬ身内ばかり 小島千架子
お彼岸の酒気堪へがたきかたゐ居ぬ 森川暁水 黴
お彼岸の鐘が渡るよ水の上 林原耒井 蜩
お彼岸の鐘きゝとむる樵夫かな 飯田蛇笏 霊芝
お彼岸の間合ひやや詰め島渡舟 大西 桑風
お彼岸や月のごとくに沖の船 金箱戈止夫
お彼岸や末寺の尼ぜ本山へ 星野立子
お彼岸や畝間々々のはだれ雪 金尾梅の門 古志の歌
お彼岸や輪袈裟かけたる渡舟守 山口豊日子
お彼岸や音羽の滝のにぎやかに 誓子
お彼岸や風船あげてありし墓 神谷阿乎美
かくやくと額に彼岸の入日かな 洞 夢
くにはらの水縦横に彼岸鐘 飯田蛇笏 春蘭
くもりしがふらで彼岸の夕日影 其角
こけし師の酒飲みてゐる彼岸かな 沢木欣一
こゝにきて 彼岸の入日 額にうける 吉岡禅寺洞
さら~と琥珀の念珠彼岸僧 河野静雲 閻魔
しみたれの袋をさげて彼岸婆々 河野静雲 閻魔
すぐろ野の日に尼つるる彼岸かな 飯田蛇笏 山廬集
ぜんまいをねんごろに煮て彼岸入 細見綾子
ちちははの彼岸にいつも鳰 田中荒砂
ついて来た犬も乗る哉彼岸舟 一茶
つく~し彼岸坊主は渾名なり 寺田寅彦
つる~に剃りて和尚や彼岸来 河野静雲
とことはに添ふも椽や春彼岸 清治法子
なんとなく彼岸の空は澄みにけり 齋藤玄 『無畔』
はらからは彼岸へ吾れに滝飛沫 原 不沙
ひとりゐの曇りつめたき彼岸かな 金尾梅の門 古志の歌
ふところにのぞける経や彼岸翁 河野静雲 閻魔
まけよ蒔け仏の種も彼岸から 上島鬼貫
まだ雪の中なる墓も彼岸来る 西沢破風
みぎひだり廊下まちがへ彼岸婆々 河野静雲 閻魔
ハンカチでものをつつみて彼岸かな 八木林之介 青霞集
リリック・ソプラノの称名彼岸婆 塚本邦雄 甘露
一つ二つ蜻蛉とべり彼岸過 山口青邨
一山を越え来し思ひ彼岸来る 稲畑汀子
一族の婆先頭に彼岸墓地 山田節子
一竿の老いの物干す彼岸明け つや女
丈六の卒塔婆みちを彼岸婆 原 裕
三井寺の彼岸に詣る湖舟かな 比叡 野村泊月
下席の彼岸寒なる人形町 長谷川かな女 牡 丹
世に絶えぬ乞食出ならぶ彼岸かな 森川暁水 黴
丘陵の雑木吹鳴る彼岸道 高澤良一 随笑
二三日つゞき耐へもし彼岸寒 高浜年尾
亡き母のことあれこれと彼岸寺 塩川雄三
人ごみに蝶の生るゝ彼岸かな 耕衣
人の和を希へる樹下の彼岸過 下村槐太 天涯
人暗き聴法の灯や彼岸寺 会津八一
人界のともしび赤き彼岸かな 遷子
仮堂にして彼岸会の燭太し 百合山羽公 寒雁
会釈して影の縮まる彼岸婆 岸田稚魚
何迷ふ彼岸の入り日人だかり 鬼貫
信濃路は雪間を彼岸参りかな 也有
倒れたるまゝの一杖彼岸講 高澤良一 ねずみのこまくら
借りて住む小寺うれしき彼岸哉 会津八一
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
僧の間に古りし助炭や彼岸寺 冨田みのる
僧代りあひつゝ彼岸法話かな 阿波野青畝
兄妹の相睦みけり彼岸過 石田波郷
入彼岸口淋しさの空也蒸し 脇本千鶴子
