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藤田湘子句集「てんてん」を読んで

藤田湘子句集「てんてん」を読んで
角川書店 平成十八年四月十五日 第十一句集(遺句集)
共鳴句を挙げる。

悪(わる)なれど町内の初鴉なり
蝋梅や奈良にしあればほとけ雨
平成の駄目を見てをる雛かな
花筏さんせううをの上に来し
金の虻よろめき出でし牡丹かな
かちどきを挙げて牡丹くづれけり
暑に対す小沢昭一的こころ
眼蓋(まなぶた)のうごきて蟇の動きけり
走り出て蜥蜴の子まだ生乾き
芋の露不意をくらって零れけり
秋刀魚食ふ曾つて男は凜たりし
坂東の先はえみしや曼珠沙華
うしろからうむを言はせず秋の暮
枯菊の面目ほどの香なりけり
前へ前へ幹は出でんと枯木山
歳晩や身に膏薬の千社札
永遠は刹那のつづき返り花
殖ゆることなき細胞と年惜しむ
弓始弓の形の国なれば
初雀でんぐり返し見せようぞ
我はただ餅の黴削ぐむかし者
退屈のくすりゆびあり日脚伸ぶ
春隣帽子取りたるおでこかな
消えかかる身を白魚は寄せ合へり
啓蟄やこれ見よがしのもぐら道
春風や藪のやうなる古俳諧
地靄たつ田鼠うづらと為る日なり
暑けれど佳き世ならねど生きようぞ
俳諧の毒を畏み土用入
蟻地獄ひそかに体(てい)を為しにけり
四五本のほたるぶくろが村境
新月とけふほぐれたるすすきの穂
家にゐて昨日とおなじ秋の暮
秋収蜘蛛どもも巣を捨てにけり
またもとの木阿弥の年暮るるなり
もがり笛塔の暮色に仕る
只管打坐寒鯉これを倣ひをり
何ごとにつけ茶が旨ししづり雪
豆撒いてから豆を食ふうらがなし
海牛のなんと倖せさうな貌
つちふるや嫌な奴との生きくらべ
春蚊打つ思ひつめたる声なれば
風鳴りの春連鳴りの壜の口
日輪の出て沈む理や百千鳥
下萌にふだんの虚子を想ふかな
けふ見たる桜の中に睡るかな
てのひらのものさびしさの暮春かな
暑ければ欲を半分捨てにけり
ところてん昭和がふっと顔を出す
野はいつも鮮(あたら)しけふは青螇蚸
師の名こそ生涯の糧秋の雲
秋晴や手間隙かけず晩年へ
夕映の草ゑのころもかやつりも
五歩に付く草虱とはたのもしき
おのもおのも集ひしごとく糸瓜垂れ
日蔭出て冬川あさく流れをり
刻かけて海を来る闇クリスマス
餅焼いてをり美しき不安あり
三十六歌仙がほどに浮寝鳥
一尺の和釘横たへ春立つ日
土手すこし駈けあがりたる野火の果
我のほか人の居らねば地虫出づ
山すみれ諸鳥は恋ためらはず
加賀にあり田螺煮る火を見てゐたる
ゆりの木の花や雲さへ知らで過ぐ
一塊のででむし動くああさうか
待つとなく寄席開くころの冷し酒
孑孑のをどりのめったやたらかな
蛇の衣垂れをり誰のものでもなく
夕立と浅瀬たたかふ音なりき
炎帝や蔵書もひそかなる息す
臀(ゐさらひ)にこほろぎのこゑ憑きしらし
足元に寄って集(たか)って曼珠沙華
凡そこの世は案山子の口の情なし
今ごろは奈良に柿食ふ津田清子
鉄瓶のだんだん重き夜長かな
天丼や暮も十日の馬喰町
禿頭をせちに洗へり去年今年
蠟梅を老梅と書く花屋は駄目
雪積る谷けものの眼さかなの眼
涅槃図の泣顔どれもこれも佳き
ぺたぺたと干潟を行けば伽羅百済
皆がみな途方に暮れて葱坊主
真砂女追想
安房を出しおまさに桜しべ降る日
田に沁みる水は急がず春の暮
春の日や卒寿白寿と先長し
昼花火空威張して終りけり
紙魚なれば本の厚さを生甲斐に
白木槿万歳はもう叫ぶなよ
畦行けばやいのやいのと曼珠沙華
磧なす石ころの秋草の秋
国弱し男も弱しすいつちょん
秋の蜂堂々と行く何やある
水差して鉄瓶懈き冬至かな
枯山へわが大声の行ったきり
畦々や冬草の座のへこたれず
丘ひとつ越え探梅のつもりなり
足もとに泛く薄氷のこゑなりし
斑鳩の道や総出のいぬふぐり
たんぽぽや空全開の遼(はる)けさに
霞む山はせをの連として見をり
毛虫焼くための百円ライターなり
梅干やうめぼしいろの舌出して
町を出て道くつろげり山法師
干竿の両端暇や雲の峰
大雷雨ぺんぺん草は立ち向ふ
ちゅと吸へば土用蜆もちゅと応ふ
大団円蜘蛛の匠の尻黄なり
本買ふは業にも似たり鰯雲
ぐわつくわうとひびける如き月夜なり
こってりと鶏頭は色厚うせり
鬼の子にあらずこやつは佛の子
秋の蚊の金切声を落しけり
手術経し腹の中まで秋の暮
下駄履のそこら歩きに椋鳥の空
痩尻のあはれ股引恃みかな
種採の嗟(あ)々々零してしまひけり
水晶をもはや産まざる山粧ふ
木枯のひったくり雲火の用心
連れ合うて来て木枯は個々の声
幾つかは遺品とならむ冬帽子
日本語半端英語カタコト成人す
冬牡丹桂信子をここで待つ
初みくじ結ひし無数の指想ふ
野道からぬかるみが消え小正月
薄氷の居ながらにして消えにけり
東京の非情身に付け卒業す
養生は図に乗らぬこと春の草
着尽くさぬ衣服の数や万愚節
春夕好きな言葉を呼びあつめ
安心のおならがひとつ春の雁
今以つて寝巻と言ふやあたたかし
木蓮の声なら判る気もすなり
隅田川東風の名所と言ひたしや
無季
死ぬ朝は野にあかがねの鐘鳴らむ
草川の水の音頭も春祭

以上
by 575fudemakase | 2015-02-14 14:09 | 句集評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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