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花見

花見

例句を挙げる。

あか星のあかぬ花見る舎りかな 尾崎紅葉
いたはしさ花見ぬ人の痩せやうや 正岡子規
うかうかと来ては花見の留守居かな 内藤丈草
お花見に坐りこんだるあしのうら 松澤昭 面白
お花見のおあづけとなる朝の雨 高澤良一 寒暑
お花見の渦中に入りてなまぐさし 高澤良一 寒暑
お花見の真っただ中に井戸ありぬ 五島 高資
かしこくも花見に来たり翌は雨 高井几董
けふは花見まじ未来がおそろしき 一茶
けふもまた花見るあはれ重ねつつ 山口青邨
ことしまた花見の顔を合せけり 召波
その頃となれば花見に徒心 高澤良一 素抱
たらちねの花見の留守や時計見る 正岡子規
ちかづきになりてくつろぐ花見かな 水田正秀
つながれて花見の留守の犬眠る 小俣由とり
つぶろさし花見婆さまのけぞつて(り」の転化。原始的な、エロチックな踊りである。) 岸田稚魚 『花盗人』
つゝじ多き田舎の寺や花見堂 子規句集 虚子・碧梧桐選
ひとひらは硯の海に花見席 石崎素秋
ひとり来て花見るこころ虔しき 木村蕪城 一位
ふらふらと来ては花見の留守居かな 丈草
ふる里に遊子しばしの花見かな 中本郷顔
みさゝぎの花見遥かす干潟かな 比叡 野村泊月
みな袖を胸にかさねし花見かな 中村草田男
われ人とたつき較べや花見季 石塚友二 光塵
ゴリラ等と動物園の花見する 矢島渚男 延年
サンチヨ・パンサ思ひつつ来て何かかなしサンチヨ・パンサは降る花見上ぐ 成瀬有
ネクタイをして花見とは上野山 高澤良一 宿好
一つ杭に繋ぎ合ひけり花見船 長谷川零余子
一串の花見だんごを宜べなりと 後藤夜半 底紅
一僕とぼくぼくありく花見哉 北村季吟 (1624-1705)
一本をぐるりぐるりと花見かな 浪化 俳諧撰集「有磯海」
一群は花見帰りの酒臭く 尾崎紅葉
三里焼花見にも行くつもりにや 河野静雲 閻魔
世の中は地獄の上の花見哉 一茶
世を怒る心花見に出でにけり 野村喜舟 小石川
主義主張異なつてよき花見かな 宇多喜代子 象
乗打を人なとがめそ花見笠 立花北枝
亀の池花見団子の串沈む 辻田克巳
二串の花見団子の三色かな 京極杞陽
京は九万九千くんじゅの花見哉 松尾芭蕉
今を生く思い切なり花見上ぐ 浅井青陽子
何事ぞ花見る人の長刀 向井去来(1651-1704)
傘さして今朝も花見の幾群か 雄山
傾城は後の世かけて花見かな 蕪村 春之部 ■ 雨日嵐山にあそぶ
働いて作りし花見衣かな 鈴木真砂女
児つれて花見にまかり帽子哉 炭 太祇 太祇句選
入院も外泊の裡花見どき 高澤良一 鳩信
六里七里日ごとに替る花見哉 松尾芭蕉
出るからは花なき在も花見かな 野澤凡兆
出先まで花見弁当とどけられ 上村占魚 球磨
出来れば近場妻との花見何處にせん 高澤良一 宿好
剃捨て花見の真似やひのき笠 一茶 ■寛政四年壬子(三十歳)
勇ましき花見剣道部旗をたて 福田蓼汀
半ば来て雨にぬれゐる花見哉 炭 太祇 太祇句選後篇
各の朱ヶの箸さへ花見かな 尾崎迷堂 孤輪
吾子なしや花見酒とて夜半にくむ 角川源義 『冬の虹』
