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雛祭3

雛祭3

例句を挙げる。

雛ずしの玉子に目鼻ありにけり 伊藤いと子
雛たち寛ぎ給へ燈を消さむ 高田蝶衣
雛つくる人に老なし冬鴬 長谷川かな女 雨 月
雛つづら抱へきたれる白袴 石田勝彦 秋興
雛なにか言ふ見しことを見ぬことを 行方克巳
雛に似ぬ双子をときに疎んずる 文挟夫佐恵 遠い橋
雛に訪ひ仏壇あれば経を誦し 牧野春駒
雛に貸す書斎の隅はこゝがよし 吉屋信子
雛のあと何も置かねば冴返る 伊藤いと子
雛のためだけの小さな灯を点す 安部和子
雛のため灯る明治のシャンデリヤ 黒田櫻の園
雛のなく酒なき粥をすすりけり 石川桂郎 四温
雛の世の昔はありし貝合せ 加藤 羝羊子
雛の世の永くもがなと雛あられ 宮坂静生
雛の世の牛を解きたる牛車 古舘曹人 砂の音
雛の主在らで雛の灯明るけれ 小松崎爽青
雛の前今誰もゐず坐り見る 立子
雛の前又いたづらをはじめさう 石井とし夫
雛の前妻がワープロ打つてをり 鈴木しげを
雛の前母語り居る外の事 温亭句集 篠原温亭
雛の句の母のひらがな老いにけり 蓬田紀枝子
雛の唇紅ぬるるまま幾世経し 青邨
雛の夜とつても光る星見つけ 菖蒲あや
雛の夜のとつても光る星見つけ 菖蒲あや 路 地
雛の夜の布団の端を子と重ね 関戸靖子
雛の夜の水府の宿の雛かな 石塚友二 光塵
雛の夜の燭にむかしのあるごとく 長谷川素逝
雛の夜の父の部屋灯ともらずある 川島彷徨子 榛の木
雛の夜の猫踏み歩く屋根の上 桂信子 黄 炎
雛の夜の野風をり~通ひくる 金尾梅の門 古志の歌
雛の夜の銀河鉄道産院へ 北見弟花
雛の夜の風呂あふるるをあふれしむ 石川桂郎 含羞
雛の夜や串肉しごき唇濡らす 石川桂郎 含羞
雛の夜や艀もその灯さし交し 大野林火
雛の夜星を身近く引き寄せて 菖蒲あや 路 地
雛の夜管楽器みな闇を持ち 浦川 聡子
雛の夜飾り得ざるは生き耐へし 杉山岳陽 晩婚
雛の娘のすでに中学ねびまさり 西本一都
雛の子や行儀正しく並び見る 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
雛の客なりし君なりたくましき 文挟夫佐恵 黄 瀬
雛の宴五十の内侍酔れけり 召波
雛の家ほつ~見えて海の町 原石鼎
雛の家杉の樹間に見えにけり 藤田あけ烏 赤松
雛の家篠竹垣を結ひしばかり 山本洋子
雛の家雑木山より朝日出て 斉藤美規
雛の宿常世の濤のふところに 竹中宏
雛の帝酒やことぶく今朝の花 露沾 選集「板東太郎」
雛の座にかちかち山の屏風かな 相島虚吼
雛の座のこの公平を肯へり 殿村菟絲子 『菟絲』
雛の座の破れ雪洞は儚き朱 『定本石橋秀野句文集』
雛の座を起つにも齢の骨鳴りて 石川桂郎 含羞
雛の影桃の影壁に重なりぬ 正岡子規
雛の忌と思ひ遥かへ心置く 稲畑汀子 春光
雛の指そのかぼそきをあやまたず 西本一都 景色
雛の日が忌日となりし佳人かな 稲岡達子
雛の日とてリボンつけたる女猫哉 久宝
雛の日にうまれあひたる目鼻かな 龍岡晋
雛の日に秩父自ねんじよすりおろす 細見綾子