入彼岸恋のこゑするかいつむり 森 澄雄
八十の彼岸聾となりてゐし 麦草 (帰京して老母と語る)
到彼岸ぬくとい乞食日和かな 尾崎紅葉
割ればあかき味噌餡兄の初彼岸 奈良文夫
千円で陰を撮らせる彼岸かな 辻桃子
古寺の彼岸の門の開かれし 岩田 麗日
古町を通りぬけたる彼岸かな 原 裕
合せ鏡に微ぐものあり彼岸寒 寺井谷子
名ばかりの戦火の佛彼岸来る 猿山木魂
吹きどよむ風もをさまり彼岸過ぐ 加藤三七子
吹つれて梵論も彼岸の歩み哉 加舎白雄
命婦より牡丹餅たばす彼岸かな 蕪村
哀れなる法師も見えつ彼岸寺 会津八一
善根に灸居てやる彼岸かな 炭 太祇 太祇句選
四ッ手網すみずみ乾く彼岸かな 吉田鴻司
国原の水たてよこに彼岸鐘 飯田蛇笏
土下座して彼岸の篝焚きにけり 古舘曹人
土手の上の人の大きく彼岸過ぐ 岡本 眸
墓の間に彼岸の猫のやつれけり 石田波郷
墓の雪払ひて彼岸詣かな 鈴木 康永
声高に灸のはなし入彼岸 土田桂子
夕ぐれの彼岸詣はなつかしき 深川正一郎
夢に観音彼岸の雨となりにしよ 照子
大屋根の鳩にあまねし彼岸の日 吉澤 卯一
大法話いまつゞきゐる彼岸かな 阿波野青畝
大鴉一樹に一羽彼岸墓地 阿部みどり女 月下美人
姉の忌へ集ふ彼岸の雪のあと 冨田みのる
婆々達に木魚ぽく~彼岸来 河野静雲 閻魔
婆がのぞく大甕の水彼岸寺 倉橋羊村
嫁ぐ娘の数珠を選びし彼岸かな 山田弘子
安達太良や彼岸の雪の二尽ほど 今井杏太郎
宝蔵の扉開けある彼岸寺 中島信峯
家々に雨ふりしぶく彼岸道 飯田龍太
寺要日記に滲む墨色彼岸入 殿村莵絲子 牡 丹
小鳥をも没日が呼べり春彼岸 木附沢麦青
尼の数珠を犬もくはへし彼岸かな 飯田蛇笏 山廬集
山の木のつぶさに見ゆる彼岸かな 大峯あきら 鳥道
山の端に宝珠のまるき彼岸かな 青畝
山一つかはり雪みち彼岸前 魚目
山吹の帰花見る彼岸かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
山国に雪の彼岸の一会かな 金田あさ子
山寺の扉に雲あそぶ彼岸かな 飯田蛇笏 霊芝
山辺には*たらの芽を摘む彼岸かな 白雄
山門にラジオ放送彼岸寺 岸風三楼 往来
岸であることに疲れて彼岸過ぎ 鳴戸奈菜
川の音彼岸の空に届きをり 高澤良一 随笑
常のごと日にくつがへる彼岸波 畠山譲二
座蒲団を高く積み上げ彼岸寺 田守としを
庭池に漬けし樒も彼岸かな 刈谷 次郎丸
引水に豆腐沈めて彼岸寺 伊沢四子
役に立つ子を一人連れ彼岸かな 一柳文子
彼岸あつし焚火のいろの鈍ろく捲く 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
彼岸から片手の伸びて草団子 鳴戸奈菜
彼岸から続く日和や田螺取 増田龍雨 龍雨句集
彼岸くるうす暗がりを猫はしる 中山純子 沙羅
彼岸くる山まぼろしの極楽鳥 中山純子 沙羅
彼岸くる目刺来たりし海辺より 百合山羽公 故園
