万緑 の俳句
万緑 の俳句
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万緑 補遺
いまは万緑山中で子を拵へ 山口誓子
かぎはづし入る万緑の一つの扉 橋本多佳子
すずやかに声万緑の女坂 鷲谷七菜子 花寂び
わが庭の万緑の中玉虫落つ 山口青邨
ゑご散つて万緑叢中白を撒く 林翔
オホツクの風万緑に吹きすさぶ 右城暮石 上下
カーテンは閉めじ万緑裡に寝ねむ 林翔
トンネルに眼つむる伊賀は万緑にて 橋本多佳子
一朝稿成つて万緑に真向へり 上田五千石『天路』補遺
一碗の茶や万緑をひき絞り 岡本眸
万緑なすたたら遺蹟を秘めし村 松崎鉄之介
万緑に 剃り傷新た 男の旅 伊丹三樹彦
万緑に*あぎとへるごと荘一つ 富安風生
万緑におく鞍の位置狂ひなし 飯島晴子
万緑にして紛れぬは海紅豆 清崎敏郎
万緑にとべばましろき鳥ならむ 平井照敏
万緑になじむ風鈴昼も夜も 飯田蛇笏 椿花集
万緑にひそみて聴けり陽の跫音 楠本憲吉 孤客
万緑にラムネ奔騰させ若し 鷹羽狩行
万緑に三十号を塗りつぶす 松崎鉄之介
万緑に三毛猫三いろ加へけり 林翔
万緑に吊橋動を経ては静 山口誓子
万緑に吾が眼鏡澄み吾が非力 楠本憲吉 楠本憲吉集
万緑に坐せし新聞凹みしまゝ 右城暮石 上下
万緑に堪へざる病葉と思ふ 岡本眸
万緑に弾きだされて野兎一羽 鷹羽狩行
万緑に抱かれしより光る沼 稲畑汀子
万緑に朱のアンテナは百足虫なる 山口誓子
万緑に朴の一樹のありどころ 稲畑汀子
万緑に染まりて痛む肋骨 佐藤鬼房
万緑に沈む夕日の朱を見たり 福田蓼汀 秋風挽歌
万緑に泰山木の花二つ 日野草城
万緑に温川冷川出会ふ 山口誓子
万緑に産みたることをのみ誇る 鷹羽狩行
万緑に白を研ぎ出す早瀬波 林翔
万緑に石像かくすところなし 鷹羽狩行
万緑に石組人間不在の詩 山口誓子
万緑に縄打ち振れるごとき道 右城暮石 句集外 昭和五十六年
万緑に蒼ざめてをる鏡かな 上野泰 春潮
万緑に薬石板を打ち減らす 山口誓子
万緑に藤豆の垂れわたりたる 阿波野青畝
万緑に虎杖は白加へけり 林翔
万緑に解き放たれし如くゐる 右城暮石 天水
万緑に頬ふくらませ吹く喇叭 福田蓼汀 秋風挽歌
万緑に髯の奥なる喉仏 伊丹三樹彦
万緑に黄に横に竹四つ目垣 上野泰 佐介
万緑に黒装束の翌楡 鷹羽狩行
万緑の 漓江下りの 如意の櫂 伊丹三樹彦
万緑のいのちの繭のうすみどり 平井照敏
万緑のおのれなき世のごときかな 岸田稚魚 雁渡し
万緑のおのれ亡き世のごときかな 岸田稚魚 負け犬
万緑のしたたる谿に温泉あり 上村占魚 球磨
万緑のところどころに志士の死所 右城暮石 天水
万緑のどの片隅も蝸牛 平井照敏
万緑のなかに点滴いま黄なり 百合山羽公 樂土以後
万緑のふかきそこひにわが書屋 山口青邨
万緑のまつただ中に塗り込められ 上野泰
万緑のもの島々も橋立も 鷹羽狩行
万緑のわくがごとしや一犬吠ゆ 加藤秋邨
万緑の一大屈折裏妙義 林翔
万緑の一幹馬首のごと叩く 鷹羽狩行
万緑の一本道は川を離れ 阿波野青畝
万緑の一樹に日ざしありにけり 稲畑汀子
万緑の上にみどりの伊吹山 福田蓼汀 山火
万緑の中さやさやと楓あり 山口青邨
万緑の中に万里の城の跡 鷹羽狩行
万緑の中に我が椅子机あり 右城暮石 散歩圏
