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椿

椿

例句を挙げる。

*あさり足る鵯さへづれり山椿 飯田蛇笏 霊芝
「月の笛」といふ白椿わが卓に 柴田白葉女 『月の笛』
あけぼのや陸の水泡の白椿 林 翔
あほむくもうつむくもよし山椿 高澤良一 宿好
お見舞は西王母てふ紅椿 田畑美穂女
これと云ひ見るものの無く藪椿 高澤良一 素抱
どぶろくの酔のふかまる紅椿 藤岡筑邨
ぬかるみをよけてあるくや紅椿 久保田万太郎 草の丈
ぱらぱらと日雨音する山椿 飯田蛇笏 山廬集
ぱら~と日雨音する山椿 飯田蛇笏 霊芝
ひつかかりゐるごとき花藪椿 宮津昭彦
まぼろしと言うはやさしい白椿 大西泰世 世紀末の小町
みほとけに雪の冷えある藪椿 落合伊津夫
パッと明るくショウタイムてふ紅椿 高澤良一 さざなみやっこ
一島を守る一家系白椿 毛塚静枝
一陣の風を仰げば白椿 下村槐太 光背
三輪山にみな向きてをり白椿 穂苅富美子
仏見し瞼重しや白椿 澤村昭代
伎芸天をみなにおはし紅椿 森郁子
児が駈けぬ母が駈けりぬ山椿 竹下しづの女
初大師だらだら坂に紅椿 柴田白葉女 花寂び 以後
勅使門裾濃に据はり白椿 久米正雄 返り花
半夏生青くらがりの藪椿 安倍安閑子
半夏雨青くらがりの藪椿 安部安閑子
友去りぬ春夜の床の白椿 阿部みどり女 笹鳴
合い性の筆は一本 白椿 伊丹三樹彦
合性の筆は一本 白椿 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
咲きそめてもう舌のある紅椿 増田まさみ
夕日明るく朝日は暗し紅椿 加藤知世子 黄 炎
大いなる迂回路と知る白椿 五島高資
天上の声溜めおらん白椿 寺井谷子
姉の子の紅椿待たせられけり 太田鴻村 穂国
子の血享け紅さす爪や白椿 石田あき子 見舞籠
安楽死願ふは鬼か白椿 阿部みどり女
密会を誰か見てゐる藪椿 柴田奈美
富士山(とみすさん)如法寺(にょほふじ)の白椿 筑紫磐井 花鳥諷詠
山椿さはに見たりき利休の忌 森澄雄
山椿その葉隠りに色づく実 石塚友二 光塵
山椿久しく雪の残るかな 癖三醉句集 岡本癖三醉
山椿小松もろとも崖に伏し 福田蓼汀 山火
山椿撰び折り来て実朝忌 松本たかし
山椿砥に掘る石の色青き 安斎桜[カイ]子
山椿高々とある峠かな 河東碧梧桐
廻廊の雨したたかに白椿 横光利一
御神火や闇のほどけて山椿 中山純子
成人の日の白椿一穢なし 五十嵐播水
戦勝のしるしか頭の紅椿 宇多喜代子
抛筌斎宗易の墓白椿 大橋敦子
抛箭斎宗益の墓白椿 大橋敦子
日は影を落して過ぎぬ藪椿 櫛原希伊子
日向より日陰の白椿見て 柴田白葉女 花寂び 以後
日和雲ふわふわとよる山椿 石原舟月 山鵲
日月のあかあか椿白椿 高澤良一 宿好
曉剪る名「はつあらし」白椿 吉野義子
本尊は榧の一木白椿 村上あけみ
枯るるもの枯るるを見ての藪椿 石川桂郎 高蘆
植ゑるより金蜂花に紅椿 飯田蛇笏 春蘭
死はときめき白椿の半開き 鳴戸奈菜
母よりもはるかに悪女白椿 赤松[けい]子 白毫
法起寺の塔赤椿白椿 星野立子
海鳴りを告げる人亡し藪椿 尾崎伊与
混沌の世の一隅の白椿 吉野義子
澄む日影かさねてひらく白椿 柴田白葉女 花寂び 以後
狂うなら今と白椿が囃す 大西泰世 世紀末の小町
獅フ笛」といふ白椿わが卓に 柴田白葉女
生国の闇を飛び交う紅椿 大西泰世
白椿うすみどり帯び湿らへる 大野林火
