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蝌蚪

蝌蚪

例句を挙げる。

「思わしくない」などまだ無心蝌蚪とりに 古沢太穂 古沢太穂句集
あさあさと日の漣や蝌蚪の水 西島麦南 人音
あつさりと家去る長子蝌蚪に足 辻美奈子
あをあをと地球も蝌蚪の紐の中 波戸岡旭
いまの蝌蚪に幼なき頃の蝌蚪のぬめり 松村蒼石 春霰
かたまつて浅く影おく蝌蚪の水 岡田史乃
かたまつて生くるさびしさ蝌蚪も人も 島谷征良
かつて良寛炊ぎし水に蝌蚪生まる 富永成女
かなたまで蝌蚪のおどろき及びけり 中村汀女
かばかりの島に田のあり蝌蚪生るゝ 土山山不鳴
くはへゐる煙草火うつり蝌蚪の水 林火
くらやみに蝌蚪の手足が生えつつあり 西東三鬼(1900-62)
この池にずんとずぶとき蝌蚪の紐 高澤良一 燕音
この池の生々流転蝌蚪の紐 高浜虚子
こゝは又大なる蝌蚪の一たむろ 西山泊雲 泊雲句集
さむきまで蝌蚪うまれたり溺れけり 萩原麦草 麦嵐
すいすいと電線よろこび野へ蝌蚪へ 秋元不死男
ちりぢりの蝌蚪にかくるるこころあり 軽部烏頭子
てのひらに蝌蚪狂はせてみたりけり 櫂未知子 蒙古斑
とぐろ捲き飯綱山の蝌蚪の紐 高澤良一 燕音 五月
どんぼりの日光あらし蝌蚪の春 飯田蛇笏 山廬集
なまぬるく生き蝌蚪の水にごしたる 須賀薊
にはとりも蝌蚪もおどろきをすぐ忘る 中村草田男
はつきりと手が見えて蝌蚪すくはれし 今瀬剛一
ひそひそと固めて蝌蚪の夕ごころ 松村蒼石 露
ひたすらがいのちか蝌蚪はひたすらに 及川貞
ひつそりと蝌蚪の爆発三鬼の死 中尾寿美子(1914-89)
ひとまたぎ程の流れに蝌蚪のひも 沖山政子
ひろしまや蝌蚪には深き地の窪み 野田誠
ぷるぷると顔を震はせ蝌蚪浮上 高澤良一 ももすずめ
ぽこと浮き太陽に会ひ逃ぐる蝌蚪 羽部洞然
まだ大き蝌蚪のこりゐる隠元忌 森 澄雄
われ蝌蚪となり幼子の手の中に 松村蒼石 雪
テロ目論む蝌蚪も居らんと思へりき 高澤良一 素抱
一つ浮く蝌蚪とどまりし水面かな 飯田蛇笏 山廬集
一つ藻を勢ひ引きつつ蝌蚪の紐 原コウ子
一乗谷蝌蚪のつぶやき充満す 原田喬
一匹も死せしものなく蝌蚪群るゝ 右城暮石 上下
一本の杭のまはりの蝌蚪の水 河合青螺
一枚の水を天とす蝌蚪の国 奥谷亞津子
七月の蝌蚪が居りけり山の池 高浜虚子
三原火口見ず蝌蚪の水踏みかへる 岩田昌寿 地の塩
丹波路は蝌蚪の流を庭にひく 米沢吾亦紅 童顔
人の世の虚実の間に蝌蚪のごと 今泉貞鳳
人妻の蝌蚪いぢめたき真昼時 鍵和田[ゆう]子
人葬る白きもの行き蝌蚪の水 松村蒼石 寒鶯抄
仏生会蝌蚪も新たなものの数 野澤節子 黄 炎
俳諧の仲間の蝌蚪の泳ぎをり 村越化石
倶利迦羅や蝌蚪の水際まで寝雪 吉田紫乃
