菌 の俳句
菌 の俳句
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菌 補遺
いうれいは知らず幽霊茸きよら 鷹羽狩行
かゞまりて母がとるなりねずみ茸 百合山羽公 春園
きさらぎや乾茸にある深山の香 鷹羽狩行
きのこ出ぬいまも容は菌山 百合山羽公 樂土
きのふより母の座があり茸飯 能村登四郎
けふの日の茸山はあり月の暈 原石鼎 花影
けむり茸ぱたぱたと踏みいざ後生 飯島晴子
こけしなど棚にかざれり茸汁 山口青邨
ここ越えし翁のこゑの笑茸 森澄雄
こしかけて山びこのゐし猿茸 飯田蛇笏 霊芝
この霖雨茸育てと言ふならむ 上田五千石『琥珀』補遺
これが茸山うつうつ暗く冷やかに 橋本多佳子
ころ~ところがる杣や茸の毒 飯田蛇笏 霊芝
さしつれて唐傘茸や森の中 山口青邨
さんざめく毒茸のあり懲らしめき 相生垣瓜人 明治草抄
しめりある茸山の風土も亦 上村占魚 鮎
その毒に既に厭きたる茸の如 相生垣瓜人 明治草抄
その辺で拭きし毒茸触りし手 後藤比奈夫
それらしき猪鼻茸に魘される 佐藤鬼房
たのしとも思はず茸の秋ふけて 百合山羽公 故園
たれかまた来る艪の音や茸山 山口青邨
ちんぷんもかんぷんも皆茸也 岸田稚魚 紅葉山
とある笠膏のごとく菌肥え 阿波野青畝
どこの家にも梅雨茸やいさくさや 安住敦
どつと日が落ち狼狽や茸筵 山口青邨
ながあめの離島の紅き流れ茸 佐藤鬼房
なんとなくをり紅茸にかこまるる 岸田稚魚 紅葉山
ねづみ茸もゆる木の間を神詣 前田普羅 春寒浅間山
ばらばらに崩るゝは毒はげしき茸 右城暮石 句集外 昭和二十八年
ひえびえと霖すぎし菌山 松村蒼石 寒鶯抄
ひとところ酒のにほへる菌山 松村蒼石 雁
ひとを恋ふ掌に毒茸の紅あざやか 伊丹三樹彦
ほろほろと茸こはるゝ眠姥 飯島晴子
みすずかる信濃をとめに茸問はな 飯田蛇笏 山響集
みちのくの茸さきがけぬ土瓶蒸し 水原秋櫻子 蘆雁以後
みよしのの白拍子めく菌かな 阿波野青畝
ものゝ香のきのこあるべく思ふかな 正岡子規 茸
ものゝ香の茸あるべくも思ふかな 正岡子規 茸
もろもろの茸の怒り泛く山中 飯島晴子
やまびこのゐて立ちさりし猿茸 飯田蛇笏 霊芝
ゆく年の水ひびきゐる猿茸 飯田龍太
ゆるみなき茸縄つづく札所径 原裕 青垣
よべの月細くも差せし茸山 百合山羽公 寒雁
わが杖に幾梅雨茸の掛かりけむ 相生垣瓜人 明治草
わが門に驚破毒茸の現るる 相生垣瓜人 明治草抄
セントバーナードゐて岩茸を干せる家 飯島晴子
一壺酒のたくはへありて茸焼く 木村蕪城 一位
一山を歩きて茸は六つほど 高野素十
三夕とて茸山見て目の赤し 岡井省二 鹿野
下呂下呂と毒の茸に雨ふらす 金子兜太
下野に山鳥といふ茸ありと 高野素十
不幸にて雑茸汁を賞でて食ふ 細見綾子 雉子
乾茸の香は青空へ遁げしまま 飯田龍太
五月雨や簀の子の下の大茸 正岡子規 五月雨
人も來ず辻堂荒れて線香茸 正岡子規 茸
人よりも人を愁ふる猿茸 後藤比奈夫
今しがた聞きし茸の名は忘れ 上村占魚 鮎
今年食ひし茸いろいろ栗茸も 森澄雄
仙台の芭蕉の辻は茸売る 山口青邨
体のままの命(みこと)が食して茸(くさびら)よ 岡井省二 大日
借問すその菌飯いつのこと 高野素十
僧の機嫌雑茸山の風に吹かれ 橋閒石 和栲
先行きし人取り捨てし毒茸 右城暮石 虻峠
冬茸を焼く鉄工の太き手が 佐藤鬼房
切株や雪解けしたる猿茸 飯田蛇笏 山廬集
力なき眼に月夜茸うかぶかな 赤尾兜子 玄玄
卓上へ籠傾けて菌出す 右城暮石 天水
口々に月夜茸とて恐れけり 中村汀女
名も知らぬ茸や山のはいり口 正岡子規 茸
吾も老いぬ娘のかしぎたる菌飯 星野立子
唐傘茸花魁がさす紋次郎がかぶる 山口青邨
四五日は埃立つべし埃茸 後藤比奈夫
国引の島根を指呼にけむり茸 角川源義
埃茸濡れゐて乾きゐる埃 後藤比奈夫
夏雲の茸雲めく子は知らず 伊丹三樹彦
夕蝉にふわりとひらく狐茸 松村蒼石 寒鶯抄
夜は天狗茸と語るか石仏 鷹羽狩行
大寒の巨樹に蝟集の茸あり 飯田龍太
大木の虚の古茸冬の空 飯田龍太
天落つる煤や茸山煙らせば 山口誓子
奥甲斐の夜毎の月の猿茸 飯田龍太
奥鬼無里帚茸生ふ文殊堂 松崎鉄之介
好日のいちにちなりし茸飯 森澄雄
妻子等嘗て此処に饑ゑたり日の茸 中村草田男
妻肥えぬ我菌を出さずなりし冬 石田波郷
嫁ぎゆく網茸なめこの出盛りに 佐藤鬼房
子なき我レ木の冬茸を見て遊ぶ 右城暮石 句集外 昭和十四年
客ひとり塩づけ茸の目貼り宿 及川貞 夕焼
寒ざれの入日荘厳けぶり茸 加藤秋邨
寒茸生ふ窯ぐれ一人住ひかな 松崎鉄之介
小突くべき怪しき茸を見出でけり 相生垣瓜人 明治草
尻茸を生えしめ梅雨の痔とはいふ 石塚友二 光塵
屋根茸の鳥の巣のぞく夕日哉 正岡子規 鳥の巣
屯して烟上げゝり菌山 河東碧梧桐
山々とともに暮れぬる菌山 山口誓子
山の炉の客に大きな茸焼く 高野素十
山中に紅茸のこり眠気見え 飯島晴子
山中に菌からびぬ冬日輪 野澤節子 鳳蝶
山笑ふ神の茸ぞ命継げ 角川源義
岩に手を触れて茸の季とおもふ 飯田龍太
岩茸の山といふなり高からず 石田勝彦 雙杵
岩角がところ~に菌山 高野素十
岬の会話茸は小人鮑は血 金子兜太
岬の蔭胎児さえざえと菌生え 赤尾兜子 虚像
峡冷えの冷えは嘆きに似て菌 秋元不死男
峰雲に一木脚の菌雲 山口誓子
川茸を月夜の水のごとく噛む 加藤秋邨
帰郷した鼻でさまよう 茸山 伊丹三樹彦
常のごと寝酒しなのの冬小茸 角川源義
干茸に時雨れぬ日とてなかりけり 松本たかし
干菌山の日和に反りかへる 水原秋櫻子 磐梯
平茸はいづくなるやと雲およぐ 岡井省二 夏炉
平茸や兼好すみし家のあと 正岡子規 茸