白椿そこは鬼のあつまる木 松本恭子 二つのレモン 以後
白椿主治医祝ぎ言賜ひけり 石田波郷
白椿名刀の冷え思ふべし 西村和子 かりそめならず
白椿咲いていて僕寝ていたり 五島高資
白椿團體さんは急ぎ足 八木林之介 青霞集
白椿挿して「山齢」読み籠る 影島智子
白椿昨日の旅の遥かなる 中村汀女
白椿汚れ易きをけふ厭ふ 石田あき子 見舞籠
白椿白痴ひうひう研究せり 攝津幸彦
白椿老僧みずみずしく遊ぶ 金子兜太 詩經國風
白椿赤椿幹黒くして 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
眼に見えぬ糸の張られて白椿 桂信子 黄 瀬
石段に下駄の谺や山椿 池内たけし
磯魚の笠子魚もあかし山椿 水原秋櫻子
秘色見る外は畠の白椿 松瀬青々
窓越しに手折りて重き白椿 横山房子
端座して師とあるこころ白椿 柴田白葉女 『冬泉』
竹外の一枝は霜の山椿 水原秋櫻子
紅椿かがやくときに落ちにけり 上野泰 春潮
紅椿こゝだく散りてなほ咲けり 日野草城
紅椿しばらく鵯をかくまひぬ 猪俣千代子 秘 色
紅椿つとおつ午時の炭俵 泉鏡花
紅椿仰ぐに さらす喉仏 伊丹三樹彦 花恋句集二部作 花仙人
紅椿後鬼がかざして雪霏々たり 横山白虹
紅椿散り敷く花と守らるる 石川桂郎 四温
肉塊に肉塊が落つ紅椿 柴田奈美
胸うちを己れで灯し山椿 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
良寛の朝酒によき藪椿 下田稔
落ちてなほ陽をはなすなき紅椿 野澤節子
藪椿こぼれ籾山梓月庵 皆川白陀
藪椿こんなところで径途切れ 高澤良一 素抱
藪椿古井戸たまらなくねむし 栗林千津
藪椿日蔭を好みかくれ咲く 高井北杜
藪椿無造作に挿し人格論 椎橋清翠
藪椿肩のあたりがすつとして 八木林之介 青霞集
藪椿落して風の句読点 湯川雅
藪椿門は葎の若葉かな 松尾芭蕉
衰えはおとろえとして白椿 三田村弘子
西霽(は)れて窓の木がくれ白椿 飯田蛇笏
西霽れて窓の木がくれ白椿 飯田蛇笏 春蘭
赤坂の見附も春の紅椿 橋本夢道
蹼のあたりに落ちて藪椿 大木あまり 火球
遺影にもある日月や山椿 秦夕美
隠沼に鳰ゐて錆びぬ白椿 石川桂郎 高蘆
雪の上に落ちて紛れず白椿 吉川一竿
雪ふりの明くる日ぬくし藪椿 之道 俳諧撰集「藤の実」
風ザ篠にこたへきらめき山椿 楠目橙黄子 橙圃
骨熱くあげきて寒の白椿 石原舟月
高潮に最もいたみ山椿 阿部みどり女
魂がうす目あけてる紅椿 松本恭子
てらてらと葉が照り飽いて薮椿 岡田史乃
花という境地に至るやぶ椿 五島高資
薮椿しづかに芯のともりゐる 銀漢 吉岡禅寺洞
蝦夷穴は風の遊び場薮椿 佐藤鬼房
あきらかに日ざしの炎えて落椿 石原舟月
あの姫この姫脳薄ければ玉椿 八木三日女
ありありと別の世があり落椿 青柳志解樹
うつぶせの落椿より蟻が出て 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
うづたかき怨憎会苦の落椿 文挟夫佐恵 雨 月
おぼろにて一樹紅白の落椿 水原秋櫻子
お降りの霽れてしたたか落椿 滝春一
きさらぎの手の鳴る方や落椿 橋石 和栲
ことごとく咲いて葉乏し八重椿 鈴木花蓑句集
この庭の乙女椿に風荒れて 高木晴子 晴居
これはまた花瓶の下も落椿 吉屋信子
こゝに又こゝた掃かざる落椿 高浜虚子
しがらみにせかれ沸騰落椿 田川飛旅子
しづかさのつもりてをりぬ落椿 藤井寿江子
