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蝸牛 の俳句

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(博物誌 ルナール)
蝸牛 の俳句

蝸牛 の例句 (←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/22721464/


蝸牛 補遺

*ろうかんやみづ~しきは蝸牛 飴山實 花浴び
あかるさや蝸牛かたくかたくねむる 中村草田男
あと半生あと半生とかたつむり 鷹羽狩行
あはれあはれ穂草を攀づる蝸牛 山口誓子
あをぎりの脂を垂るや蝸牛 山口誓子
いつの間に近くにをりし蝸牛 岸田稚魚 紅葉山
いつよりか確と冬眠かたつむり 佐藤鬼房
かたつむり 墜ちる 指一本の他力 伊丹三樹彦
かたつむり 少年僧の乱籠 赤尾兜子 歳華集
かたつむりつるめば肉の食い入るや 永田耕衣
かたつむり乃木少年の家僕なり 百合山羽公 樂土以後
かたつむり俄かに殖ゆ赤き布団干され 橋閒石 無刻
かたつむり俄に殖ゆ赤き布団干され 橋閒石
かたつむり十日の雨をなほ倦まず 山口青邨
かたつむり南風茱萸につよかりき 飯田蛇笏 霊芝
かたつむり太湖周辺暑にかすみ 松崎鉄之介
かたつむり富貴わが家にいつ来るや 村山故郷
かたつむり探す朝から鉄うつ音 橋閒石 無刻
かたつむり旅立ちに見て雨の岐阜 大野林火 月魄集 昭和五十六年
かたつむり未だ老子に逢えざるや 橋閒石 微光以後
かたつむり殻の内陣透けゐたり 上田五千石 田園
かたつむり水も滴る雌ならむ 林翔
かたつむり濡れて紫ならんとす 山口青邨
かたつむり濡れ一隅を照らしおり 橋閒石 和栲
かたつむり甲斐も信濃も雨のなか 飯田龍太
かたつむり眺め安穏の月日あり 山口青邨
かたつむり私物の殻を砕かれし 鷹羽狩行
かたつむり童女坐したる跡を這う 橋閒石 卯
かたつむり肉しづかなる冬旱 飯島晴子
かたつむり脊の渦巻の月に消ゆ 川端茅舎
かたつむり逡巡の肉ぴくぴくと 能村登四郎
かたつむり露の葛の葉食ひ穿ち 川端茅舎
きりきりと渦巻く殻の蝸牛 山口誓子
その牛歩幹にすすむる蝸牛 上田五千石『琥珀』補遺
たちまちに殻の曇れる蝸牛 上田五千石『田園』補遺
ちゞまれば広き天地ぞ蝸牛 正岡子規 蝸牛
つるむとき殻透きとほるかたつむり 草間時彦
ででむしうまれている 荻原井泉水
ででむしにゆふべながらふ沖あかり 上田五千石『森林』補遺
ででむしの家系右巻左巻 山口青邨
ででむしの跡光り絶間なく喋る 橋閒石 朱明
ででむしの辷りうつりの恐しや 阿波野青畝
ででむしやもの通らねば喉を識り 石川桂郎 四温
ででむしやダムに長居の袋雲 秋元不死男
ででむしや寂けき刻を汝は持つ 林翔
ででむしや新幹線はみちのくへ 山口青邨
ででむしや辷りうつりし筧杭 阿波野青畝
ででむしや高音細音に日本の笛 秋元不死男
ででむしを落すや心悸指に通じ 下村槐太 天涯
なめくぢり蝸牛花なき椿親し 中村草田男