万緑の中のわが身と妻の身と 後藤比奈夫
万緑の中の眼鏡のすきとほり 上野泰
万緑の中や一道徹りたり 石塚友二 磊[カイ]集
万緑の中より思ひ出しをり 加藤秋邨
万緑の中を八里の石畳 阿波野青畝
万緑の中不浄心直ぐに消す 山口誓子
万緑の中富士とわが一対一 富安風生
万緑の中放棄畑放棄林 山口誓子
万緑の中新聞紙敷きて坐す 右城暮石 句集外 昭和三十四年
万緑の中眉あげて女見る 岸田稚魚 負け犬
万緑の中石もなき痩せ地拓く 右城暮石 句集外 昭和三十四年
万緑の中緑ほとばしる一株、芭蕉なり 荻原井泉水
万緑の中貫きて石の川 右城暮石 句集外 昭和四十一年
万緑の仕上げの雨の五六粒 岡本眸
万緑の切通しにて峰を越す 山口誓子
万緑の吉野両断吉野川 右城暮石 上下
万緑の墨のごとしや海芋咲き 山口青邨
万緑の天地有情や杣男 原裕 葦牙
万緑の妻には残る虹の彩 角川源義
万緑の宇陀郡ぬけて吉野郡 右城暮石 虻峠
万緑の家に老婆が一人ゐし 右城暮石 上下
万緑の寝姿山の乳房かな 林翔
万緑の更けて茂吉と夢に走り 平畑静塔
万緑の森は紫紺の空のこす 平畑静塔
万緑の水打つ牛飼左千夫墓 角川源義
万緑の目にしむ伊賀と思ひをり(病気入院、「風」関西大会に打電) 細見綾子
万緑の真弓のいまは実となりぬ 山口青邨
万緑の神にましろき結文 山口青邨
万緑の空気ゆさぶり米軍機 右城暮石 散歩圏
万緑の肌に流るゝ浴みかな 野見山朱鳥 曼珠沙華
万緑の褪せ了らざる秋日和 相生垣瓜人 負暄
万緑の覇は橡の葉か朴の葉か 阿波野青畝
万緑の谺を強くして返す 大野林火 方円集 昭和四十九年
万緑の車中アルミの弁当食ふ 右城暮石 句集外 昭和四十四年
万緑の雨藁塚の濡れそぼつ 右城暮石 句集外 昭和三十九年
万緑の風の喝采古都に満つ 山田みづえ 手甲
万緑の鳥を吸ひ又鳥を吸ひ 上野泰
万緑へ女子の筋肉砲丸擲げ 山口誓子
万緑へ腕拱み腕のふるえやまぬ 赤尾兜子 蛇
万緑やおどろきやすき仔鹿ゐて 橋本多佳子
万緑やこぼさぬやうに産湯桶 鷹羽狩行
万緑やとねりこそよごほそぼそと 阿波野青畝
万緑やどこまでいつても千曲川 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑やどこまで山へ伸びる町 稲畑汀子
万緑やふところに日の刃抱き 鷹羽狩行
万緑やわが恋川をへめぐれる 角川源義
万緑やわが掌に載する皿一枚 野澤節子 未明音
万緑やわが掌に釘の痕もなし 山口誓子
万緑やわが詩を一字誤植して 鷹羽狩行
万緑やわが額にある鉄格子 橋本多佳子
万緑や世に絶えぬ子の神隠し 鷹羽狩行
万緑や十年若き弟死す 右城暮石 句集外 昭和四十二年
万緑や四五戸に尽きし硯村 石田勝彦 雙杵
万緑や堂を満たして鹿の角 鷹羽狩行
万緑や外から見れば暗き團居 香西照雄 対話
万緑や射抜かるるべく的置かれ 鷹羽狩行
万緑や山中に見る立峠 大野林火 潺潺集 昭和四十年
万緑や山中ふかく牛闘ふ 野澤節子 八朶集以後
万緑や山雨が醒ます昼の酒 石川桂郎 高蘆
万緑や息のあはれを笛に継ぎ 岡本眸
万緑や息もて拭ふコンパクト 岡本眸
万緑や指を反らして歓喜仏 鷹羽狩行
万緑や撲たれしごとき身の火照り 岡本眸
万緑や旅に健啖よみがへり 鷹羽狩行
万緑や日程表に忌日書く 岡本眸
万緑や木の根の湿り蹠に 原裕 葦牙