しんしんと乙女椿の褪する夜ぞ 林原耒井 蜩
それきりのあとさきもなき落椿 加倉井秋を 『胡桃』
たそがれは草やはらかに落椿 松村蒼石 雪
つくばへる犬の前なる落椿 比叡 野村泊月
どこまでも崖どこまでも落椿 樋笠文
はなびらの肉やはらかに落椿 飯田蛇笏
ひとつづつ自然死の相落椿 熊谷愛子
ふるさとのむかしのわが家落椿 大橋櫻坡子 雨月
ふるさとの火色はじまる落椿 宇多喜代子
ふるさとは墓のみとなる玉椿 武田忠男
もう空は見ぬ落椿ばかりなり 今瀬剛一
やすらぎは貌を重ねし落椿 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
一つづつ陽炎あげて落椿 加藤霞村
一泊し一夜の量の落椿 小内春邑子
乙女椿もう終りたき錆の渦 小檜山繁子
乙女椿緋乙女椿苗木市 西本一都 景色
井に遊ぶ島の童や落椿 大橋櫻坡子 雨月
今生の姿くづさず落椿 佐藤信子
仰向いて雲の上ゆく落椿 三橋鷹女
修行まだまだ禅寺の落椿 橋本美代子
光陰の節目は暗し落椿 齋藤愼爾
八重椿柔和なる眼も生き得るや 田川飛旅子 花文字
八重椿漁港二月の風鳴れど 水原秋桜子
八重椿紅白の斑のみだりなる 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
八重椿蒼土ぬくくうゑられぬ 飯田蛇笏 春蘭
凹凸に雪にかくれて落椿 上野泰 春潮
初午や灯ともしごろの落椿 増田龍雨 龍雨句集
医王寺や乙女椿に実のたわわ 磯野充伯
千切り捨てし絵葉書のこと落椿 香西照雄 対話
南大門はみほとけサイズ八重椿 吉原文音
口紅の初花ゆかし玉椿 上島鬼貫
咲く重さ落ちたる重さ八重椿 前内木耳
囀や囀らざるは落椿 野村喜舟 小石川
囀りの高まる時の落椿 高浜虚子
地に触れしものより朽ちて落椿 柴田奈美
地へ返すわが体温の落椿 小間さち子
地よりわくしなだま乙女椿かな 原石鼎 花影以後
夕風や誘ひころべる落椿 島村元句集
夢のごとき誓ひなりけり落椿 上村占魚 鮎
夢の世の渚に拾ふ落椿 林 亮
大空にうかめる如き玉椿 高浜虚子(1874-1959)
大雨の流れし跡や落椿 星野立子
家ごとに美山を負へり落椿 金箱戈止夫
小綬鶏や瀬の紅きまで落椿 児玉 小秋
崖下の古庇にも落椿 三好達治 路上百句
巌頭や神の置きけん落椿 尾崎迷堂 孤輪
広前やきのふけふなる落椿 銀漢 吉岡禅寺洞
庭祠守りて村医や落椿 田代草舎
彌撒になき一音加ふ落椿 朝倉和江
待つといふ時は流れず落椿 西宮舞
志功描く釈迦十弟子図玉椿 杣田敬子
意味もなく残る石段落椿 橋本美代子
我が頭穴にあらずや落椿 永田耕衣 闌位
折紙を置きたる如く落椿 上野泰 佐介
掃き取りて紅の重さの落椿 小林きそ
斑雪ある靄地を這へり落椿 石原八束 空の渚
日忌様/陽は玉椿/魂は/午 林桂 黄昏の薔薇 抄
日昏れたる畳の上の落椿 殿村莵絲子 雨 月
日時計の刃が撫で切りに落椿 澁谷道
日輪より月輪よりの落椿 小内春邑子
春浅し苔にうつりて落椿 大橋櫻坡子 雨月
春雷やぽたりぽたりと落椿 松本たかし
昨夜われら椿でありき落椿 池田澄子
書見てもあるや机辺の落椿 尾崎紅葉
月光を螺鈿となせる八重椿 鳥居おさむ
木実油漲る玉や八重椿 西和 選集「板東太郎」
椿落ちてくづれししや落椿 雑草 長谷川零餘子
歩かぬと寒いよ白の落椿 池田澄子
毀れざるもの水の上の落椿 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