ぬらくらと蝸牛の文字の覚束な 正岡子規 蝸牛
ねむたくて殻を曇らす蝸牛 鷹羽狩行
ねむりつつ秤り売らるる蝸牛 有馬朗人 耳順
もとの木に戻す午前の蝸牛 鷹羽狩行
ものぐさなたつきといはん蝸牛 飴山實 句集外
もの音のせざれば雨後の蝸牛 岸田稚魚 紅葉山
やさしさは殻透くばかり蝸牛 山口誓子
わが足に蝸牛摧くる音ぞかし 相生垣瓜人 明治草抄
をとゞしの蝸牛ならんおほふとり 原石鼎 花影以後
ルナールの忌日の雨や蝸牛 山田みづえ まるめろ
一つ葉に一つのあるじ蝸牛 阿波野青畝
一を以てつらぬきしあとかたつむり 鷹羽狩行
一塊のででむし動くああさうか 藤田湘子 てんてん
一日の旅路しるきや蝸牛 正岡子規 蝸牛
一条の日に角あげし蝸牛 能村登四郎
一生の重さ罪負ふ蝸牛 富安風生
一筆に神書きし渦蝸牛 上野泰 春潮
七賢を識らず蝸牛氏角を振る 阿波野青畝
万緑のどの片隅も蝸牛 平井照敏
不規則に動く葉のあり蝸牛 右城暮石 句集外 昭和五十七年
乳のみ児に葉ゆれ葉うらの蝸牛 佐藤鬼房
乳房張るあかつき濡れにゆく蝸牛 橋閒石 無刻
乾ききつたる蝸牛ころがれる 清崎敏郎
五月雨や小牛の角に蝸牛 正岡子規 蝸牛
五月雨や小牛の角の蝸牛 正岡子規 五月雨
人に似てかなし天気の蝸牛 星野立子
仮名書に生きて美貌のかたつむり 橋閒石 和栲
何のうれしさ蝸牛の渦をかぞへをり 能村登四郎
傾城のうらやまれけり蝸牛 正岡子規 蝸牛
八朔のででむしころげ落ちにけり 安住敦
其角の長さくらべん蝸牛 正岡子規 蝸牛
冬の蝸牛の一歩がありて樫の幹 能村登四郎
冬眠の蝸牛ときに羨まし 百合山羽公 寒雁
冬眠の蝸牛やこぼれ竜の髭 下村槐太 光背
凶年やかたつむりには月光を 飯島晴子
別れ路の蝸牛などに与すまじ 齋藤玄 飛雪
北庭に下りて得たりし蝸牛 橋本多佳子
吹かれゐる葉の一枚に蝸牛 右城暮石 句集外 昭和三十三年
吾子達の齢は朝や蝸牛 中村草田男
呼び馴れて女淡しや蝸牛 藤田湘子
啓蟄の蝸牛も居りて掃かれけり 右城暮石 句集外 昭和二十二年
啓蟄や涅槃や空の蝸牛殻 平畑静塔
壁の蓑に梅の翠来て蝸牛 原石鼎 花影
声あらは何となくらん蝸牛 正岡子規 蝸牛
夕映えの淵おそろしやかたつむり 飯田龍太
夕焼の雲の裂けゆく 蝸牛 富澤赤黄男
外遊の留守の間のかたつむり 百合山羽公 樂土
多摩の横山の満月かたつむり 藤田湘子
夜の隅のかたつむりふとしまひけり 加藤秋邨
大き殻秋へ傾くかたつむり 百合山羽公 樂土以後
大恵那と蝸牛金の朝日分つ 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
大釜の底をはひけり蝸牛 正岡子規 蝸牛
天地かたむけ蝸牛(つんぶり)の動き出す 鷹羽狩行
太幹を攀づ念々の蝸牛 上田五千石『風景』補遺
子は起ちてすぐ坐りけりかたつむり 加藤秋邨
子探しの声の遠ゆくかたつむり 上田五千石 森林
寒に入る蝸牛らも石の類 鷹羽狩行
少年等蝸牛のうすき殻囃す 右城暮石 声と声
山の雨たつぷりかかる蝸牛 飯田龍太
山の露たつぷりかかる蝸牛 飯田龍太
