雲の峯 続補遺

雲の峯 続補遺

かん～と月になりけり雲の峯 長翠
けうときは鷲の栖や雲の峰 祐甫
けふよりや互の中の雲の峯 水颯
しぐるゝや南に低き雲の峰 高井几董
たま～に居る人は寐て雲の峰 成田蒼虬
つりばしのうけも動ず雲の峯 兀峰
とり～に名を付にけり雲の峯 芙雀
なき人に逢ふ心有り雲の峰 林紅
のぼるほどつかるゝ日あり雲の峰 蓼太 蓼太句集初編
はかなさをみせて消るや雲の峯 土芳
ふけば散ものゝ冷まじ雲の峯 加藤曉台
ふみ崩せ長野峠の雲の峰 梢風尼
ほつらかす風のくらいや雲の峯 りん女
むらさきの貝にうつすや雲の峯 りん女
よべの夢おもへばこはし雲の峰 梢風尼
をのづからをのづからこそ雲の峰 惟然
三ヶ月の気にやしらけし雲の峯 曽良
三日月を二尺よせたし雲の峰 柳居 柳居発句集
下風とはいへどふかぬよ雲の峰 杉風
入梅既に明るか雲の峰作る 早野巴人
八棟に落かさなるや雲の峯 壺中
刈畑の煙を直に雲の峯 釣壺
前山の兀やおし出す雲の峯 四睡
印籠の薬も湧や雲の峯 望月宋屋
去年に似ず昨日に変る雲の峰 望月宋屋
名をつけて見る隙もなし雲の峯 中川乙由
土用餅腹で広がる雲の峰 許六
塩鳥や水にうきたつ雲の峰 望月宋屋
壁ぬりの泥鏝の動きや雲の峯 其角
夕ばえや屋敷の内に雲の峰 仙化
夕照に遠近わけて雲の峯 卓池
大江山余所に恐ろし雲の峯 三宅嘯山
太白星白け行衛や雲の峯 三宅嘯山
寂滅の鐘の響きや雲の峯 正秀
寐てくらす麓の嵯峨ぞ雲の峯 小西来山
尚暑し雲の峯たつ江戸の町 三宅嘯山
尼達に冨士を見せけり雲の峯 中川乙由
山寺や岩に負ヶたる雲の峰 桃隣
嵐にも崩れぬ物や雲の峯 上島鬼貫
川の帆や青葉が中の雲の峯 野坡
巡礼の浴衣おそろし雲の峯 望月宋屋
帆にかけて猶ひれふるや雲の峰 其角
弓張は縁へ抜けり雲の峯 野坡
我夢を盧生笑ふか雲の峯 正秀
旅立や海に根をさす雲の峯 紫道
早稲の香や夜さりも見ゆる雲の峰 小林一茶
是までと崩れてのくや雲の峯 露川
暮待や藪のひかへの雲の峯 去来
楼の屋根に人あり雲の峰 三宅嘯山
欄干で*抓まば鳰の雲の峯 露川
此ごろの見るものとては雲の峯 成美 成美家集
武蔵野や何疑ん雲の峰 晩得 哲阿弥句藻
残る日の匂ひや雲の峯隣 正秀
江を染る入日の前や雲の峰 卯七
海山を父母にして雲の峰 亀洞
清滝や風にひしげる雲の峯 沾圃
照つけるさらしの上や雲の峯 許六
燕のとり付立や雲の峯 吾仲
獅子の子の中がへりけり雲の峰 挙白
田の水は空に涌てや雲の峯 塵生
畠うつ黒き背中や雲の峰 凉菟
眼にさわる鳥は消たり雲の峰 千代尼
砕行おもひや秋の雲の峯 乙訓
神鳴のつかみちらすや雲の峯 紫道
秋たつや中に吹るゝ雲の峰 左次
秋風の口をあぐるや雲の峯 りん女
立むかふ二階の我と雲の峯 露川
筆の林つくろひ物や雲の峯 調泉 坂東太郎
船頭のはだかに笠や雲の峯 其角
艮のことに恐し雲の峯 黒柳召波
花樗つい鼻附キて雲の峯 白雪
葛城や松の生込雲の峯 桃妖
葬礼の田中をゆくや雲の峯 鈴木道彦
蟻の道雲の峰よりつゞきけん 小林一茶
行がゝり～けり雲の峯 魯九
行めぐる田の水音や雲の峰 卓池
袖の浦やおもふあたりを雲の峰 支考
見帰るやあとに音羽の雲の峯 中川乙由
解捨て帯せぬ山や雲の峰 馬場存義
谷間に橋も見えけり雲の峯 野明
走り穂のちら～見えて雲の峰 成田蒼虬
道ばたに撫子さきぬ雲の峰 井上士朗
野社に太皷うつなり雲の峰 北枝
釜に立龍をつら～雲の峰 野坡
釣あげて海から高し雲の峯 旦藁
陣貝の声のつよさや雲の峰 十丈
雲の峯あまの羽衣干て見せ 乙訓
雲の峯きのふに似たるけふもあり 加舎白雄
雲の峯たつころ青き世界かな 長翠
雲の峯たとへば涼し凍餅 支考
雲の峯や山見ぬ国の拾ひ物 西鶴
雲の峯海にゆられて崩れけり 朱拙
雲の峯海に移りて居りけり 三宅嘯山
雲の峯石臼を挽く隣かな 李由
雲の峯秋たつ岡と成にけり 露川
雲の峯腰かけ所たくむなり 野水
雲の峰に肘する酒呑童子哉 与謝蕪村
雲の峰土用をこゆる駕もなし 許六
雲の峰夜もくづれず泊り川 桜井梅室
雲の峰大名宿に入かゝる 鈴木道彦
雲の峰嶮しくも日の光かな 望月宋屋
雲の峰空に心のもやつきぬ 桐雨 其袋
雲の峰糊の利いたる日和かな 素丸 素丸発句集
鞠程があれになりけり雲の峯 凉菟
飛鳥川又浮世也雲の峯葭 乙訓
馬鹿鳥ののめりありくや雲の峰 鈴木道彦
鳥の羽の障らば焦ん雲の峯 三宅嘯山
鳶の羽や夕日にすぎて雲の峰 荻人
鶯も音を入て来て雲の峯 成田蒼虬
鷹出の泡だつ空や雲の峯 支考

以上