序の口の糞茸日和きのこ狩 百合山羽公 樂土
庫裡の笊けふは名もなき菌干す 後藤夜半 底紅
庭山の小谷もありて栗茸(くりもたし) 松本たかし
彩色の岩屋三尊菌生れ 阿波野青畝
扁額の金鮮しや菌山 波多野爽波
批評うるさしや麺麭には口ープ菌 山口誓子
控木に五月雨の茸並びけり 正岡子規 五月雨
新しきものに齢や茸飯 上田五千石 琥珀
日が暮れてさむくなりけり茸汁 三橋敏雄
日は山をはなれて遊ぶ猿茸 古舘曹人 樹下石上
旦見て夕べは空し梅雨の茸 阿波野青畝
昆陽みぞろ茸山戻りたそがるゝ 河東碧梧桐
春の茸生えてうつつの地と思ふ 飯田龍太
春寒し茸談義の埓もなや 角川源義
春禽や何やどさむと猿茸 角川源義
昼茸に大きく揺るる山の樫 桂信子 花影
時季外れ湯治場雑茸売りゐたり 細見綾子
晩年へ踏みこんでゐる菌山 岡本眸
晴天に落葉狂へる猿茸 飯田龍太
暮るること早し茸を見てあれば 右城暮石 句集外 昭和二十四年
月の出て浮き足立ちし茸かな 岸田稚魚
月光の降つてをりたる茸山 森澄雄
月夜にて紅茸喰らふなめくぢり 藤田湘子
月夜茸その名の夜を恵まれず 上田五千石 琥珀
月夜茸如何なけものの通りけむ 藤田湘子 てんてん
月夜茸山の寝息の思はるる 飯田龍太
月夜茸持てば女の身は細り 加藤秋邨
朝月の歯切れよきかな菌山 波多野爽波
木々寒し群ら立つ茸に雨の矢を 飯田龍太
木の奥の木をゆく霧とゐぐち茸 飯田龍太
未知の発音尖る陸橋の白い茸 赤尾兜子 蛇
本丸の趾や炉を築き茸汁 山口青邨
松の下にいくち多く生えて古き庭 正岡子規 茸
松の蕊赤きとき又菌を出す 石田波郷
柚にまさる茸の香りや土瓶蒸し 鷹羽狩行
柿むくやよべは茸を選りし灯に 木村蕪城 一位
栗よりもすでに茸の艶まさる 百合山羽公 故園
栗茸のかすかなる香を味はひぬ 相馬遷子 山河
栗茸また信楽の陶の色 百合山羽公 樂土
梅雨去ると全き円の茸立つ 西東三鬼
梅雨茸が一瞬青く見えて暮れぬ 加藤秋邨
梅雨茸こつきり消えてなくなれり 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
梅雨茸に揮はむ杖を曳きをれり 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸に晴れ間晴れ間の淡き風 佐藤鬼房
梅雨茸に樺色淡き夕日かげ 佐藤鬼房
梅雨茸に見たことのなき色があり 上野泰 春潮
梅雨茸に飽きたる蟻の帰り行く 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸のくらくら光り家売らる 鷲谷七菜子 銃身
梅雨茸のけものの如くかたまれる 山口青邨
梅雨茸の人にも見せて捨てらるる 後藤夜半 底紅
梅雨茸の咲くわが棺に腰掛けて 野見山朱鳥 天馬
梅雨茸の子茸に色は配られず 上田五千石『琥珀』補遺
梅雨茸の文目もわかず融けてゆく 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸の生ひては潰え書庫の裏 山口青邨
梅雨茸の頸刎ねて門叩きけり 石塚友二 光塵
梅雨茸や不祝儀袋買置なし 安住敦
梅雨茸や低空飛行実に低し 山口誓子
梅雨茸や勤辞めては妻子飢う 安住敦
梅雨茸や日も夜もまとふ洋奴の衣 小林康治 玄霜
梅雨茸や死後あれこれと噂出て 能村登四郎
梅雨茸や洩れ日にひらくコンパクト 上田五千石 田園
梅雨茸や祖谷も奥なるかくれ墓 能村登四郎
梅雨茸や防犯燈の脚くらく 伊丹三樹彦
梅雨茸を足蹴に仏探ねかな 上田五千石『森林』補遺
梅雨茸船降りてより流人の歩 角川源義
梅雨菌仲よう傘をならべけり 阿波野青畝
梅雨菌大団結をもくろめり 阿波野青畝
梅雨菌必ず足蹴されにけり 阿波野青畝
梅雨菌雨落ちざるに笠をさす 阿波野青畝
植え茸のまことしやかに笹の中 高野素十
楮茸りりしき足をしてゐたる 右城暮石 散歩圏
榎木茸貝割菜わが食細し 右城暮石 散歩圏
歯朶で蓋せし茸籠とすれ違ふ 鷹羽狩行
母の言ひ継ぎ妻に多くて茸飯 松崎鉄之介
母救へず父も救へず猿茸 後藤比奈夫
毒の茸果して陰に籠りゐし 相生垣瓜人 明治草
毒茸なども机の上に置く 石田勝彦 秋興以後
毒茸に嗤はれたれば打擲す 相生垣瓜人 負暄
毒茸に青草なびく山時雨 飯田龍太
毒茸のすべて砕かれしが嗤ふ 橋閒石 無刻
毒茸のぽろぽろ崩る柄も笠も 右城暮石 散歩圏
毒茸の下や誰が骨星が岡 正岡子規 茸
毒茸の人の気配のうちにあり 岸田稚魚
毒茸の侘びに侘びつつ失せてゆく 相生垣瓜人 明治草
毒茸の前後にありて笑へりき 岸田稚魚
毒茸の独語をしづめ山の霧 三橋鷹女
毒茸の粉黛誰もよろこばず 上田五千石『琥珀』補遺
毒茸の紅ぬめぬめと欺きぬ 富安風生
毒茸の蹴られ踏まれてへつらへる 鷹羽狩行
毒茸は毒々しきぞ潔き 相生垣瓜人 明治草
毒茸もあな目覚ましと云ふ如し 相生垣瓜人 負暄
毒茸も光葆(つつ)むと云ふらしも 相生垣瓜人 明治草
毒茸も妍の如きを競ひけり 相生垣瓜人 明治草
毒茸や緑青日和側にあり 平畑静塔
毒茸や赤きは眞赤黄は眞黄 正岡子規 茸
毒茸を踏むが煙の立ちはじめ 桂信子 花影
毒茸を顧みたりし穴惑ひ 相生垣瓜人 負暄
毒茸を食ひて飽かざる蝸牛あり 相生垣瓜人 明治草
毒茸月薄眼して見てゐたり 飯田龍太
毒茸真つすぐに夢見る如し 飯島晴子
水禍頻々朱き梅雨茸土に木に 野澤節子 未明音
沸々と毒茸毒を噴きをれり 相生垣瓜人 明治草
泉原や皆夕ぐれの菌山 高野素十
泊雲忌過ぎし丹波の茸山に 高浜年尾
法の雨毒茸の綺羅そこなはず 上田五千石『琥珀』補遺
流川を過ぎて近づく菌山 山口誓子
海坂に日照るやここに孤絶の茸 西東三鬼