万緑や林林先生の大きな手 大野林火 月魄集 昭和五十五年
万緑や森の妖精すきとほり 上野泰
万緑や母子の接吻音たてて 鷹羽狩行
万緑や泳ぐすがたの病臥身 岸田稚魚 雁渡し
万緑や溺れきるとは楽しきこと 岡本眸
万緑や火の山にして子持山 鷹羽狩行
万緑や火の山の火の匂ふ道 上村占魚
万緑や狐狸の山浅く 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑や球も楽しき右往左往 香西照雄 素心
万緑や生きんとすればなほかなしき 岸田稚魚 雁渡し
万緑や産屋の刻の移りをり 齋藤玄 飛雪
万緑や石器時代へ兎跳ね 鷹羽狩行
万緑や石橋に馬乗り鎮むる 橋本多佳子
万緑や神々パレ・デ・ナシオンに 日野草城
万緑や糞るときに斉唱湧く 岸田稚魚 負け犬
万緑や草に胡坐の膝頭 上野泰
万緑や落石といふ爪の痕 鷹羽狩行
万緑や裸婦像の背の深抉り 石田勝彦 雙杵
万緑や許せぬものも四囲に満つ 香西照雄 対話
万緑や連山朝の日をかへす 角川源義
万緑や金に映れる火寂し 野見山朱鳥 幻日
万緑や鏡の如く鷹舞へり 野見山朱鳥 曼珠沙華
万緑や雷来て吃る御柱 角川源義
万緑や霧笛どの窓からも入る 橋本多佳子
万緑や魚を食べるだけの旅 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑や鴉の目玉もり上る 平井照敏 猫町
万緑をしたがへ最上川下り 鷹羽狩行
万緑をしりぞけて滝とどろけり 鷲谷七菜子 花寂び
万緑をゆく口笛は肉笛よ 鷹羽狩行
万緑を下降すケーブルカーに坐し 右城暮石 上下
万緑を二分けにして最上川(最上川下り四句) 鷹羽狩行
万緑を深くぞえぐる谷と谷 阿波野青畝
万緑を知らず足尾はいつも枯 平畑静塔
万緑を行く一葉を笛となし 鷹羽狩行
万緑を逆さ落しに井田の海 石田勝彦 雙杵
万緑を飛びて鴉が黒さ見す 右城暮石 句集外 昭和四十六年
万緑を鷺飛ぶ 際立つためにこそ 伊丹三樹彦
万緑下浄き歯並を見せて閉づ 橋本多佳子
万緑叢中児に蹴り返す白き鞠 林翔
万緑叢中死は小刻みにやってくる 楠本憲吉 方壺集
万緑叢中紅見えず平家村 鷹羽狩行
二の腕細き遺児よ万緑左右に迫り 香西照雄 素心
何うつさむとするや碧眼万緑に 橋本多佳子
口中にキャラメルの角万緑行 鷹羽狩行
呼笛鳴り万緑ゆつくり動きけり 林翔
善きことのみ告げられ万緑を訪はるる身 野澤節子 未明音
回遊の吾に万緑蹤き来たる 山口誓子
坑を出て万緑一夜経しごとし 山口誓子
天橋となり万緑の凝るところ 鷹羽狩行
奈落めく万緑の谷蝶ただよふ 鷲谷七菜子 銃身
妻を率て万緑の中風あらし 角川源義
子なき吾をめぐり万緑しづかなり 桂信子 月光抄
宝庫とても半ばは闇や日の万緑 香西照雄 素心
寂として万緑の中紙魚は食ふ 加藤秋邨
斉唱や万緑翳るとき迅し 岸田稚魚 負け犬
斎唱や万緑翳るとき速し 岸田稚魚 雁渡し
昼もたしかな灯よ万緑の底に棲み 鷲谷七菜子 黄炎
木曾路みな山のなか万緑の中 鷹羽狩行
椿落ちて万緑叢中一朱唇 楠本憲吉 孤客
橋揺れてきて万緑の揺れはじむ 古舘曹人 樹下石上
活火山死火山問はず万緑に 稲畑汀子
海境なし万緑の志摩と伊勢 百合山羽公 寒雁
火の山の裾万緑に道はあり 上村占魚 球磨
燕の万緑の野へ出ては返す 松崎鉄之介
