鈴木鷹夫句集「カチカチ山」を読んで
鈴木鷹夫句集「カチカチ山」を読んで
2012・11・25 角川書店 第六句集 昭和3年生
滅法、この作家が気にかかってしょうがない。
この作家の山妻詠、自嘲、口吻、自恃がいい。
俳歴六十年
捨てし句の数怖ろしや蚊喰鳥
恥づかし乍ら「門」主宰にして昼寝王
立春大吉沢庵の真つ黄色
大仏も眠たからうに春の昼
自らの彩に酔ひつつ風車
踏むまいぞこれは朝寝の妻の足
狡い人と言はれし昔其角の忌
見当をつけて迷ひぬ春の墓地
紅唇もいま目借時山手線
夕月といまねんごろに葱坊主
豪華客船菠薐草も積みをらむ
蛸足配線残りし雛納めかな
蜷の道思ふは故人ばかりなり
前略とありて略さぬ花便り
花冷えの手がそこにあり握るべし
江戸褄が一番線に春の風
永き日の近代美術館しーん
人はみな足音を持つ土筆かな
花筵一升瓶の中に波
ノックしたき巣箱がありぬ軽井沢
古老とは疲れし偉人竹の秋
手を打てばまさかと思ふ椿落つ
春ショールふはりふはりと神楽坂
田楽やお運びさんの赤襷
春雪やなどといふ間も積るつもる
袂持ち春の焚火に何くべし
蛙の目借りて返さず眠るべし
矢印に沿へば木蓮やがて読経
相席でよろしいですか春の宵
老人とは思ひ出大尽蠅叩
富士山を殿と仰ぎぬ蟇
蟻地獄に落ちしか妻の見当らぬ
魚屋の奥に先代昼寝せり
飛車角はいまだ動かず遠き雷
どの竹のものか判らぬ竹落葉
話しつつ女将がくれる団扇風
口づけし泉くちびる押してくる
真青な音立ててをり貝風鈴
暫くは瀬音の中の鮎談義
月はいま旅の途中や吊忍
生きること死ぬ事釣堀にて話す
百合の香の中に目覚むるここは何処
昼酒はすててこで良し然り乍ら
俳諧の切っ先鈍る油照
空蝉をお疲れさまと剥がすなり
蜜豆やときどき妻が生意気で
真つ直ぐに飛ぶは嫌ひか黒揚羽
蛇に旬あり美事なる蜷局(とぐろ)
城ありて松ありてこそ氷旗
蟻出づる急ぎ足とはどの蟻か
金槌と鋸と三尺寝の鼾
古蚊帳は貧乏神の匂ひせり
俺と言へる相手は大事冷し酒
老人の達者な嘘や夏羽織
泡沫(うたかた)と読めば涼しや方丈記
虫売りの帰りゆく家思ふなり
運動会のピストルの音誰(た)も死なず
裏側はさみしい貌か焼秋刀魚
体重が妻と同じで芋の秋
羊水と流れ出て八十年目の秋
大糸瓜抱いてみたらと言はれけり
鬼やんま俺より偉いかもしれぬ
東京を讃へてをりぬ踊唄
文豪はみな死して無しすいつちよん
虫籠の戸口の鍵のいいかげん
間引菜と思へぬ嵩でありにけり
しかうして夜露は毒と母のこゑ
虫籠のむかうに夕日葛飾区
文化とは秋刀魚七輪風の音
柿いろづけば夭折の兄や姉
露けしや波郷の言葉その眼鏡
長生きの亀の見てをり松手入
ふりかへる蟷螂なんだ老人か
敬老の日なり有難たう御座います
法師蝉分った分ったもう鳴くな
膝の上に帽子を置けば小鳥くる
雨傘の一つが高し波郷の忌
信じたしこの弟子の息白ければ
恋のごと津軽の吹雪思ふなり
綿虫やさうだ深大寺へ行かう
日本橋三越を出ておほくさめ
五人ゐて影のでこぼこ日向ぼこ
極月のさすが女将の燗どころ
牡蠣フライにレモン絞ってカキクケコ
凍る夜の貨車ながながと無礼なり
燈明の火こそ火ならめ近松忌
縮緬の袖は泣くため近松忌
日の落ちる迄が百姓根深掘る
足立区足立布団干す家叩く家
葱提げて息子が帰宅何だろう
義太夫はべベンベンベン賀状書く
白馬ゐて太秦映画村小春
手洗ひは突当りです年忘れ
以上
2012・11・25 角川書店 第六句集 昭和3年生
滅法、この作家が気にかかってしょうがない。