涼しさや茸がはえてぬるゝ塀 村上鬼城
淋しさや木の子にまじる雁もどき 正岡子規 茸
深山茸わが盃に酒あふれ 水原秋櫻子 帰心
滑茸の笠蛞蝓の舐めつくす 右城暮石 虻峠
火の島に茸雲立ち夕薄暑 角川源義
煙茸踏んでこの生けぶりめく 伊藤白潮
煤茸といふはとりわけ色黒し 上村占魚
猿茸二斗飲むたより年の豆 角川源義
猿茸飲み怠るも天高し 佐藤鬼房
獲たる茸手に重しとも言はざらむ 相生垣瓜人 明治草
瓦茸新茶の筒と枕べに 石川桂郎 四温
生木踏み昼から暗き菌山 鷲谷七菜子 花寂び
疲れゐて雨の紅茸傘で刺す 加藤秋邨
白塗りののつぺらばうの梅雨茸 藤田湘子 てんてん
白拍子斯かる菌と化けにけん 阿波野青畝
盃の立派なること茸莚 高野素十
盆茸も一つ重文大草屋 百合山羽公 樂土以後
相生の松の陰より木の子哉 正岡子規 茸
眉間にて呼吸してゐたり月夜茸 岡井省二 大日
真夜中の雪ねんごろに猿茸 飯田龍太
着物新しく菌を眺めかな 永田耕衣
知りつくす茸山へ客案内して 右城暮石 句集外 昭和三十四年
石で殺した城に茸さがす若者ら 赤尾兜子 虚像
石橋をすぐそこにして笑茸 岡井省二 大日
砂茸あり再び酒を温むる 高野素十
破れやすきたぐひなるべし梅雨菌 阿波野青畝
確がなる傘のさしざま梅雨の茸 阿波野青畝
神領の山家暮しの茸干し 清崎敏郎
禅寺の地領茸山たるの縄 山口誓子
禅寺の石階を経て茸山へ 山口誓子
空の中足をはこびし茸山 岡井省二 猩々
笑ひごゑ消えしあたりに春茸かな 岸田稚魚
笑ひ茸池の面にこゑこぼれけり 岡井省二 鯨と犀
笑ひ茸笑ひころげてくたつあり 上田五千石 風景
笑ひ茸誰に笑ふや雨後の山 岡井省二 鹿野
笑ひ茸食べて笑つてみたきかな 鈴木真砂女 都鳥
笑ひ顔して死す茸の毒はげしき 右城暮石 句集外 昭和三十三年
笑茸隠れて口にしてみむか 雨滴集 星野麥丘人
笠ほどの茸の生ふる曠野とか 高野素十
箸割つて待つお裾分け茸飯 佐藤鬼房
籠の中に色々の茸集めけり 尾崎放哉 大学時代
紅茸と遇ひて前言ひるがへす 上田五千石 風景
紅茸に人の気配の近みつつ 飯田龍太
紅茸のつむり幼き墳墓の地 飯田龍太
紅茸は木の葉に消えず山時雨 飯田龍太
紅茸や 空を仰げば 空まぶし 富澤赤黄男
紅茸や一身往かす雲の中 岸田稚魚
紅茸や男にはなき鉄面皮 鷹羽狩行
紅茸を一蹴一蹴何ぞさみし 上田五千石『琥珀』補遺
紅茸を怖れてわれを怖れずや 西東三鬼
紙袋茸大切に出し入れす 右城暮石 散歩圏
結界の紅茸どもへ鐘一打 藤田湘子 神楽
編笠に似て一本や毒茸か 高田風人子
美しき茸の毒に手触ればや 上田五千石『琥珀』補遺
老い先の短に冬の茸焼く 佐藤鬼房
耳茸と知る山姥の山の幸 阿波野青畝
肉親や雑茸汁の湯気の中 細見綾子
肥る船体 寒光の茸 出没し 伊丹三樹彦
腸うねり大腸加答児菌はびこる 日野草城
腸の闇大腸加答児菌ひかる 日野草城
舌禍この流れ茸のごとくあり 佐藤鬼房
般若寺の負ひたる小さき茸山 岸田稚魚
色黄にして穴の多きは毒茸ぞ 正岡子規 茸
色黄にして裏に穴あるは毒茸ぞ 正岡子規 茸
花の寺桂郎茸偸りにけり 角川源義
茅茸の 軒ふところへ 濡れ燕 伊丹三樹彦
茶碗茸まこと茶碗や雨ためて 山口青邨
茶茸得て歸らんとすればしめぢ哉 正岡子規 茸
茶茸得て歸る小山のしめぢ哉 正岡子規 茸
茸など胃の腑に入れし静夜あり 森澄雄
茸にほへばつつましき故郷あり 飯田龍太
茸のこと話しぬる湯に婆二人 高野素十
茸のため峡の日和を嘆かへる 上田五千石『天路』補遺
茸の塵掌にかきよせて黄なるかな 右城暮石 声と声
茸の季にしばらく間ある夕焼空 飯田龍太
茸の季のとどめの雨の夜明まで 飯田龍太
茸の季の闇まだ覚めぬ川の音 飯田龍太
茸の香に日空全き尾根の径 飯田龍太
茸の香のふんぷんとして道険し 日野草城
茸やく松葉くゆらせ山日和 高野素十
茸を追ひ且つ屡は山も見る 相生垣瓜人 明治草
茸多く朴の落葉の夥し 松本たかし
茸山きのふの人の声のこる 飴山實 少長集
茸山ならざるはなき四方かな 高野素十
茸山にきき耳たてて木の実たち 飯田龍太
茸山にわかれし兵や雲がくる 飯田蛇笏 心像
茸山にゐて人くさき話する 上田五千石 琥珀
茸山に失ひしもの遂に出ず 右城暮石 句集外 昭和三十五年
茸山に来て肌寒き座敷かな 右城暮石 句集外 大正十五年
茸山に連れて来ざりし妻のこと 山口誓子
茸山に遊びて京の旅終る 高浜年尾
茸山の暗きへ誘ひふりむかず 上田五千石『琥珀』補遺
茸山の木の香祖父母の香とおもふ 飯田龍太
茸山の白犬下り来るに逢ふ 山口誓子
茸山の真の深みにはまりをり 斎藤玄 雁道
茸山の苔のまみどり懸巣鳴く 飯田龍太
茸山の道なき道のかぎりなし 篠原梵 年々去来の花 雨
茸山の頂上に水置かれたり 右城暮石 声と声
茸山の高からざるも瞰下す景 右城暮石 句集外 昭和三十三年
茸山の麓を通る天気かな 日野草城
茸山へひかりのはしをのぼりゆく 岡井省二 夏炉
茸山へ入口によき水の湧く 右城暮石 句集外 昭和十年
茸山もねむりに入りし空のいろ 飯田龍太
茸山や夫人晴着に襷がけ 日野草城
茸山や巨石うしろに酒黄なり 渡邊水巴 富士
茸山をいま明方の驟雨過ぐ 飯田龍太
茸山を下り来て道に集まれり 右城暮石 句集外 昭和五十七年
茸山を淋しき顔の出て来たる 飯田龍太
茸山を背の酒ほしき夕べ来ぬ 石川桂郎 四温
茸山呆け鴉のこゑばかり 飯田龍太
茸山観月の山その上に 百合山羽公 寒雁
茸干す寺の厨の濃き日向 山口青邨
茸採りに行く杉山を通り抜け 右城暮石 虻峠
茸榾に雨ふりしぶく五月闇 飯田龍太
茸汁山のみづうみそこに見つ 大野林火 海門 昭和十二年