雛の日に讃岐うどんを啜りをり 佐川広治
雛の日に遥かな山を得てねむる 松澤昭 神立
雛の日のみづうみまでの雪を掻く 山本洋子
雛の日のアルヘシラスの港かな 今井杏太郎
雛の日の入日雑木にさし込める 高澤良一 さざなみやっこ
雛の日の家苞にせむ蠑螺提ぐ 立花豊子
雛の日の小さな宿に泊りけり 奥名春江
雛の日の小児病棟覗きにゆく 細川加賀 『傷痕』
雛の日の干物胸にとり入れる 山本洋子
雛の日の波白く立つ倉の間 桂信子
雛の日の海をのせたる籬かな 轡田 進
雛の日の濯ぎもの母を淋しうす 久米正雄 返り花
雛の日の立子の墓に詣でけり 青木重行
雛の日の筆を買ひたるのみに暮る 関戸靖子
雛の日の葭倉にゐる男かな 大峯あきら
雛の日の街の端のみ日があたる 桂信子 黄 瀬
雛の日の遠近ともる水際の家 桂信子 黄 瀬
雛の日の部屋の真中に灰かぐら 柿本多映
雛の日の郵便局の桃の花 深見けん二
雛の日の都うづめし深雪かな 鈴木花蓑句集
雛の日の銀座のお茶の時間かな 成瀬正とし 星月夜
雛の日の隣村まで磯づたひ 山本洋子
雛の日の雪に逢ひたるさざえかな 龍岡晋
雛の日の雪淡く木に触れて降る 今枝蝶人
雛の日の雷雲さへも遣り難し 殿村莵絲子 遠い橋
雛の日やひとりあそべるあづかり子 森川暁水 黴
雛の日や先祖の話一くきり(小種青年会講演) 石井露月
雛の日や古紫なる本の出来 長谷川かな女
雛の日や句に詠まれたる池の鯉 雑草 長谷川零餘子
雛の日や巷に荷馬の無垢なる目 野澤節子 黄 瀬
雛の日や彫塑の裾裳中填まる 田川飛旅子 花文字
雛の日や時計の音のほかはなく 石川桂郎 四温
雛の日や秩父電車にマントの子 鈴木正治
雛の日や縁にしぶける松の雨 金尾梅の門 古志の歌
雛の日や翌旅にたつ客もあり 高井几董
雛の日や遅く暮れたる山の鐘 飯田蛇笏 霊芝
雛の日や道玄坂の黄なる空 角川源義
雛の日や雨に風出て隅田川 中村明子
雛の日を仏と居りて足らひたる 阿部みどり女 『笹鳴』
雛の日を川下りして寂しさよ 齋藤愼爾
雛の日を揃はずいよよ老姉妹 岡田 和子
雛の日を解禁とせり白子漁 佐野美智
雛の来ぬ閏に咲くや遅ざくら 如元 閏 月 月別句集「韻塞」
雛の桃祖父白きを買ひ添へぬ 林原耒井 蜩
雛の段蚕棚にてつくりたる 瀧澤伊代次
雛の灯つけ終りたるしづ心 内藤吐天 鳴海抄
雛の灯にあかるき夢の一間かな 中川宋淵 詩龕
雛の灯に酢貝浮かして遊びけり 龍胆 長谷川かな女
雛の灯に髪照らされて夜は素直 柴田白葉女 花寂び 以後
雛の灯のこぼるる星の伏せ柄杓 対馬康子 吾亦紅
雛の灯のともる一事や草の宿 後藤夜半 翠黛
雛の灯の谿にこぼるる吉野建 長谷川閑乙
雛の灯へ薬行商荷をひろぐ 羽部洞然
雛の灯も忘れてそそと夕餉かな 富田木歩
雛の灯をともすスヰッチが押入に 加倉井秋を
雛の灯を今宵の客に灯しけり 高濱年尾 年尾句集
雛の灯を消せば近づく雪嶺かな 本宮哲郎
雛の灯四方の山々夜明けつつ 飯田龍太
雛の灯現々乳房断たれたり 古賀まり子 緑の野
雛の燈にいぬきが袂かゝるなり 蕪村遺稿 春
雛の燭ともせば誰もかもやさし 中村幸絵
雛の琴さくらさくらとだけ弾けて 上田明子