六月の手脚ある蝌蚪やゝ乾く 岩田昌寿 地の塩
十とせ住めり蝌蚪生るゝ池小さくもち 及川貞 夕焼
原爆の娘と見る蝌蚪の尾があらず 萩原麦草 麦嵐
受難日の烈風蝌蚪の水昏し 小林黒石礁
口笛や沈む木に蝌蚪のりてゐし 田中裕明 山信
叱られし子が蝌蚪の国かき乱す 戸丸泰二郎
喜べる様に游ぎて蝌蚪一つ 高濱年尾 年尾句集
囚はれの蝌蚪はひそかに愉しめり 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
塗りこめし蝌蚪光りをる畦夕 久米正雄 返り花
声大き農夫や蝌蚪に足出でて 白岩 三郎
夕ざればさゞなみしげし蝌蚪の水 清原枴童 枴童句集
夕映と灯にしづもりぬ蝌蚪の水 久米正雄 返り花
夕暮の蝌蚪に帰山の僧ゆるく 松村蒼石 雪
夜につづくさざ波明り蝌蚪の水 千代田葛彦 旅人木
大寒の蝌蚪を掬ひて日を掬ふ 木村蕪城
大蝌蚪の流るる眼鼻世のやさしさ 竹中宏 句集未収録
大輪にひらく日の暈蝌蚪生る 上田五千石 田園
天日のうつりて暗し蝌蚪の水 高濱虚子
太郎次郎三郎そのほかもみんな蝌蚪 上田五千石 琥珀
媾曳の跨ぎし水の蝌蚪黒し 藤田湘子 雲の流域
子等叫び蝌蚪ほろほろと生れけり 松村蒼石 寒鶯抄
寂光の水なめらかに蝌蚪生る 東原 芦風
寄辺なき身にて立ち見る蝌蚪の水 上田五千石 田園
富士見池蝌蚪はどこにも漂へる 瀧春一 菜園
寒暖の蝌蚪ふくぶくと泥澄めり 松村蒼石 露
小池に蝌蚪三ツ居て三ッ日をはねたり 磯貝碧蹄館 握手
尾を振つて流され行くや蝌蚪一つ 星野立子
尾を振りつ蝌蚪浮き上る世は新た 香西照雄 対話
尾を振る蝌蚪幾万を埋め売地です 加藤楸邨
屯せる蝌蚪や民族自決主義 高澤良一 素抱
山うつる胎蔵界の蝌蚪の水 譜久原京子
山の池蝌蚪一塊に日のささず 阿部みどり女
山の湯の蝌蚪日輪へ頭を揃ヘ 沢木欣一
山の蝌蚪眩しみつわが癒えにけり 千代田葛彦 旅人木
山中に暦日ありて蝌蚪生る 遠藤梧逸
山刀伐の山田ひそかに蝌蚪育つ 鈴木精一郎
山国のぶつかり合つて蝌蚪生きる 中村明子
岩清水蝌蚪に来りてたまりけり 村上鬼城
島の娘の顔かさなりぬ蝌蚪の水 岩田昌寿 地の塩
川底に蝌蚪の大国ありにけり 村上鬼城(1865-1938)
巡礼の如くに蝌蚪の列進む 野見山朱鳥
平民の蝌蚪屯せる共和国 高澤良一 素抱
幼な児を連れ来て蝌蚪に何与へむ 右城暮石 声と声
幼子のひとりの消えし蝌蚪のくに 坂井三輪
思ひつくことたちまちに蝌蚪泳ぐ 汀女
恍惚といくたび蝌蚪の春に遇ふ 松村蒼石 春霰
息止めて見るや片寄る山の蝌蚪 石川桂郎 含羞
愕然とわが面生れぬ蝌蚪散りて 鷲谷七菜子 黄炎
手足なき蝌蚪の一途に尾をふれる 鈴木貞雄
折蓮の中くぐりぬけ蝌蚪つづく 阿部みどり女
指先にのせても蝌蚪の尾を振りて 京極杞陽
