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雛祭2

雛祭2

例句を挙げる。

掌にのせいつくしみ貝雛 福田蓼汀 山火
掌に雛の底ことごとくつめたけれ 中田剛 珠樹以後
掌に韻く小さき藍の陶の雛 平林孝子
掌の上に今出来たての雛あられ 星野立子
掘りたての馬刀貝売りに来つ雛の宿 冬葉第一句集 吉田冬葉
数多見てきてはじめ見し雛を買ふ 今瀬剛一
文筆を愛す机に貝雛 高橋淡路女 梶の葉
新妻の頃のにほひす雛まつり 三島晩蝉
新築のプランに入れて雛の間 稲畑廣太郎
旅人ののぞきてゆける雛かな 久保田万太郎
旅立つや父母のこり雛の宿 成瀬正とし 星月夜
日を経てはおこたる雛の灯かな 軽部烏頭子
日向縁に祖父母健在雛祭 香西照雄 素心
日溢るゝ戸を繰りにけり四日雛 林原耒井 蜩
日脚伸び伸びて雛の日に至る 波多野爽波 鋪道の花
昇殿を待たるる雛のむきむきに 亀井糸游
明日は雛飾りやりたく一人娘に 星野立子
昔男ありけりと読む雛の間 山田弘子
春の蚊や一つとまりし雛の顔 正岡子規
春の雨まだ雛かざりある二階 長谷川かな女 花 季
春の雪天草雛は子を抱けり 鈴木厚子
春の雪蘇生の雛をあたためて 田中裕明 櫻姫譚
春の雷雛菓子の鯛食べてしまう 長谷川かな女 花 季
春を堰いて手越の長の雛まつり 中勘助
春愁やたまごの中に雛のこゑ 池元 道雄
春日たらり雛の目下瞼から閉づる 野澤節子 黄 瀬
春陰や井伊の家紋の雛道具 喜多みき子
昼も夜も海鳴りやまぬ雛かな 上野まさい
晝たけて行く緋や箔や無韻雛の位置 安斎櫻[カイ]子
晩年のそこらすっきり雛飾る 三木幸子
暮れのこる連山雛の間を灯す 田辺博充
曲水を繞らす雛の屏風かな 尾崎紅葉
更くる夜のおとがひまろき雛かな 佐野青陽人 天の川
更けまさる火かげやこよひ雛の顔 芥川龍之介
書きとめて秘むる日附や雛の陰 下村槐太 天涯
書初の子に吉野雛ながれつつ 大峯あきら
月光は川原伝ひに雛の家 直人
月夜にて雛の息とわが息と 石嶌岳
月山の暮天うつくし雛燕 皆川盤水
有へぬる古き匂ひの雛哉 妻木 松瀬青々
朝の望楼よく見える日や雛の背も 寺田京子 日の鷹
木彫雛たゞひとすぢのおんまなこ 下田実花
木彫雛菜の花散ればはなやぎぬ 福田蓼汀 山火
木更津から物売りの来て雛祭 小島千架子
木瓜咲くや巻藁にさす雛の首 岩城のり子
木箱より雛が出て聴く風の音 佐川広治
木綿縞着たる松本雛かな 瀧澤伊代次
本間様の百歳雛に片栗菓子 田中英子
本陣のめぐらす水に雛の灯 西本一都 景色
朱唇ややあけてやさしき雛かな 阿部みどり女
杉山にとりかこまれて雛かな 大峯あきら
東海道とまりとまりの雛かな 大場白水郎 散木集
東西に嫁して姉妹や雛飾る 石昌子
松に降る雨きらきらと雛祭 川井政子
松園の絵雛更けゆく温め鮓 大島民郎
松風も村雨もあり須磨の雛 古白遺稿 藤野古白
柩なる額は冷たし雛よりも 文挟夫佐恵 黄 瀬
桃さくら其奥床し夜の雛 松岡青蘿
桃に早き雛かざる世を惜みけり 尾崎迷堂 孤輪