喰物に喰入る奴も花見かな 古-嵐蘭 俳諧撰集「有磯海」
四つ五器のそろはぬ花見心哉 松尾芭蕉
地下足袋の一座を占むる花見酒 田中 俊尾
地獄絵の襖開けたる花見かな 福島せいぎ
塗樽の庵に立よる花見かな 内藤丈草
売る菓子の乾く花見の裏通り 桂信子 黄 瀬
大かたは花見の客や島渡舟 行廣すみ女
大悲閣下りて又乗る花見舟 高濱年尾 年尾句集
大方は病院で死ぬ花見の衆 伊丹三樹彦
天守まで聞こゆ農夫の花見唄 草間時彦
天才に少し離れて花見かな 柿本多映
奥の花見ての戻りのわらび狩 高濱年尾 年尾句集
学生は今日で終りといふ花見 阪西敦子
家族連れ田の神さまのお花見に 小原菁々子
寝よとすれば棒突きまはる花見かな 其角 三 月 月別句集「韻塞」
寺町は東側行く花見かな 浜田酒堂
寺町は花見て通る春の風 岩田由美 夏安
小冠者出て花見る人を咎けり 蕪村 春之部 ■ やごとなき御かたのかざりおろさせ給ひて、かゝるさびしき地にすミ給ひけるにや
小坊主にしかられて退く花見かな 其継 俳諧撰集「有磯海」
尼宮に花見弁当届きたる 山口民子
山がらは花見もどりかまくらもと 内藤丈草
川沿ひにセスナ機飛んで花見時 高澤良一 宿好
師や花やわれ鎌倉に来てゐたり 桂郎 (永井東門居邸お花見句会)
幕僚の花見せんとて旧鎮守府 高澤良一 鳩信
平樽や手なく生るゝ花見酒 井原西鶴
年寄の一つ年とる花見して 平畑静塔
年寄の腰や花見の迷子札 小林一茶 (1763-1827)
弁慶は花見るまでも具足かな 京-重徳 元禄百人一句
後なる川波のたつ花見かな 小澤碧童 碧童句集
得も買はぬ花見ごろもを見めぐりぬ 林原耒井 蜩
恐ろしき女も出たる花見哉 正岡子規
恥かしの老に気のつく花見かは 上島鬼貫
慮外して禄かづきたる花見哉 高井几董
憂きことに耐へて花見の紅を刷く 鈴木千恵子
打ちに打つ花見太鼓や韓の唄 大石悦子 群萌
散り方の花見るうつり心哉 五雲
新しきのれんの花見茶屋に入り 上野泰 佐介
方九尺六人集ひ花見酒 草間時彦 櫻山
旅人の所なれたる花見かな 内藤丈草
日あたりの花見る顔や婢子の目 エド-孟退 三 月 月別句集「韻塞」
春の闇この世のほかの花見ゆる 渡邊千枝子
春雷や花見過たる町の空 温亭句集 篠原温亭
景清も花見の座には七兵衛 松尾芭蕉
曳きすてし花見屋臺や春の雨 深山柴(橡面坊句集) 安藤橡面坊、亀田小[ゼン]選
最晩年揃いの花見泥鰌かな 永田耕衣 殺佛
朝顔の花見て立ちぬ泊り客 井月の句集 井上井月
木の國の地酒を買うて花見酒 高澤良一 宿好
木曽節にはじまる木曽の花見唄 緒方 敬
本丸の矢はざま冥し花見えゐて 平井さち子 完流
杉山にただよふ雲や花見唄 草間時彦 櫻山
東京の花見がてらの通院日 高澤良一 寒暑
松前の城の花見や大火鉢 藤河朝子
棒突に盃をさす花見哉 太祇
橋くゞる棹横たへて花見舟 白石天留翁
正座して花見ることも川喜多家 高澤良一 随笑
江戸声や花見の果のけん花かひ 一茶 ■文政七年甲甲(六十二歳)
沈み木につかまる泡も花見かな 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