支那服を着て蝌蚪を見し人逝けり 萩原麦草 麦嵐
故郷や蝌蚪もむじなも死に絶えて 筑紫磐井 花鳥諷詠
故里を語らばや蝌蚪生るゝなど 細見綾子 花 季
日に向ひ蝌蚪一心に影失ふ 古館曹人
日の厚み鉄と異なる蝌蚪の色 磯貝碧蹄館 握手
日光は太陽の塵蝌蚪生る 鷹羽狩行
日当りて明るく澄めり蝌蚪の水 高橋淡路女 梶の葉
日輪や蝌蚪の水輪の只中に 水原秋櫻子
春に飽き真黒き蝌蚪に飽き飽きす 西東三鬼
春の跫音犬に嗅がれて蝌蚪沈む 田川飛旅子 花文字
晩婚の子の寝ふかしや蝌蚪の水 杉山岳陽 晩婚
暮れのこるひとひらの水蝌蚪の水 藤田湘子 途上
暮刻の蝌蚪なべて虚しく散り泛くも 篠田悌二郎 風雪前
芹の水干上がる窪地に蝌蚪蝟集 高澤良一 寒暑
えに縋りて群るる蝌蚪なるか 加倉井秋を 午後の窓
月出でて道の高さや蝌蚪の水 高橋馬相 秋山越
朝月に高名ならぬ蝌蚪泳ぐ 秋元不死男
木の実に根生えそめ蝌蚪は泳ぎそむ 香西照雄 素心
木道の足音蝌蚪をはじき出す 柴田 芳子
朽葉に鼻突っ込み居れる蝌蚪もあり 高澤良一 素抱
杉の秀に朝日が覗く蝌蚪の水 松村蒼石 雪
杖やればすがりて蝌蚪の日の暮るる 皆吉爽雨
松風に蝌蚪生れたる山田かな 芝不器男
松風をききゐる蝌蚪の薄日かな 松村蒼石 雁
棒切れをずるりと滑り蝌蚪の紐 高澤良一 宿好
棒切れを国境となす蝌蚪の国 伊藤瓔子
楢山の窪に蝌蚪生ふ木の芽季 水原秋桜子
歯を染めし母やむかしの蝌蚪の春 松村蒼石 雪
母子寮の空罐に棲む一尾の蝌蚪 三谷昭 獣身
氏素姓一塊りの蝌蚪生る 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
水の輪のちぢれて蝌蚪の群がれる 古山 数枝
水の面ひつぱりあつて蝌蚪孵る 中村 房子
水の面をひしひし打つて蝌蚪生る 八木林之介 青霞集
水ゆれて蝌蚪の生誕はじまりし 藤崎久を
水中の蝌蚪の紐揺り止まぬ風 高澤良一 随笑
水四方に増しつつ蝌蚪のゆくへかな 松村蒼石
水底に蝌蚪の動乱して止まず 村上鬼城
沈みたる蝌蚪や己の影の上 両角竹舟郎
泉水になじまぬ蝌蚪も泳ぐなり 樋笠文
泳ぎ出てあやぶみ戻る蝌蚪のあり 高橋淡路女 梶の葉
流さるる蝌蚪に逆ふ足賜ふ 殿村莵絲子 牡 丹
流るるや物の種なる蝌蚪の紐 堀米秋良
流れ来て次の屯へ蝌蚪一つ 高野素十
浅草の少年達に蝌蚪生る 遠藤梧逸
浮きあがる蝌蚪に万朶の花あかり 鈴木貞雄
浮き沈み百遍蝌蚪の一日暮る 川村紫陽
浮藻より蝌蚪かぎりなく出で来る 清原枴童 枴童句集
渡らむと馬を控へつ蝌蚪の水 相馬遷子 山国
湖国いま水の微熱の蝌蚪曇り 小澤克己
湿地帯蝌蚪の集落あちこちに 高澤良一 素抱
潦あれば蝌蚪をり山桜 西本一都 景色
灌仏や雨は黒身の蝌蚪に降り 村越化石 山國抄