雛の目の遠まなざしや千年紀 佐藤美恵子
雛の眉目真中につどふ親しけれ 大橋敦子
雛の眼に夜はしほざゐの饗きけむ 篠原鳳作
雛の眼に海の碧さの映りゐる 篠原鳳作 海の旅
雛の眼の人を蔑む角度あり 中村 和弘
雛の眼の遠い空見ておはすなり 臼田亜浪 旅人
雛の眼の黒きことみぞれ深まりぬ 渡邊水巴 富士
雛の眼は黒し飛行機とゞろける 渡邊水巴 富士
雛の眼冷ゆ線路工夫の真夜のうた 加藤知世子 黄 炎
雛の瞳といづれかぼそく明石の灯 宮武寒々
雛の瞳ときに肉親かと思ふ 金田咲子 全身 以後
雛の瞳の一焦点に笑みたまう 細木芒角星
雛の窓に真昼の海のかたむけり 山野邊としを
雛の笑顔仕上げ雛師の不安な眼 加藤知世子 花寂び
雛の箱父は能く書きたまひけり 大橋櫻坡子 雨月
雛の節雲ひかひかとゆきにけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
雛の膳京の五色麩色どりに 岩田つねゑ
雛の菓子蕨土筆と減りにけり 後藤夜半 底紅
雛の軸おぼろ少女と老婆寝て 原 裕
雛の軸睫毛向けあひ妻子睡る 草田男
雛の酒大雪嶺を座に入れて 吉田紫乃
雛の間が巡礼さんの休憩所 手塚金魚
雛の間といふすさまじき真闇あり 齋藤愼爾
雛の間にいま目覚めなば盲ひなむ 齋藤愼爾
雛の間にしばらく月の遊びゐる 矢崎幸枝
雛の間にぬぎすててある喪服かな 仙田洋子 雲は王冠
雛の間に何くはぬ顔してをりぬ 金田咲子 全身
雛の間に天平の灯のともりけり 金原秋水子
雛の間に寝てたましひの眠られず 大石悦子
雛の間に寝て夢の国あをからむ 中拓夫
雛の間に投げ込まれたる夕刊よ 岸本尚毅 舜
雛の間に拾ふ白髪われのもの 齋藤愼爾
雛の間に来て胸の内あかしけり 老川敏彦
雛の間に足にも枕あてゝ病む 国弘賢治
雛の間に通りて下ろすランドセル 佐藤美恵子
雛の間に非ず小人形一つ置き 京極杞陽 くくたち下巻
雛の間のとなりのしんとしてをりぬ 石田郷子
雛の間のぼんぼりの夜の翳あまた 長谷川素逝
雛の間のわけても母の遙かなり 齋藤愼爾
雛の間のガラス戸妻子ゐて曇る 辻田克巳
雛の間の天井にゐる鼠かな 山口波津女 良人
雛の間の暗さに慣れて通りけり 井上雪
雛の間の更けて淋しき畳かな 高濱年尾 年尾句集
雛の間の窓に柿の木ありしこと 京極杞陽 くくたち下巻
雛の間の見えてゐるなり理髪椅子 松山足羽
雛の間の闇うつくしき朝寝かな 原コウ子
雛の間の隣りは座敷童子の間 小原啄葉
雛の間へいたはられつゝ階のぼる 国弘賢治
雛の間へ幾唐紙や開通し 温亭句集 篠原温亭
雛の間や意地悪の内侍おしやま君 尾崎紅葉
雛の間より戦争の闇はじまるか 齋藤愼爾
雛の間よ背広吊すも飯食ふも 岸本尚毅 舜
雛の間をかくれんばうの鬼覗く 行方克巳
雛の間をしばらく灯し置きにけり 行方克巳
雛の間をときどき通る男の子 黒沢智恵子
雛の間をひらくや雨の如意輪寺 小澤満佐子
雛の間を夜に通りけりただ暗く 山口波津女 良人
雛の間を猫の素通りしてゆけり 石嶌岳
雛の間を通りて旅の二階宿 冨田みのる
雛の間を通る湯上りの身を包み 朝倉和江
雛の間更けて淋しき畳かな 高浜年尾
