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句集 短夜を読んで

句集 短夜を読んで

大峯あきら著 第九句集 角川学芸出版 2014・9・25

共鳴句を挙げる

森澄雄氏を悼む
とめどなき夕蜩となってをり
大時化の来さうな種を採ってをり
磐石に音を消したる時雨かな
鴛鴦のはやも来てゐる茶々の里
九天に舞ひはじめたる落葉かな
本の中歩いて年が改まる
雪折の音いま止みし書院かな
赤椿はね上りたる雪解かな
鳥帰り一川の折れ曲りたる
永き日の大日寺といふがあり
凹みたるところに家や春の山
みな低き宇陀の山なり小鳥引く
門川に連翹映りあまりたる
みなつきや声を惜しまぬ山鴉
朝風の通り道なる蓮かな
板廂涼風どどと至りけり
浦浦に入江入江に盆来る
心持ち夕べが早し花茗荷
島かげに芋の大露こぼれつぐ
朝風は芙蓉の白にありあまる
上弦の月下に麦を蒔き終る
冬麗や鴉一つもゐなくなり
行く年の連山にとり巻かれをり
初日出てすこし止りて上るなり
残月の伊吹のそばを帰る雁
一休寺までは春田の中を行く
蝶飛んで土塀破れに破れたる
午からは日のあふれたる彼岸かな
いつまでも花のうしろにある日かな
物音のなくなりたれば花月夜
大いなる暈着て日あり花御堂
春の日のをりをり揺るるかと思ふ
春暁や屋敷の中の一畠
春逝くと南都の雨の降りつのる
苗代やまだまだ太る屋敷松
遠山の映つてゐたる植田かな
奥宇陀の一本杉の鴉の子
麦熟れて太平洋の鳴りわたる
昼の月いつしか合歓の花のそば
鴉の子中仙道を歩きをり
一つ葉の夕暮のまだつづきをり
秋声のしきりなる日の書庫にをり
秋の日の行手さへぎるものもなし
奥座敷より暮れかかり蘭の秋
秋風は太平洋の上を吹く
松手入済みてすつかり暮れてゐる
行く雲の丸や四角や大根蒔く
松虫は明る過ぎたる月に鳴く
秋風やいくたび曲る吉野川
横雲のゆつくり通る良夜かな
大寺をとり巻く秋の草となる
山茶花にまだまだ細る雨と思ふ
玄海の紺こよなくて大根干す
亀鳴くや天気ふたたび下り坂
木蓮にまた来る夜のとばりかな
灌仏の雨は明るくなるばかり
筒鳥が鳴くとかたへの人も云ふ
天狗岩天狗杉あり夏来る
子鴉のよく鳴く宇陀に来てゐたり
青梅の中来て君を訪ひにけり
消えがての昼の月あり青嵐
梅干してまだまだ伸びる雲の先
涼風を吹き分ちをる柱かな
ここからは青田に映る下校かな
今しがた雹の過ぎたる南部領
城門のごとき山門秋の風
色鳥に伊勢のうしほの先が飛ぶ
浅井領鶫しきりに渡りけり
ひとり居る時の時雨のよく聞こゆ
朴落葉はじまる山の日和かな
元日の山を見てゐる机かな
一つ行く白雲はやし初御空
元日の日向となりて人来る
雪山の十重二十重なる春隣
雪折の音の絶えたる夜中かな
大風にさからひて摘む蓬かな
大根の花に濃くなる霞かな
何鳥か緋桃に来ては威丈高
穴を出し蛇に噴煙折れ曲り
はくれんの天辺に来て日は止まる
心持ち曇るとおもふ蝶の昼
右にまた近づき来たる大桜
花どきの薪棚へ薪取りにゆく
鳥の巣のつまびらかなる大樹かな
竹秋やゆきとどきたる拭き掃除
山高く谷深くして種下し
すかんぽに大きくなりて入る日かな
筍を掘りかけてある裏の庭
瀧風といふものいつも吹いてをり
梅落とす声のしばらくしてゐたり
時鳥鳴き移りゆく雨の中
時鳥本を探してをれば鳴く
筒鳥はいちばん遠い声で鳴く

俳人を称して云うに、「かな」止めの人とか 「けり」止めの妙手とか云うが、
氏の場合は、「たる」止めの達人と渾名したい。景を踏まえて悠然と詠う。
「たる」止めの人の為しうるところであろう。
又 最小限の言葉をもって句を成立せしめているところも我々、後進の学ぶべきところ
である。


以上
by 575fudemakase | 2016-04-28 10:24 | 句集評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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