茸汁親類縁者に灯が二つ 金子兜太
茸焼くやときどき風の裏木立 草間時彦 櫻山
茸番に今宵まかりぬ老の父 石塚友二 光塵
茸番復員服のむかしより 百合山羽公 樂土
茸盡きて蓮根殘る哀れ也 正岡子規 茸
茸籠より一つづつ名を告げて 石田勝彦 百千
茸籠重からざれど憩ひけり 上田五千石『琥珀』補遺
茸莚この傾きを良しとする 波多野爽波
茸莚端のところが道に載り 高野素十
茸雲梅雨夜に咲かし終車発つ 角川源義
茸飯のぬくさも渚男夫人にて 草間時彦 櫻山
茸飯や兄弟の日はあらねども 齋藤玄 飛雪
茸飯匂へり次が厨歌 加藤秋邨
荒梅雨や老猫の瞳の菌生む 角川源義
菊日和塗抹無菌と告げにくる 角川源義
菌の傘くづれ天寿とする他なし 有馬朗人 母国
菌一盛だけに朝市婆坐る 百合山羽公 樂土
菌売の選つてくれたる苗大事 阿波野青畝
菌山に風たつ道の栞かな 飯田蛇笏 山廬集
菌山やゝ人境をへだてたり 山口誓子
菌山低山にして近づけり 山口誓子
菌山地底を壊すそれも人 赤尾兜子 歳華集
菌山天の直下に飯を食ふ 山口誓子
菌干して家毎の留守や有馬道 飯田蛇笏 旅ゆく諷詠
菌生ゆげほんげほんと犬の咳 秋元不死男
菌雲ならず春天色に浮く噴煙 赤尾兜子 歳華集
萱茸の厚さの涼や囲炉裏酒 石川桂郎 高蘆
萱茸の棟寿の文字谷戸小春 山口青邨
落栗を拾ひ茸を採らまくす 河東碧梧桐
落葉かく子に茸の名を尋けり 正岡子規 茸
虚無僧の心編笠茸の知る 後藤比奈夫
蛇穴に入りけり菌生えにけり 正岡子規 蛇穴に入る
蛤石松茸石と草紅葉 山口青邨
蜆蝶とべり唐傘茸よりひくく 山口青邨
蜩やつひに永久排菌者 石田波郷
蝋燭を林立皓々茸汁 山口青邨
蝿茸をなめたる蠅のよろ~と 高野素十
血が冷ゆる夜の土から茸生え 西東三鬼
行く雲は途中で消ゆる菌の香 永田耕衣
親の列白い茸に立到り 飯島晴子
講中の夜食に山の茸いろいろ 上田五千石 風景
赤埴に茸山の径十文字 前田普羅 飛騨紬
赤耳茸(あかみみ)を布袋背負いに 奥山から 伊丹三樹彦
足長の形正しき毒茸 右城暮石 散歩圏
踏まるるをひたすら待ちて煙茸 鷹羽狩行
踏みつけて弾力ありし毒茸 右城暮石 虻峠
逃げ惑ふ茸の一つを追ひ詰むる 相生垣瓜人 明治草
逢曳や古杭の頭に菌の耳 香西照雄 対話
道標が朽ちて梅雨茸にも劣る 鷹羽狩行
遠山青し近い山晴れて茸採りに行く 荻原井泉水
選り捨ててをる毒茸のどこ違ふ 右城暮石 一芸
里の子の見せじとかばふ菌籠 富安風生
釜炊きの茸飯せめて惜しまばや 石塚友二 方寸虚実
釣人と別れていそぐ茸採り 飯田龍太
銃声は他山のひびき茸こぞる 中村草田男
阿吽狛梅雨茸のいつ流れたる 佐藤鬼房
降り出して山さわがしき茸かな 岸田稚魚
陶町の萄の五彩や梅雨茸 角川源義
雑茸と茄子煮て食ぶる秋の暮細見綾子
雑茸のこれぞよろしききのこ飯 石塚友二 玉縄抄
雑茸のそれぞれの香の真昼時 飯田龍太
雑茸のふもとは鶏の放し飼 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
雑茸は子供がなせしやうに干す 右城暮石 句集外 昭和十年
雑茸も採れば皆貫く笹の茎 日野草城
雑茸を干すうぶすなの耳遠く 橋閒石 卯
雨雫ためてほうけし茸かな 山口青邨
雲浮ぶ土用茸の笠のいろ 飯田龍太
霜降茸採る人稀に落葉積む 水原秋櫻子 旅愁
霧いたみまぬがれがたしましら茸 阿波野青畝
青茸を一蹴せしに潰えけり 相生垣瓜人 明治草
風の音にくさる菌や秋の霜 渡邊水巴 白日
風光る神訪ねつぎ猿茸 角川源義
食へぬ茸光り獣の道せまし 西東三鬼
鳶の輪といづれはるけきけむり茸 岡井省二 明野
黒茸は少し苦しよ夜の酒 燕雀 星野麥丘人
鼠茸ときいて月夜となりゆけり 森澄雄
龍安寺塀の矢印茸山へ 川端茅舎
菌 続補遺
おくれ馳に魚さげゆかむ菌山 加藤曉台
くち木となおぼしめされそ榎茸 嵐雪
さびしさや菌のかさの窪たまり 鈴木道彦
つなぎ茸童*くじとる山路哉 一笑(金沢)
はつ茸やそつと並べる盆のうへ 成田蒼虬
まつ茸や浅野は風の吹あまし 野紅
中入に見まふ和尚や茸がり 炭太祇
伐株や米かし水を茸つくり 加舎白雄
冷泉の数珠につなげる茸哉 其角
出路経るこゝちや菊にえのき茸 嵐雪
十とせほど焼ぬ山なり雀菌取 寥松
唐の絵は鹿茸多し夏坐敷 野紅
市に出るひら茸うりは法師かな 高井几董
帋入は落イて取や菌苅 亀世
平茸や朽木を楯の片びさし 三宅嘯山
庭の雨蒔た菌もはえぬべし 露川
打杖に毒ある菌さくきかな 加舎白雄
日々の美濃路や汁の菌がり 露川
杜宇垣根荒けり榎茸 旦藁
松の葉にはつ茸見ばや夏の雨 支考
松の香は花とふく也さくら茸 其角
植て行人こそ見えね菌がり 支考
海茸にかはる色ありころもがゑ 野坡
白露の百歩に茸を拾ひけり 高井几董
神垣や幸茸は人の笠 大高子葉
筑摩鍋しづが茸かる帰さ哉 一笑(金沢)
紅茸に明野の比丘尼なつかしや 木導
紅茸の山めづらしき女中哉 尚白
紅茸やうつくしきものと見て過る 高井几董
紅茸や龍田の神の小物なり 尚白
能もつや大松茸の笠の茎 杜若
茸がりや山のあなたに虚労やみ 其角
茸がりをうらやむ旅のつかれかな 加舎白雄
茸とりはいとあはたゞし花の原 土芳
茸に似た糞して欺す狸かな 桜井梅室
茸の笠着て出たり秋の雨 許六
茸や御幸のあとの眉づくり 其角
茸山や殻鉄砲の一けぶり黒柳召波
茸市や指に弾ひて音をなす 三宅嘯山
茸時も過ぬ火棚のかけたばこ 鈴木道彦
落栗に思ひがけなき菌哉 桃隣
馬糞茸見るもうらめし女郎花 支考
鳥めぐる袖や笹茸唐辛 露川
鷹か茸か辻占聞ん狩衣 支考
鹿茸やつれ~草の凌霄華 蘆文
以上
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菌 補遺