雛の闇おのれの闇とかよふかな 金田咲子 全身 以後
雛の面に血のいろかよふ雪催 ほんだゆき
雛の頭を鷹の巣巌の霞かな(青海鴫) 松根東洋城
雛の顔ゆるむ寒さのみゆるかな 久保田万太郎 草の丈
雛の顔鼻無きがごとつる~と 高浜虚子
雛の餅きのふは帰る雁を見て 百合山羽公 故園
雛の餅三彩三臼に搗きをはり 村野蓼水
雛の餅搗きあがるもう固くなる 辻桃子
雛まつりしづかなる日の海荒るる 阿部みどり女 『光陰』
雛まつり山葵の花の夜は匂ふ 萩原麦草 麦嵐
雛まつり櫟の中に道はあり 山本洋子
雛まつり馬臭をりをり漂ひ来 波多野爽波 『骰子』
雛まつるふるさとにきし大炬燵 石原舟月
雛まつる壁裏昼の物音す 桂信子 黄 瀬
雛まつる月よさの野は雪に充ち 金尾梅の門 古志の歌
雛まつる水一碗のさむさかな 太田鴻村 穂国
雛まつる燈蓋の火の覗かれぬ 飯田蛇笏 霊芝
雛まつる鬼怒の川止めありし世の 西本一都 景色
雛も苞にして便船す南風 久米正雄 返り花
雛より遠き眼をして紅を引く 斉藤史子
雛らの見てゐる暗き雨の海 木下夕爾
雛をよくみんとしたればめまひしぬ 川島彷徨子 榛の木
雛を出す水のあかりにさそはれて 朝倉和江
雛を出す親王はわれ妃は夫 品川鈴子
雛を手にとれば聞こゆる雛の息 橋本美代子
雛を手に乗せて霞の中を行く 飯田龍太 山の木
雛を見て出羽の泊りの五加木飯 石川文子
雛を見にゆきたる襖開いてをり 上野泰 春潮
雛を見に立てば大きな我なりし 阿部みどり女
雛を見に行けば婆アが出たりけり 佐藤紅緑(1874-1949)
雛を買ふ人見てあればほほゑまし 森川暁水 黴
雛一対三笠宮家応接間 成瀬正とし 星月夜
雛事のつづきにあそぶ花見かな 李由 三 月 月別句集「韻塞」
雛人形の真顔に混じり午前過ぐ 森田智子
雛人形エレベーターより抱かれて 住素蛾
雛会式さなかに勁き奈良の雨 宮坂静生
雛会式ふつと消えたる紫衣の尼 文挟夫佐恵
雛会式老尼足指反らせ出づ 関戸靖子
雛作る雛より小さく指つかひ 猪俣千代子 堆 朱
雛包む綿に残りし鼻の痕 増田東彦
雛四五軒垣つゞきなり桃の花 古白遺稿 藤野古白
雛壇に享保男雛のしゃちこばる 高澤良一 随笑
雛壇に美しかりし夕日かな 星野立子
雛壇のありし辺りをかい撫でぬ 高澤良一 素抱
雛壇のありて人なき奥座敷 吉屋信子
雛壇のくれなゐ山を隔つとも 宇佐美魚目 秋収冬蔵
雛壇のその贄厨を一覧す 阿波野青畝
雛壇のなき虚しさを桜草一と鉢 長谷川かな女 花寂び
雛壇の上より見れば戦かな 高山れおな
雛壇の下に健太のおまるかな 辻桃子 ねむ 以後
雛壇の使丁の白髪わが白髪 泉紫像
雛壇の外の一生と思ひをり 野澤節子 『駿河蘭』
雛壇の箪笥を開けて衣装なし 南上加代子
雛壇の緋が暗闇にひろがれり 耕二
雛壇の裾に坐りて仰ぎけり 松藤夏山 夏山句集
雛壇へ布団の端の余りけり 林原耒井 蜩
雛壇や葉を吐いてゐる桃の花 清崎敏郎
雛壇や還御待ちある御所車 野村喜舟 小石川
雛壇や閏遅れに百姓家 阿波野青畝
雛壇や頭をふれば海ちらちらす 永末恵子 発色
雛壇を転げ落ちたる夕日かな 野口嘉子
雛寒し桃の節句に桃の咲かぬ国 河野静雲