河童達川より上り花見せり 三島晩蝉
浜人ら豪胆に呑む花見酒 今 鴎昇
漂浪四年鬚みな白き花見かな 中勘助
漕ぎ乱す大堰の水や花見船 高浜虚子
濠端の花見に夏目金之助 (松山中学跡) 高澤良一 寒暑
灌仏や寺へ花見の礼ながら 也 有
牛守の花見に牛の嗅ぎ寄れり 太田土男
物くはぬ顔しらじらと花見かな 高田寒水
甲比丹の花見想はむ髯徳利 下村ひろし 西陲集
町川や真昼真顔の花見船 久保田和子
病窓のひとりひとりの花見かな 木本光春
白足袋に皺殖え老母花見得たり 香西照雄 素心
石垣を突いて廻しぬ花見船 綾部仁喜 樸簡
秀吉のやうに花見る太鼓橋 高澤良一 寒暑
称名寺鴨も花見と洒落にけり 高澤良一 素抱
積つて見よ花見の金を江戸の船 一松 選集「板東太郎」
空無限咲き満つる花見上ぐれば 小林草山
筏士の嵯峨に花見る命かな 高井几董
箸の先花見弁当の飯ころげ 上野泰 佐介
篝火に花見小袖の刺繍浮く 小澤克己
縁端に花見話の屑屋かな 松藤夏山 夏山句集
老いそめて花見るこころひろやかに 飯田蛇笏 山廬集
腰どんと地べたに据えて花見かな 高澤良一 寒暑
腹立てず花見に家を出づるかな 立花北枝
花を見る心ええならええ花見 高澤良一 燕音
花見たき心の隙を持たぬかな 阿部みどり女 笹鳴
花見つつ耳遠くゐる民部卿 筑紫磐井 野干
花見とは地に筵敷き酒に酔ひ 星野立子
花見にと指す船遅し柳原 松尾芭蕉
花見にと馬に鞍置く心あり 高浜虚子
花見にも立たせぬ里の犬の声 去来 俳諧撰集「有磯海」
花見にも行かずもの憂き結び髪 杉田久女
花見にゆく膝の瓶酒しづかなり 島津亮
花見の宴ひそかに酒を捨てるひと 工藤克巳
花見る目移す草家の障子の日 雑草 長谷川零餘子
花見んと致せば下に下に哉 一茶
花見バス待ちゐてひとりひとりなる 細見綾子
花見団子五色の白きより食ぶる 猿橋統流子
花見客杖を忘れし身延線 高澤良一 燕音 四月
花見客行き交ひ合へる身幅かな 高澤良一 素抱
花見弁当いつも円周上駆ける 相原左義長
花見支度し居れば雨や肩すかし 高澤良一 寒暑
花見舟とほき巷の風が見ゆ 大野林火
花見舟なし隅田川流れをり 成瀬正俊
花見舟一人動けばみな動く 阿部佑介
花見舟四五艘牽ける汽艇かな 水原秋桜子
花見舟棹よこたへてゆるやかに 橋本鶏二 年輪
花見舟水やはらかく川下る 松田義朗
花見船見物されてゐたりけり 綾部仁喜 樸簡
花見茣蓙広げお城に馴染まする 加藤憲曠
花見衆の後ろについて詣でけり 吉武月二郎句集
花見酒は盆前に散りけり年の暮 椎本才麿
花見酒人の健啖ねたましき 伊東宏晃
花見酒盛る桜に呑み込まれ 高澤良一 寒暑
花見酒過ごし悔ゆるも二三日 石塚友二 光塵
荒れる海「わしらに花見はない」と漁夫 西東三鬼
落込や花見の中のとまり鳥 内藤丈草
蝦夷の花見てみちのくの余花の旅 佐々木遡舟
行春や白き花見ゆ垣のひま 蕪村 春之部 ■ 召波の別業に遊びて
衛士と見てしばしの花見乞ひにけり 吉武月二郎句集
袴着て傘さゝせたる花見かな 尾崎紅葉
読経聴き花見弁當ひらきけり 佐川広治
走り出て花見筵を貸す女 荒木花王