いうれいは知らず幽霊茸きよら 鷹羽狩行
かゞまりて母がとるなりねずみ茸 百合山羽公 春園
きさらぎや乾茸にある深山の香 鷹羽狩行
きのこ出ぬいまも容は菌山 百合山羽公 樂土
きのふより母の座があり茸飯 能村登四郎
けふの日の茸山はあり月の暈 原石鼎 花影
けむり茸ぱたぱたと踏みいざ後生 飯島晴子
こけしなど棚にかざれり茸汁 山口青邨
ここ越えし翁のこゑの笑茸 森澄雄
こしかけて山びこのゐし猿茸 飯田蛇笏 霊芝
この霖雨茸育てと言ふならむ 上田五千石『琥珀』補遺
これが茸山うつうつ暗く冷やかに 橋本多佳子
ころ~ところがる杣や茸の毒 飯田蛇笏 霊芝
さしつれて唐傘茸や森の中 山口青邨
さんざめく毒茸のあり懲らしめき 相生垣瓜人 明治草抄
しめりある茸山の風土も亦 上村占魚 鮎
その毒に既に厭きたる茸の如 相生垣瓜人 明治草抄
その辺で拭きし毒茸触りし手 後藤比奈夫
それらしき猪鼻茸に魘される 佐藤鬼房
たのしとも思はず茸の秋ふけて 百合山羽公 故園
たれかまた来る艪の音や茸山 山口青邨
ちんぷんもかんぷんも皆茸也 岸田稚魚 紅葉山
とある笠膏のごとく菌肥え 阿波野青畝
どこの家にも梅雨茸やいさくさや 安住敦
どつと日が落ち狼狽や茸筵 山口青邨
ながあめの離島の紅き流れ茸 佐藤鬼房
なんとなくをり紅茸にかこまるる 岸田稚魚 紅葉山
ねづみ茸もゆる木の間を神詣 前田普羅 春寒浅間山
ばらばらに崩るゝは毒はげしき茸 右城暮石 句集外 昭和二十八年
ひえびえと霖すぎし菌山 松村蒼石 寒鶯抄
ひとところ酒のにほへる菌山 松村蒼石 雁
ひとを恋ふ掌に毒茸の紅あざやか 伊丹三樹彦
ほろほろと茸こはるゝ眠姥 飯島晴子
みすずかる信濃をとめに茸問はな 飯田蛇笏 山響集
みちのくの茸さきがけぬ土瓶蒸し 水原秋櫻子 蘆雁以後
みよしのの白拍子めく菌かな 阿波野青畝
ものゝ香のきのこあるべく思ふかな 正岡子規 茸
ものゝ香の茸あるべくも思ふかな 正岡子規 茸
もろもろの茸の怒り泛く山中 飯島晴子
やまびこのゐて立ちさりし猿茸 飯田蛇笏 霊芝
ゆく年の水ひびきゐる猿茸 飯田龍太
ゆるみなき茸縄つづく札所径 原裕 青垣
よべの月細くも差せし茸山 百合山羽公 寒雁
わが杖に幾梅雨茸の掛かりけむ 相生垣瓜人 明治草
わが門に驚破毒茸の現るる 相生垣瓜人 明治草抄
セントバーナードゐて岩茸を干せる家 飯島晴子
一壺酒のたくはへありて茸焼く 木村蕪城 一位
一山を歩きて茸は六つほど 高野素十
三夕とて茸山見て目の赤し 岡井省二 鹿野
下呂下呂と毒の茸に雨ふらす 金子兜太
下野に山鳥といふ茸ありと 高野素十
不幸にて雑茸汁を賞でて食ふ 細見綾子 雉子
乾茸の香は青空へ遁げしまま 飯田龍太
五月雨や簀の子の下の大茸 正岡子規 五月雨
人も來ず辻堂荒れて線香茸 正岡子規 茸
人よりも人を愁ふる猿茸 後藤比奈夫
今しがた聞きし茸の名は忘れ 上村占魚 鮎
今年食ひし茸いろいろ栗茸も 森澄雄
仙台の芭蕉の辻は茸売る 山口青邨
体のままの命(みこと)が食して茸(くさびら)よ 岡井省二 大日
借問すその菌飯いつのこと 高野素十
僧の機嫌雑茸山の風に吹かれ 橋閒石 和栲
先行きし人取り捨てし毒茸 右城暮石 虻峠
冬茸を焼く鉄工の太き手が 佐藤鬼房
切株や雪解けしたる猿茸 飯田蛇笏 山廬集
力なき眼に月夜茸うかぶかな 赤尾兜子 玄玄
卓上へ籠傾けて菌出す 右城暮石 天水
口々に月夜茸とて恐れけり 中村汀女
名も知らぬ茸や山のはいり口 正岡子規 茸
吾も老いぬ娘のかしぎたる菌飯 星野立子
唐傘茸花魁がさす紋次郎がかぶる 山口青邨
四五日は埃立つべし埃茸 後藤比奈夫
国引の島根を指呼にけむり茸 角川源義
埃茸濡れゐて乾きゐる埃 後藤比奈夫
夏雲の茸雲めく子は知らず 伊丹三樹彦
夕蝉にふわりとひらく狐茸 松村蒼石 寒鶯抄
夜は天狗茸と語るか石仏 鷹羽狩行
大寒の巨樹に蝟集の茸あり 飯田龍太
大木の虚の古茸冬の空 飯田龍太
天落つる煤や茸山煙らせば 山口誓子
奥甲斐の夜毎の月の猿茸 飯田龍太
奥鬼無里帚茸生ふ文殊堂 松崎鉄之介
好日のいちにちなりし茸飯 森澄雄
妻子等嘗て此処に饑ゑたり日の茸 中村草田男
妻肥えぬ我菌を出さずなりし冬 石田波郷
嫁ぎゆく網茸なめこの出盛りに 佐藤鬼房
子なき我レ木の冬茸を見て遊ぶ 右城暮石 句集外 昭和十四年
客ひとり塩づけ茸の目貼り宿 及川貞 夕焼
寒ざれの入日荘厳けぶり茸 加藤秋邨
寒茸生ふ窯ぐれ一人住ひかな 松崎鉄之介
小突くべき怪しき茸を見出でけり 相生垣瓜人 明治草
尻茸を生えしめ梅雨の痔とはいふ 石塚友二 光塵
屋根茸の鳥の巣のぞく夕日哉 正岡子規 鳥の巣
屯して烟上げゝり菌山 河東碧梧桐
山々とともに暮れぬる菌山 山口誓子
山の炉の客に大きな茸焼く 高野素十
山中に紅茸のこり眠気見え 飯島晴子
山中に菌からびぬ冬日輪 野澤節子 鳳蝶
山笑ふ神の茸ぞ命継げ 角川源義
岩に手を触れて茸の季とおもふ 飯田龍太
岩茸の山といふなり高からず 石田勝彦 雙杵
岩角がところ~に菌山 高野素十
岬の会話茸は小人鮑は血 金子兜太
岬の蔭胎児さえざえと菌生え 赤尾兜子 虚像
峡冷えの冷えは嘆きに似て菌 秋元不死男
峰雲に一木脚の菌雲 山口誓子
川茸を月夜の水のごとく噛む 加藤秋邨
帰郷した鼻でさまよう 茸山 伊丹三樹彦
常のごと寝酒しなのの冬小茸 角川源義
干茸に時雨れぬ日とてなかりけり 松本たかし
干菌山の日和に反りかへる 水原秋櫻子 磐梯
平茸はいづくなるやと雲およぐ 岡井省二 夏炉
平茸や兼好すみし家のあと 正岡子規 茸
序の口の糞茸日和きのこ狩 百合山羽公 樂土
庫裡の笊けふは名もなき菌干す 後藤夜半 底紅