雛小さし雛の暮しの匂ひをり 河野多希女 彫刻の森
雛屏風船遊びの図なりしかな 加藤三七子
雛展の声なき声の中巡る 浅井青陽子
雛恋ふる親のこゝろや夜の鶴 松岡青蘿
雛愛しわが黒髪をきりて植ゑ 杉田久女
雛抱いて隣の女来りけり 草雲雀 柳原極堂
雛抱いて駈け上りたる二階かな 雑草 長谷川零餘子
雛描き貧画学生何を食ふ 殿村菟絲子 『路傍』
雛明り 襖から顔出す父に 伊丹三樹彦 樹冠
雛暮れて面輪もわかずなりにけり 芝不器男
雛様をなぐさめ顔の蓬餅 正岡子規
雛檀の奥に前の世うしろの世 齋藤愼爾
雛段にあづけ忘れし小盃 後藤夜半 底紅
雛段にひらく梅花の貝細工 長谷川かな女 花寂び
雛段に千々の影おく吊し雛 上田日差子
雛段に午前の日差しさし込みぬ 高澤良一 さざなみやっこ
雛段に半日おかれ母の眼鏡 桂信子 黄 瀬
雛段に女盛りの雛ばかり 三好潤子
雛段に横たはりをる鴨居かな 上野泰 佐介
雛段に置き忘れたる貝釦 飴山實 辛酉小雪
雛段の下に健太のおまるかな 辻桃子
雛段の前で決まりし婚ばなし 高野イツ子
雛段の前にゐて子のよき返事 猪俣千代子 堆 朱
雛段の水屋に水のながれる絵 渋谷道
雛段の高きあたりのさびしくも 西山よし子
雛段の高きへ登る紅き階 山口誓子 雪嶽
雛段や床の間のなき大屏風 島村元句集
雛段を担いで兄はふり返る 柿本多映
雛段を組みてぐらぐらしたること 辻桃子
雛殿も語らせ給へ宵の雨 夏目漱石 明治二十八年
雛焼きし燠火を鎮め日照雨 関森勝夫
雛生れぬ真日のにほひのかなしきを 篠原鳳作 海の旅
雛祭すみしばかりにみまかりぬ 篠原鳳作
雛祭すみたる雛のならびます 山口波津女 良人
雛祭り娘が桐も伸にけり 一茶 ■文化五年戊辰(四十六歳)
雛祭るちひさき幸にためらふな 清水基吉 寒蕭々
雛祭る節供になりて春の雪 正岡子規
雛祭る都はづれや桃の月 蕪村 春之部 ■ 上巳
雛祭われに三十路の妻ありぬ 岸本尚毅 舜
雛祭一年生もすぐ終り 上野泰 春潮
雛祭浅蜊は管を足にして 高澤良一 素抱
雛祭無口の童女輝けり 秋山好見
雛立てる局(つぼね)になるや娘の子 りん 俳諧撰集玉藻集
雛箪笥あくやふくらみでる縮緬 澁谷道
雛箱の紙魚きらきらと失せにけり 臼田亞浪 定本亜浪句集
雛舟の二艘といふもあはれなり 京極杞陽
雛荒しして畦かへる吉野の子 浦野芳南
雛菓子にすこし日あたる母の留守 桂信子 黄 瀬
雛菓子のよそよそしくも美しや 田辺ひで女
雛菓子の栄螺の角の折れてゐる 田中冬二 麦ほこり
雛菓子の紅濃きところほろにがし 文挟夫佐恵 黄 瀬
雛菓子を供ふや泛ぶ仏たち 殿村菟絲子 『樹下』
雛菓子を買はざる今も立停る 殿村莵絲子
雛見つむ雛より細き目つきして 高澤良一 随笑
雛調度牛車(ぎっしゃ)より誰が降りにけむ 高澤良一 ぱらりとせ
雛買うて日向を帰る山の町 鷲谷七菜子 花寂び
雛買うて杣雪山へ帰りけり 原石鼎
雛買はぬ身は一冊の書を買ひぬ 森川暁水 黴
雛車とまづ伊勢丹が屋に描く 中村汀女
雛過ぎて更に活けたる桃白し 石井露月
雛過ぎの白波顕つて吉野川 鷲谷七菜子 天鼓
雛過ぎの陸を失ひたる水夫 齋藤愼爾