崖の牛蝸牛の如く伸ひきりて 右城暮石 句集外 昭和二十三年
巌に付きステッキに着く蝸牛 山口誓子
巌の秀に殻をすすむる蝸牛 山口誓子
巡礼の先頭に立つかたつむり 橋閒石 卯
帚木に住み古りにけりかたつむり 三橋敏雄
帰りゆく人のみ子等と蝸牛 橋本多佳子
庭川も濁り膨れて蝸牛 阿波野青畝
弱肉もやゝ肥大せる蝸牛 百合山羽公 寒雁
往生に茜さすべしかたつむり 上田五千石 天路
志賀直哉あゆみし道の蝸牛 西東三鬼
怠りの午後や蝸牛の肌身見て 上田五千石『田園』補遺
悲しみがこもるよ空の蝸牛 鷹羽狩行
情淡くしてしばしみしかたつむり 百合山羽公 故園
惜しみなく蝸牛を缺きし蜥蜴あり 相生垣瓜人 明治草
憂愁のきらら色して蝸牛 能村登四郎
我画いて雲に乗り去る蝸牛 正岡子規 蝸牛
故友ゐるごと幹太り蝸牛 大野林火 飛花集 昭和四十八年
文机やででむしのいつ紛れゐし 石川桂郎 四温
新冬や消えも遣らざる旧蝸牛 相生垣瓜人 明治草
新雪の幹のうしろのかたつむり 飯田龍太
明るさに海ある記憶蝸牛 木村蕪城 寒泉
昏れんとし幹の途中の蝸牛 桂信子 緑夜
晝の火事遠く 蝸牛の殻干き 富澤赤黄男
晩祈やででむしの渦堅むすび 鷹羽狩行
暗くなる心を戻すかたつむり 百合山羽公 寒雁
曇天の殻青白き蝸牛 山口誓子
曉の恵那いち早く覚む蝸牛 松崎鉄之介
曼陀羅を遠く飛ぶ鳥蝸牛のごとし 橋閒石 荒栲
朝鮮は蝸牛程の大きさよ 正岡子規 蝸牛
木犀が咲きかたつむり雨が降り 岡井省二 明野
東京の辺や蝸牛の角伸びて 石田波郷
林間に目の馴れてきて蝸牛 岡本眸
枯蝸牛白きひかりのなかの眉 原裕 葦牙
柿の木の今日は高みにかたつむり 飴山實 次の花
梅雨冷えや殻やはらかきかたつむり 三橋鷹女
梅雨月の遍照の戸に蝸牛 松崎鉄之介
椎の葉に盛らん飯とてかたつむり 岡井省二 山色
椿競う 蝸牛の角の右ひだり 伊丹三樹彦
此頃は居らなくなりぬ蝸牛 正岡子規 蝸牛
殻ともに踏みつぶされて蝸牛 正岡子規 蝸牛
殻のうちししむら動く蝸牛 山口誓子
殻の渦しだいにはやき蝸牛 山口誓子
殻の裡なほ薄明の蝸牛 鷹羽狩行
殻大き分角小さき蝸牛 後藤比奈夫
殻曳いてややに行きあふ蝸牛 山口誓子
殻荒れし蝸牛なりさもあらむ 飯島晴子
殻蝸牛人生おもひ測らるる 飯田蛇笏 家郷の霧
毒茸を食ひて飽かざる蝸牛あり 相生垣瓜人 明治草
水あかり蝸牛巌を落ちにけり 飯田蛇笏 霊芝
水中に落ちて動かぬ蝸牛 右城暮石 句集外 昭和四十年
水声をめぐらし若きかたつむり 橋閒石 無刻
氷割る音蝸牛数知れず 石田波郷
永遠が渦巻きてをりかたつむり 平井照敏
法の池堕ちて溺るる蝸牛 中村草田男
洒落れてゐるとはででむしの殻のこと 後藤夜半 底紅
混沌の落し子なりやかたつむり 橋閒石 微光
渦かたく巻き歳晩の蝸牛 有馬朗人 母国
渦をやや平らに秋のかたつむり 鷹羽狩行
潮騒の中にてすすみ蝸牛 岸田稚魚 紅葉山
濡れ蝸牛鳴きつつ歩む羽抜鶏 飯田龍太
濡縁を右ゆ左ゆ蝸牛 山口誓子
火を刺して雨や一縷の蝸牛 古舘曹人 能登の蛙
照らされて眼張りゐる蝸牛 桂信子「草影」以後