桃の日や雛なき家の冷じき 高井几董
桃の花浮かべて雛湯ともうします 関澄ちとせ
桃桜白髪の雛もあらまほし 蓼太
桃活けて一つ置かれぬ土雛 龍胆 長谷川かな女
桃活けて雛なきおもひ俄かにも 朝倉和江
桐箱を出でて道中道中雛 大橋敦子 手 鞠
梅の図の光琳写し雛屏風 大橋敦子 勾 玉以後
椎の葉の盛物多し後の雛 尾崎紅葉
椿子に会ひたしと言ひ雛の客 千原叡子
業深き己れ泣雛その中に 関戸靖子
樋つたふ恋路のすずめ雛の昼 皆吉爽雨 泉声
櫛買へば雛の酒とて饗しぬ 木村蕪城 一位
欄間越し雛雪洞を閨明り 品川鈴子
欅あり雛祭の夜の靄 森澄雄
次の間の雛の客となりにけり 角川春樹
正気とは思へぬ顔の雛かな 大木あまり 火球
此の雛に樽の八千代や諸椿 斯波園女
武具・雛具少し塵被て夏館 岡本差知子
武蔵野の雛の小家に帰りけり 鈴木しげを
歪まざるものなき雛の鏡かな 山西雅子
母が居て子が居て雛の間となれり 菖蒲あや あ や
母とゐて雛の間といふ眠たき間 大木あまり 雲の塔
母の忌をあしたに雛を飾るなり 長谷川かな女 花 季
母の雛最も古りて清くあり 原石鼎
母は亡し雛の夜の雲迅し 山田みづえ
母よりも父の愛でにし古雛 大橋敦子 手 鞠
母亡くて雛の黒髪梳きたしよ 大木あまり 火球
母様のその母様の古雛 佐土井智津子
母死にて母に貰ひし雛伏目 品川鈴子
毛槍梵天くれなゐかざし道中雛 大橋敦子 勾 玉以後
毬ころげゆきて女雛を押し倒す かけい
気品とは寂しさに似て雛の面 高橋秋郊
水かぶる日本しづかな雛の家 攝津幸彦
水の音山に放てり雛の家 酒井和子
水中に結ぶ藻のかげ雛日和 原裕 『新治』
水牢を脱けて波間に雛抱く 高澤晶子
水軍の古墳見て来て雛の酒 角川源義
永病みのかくし涙を雛に見す 三好潤子
汝が為に雛をかざれる母のそばによそごとをしも思ふらむ娘よ 金子薫園
汝の雛に女雛添はせてやりにけり 関戸靖子
沖かけて白波さわぐ雛かな 飴山實 『次の花』
沖どめの船に燈が入る雛祭 茨木和生 倭
波せまる裏戸に見えて海女の雛 岩城のり子
波ひとつかぶりて雛のくつがへる 稲垣きくの 牡 丹
浅草に曳き船の音雛祭 皆川盤水
海に降る雪美しや雛飾る 小林康治 『華髪』
海光のつよきに触れて雛鳴けり 篠原鳳作 海の旅
海光のゆきわたつたる座敷雛 斎藤梅子
海匂ふや面かくされし雛頭 樋笠文
海原を日のわたりゆく座敷雛 坂本謙二
海見ゆる安らぎに住み雛飾る 和田順子
海鳴りや伊根の舟屋の四月雛 成瀬桜桃子
消ゆるまでの雛の灯にあり桜草 碧雲居句集 大谷碧雲居
淡島の守雛とは音に聞く 後藤夜半 底紅
淡雪や女雛は袂うち重ね 臼田亞浪 定本亜浪句集
深まりて夕空夜空お雛さま 金子皆子
深川や風が戸叩く雛の家 加藤耕子
漁り火のにはかにしげき雛の窓 佐野まもる 海郷
漢字ひとつふたつ忘れて雛飾る 仙田洋子 橋のあなたに
濤音のどすんとありし雛かな 千葉皓史
灘蒼き神話の国の土雛 福田蓼汀 秋風挽歌
火ともせば雛の屏風に雛かな 竹冷句鈔 角田竹冷
火の山に向いて一軒雛の宿 亀井糸游
