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2015年4月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

2015年4月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
ちなみに、当句会メンバーの平均年齢は後期高齢者の部類にはいる。

1シャッター街明るきものに初燕
11と同様に、これまたご近所の風景。
3鞆の浦石蓴畳の船着き場
「石蓴畳の船着き場」なんて、極めてリアリティーありですネ
7出雲より棕櫚箒売り春一番
作者の位置関係だが、出雲の左寄りなら、山口県、右寄りなら兵庫、京都といったところ。評者はときに探偵のようなこともします。
10子に従ふ齢諾ふ雲に鳥
11空家殖ゆ隣保にひとり一年生
隣保とはリンポと読み、となり近所の意と辞書にある。極めて現実的な昨今の、ご近所の風景である。こちらは少子化問題を指摘。
13掬うては浴びる花屑下校の子
15永き日の夕べ髭のび他人貌
「他人貌」とは自意識の世界。
22車椅子の母にふうはり花の散る
23春立つや暮しの隅の靴と杖
いかにも「暮しの隅の靴と杖」は現代社会というものを暗示しますネ
24芽柳の川辺をゆけば師の旧居
一途に師に惚れ込んだ慎ましさのようなものを感じます。
句の行間から滲み出てくるものがあります。
26花ぼこり払ひてどつと疲れしよ
28鏝絵なる飛天の朱唇桜冷え
30奥志摩の波が残せる桜貝
志摩といへば半島が幾重にも折り重なったというイメージがある。それに「奥」という字がくっついているのだから、奥の奥といったイメージ。
そこに桜貝が鎮座ましましているのだ。
37惜春や明日知らぬ身の袖袂
「明日知らぬ身の袖袂」とは昭和以前の文言。言の葉の妙味をかんじます。
38菜の花や日の沈みゆく相模湾
39花吹雪今日といふ日は今日かぎり
謂わば自分に言い聞かせているような俳句。こんな俳句があってもよいのではないか?
40花の村移動スーパー着くチャイム
最近こんな情景で始まるテレヴィドラマありますねぇ
41雁返る小島へ継ぐ長き橋
瀬戸内海などふさわしいですネ
43蕗のたう摘めばおのづと郷の唄
44昨夜月蝕庭の其方此方地虫出づ
45翅破れし蝶の執する一花かな
生きとしいけるものの行き着くところ。
47甘茶仏甘茶にみ足冷えたまふ
51花疲れ着替えに気づく打ち身痕
ワーハリンのんでいますから打身のムラサキ世界親しむところです。
53夕なぎさ送り節句の貝探す
3月2日は「宵の節句」 3月4日は「送り節句」。5日過ぎには片づけねばならない。「送り節句」など言う雅語などを持ち出して来たところが当句の手柄というところか?
54永福寺跡草萌えの光ゲと香
56花冷えの早灯の点るパスタ店
57潮入りの川に漂ふ若布かな
61堰越ゆる水の勢ひに散る桜
65大瑠璃の消えたるあとの青水面
青水面とは大瑠璃の青の残像?一瞬にして飛び去る大瑠璃の生態に注目した一句。
68赤い靴の女の子像春遅々と
69箸墓の穴出し蛇の逡巡す
箸墓の穴とは箸墓古墳群の穴ということ。
74半生の俳誌括るや鳥雲に
結社誌〝濱〟が廃刊したのが 二年前。大方はその雑誌処分に手を焼いたことだろう。未だ未処分の方もおられよう。
76魁けて親子三羽の鶴帰る
77化石の忌残雪白根天にあり
79雨降れば傘傾げして花貝母
82歌劇場へ桜吹雪を浴びて行く
95しゃぼん玉くるくる森が回りだす
97子の指に戯る蝌蚪となりにけり
98終焉の三鬼句碑尋む遅日なり
99福寿草雪間より陽を鷲掴み
蕾が弾けて花開く様は掲句の通りであろう。
100舟を漕ぐ掛け声揃ふ水の春
103鼻息に落花舞ひ立つ飼葉桶
104砂浜に落花を残し波の引く
105接骨木の花や過疎地の小学校
111花の雲行雲流水人は逝く
小生の菩提寺は栃木県 田沼であるが、亡くなった先代のお坊さんの法要のお経の中に〝行雲流水落花五十年〟とあったのを記憶している。
115剥落の奪衣婆に積む春の塵
116安珍の塚を囲みて椿落つ
119氷室跡きれいに掃かれ朝ざくら
140戦死とのみ彰義隊墓花舞へり
142花の雨生マ八ツ橋の手に撓ふ
花の雨に手に纏わり付く生マ八ツ橋はピッタリだ。
143墨東の雨まだ止まず桜餅
149春空に飛びたてさうや高速路
少々乱暴な表現であるが、何か 伝わってくるものはある。
150気が付けば残党のやう養花天
上五七は如何にも唐突と一般的には感ぜられよう。
ところが濱廃刊という目に遭った小生などにとっては掲句のような表現がピタリとくる。であるから俳句は不思議で面白い。
養花天という季語も一般的に使用例は少なく、何か煙に巻いたようで面白い。
151初雲雀しばらく聞えもう止むか
153惜春や笑はせ泣かせ巨匠逝く
156えんぴつの筆圧弱き入学児
「えんぴつの筆圧」実はこの後が問題だが、掲句は常識の範囲に納まっている。もちろんこれで充分に一句となっているのだが、もっと先鋭にするには、以下の様な形もある。
えんぴつの筆圧成人の日の伝言
162すかんぽの赤芽の一揆砲座跡
166茶室ほどの松下村塾松の芯
169あはうみの湖尻満満水の春
171みちのくの海の届きぬ新若布
「みちのくの海の届きぬ」というと一寸ギョとするが、俳句も詩歌だと思えば、その思いも解消する。ちょっと驚かせて納得させる。それも俳句だ。
176花筏流れのままに意のままに
七五の辺りうまく流している。言葉の方も。
177須臾の間のまぼろしかとも初蝶黄
初蝶黄のところ紋白蝶もあり。
まぼろしという語彙に対して「黄」よりは「白」の方が適切かも知れない。それに初蝶黄といえば虚子の初蝶来何色…が思い起こされ、そのイメージが邪魔をする。
178しだれ桜のうねり大きく法の山
180遠足や手に包帯の子も笑顔
189木漏れ日に金襴楚々と咲きいたり
195たっぷりと空の紺吸ふ犬ふぐり
198大根の花とびとびに和紙の里
199フルートとハープのための春の水
この句についての諸氏の句解を聴いてみたいところである。
変な関心の仕方だがそんな一句である。
203水温むあてなく開く旅ガイド
「水温む」の温み方が「あてなく」なのだろう。
204春筍を待つ大釜に湯が滾り
206電線につつと寄り添う鳥の恋
209一人来てつがふ三人土筆摘む
「つがふ」という言葉遣いがどこか懐かしいですね。一にも二にも俳句は日本語の使い方次第ですね。
210春の雪ぶつかってくる法の山
「春の雪ぶつかってくる」がいいですね。こんな春雪の詠み方もあるんですネ。
211山里のはたと児が減り花祭
「はたと児が減り」なんてところがうまい
212待ち合はせまでの古書店沈丁花
214昼月をくすぐつてをり欅の芽
欅の芽吹については以前から関心があって、私の場合は以下の通り。
一般的には、欅の芽吹を詠うのは少数派である。