甕の濡れ一条黒し万緑下 平畑静塔
病篤しと万緑に旗立てむ 山口誓子
発破音して万緑の川濁る 右城暮石 句集外 昭和四十一年
登れども登れども万緑界を出でず 福田蓼汀 秋風挽歌
白毫は白万緑を凝らすとも 山口誓子
目に万緑金ペンが詩を滴らす 楠本憲吉 方壺集
硝子玉吹く万緑へ窓を張り 岡本眸
秋晴の空に万緑退けを取る 平畑静塔
苗植ゑて万緑の影田にゆるぶ 鷲谷七菜子 銃身
萬緑に滲みがたくしてわかかへで 飯田蛇笏 家郷の霧
萬緑に見えざる雨の降りしきる 相馬遷子 雪嶺
萬緑のまつしぐらなり尼の肘 石田波郷
萬緑のむせぶばかりや妻籠に 森澄雄
萬緑の一紺として四葩冴ゆ 石塚友二 曠日
萬緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
萬緑の秋暑の翳をまのあたり 飯田蛇笏 家郷の霧
萬緑は過ぎ来し方も押しつつむ 石田波郷
萬緑やかがやき翔ける夫婦鷹 相馬遷子 雪嶺
萬緑や山下るごと階下り 石田波郷
萬緑や死は一弾を以て足る 上田五千石 田園
萬緑や海へ出て濤酒匂川 森澄雄
萬緑や臥すものもなく病家族 石田波郷
萬緑を顧みるべし山毛欅峠 石田波郷
谿へ尿すはてきらきらと万緑へ 加藤秋邨
退院の歩へ万緑の峙つや 鷲谷七菜子 花寂び
金魚一鱗ただありただ万緑の中 山口青邨
陶磁室冷やか万緑の照りかへし 上田五千石『田園』補遺
陽を弾く万緑うしろめたい朝 楠本憲吉 方壺集
青年に万緑の塵見えず飛ぶ 原裕 葦牙
韆音のあと万緑のまろび来る 角川源義
以上
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万緑 補遺
いまは万緑山中で子を拵へ 山口誓子
かぎはづし入る万緑の一つの扉 橋本多佳子
すずやかに声万緑の女坂 鷲谷七菜子 花寂び
わが庭の万緑の中玉虫落つ 山口青邨
ゑご散つて万緑叢中白を撒く 林翔
オホツクの風万緑に吹きすさぶ 右城暮石 上下
カーテンは閉めじ万緑裡に寝ねむ 林翔
トンネルに眼つむる伊賀は万緑にて 橋本多佳子
一朝稿成つて万緑に真向へり 上田五千石『天路』補遺
一碗の茶や万緑をひき絞り 岡本眸
万緑なすたたら遺蹟を秘めし村 松崎鉄之介
万緑に 剃り傷新た 男の旅 伊丹三樹彦
万緑に*あぎとへるごと荘一つ 富安風生
万緑におく鞍の位置狂ひなし 飯島晴子
万緑にして紛れぬは海紅豆 清崎敏郎
万緑にとべばましろき鳥ならむ 平井照敏
万緑になじむ風鈴昼も夜も 飯田蛇笏 椿花集
万緑にひそみて聴けり陽の跫音 楠本憲吉 孤客
万緑にラムネ奔騰させ若し 鷹羽狩行
万緑に三十号を塗りつぶす 松崎鉄之介
万緑に三毛猫三いろ加へけり 林翔
万緑に吊橋動を経ては静 山口誓子
万緑に吾が眼鏡澄み吾が非力 楠本憲吉 楠本憲吉集
万緑に坐せし新聞凹みしまゝ 右城暮石 上下
万緑に堪へざる病葉と思ふ 岡本眸
万緑に弾きだされて野兎一羽 鷹羽狩行
万緑に抱かれしより光る沼 稲畑汀子
万緑に朱のアンテナは百足虫なる 山口誓子
万緑に朴の一樹のありどころ 稲畑汀子
万緑に染まりて痛む肋骨 佐藤鬼房
万緑に沈む夕日の朱を見たり 福田蓼汀 秋風挽歌
万緑に泰山木の花二つ 日野草城
万緑に温川冷川出会ふ 山口誓子
万緑に産みたることをのみ誇る 鷹羽狩行
万緑に白を研ぎ出す早瀬波 林翔