火の滝の雛毛氈懸け垂らす 上野泰 佐介
火伏なる「おぜんじ雛」に大座布団 田中英子
灯して母に教わる花菜雛 寺井谷子
灯し置く雛の一と間の広すぎし 龍胆 長谷川かな女
灯せば*かがいそめたる雛かな 加倉井秋を 『風祝』
灯せばまことしやかに雛の夜 行方克巳
灯ともして殿中くらき雛かな 大橋敦子 手 鞠
灯ともすや面はゆげなる女雛達 青峰集 島田青峰
灯ともせば天井高き雛かな 増田龍雨 龍雨句集
灯ともせば皆我れに向く雛かな 近藤鳴川
灯ともせば雛に影あり一つづゝ 正岡子規
灯の入りて次郎左衛門雛に候 稲岡長
灯りたる雛のあられの鬱金失せ 後藤夜半 底紅
灯を下げて白息夫婦雛つくる 中村金鈴
灯を入れてあけぼの貌の雛かな 中島月笠 月笠句集
灯を消してこころに目鼻紙雛 都筑智子
灯を消してなほほのかなる雛かな 林原耒井 蜩
灯を消せば闇もやはらか雛の間 若倉文子
灯を消せば雛の寄り添ふやも知れず 加藤賀千子
灯を継ぐと来し雛の間にとゞまりぬ 林原耒井 蜩
炭運び込むとき見えし飾雛 菖蒲あや 路 地
焚かるるも男雛は正座くづさざり 安藤孝助
焦土にて雛飾り得るは幸なるか 杉山岳陽 晩婚
焦心の膝折りて坐す夜の雛 赤城さかえ句集
焼け残る雛鬻ぐをあはれとも 福田蓼汀 山火
熟睡後の空晴れ初むる雛祭 中山純子 沙羅
燈籠にこもり鳴きたる雛雀 瀧澤伊代次
燭台の倒れ易さよ雛かざる 高濱年尾 年尾句集
燭台の灯なれや雛浮び見ゆ 高濱年尾 年尾句集
燭澄みて明日売る雛ひかりいづ 中村 金鈴
爛綻の梅ばかりなる雛の日 原石鼎 花影以後
父の画に母の賛あり初雛 阿部みどり女 笹鳴
父やさしく母きびしくて雛祭 右城暮石 上下
物の蔭に疵ある雛ありにけり 阿部みどり女 笹鳴
犬張子ちかづけたまひ御雛 後藤夜半
独りごちつゝ置きゆける雛道具 高澤良一 随笑
独り立ちせり雛壇に手をかけて 品川鈴子
玄関に飾られ小物雛ばかり 高澤良一 随笑
玄関の鏡に空や雛まつり 藺草慶子
玉虫のすべり落ちたる雛かな 雑草 長谷川零餘子
現身の黒髪にほふ雛の前 西島麦南
琴ひいてまひるしづかに雛まつり 素逝
生きのびる雛のしもべとなるために 渡辺乃梨子
生れし子に必死の頃よ古雛 岡田和子
生れむ子を女なれと吾子は雛まつる 林翔 和紙
男いて雛道具ふるわす立居 澁谷道
男ごゑして雛の間のともりけり 赤尾冨美子
男っ気世帯大内雛飾る 高澤良一 ぱらりとせ
男の子等に雛のすしを風邪の床 高木晴子 晴居
男の雛に女の雛置けばかしづきぬ 実花
男の雛の黛暈をもちたまふ 後藤夜半
男の雛もまなこかぼそく波の間に 山口誓子(1901-94)
男手をちよつと借りたる雛飾る 石田郷子
男雛女雛灯ともるときに息通ふ 柴田白葉女
町の子ら雛の宵の鬼遊び 木歩句集 富田木歩
町は名古屋城見通しに雛売りて 久米正雄 返り花
留守になる雛を飾りてみちのくへ 長谷川かな女 牡 丹
留守の家の雛に心を侍らせて 稲畑汀子 春光
略式も略式雛飾りけり 高澤良一 素抱
畳よりすぐに真紅に雛の段 中田みづほ
痩馬を駆り朔北の雛の前 古館曹人