水に沈みて痛恨の落椿 辻田克巳
水の景動きし時の落椿 田畑美穂女
水窟の仏体暗し落椿 雑草 長谷川零餘子
江之島の活辯天か玉椿 高澤良一 素抱
波打てる鎌倉石に落椿 高澤良一 鳩信
波音の引く音ばかり落椿 行方克巳
泥濘に飛石二つ落椿 西山泊雲 泊雲句集
泳ぐかな息のある間の落椿 増田まさみ
流れそめて渦従へり落椿 中村若沙
浦かぜに噴湯もつるる八重椿 前田 鶴子
浮きながら重さのありし落椿(三浦半島秋谷海岸二句) 河野南畦 『湖の森』
海上を驟雨きらきら玉椿 岸本尚毅(1961-)
満目の闇満目の落椿 中岡毅雄
満蔵院一禮抜くる落椿 八木林之介 青霞集
滝壺の忌日ふちどる落椿 文挟夫佐恵 黄 瀬
漂へる板子の上の落椿 比叡 野村泊月
瀬に乗るも岩に残るも落椿 行廣すみ女
火のなかの此の世にのこる落椿 大屋達治 絢鸞
灰吹にした跡もあり落椿 正岡子規
牛角力の花道うづめ落椿 下田稔
牛飼に夜は八方の落椿 神尾久美子 桐の木
犀星の魂はいづかた落椿 石原八束 空の渚
玉椿八十八の母の息 桂信子 黄 瀬
玉椿拾うて戻る床几かな 比叡 野村泊月
玉椿海の日の出は靄ふかし 水原秋櫻子
玉椿落て浮けり水の上 諷竹 古句を観る(柴田宵曲)
玉椿親仁さけすばかゝらじを 服部嵐雪
画展出て点描の森落椿 桂信子 黄 瀬
白動車の灯に邸内の落椿 大橋櫻坡子 雨月
百鶏をはなてる神や落椿 飯田蛇笏 霊芝
真中濃く乙女椿の桃色に 原石鼎 花影以後
瞳孔を開いてゐたり落椿 今瀬剛一
石段や烈風にとぶ落椿 大橋櫻坡子 雨月
石甃にあふるゝ水や落ち椿 菅原師竹句集
神は愛惜しげもなくて落椿 岩岡中正
稚児が淵濤の曳きゆく落椿 北見さとる
積竹にかまれて雨の落椿 西山泊雲 泊雲句集
竹の中へ敷石長し落椿 西山泊雲 泊雲句集
約束の如くにそこに落椿 上野泰 春潮
紅暗し崋山の遺物落椿 百合山羽公 寒雁
絵踏めく殉教の地の落椿 朝倉和江
罪障のごとしその根の落椿 橋本多佳子
老裾を掴まんとせり落椿 中尾寿美子
聖泉の湧きつつ溜むる落椿 下村ひろし 西陲集
肋から肋へたどり落ち椿 竹中宏
腸のよろこんでゐる落椿 飯島晴子
興奮のなほ冷めやらぬ落椿 相生垣瓜人 明治草抄
芯立つて木にあるごとく落椿 鳥居おさむ
花びらの肉やはらかに落椿 飯田蛇笏 春蘭
花弁の肉やはらかに落椿 飯田蛇笏
花御堂葺く八重椿あつめらるる 川島彷徨子 榛の木
花瓣の肉やはらかに落椿 飯田蛇笏
苔ふかく幾世落ちつぐ落椿 秋櫻子 (桂離宮)
若鶏や蹴ゑはらゝかす落椿 幸田露伴 江東集
落椿あかりの罩むる土の上 長谷川素逝 暦日
落椿あるひは波に岩窪に 岸風三樓
落椿いたくくだちぬ掃くとせむ 奈良鹿郎
落椿かかる地上に菓子のごとし 西東三鬼
落椿くだく音して仔馬来ぬ 石原八束 空の渚
落椿くちびる程に濡れてゐし 有馬壽子
落椿ころがしゐるは三十三才 山国三重史
落椿さつき傍観いま凝視 橋本美代子
落椿しそめてこぞる蕾なり 及川貞 榧の實
落椿してをる大地起伏あり 上野泰 佐介
落椿して人声もなかりけり 吉屋信子
落椿その中へまた落椿 石井とし夫
落椿ただひとことに執しをり 谷川 典大
落椿つづいて蜂の流れくる 八牧美喜子
落椿とはとつぜんにはなやげる 稲畑汀子
落椿とは夕暮の音なりし 廣畑忠明
落椿とは突然に華やげる 稲畑汀子
落椿に道分る馬頭観世音 寺田寅彦
落椿ばかりの岬の道をゆく 高濱年尾 年尾句集
落椿ひつかかりたる途中かな 石崎径子