灌仏会蝌蚪も新たなものの数 野澤節子
点点点命命や蝌蚪の紐 木暮陶句郎
焼け跡にうち捨てられし鉄帽に蝌蚪生れし春わが生目覚む 小川太郎
爪紅くして蝌蚪の水濁したる 上田五千石 田園
父われや何もあたへず蝌蚪を見る 瀧春一 菜園
片崖の水一寸下れば蝌蚪の水 星野恒彦
玻璃くだる雨露病児へ蝌蚪型に 香西照雄 素心
生と死の生の暗しや蝌蚪の水 鷹羽狩行 五行
田の隅の蝌蚪より暗き空ありぬ 金子兜太
田を捨ててかなしからずや蝌蚪育つ 小林康治 『存念』
男ひとり鍋さげて出で蝌蚪生まる 瀧澤伊代次
畦の端に水のぞくなる蝌蚪の陣 石川桂郎 四温
畦を塗る泥水に蝌蚪水馬 青葉三角草
畦川や蝌蚪にもありし日向ぼこ 木村 風師
病みて長き指をぬらせり蝌蚪の水 石田波郷
癒ゆる日の願ひは遠し蝌蚪に立つ 結城昌治
百万遍蝌蚪尾を振れば田蛙に 高澤良一 素抱
百姓の一女嫁ぎしあとの蝌蚪 右城暮石 声と声
神の田の九月の蝌蚪の足造り 殿村菟絲子 『樹下』
税の数字よ小学生の日の蝌蚪よ 加藤楸邨
種袋抑ふる石に蝌蚪のよる 中戸川朝人
空罐は蝌蚪に絶壁なせりけり 有働亨 汐路
竹落葉ひらりと蝌蚪の水の上 誓子
笹小屋の風の笹音蝌蚪目覚む 大山クニ子
筆塚の影より蝌蚪のつぎつぎと 藤田直子
縄抜けをしたる如くに蝌蚪のひも 飯塚すなお
美人とはなべてふくよか蝌蚪の国 岸田雨童
群はぐれたる蝌蚪の尾の静かなり 濱田のぶ子
群はなれ泳ぐ誤植の蝌蚪一つ 有馬朗人 知命
群れたがる蝌蚪を離れてゆく蝌蚪も 高澤良一 素抱
考へてをらない蝌蚪の頭かな 後藤比奈夫
耳澄ましゐる少年と壜の蝌蚪 永方裕子
肋切りし日ははや遠し蝌蚪見れば 石田波郷
背のとれし風土記に蝌蚪の出雲路を 河野頼人
芹の根に小さな蝌蚪の動かざる 平林孝子
草庵にひろごる蝌蚪や業平忌 水原秋桜子
菖蒲田へ蝌蚪裏返りては流れ 岸本尚毅 鶏頭
蓴生ひ芹立ち蝌蚪は形を了ふ 石塚友二
藺田の水いづこか鳴りて蝌蚪生れぬ 下村ひろし
蝌蚪うごめくピカソの訃報伝へ来て 青邨
蝌蚪かなしうかびいでては小突きあひ 岸風三楼 往来
蝌蚪がもう蛙泳ぎをしてゐるよ 山田弘子
蝌蚪が尾をふれあふ嬰児背にねむり 斉藤夏風
蝌蚪ぞろぞろ一つの天をかかげけり 栗生純夫 科野路
蝌蚪つまむ指頭の力愛に似て 金子兜太 蜿蜿
蝌蚪に打つ小石天変地異となる 野見山朱鳥(1917-70)
蝌蚪に日がのぼりしことの一大事 今瀬剛一
蝌蚪に立つこれに慰まむとにはあらず 篠田悌二郎
蝌蚪に肢不思議な平和充満し 北登猛
蝌蚪に脚見えて空しきことつづく 松村蒼石 雪
蝌蚪に見る定年といふピリオッド 高澤良一 宿好
蝌蚪に足くちづけの音は遺児と母 田川飛旅子 花文字
蝌蚪に足出てやはらかき童女たち 長谷川双魚 風形
蝌蚪に足少しいでたる月夜かな 長谷川双魚 『ひとつとや』