万緑に石像かくすところなし 鷹羽狩行
万緑に石組人間不在の詩 山口誓子
万緑に縄打ち振れるごとき道 右城暮石 句集外 昭和五十六年
万緑に蒼ざめてをる鏡かな 上野泰 春潮
万緑に薬石板を打ち減らす 山口誓子
万緑に藤豆の垂れわたりたる 阿波野青畝
万緑に虎杖は白加へけり 林翔
万緑に解き放たれし如くゐる 右城暮石 天水
万緑に頬ふくらませ吹く喇叭 福田蓼汀 秋風挽歌
万緑に髯の奥なる喉仏 伊丹三樹彦
万緑に黄に横に竹四つ目垣 上野泰 佐介
万緑に黒装束の翌楡 鷹羽狩行
万緑の 漓江下りの 如意の櫂 伊丹三樹彦
万緑のいのちの繭のうすみどり 平井照敏
万緑のおのれなき世のごときかな 岸田稚魚 雁渡し
万緑のおのれ亡き世のごときかな 岸田稚魚 負け犬
万緑のしたたる谿に温泉あり 上村占魚 球磨
万緑のところどころに志士の死所 右城暮石 天水
万緑のどの片隅も蝸牛 平井照敏
万緑のなかに点滴いま黄なり 百合山羽公 樂土以後
万緑のふかきそこひにわが書屋 山口青邨
万緑のまつただ中に塗り込められ 上野泰
万緑のもの島々も橋立も 鷹羽狩行
万緑のわくがごとしや一犬吠ゆ 加藤秋邨
万緑の一大屈折裏妙義 林翔
万緑の一幹馬首のごと叩く 鷹羽狩行
万緑の一本道は川を離れ 阿波野青畝
万緑の一樹に日ざしありにけり 稲畑汀子
万緑の上にみどりの伊吹山 福田蓼汀 山火
万緑の中さやさやと楓あり 山口青邨
万緑の中に万里の城の跡 鷹羽狩行
万緑の中に我が椅子机あり 右城暮石 散歩圏
万緑の中のわが身と妻の身と 後藤比奈夫
万緑の中の眼鏡のすきとほり 上野泰
万緑の中や一道徹りたり 石塚友二 磊[カイ]集
万緑の中より思ひ出しをり 加藤秋邨
万緑の中を八里の石畳 阿波野青畝
万緑の中不浄心直ぐに消す 山口誓子
万緑の中富士とわが一対一 富安風生
万緑の中放棄畑放棄林 山口誓子
万緑の中新聞紙敷きて坐す 右城暮石 句集外 昭和三十四年
万緑の中眉あげて女見る 岸田稚魚 負け犬
万緑の中石もなき痩せ地拓く 右城暮石 句集外 昭和三十四年
万緑の中緑ほとばしる一株、芭蕉なり 荻原井泉水
万緑の中貫きて石の川 右城暮石 句集外 昭和四十一年
万緑の仕上げの雨の五六粒 岡本眸
万緑の切通しにて峰を越す 山口誓子
万緑の吉野両断吉野川 右城暮石 上下
万緑の墨のごとしや海芋咲き 山口青邨
万緑の天地有情や杣男 原裕 葦牙
万緑の妻には残る虹の彩 角川源義
万緑の宇陀郡ぬけて吉野郡 右城暮石 虻峠
万緑の家に老婆が一人ゐし 右城暮石 上下
万緑の寝姿山の乳房かな 林翔
万緑の更けて茂吉と夢に走り 平畑静塔
万緑の森は紫紺の空のこす 平畑静塔
万緑の水打つ牛飼左千夫墓 角川源義
万緑の目にしむ伊賀と思ひをり(病気入院、「風」関西大会に打電) 細見綾子
万緑の真弓のいまは実となりぬ 山口青邨
万緑の神にましろき結文 山口青邨
万緑の空気ゆさぶり米軍機 右城暮石 散歩圏
万緑の肌に流るゝ浴みかな 野見山朱鳥 曼珠沙華
万緑の褪せ了らざる秋日和 相生垣瓜人 負暄
万緑の覇は橡の葉か朴の葉か 阿波野青畝
万緑の谺を強くして返す 大野林火 方円集 昭和四十九年
万緑の車中アルミの弁当食ふ 右城暮石 句集外 昭和四十四年
万緑の雨藁塚の濡れそぼつ 右城暮石 句集外 昭和三十九年
万緑の風の喝采古都に満つ 山田みづえ 手甲
