山田弘子句集「月の雛」を読んで
山田弘子句集「月の雛」を読んで
第七句集(遺句集) ふらんす堂 2010年7月11日
共鳴句を挙げる。
蛞蝓の軌跡を伸ばす月夜かな
草取にかかる決意のやうなもの
夕焼の燃えつきさうな小学校
草の香にまみれし旅の白日傘
天の川音あるごとくかかる島
揚花火海はこだまを生むところ
萩かげに人萩かげに人の声
秋風にズボン百本青空市
種茄子といふ野放図な姿かな
散りたくて散りたくて冬桜かな
旅路もう手強き雪となってきし
水底に宴ありけり蜷の道
校庭の朝礼台の野火埃
山伏問答春山を開くかな
花の色ならざるはなき雨しづく
からたちの棘に指あて春惜しむ
夏燕どこに立ちても水の景
隠岐島 三句
羊蹄の花に水平線高し
放埓の牛が堰く径夏あざみ
じつとしてをれば孑孑淋しすぎ
灯を取りにすいっちょの来るそんな宿
秋近くなる蝶々が小さくなる
朝市に盆提灯の並ぶころ
宮古島 九句
流星の夜をもてなしとしたる島
手花火や夜も島の子に囲まれて
さがりばな恋うてこぼるる星いくつ
かかる夜は仕事は野暮よ寝待月
もうすこしもうすこし待て青写真
風に斧あづけ蟷螂枯れゆくか
胸にみないささかの毒鳥兜
一輪を風に失ふ帰り花
気休めの猪垣といふ外はなく
鯨来る海が自慢の島の宿
悴んでをれず言ふべきことは言ふ
鳩追うて鳩になる子や春の草
蛇穴を出て相棒がまだ居ない
浮かれてはならぬ虚子忌をうらうらと
明日あたり家出しさうな蝌蚪なりし
亀鳴くや守りに入りしわが齢
チューリップあつけらかんと彩を消す
遊船に一番乗りのをんなかな
負ふものを下ろしもならず蝸牛
雨粒がこんなにきれい青芒
大空を繕うてゐる女郎蜘蛛
大毛虫全長山の青まとふ
羅に月光を波打たせをり
灯台の白を花野の果とせる
吾のみに使ふ夜長のうれしさよ
大方は捨つる詩ばかり秋の風
十夜鉦ひたすら打ちて揃はざる
帰り花仰ぎ還らぬものばかり
落伍して脚を労る冬紅葉
雪折の谺を追へる谺かな
母の日や大事がられず壮健に
海人小屋に小窓がひとつ黄水仙
鳳作に惚れて上布のをんなかな
夏草に沈む琉球石だたみ
白雲へ咲き登らんと野朝顔
念珠屋の門にたたみし白日傘
居候らしく草取などもして
蠅虎さへも味方につけたき日
箱庭にたそがれてゐる太鼓橋
転居荷に凭れ一服夏みかん
結びやる少女の帯や花火の夜
後の月上げてしげさの三味の音
高知 三句
籾殻焼く煙の中を下校の子
零余子炒るさびしきことをしてゐたり
朝刊がことりと冬を連れて来し
新海苔といふ弾力の束を解く
極まるはかなしみに似て冬紅葉
懸大根母を隠してそれっきり
蟹食ふは滅法下手でいい女
背ボタンに手間取ってゐて日短
書初や六甲の水寧楽の墨
稿起こすまでの寒さでありにけり
寒卵こつんとたつた一人の音
花びらのやうに公魚釣られけり
来ぬ人の椅子に声ある暮の春
花種を蒔いて待つことばかりなり
少女らは肩よりはづむ春の野辺
満開の花に狎るるを怖れけり
辞職後は海のをとこや春の星
余生など来さうにもなき新茶汲む
火取虫掃くみちのくのホテルマン
音一つ失せしオルガン麦の秋
もう後に退けざる汗でありにけり
夏みかん剥くに気力の足らざる日
空港に余りし時間ソーダ水
ライオンの薄目を掠め夏落葉
夕焼がきりんの首を降りて来る
落し文拾へば雨をこぼしけり
忘却といふ救ひあり天の川
波音を銀河に返し島眠る
榛名富士すっくと朝の藤袴
大いなる月を放ちし芒原
蟷螂を遊ばせてゐる風の草
やや寒きことが決断鈍らする
笑ひ茸でも進ぜたき漢かな
大根煮なればまだまだ娘に負けぬ
朝作務の落葉の嵩でありにけり
短日や電子レンジに忘れもの
セーターの闇くぐる間に一決す
以上
第七句集(遺句集) ふらんす堂 2010年7月11日
共鳴句を挙げる。
蛞蝓の軌跡を伸ばす月夜かな
草取にかかる決意のやうなもの