車停り花見筵を出すわ出すわ 中戸川朝人 星辰
近江へは花見箪笥を背負ひゆかな 藤田あけ烏 赤松
遅れゆくことも花見るこころにて 岸田稚魚
道くさに蝶も寝させぬ花見かな 千代尼
野の父に心をかねて花見かな 比叡 野村泊月
門の花見上げて宿につきにけり 比叡 野村泊月
門を出てわれら花見に死ににゆく 津沢マサ子 楕円の昼
閙しく花見る人やがゞん坊 中村史邦
雛事のつづきにあそぶ花見かな 李由 三 月 月別句集「韻塞」
雨男あめに命中して花見 赤松[ケイ]子
雪代の猛るに花見櫓かな 辻 桃子
雲平を購ひゆける花見人 高澤良一 宿好
青天や谿深きより花見唄 草間時彦 櫻山
青柳やさびしく通る花見船 増田龍雨 龍雨句集
骨固き肩肘頑と花見電車 右城暮石 声と声
骸骨のうへを粧(よそひ)て花見かな 上島鬼貫(おにつら)(1661-1738)
鰻屋で雨止ましたる花見かな 白水郎句集 大場白水郎
麒麟見て花見て舌のざらつきぬ 石川文子
塀の上花人の花通りけり 上野泰 佐介
墨堤に花人となる足慢ろ 高澤良一 寒暑
智恵詣終へ花人となりまぎれ 中原一樹
花人として二時間の疲れかな 坊城中子
花人として帰りけむ見舞夫 大石悦子 聞香
花人として故里にある一日 山田弘子 こぶし坂
花人となりて華やぐ旅の日も 稲畑汀子
花人となり花の中人の中 嶋田一歩
花人となるに年季のやうなもの 後藤比奈夫
花人となる一本の花の下 中川須美子
花人とわかれてこゝに二尊院 比叡 野村泊月
花人にかかせぬ卵茹でひさぐ(三州岡崎城址) 上村占魚 『かのえさる』
花人にたちつけはきし案内者 鈴鹿野風呂 浜木綿
花人にのぞき見られて花に住む 藤木和子
花人にはいごめんよと上り駕籠 (金比羅) 高澤良一 寒暑
花人にはぐれごころに従ひぬ 後藤夜半 底紅
花人にまじりて勤め戻りかな 古賀青霜子
花人に今日は一城明け渡す 鈴木貞二
花人に信濃山風突き刺さり 草間時彦 櫻山
花人に北の海蟹ゆでひさぐ 中村汀女
花人に推され十三詣かな 高浜虚子
花人に暮れて静かな吉野かな 堀恭子
花人に水垢離人は憂かりけり 久米正雄 返り花
花人に篠つく雨となりにけり 高橋淡路女 梶の葉
花人に見られて荼毘の煙濃し 吉武月二郎句集
花人に遊んで貰ふ茶屋の猫 山田弘子 懐
花人のうするゝ方へ篝散る 長谷川かな女 雨 月
花人のおかる勘平をどるかな 久保田万太郎 草の丈
花人のかへり来る星の真下かな 前田普羅 新訂普羅句集
花人のここまでは来ず牡丹の芽 成瀬桜桃子 風色
花人のこの廟所まで来るは稀 松本たかし
花人のしやッくりとまりかねしかな 久保田万太郎 草の丈
花人のなかの花びと犬を曳き 河野多希女 両手は湖
花人のながれの中の老アイヌ 秋吉花守
花人の一光背をはなれくる 宇佐美魚目
花人の口ずさみゐる南無阿弥陀 阿部みどり女
花人の墓の値踏みをしてをりぬ 下山宏子
花人の寒がつて居る床几かな 比叡 野村泊月
花人の心細さの坊の風呂 羽深美佐子
花人の箸にはさめる飯白し 後藤夜半 底紅
花人の続くやまこと列をなし 波多野爽波 鋪道の花
花人の草履の塵に朽つる橋 西山泊雲 泊雲句集