甘藍やどこかでもかたつむりうまれ 下村槐太 天涯
生れるといはぬ身を恥よ蝸牛 正岡子規 蝸牛
生真面目を負ふさびしさの蝸牛 能村登四郎
畑中の暇な踏切かたつむり 岡本眸
白波と秋の夜明けのかたつむり 飯田龍太
白砂にあしをよごして蝸牛 山口誓子
百姓の家に雲烟かたつむり 百合山羽公 故園
盲に似て眼ある蝸牛夕の父 中村草田男
石の上に重なりあふて蝸牛 正岡子規 蝸牛
石よりも地よりも生ける蝸牛冷ゆ 橋本多佳子
砕かれし殻を曳きずりかたつむり 鷹羽狩行
神空に蝸牛枝にと記憶せり 相生垣瓜人 明治草
秋風や夫婦を容るる蝸牛の廬 富安風生
空つぽの郵便受に蝸牛 佐藤鬼房
空蝸牛夏めく城の雨滴浴び 飯田龍太
空蝸牛幟日すがら雲に鳴り 飯田龍太
竹垣に雑巾を干し蝸牛 清崎敏郎
竹林に殻を明るくかたつむり 鷹羽狩行
竹椽や嵐のあとの蝸牛 正岡子規 蝸牛
簀子緑土が透きつつ蝸牛 山口誓子
結び葉のその一片の蝸牛 相生垣瓜人 負暄
翻る葉の一枚に蝸牛 右城暮石 句集外 昭和三十八年
老蝸牛石面の明るさを登る 橋閒石 無刻
肉噛んで殻したたかな蝸牛 能村登四郎
芭蕉葉のふりこぼしたるかたつむり 加藤秋邨
花の香へ蝸牛角伸(の)し殻も揺り 香西照雄
花の香へ蝸牛角伸し殻も揺り 香西照雄 対話
茫として交りゐるなり蝸牛 能村登四郎
菩提子と蝸牛と寄せ塵取へ 阿波野青畝
葉の裏にひぐれの暗さかたつむり 加藤秋邨
葉の雫風におくれて蝸牛 原石鼎 花影
葉裏より表へ対のかたつむり 鷹羽狩行
蔀あげ一粒春のかたつむり 百合山羽公 寒雁
蝸牛 阿*うんと動くおもたさよ 富澤赤黄男
蝸牛(くわぎう)群角の黒きは父ならむ 香西照雄
蝸牛あぢさゐいろを夢見るか 藤田湘子 神楽
蝸牛いつか哀歓を子はかくす 加藤秋邨
蝸牛いつも余白を前うしろ 能村登四郎
蝸牛すすむに生身通しけり 上田五千石 琥珀
蝸牛それさへ文字はならひけり 正岡子規 蝸牛
蝸牛つきし葉の池真青に 野澤節子 未明音
蝸牛つるむ崖の上から赤児泣く 橋閒石 無刻
蝸牛と生れて奈良の竹垣に 藤田湘子 てんてん
蝸牛と秩父にをるや秋の暮 加藤秋邨
蝸牛と童女のあはひ密とせり 岸田稚魚
蝸牛と風雅の主や竹の垣 正岡子規 蝸牛
蝸牛どこに捨てんと持ち歩く 右城暮石 散歩圏
蝸牛にも永かりし禁欲よ 鷹羽狩行
蝸牛のあめつちあをし芭蕉林 飴山實 花浴び
蝸牛のゐる木は暗し女佇つ 石川桂郎 含羞
蝸牛の便りの殻の裏白き 岡本眸
蝸牛の喧嘩見に出ん五月雨 正岡子規 五月雨
蝸牛の四五寸妻に歌ありて 石川桂郎 含羞
蝸牛の引込思案長からず 阿波野青畝
蝸牛の思案の角も 弥勒の膝 伊丹三樹彦
蝸牛の枝紅らみぬ貧詩人 藤田湘子 途上
蝸牛の殻まじる土耕して 中村草田男
蝸牛の殻薄かりき葬かな 岸田稚魚 紅葉山
蝸牛の真顔をかしき狂言師 福田蓼汀 秋風挽歌
蝸牛の著きたる葉蘭やゝ傾ぐ 高浜年尾
蝸牛の角のさきなり安芸愛媛 正岡子規 蝸牛
蝸牛の角のぶ頃や五月雨 正岡子規 五月雨
蝸牛の角ふりわけよ幾ところ 正岡子規 蝸牛