彼岸には消えてしまひぬ曼珠沙華 鳥居美智子
彼岸の交番一式古りし清掃具 磯貝碧蹄館 握手
彼岸の木風の騒ぐは無心なり 高澤晶子
彼岸の雀よ他界想はで他界せしは 中村草田男
彼岸はじまれり法楽の干し布団 中山純子 沙羅
彼岸へつづく薄明のなか ああ蝶のさなぎが鳴いてゐる 松川洋子
彼岸またいで鉢梅の咲く遅さかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
彼岸まで雪の橋あり睡り鴨 立花波絵
彼岸みちいま踏切のあきしかな 久保田万太郎
彼岸みちゆつくり薬瓶提げて 関戸靖子
彼岸より庭木動かし夏に入る 高浜虚子
彼岸より此岸へ螢うつつなる 加藤三七子
彼岸中ひとりの海女の息ながし 萩原麦草 麦嵐
彼岸中ペン胝の手のやすらはず 萩原麦草 麦嵐
彼岸中日したたかに濁り川 瀧澤宏司
彼岸中日砂山のピラミッド 上田日差子
彼岸会にわが夕厨鯖を煮る 百合山羽公 故園
彼岸会に問いかけの椅子昏れそめて 川崎ふゆき
彼岸会のなほ西方に日暮星 百合山羽公 寒雁
彼岸会の回向鐘たゞわんわんと 右城暮石 上下
彼岸会の心経誦せば母のこゑ 岡田 和子
彼岸会の故山ふかまるところかな 飯田蛇笏 春蘭
彼岸会の昼からの雨濃かりけり 大場白水郎
彼岸会の氷菓正体なくなりぬ 横山白虹
彼岸会の浮雲ひとつのこしけり 吉田鴻司
彼岸会の片頬さむし水飲んで 中拓夫 愛鷹
彼岸会の蝋涙あをく夕寂びぬ 大竹孤悠
彼岸会の雀の腹の暗がりヘ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
彼岸会の音たててゐる焚火かな 吉田鴻司
彼岸会の風にのりくる牛の声 神坂知恵子
彼岸会の風のちらばる山ばかり 松澤 昭
彼岸会の鵯一羽来て二羽となる 角川照子
彼岸会やお西お東こだはらず 天川物丸
彼岸会やこゑの枯れたる老鸚鵡 松村蒼石 雪
彼岸会やすべて有髪の墓ならで 平畑静塔
彼岸会やふるさと人も背広着て 草村素子
彼岸会や双手について老の杖 助 二郎
彼岸会や妻の煮しめの薄味に 中拓夫 愛鷹
彼岸会や手空きの僧の遅昼餉 静 良夜
彼岸会や浮世話の縁者たち 清水基吉
彼岸会や身内の下駄を一纏め 久米幸叢
彼岸会や院家も生けるよろこびに 河野静雲
彼岸会や雨はらはらと通り過ぎ 草間時彦
彼岸会や霙まじりの蘆の雨 庄司圭吾
彼岸会をいづこの魚の赤き鰭 斎藤玄 雁道
彼岸入とて萩の餅波郷氏も 及川貞 夕焼
彼岸入漆が綴る椀の裂け 殿村莵絲子 牡 丹
彼岸冷えおぼえ法話も身につかず 小原菁々子
彼岸前寒さも一夜二夜かな 路通
彼岸囃子児が飴のある口で泣き 樋口みよ子
彼岸太郎水田に大き夕日据ゆ 西村公鳳
彼岸婆和讃終へてもつぶやけり 町田しげき
彼岸寒闘癌の記の未完稿 平井さち子
彼岸寒雨しみじみと降りにけり 星野立子
彼岸寺いづこ風船をどり来る 林原耒井 蜩
彼岸寺こぼれるやうに雀ゐて 宇咲冬男
