黒南風 の俳句

黒南風 の俳句

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黒南風 補遺

広州の黒南風に咲く木綿花 松崎鉄之介
棕梠の実に白南風磧より来り 大野林火 海門 昭和十年
毒の風黒南風に又中りけり 相生垣瓜人 負暄
沖通る帆に黒南風の鴎群る 飯田蛇笏 山響集
白はえや写字する窓の時明り 正岡子規 白南風
白南風にかざしてまろし少女の掌 楠本憲吉 隠花植物
白南風に浦底の漁家かたまりぬ 阿波野青畝
白南風に聞いて鴉の喃語かな 林翔
白南風の 冲で逆立つ潜りの父 伊丹三樹彦
白南風のからまつやまへ馬の耳 鷲谷七菜子 花寂び
白南風の庭に置かれて白き椅子 稲畑汀子
白南風の恋路ケ浜や唄もなし 石塚友二 玉縄抄
白南風の池を人訪ふごとく訪ふ 岡井省二 猩々
白南風の牛はさびしき眼せる 加藤秋邨
白南風の雙耳となりきつてゐし 岡井省二 前後
白南風やうつうつとして明治丸 石田波郷
白南風やかさねて藍の皿小鉢 松村蒼石 雪
白南風やきりきり鴎落ちゆけり 角川源義
白南風やさざ波たてゝ澄める潮 鈴木真砂女 卯浪
白南風や化粧にもれし耳の蔭 日野草城
白南風や妻は水吾は空気にて 林翔
白南風や椅子にかなひて松の曲 上田五千石『天路』補遺
白南風や湖底にひらく貝の殻 桂信子 樹影
白南風や立ち去る妻の足の裏 日野草城
白南風や舟漕ぎ習ふ兄おとと 雨滴集 星野麥丘人
白南風や見のまま買ふたひら貝 鈴木真砂女 居待月
白南風や革に打ちつけ刃物とぐ 林翔 和紙
白南風や風吹もどす沙の羽織 沙明
白栄や写本の窓の時明り 正岡子規 白南風
磯釣に黒南風わたる沖くらし 水原秋櫻子 餘生
練習船白南風の帆を並めて航く 橋本多佳子
荒南風の橋下に澄みて山と町 飯田龍太
誰がための権力政治黒南風す 相馬遷子 雪嶺
逢ひたきか逢ひたし白南風応へけり 山田みづえ 忘
釣りあげて魚にもつばさ白南風 鷹羽狩行
雲流るる音白南風として聞けり 松崎鉄之介
黒南風がひたと身を打つ岩魚釣り 飯田龍太
黒南風が棗の花を掻消せり 相生垣瓜人 負暄
黒南風が殖え老斑が殖えにけり 相生垣瓜人 明治草
黒南風にのりてぞひとの還りける 加藤秋邨
黒南風に乗りて逸れる烏蝶 相生垣瓜人 負暄
黒南風に兎波のわたる湖の北 角川源義
黒南風に切傷しみる運河べり 秋元不死男
黒南風に嫌人癖の亢ずる日 相馬遷子 山国
黒南風に玩ばるる幼な竹 相生垣瓜人 負暄
黒南風に雲低き日となりにけり 稲畑汀子
黒南風の岬に立ちて呼ぶ名なし 西東三鬼
黒南風の手鉤に垂らす焼け衣裳 飯田龍太
黒南風の窓のだんだん重くなる 岸田稚魚 紅葉山
黒南風の蘆原雲のごとくなり 松村蒼石 雪
黒南風の辻いづくにも魚匂ひ 能村登四郎
黒南風の雀は細身閣は古り 下村槐太 天涯
黒南風の黒まぎれなし壁鏡 岡本眸
黒南風は伏屋のものを染めつくす 相生垣瓜人 微茫集
黒南風は洲の葦原を束ね吹く 松村蒼石 雁
黒南風も薩摩料理の酒相手 百合山羽公 樂土
黒南風やゆびもてなぞる向拝鬼 加藤秋邨
黒南風やドミノ倒しに植木鉢 山田みづえ まるめろ
黒南風や上衣を肩にさすらへば 上田五千石『琥珀』補遺
黒南風や妻の言葉の隅に嶮 楠本憲吉 方壺集
黒南風や栗の花紐垂りしづる 臼田亜郎 定本亜浪句集
黒南風や校倉ならぶ間に松 下村槐太 天涯
黒南風や水車の軸の膏箆 飯島晴子
黒南風や波は怒りを肩に見せ 鈴木真砂女 夕螢
黒南風や洋上ライブ音合せ 飯島晴子
黒南風や焼火の山は眉のごと 角川源義
黒南風や病む母をただ傍観し 相馬遷子 雪嶺
黒南風や船の鉄鎖の滑る音 阿波野青畝
黒南風や薊は痛きものと知れ 鈴木真砂女 夏帯
黒南風や覆刻本の文字かすれ 石川桂郎 四温
黒南風や買つてすぐ嚥む陀羅尼助 鈴木真砂女 都鳥
黒南風や鞭つ如く描く顔 相生垣瓜人 微茫集
黒南風や鯵のひらきの焼きざまし 鈴木真砂女 卯浪
黒南風惨至宝の人を逝かしめて 楠本憲吉 方壺集

以上