庭山の小谷もありて栗茸(くりもたし) 松本たかし
彩色の岩屋三尊菌生れ 阿波野青畝
扁額の金鮮しや菌山 波多野爽波
批評うるさしや麺麭には口ープ菌 山口誓子
控木に五月雨の茸並びけり 正岡子規 五月雨
新しきものに齢や茸飯 上田五千石 琥珀
日が暮れてさむくなりけり茸汁 三橋敏雄
日は山をはなれて遊ぶ猿茸 古舘曹人 樹下石上
旦見て夕べは空し梅雨の茸 阿波野青畝
昆陽みぞろ茸山戻りたそがるゝ 河東碧梧桐
春の茸生えてうつつの地と思ふ 飯田龍太
春寒し茸談義の埓もなや 角川源義
春禽や何やどさむと猿茸 角川源義
昼茸に大きく揺るる山の樫 桂信子 花影
時季外れ湯治場雑茸売りゐたり 細見綾子
晩年へ踏みこんでゐる菌山 岡本眸
晴天に落葉狂へる猿茸 飯田龍太
暮るること早し茸を見てあれば 右城暮石 句集外 昭和二十四年
月の出て浮き足立ちし茸かな 岸田稚魚
月光の降つてをりたる茸山 森澄雄
月夜にて紅茸喰らふなめくぢり 藤田湘子
月夜茸その名の夜を恵まれず 上田五千石 琥珀
月夜茸如何なけものの通りけむ 藤田湘子 てんてん
月夜茸山の寝息の思はるる 飯田龍太
月夜茸持てば女の身は細り 加藤秋邨
朝月の歯切れよきかな菌山 波多野爽波
木々寒し群ら立つ茸に雨の矢を 飯田龍太
木の奥の木をゆく霧とゐぐち茸 飯田龍太
未知の発音尖る陸橋の白い茸 赤尾兜子 蛇
本丸の趾や炉を築き茸汁 山口青邨
松の下にいくち多く生えて古き庭 正岡子規 茸
松の蕊赤きとき又菌を出す 石田波郷
柚にまさる茸の香りや土瓶蒸し 鷹羽狩行
柿むくやよべは茸を選りし灯に 木村蕪城 一位
栗よりもすでに茸の艶まさる 百合山羽公 故園
栗茸のかすかなる香を味はひぬ 相馬遷子 山河
栗茸また信楽の陶の色 百合山羽公 樂土
梅雨去ると全き円の茸立つ 西東三鬼
梅雨茸が一瞬青く見えて暮れぬ 加藤秋邨
梅雨茸こつきり消えてなくなれり 右城暮石 散歩圏 補遺 頑張れよ
梅雨茸に揮はむ杖を曳きをれり 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸に晴れ間晴れ間の淡き風 佐藤鬼房
梅雨茸に樺色淡き夕日かげ 佐藤鬼房
梅雨茸に見たことのなき色があり 上野泰 春潮
梅雨茸に飽きたる蟻の帰り行く 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸のくらくら光り家売らる 鷲谷七菜子 銃身
梅雨茸のけものの如くかたまれる 山口青邨
梅雨茸の人にも見せて捨てらるる 後藤夜半 底紅
梅雨茸の咲くわが棺に腰掛けて 野見山朱鳥 天馬
梅雨茸の子茸に色は配られず 上田五千石『琥珀』補遺
梅雨茸の文目もわかず融けてゆく 相生垣瓜人 明治草
梅雨茸の生ひては潰え書庫の裏 山口青邨
梅雨茸の頸刎ねて門叩きけり 石塚友二 光塵
梅雨茸や不祝儀袋買置なし 安住敦
梅雨茸や低空飛行実に低し 山口誓子
梅雨茸や勤辞めては妻子飢う 安住敦
梅雨茸や日も夜もまとふ洋奴の衣 小林康治 玄霜
梅雨茸や死後あれこれと噂出て 能村登四郎
梅雨茸や洩れ日にひらくコンパクト 上田五千石 田園
梅雨茸や祖谷も奥なるかくれ墓 能村登四郎
梅雨茸や防犯燈の脚くらく 伊丹三樹彦
梅雨茸を足蹴に仏探ねかな 上田五千石『森林』補遺
梅雨茸船降りてより流人の歩 角川源義
梅雨菌仲よう傘をならべけり 阿波野青畝
梅雨菌大団結をもくろめり 阿波野青畝
梅雨菌必ず足蹴されにけり 阿波野青畝
梅雨菌雨落ちざるに笠をさす 阿波野青畝
植え茸のまことしやかに笹の中 高野素十
楮茸りりしき足をしてゐたる 右城暮石 散歩圏
榎木茸貝割菜わが食細し 右城暮石 散歩圏
歯朶で蓋せし茸籠とすれ違ふ 鷹羽狩行
母の言ひ継ぎ妻に多くて茸飯 松崎鉄之介
母救へず父も救へず猿茸 後藤比奈夫
毒の茸果して陰に籠りゐし 相生垣瓜人 明治草
毒茸なども机の上に置く 石田勝彦 秋興以後
毒茸に嗤はれたれば打擲す 相生垣瓜人 負暄
毒茸に青草なびく山時雨 飯田龍太
毒茸のすべて砕かれしが嗤ふ 橋閒石 無刻
毒茸のぽろぽろ崩る柄も笠も 右城暮石 散歩圏
毒茸の下や誰が骨星が岡 正岡子規 茸
毒茸の人の気配のうちにあり 岸田稚魚
毒茸の侘びに侘びつつ失せてゆく 相生垣瓜人 明治草
毒茸の前後にありて笑へりき 岸田稚魚
毒茸の独語をしづめ山の霧 三橋鷹女
毒茸の粉黛誰もよろこばず 上田五千石『琥珀』補遺
毒茸の紅ぬめぬめと欺きぬ 富安風生
毒茸の蹴られ踏まれてへつらへる 鷹羽狩行
毒茸は毒々しきぞ潔き 相生垣瓜人 明治草
毒茸もあな目覚ましと云ふ如し 相生垣瓜人 負暄
毒茸も光葆(つつ)むと云ふらしも 相生垣瓜人 明治草
毒茸も妍の如きを競ひけり 相生垣瓜人 明治草
毒茸や緑青日和側にあり 平畑静塔
毒茸や赤きは眞赤黄は眞黄 正岡子規 茸
毒茸を踏むが煙の立ちはじめ 桂信子 花影
毒茸を顧みたりし穴惑ひ 相生垣瓜人 負暄
毒茸を食ひて飽かざる蝸牛あり 相生垣瓜人 明治草
毒茸月薄眼して見てゐたり 飯田龍太
毒茸真つすぐに夢見る如し 飯島晴子
水禍頻々朱き梅雨茸土に木に 野澤節子 未明音
沸々と毒茸毒を噴きをれり 相生垣瓜人 明治草
泉原や皆夕ぐれの菌山 高野素十
泊雲忌過ぎし丹波の茸山に 高浜年尾
法の雨毒茸の綺羅そこなはず 上田五千石『琥珀』補遺
流川を過ぎて近づく菌山 山口誓子
海坂に日照るやここに孤絶の茸 西東三鬼
涼しさや茸がはえてぬるゝ塀 村上鬼城
淋しさや木の子にまじる雁もどき 正岡子規 茸
深山茸わが盃に酒あふれ 水原秋櫻子 帰心
滑茸の笠蛞蝓の舐めつくす 右城暮石 虻峠
火の島に茸雲立ち夕薄暑 角川源義
煙茸踏んでこの生けぶりめく 伊藤白潮