登らむと雛ざくら草波だたす 加藤知世子 花 季
白き粥かがやく雛の日とおもふ 桂信子
白もまた欠かせぬ色や雛あられ 小林草吾
白丁の組む脚細し享保雛 上野さち子
白浪を河口に後の雛の日や 宮津昭彦
白酒や夜は夜で老の雛の客 山川能舞
白酒を富士の詠や公家雛 露言 選集「板東太郎」
白髪の人の出で来し雛の家 宇佐美魚目
白髪を許されずをる雛かな 大木あまり 火球
百千の雛見しよりの夢のいろ 文挟夫佐恵 遠い橋
皆老いて雛の客とも思はれず 高木晴子 花 季
皿沈む水のあかるさ雛の家 井上雪
目の下に涙ひとつぶづつ雛 田中裕明 櫻姫譚
目をみはる雛に夜語り青葉木菟 堀口星眠
目を入るるとき痛からん雛の顔 長谷川櫂
目細雛紫袴の匂ひて喜雨亭に 及川貞 夕焼
目鼻なき雛に菩薩の愁ひあり 小松麗
相おもふ酢貝や祝ふ雛遊 幸女 俳諧撰集玉藻集
相寄るにこはばる雛の袂かな 北川英子
相生の姫と連るるや雛あそび 越中-宇白 俳諧撰集「有磯海」
看取る日の目鼻が欲しき紙雛 蓬田紀枝子
真夜中の目をあけてゐる雛かな 永田耕一郎 雪明
真榊を保波志良として雛の舟 宮津昭彦
眠るごと唄へるがごと雛かな 成瀬正とし
眼をつりて怒り上戸の雛愛し 阿部みどり女
睦まじく立て添はせけり紙雛 高橋淡路女 梶の葉
睨めあげる童女の頭を撫で雛の日 赤城さかえ句集
硝子戸を人の過ぎゆく古雛 鍵和田釉子
碧空に山するどくて雛祭 飯田龍太
祖母の忌の雛に日溜り蕗の下 飴山實 『おりいぶ』
秋の風芙蓉に雛を見付けたり 蓼太
秋苑に雛よぶ鳰の声透る 西本一都
移りゆく世をひたすらに雛作 福田蓼汀 山火
移り来て旧の暦に雛祭 福田蓼汀 山火
空襲の火につつまれたる雛よ 大牧 広
窓に月のありけり雛は既に知る 渡辺水巴
立妃雛貧屋に入れ奉り 長谷川かな女 花 季
立子忌と思へば雛の顔淋し 山本竜雄
立子忌の一日雛と遊びけり 佐々木 咲
立雛の女雛抱きそに袖ひろぐ 小林波留
立雛の眼コ小さきことかなし 高木晴子
立雛や袴の銀のさびまさり 野村喜舟 小石川
童唄母がうたひて雛飾る 福田蓼汀 秋風挽歌
端然と恋をしてゐる雛かな 夏目漱石 明治二十九年
竹の奥うすむらさきに雛祭 大峯あきら
笏あてし檜扇あてし裸雛 後藤夜半 底紅
笏もちて面かくるゝ雛かな 高野素十
笑ふかに泣くかに雛の美しく 上野泰(1918-73)
笛吹けるおとがひほそき雛かな 篠原鳳作 海の旅
笛失せし雛の指の笛を吹く 猪俣千代子 秘 色
筆に紅つけて雛の口を描く 瀬戸 十字
筆入るる目を細うして雛師かな 森川暁水 黴
筥を出て雛の内裏に入りたまふ 大橋櫻坡子 雨月
箱より雛目覚めさせをり夫呼びたし 熊谷愛子
箱を出て初雛のまゝ照りたまふ 渡邊水巴 富士
箱を出る顔わすれめや雛二対 蕪村
箱書に父の筆跡雛飾り 加藤耕子
篠笛をたづさへ来たり雛の客 加藤三七子
籠り居る母の晩年雛の灯 成田郁子
糊の手を口に吸ひゐる雛師かな 森川暁水 黴
糸の雛麦藁の雛あはれなり 後藤夜半 底紅
紅梅の宿にもどれば雛の客 中勘助
紅蔵に灯の洩るる雛の唄 鈴木漱玉
