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2015年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

2015年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号。

1 チャウダーのエスニック風暑気払ふ
一応、二つのカタカナ語彙を調べて採ってみた。
3 夜の秋羊羹提げて不意の客
精彩のあがらぬ男客などが該当するか?
4 法螺貝に囃され茅の輪くぐりけり
6 夏座敷今来し森と塔が見ゆ
11 ラムネ壜鳴らして帰る夜の道
大人?子供?
13 財なくも凡婦なにより合歓の花
妻が開き直ってこう言ったのか?それとも夫が妻を指してこう詠んだのか?
14 炎昼の日本列島ホットチリ
確か雪舟の画に天橋立図があり、あれは鳥の眼を持って描いた鳥瞰図だと言うくだりがあったのを思いだした。これは人工衛星あたりから見た鳥瞰図である。唐辛子に見えると言えば、そうとも。
17 雲の峰眺望浴を愉しめり
眺望浴と言えば、最近テレビで見たシンガポールの高層ビル屋上のプールからの観光用展望を思いだした。
20 船渡御の文楽船に落語船
文楽船、落語船とはにぎにぎしい。
22 夏座布団敷き詰めて客待ちゐたり
24 境内に土俵ありけり楠青葉
楠が似合いである
26 月見草一番星と出会ふころ
28 中庭に三日目の梅干し上がり
29 他郷てう日々にも慣れて盆支度
34 河童忌の田端に降りて迷ひけり
芥川の自宅は田端ということから…
河童忌に田端の酒をすすりけり 上村占魚
37 秋成読む庭草高く茂りしまま
秋成と言えば、怪異小説「雨月物語」の作者として特に知られる。庭草高く茂りしままがその怪しさに繋がる
40 佃かな路地に酌み合ふ祭びと
44 重たかり草の食ひ込む草刈機
45 飾り鉾京染物の土間涼し
48 辻回しの青竹を積む裸鉾
49 転びゐる青柿に蔕見当たらず
50 舞殿の普請涼しき鉋屑
52 浄蓮の滝水を引き山葵咲く
54 鷺草や二人の夫を語るひと
かっての子母澤寛の新聞小説の挿絵の一コマを見ているような気分…
56 底紅や異状無かりし心電図
57 水打って小路に人を待つばかり
58 凌ぜんの勝手気儘に咲きて散る
61 ゆう薬の出せぬ色合ひ椿の実
63 臍の緒を守りて久しや天瓜粉
64 染元の着尺の並ぶ蔵涼し
65 尺の間を蛇過ぎりゆく背の無限
67 改築の壁紙選び涼新た
73 アロマの香ほのか洛中洛外図
74 甚平や知己はあらかた西方へ
76 水の群れ見ゆる目となる瀧見椅子
水の群れが当句の眼目。
80 所構はず空蝉の白昼夢
81 絽の小袖近江八景あしらはれ
84 葛咲くや宮が瀬ダムの放流音
85 晩夏光密儀の部屋の刀傷
86 夏負けて机上の乱れ整へ居り
89 踊る輪の外に手真似の幼なかな
96 動くもの何ひとつなし油照
97 渓風も瀬音も馳走冷奴
98 夏座敷長押に夫の笑顔かな
102 青田面ぶんけつすすむ葉先鋭し
104 風狂の箸を遊ばす冷奴
107 ネクタイを外しつ夜の秋を言ふ
108 福禄寿まろまろ在す片蔭り
109 川音をよろこび太る青胡桃
111 冠木門入れば盛り塩夏館
119 弾莢で造りし仏涼新た
125 緋鯉群れゆらり友禅流しめく
126 ひまわりや展示甲冑呵呵大笑
127 誕生日孫も曾孫もかき氷
まぁ幸福そうな構図!
130 満面の笑みを称へつ桃を剥く
133 川風にきほふ篝火天満祭
134 流星の拾へさふなる大草原
136 川風の匂ふ祭の人波に
140 色付きのひよこひしめく夜店の灯
色付きひよこが流行った理由は、買い手は華やかだから、何匹も買って仕舞うだろうと言うこと。それで儲かると言う訳。
141 瀧飛沫浴びひたすらに夏の蝶
「ひたすら」の一語が句を引き締めている
154 水中花水の精よりほか知らず
156 まひまひの水の光背負ひて舞ふ
158 月涼し友の子友の声に似て
「友」の畳み込みが佳い効果を出している。
162 姿良き父の宮入り在祭
166 まなうらに亡き人と見し揚花火
167 積雲の尻に敷かれているらしき
積雲とは上方向にのみ発達する雲とのこと。
ということは、我等はいっもその尻に敷かれているという訳。
169 そこそこに中今を生き日焼顔
中今(ナカイマ)を辞書で牽くと - 神道における歴史観の一。時間の永遠の流れのうちに中心点として存在する今。単なる時間的な現在ではなく、神代を継承している今。とある。
随分難しい言葉を句に持ち込んで来ているが、それでも何とか分かった様な気がするのが不思議。
172 蠅帳の中に食後の持薬あり
切実なところを詠んでいるので、この方は判り過ぎる
ほど判る。それにしても蠅帳がこんな形で存在しているなんて…
177 鬼灯のひと鉢提げて乗る都電
何処かから声がして来る。こんな句何処かにありそうだね…
178 新涼の村と村とをつなぐ橋
新涼が橋を中継して伝播してゆくような…
182 くるくるとぐるぐると餌を足長蜘蛛
捕食の状況を擬態を使って表現。
185 護摩終へて僧の涼しき一歯下駄
186 炎天を来て先ず拝む仏足石
190 我が世とてのうぜん乱れ咲きて落つ
確かにのうぜんの咲き方はと言えば、行き着く所まで、咲き尽くすといった体(てい)。
192 屏風祭しつらへの済む奥座敷
194 しゃがみつつ姉の手花火見る子かな
198 冷麦の色つき麺を選る子ども
199 噴水の落ち水鯉の頭を叩く
噴水の落ち水なんてつまらないところに目をやったことで一句を得た
200 稲出穂むちゃくちゃしんどい時もあり
半数以上の茎が穂をもつことを出穂期というそうな…。
その出穂に自分の思いを重ねたか?
205 待ちわびし航空便のさくらんぼ
206 色褪せてしまふのは嫌水中花
水中花への自己同化?
208 祭太鼓聞こへて句座の落ち着かず
210 雨止みしこと真っ先に蝉が知る
うまいところに蝉を持って来た。一番のりは蝉だ。
213 うす埃置く文机油照
218 万緑や遥か見詰める英世像
221 源五郎なかなか出口見付からず
永久回転運動よりの脱出?
222 花火開くかつて戦火に染みし空
一つ空に過去現在を二重映しにした。
225 一盞と妻うながしてどぜう鍋
226 踊る輪のいつしか二重星湧いて
天空に天の川、地上にも同様踊の輪の天の川。二者が照応。
227 蛇消えしあたりそれより蛇の気配
二番目の蛇の漢字は音読みでジャと読ませるべきか?
230 敗戦日翠(みどり)の蜘蛛を逃がしやり

以上






by 575fudemakase | 2015-08-12 11:29 | 句評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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