星野麥丘人句集「亭午」を読んで
星野麥丘人句集「亭午」を読んで
梅里書房 2002.9.25 第五句集
共鳴句を挙げる。
足袋干してあり老人のゐるらしき
大根の花月齢を八日とし
万愚節二つは食へぬゆで玉子
夕長し働かざれば突堤に
放哉のたんぽぽの絮どこまでも
トーストにブルガリアジャム夏めきぬ
柿の花こもりゐる日の不整脈
旧道は歩くに如かず鴨足草
六月の霧ちぎれとぶ湯殿山
夏逝くや誤植一つを負ひ目とし
女流特集読まされてゐる残暑かな
われらみなゑのころ草のやうなもの
新宿の猫原宿のねこじゃらし
秋風を聴くといふこと追分に
秋小寒耳に憑きたる水の音
日展の雨不忍の池も雨
草履の緒すこしきつめや敷松葉
鈴懸の冬日の影の二階まで
懐手しても詮なししなくても
正月の青空市の竿秤
海鼠から食ふかと訊かれうろたへぬ
葱太しバルザックには手を出さず
立春の貨車よりおろす砂利一荷
啓蟄や足のおやゆびぎこちなく
青き踏む女三人まででよし
寄居虫売探し歩きてくたびれぬ
菜の花やいまもとんとん葺ありぬ
走りたくなる日もありぬ金鳳華
梅若葉われにとりつくえへん虫
薔薇の門すずめは人をはばからず
あさがほの双葉うれしくなりにけり
皆老いぬアロハシャツなど着てをれど
きんいろのフランス山の毛虫かな
螢とぶほたるは人をえらばざる
老けること薔薇見ることにはじまりぬ
梅雨ふかし韋駄天の眼の硝子玉
汗拭きに来し大阪と思ひけり
冷し酒蕎麦(ざる)一枚を通しけり
人に血を遣りしことなし終戦日
震災忌白いごはんになまたまご
乃木さんの柿は渋がきくもり空
空港を出てコスモスの田舎みち
十一月二十一日
先生の忌なれば晴れよ龍の玉
くつさめやもとより敵は腹中に
雑炊の具のぎんなんの三粒ほど
晩年か余生か破魔矢受けにけり
カナリヤを鳴かせてゐたる二日かな
三月来なにもかはらぬ身のまはり
船を見に来て風船を持たさるる
竹の秋こどものころのおほえやま
子規の藤池のおもてにとどきさう
遠足児南大門を一周す
猿沢の池に倦みたる暮春かな
明日香村菜の花もっともっと欲し
山の辺の道の紫花地丁(すみれ)をどうしよう
佐賀に来て金魚買ふわけにもいかず
昼顔を摘めばひるがほいたがりぬ
カナリヤにメロンを分けてやるべきか
蛍みな消えてしまひぬ風吹けば
まひまひのオーディションともいふべきや
なにもなき坂ゆゑ狗尾草を手に
コスモスのやうなといへばふりむきぬ
ひとも来るとんぼ右から左から
朝顔の紺や一徹通すべし
いちじくもざくろも食はず平凡に
空港にコスモスもっとふやすべし
秋晴や生みたて玉子一打
藷掘の時給六百五十円
老人と綿虫の距離縮まらず
鴨食うていいことはないかも知れぬ
口きけぬ婆かとおもふ海鼠売
ポインセチアぼくにはタンゴ踊れない
✳︎えいを見てすなはち年を忘れむと
油屋の犬が轢死や年の暮
冬座敷横になるわけにもいかず
鶴啼かず日は中天にありながら
湯豆腐や明治大正昭和まで
実千両日向に出ては手をひろげ
カフェグレコ成人の日のハムエッグ
雪降ってから鴨鍋といふことに
寒鯉の生血といふをことわりぬ
わる知恵をそだてくつさめとばしけり
雀荘(じゃんさう)の冬の金魚の金之助
長命寺裏みち春の来つつあり
橋ありて寄居虫も売る野菜売
花疲れといふほど花を見てをらず
春の暮皿に一切れかすていら
牡丹見る唆されてゐるごとし
かんてんを固めよつつぴん鳥の朝
射干を雨降り花と合点して
遊船の箱弁当の玉子焼
草取の妻をのこして入院す
終戦日烏の止まる浮丸太
蛸壺に容赦なかりし盆の雨
梨剥いて恙といへば恙かな
なに故の大芋虫となりたるか
老人の妻も老人酔芙蓉
品書になくて粟飯二百円
柚子梯子より柿梯子やや長き
菊花展雀ときどき降りてきぬ
さざん花の宿さういへばそのやうな
以上
梅里書房 2002.9.25 第五句集
共鳴句を挙げる。
足袋干してあり老人のゐるらしき
大根の花月齢を八日とし