落椿ほどの深淵白昼夢 高澤晶子
落椿まだ藪を出ぬ魂ひとつ 丸山海道
落椿まばらになりてかへり見る 銀漢 吉岡禅寺洞
落椿もうたましいが抜けている 佐伯昭市
落椿もみあふ最終便の水脈 鷹羽狩行
落椿わが乳母島の女なりき 中村草田男
落椿われならば急流へ落つ 鷹羽狩行(1930-)
落椿ピエタの一日昏れゆけり 文挟夫佐恵 黄 瀬
落椿一人二人と下りゆきぬ 五十嵐播水 埠頭
落椿一花も湖にやらぬ簗 中戸川朝人
落椿万幹の竹まつさをに 橋本鶏二 年輪
落椿人の過失の鮮しや 齋藤愼爾
落椿俯伏せに墓を抱くごとし 林翔 和紙
落椿呑まんと渦の来ては去る 福田蓼汀 山火
落椿土に帰しゆく日数かな 大橋敦子
落椿地に照りあへる正樹の碑 加藤耕子
落椿地に紅かりし受難節 渡辺 夏人
落椿夜めにもしろきあはれかな 久保田万太郎 流寓抄
落椿天地ひつくり返りけり 野見山朱鳥
落椿小倉百人一首散る 百合山羽公
落椿少し引きずる風のある 上野泰 佐介
落椿少し流れて沈みけり 川村紫陽
落椿展観幕府滅亡史 高澤良一 素抱
落椿手にして重さありにけり 清水 美恵
落椿投げて煖炉の火の上に 高浜虚子
落椿折り重なつて相対死 安住敦
落椿抱き合ふ形に流れをり 河野多希女 両手は湖
落椿挟まるまゝに立て箒 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
落椿掃きあつめつつ雨となる 山本洋子
落椿掃けば崩るゝ花粉かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
落椿昨日は沖のごとくあり 田川飛旅子 『植樹祭』
落椿晩年もまた長丁場 百合山羽公
落椿朝の白熱城の方に 桜井博道 海上
落椿末弟子として師につくも 石田あき子 見舞籠
落椿林泉潮を湛へたり 岡本松浜 白菊
落椿歩み寄る辺もなかりけり 中村汀女
落椿水に遅れて流れけり 藤崎久を
落椿汐干に人の来ぬところ 右城暮石 声と声
落椿波紋をさまり流れそむ 福田蓼汀 山火
落椿浄土と眺め終んぬる 後藤夜半 底紅
落椿海に放りて島に遊ぶ 松本たかし
落椿涙たのしむ時代よ去れ 赤城さかえ
落椿煌と地に在り既に過去 楠本憲吉
落椿燭木橋揺る子はしらず 芝不器男
落椿牛ゆつくりと踏みて去る 柴田白葉女 花寂び 以後
落椿独木橋揺る子はしらず 定本芝不器男句集
落椿玉の如くに弾けたり 岸本尚毅 選集「氷」
落椿目指すは一処流れゆく 岡田照子
落椿砕け流るる大雨かな 松本たかし
落椿紅も褪せずに流れけり 高橋淡路女 梶の葉
落椿絵空事みな賑々し 櫛原希伊子
落椿美し平家物語 高浜虚子
落椿蘂をまもりて流れ来る 西村和子 かりそめならず
落椿見えて旧道ゆきがたし 五十嵐播水 埠頭
落椿詩の解脱を繰り返す 鍵和田釉子
落椿象の小川の瀬をはやみ 西村和子 かりそめならず
落椿足のふみどのなかりけり 久保田万太郎 草の丈
落椿踏まざればその樹に寄れず 吉野義子
落椿踏まじと踏みて美しき 西本一都 景色
落椿這ひづる虻や夕日影 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
落椿道後の家群(やむら)とのぐもる 角川源義 『口ダンの首』
落椿雨けぶりつゝ掃かれけり 清原枴童 枴童句集
落椿音のかくれ場なかりけり 谷口桂子
葉ごもりにひそやかに落椿かな 上野泰 春潮
蕊の黄の浮き上りたる落椿 高濱年尾
藪かげや馬糞の上に落椿 寺田寅彦