蝌蚪のごとき童貞の日の詩やまづし 川口重美
蝌蚪のぞくわれや何時まで蝌蚪に似る 林翔 和紙
蝌蚪のゐる方が代田の水なりし 市場基巳
蝌蚪の上キューン~と戦闘機 西東三鬼
蝌蚪の中意図なく飛ばす袂紙 米沢吾亦紅 童顔
蝌蚪の国天上界にあめんぼう 富樫 均
蝌蚪の国黄(くわう)厚き日をかゝげたり 小川 軽舟
蝌蚪の國引っかき回す棒探す 高澤良一 素抱
蝌蚪の國腕白どもに伏せておく 高澤良一 素抱
蝌蚪の大むれに いつぴきの死もない 吉岡禅寺洞
蝌蚪の尾のしなやかにして花御堂 岸本尚毅 鶏頭
蝌蚪の引くかくも短き泥の水尾 岩田由美
蝌蚪の息ひこひこ日の輪搖れやまず 鷲谷七菜子 雨 月
蝌蚪の春やまほほじろの音を曳きぬ 松村蒼石 露
蝌蚪の水とろけて寄るべなかりけり 百合山羽公 故園
蝌蚪の水にごさずをはるわが一生 丸山佳子
蝌蚪の水に煙草火投げて訪ひにけり 銀漢 吉岡禅寺洞
蝌蚪の水のぞくは旅の空ばかり 二村典子
蝌蚪の水の夜が怖ろし嫁ぎ来て 田川飛旅子 花文字
蝌蚪の水ふめば崩るゝ泥の色 石橋秀野
蝌蚪の水へ地を伝ひ来る池の河音 栗生純夫 科野路
蝌蚪の水み仏の意に流るるか 村越化石
蝌蚪の水わたれば佛居給へり 水原秋櫻子
蝌蚪の水乾きて鵯のよく啼く日 依光陽子
蝌蚪の水僧兵乱をおこしけり 龍岡晋
蝌蚪の水四方にみなぎる田廬かな 西島麦南 人音
蝌蚪の水山ふところにありにけり 富安風生
蝌蚪の水手拭一本清潔に 村越化石 山國抄
蝌蚪の水敲けば硬し職退く日 上村忠郎
蝌蚪の水森ぐんぐんと緑し来(く) 竹下しづの女句文集 昭和十年
蝌蚪の水覗く夢殿遠におき 山田みづえ
蝌蚪の水雑木ばかりへ風騒ぎ 河野南畦 湖の森
蝌蚪の水黒し汚職の雲映り 岩田昌寿 地の塩
蝌蚪の池わたれば仏居給へり 秋櫻子
蝌蚪の池仏事の端の映りをり 鈴木鷹夫
蝌蚪の池蒼空すこしうつしをり 上村占魚 鮎
蝌蚪の穴にビル傾けてガラス拭 古舘曹人 能登の蛙
蝌蚪の紐からまる水の阿修羅かな 岡本正敏
蝌蚪の紐ひとに遅れてのぞきけり 佐藤美恵子
蝌蚪の紐汀の石にあげてあり 比叡 野村泊月
蝌蚪の紐畔に引き上げられてあり 高浜年尾
蝌蚪の紐細りしところなびきをり 藤田湘子 去来の花
蝌蚪の紐結び目ゆるみゐたりけり 棚山波朗
蝌蚪の紐継ぎ目無きこの長きもの 右城暮石 上下
蝌蚪の紐置きて蛙のかげもなし 右城暮石 声と声
蝌蚪の紐重なりてなほ透き通る 岡本多美子
蝌蚪の紐隣の紐を感じをり 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
蝌蚪の紐雲の中より掴み出す ほんだゆき
蝌蚪の足出て少年の眼が光る 浅見まき子
蝌蚪の輪に知恵の遅れし児がひとり 樋笠文
蝌蚪の辺に胎児をささぐごとくたつ 佐藤鬼房
蝌蚪の陣さゞ波上を流れけり 高橋淡路女 梶の葉