彼岸寺に囀り早く旭の樹頭 青峰集 島田青峰
彼岸寺庫裏に干しある女傘 茂里正治
彼岸御堂四隅朽ちつゝ微風吹く 百合山羽公 故園
彼岸御堂百年寄進瓦乞ふ 百合山羽公 寒雁
彼岸晴といふ好日に恵まれし 藤井巨水
彼岸會やこゑの枯れたる老鸚鵡 松村蒼石 雪
彼岸果つる月夜鴉ぞ明るけれ 渡辺水巴 白日
彼岸此岸薄明を待つ暖め鳥 京武久美
彼岸牡丹餅木曾義仲の墓前かな 下田稔
彼岸田に電球浮べ農の亡び 斎藤玄
彼岸花火山灰降る村は昼灯し 大津希水
彼岸荒れ塔婆に塔婆応へゐて 高澤良一 宿好
彼岸観世音来給ふ村の悪路より 百合山羽公 寒雁
彼岸詣鐘の供養に撞きにけり 岡本松浜
彼岸過ぎたり久久に和服著て 下村槐太 天涯
彼岸過ぎてより暗き日も寒き日も 高木晴子 晴居
彼岸過ぎの川向日葵の焼柱 中拓夫 愛鷹
彼岸過ぐと云へどぬくさの今一つ 高澤良一 宿好
彼岸過ぐ枯葦がうすももいろに 蒼石
彼岸過大洲の泥がまのあたり 松村蒼石 雪
彼岸道あまりに草の深きかな 白水郎句集 大場白水郎
彼岸道つきさうもなき立話 河野静雲 閻魔
彼岸道比叡まばゆき行手かな 島村元句集
彼岸鉦洩らして波浮の小商 奈良文夫
彼岸鐘草木聞けり鳥聞けり 大野林火
彼岸鐘雨の水輪の曼陀羅図 高澤良一 寒暑
彼岸雪尺余一茶の六代目 西本一都 景色
彼岸香具師一嚢嗄れし声も入れ 百合山羽公 寒雁
待つといふ身の獣めく彼岸過ぎ 鳥居美智子
御院家にちよとものいひに彼岸婆々 河野静雲 閻魔
恋衣紅白彼岸の青芝に 香西照雄 素心
手に持ちて線香賣りぬ彼岸道 高濱虚子
投げ団子鴉のうける彼岸かな 菅原師竹句集
折本のお経拾ひし彼岸かな 野村喜舟 小石川
抱いて見る彼岸の湯婆埓もなや 萩原麦草 麦嵐
新らしき杖まゐらする彼岸哉 尾崎紅葉
日当りて彼岸寺なり白毫寺 外川飼虎
春の河彼岸をいそぐわれが見ゆ 鈴木六林男
昼の湯に四肢伸ばすこと彼岸前 下村槐太 天涯
暗がりにあるから秘仏彼岸冷え 尾関乱舌
暮るる湖の白さ彼岸の走り野火 山口草堂
曇りしが降らで彼岸の夕日影 其角
月山の山ひだ深き春彼岸 有馬朗人
月日過ぎただ何となく彼岸過ぎ 富安風生
月明の彼岸につづく草ひばり 平原玉子
朝の間の見えぬ雨なり春彼岸 安原楢子
朝市も日和つゞきや彼岸寺 四明句集 中川四明
木履あまた草履も見えて彼岸寺 廣江八重櫻
未亡人と見てうら若し彼岸みち 占魚
本降りの雪となりたる入彼岸 芝 由紀
村中を法華の叩く彼岸哉 小澤碧童 碧童句集
杖にかさね老の両掌や彼岸坂 河野静雲 閻魔
杖をつく顔がぶる~彼岸婆々 河野静雲 閻魔
東京の寺に詣づる彼岸かな 永井龍男
桃の木のうすき夕日や彼岸過 大嶽青児
梅林に雪積む彼岸詣でかな 浦野栄一
樒花咲くや彼岸の挨拶に 尾崎紅葉
横顔の母老い給ふ彼岸かな 相馬遷子 山国
歩きつづける彼岸花咲きつづける 種田山頭火 草木塔
死んだ児の阿難に似たる彼岸かな 菅原師竹句集