花人の覗いて居るや僧の墓 野村泊月
花人の足腰問はる象頭山 高澤良一 寒暑
花人の酔に与せず汽車に在り 松本たかし
花人は知るやかゝれる昼の月 井上哲王
花人やいつ夕月の影をひき 松本たかし
花人やめしひの親の手を引ける 飴山實 『花浴び』以後
花人や夕月仰ぐこと知らず 大場白水郎
花人よ藍生事務所は九段下 黒田杏子 花下草上
花人を憂しと墨烏賊うづくまる 川崎展宏
花人を招く朱盆や焼蠑螺 雑草 長谷川零餘子
花人を棹に堰き舟出でにけり 阿部みどり女 笹鳴
花人を泊めて衣桁をつらねけり 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
花人を鎮めの風雨到りけり 西山泊雲 泊雲句集
花人帰りて夜の障子を開きけり 前田普羅 新訂普羅句集
車止より花人となりにけり 北見さとる
都府楼へ花人傘をさし列ね 加賀谷凡秋
おもひ得ぬ人伴ひて桜狩 維駒
一人抱き一人手に率て桜狩 高澤良一 寒暑
一行に大風となり桜狩 星野立子
人の後人の歩みゐる桜狩 依田由基人
似合はしや豆の粉飯に桜狩り 松尾芭蕉
傘杖をつく今生の桜狩 赤松[けい]子
奔流にいでて日さむき桜狩 石原舟月 山鵲
女拗ねて先に戻りし桜狩 潮原みつる
寝耄御前山路に初夜の桜狩 井原西鶴
少年の髪白みゆく桜狩 齋藤愼爾
山人の垣根づたひや桜狩 高浜虚子
弾初や八十路の母の桜狩 古賀まり子 緑の野以後
当山の門徒ならねど桜狩 高澤良一 燕音
思ひ立つ木曽や四月の桜狩り 松尾芭蕉
方角をとりちがへをり桜狩 小原菁々子
桜狩おそろしかったらおいであとで 高澤晶子 純愛
桜狩お目やすめなりほととぎす 調和 選集「板東太郎」
桜狩こちらの岸をわらひけり 佐々木六戈
桜狩せむとて華髪雲の中 岸田稚魚 『花盗人』
桜狩たちまち顎の衰へぬ 辻桃子
桜狩り奇特(きどく)や日々に五里六里 松尾芭蕉
桜狩中州はいつも喪の色に 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
桜狩法主は若くおはしけり 露月句集 石井露月
桜狩美人の腹や減却す 與謝蕪村
桜狩葬煙をいぶかりもせず 橋本多佳子
業平の墓もたづねて桜狩 高野素十
櫻狩こちらの岸を嗤ひけり 佐々木六戈 百韻反故 初學
櫻狩りしてきて熱き女かな 小澤克己
死のう列島首塚めぐる桜狩 仁平勝 花盗人
玉のごとき淋しさに在り桜狩 長山あや
現し世のきのふは過ぎぬ桜狩 高橋淡路女 梶の葉
白塗りの顔ばかり過ぐ桜狩 山田諒子
石楠花にいづべの月や桜狩 芝不器男
秘めごとのごとく氷室の桜狩 茨木和生 往馬
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
翠黛と日もすがらある桜狩 後藤夜半
舌鼓打つや氷室の桜狩 尾崎紅葉
西方を真空にする桜狩 齋藤愼爾
谷水に手は届かずや桜狩 雷子
道楽は誉め言葉ぞよ桜狩 小川恭生
鑓たてて出るや奥野の桜狩 立花北枝
風音はいつも谷間に桜狩 高木晴子
かばかりの水にも浮力さくら狩 正木ゆう子 悠
さくら狩り具すや白髪の馬の頭(かみ) 筑紫磐井 野干