蝌蚪の陣揺れ乱世の鬨起る 河野南畦 湖の森
蝌蚪の陣立ち騒ぎをり鍬洗ふ 塩沢はじめ
蝌蚪の陣金剛杖ではげませり 沢木欣一 遍歴
蝌蚪の雨ふりそむ葬火にぎやかに 石原舟月 山鵲
蝌蚪の頭の乱れ春闘雨となり 伊藤京子
蝌蚪の頭の熱あるごとく振りにけり 石嶌岳
蝌蚪ひとつ水漬く楊を越ゆるなり 芝不器男
蝌蚪ふゆる音なきものは紫に 古舘曹人 能登の蛙
蝌蚪ほどの誤植と笑ひとばしけり 能村登四郎
蝌蚪むれて且平らかに水流る 百合山羽公 故園
蝌蚪よ蝌蚪よ肋持たずも陽を吸ふや 磯貝碧蹄館 握手
蝌蚪を見てつかみどころのなき男 野中 亮介
蝌蚪を見るときは疎まれをらぬなり 杉山岳陽 晩婚
蝌蚪を見る病後の杖を抱きかがみ 皆吉爽雨
蝌蚪を見る骨折の手を胸に吊り 鈴木六林男
蝌蚪を追ひ継母だものと少年言ふ 有馬朗人 母国
蝌蚪一つ落花を押して泳ぐあり 野村泊月
蝌蚪一ツ鼻杭にあて休みをり 星野立子
蝌蚪乱れ一大交響楽おこる 野見山朱鳥(1917-70)
蝌蚪二三をりをり水の深きより 高野素十
蝌蚪入れて泳がすオレンヂジュースの瓶 横山白虹
蝌蚪増ゆるまで紺青の水鏡 滝谷泰星
蝌蚪太り来しよ農婦に似て来しよ 右城暮石 上下
蝌蚪容れて雨気のととのふ流れかな 西田 孝
蝌蚪小さし浮かびて消ゆる水泡よりも 草田男
蝌蚪居るは居るは蘆芽(あしかび)自治の國 高澤良一 素抱
蝌蚪掬ふ子に父のあり母のあり 阿部みどり女
蝌蚪掬ふ袖口よごれ一属吏 細川加賀 『傷痕』
蝌蚪揺れて私語の水音聴きとれず 河野南畦 湖の森
蝌蚪揺れぬ有明の月きゆるころ 松村蒼石 寒鶯抄
蝌蚪散つて失職のわが貌のこる 名取思郷
蝌蚪明く原人のごと睡る漢 成田千空 地霊
蝌蚪暗転だぶだぶと沼の水溢れ 河野南畦 湖の森
蝌蚪曇りなほ三月の日のごとき 山口誓子
蝌蚪殺到改札口のある如し 原田青児
蝌蚪池に生れて庭掃くこともなし 及川貞 夕焼
蝌蚪泛び紅梅おもく曇りをり 篠田悌二郎 風雪前
蝌蚪泳ぐぶつかるまではまつすぐに 林徹
蝌蚪流れ花片ながれ蝌蚪流る 軽部烏頭子
蝌蚪浮きぬ水面の風に触るるまで 木暮陶句郎
蝌蚪滅ぶのち満水の地球かな 仁平勝 東京物語
蝌蚪漆黒氷の如き水に拠り 瀧 春一
蝌蚪濁るとき愚の職と想ひ出づ 小林康治 玄霜
蝌蚪生まるいま神の掌の熱からむ 重住ひで子
蝌蚪生まる水に慣れたる子の異郷 対馬康子 吾亦紅
蝌蚪生まれすでに流れの中にあり 小檜山繁子
蝌蚪生まれどのページにも笑ひ声 今瀬剛一
蝌蚪生まれ子の目ひらけるだけひらき 今瀬剛一
蝌蚪生るなべて小をんなまめまめし 鈴木真砂女
蝌蚪生るまだ眠たさの山四方に 前田鶴子
蝌蚪生るるひかりたふとく目をつむる 片山桃史 北方兵團
蝌蚪生るる田の半分に逆さ富士 天野武子
蝌蚪生るる砂塵は淡き水残し 小池文子 巴里蕭条