母のため彼岸団子を買ひにけり 錦織 鞠
毎年よ彼岸の入りに寒いのは 正岡子規(1867-1903)
水一杯飲みて彼岸の香貝師あはれ 羽公
水煙の上まぶしき彼岸かな 下村槐太 天涯
沈みゆく春の彼岸の大き日は紅燃ゆる燃えつくるがに 半田良平
沢庵のつみきり喰ひも彼岸婆 河野静雲 閻魔
浮葉みえてさゞ波ひろき彼岸かな 渡辺水巴 白日
海に出づ彼岸の餅を平らげて 中拓夫
深川に一つの墓の彼岸かな 大場白水郎 散木集
温泉の里の一つの寺の彼岸かな 楠目橙黄子 橙圃
烏骨鶏の夫婦出歩き彼岸寺 熊谷愛子
無住寺の灯りの見えて彼岸入り 関根昌子
熊笹の水にうち伏す彼岸かな 村沢夏風
燕来てなき人問ん此彼岸 炭 太祇 太祇句選
爺婆の蠢き出づる彼岸かな 内藤鳴雪
牡丹餅の昼夜を分つ彼岸かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
犀が水たまりを押してゐる彼岸 大石雄鬼
珊瑚樹のうちに鳥ごゑさき彼岸 岸田稚魚
現し世に彼岸此岸あり年迎ふ 岡村羊羽
瓦せんべい大きく焼けて彼岸かな 小島千架子
甘藷屑がころぶ彼岸の土乾く 松村蒼石 雁
田の水に生くるものふえ彼岸来ぬ 前田 青紀
田螺鳴く夕淋しや彼岸道 癖三酔句集 岡本癖三酔
町なかに鴎のあそぶ彼岸かな 安住 敦
町中が彼岸の匂ひしてをりぬ 稲畑汀子
疱瘡の神へ彼岸詣のついでかな 子規句集 虚子・碧梧桐選
瞬けば小豆こぼるる彼岸かな 橋石 和栲
石段のいま照つてゐる彼岸かな 大峯あきら 鳥道
砂山の砂の崩るゝ彼岸かな 鈴木真砂女 生簀籠
砂町や電柱の辺の彼岸墓地 萩原麦草 麦嵐
神楽坂上りて彼岸脂かな 島村茂雄
種売に彼岸の御堂峨々とたつ 百合山羽公 寒雁
稲妻の夜の鏡中は彼岸かな 小檜山繁子
空き袋脱兎にしたり風彼岸 福島美香子
竹の芽も茜さしたる彼岸かな 龍之介
竹垣の縄のゆるみも彼岸寺 神尾久美子 桐の木
糯米を半分殺す彼岸かな 山尾滋子
紙苞の鯉の荒息春彼岸 藤岡筑邨
網入ぬ海の凪見る彼岸哉 霞夫
緋座布団たまはる彼岸の鐘の中 青邨
総門の高さも空も彼岸かな 白水郎句集 大場白水郎
緑の羽根さして彼岸の餅黄なり 百合山羽公 寒雁
義仲寺の水のにごれる彼岸かな 深見けん二
老のせて彼岸過ぎなる船荒るる 原裕 葦牙
老ゆるまで彼岸の香具師の目のひかり 百合山羽公 寒雁
耳遠き婆の餅買ふ彼岸かな 白岩三郎
聴法の女ぞ多き彼岸かな 会津八一
腰の手のはだか線香や彼岸婆々 河野静雲 閻魔
色々の墓見歩くも彼岸かな 野村喜舟
芋串の味噌の焦げたる彼岸かな 大嶽青児
苔寺の苔の漸く彼岸かな 尾崎迷堂 孤輪
萩咲くや彼岸すぎたるくつろぎに 河野静雲 閻魔
葛飾にむかしをおもふ彼岸かな 永井荷風
蓬摘む彼岸の母に逢うために 長谷川草々
蔀戸を上げて彼岸の一宇かな 河野静雲 閻魔
藁屋根のあをぞらかぶる彼岸かな 久保田万太郎 流寓抄
藤蔓にすがり彼岸の子ら遊ぶ 西村公鳳