蝸牛の角伸びてくる虚空かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
蝸牛の角風吹きて曲りけり 野見山朱鳥 曼珠沙華
蝸牛の隣の喧嘩のぞきける 正岡子規 蝸牛
蝸牛の頭もたけしにも似たり 正岡子規 蝸牛
蝸牛は木の毒青年の指の飾り 金子兜太
蝸牛ばかり殖ゆるよ雨の盆 大野林火 方円集 昭和五十二年
蝸牛またしゝむらの鮮らしく 山口誓子
蝸牛みづからゑがく墨淡く 山口青邨
蝸牛も夕雲燃ゆる刻に遇ふ 藤田湘子 てんてん
蝸牛も岐れ合ふ枝もわかわかし 石田波郷
蝸牛も己に処して冬眠す 百合山羽公 寒雁
蝸牛も食ひきと汗にめつむりき 加藤秋邨
蝸牛やおほつかなくもにしり書 正岡子規 蝸牛
蝸牛やくるぶし冷ゆる湖の風 石川桂郎 含羞
蝸牛やすべて捨てなば易からむ 岡本眸
蝸牛やただ嫋々と巷の歌 石田波郷
蝸牛やどこかに人の話し声 中村草田男
蝸牛や墳にはやての松林 古舘曹人 樹下石上
蝸牛や寺の屋陰の大楷子 正岡子規 蝸牛
蝸牛や岐路あらばたちどまるらむ 上田五千石 田園
蝸牛や日をふちどりし雨後の雲 大野林火 青水輪 昭和二十四年
蝸牛や昨日につづく波の数 岡本眸
蝸牛や歯朶の明るき蝕の崖 角川源義
蝸牛や無学不粋の大地主 福田蓼汀 秋風挽歌
蝸牛や空にクレーン動きづめ 岡本眸
蝸牛や茫と灯ともる彦根城 飯田龍太
蝸牛や起き出しより垢面の子 小林康治 四季貧窮
蝸牛や降りしらみては降り冥み 阿波野青畝
蝸牛や雨ばかりなる駒場町 石田波郷
蝸牛や雨雲さそふ角のさき 正岡子規 蝸牛
蝸牛や風のまにまに毛雨舞ひ 阿波野青畝
蝸牛ゆるやかに刻過ぎにけり 松崎鉄之介
蝸牛わが薄情の四十面 古舘曹人 能登の蛙
蝸牛われは夕の火作れば 中村汀女
蝸牛ゐる葉動きの不自然に 右城暮石 散歩圏
蝸牛をつまむ微かに抗ふを 山田みづえ 手甲
蝸牛をば拉し来りて友とせり 相生垣瓜人 明治草
蝸牛を風雅の主や竹の杓 正岡子規 蝸牛
蝸牛予報の函となりにけり 大野林火 月魄集 昭和五十五年
蝸牛二つ眠りの殻の渦まどか 中村草田男
蝸牛五月は木蔭なほ冷ゆる 山口誓子
蝸牛冷春すぎてまた冷夏 百合山羽公 寒雁
蝸牛古木の泪渇きけり 上田五千石 琥珀
蝸牛喪の暦日は過ぎ易し 安住敦
蝸牛夕焼重くなりしかな 岡本眸
蝸牛扉にゐず佛見終れり 秋元不死男
蝸牛明家の錠のくさりけり 正岡子規 蝸牛
蝸牛林中行路ただ蒼し 藤田湘子 神楽
蝸牛桜は雲の湧く木なり 廣瀬直人 帰路
蝸牛殻新しく死新し 山口誓子
蝸牛渦の終りに点をうつ 山口誓子
蝸牛玉と変りて冬眠す 百合山羽公 寒雁
蝸牛甕をまはりて雨終日 山口青邨
蝸牛皆動きをり文書かん 香西照雄 対話
蝸牛睡るいのちの膜の殼の口 中村草田男
蝸牛睦む証の殻ふたつ 百合山羽公 寒雁
蝸牛石に成りたき土用かな 阿波野青畝
蝸牛秋より冬へ這ひすすむ 西東三鬼
蝸牛紋に三重の鉢巻凝り性なり 香西照雄 素心
蝸牛群角の黒きは父ならむ 香西照雄 対話
蝸牛肉出しきつて空気ねばる 鷹羽狩行
蝸牛茂りに暁けのきざしつつ 飯田龍太
蝸牛蓋閉ぢたらば石塊ぞ 石塚友二 曠日