雛選ぶ後ろ髪までたしかめて 品川鈴子
雛酒に少し腹持ちしたやうな 野村仙水
雛酒や汐干を語る国家老 高井几董
雛静か琴は袂楽を波立てつ 河野多希女 両手は湖
雛頭百一様に雪降れり 猪俣千代子 秘 色
雛飢ゆと文人歌を詠ひけり 萩原麦草 麦嵐
雛飾りしてあるまゝに地久節 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
雛飾りつゝふと命惜きかな 星野立子
雛飾りゐて三界に家は無し 三好潤子
雛飾ることの喜びに春来たり 青峰集 島田青峰
雛飾るときは良人に指図する 品川鈴子
雛飾る一度掌にのせまゐらせて 田村玉
雛飾る光陰吾を置きざりに 大橋敦子
雛飾る吾らも尉と姥になり 品川鈴子
雛飾る吾子より妻の愉しくて 根岸善雄
雛飾る地つづきにいてねむる墓 中山純子
雛飾る女系家族のなかの俺 中村重義
雛飾る妻は件の手付きして 高澤良一 寒暑
雛飾る娘の手伝ひもあてにして 稲畑汀子
雛飾る座の甘酒に掌をぬくめ 永井龍男
雛飾る息かかるほど近づきて 猪俣千代子 秘 色
雛飾る手の数珠しばしはづしおき 瀬戸内寂聴
雛飾る日より日差しのやはらぎて 高澤良一 随笑
雛飾る暇はあれど移るべく 中村汀女
雛飾る波瀾万丈とは言へず 野澤節子 『駿河蘭』
雛飾る牛飼の二戸鶏往き来 太田土男
雛飾る磯の匂ひがつんと来て 岸本尚毅 舜
雛飾る背面に水あるごとし 能村研三 騎士
雛飾る薄草いろの海の面 中拓夫
雛飾る診察室に安らぎぬ 土屋孝子
雛飾る誰のものともあらぬ雛 石田勝彦 秋興
雛飾る部屋に小さくなつて寝る 谷口まち子
雛飾る部屋に目覚めて闇深し 片山由美子(1952-)
雛飾る闇にうかべり厳島 森本芳枝
雛鶏の喉蛾を呑みえたり群を離れ 原田種茅 径
雨くらし古城がつたふ雛道具 大島民郎
雨となりし橋のゆききに雛立てぬ 金尾梅の門 古志の歌
雨の竹群歩み尽きれば雛の家 柴田白葉女 花寂び 以後
雨聴くや糸を張つたる雛の眸 高橋睦郎 金澤百句
雨靴をぬぎて雨夜の雛の宿 後藤夜半 底紅
雪の夜の更けて雛の眉目描くと 桑田青虎
雪の底眼を病む母や雛祭 沢木欣一 地聲
雪は花と舞ふ恋雛の誕生日 石原八束 仮幻の花
雪みちを雛箱かつぎ母の来る 室生犀生
雪信が屏風も見えつ雛祭り 几董
雪国に早出しの雛ありにけり 下田稔
雪崩跡越え来て雛の客となる 勝山耕南
雪洞の火の過ちの雛かな 野村喜舟 小石川
雪解風土雛売の来初めたり 金尾梅の門 古志の歌
青丹よし奈良の土産の木彫雛 高橋淡路女 梶の葉
青垣の山たたなはる雛屏風 上田五千石
青毛布赤毛布さま~の雛哉 寺田寅彦
面ざしのまことに皇子の雛かな 野村喜舟
面影の児に似る雛は飾らざる 宮地良彦
面影を雛に映し偲びけり 稲岡長
音の無き世界の母に雛飾る 小島左京
音ほどは見えぬ両脚雛飾る 鍵和田釉子
音立てて鉄扉下り来る雛の前 岡本 眸
須磨の白砂跡つけて雛の落ちゆくや 久米正雄 返り花
顎細き女雛の悪女かもしれず 柴田奈美
風まとふ樹肌の艶も雛のころ 加藤耕子
風強き隠岐に泊りて雛の家 折井眞琴
飾らせて貰ひたしとて雛持参 後藤夜半 底紅