煤茸といふはとりわけ色黒し 上村占魚
猿茸二斗飲むたより年の豆 角川源義
猿茸飲み怠るも天高し 佐藤鬼房
獲たる茸手に重しとも言はざらむ 相生垣瓜人 明治草
瓦茸新茶の筒と枕べに 石川桂郎 四温
生木踏み昼から暗き菌山 鷲谷七菜子 花寂び
疲れゐて雨の紅茸傘で刺す 加藤秋邨
白塗りののつぺらばうの梅雨茸 藤田湘子 てんてん
白拍子斯かる菌と化けにけん 阿波野青畝
盃の立派なること茸莚 高野素十
盆茸も一つ重文大草屋 百合山羽公 樂土以後
相生の松の陰より木の子哉 正岡子規 茸
眉間にて呼吸してゐたり月夜茸 岡井省二 大日
真夜中の雪ねんごろに猿茸 飯田龍太
着物新しく菌を眺めかな 永田耕衣
知りつくす茸山へ客案内して 右城暮石 句集外 昭和三十四年
石で殺した城に茸さがす若者ら 赤尾兜子 虚像
石橋をすぐそこにして笑茸 岡井省二 大日
砂茸あり再び酒を温むる 高野素十
破れやすきたぐひなるべし梅雨菌 阿波野青畝
確がなる傘のさしざま梅雨の茸 阿波野青畝
神領の山家暮しの茸干し 清崎敏郎
禅寺の地領茸山たるの縄 山口誓子
禅寺の石階を経て茸山へ 山口誓子
空の中足をはこびし茸山 岡井省二 猩々
笑ひごゑ消えしあたりに春茸かな 岸田稚魚
笑ひ茸池の面にこゑこぼれけり 岡井省二 鯨と犀
笑ひ茸笑ひころげてくたつあり 上田五千石 風景
笑ひ茸誰に笑ふや雨後の山 岡井省二 鹿野
笑ひ茸食べて笑つてみたきかな 鈴木真砂女 都鳥
笑ひ顔して死す茸の毒はげしき 右城暮石 句集外 昭和三十三年
笑茸隠れて口にしてみむか 雨滴集 星野麥丘人
笠ほどの茸の生ふる曠野とか 高野素十
箸割つて待つお裾分け茸飯 佐藤鬼房
籠の中に色々の茸集めけり 尾崎放哉 大学時代
紅茸と遇ひて前言ひるがへす 上田五千石 風景
紅茸に人の気配の近みつつ 飯田龍太
紅茸のつむり幼き墳墓の地 飯田龍太
紅茸は木の葉に消えず山時雨 飯田龍太
紅茸や 空を仰げば 空まぶし 富澤赤黄男
紅茸や一身往かす雲の中 岸田稚魚
紅茸や男にはなき鉄面皮 鷹羽狩行
紅茸を一蹴一蹴何ぞさみし 上田五千石『琥珀』補遺
紅茸を怖れてわれを怖れずや 西東三鬼
紙袋茸大切に出し入れす 右城暮石 散歩圏
結界の紅茸どもへ鐘一打 藤田湘子 神楽
編笠に似て一本や毒茸か 高田風人子
美しき茸の毒に手触ればや 上田五千石『琥珀』補遺
老い先の短に冬の茸焼く 佐藤鬼房
耳茸と知る山姥の山の幸 阿波野青畝
肉親や雑茸汁の湯気の中 細見綾子
肥る船体 寒光の茸 出没し 伊丹三樹彦
腸うねり大腸加答児菌はびこる 日野草城
腸の闇大腸加答児菌ひかる 日野草城
舌禍この流れ茸のごとくあり 佐藤鬼房
般若寺の負ひたる小さき茸山 岸田稚魚
色黄にして穴の多きは毒茸ぞ 正岡子規 茸
色黄にして裏に穴あるは毒茸ぞ 正岡子規 茸
花の寺桂郎茸偸りにけり 角川源義
茅茸の 軒ふところへ 濡れ燕 伊丹三樹彦
茶碗茸まこと茶碗や雨ためて 山口青邨
茶茸得て歸らんとすればしめぢ哉 正岡子規 茸
茶茸得て歸る小山のしめぢ哉 正岡子規 茸
茸など胃の腑に入れし静夜あり 森澄雄
茸にほへばつつましき故郷あり 飯田龍太
茸のこと話しぬる湯に婆二人 高野素十
茸のため峡の日和を嘆かへる 上田五千石『天路』補遺
茸の塵掌にかきよせて黄なるかな 右城暮石 声と声
茸の季にしばらく間ある夕焼空 飯田龍太
茸の季のとどめの雨の夜明まで 飯田龍太
茸の季の闇まだ覚めぬ川の音 飯田龍太
茸の香に日空全き尾根の径 飯田龍太
茸の香のふんぷんとして道険し 日野草城
茸やく松葉くゆらせ山日和 高野素十
茸を追ひ且つ屡は山も見る 相生垣瓜人 明治草
茸多く朴の落葉の夥し 松本たかし
茸山きのふの人の声のこる 飴山實 少長集
茸山ならざるはなき四方かな 高野素十
茸山にきき耳たてて木の実たち 飯田龍太
茸山にわかれし兵や雲がくる 飯田蛇笏 心像
茸山にゐて人くさき話する 上田五千石 琥珀
茸山に失ひしもの遂に出ず 右城暮石 句集外 昭和三十五年
茸山に来て肌寒き座敷かな 右城暮石 句集外 大正十五年
茸山に連れて来ざりし妻のこと 山口誓子
茸山に遊びて京の旅終る 高浜年尾
茸山の暗きへ誘ひふりむかず 上田五千石『琥珀』補遺
茸山の木の香祖父母の香とおもふ 飯田龍太
茸山の白犬下り来るに逢ふ 山口誓子
茸山の真の深みにはまりをり 斎藤玄 雁道
茸山の苔のまみどり懸巣鳴く 飯田龍太
茸山の道なき道のかぎりなし 篠原梵 年々去来の花 雨
茸山の頂上に水置かれたり 右城暮石 声と声
茸山の高からざるも瞰下す景 右城暮石 句集外 昭和三十三年
茸山の麓を通る天気かな 日野草城
茸山へひかりのはしをのぼりゆく 岡井省二 夏炉
茸山へ入口によき水の湧く 右城暮石 句集外 昭和十年
茸山もねむりに入りし空のいろ 飯田龍太
茸山や夫人晴着に襷がけ 日野草城
茸山や巨石うしろに酒黄なり 渡邊水巴 富士
茸山をいま明方の驟雨過ぐ 飯田龍太
茸山を下り来て道に集まれり 右城暮石 句集外 昭和五十七年
茸山を淋しき顔の出て来たる 飯田龍太
茸山を背の酒ほしき夕べ来ぬ 石川桂郎 四温
茸山呆け鴉のこゑばかり 飯田龍太
茸山観月の山その上に 百合山羽公 寒雁
茸干す寺の厨の濃き日向 山口青邨
茸採りに行く杉山を通り抜け 右城暮石 虻峠
茸榾に雨ふりしぶく五月闇 飯田龍太
茸汁山のみづうみそこに見つ 大野林火 海門 昭和十二年
茸汁親類縁者に灯が二つ 金子兜太
茸焼くやときどき風の裏木立 草間時彦 櫻山
茸番に今宵まかりぬ老の父 石塚友二 光塵
茸番復員服のむかしより 百合山羽公 樂土
茸盡きて蓮根殘る哀れ也 正岡子規 茸
茸籠より一つづつ名を告げて 石田勝彦 百千