蝸牛虹は朱ケのみのこしけり 大野林火 冬雁 昭和二十一年
蝸牛角ならべゆき相別る 山口誓子
蝸牛踏み潰す淡彩の人 永田耕衣
蟷螂に次いで蝸牛を弄しけり 相生垣瓜人 明治草
裏木戸や蝸牛殻牽く地の上 石塚友二 光塵
見つめ居れば明るうなりぬ蝸牛 原石鼎 花影
角出して淡海見てをり蝸牛 森澄雄
詩を書いて 一生(ひとよ)綿々 蝸牛 伊丹三樹彦
諏訪口に青空ありぬかたつむり 飯田龍太
負ふ殻のきよききたなき蝸牛 山口誓子
赤錆の鉄パイプ舐む蝸牛 右城暮石 天水
農民史厚し家負ふ蝸牛 有馬朗人 知命
過ちて脆なる蝸牛踏みにけり 相生垣瓜人 明治草
遠き日へ稲妻走る蝸牛 中村苑子
遠目にも巌にゐざりて蝸牛 山口誓子
長明の車が来たぞ蝸牛 正岡子規 蝸牛
隧道の乳鋲と見しは蝸牛 岡本眸
雨あがる樹下石上の蝸牛 加藤秋邨
雨なくて蓮浄院のかたつむり 燕雀 星野麥丘人
雨の中より採り来る蝸牛 山口誓子
雨上り蝸牛居並ぶ砌かな 阿波野青畝
雨水のしのぶつたふやかたつぶり 正岡子規 蝸牛
雨風や瓦礫に生るる蝸牛 岸田稚魚 雁渡し
雲居より何も降り来ずかたつむり 上田五千石『天路』補遺
霜月のかたつむりこときれてゐし 日野草城
霧に立つや蝸牛の角の山二つ 正岡子規 霧
頸き拇指蝸牛のごとく覗く足袋 中村草田男
風聴いてゐるらし角のかたつむり 能村登四郎
骨壺や祗園の方にかたつむり 岡井省二 鯨と犀
鬼灯の根に汚れ出る蝸牛 右城暮石 声と声

蝸牛 続補遺

いて戻れ大津車にかたつぶり 夏目成美
おもひ得たり竹三竿にかたつむり 加藤曉台
かげろふやつぶりと落しかたつぶり 井上士朗
かたつぶりけさとも同じあり所 黒柳召波
かたつぶりはふや菜売の来た匂ひ 桜井梅室
かたつぶり落けり水に浮もする 加舎白雄
かたつぶり落ちけり水に浮きもする 白雄 白雄句集
かたつぶり角出せ蝉の眼玉 朱拙
かたつぶり踏破る方や初ざくら 一笑(金沢)
かたつぶり酒の肴に這せけり 其角 五元集
かほみせや蝸牛の角のふたやぐら 完来
くさぶかき庭に物有蝸牛 凉菟
ころ~と笹こけ落し蝸牛 杉風
しのばずに皃ふりあげよ蝸牛 早野巴人
しら玉か何ぞと竹の蝸牛 凉菟
たのみなき角としおもへ蝸牛 加藤曉台
ちまきには角なしさゝに蝸牛 支考
つのもじや芋の二葉にかたつぶり 秀億 靫随筆
つまみ上て見れば隠れぬ蝸牛 三宅嘯山
ひとなみににじり上りやかたつぶり 馬場存義
三つよれば其師やあらん蝸牛 松岡青蘿
争はぬ兎の耳やかたつぶり 其角
今朝みれば夜の歩みやかたつむり 炭太祇
伊勢が家はきのふうれたり蝸牛 井上士朗
凩となりぬ蝸牛の空セ貝 其角
凩や垣に角見ぬかたつぶり 一笑(金沢)
古壁やともに崩るゝかたつぶり 凉菟
埋火や老てしたがふ蝸牛 早野巴人
声ありと知られぬもよし蝸牛 蓼太 蓼太句集三編
夜*べの雨馬藺に殖ぬ蝸牛 黒柳召波
夜を寐ぬと見ゆる歩みや蝸牛 炭太祇
妍かたち女の鬼歟かたつぶり 百里
宝引に蝸牛の角をたゝく也 其角
宝引に蝸牛の角を叩くなり 其角 五元集
客はたれ杖這上る*蝸牛 左次