紐噛んで牛車の牛も雛の中 関戸靖子
紙雛からりと晴れて紅うすき 中島月笠 月笠句集
紙雛さみしきかほを並べけり 三橋鷹女
紙雛しか持たずアパート時代から 品川鈴子
紙雛に倒れ易くて金屏風 高澤良一 素抱
紙雛に目鼻は重きゆゑ画かず 丸山海道
紙雛のあまり静けさ別れかな 中島月笠 月笠句集
紙雛の女雛の金ンの帯ゆるし 橋本鶏二
紙雛の擁くこともなくて立つ 上田五千石 風景
紙雛の胸ふくらみて居たりけり 青柳菁々
紙雛の薄きを人の裏返す 右城暮石 声と声
紙雛の薄くも抱く女夫かな 渡邊水巴
紙雛の衛士へ篝のマッチ棒 嶋田麻紀
紙雛はつひゐるやうにもたれけり 松瀬青々
紙雛やおぼつかなくも目鼻立ち 存義
紙雛や恋したさうな顔許り 正岡子規
紙雛や紙もてはらふ薄ほこり 嶋田麻紀
紙雛目鼻は人の胸の中 林 翔
紙雛笏も扇も紙を持つ 村井桂子
終ひの日はいつ来る雛の黒髪よ 河野多希女 両手は湖
絵にこゝろたかめられゆく絵雛見る 国弘賢治
綿とりてねびまさりける雛の貌 其角
縁の下に瓶もたれあひ雛の夜 桂信子 黄 瀬
織りかけの叺を土間に雛の宿 冨田みのる
繭雛の繭の大きさ繭のかろさ 後藤夜半 底紅
纓長く太刀細くこそ雛かな 尾崎迷堂 孤輪
罌栗咲くや雛の小袖の虫はらひ 可南女
美しき厄を山積み雛の舟 鷹羽狩行
美しき金短冊の絵雛かな 坂東みの介
習はしは母とのよすが雛飾る 藤井寿江子
老いごころ薄紙のごと雛の前 内山起美女
老いし二人だけが眺むる雛買ふ 能村登四郎
老いてこそなほなつかしや雛飾る 及川貞(1899-1993)
老いてなほ夢多くして雛祭 吉屋信子
老いの子の末の子の雛祭るなり 林原耒井 蜩
老いの手にまねき消されぬ雛の燭 山本梅史
老いゆくは淋しきものよ雛祭 高濱年尾 年尾句集
老て我雛と遊ばむ酒五升 立花北枝
老ひてこそなほなつかしや雛飾る 及川貞
老もまた貰ひ溜りし雛飾る 後藤夜半 底紅
老人の遠きしはぶき雛飾る 藤岡筑邨
老妻の飾りし雛を見てやりぬ 富安風生
胸灼く酒雛といふもの我に会ふ 石川桂郎 含羞
脣少しあけておはせる女雛かな 高橋淡路女 梶の葉
膝合す雛の背中を初めかな 上島鬼貫
舌に溶く雛菓子人生半眼に 柴田白葉女 牡 丹
船つくる響を門に雛まつり 佐野まもる 海郷
船を降り傘きせられつ雛の客 宮武寒々 朱卓
芋串の焦げて雛の日闌くるかな 伊藤いと子
若き父鯛を釣り来と雛まつり 山口青邨
苺多(さは)雛にもありし一と栄え 殿村菟絲子 『晩緑』
茎立や籠出し雛に親そぞろ 西山泊雲 泊雲
茶の間にも桃の色紙や雛の宿 高橋淡路女 梶の葉
茶畑の奥に日当る雛の家 山本洋子
草の戸も住み替はる世ぞ雛の家 芭蕉
草みちが池をめぐりて雛日和 鷲谷七菜子 花寂び 以後
草庵ににはかの客や貝雛 阿部みどり女 笹鳴
草餅やぶつきらぼうに吉野雛 角川春樹 夢殿
荒船山の深きふところ雛の宿 北見さとる
菓子を切る庖丁来たり雛の前 前田普羅
菱の餅雛の天子に供へけり 河東茂枝女
菱形のたましひのせし雛飾 太田保子
菱餅や雛なき宿もなつかしき 一茶