藷掘る子彼岸の川に走りけり 米沢吾亦紅 童顔
虻蜂蚊彼岸櫻に聚まれる 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
蝌蚪生れていまだ覚めざる彼岸かな 松本たかし
蟇ひかりを彼岸より曳き来 小檜山繁子
行人裡ゆきて彼岸だなとおもふ 下村槐太 天涯
街上にもの食ぶる見て彼岸かな 八木林之介 青霞集
襟巻をふんまへあるき彼岸媼 河野静雲 閻魔
誘ひあひ彼岸詣の老姉妹 星野立子
説く僧に合点々々や彼岸婆 森永杉洞
谷戸の道彼岸の鐘がうしろより 町田しげき
豆腐屋の来る頃に来て彼岸過ぎ 藤岡筑邨
賓頭廬の膝に灯ともる彼岸かな 会津八一
起々に蒟蒻もらふ彼岸かな 炭 太祇 太祇句選
踊り子の曲がりてひらく彼岸かな 攝津幸彦
身命といふ語しみじみ彼岸過 風生
輪をかいてつきゆく杖や彼岸婆々 河野静雲 閻魔
近山に彼岸の雪のふりにけり 石原舟月 山鵲
逆か詣のお彼岸舟の浪かぶり 安斎櫻[カイ]子
這ひ出して来たとよろこび彼岸婆々 河野静雲
通りすがりの人掴まえて彼岸婆 高澤良一 宿好
連翹は雪に明るき彼岸かな 渡辺水巴 白日
道端の墓にも彼岸詣かな 宇都木未曾二
遠浅の海おそろしき彼岸かな 岩下四十雀
遮二無二と婆々が工面の彼岸餅 河野静雲
部屋に火を置いて壁塗る彼岸寒 平間彌生
重箱の牡丹剥げたり彼岸餅 大谷句佛 我は我
銭捨てに京へ出でたる彼岸かな 寺野守水老
鎌倉や松の中なる彼岸寺 青峰集 島田青峰
鐘の音を彼岸へ運ぶ風の船 内田正美
鐘打つて彼岸の寒さのこりけり 山田桂三
長病の癒へてまかれる彼岸媼 河野静雲 閻魔
長老に鴉のなるゝ彼岸哉 竹冷句鈔 角田竹冷
長谷寺に法鼓轟く彼岸かな 高浜虚子
隣人の薬くさくて彼岸かな 松本文子
雉子若し春の彼岸をかきわけて 中山純子 茜
雨闇に紛れ降るなり入彼岸 高澤良一 随笑
雲に古る扉の花鳥彼岸寺 飯田蛇笏 春蘭
雲海の彼岸の富士や今日あけつゝ 中村草田男
霊廟の門ひらきある彼岸かな 河野静雲 閻魔
預けおく彼岸団子を帰るさに 高澤良一 さざなみやっこ
頭ふりにげゆく彼岸木魚かな 河野静雲 閻魔
風上の草に火のつく彼岸かな 桑原三郎 晝夜
飲食のあとちりぢりの彼岸かな 清水径子
駄々走り来て小水の彼岸婆々 静雲
高札をかついで僧や彼岸道 比叡 野村泊月
魚影の国のぞく 彼岸の膝ついて 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 磁針彷徨
鳥消えし空を見てゐる彼岸人 木附沢麦青
鳩尾長総出の日なり彼岸前 石田波郷
以上
by 575fudemakase
| 2015-03-18 00:49
| 春の季語
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
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