夕焼の燃えつきさうな小学校
草の香にまみれし旅の白日傘
天の川音あるごとくかかる島
揚花火海はこだまを生むところ
萩かげに人萩かげに人の声
秋風にズボン百本青空市
種茄子といふ野放図な姿かな
散りたくて散りたくて冬桜かな
旅路もう手強き雪となってきし
水底に宴ありけり蜷の道
校庭の朝礼台の野火埃
山伏問答春山を開くかな
花の色ならざるはなき雨しづく
からたちの棘に指あて春惜しむ
夏燕どこに立ちても水の景
隠岐島 三句
羊蹄の花に水平線高し
放埓の牛が堰く径夏あざみ
じつとしてをれば孑孑淋しすぎ
灯を取りにすいっちょの来るそんな宿
秋近くなる蝶々が小さくなる
朝市に盆提灯の並ぶころ
宮古島 九句
流星の夜をもてなしとしたる島
手花火や夜も島の子に囲まれて
さがりばな恋うてこぼるる星いくつ
かかる夜は仕事は野暮よ寝待月
もうすこしもうすこし待て青写真
風に斧あづけ蟷螂枯れゆくか
胸にみないささかの毒鳥兜
一輪を風に失ふ帰り花
気休めの猪垣といふ外はなく
鯨来る海が自慢の島の宿
悴んでをれず言ふべきことは言ふ
鳩追うて鳩になる子や春の草
蛇穴を出て相棒がまだ居ない
浮かれてはならぬ虚子忌をうらうらと
明日あたり家出しさうな蝌蚪なりし
亀鳴くや守りに入りしわが齢
チューリップあつけらかんと彩を消す
遊船に一番乗りのをんなかな
負ふものを下ろしもならず蝸牛
雨粒がこんなにきれい青芒
大空を繕うてゐる女郎蜘蛛
大毛虫全長山の青まとふ
羅に月光を波打たせをり
灯台の白を花野の果とせる
吾のみに使ふ夜長のうれしさよ
大方は捨つる詩ばかり秋の風
十夜鉦ひたすら打ちて揃はざる
帰り花仰ぎ還らぬものばかり
落伍して脚を労る冬紅葉
雪折の谺を追へる谺かな
母の日や大事がられず壮健に
海人小屋に小窓がひとつ黄水仙
鳳作に惚れて上布のをんなかな
夏草に沈む琉球石だたみ
白雲へ咲き登らんと野朝顔
念珠屋の門にたたみし白日傘
居候らしく草取などもして
蠅虎さへも味方につけたき日
箱庭にたそがれてゐる太鼓橋
転居荷に凭れ一服夏みかん
結びやる少女の帯や花火の夜
後の月上げてしげさの三味の音
高知 三句
籾殻焼く煙の中を下校の子
零余子炒るさびしきことをしてゐたり
朝刊がことりと冬を連れて来し
新海苔といふ弾力の束を解く
極まるはかなしみに似て冬紅葉
懸大根母を隠してそれっきり
蟹食ふは滅法下手でいい女
背ボタンに手間取ってゐて日短
書初や六甲の水寧楽の墨
稿起こすまでの寒さでありにけり
寒卵こつんとたつた一人の音
花びらのやうに公魚釣られけり
来ぬ人の椅子に声ある暮の春
花種を蒔いて待つことばかりなり
少女らは肩よりはづむ春の野辺
満開の花に狎るるを怖れけり
辞職後は海のをとこや春の星
余生など来さうにもなき新茶汲む
火取虫掃くみちのくのホテルマン
音一つ失せしオルガン麦の秋
もう後に退けざる汗でありにけり
夏みかん剥くに気力の足らざる日
空港に余りし時間ソーダ水
ライオンの薄目を掠め夏落葉
夕焼がきりんの首を降りて来る
落し文拾へば雨をこぼしけり
忘却といふ救ひあり天の川
波音を銀河に返し島眠る
榛名富士すっくと朝の藤袴
大いなる月を放ちし芒原
蟷螂を遊ばせてゐる風の草
やや寒きことが決断鈍らする
笑ひ茸でも進ぜたき漢かな
大根煮なればまだまだ娘に負けぬ
朝作務の落葉の嵩でありにけり
短日や電子レンジに忘れもの
セーターの闇くぐる間に一決す
以上
by 575fudemakase
| 2015-03-24 08:20
| 句集評など

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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