茸籠重からざれど憩ひけり 上田五千石『琥珀』補遺
茸莚この傾きを良しとする 波多野爽波
茸莚端のところが道に載り 高野素十
茸雲梅雨夜に咲かし終車発つ 角川源義
茸飯のぬくさも渚男夫人にて 草間時彦 櫻山
茸飯や兄弟の日はあらねども 齋藤玄 飛雪
茸飯匂へり次が厨歌 加藤秋邨
荒梅雨や老猫の瞳の菌生む 角川源義
菊日和塗抹無菌と告げにくる 角川源義
菌の傘くづれ天寿とする他なし 有馬朗人 母国
菌一盛だけに朝市婆坐る 百合山羽公 樂土
菌売の選つてくれたる苗大事 阿波野青畝
菌山に風たつ道の栞かな 飯田蛇笏 山廬集
菌山やゝ人境をへだてたり 山口誓子
菌山低山にして近づけり 山口誓子
菌山地底を壊すそれも人 赤尾兜子 歳華集
菌山天の直下に飯を食ふ 山口誓子
菌干して家毎の留守や有馬道 飯田蛇笏 旅ゆく諷詠
菌生ゆげほんげほんと犬の咳 秋元不死男
菌雲ならず春天色に浮く噴煙 赤尾兜子 歳華集
萱茸の厚さの涼や囲炉裏酒 石川桂郎 高蘆
萱茸の棟寿の文字谷戸小春 山口青邨
落栗を拾ひ茸を採らまくす 河東碧梧桐
落葉かく子に茸の名を尋けり 正岡子規 茸
虚無僧の心編笠茸の知る 後藤比奈夫
蛇穴に入りけり菌生えにけり 正岡子規 蛇穴に入る
蛤石松茸石と草紅葉 山口青邨
蜆蝶とべり唐傘茸よりひくく 山口青邨
蜩やつひに永久排菌者 石田波郷
蝋燭を林立皓々茸汁 山口青邨
蝿茸をなめたる蠅のよろ~と 高野素十
血が冷ゆる夜の土から茸生え 西東三鬼
行く雲は途中で消ゆる菌の香 永田耕衣
親の列白い茸に立到り 飯島晴子
講中の夜食に山の茸いろいろ 上田五千石 風景
赤埴に茸山の径十文字 前田普羅 飛騨紬
赤耳茸(あかみみ)を布袋背負いに 奥山から 伊丹三樹彦
足長の形正しき毒茸 右城暮石 散歩圏
踏まるるをひたすら待ちて煙茸 鷹羽狩行
踏みつけて弾力ありし毒茸 右城暮石 虻峠
逃げ惑ふ茸の一つを追ひ詰むる 相生垣瓜人 明治草
逢曳や古杭の頭に菌の耳 香西照雄 対話
道標が朽ちて梅雨茸にも劣る 鷹羽狩行
遠山青し近い山晴れて茸採りに行く 荻原井泉水
選り捨ててをる毒茸のどこ違ふ 右城暮石 一芸
里の子の見せじとかばふ菌籠 富安風生
釜炊きの茸飯せめて惜しまばや 石塚友二 方寸虚実
釣人と別れていそぐ茸採り 飯田龍太
銃声は他山のひびき茸こぞる 中村草田男
阿吽狛梅雨茸のいつ流れたる 佐藤鬼房
降り出して山さわがしき茸かな 岸田稚魚
陶町の萄の五彩や梅雨茸 角川源義
雑茸と茄子煮て食ぶる秋の暮細見綾子
雑茸のこれぞよろしききのこ飯 石塚友二 玉縄抄
雑茸のそれぞれの香の真昼時 飯田龍太
雑茸のふもとは鶏の放し飼 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
雑茸は子供がなせしやうに干す 右城暮石 句集外 昭和十年
雑茸も採れば皆貫く笹の茎 日野草城
雑茸を干すうぶすなの耳遠く 橋閒石 卯
雨雫ためてほうけし茸かな 山口青邨
雲浮ぶ土用茸の笠のいろ 飯田龍太
霜降茸採る人稀に落葉積む 水原秋櫻子 旅愁
霧いたみまぬがれがたしましら茸 阿波野青畝
青茸を一蹴せしに潰えけり 相生垣瓜人 明治草
風の音にくさる菌や秋の霜 渡邊水巴 白日
風光る神訪ねつぎ猿茸 角川源義
食へぬ茸光り獣の道せまし 西東三鬼
鳶の輪といづれはるけきけむり茸 岡井省二 明野
黒茸は少し苦しよ夜の酒 燕雀 星野麥丘人
鼠茸ときいて月夜となりゆけり 森澄雄
龍安寺塀の矢印茸山へ 川端茅舎
菌 続補遺
おくれ馳に魚さげゆかむ菌山 加藤曉台
くち木となおぼしめされそ榎茸 嵐雪
さびしさや菌のかさの窪たまり 鈴木道彦
つなぎ茸童*くじとる山路哉 一笑(金沢)
はつ茸やそつと並べる盆のうへ 成田蒼虬
まつ茸や浅野は風の吹あまし 野紅
中入に見まふ和尚や茸がり 炭太祇
伐株や米かし水を茸つくり 加舎白雄
冷泉の数珠につなげる茸哉 其角
出路経るこゝちや菊にえのき茸 嵐雪
十とせほど焼ぬ山なり雀菌取 寥松
唐の絵は鹿茸多し夏坐敷 野紅
市に出るひら茸うりは法師かな 高井几董
帋入は落イて取や菌苅 亀世
平茸や朽木を楯の片びさし 三宅嘯山
庭の雨蒔た菌もはえぬべし 露川
打杖に毒ある菌さくきかな 加舎白雄
日々の美濃路や汁の菌がり 露川
杜宇垣根荒けり榎茸 旦藁
松の葉にはつ茸見ばや夏の雨 支考
松の香は花とふく也さくら茸 其角
植て行人こそ見えね菌がり 支考
海茸にかはる色ありころもがゑ 野坡
白露の百歩に茸を拾ひけり 高井几董
神垣や幸茸は人の笠 大高子葉
筑摩鍋しづが茸かる帰さ哉 一笑(金沢)
紅茸に明野の比丘尼なつかしや 木導
紅茸の山めづらしき女中哉 尚白
紅茸やうつくしきものと見て過る 高井几董
紅茸や龍田の神の小物なり 尚白
能もつや大松茸の笠の茎 杜若
茸がりや山のあなたに虚労やみ 其角
茸がりをうらやむ旅のつかれかな 加舎白雄
茸とりはいとあはたゞし花の原 土芳
茸に似た糞して欺す狸かな 桜井梅室
茸の笠着て出たり秋の雨 許六
茸や御幸のあとの眉づくり 其角
茸山や殻鉄砲の一けぶり黒柳召波
茸市や指に弾ひて音をなす 三宅嘯山
茸時も過ぬ火棚のかけたばこ 鈴木道彦
落栗に思ひがけなき菌哉 桃隣
馬糞茸見るもうらめし女郎花 支考
鳥めぐる袖や笹茸唐辛 露川
鷹か茸か辻占聞ん狩衣 支考
鹿茸やつれ~草の凌霄華 蘆文
以上
by 575fudemakase
| 2016-10-24 08:09
| 秋の季語
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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