万愚節二つは食へぬゆで玉子
夕長し働かざれば突堤に
放哉のたんぽぽの絮どこまでも
トーストにブルガリアジャム夏めきぬ
柿の花こもりゐる日の不整脈
旧道は歩くに如かず鴨足草
六月の霧ちぎれとぶ湯殿山
夏逝くや誤植一つを負ひ目とし
女流特集読まされてゐる残暑かな
われらみなゑのころ草のやうなもの
新宿の猫原宿のねこじゃらし
秋風を聴くといふこと追分に
秋小寒耳に憑きたる水の音
日展の雨不忍の池も雨
草履の緒すこしきつめや敷松葉
鈴懸の冬日の影の二階まで
懐手しても詮なししなくても
正月の青空市の竿秤
海鼠から食ふかと訊かれうろたへぬ
葱太しバルザックには手を出さず
立春の貨車よりおろす砂利一荷
啓蟄や足のおやゆびぎこちなく
青き踏む女三人まででよし
寄居虫売探し歩きてくたびれぬ
菜の花やいまもとんとん葺ありぬ
走りたくなる日もありぬ金鳳華
梅若葉われにとりつくえへん虫
薔薇の門すずめは人をはばからず
あさがほの双葉うれしくなりにけり
皆老いぬアロハシャツなど着てをれど
きんいろのフランス山の毛虫かな
螢とぶほたるは人をえらばざる
老けること薔薇見ることにはじまりぬ
梅雨ふかし韋駄天の眼の硝子玉
汗拭きに来し大阪と思ひけり
冷し酒蕎麦(ざる)一枚を通しけり
人に血を遣りしことなし終戦日
震災忌白いごはんになまたまご
乃木さんの柿は渋がきくもり空
空港を出てコスモスの田舎みち
十一月二十一日
先生の忌なれば晴れよ龍の玉
くつさめやもとより敵は腹中に
雑炊の具のぎんなんの三粒ほど
晩年か余生か破魔矢受けにけり
カナリヤを鳴かせてゐたる二日かな
三月来なにもかはらぬ身のまはり
船を見に来て風船を持たさるる
竹の秋こどものころのおほえやま
子規の藤池のおもてにとどきさう
遠足児南大門を一周す
猿沢の池に倦みたる暮春かな
明日香村菜の花もっともっと欲し
山の辺の道の紫花地丁(すみれ)をどうしよう
佐賀に来て金魚買ふわけにもいかず
昼顔を摘めばひるがほいたがりぬ
カナリヤにメロンを分けてやるべきか
蛍みな消えてしまひぬ風吹けば
まひまひのオーディションともいふべきや
なにもなき坂ゆゑ狗尾草を手に
コスモスのやうなといへばふりむきぬ
ひとも来るとんぼ右から左から
朝顔の紺や一徹通すべし
いちじくもざくろも食はず平凡に
空港にコスモスもっとふやすべし
秋晴や生みたて玉子一打
藷掘の時給六百五十円
老人と綿虫の距離縮まらず
鴨食うていいことはないかも知れぬ
口きけぬ婆かとおもふ海鼠売
ポインセチアぼくにはタンゴ踊れない
✳︎えいを見てすなはち年を忘れむと
油屋の犬が轢死や年の暮
冬座敷横になるわけにもいかず
鶴啼かず日は中天にありながら
湯豆腐や明治大正昭和まで
実千両日向に出ては手をひろげ
カフェグレコ成人の日のハムエッグ
雪降ってから鴨鍋といふことに
寒鯉の生血といふをことわりぬ
わる知恵をそだてくつさめとばしけり
雀荘(じゃんさう)の冬の金魚の金之助
長命寺裏みち春の来つつあり
橋ありて寄居虫も売る野菜売
花疲れといふほど花を見てをらず
春の暮皿に一切れかすていら
牡丹見る唆されてゐるごとし
かんてんを固めよつつぴん鳥の朝
射干を雨降り花と合点して
遊船の箱弁当の玉子焼
草取の妻をのこして入院す
終戦日烏の止まる浮丸太
蛸壺に容赦なかりし盆の雨
梨剥いて恙といへば恙かな
なに故の大芋虫となりたるか
老人の妻も老人酔芙蓉
品書になくて粟飯二百円
柚子梯子より柿梯子やや長き
菊花展雀ときどき降りてきぬ
さざん花の宿さういへばそのやうな
以上
by 575fudemakase
| 2015-02-02 17:04
| 句集評など

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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