落ちてゐる鼓を雛に持たせては長きしづけさにゐる思ひせり 初井しづ枝
葛城の雨脚はやし雛の夜 有馬朗人
葛飾や雛もわたすわたし守 加舎白雄
薄紙のふくらむところ雛の鼻 辻 桃子
薄表紙ひざにひろげて雛師かな 森川暁水 黴
薄雪のやがて跡なし宵の雛 林原耒井 蜩
薬玉やちぎりめでたき古雛 高橋淡路女 梶の葉
藤色の揃ひ座布団雛の前 阿部みどり女 笹鳴
虚子御像幻ならず雛の灯に 桑田青虎
蜜柑むいて寒さわかたん雛かな 渡邊水巴
蜜柑箱ふたつ重ねてめりんすの赤き切しく我が子等の雛 与謝野鉄幹
蝋涙の富貴なさまや雛の宴 安藤橡面坊
蝋燭のにほふ雛の雨夜かな 白雄
衛士雛の赤き篝火燃え尽きず 大橋櫻坡子 雨月
衣手の松の色はえ木彫雛 水原秋桜子
衣手は露の光りや紙雛 蕪村遺稿 春
衣紋古りし松の緑や紙雛 碧雲居句集 大谷碧雲居
表具師の家の黄瀬戸の坐り雛 高澤良一 さざなみやっこ
表紙絵も玉藻雛や立子の忌 星野 椿
衿元を正して雛を波に置く 久米惠子
袖圓に袴方なる絵雛かな 後藤夜半
裏口に海見えてゐる雛の家 柳下良尾
裏山の日暮が見えて雛祭 齋藤愼爾
裸雛にはさりげなき女たち 後藤夜半 底紅
親迎ふ雛鵜の逸り見上げけり 臼田亜浪 旅人
観劇のほとぼりもどる雛の前 大島民郎
記念樹の松あをあをと雛の家 蒲沢康利
誰がためとなく飾り置く雛かな 稲畑汀子
調度みな掌上のもの雛飾る 皆吉爽雨 泉声
謡ひやめ雛の客を迎へけり 高浜虚子
豆雛いみじう飾り栄えにけり 高橋淡路女 梶の葉
豆雛が箪笥の上に忘られて 臼田亞浪 定本亜浪句集
豆雛に供ふる菓子も買ふとせむ 樋笠文
豪雪の予報に点す雛の間 冨田みのる
貝の雛貝閉ぢ合はせ逢瀬とす 後藤夜半 底紅
貝売に窓覗かれし雛かな 野村喜舟
貝雛ちちはは離々とありにけり 岩城久治
貝雛のくれなゐ世界閉ぢにけり ほんだゆき
貝雛の合せ上手に作られて 後藤夜半 底紅
貝雛の貝金を刷き紺を引き 舘野翔鶴
貝雛やまこと妹背の二人きり 高橋淡路女 梶の葉
貝雛を閉ぢてこころを合せけり 岩垣子鹿
貝雛開きて見たる下天かな 中島陽華
買ひし雛包まれてをる間かな 成瀬正とし 星月夜
買ふたのし足る世となりて贈る雛 及川貞 夕焼
赤きもの部屋に増やせる雛かな 橋本きみゑ
赤門の大きく開く雛まつり 日原傳
起き臥しや他家の雛に緑さし 榎本冬一郎 眼光
足許に昏れ来し雪や雛を買ふ 萩原麦草 麦嵐
身のうちに紅の階雛飾る 辻桃子
身の内を緋色に雛の間を出づる 齋藤愼爾
軒ぞ錦深窓の八重后雛 調泉 選集「板東太郎」
軒風や雛の顔は真白なる 内田百間
輸血享くる手にも三粒の雛あられ 古賀まり子 緑の野
辞職後のくさぐさの中雛の日も 亀井糸游
近よりて雛に顔が丸うなる 右城暮石 声と声
這ひ来たる児をあやしつつ雛飾る 今泉貞鳳
連翹や鶏舎をのぞいて雛見たし 雑草 長谷川零餘子
過ぎし世を恋するに似て雛飾る 橋本榮治 越在
道中雛後姿の道中す 大橋敦子 勾 玉以後
道中雛陸続として飾らるゝ 大橋敦子 手 鞠
遠き世の月こそ出づれ雛まつり 林原耒井 蜩