さくら狩美人の腹や減却す 蕪村 春之部 ■ 一片花飛減却春
みちのくの春は短しさくら狩 山辺もん女
夜ざくらや太閣様のさくら狩 園女 俳諧撰集玉藻集
昼下り自転車で来てさくら狩 高澤良一 燕音
うき草を吹きあつめてや花むしろ 蕪村
そくそくと夫あるごとし花筵 小坂順子
どこからも出入りできて花筵 荒井英子
ねぱーるはとても祭で花むしろ 阿部完市(1928-)
ユダ一人ゐる筈なれど花筵 伊藤稔代
一枚はお遍路さんの花筵 南冨美子
不意うつて源太おどろく花莚 筑紫磐井 野干
些かの序の乱れたる花筵 今泉貞鳳
亡き人のひとり加はる花筵 ほんだゆき
凸凹の坐りごこちの花筵 岸田稚魚 『花盗人』
反り合はぬ叔父貴がひとり花筵 橋本榮治 逆旅
団欒をたたみて戻る花筵 眞砂松韻
地にぢかに居る故の酔ひ花莚 上野 泰
太陽に湯気あげてゐる花筵 浜渦美好
屋号にて呼ばれ座に付く花筵 犬束 孤憧
岩木嶺の白き風来て花莚 奈良文夫
島の丘に瀬戸の海凪ぎ花筵 中川康子
幕くぐる替茶碗志野花むしろ 赤松[けい]子 白毫
座をつめてまた座をつめて花筵 石川天虫
引ずつて位置を正せる花筵 山崎ひさを
弧を描く丘の形に花莚 高澤良一 寒暑
恋の唄水洟すすり花筵織る 小原菁々子
押し出され踊らされをり花筵 清崎敏郎
散り敷ける花に敷きたる花莚 数川 三枝子
有徳なるひとの調度や花筵 後藤夜半 翠黛
朝鹿や何国(いづこ)の野辺に花莚 斯波園女
木洩れ日や花莚なす岩鏡 大賀豊泉
染師らは川のほとりに花むしろ 阿部みどり女
母の忌や草の湿りの花莚 奈良文夫
水飯のこぼれてしろし花筵 田中冬二 行人
爆心碑離りて敷ける花むしろ 中村やす子
片尻は岩にかけけり花筵 丈草 俳諧撰集「有磯海」
猫が来てちよつと座りぬ花筵 川口咲子
玄関はどこにあるやと花筵 辻桃子 ねむ 以後
白山の神降臨の花筵 近藤一鴻
盃を天に飛ばして花筵 上野泰
科挙などの無き世を遊び花筵 鳥居おさむ
立ち上がるとき窪ませて花筵 八木澤高原
立膝にこんにやく本や花筵 加藤郁乎 江戸桜
背広着て男ばかりの花むしろ 中井啓子
舞々か暮春になりね花むしろ 椎本才麿
花むしろ一見せばやと存候 宗因
花むしろ昼よりおちし天気かな 上村占魚 鮎
花むしろ踊れる婆々に爺不興 河野静雲 閻魔
花筵かかへて水の井之頭 鈴木しげを
花筵この世の隅に拡げける 石飛如翠
花筵しくや落花の吹き過ぎし 高野素十
花筵ただしく敷けば墓に当る 大牧広
花筵てふ大仰なもの持たず 高澤良一 素抱
花筵ふいに淋しき風の中 林 青峰
花筵まつさをにしてくちやくちやに 大木あまり 火球
花筵よそにかゝはりなく和して 星野立子
花筵入水のやうに靴置いて 大牧広
花筵四隅を残し円く座す 池田秀水
花筵山の夕冷え払ひけり 高澤良一 寒暑
花筵巻くはなびらを払ひつつ 正木ゆう子 静かな水
花筵引きずつてきし水邊かな 野村泊月
花筵往生際の話など 塚本忠
花筵生きて引き据ゑられてをり 竹本健司
花筵端の暗さを重ねあふ 能村研三 海神
花筵転がりやすき紙コップ 山田弘子 懐
花筵野党与党の村議ゐて 井村順子
花筵青洟垂るる子がひとり 辻桃子