ずん抜けて杜の欅の片芽吹き 高澤良一 随笑
広前に欅芽吹きの金色相 高澤良一 素抱
洞欅ぽやっぽやっと芽吹きけり 高澤良一 随笑
漫然と欅は芽吹き初めにけり 高澤良一 宿好
芽吹かんと樹皮を寄る辺の洞(うろ)欅 高澤良一 ぱらりとせ
芽吹くなら欅パパッとパパッとな 高澤良一 宿好
いつ見ても欅の芽吹きへんてこりん 高澤良一 石鏡
先づこんなところ欅の芽吹きとは 高澤良一 暮津
未完なる塔にしぶけり欅の芽 高澤良一 ぱらりとせ

215お辞儀せし象の背中に花の塵
むかし横浜の野毛山動物園に浜子さんという象がおりました。
もうとっくに亡くなっているのですが…。そういえば、雌の駱駝のつがる(津軽)さんも老衰で数年前に亡くなりました。山妻がこれが好きで幾度かおじゃましました。青森の津軽から貰われて来たラクダだそうです。
217花の闇ひしひしと寄る山気かな
219灌仏に座して心の話など
220ライラツク日和といひて妻癒ゆる
222 人麿が好きと阿騎野の畑を打つ
223空眩し海が眩しや磯遊び
225絵蝋燭燃え尽きてより春の闇
228雪解水ごうごう村の無縁墓
229一条の轍あしたの落花道

以上
by 575fudemakase | 2015-04-14 17:18 | その他


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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