万緑の鳥を吸ひ又鳥を吸ひ 上野泰
万緑へ女子の筋肉砲丸擲げ 山口誓子
万緑へ腕拱み腕のふるえやまぬ 赤尾兜子 蛇
万緑やおどろきやすき仔鹿ゐて 橋本多佳子
万緑やこぼさぬやうに産湯桶 鷹羽狩行
万緑やとねりこそよごほそぼそと 阿波野青畝
万緑やどこまでいつても千曲川 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑やどこまで山へ伸びる町 稲畑汀子
万緑やふところに日の刃抱き 鷹羽狩行
万緑やわが恋川をへめぐれる 角川源義
万緑やわが掌に載する皿一枚 野澤節子 未明音
万緑やわが掌に釘の痕もなし 山口誓子
万緑やわが詩を一字誤植して 鷹羽狩行
万緑やわが額にある鉄格子 橋本多佳子
万緑や世に絶えぬ子の神隠し 鷹羽狩行
万緑や十年若き弟死す 右城暮石 句集外 昭和四十二年
万緑や四五戸に尽きし硯村 石田勝彦 雙杵
万緑や堂を満たして鹿の角 鷹羽狩行
万緑や外から見れば暗き團居 香西照雄 対話
万緑や射抜かるるべく的置かれ 鷹羽狩行
万緑や山中に見る立峠 大野林火 潺潺集 昭和四十年
万緑や山中ふかく牛闘ふ 野澤節子 八朶集以後
万緑や山雨が醒ます昼の酒 石川桂郎 高蘆
万緑や息のあはれを笛に継ぎ 岡本眸
万緑や息もて拭ふコンパクト 岡本眸
万緑や指を反らして歓喜仏 鷹羽狩行
万緑や撲たれしごとき身の火照り 岡本眸
万緑や旅に健啖よみがへり 鷹羽狩行
万緑や日程表に忌日書く 岡本眸
万緑や木の根の湿り蹠に 原裕 葦牙
万緑や林林先生の大きな手 大野林火 月魄集 昭和五十五年
万緑や森の妖精すきとほり 上野泰
万緑や母子の接吻音たてて 鷹羽狩行
万緑や泳ぐすがたの病臥身 岸田稚魚 雁渡し
万緑や溺れきるとは楽しきこと 岡本眸
万緑や火の山にして子持山 鷹羽狩行
万緑や火の山の火の匂ふ道 上村占魚
万緑や狐狸の山浅く 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑や球も楽しき右往左往 香西照雄 素心
万緑や生きんとすればなほかなしき 岸田稚魚 雁渡し
万緑や産屋の刻の移りをり 齋藤玄 飛雪
万緑や石器時代へ兎跳ね 鷹羽狩行
万緑や石橋に馬乗り鎮むる 橋本多佳子
万緑や神々パレ・デ・ナシオンに 日野草城
万緑や糞るときに斉唱湧く 岸田稚魚 負け犬
万緑や草に胡坐の膝頭 上野泰
万緑や落石といふ爪の痕 鷹羽狩行
万緑や裸婦像の背の深抉り 石田勝彦 雙杵
万緑や許せぬものも四囲に満つ 香西照雄 対話
万緑や連山朝の日をかへす 角川源義
万緑や金に映れる火寂し 野見山朱鳥 幻日
万緑や鏡の如く鷹舞へり 野見山朱鳥 曼珠沙華
万緑や雷来て吃る御柱 角川源義
万緑や霧笛どの窓からも入る 橋本多佳子
万緑や魚を食べるだけの旅 鈴木真砂女 紫木蓮
万緑や鴉の目玉もり上る 平井照敏 猫町
万緑をしたがへ最上川下り 鷹羽狩行
万緑をしりぞけて滝とどろけり 鷲谷七菜子 花寂び
万緑をゆく口笛は肉笛よ 鷹羽狩行
万緑を下降すケーブルカーに坐し 右城暮石 上下
万緑を二分けにして最上川(最上川下り四句) 鷹羽狩行
万緑を深くぞえぐる谷と谷 阿波野青畝
万緑を知らず足尾はいつも枯 平畑静塔
万緑を行く一葉を笛となし 鷹羽狩行
万緑を逆さ落しに井田の海 石田勝彦 雙杵