藪中にかかれる橋や落椿 橋本鶏二 年輪
藪垣や見馴れたれども落椿 後藤夜半 翠黛
血を喀きし翳杳き日の落椿 小松崎爽青
見えてゐる庇の上の落椿 沢井山帰来
観音の右足あそぶ落椿 津田清子
語り行く眼に行手なる落椿 河野静雲 閻魔
貝光るオランダ塀や落椿 水原春郎
輪となりし水のおどろき落椿 鷹羽狩行 五行
道端の墓に眼とめぬ落椿 池内たけし
里の子の頬につけたり落椿 尾崎紅葉
野あるきや風蔭あれば落椿 木津柳芽 白鷺抄
金網に羽毛はりつく玉椿 日原傳
鉾波のむらだちひかる落椿 石原八束 空の渚
門川の四季のはじめや落椿 尾崎迷堂 孤輪
闇よりも濃い闇ありぬ落椿 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
陶の狸に抱かす五寸の落椿 伊藤いと子
離宮ほとり住む伶人や落ち椿 久米正雄 返り花
雪かゝる乙女椿はまなか濃く 原石鼎 花影以後
雪のうえ罰として白落椿 和知喜八 同齢
雪を消す雨の降りをり落椿 松本たかし
雲解けの底鳴り水に落椿 石原八束 空の渚
青春のほろびし灰に落椿 仙田洋子 雲は王冠
非無様は知らず訪ひけり玉椿 高木晴子 晴居
音のして即ちまぎれ落椿 深見けん二
音無の滝までつづく落椿 大場白水郎 散木集
頼朝に流人の日あり落椿 福田蓼汀 山火
顔よせて寺の子二人落椿 石原舟月
風あそぶ地に万輪の落椿 上野さち子
風吹くや隠れ顔なる乙女椿 楠本憲吉
髪の芯冷ゆ落椿あまた踏み 有光令子
魂の入りたるままに落椿 森田智子
鯉沈みしばらくたつて落椿 能村研三 海神
鴛鴦や寒林の日の落椿 島村はじめ
鶏の二十羽白し落椿 野村喜舟 小石川
鶺鴒のよけて走りし落椿 三好達治 路上百句
黒ずみて落椿とはもう言はず 宮津昭彦
黒板に書きつつ浮かぶ落椿 高澤晶子

一飛鳥椿林をすり抜けて 高澤良一 さざなみやつこ
喋々と鳥語椿の林なす 高澤良一 宿好
五百椿林寒潮音を断ち 高澤良一 随笑
怺へ性足らぬ椿のまた堕つる 高澤良一 ももすずめ
弥次馬のやうに転がる椿見て 高澤良一 ももすずめ
法窟の椿ころがる其処彼処 高澤良一 さざなみやつこ
階(きざはし)攀ず足許を見て椿見て 高澤良一 宿好
秉(へい)さんは椿落つるを篤と見て 高澤良一 随笑
椿落つ小坪の蟹の横這い径 高澤良一 暮津
椿落ち載り損ねたる石畳 高澤良一 暮津
藪つばき他所者を見る目付して 高澤良一 ねずみのこまくら
岬なればこその日溜り藪つばき 高澤良一 鳩信
盗み見をしてゐるやうな藪椿 高澤良一 石鏡
男鹿 椿
五ツ六ツいやもうひとつつばき咲く 高澤良一 ももすずめ
しつとりとリップスティックてふ椿 高澤良一 さざなみやつこ
この坂道これあるかなの玉椿 高澤良一 燕音
洋椿和椿椿園巡る 高澤良一 宿好
茅ヶ崎氷室椿庭園
鳥ごゑのときに絶えたり椿園 高澤良一 宿好
早咲きの椿椿と口揃え 高澤良一 宿好
毛糸帽椿の花粉付けて来し 高澤良一 宿好
鳶のこゑ島の椿を真っ赤にす 高澤良一 宿好
自生して太平洋に向く椿 高澤良一 随笑
建長寺裏のぼたぼた椿かな 高澤良一 素抱
山椿人目があればはばかられ 高澤良一 石鏡

以上
by 575fudemakase | 2016-02-24 10:11 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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