山歯朶や寸にあまれる蝸牛 加舎白雄
山風の吹ぞ葎のかたつぶり 松窓乙二
帆に風を持たふり也かたつむり 成田蒼虬
幾とせの槻あやかれ蝸牛 桃隣
弓杖に蝸牛の歩行みつるかな 東皐
引入て夢見顔也かたつぶり 炭太祇
影高き松にのぞむや蝸牛 炭太祇
心には翅もあらん蝸牛 午心 発句類聚
怠ぬあゆみおそろしかたつぶり 炭太祇
我に向て何用あるぞ蝸牛 五明
我むかし踏みつぶしたる蝸牛かな 上島鬼貫
戦ぐ葉や移らん事はかたつぶり 三宅嘯山
打水や壁より落る蝸牛 介我
折あしと角おさめけむ蝸牛 炭太祇
拾はれて行日もあらん蝸牛 凉菟
文七にふまるな庭のかたつぶり 其角
斧入る木に落ついてかたつぶり 桜井梅室
日盛に角は出さじかたつぶり 望月宋屋
日盛りや一足づゝにかたつぶり 望月宋屋
有てなき角おもしろし蝸牛 露川
有侘て這ふて出けむかたつぶり 炭太祇
木啄のつゝきからすや蝸牛 桃隣
来し跡のつくが浅まし蝸牛 炭太祇
松茸にのぼりすますや蝸牛 野紅
枇杷の葉やとれば角なき蝸牛 其角
梅落て蝸牛角引かきね哉 為有
橋に来て踏みふまずみ蝸牛 桃隣
此庵もまた隣ありかたつぶり 万子
殻になる無常もありて蝸牛 田川鳳朗
煤茅にすゝけておかしかたつぶり 加舎白雄
物の葉や落んとしては蝸牛 秋香 新類題発句集
猫の子に嗅がれて居るや蝸牛 椎本才麿
田にしより一段にぶし蝸牛 鈴木道彦
由来なき絵や書壁の蝸牛 史邦
登りつめて落たり竹の蝸牛 高桑闌更
白露や角に目を持かたつぶり 嵐雪
白露や角に目を持つかたつぶり 嵐雪 其便
笋の皮と落けりかたつぶり 東皐
笹の葉に何と寝たるぞ蝸牛 支考
紀の関も越ば伴へかたつぶり 建部巣兆
絵すだれや絵かとおもへば蝸牛 如行
翅あるものを笑ふ歟かたつぶり 完来
茸狩や鯛の鱗にかたつぶり 三宅嘯山
蓑虫の角やゆづりし蝸牛 素堂
蘭の香や角振戻す蝸牛 桃隣
蝸牛あしも手も出せ月夜なる 寥松
蝸牛すゞしや家の引きどころ 素丸 素丸発句集
蝸牛扇子鳴らせばふりかへる 桜井梅室
蝸牛浅茅に花の咲をまて 松窓乙二
蝸牛淵にのぞむや篠のさき 桜井梅室
蝸牛百日紅の木末まで 桃隣
蝸牛目やさますらん秋の風 北枝
蝸牛豆かとばかり柳かな 其角
行先を角に捜るや蝸牛 三宅嘯山
角出して這はでやみけり蝸牛 炭太祇
角文字のいほりに題すかたつぶり 高井几董
角文字の井筒朽てやかたつぶり 馬場存義
身の筋の貝に通りぬかたつぶり 三宅嘯山
軒口へ何をつたひし蝸牛 岱水
這渡る式部が筆やかたつぶり 高桑闌更
鎌倉やむかしの角の蝸牛 其角
雨に猶自由をしる歟蝸牛 望月宋屋
雨よりも雨の臭ぞするかたつむり 寥松
頼みてや竹に生るゝかたつぶり 其角
鳥の跡見するや竹の蝸牛 中川乙由
鼻息をうしとやちゞむ蝸牛 琴風

以上
by 575fudemakase | 2016-06-11 14:29 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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