花莚お隣さんの勝手口 高澤良一 鳩信
花莚二枚目立ちぬ蚕飼屋に 長谷川かな女 雨 月
花莚抱え挨拶交しをり 高澤良一 随笑
花莚畳んで四つ折八つ折に 高澤良一 随笑
萍草を吹きあつめてや花筵 蕪村
薄暮まで地の花筵女充つ 飯田龍太
見下ろされをりて妻との花むしろ 宇川七峰
雛僧の茶を運びゆくや花筵 比叡 野村泊月
離乳食たべさせてゐる花筵 中村和子
雨あとの草に敷きたる花むしろ 高濱年尾 年尾句集
風吹いていま誰も居ぬ花筵 嶋田麻紀
風立つや坐り直して花筵 岸田稚魚
さかなせよ十二神将花の宴 中勘助
ふんべつをこころに春の夜宴行 飯田蛇笏 椿花集
入れ違ふ襖絵花の宴あと 中尾杏子
師の僧は風邪ごもりとや花の宴 野村泊月
正徳六丙申弥生の花の宴 野澤節子 遠い橋
母在りてこそ祝ぎの宴花添ふる 高木晴子 花 季
終りごろちよつと顔だす花の宴 鳥羽田重直
花の宴庇に沿うて灯りけり 阿波野青畝
花の宴或は剣に躍るかな 内田秋皎
花の宴銃眼に置く缶ビール 山口超心鬼
酔ひ失せし和尚連れこよ花の宴 比叡 野村泊月
観桜のこころ放てり水の上 高澤良一 素抱
観桜の蛤御門開けてあり 後藤比奈夫
観桜や昭和生れの老人と 三橋敏雄(1920-2002)
桜狩たぷんと水筒背に鳴りて 高澤良一 石鏡
地下街で稲荷購ひ桜狩 高澤良一 石鏡
花見客もう百段に顔見合はせ 高澤良一 寒暑
花見弁当ひらけば鳩の優しく寄る 高澤良一 石鏡
沿線の花見切符を撫しながら 高澤良一 石鏡
米寿まで生きたついでの花見せむ( 母の云へる ) 高澤良一 石鏡
花見衆持ち込む小ぶりの瓦斯ボンベ 高澤良一 暮津
花見客に唸る屋台のバッテリー 高澤良一 暮津
かわず掛け河津が郷のさくら見に 高澤良一 ぱら
楽しんでよるひるざくらあさざくら 高澤良一 燕音
夜ざくらを見にゆく元気既になし 高澤良一 燕音
花は佳し桜しべまで見尽して 高澤良一 燕音
まどろんで先師が花に遊べる図 高澤良一 燕音
人間の勝手放題花を見る 高澤良一 燕音
根っからの浜っ子野毛の桜見に 高澤良一 燕音
花巡り今日の泊りは武蔵坊( ホテル ) 高澤良一 宿好
花を見る目配りにさへお人柄 高澤良一 高澤良一 寒暑
花を見て花の生み継ぐ風を見て 高澤良一 寒暑
沿線の桜見ながら羽田まで 高澤良一 寒暑
靴脱げる処が玄関花筵 高澤良一 暮津
走り根の出っ張り避けて花筵 高澤良一 暮津




以上
by 575fudemakase | 2015-04-12 00:17 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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例1 残暑 の例句を調べる

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いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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