飾らねば泣くと雛にひとりごと 福田蓼汀
飾られて仮住も亦雛の宿 稲畑汀子
飾られて眠らぬ雛となり給ふ 平之助
飾られて雛うつし世の影を置く 渡辺なつ江
飾られて雛は向き合ふこともなし 徳田晴世
飾りたる小町雛のうれひ眉 阿部みどり女 笹鳴
飾りたる雛との別れ旅に発つ 嶋田摩耶子
飾りては雛とのえにし深めあふ 岡田 和子
飾るより留守をあづける雛となる 稲畑汀子
養護バス降りる子の手に紙雛 房川喜三男
香久山を巡り遊びて雛の日 早渕道子
馬通る中路地もてり雛の宿 田村了咲
馳走する身も我なれや雛の客 梅 俳諧撰集玉藻集
骨壷を置きて雛を並べけり 坊城中子
高雛の初々しくぞゐたまひし 阿波野青畝
髪そぎて臈たく老いし雛かな 杉田久女
鯉が食う雛の日すぎし雛あられ 和知喜八 同齢
鳴く雛に畦焼く炎見えはじむ 福田甲子雄
鶴も巣を今日かけ初めむ雛の宿 松岡青蘿
鶴脛ののけぞり雛が下段かな 安斎桜[カイ]子
鶴菱も業平菱も雛のもの 後藤夜半 底紅
麺棒のとどろきわたる宿の雛 飯田蛇笏 山廬集
黒髪のおとろへ知らぬ雛かな 長井紀子
鼠まだ居らぬ新居や雛かざる 大橋櫻坡子 雨月
鼠荒れ止んで雛段の夜明かな 内田百間
齢きて白歯失せゆく雛かな 寺田京子
龍脳を贈る雛の別れかな 尾崎紅葉
しほさゐの調べにゆらぎ吊りひひな 松本千鶴子
ひひなてふいのち秘むもの買ひし夜は 田畑美穂女
ひひなの夜二段ベットの姉いもと 松永美重子
ひひなの灯晝もともして襞の影 内田百間
ひひなよりは大きくなりぬ桃咲けり 内田百間
ひひな師の眼を描きをり冴返る 太田 蓁樹
母の一生ひひなのー生かなしまず 黒田杏子
紙ひひな唇を描かれてより白し 長谷川双魚 『ひとつとや』
お節句に間に合ふやうに桃の咲く 高澤良一 随笑
てれば桃ふれば柳の節句かな 京-方山 元禄百人一句
ほのぼのと桃の節句の軒に雪 近藤一鴻
声のぼる桃の節句の空の紺 堀 古蝶
昼空に月あり桃の節句なり 宮津昭彦
晴天三日節句を待たず桃ひらく 高澤良一 素抱
桃さして古代の瓶に節句かな 滝井孝作 浮寝鳥
桃どちのけふは節句と云ひ交し 高澤良一 素抱
桃の節句獣の舌も桃色に 加藤かけい
桃節句湯気と湯の出る魔法瓶 山畑緑郎
海女たちの結ひあふ桃の節句髪 村田青麥
田に水のみちをつけをり桃節句 森田公司
疎開でおらぬ子の桃の節句に出しておく晴着模様の鶴 橋本夢道
看取りゐて桃の節句を忘れゐし 川口咲子
箸置に桃の枝配す節句かな 柴原保佳
雛寒し桃の節句に桃の咲かぬ国 河野静雲
餅を負ひ桃の節句の使かな 瀧澤伊代次
内裏雛目の付くところに骨董屋 高澤良一 随笑
箸置きの陶のひひなも飾りけり 高澤良一 寒暑
只横に竝べてひひな飾りけり 高澤良一 石鏡
雛飾る孫二人目の春なりけり 高澤良一 石鏡
お茶の間を彩どるものに雛あられ 高澤良一 暮津

以上う
by 575fudemakase | 2015-03-03 00:13 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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