遠富士に雲の天蓋雛まつり 鍵和田[のり]子
遠雲は縁でかゞやく雛まつり 平畑静塔
遣るあてもなき雛買ひぬ二日月 井上井月
部屋中が匙に映りぬ雛祭 正木ゆう子
酒尽きてほろ酔気分でみる雛 高澤良一 素抱
酔さめやほのかに見ゆる雛の顔 暁台
金屑をひざにひろひて雛師かな 森川暁水 黴
金褪せず色褪せにけり古雛 大橋敦子 手 鞠
釘を打つ日陰の音の雛祭 北野平八
銀の匙添へて出されし雛あられ 高木耕人
銃磨くしぐさに雛の日を忘る 対馬康子 愛国
錦繍にまみれ雛師の冬至粥 中村金鈴
鎌倉に雪降る雛の別れかな 宮下翠舟
鑓もちや雛のかほも恋しらず 千代尼
門跡寺吹貫立てり雛会式 水原秋櫻子
関門の波の尖れる雛祭 松本ヤチヨ
闇のなか髪ふり乱す雛もあれ 桂信子
闇深き雛の座敷を通りけり 増田龍雨 龍雨句集
降る雪も一途雛とは女とは 綾部道江
限りなくこの世を冷ゆる雛の髪 石川秀治
陶肌の雛の唇から嘘つぎつぎ 文挟夫佐恵 雨 月
陶雛の肩の釉薬明りかな 高澤良一 さざなみやっこ
陶雛を焼く農閑の窯一つ 木村蕪城 寒泉
階を高くし雛段の大いなる 山口誓子 大洋
階下三間の一ト間に雛をかざりけり 久保田万太郎 草の丈
隣々雛見廻るゝ小家かな 服部嵐雪
隣合ふ雛売るともし猪売る灯 吉野義子
集まつてひそと諸国の紙雛 有馬朗人 天為
雛あられこぼし鉄棒逆か上がる 小林守男
雛あられこぼれしままの畳かな 吉屋信子
雛あられこぼれし畳掃きにけり 吉屋信子
雛あられちよつと揺すりて飾りけり 山尾玉藻
雛あられ亡き人いつか忘れゐし 佐野美智
雛あられ入れたる柩かと思ふ 岸本尚毅 舜
雛あられ少しこぼれて美しき 渡辺さち子
雛あられ母屋の雛もまだ見ずに 長谷川かな女 牡 丹
雛あられ淋しがり屋の母に買ふ 中村澄子
雛あられ減りをりければ満しけり 田村了咲
雛あられ盲二人の差し向ひ 村越化石
雛あられ紙に包めば色透きて 竹原梢梧
雛かざらぬ雛の間亡き娘が坐りをり 柴田白葉女 花寂び 以後
雛かざるなかに髪結来りけり 久保田万太郎 草の丈
雛かざる地つづきにありねむる墓 中山純子 沙羅
雛かざる干潟色なる夕日中 高澤良一 さざなみやっこ
雛かざる昔のままの貝の紅 吉田 二葉
雛かざる母に少しの国訛り 青木栄子
雛かざる遠峰の雪崩ひびく日を 莵絲子
雛かなし指のはなれぬ手に笛を 大橋櫻坡子 雨月
雛かなし灯ともすかぎり灯をはじき 西本一都 景色
雛かなし鼓うたんと指の反り 大橋櫻坡子 雨月
雛すぎて雛ある一と間美しく 上村占魚 鮎
雛すぎの書架に疲れし花愛し 阿部みどり女
雛すぎの障子閉ざされしづかかな 柴田白葉女 花寂び 以後
雛すぎの雪かなこやりつゝわれは 林原耒井 蜩
雛すむや女の声の南より 原石鼎 花影以後

以上
by 575fudemakase | 2015-03-03 00:12 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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