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寒鴉 の俳句


寒鴉 の俳句

寒鴉

例句を挙げる。

いぶりゐる芥にもまた寒鴉 鈴木洋々子
おそろしきまでに群れをり寒鴉 成瀬正とし 星月夜
かわかわと大きくゆるく寒鴉 高浜虚子(1874-1959)
かわ~と大きくゆるく寒鴉 高濱虚子
しばらくは寒鴉ゆく空となる 五十崎古郷句集
しもを焼*しがらみに寒鴉の声くらし 暁台
ずら・だんべ峠が頒つ冬鴉 影島智子
その円眼その太嘴や寒鴉 松根東洋城
たそがれの森に雪噛む寒鴉 有働亨 汐路
たわ~と冬鴉わたるつばさかな 原石鼎 花影以後
とんとんと杭ゼわたれる寒鴉 小原菁々子
ばさと降り寒鴉十時の匂ひせり 栗林千津
まつり後の無人の大路寒鴉 伊藤いと子
もの影もなき岩だたみ寒鴉 金子伊昔紅
ゆるゆるとくろくしなのの寒鴉 田中芥子
一群の寒烏にぞ囃されし 相生垣瓜人 明治草抄
丹頂と在ればつゝしみ寒鴉 園田夢蒼花
乞食か遊行かひとり寒鴉 吉原文音
二羽寄れば二羽のさびしさ寒鴉 予志
人たちて寒鴉ゐて景動かず 星野立子
人を人と思はぬ浜の寒鴉 鈴木真砂女 生簀籠
人立ちて寒鴉ゐて景動かず 立子
人間を見下ろしてゐる寒鴉 佐藤洋子
低く飛ぶ寒鴉敵なく味方なし 津田清子 二人称
冬烏砂丘はどちらへも歩ける 高橋沐石
冬烏見れば来てゐる職なきや 石川桂郎 含羞
冬鴉たたかふ翼からみたる 鷲谷七菜子 天鼓
冬鴉サイロに声を落とし去る 大串 章
冬鴉パン屋をのぞき啼かざりき 山下青芝
冬鴉一羽遅れて疲れ見ゆ 阿部みどり女
冬鴉今朝せつかちに鳴き去りし 阿部みどり女 月下美人
冬鴉無用の水が田を流れ 猿橋統流子
冬鴉黒点となりいつまでも 阿部みどり女 笹鳴
凡鴉なり寒鴉の時に似ざるなり 相生垣瓜人
吊橋を鳴かずに歩む冬鴉 影島智子
吾が知恵を上まはる知恵寒鴉 高橋秋郊
咥へ来しもの雪に置き寒鴉 高濱年尾 年尾句集
地に掟天に連れ立つ寒鴉 堀井春一郎
地を蹴ればはや天のもの寒鴉 山本歩禅
声大にしてもとゞかず寒鴉まで 徳永山冬子
大風の森の中より寒鴉 石鼎
寒がらすみなはしぶとのとべりけり 吉岡禅寺洞
寒がらす大地乏しくひかるかな 窓秋
寒がらす飛びあがりつつ土を見る 渡邊白泉
寒烏傾くときは空色に 加藤知世子 黄 炎
寒鴉いざや「汝の父母を蹴れ」 堀井春一郎
寒鴉うつほうつほに声入れて 茨木和生 遠つ川
寒鴉おもたき声を暮れぎはに 秩父
寒鴉かつかつ嘴を鳴らしけり 杜雨
寒鴉かはいがられてとられけり 一茶
寒鴉こゑを出さねば忘らるる 石嶌岳
寒鴉しきりに雪を落しけり 高濱年尾 年尾句集
寒鴉しまつのつかぬ声の松 松澤昭 宅居
寒鴉そのそれぞれが森をもつ 平井照敏
寒鴉たゞならぬ煙山にたつ 上村占魚 鮎
寒鴉ついばみながらかあと啼く 汀女
寒鴉とほきネオンのはやともる 木下夕爾
寒鴉とんで夕日の枝つかむ 井上雪
寒鴉とんと地につきつくろへる 原 鬼灯
寒鴉のりをる貨車の動き出す 木村凍邨
寒鴉の百態学問に落伍せり 齋藤愼爾
寒鴉ひたむきに羽摶つ音頭上 瀧春一 菜園
寒鴉ひとこゑは空さびしきか 綾部仁喜
寒鴉ひとつの声を啼きつゞけ 中口飛朗子
寒鴉ひと声われをうながせり 石工冬青
寒鴉ふりむいて連れなかりけり 上田五千石 琥珀
寒鴉ふわりと起ちて天暮れず 頑石
寒鴉みな腰強し吹き撓ひ 本多静江
寒鴉やさしき屍より翔てり 坊城 俊樹
寒鴉われに網打ちかくるごと 龍男
寒鴉ガラシア夫人につきまとう 宇多喜代子 象
寒鴉ビルの一角掴み鳴く 中村居月
寒鴉一羽となりて遊びけり 吉武月二郎句集
寒鴉一語を発し一期終ふ 高澤晶子
寒鴉三羽一羽は海に出て 長田等
寒鴉下りて田の影動きけり 鈴木 いよ
寒鴉二羽それさへも居ずなりぬ 岸風三楼
寒鴉信号どこも赤ばかり 星野椿
寒鴉劫火の跡を歩きをり 榎本冬一郎 眼光
寒鴉去りて電柱つきささる 秋元不死男
寒鴉友禅流しを遠巻きに 井上雪