この作家の山妻詠、自嘲、口吻、自恃がいい。
俳歴六十年
捨てし句の数怖ろしや蚊喰鳥
恥づかし乍ら「門」主宰にして昼寝王
立春大吉沢庵の真つ黄色
大仏も眠たからうに春の昼
自らの彩に酔ひつつ風車
踏むまいぞこれは朝寝の妻の足
狡い人と言はれし昔其角の忌
見当をつけて迷ひぬ春の墓地
紅唇もいま目借時山手線
夕月といまねんごろに葱坊主
豪華客船菠薐草も積みをらむ
蛸足配線残りし雛納めかな
蜷の道思ふは故人ばかりなり
前略とありて略さぬ花便り
花冷えの手がそこにあり握るべし
江戸褄が一番線に春の風
永き日の近代美術館しーん
人はみな足音を持つ土筆かな
花筵一升瓶の中に波
ノックしたき巣箱がありぬ軽井沢
古老とは疲れし偉人竹の秋
手を打てばまさかと思ふ椿落つ
春ショールふはりふはりと神楽坂
田楽やお運びさんの赤襷
春雪やなどといふ間も積るつもる
袂持ち春の焚火に何くべし
蛙の目借りて返さず眠るべし
矢印に沿へば木蓮やがて読経
相席でよろしいですか春の宵
老人とは思ひ出大尽蠅叩
富士山を殿と仰ぎぬ蟇
蟻地獄に落ちしか妻の見当らぬ
魚屋の奥に先代昼寝せり
飛車角はいまだ動かず遠き雷
どの竹のものか判らぬ竹落葉
話しつつ女将がくれる団扇風
口づけし泉くちびる押してくる
真青な音立ててをり貝風鈴
暫くは瀬音の中の鮎談義
月はいま旅の途中や吊忍
生きること死ぬ事釣堀にて話す
百合の香の中に目覚むるここは何処
昼酒はすててこで良し然り乍ら
俳諧の切っ先鈍る油照
空蝉をお疲れさまと剥がすなり
蜜豆やときどき妻が生意気で
真つ直ぐに飛ぶは嫌ひか黒揚羽
蛇に旬あり美事なる蜷局(とぐろ)
城ありて松ありてこそ氷旗
蟻出づる急ぎ足とはどの蟻か
金槌と鋸と三尺寝の鼾
古蚊帳は貧乏神の匂ひせり
俺と言へる相手は大事冷し酒
老人の達者な嘘や夏羽織
泡沫(うたかた)と読めば涼しや方丈記
虫売りの帰りゆく家思ふなり
運動会のピストルの音誰(た)も死なず
裏側はさみしい貌か焼秋刀魚
体重が妻と同じで芋の秋
羊水と流れ出て八十年目の秋
大糸瓜抱いてみたらと言はれけり
鬼やんま俺より偉いかもしれぬ
東京を讃へてをりぬ踊唄
文豪はみな死して無しすいつちよん
虫籠の戸口の鍵のいいかげん
間引菜と思へぬ嵩でありにけり
しかうして夜露は毒と母のこゑ
虫籠のむかうに夕日葛飾区
文化とは秋刀魚七輪風の音
柿いろづけば夭折の兄や姉
露けしや波郷の言葉その眼鏡
長生きの亀の見てをり松手入
ふりかへる蟷螂なんだ老人か
敬老の日なり有難たう御座います
法師蝉分った分ったもう鳴くな
膝の上に帽子を置けば小鳥くる
雨傘の一つが高し波郷の忌
信じたしこの弟子の息白ければ
恋のごと津軽の吹雪思ふなり
綿虫やさうだ深大寺へ行かう
日本橋三越を出ておほくさめ
五人ゐて影のでこぼこ日向ぼこ
極月のさすが女将の燗どころ
牡蠣フライにレモン絞ってカキクケコ
凍る夜の貨車ながながと無礼なり
燈明の火こそ火ならめ近松忌
縮緬の袖は泣くため近松忌
日の落ちる迄が百姓根深掘る
足立区足立布団干す家叩く家
葱提げて息子が帰宅何だろう
義太夫はべベンベンベン賀状書く
白馬ゐて太秦映画村小春
手洗ひは突当りです年忘れ
以上
by 575fudemakase
| 2015-01-17 09:29
| 句集評など

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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