万緑を飛びて鴉が黒さ見す 右城暮石 句集外 昭和四十六年
万緑を鷺飛ぶ 際立つためにこそ 伊丹三樹彦
万緑下浄き歯並を見せて閉づ 橋本多佳子
万緑叢中児に蹴り返す白き鞠 林翔
万緑叢中死は小刻みにやってくる 楠本憲吉 方壺集
万緑叢中紅見えず平家村 鷹羽狩行
二の腕細き遺児よ万緑左右に迫り 香西照雄 素心
何うつさむとするや碧眼万緑に 橋本多佳子
口中にキャラメルの角万緑行 鷹羽狩行
呼笛鳴り万緑ゆつくり動きけり 林翔
善きことのみ告げられ万緑を訪はるる身 野澤節子 未明音
回遊の吾に万緑蹤き来たる 山口誓子
坑を出て万緑一夜経しごとし 山口誓子
天橋となり万緑の凝るところ 鷹羽狩行
奈落めく万緑の谷蝶ただよふ 鷲谷七菜子 銃身
妻を率て万緑の中風あらし 角川源義
子なき吾をめぐり万緑しづかなり 桂信子 月光抄
宝庫とても半ばは闇や日の万緑 香西照雄 素心
寂として万緑の中紙魚は食ふ 加藤秋邨
斉唱や万緑翳るとき迅し 岸田稚魚 負け犬
斎唱や万緑翳るとき速し 岸田稚魚 雁渡し
昼もたしかな灯よ万緑の底に棲み 鷲谷七菜子 黄炎
木曾路みな山のなか万緑の中 鷹羽狩行
椿落ちて万緑叢中一朱唇 楠本憲吉 孤客
橋揺れてきて万緑の揺れはじむ 古舘曹人 樹下石上
活火山死火山問はず万緑に 稲畑汀子
海境なし万緑の志摩と伊勢 百合山羽公 寒雁
火の山の裾万緑に道はあり 上村占魚 球磨
燕の万緑の野へ出ては返す 松崎鉄之介
甕の濡れ一条黒し万緑下 平畑静塔
病篤しと万緑に旗立てむ 山口誓子
発破音して万緑の川濁る 右城暮石 句集外 昭和四十一年
登れども登れども万緑界を出でず 福田蓼汀 秋風挽歌
白毫は白万緑を凝らすとも 山口誓子
目に万緑金ペンが詩を滴らす 楠本憲吉 方壺集
硝子玉吹く万緑へ窓を張り 岡本眸
秋晴の空に万緑退けを取る 平畑静塔
苗植ゑて万緑の影田にゆるぶ 鷲谷七菜子 銃身
萬緑に滲みがたくしてわかかへで 飯田蛇笏 家郷の霧
萬緑に見えざる雨の降りしきる 相馬遷子 雪嶺
萬緑のまつしぐらなり尼の肘 石田波郷
萬緑のむせぶばかりや妻籠に 森澄雄
萬緑の一紺として四葩冴ゆ 石塚友二 曠日
萬緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
萬緑の秋暑の翳をまのあたり 飯田蛇笏 家郷の霧
萬緑は過ぎ来し方も押しつつむ 石田波郷
萬緑やかがやき翔ける夫婦鷹 相馬遷子 雪嶺
萬緑や山下るごと階下り 石田波郷
萬緑や死は一弾を以て足る 上田五千石 田園
萬緑や海へ出て濤酒匂川 森澄雄
萬緑や臥すものもなく病家族 石田波郷
萬緑を顧みるべし山毛欅峠 石田波郷
谿へ尿すはてきらきらと万緑へ 加藤秋邨
退院の歩へ万緑の峙つや 鷲谷七菜子 花寂び
金魚一鱗ただありただ万緑の中 山口青邨
陶磁室冷やか万緑の照りかへし 上田五千石『田園』補遺
陽を弾く万緑うしろめたい朝 楠本憲吉 方壺集
青年に万緑の塵見えず飛ぶ 原裕 葦牙
韆音のあと万緑のまろび来る 角川源義
以上
by 575fudemakase
| 2016-06-02 02:45
| 夏の季語
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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