蝌蚪生る屈折多き生涯に 水谷晴光
蝌蚪生る旅に逆光のこしけり 渡部陽子
蝌蚪生る有象無象といふ勿れ 大橋敦子 匂 玉
蝌蚪生る神よ擁護を垂れ給ヘ 内藤吐天
蝌蚪生る絵の夕焼は横裂きに 古舘曹人 能登の蛙
蝌蚪生る臆せしものの影に似て 平子 公一
蝌蚪生れていまだ覚めざる彼岸かな 松本たかし
蝌蚪生れて君が戦死もふるき如し 榎本冬一郎 眼光
蝌蚪生れて姨捨岩根ゆるびたる 坂巻純子
蝌蚪生れて手のひら熱く子と夕 綾子
蝌蚪生れて未だ覚めざる彼岸かな 松本たかし(1906-56)
蝌蚪生れて水の浅きに集れり 石郷岡芒々
蝌蚪生れて水底にじみしたるのみ 皆吉爽雨
蝌蚪生れて畝火の溝に泳ぐなり 誓子
蝌蚪生れて白き窓持つ文学部 原田青児
蝌蚪生れて越中の国水びたし 吉田紫乃
蝌蚪生れて驚き易き水となる 木村淳一郎
蝌蚪生れぬ子の足大きくなりしかな 椎橋清翠
蝌蚪生れ廃れ田の水流れ出す 加藤ひろ子
蝌蚪生れ木賊の縄はなほ解かず 古舘曹人 砂の音
蝌蚪生れ菖蒲は波を抽きにけり 岸風三楼 往来
蝌蚪生れ黒き塊まだ解かず 暮石
蝌蚪眠る夜の水へ張る非常線 田川飛旅子 花文字
蝌蚪縋るものに水漬ける馬酔木かな 高橋馬相 秋山越
蝌蚪群れて家出の相談してゐるか 葉狩淳子
蝌蚪群れて泳ぐ時声ある如し 今瀬剛一
蝌蚪群れて男つくづく淋しかり 各務雅憲
蝌蚪育つ疑心の手足動かして 高橋悦男
蝌蚪育つ癌病棟と知らぬ子ら 植木 緑愁
蝌蚪育つ鳥除けが青空の旗 千代田葛彦 旅人木
蝌蚪見るや医師たり得ざる医師として 相馬遷子 山国
蝌蚪見れば孤児院思ふ性を棄てよ 中村草田男
蝌蚪覗き嫖客がする空欠伸 宮武寒々 朱卓
蝌蚪踊る貯炭場の水よきことあれ 小林康治 玄霜
蝌蚪静か水の流れは見えながら 今井つる女
蝌蚪飼つて一年生も反抗期 穐好樹菟男
蝌蚪飼ふやはてなき貧と思へども 小林康治 四季貧窮
蝌蚪黒し汽笛が山にへだてられ 右城暮石 声と声
蝌蚪黝く足がうまれて游ぐなり 下村槐太 光背
血の池の蝌蚪見て女遍路佇つ 萩原麦草 麦嵐
行く雲の影にも散れり蝌蚪の陣 前田 白露
裏木戸は蝌蚪の水辺にありにけり 坊城としあつ
褒貶の世に生きてをり蝌蚪の水 老川敏彦
見古せし蝌蚪としごとに幼なくて 松村蒼石 雪
言ひたきをふっと忘れて蝌蚪の紐 水野あき子
貨車黝くつながれて蝌蚪泳ぎけり 萩原麦草 麦嵐
赤き籾撒く神の田に蝌蚪の陣 河野頼人
足が出て手が出て蝌蚪のさびしさは 行方克巳
跫音におどろく蝌蚪や水浅し 高橋淡路女 梶の葉
跫音の過ぎてしづかや蝌蚪の水 西島麦南 人音
跳ねる蝌蚪口惜しがる性まだ残り 能村登四郎 民話
跼みゆく中宮寺道蝌蚪流れ 小林康治
逆しまの山影蝌蚪のよりどころ 横山椒子
逢ひにゆくところ映れる蝌蚪の水 石嶌岳
道に水こぼして蝌蚪を分かち合ふ 柏原日出子
