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馬鹿 莫迦 バカの俳句

馬鹿 莫迦 バカの俳句

池田澄子百句(創風社出版)を読んでいたら、掲句に遭遇した。

馬鹿馬鹿と言うと口あき春の空気 

小生もいささかこの〝莫迦〟なる用語に関心あったので
拙作を羅列してみる。

「阿波の馬鹿踊り」いつ果てるやら天の川 橋本夢道 無類の妻
あらしのあとの馬鹿がさかなうりにくる 尾崎放哉
きれい好きな村鶯の馬鹿高音 岸田稚魚 筍流し
さねかづら男は馬鹿を良しとせむ 川上弘美
つぎつぎと嫁がせる馬鹿花吹雪 福井隆子
われひとり桜馬鹿にて散りぬるか 保坂加津夫
ジャスミンの芬々馬鹿に蒸す日かな 高澤良一 石鏡
世には着て親に背むくを馬鹿踊 上島鬼貫
丹波晴れてお松送りの馬鹿囃子 山田春生
五加木飯まだまだ惚けぬ俳句馬鹿 丸山太一
休み休み言ふ馬鹿ありてこそ佳けれ 筑紫磐井 花鳥諷詠
俳々と馬鹿の一念寒たまご 加藤郁乎(1929-)
傾倒する馬鹿一ものを読初 富安風生
八つ頭馬鹿丁寧に洗はれをり 高澤良一 ももすずめ
冷奴馬鹿塗りといふ箸のあり 市村楳香
夕焼けてこの馬鹿げたるはんだごて 津沢マサ子 空の季節
多数とは馬鹿の集りいかのぼり 加藤郁乎
夜ざくらや何かにつけて馬鹿ばやし 久保田万太郎 草の丈
大寒の馬鹿晴れにして山へ鳥 岸田稚魚
妻が言ふ「初蝶初蝶と馬鹿みたい」 岡崎光魚
星飛んで逝つてしまひし俳句馬鹿 小出秋光
春二番三番四番五番馬鹿 三橋敏雄 畳の上
春塵やこころの馬鹿のトルストイ 平井照敏 天上大風
木守柿わが馬鹿を世にさらしゐて 松崎鉄之介
木瓜みんな咲いてしまへり馬鹿陽気 高澤良一 ももすずめ
本心を吐く馬鹿がゐる万愚節 是松京村
松蝉や葉書・破瓜・墓・馬鹿・破壊 田川飛旅子 『山法師』
枯菊や馬鹿長きホースとぐろ巻く 野村喜舟
梅雨昼の母屋に納屋の馬鹿笑 河野静雲 閻魔
正月を馬鹿で暮して二月かな 鳴滝-秋風 選集古今句集
渋柿の馬鹿なりをして稲不作 原田青児
渋柿は馬鹿の薬になるまいか 正岡子規
無禮なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 橋本夢道
甲の藁塚は消え失せ乙の馬鹿 永田耕衣 吹毛集
男も馬鹿女も馬鹿の冷奴 佐藤和夫
石噛んでをりし磯巾着の馬鹿 串上青蓑
秋三月馬鹿を盡して別れけり 秋 正岡子規
考へがあつての馬鹿を冷奴 加藤郁乎
聖は臍に夕ベ死すとは馬鹿らしや 隈 治人
葛飾の遅日とろとろ馬鹿囃子 文挟夫佐恵 遠い橋
蓑虫に叶はぬ馬鹿をやつてゐる 櫂未知子 貴族
虹消えて馬鹿らしきまで冬の鼻 加藤楸邨
踊るも馬鹿見るも阿呆よ阿波の夏 橋本夢道 無類の妻
酉の市そのお神楽の馬鹿囃子 高橋淡路女 梶の葉
野火の馬鹿堂々めぐりしてくすぶる 細谷源二
陽炎や鮒釣る馬鹿の鼻のさき 幸田露伴 蝸牛庵句集
風生、馬鹿一に傾倒す冬の梅 久保田万太郎 流寓抄以後
馬鹿うれし箒の柄洩る花の雪 昌夏 選集「板東太郎」
馬鹿づらに白き髭見ゆけさの秋 高井几董
馬鹿でかい夕顔瓢抱いてみる 後藤綾子
馬鹿でも何でも景気よくしこしこ大根漬けては踏み漬けては踏み 橋本夢道 無禮なる妻抄
馬鹿になりきれぬ余生や乱れ菊 高嶋香都
馬鹿になるまで鬼灯を鳴らしゐる 田村ひろ
馬鹿の腹いつも充実花南瓜 平畑静塔
馬鹿びきの出でゝかへらず五月雨るゝ 幸田露伴 拾遺
馬鹿丁寧に運ぶほかなき不発弾 五十嵐研三
馬鹿晴れや不作陸穂が刈りはかどる 米田一穂
馬鹿長き箱涅槃図を蔵すてふ 能村登四郎 寒九
麦秋や馬に出て行馬鹿息子 炭 太祇 太祇句選
黒字倒産出づ三月の馬鹿陽気 川村紫陽
黝い茸など傘とさしかけ馬鹿な切株 三橋鷹女
莫迦となる錠や西日の硝子窓 高澤良一 暮津
骨折のそれでも使ふ莫迦団扇 高澤良一 暮津
莫迦をみる初生り西瓜承知で買ふ 高澤良一 暮津
莫迦にせしその湯たんぽが恋しき夜 高澤良一 暮津
ぎんなん剥きとっくに鼻が莫迦と云ふ 高澤良一 暮津
栗剥けば手が莫迦になり小休止 高澤良一 暮津
莫迦鳴きをはばかりもなく軒の蝉 高澤良一 暮津
団栗を莫迦云ひながら拾ひをり 高澤良一 石鏡
歳旦吟作り今からそんな莫迦な 高澤良一 鳩信
ギブス組涼みがてらの莫迦話 高澤良一 鳩信
莫迦げたる蝉の一徹通しけり 高澤良一 素抱
蚊の止まる耳摶ち据えて耳が莫迦 高澤良一 素抱
莫迦げたる潮吹を又掘り当てぬ 高澤良一 素抱
俳句莫迦通す一年亦過ぎて 高澤良一 随笑
鷹化して鳩となるとは莫迦げたる 高澤良一 随笑
莫迦げたる暑さに馴るる他なかり 高澤良一 随笑
緑陰に莫迦げて大き忠魂碑 高澤良一 随笑
莫迦戦争藷が主食の座につきて 高澤良一 随笑
俳句莫迦ばかり集り初句会 高澤良一 随笑
鼻莫迦になるまで寒ンの通勤路 高澤良一 宿好
舌先が莫迦になるまで氷水 高澤良一 寒暑
夏鴉見上ぐる人を小莫迦にす 高澤良一 寒暑
莫迦でかきオオオニハスの葉の置き処 高澤良一 さざなみやつこ
死ぬは莫迦と告げたる人の墓洗ふ 高澤良一 ねずみのこまくら
*めなもみの誰にでも付きバカと呼ぶ 福田甲子雄
三日しかもたぬ芍薬バカなのよ 高澤晶子
かくも肥えてバカ芋の名あり秋の風 金尾梅の門 古志の歌
寒厨や「バカ」と呟くときの本気 平井さち子 鷹日和

以上
by 575fudemakase | 2015-06-28 03:03 | 句評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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