郷愁や蝌蚪捕りし手の匂ふ夜を 金子 潮
金鳳華咲きつゝ蝌蚪は尾を消せり 銀漢 吉岡禅寺洞
鉄の兵器や動く蝌蚪の水 齋藤玄 『舎木』『飛雪』
降りそそぐ雨にかぐろし蝌蚪の陣 淡路女
陸棲の日を目前に蝌蚪乾さる 篠田悌二郎
集団に蝌蚪の黒さやしづむ街 大屋達治 絢鸞
雨上る雲あたたかに蝌蚪の水 松村蒼石 寒鶯抄
雨夜の燈仏燈めくや蝌蚪の上 秩父
雨霽れの水の匂ひや蝌蚪の池 高橋淡路女 梶の葉
雲の下蝌蚪のごとくに鳥わたる 川島彷徨子 榛の木
雷のあと蝌蚪騒然と声もなし 榎本冬一郎 眼光
飛び敗つて蝌蚪の墨痕淋漓たり 野見山朱鳥
飽くるなき子の泥遊び蝌蚪生る 星 芳子
飽食の子のかへりみず蝌蚪の水 石川桂郎 含羞
鬼棲みし安達ヶ原に蝌蚪育つ 石川文子
鯰になる蝌蚪もあるべし山の月 大串章
麺麭屑を蝌蚪にやる他の生もなし 石田波郷
黒ければ蝌蚪には手脚なくともよし 加倉井秋を
おたまじやくしあたま出しよるべなう枕む 冬の土宮林菫哉
おたまじやくしかき暗し降る大雨かな 余子
おたまじやくしの億万の目が生きんとす 原コウ子
おたまじやくしの如くいる子の路地に心富む 橋本夢道 無禮なる妻抄
おたまじやくしむかしむかしの陽をつれて 櫻井博道
おたまじやくし乾からびし路先細る 西東三鬼
おたまじやくし子らの足音知つてをり 長沼紫紅
おたまじやくし沈みたましい沈みゆく 和知喜八 同齢
おたまじやくし父を捜せり母捜せり 加藤かけい
おたまじやくし生れて雲をくだりゆく 和知喜八 同齢
おたまじやくし砂漢につづく白き土 小池文子 巴里蕭条
おたまじやくし離れてゆくは沈みゆく 和知喜八 同齢
友を食むおたまじやくしの腮かな 島村元句集
子と探すおたまじゃくしの密集地 高澤良一 寒暑
富士高くおたまじやくしに足生えぬ 原石鼎
金魚掬ひおたまじゃくしも入り交り 高澤良一 素抱
蝌蚪探す野蒜摘みには飽きたと見え 高澤良一 寒暑
ペット屋におたまじゃくしの御玉哉 高澤良一 素抱
田の底の朽葉に蝌蚪の身を寄せて 高澤良一 石鏡



以上
by 575fudemakase | 2015-04-07 00:04 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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魚屋三代目日記
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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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