寒鴉古老の顔の如く居り 山本歩禅
寒鴉咥へし餌によろけ翔ち 島崎伸子
寒鴉唖々開閉難き戸あるなり 成田千空 地霊
寒鴉啼いては別の鳥翔たす 岡本 眸
寒鴉啼きて沖には国もなし 草田男
寒鴉嘴あけてやがて鳴く 星野立子
寒鴉嘴ふりむけて争へり 皆川盤水
寒鴉地を離れじとあさりけり 西島麦南 人音
寒鴉声を蔀の裡にする 下村槐太 天涯
寒鴉富田川原は塒かも 阿波野青畝
寒鴉山の高さに鳴き移る 星野立子
寒鴉岩より岩へ脚つよむ 村越化石 山國抄
寒鴉己(し)が影の上におりたちぬ 芝不器男
寒鴉己が影の上におりたちぬ 芝不器男
寒鴉当麻の塔に巣くふらし 細見綾子 天然の風
寒鴉影ひきつづめとび翔ちぬ 鈴木貞雄
寒鴉微光を羽の内側に 河合凱夫 飛礫
寒鴉急に仲間の増えにけり 高田風人子
寒鴉愚図愚図してはをられぬぞ 石嶌岳
寒鴉我に一顧を与へけり 相生垣瓜人
寒鴉戦争の向うがわ透いて 鈴木六林男 国境
寒鴉戦飽きて唖々と鳴く 村上鬼城
寒鴉明恵の如く樹に居たり 相生垣瓜人 明治草抄
寒鴉木椅子へ更に天へ飛ぶ 右城暮石 声と声
寒鴉村をでることなき妻と 百合山羽公 故園
寒鴉村を出ることなき妻と 百合山羽公
寒鴉桑のしもとに沈みけり 小原菁々子
寒鴉歩けば動く景色かな 永田耕衣(1900-97)
寒鴉水薙ぐ風に見えわたり 下村槐太 光背
寒鴉海より聞ゆ海に出て 木村蕪城 寒泉
寒鴉清潔に鳴きわかれゆく 龍太
寒鴉潮の退きたる礁にも 鈴木洋々子
寒鴉濃しひとり暮しは途中めき 北原志満子
寒鴉犬の屍を食ふ飛鳥村 有馬朗人 知命
寒鴉猫なで声を出しもする 三村純也
寒鴉畦は大きく曲りゆく 米澤吾亦紅
寒鴉空の青さをぬけて来る 呵雪
寒鴉群われに網打ちかくるごと 永井龍男
寒鴉羽うちておのれ醒ましけり 鷲谷七菜子 花寂び
寒鴉翔てば水の面ひゞきけり 高橋馬相 秋山越
寒鴉翔ばんと雪に腹をつけ 西本一都
寒鴉聖牛の迅風くらひけり 石原舟月 山鵲
寒鴉蛇籠の風に歩みをり 舟月
寒鴉製菓会社・の屋根ありく 田川飛旅子 花文字
寒鴉道士と黒を競ひけり 有馬朗人 耳順
寒鴉重さを見せて枝わたる 浩山人
寒鴉阿蘇を離れず啼きにけり 佐藤艸魚
寒鴉雑木は空をまじへけり 桂樟蹊子
寒鴉雪に飛び浮き飛びながれ 吉武月二郎句集
寒鴉雲は素肌で通るなり 茨木和生 遠つ川
寒鴉雲を見てゐてゐずなりぬ 皆川盤水
寒鴉頭めぐらす室生村 山本洋子
寒鴉飛びあがりつゝ土を見る 白泉
察察と寒鴉の翼静臥の上 誓子
山の木を雲に移れる寒鴉 平井照敏 天上大風
山塊のいづこか欠けて寒鴉 村越化石 山國抄
悪の血はすぐに騒いで寒鴉 狩行
技師の夢遠し寒鴉日矢に入る 米沢吾亦紅 童顔
抗ひて同じ木にゐる寒鴉 原 天明
提灯の上をとびけり寒鴉 松瀬青々
揚舟に下りて吹かるる寒鴉 深見けん二
放流稚魚狙ふ高さに冬鴉 石川文子
斃ち鴉かこむ大群の寒がらす 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
日に向いてふと紫の寒烏 菅裸馬
朝急ぐ一顧あたへし寒鴉 百合山羽公 故園
木の如く凍てし足よな寒鴉 木歩句集 富田木歩、新井聲風編
朽ちしマスト風葬のごと寒鴉集ふ 草間時彦
杖を持つ父をおそれて寒鴉 茨木和生 木の國
松林に又朋追へり寒鴉 原石鼎
楢山の騒ぎさながら寒鴉 杉 良介
横向いて目玉ひとつの寒鴉 那須淳男
橋裏の波の暗さよ寒鴉 中村汀女
此の寺の此の木にばかり寒鴉 冨所 山想子
水田あり記憶の松に寒鴉 木村蕪城 寒泉
片羽づつゆつくりたたむ冬鴉 山田みづえ
畦とんで数へ紛れぬ寒鴉 西山泊雲 泊雲
目の前へすとんと降りぬ寒鴉 杉崎句入道
眠ることのみ残されて寒鴉 前田保子
睦みかつ喚きて無頼群れ寒鴉 吉本 昴
砂洲を飛ぶ端から端へ寒鴉 右城暮石
破船出てしばらくあるく寒鴉 上田五千石 田園
積藁や戦ひ飽きし寒鴉 鬼城
穢土浄土いづれも土や寒鴉 秦夕美
老人を笑はせてゐる寒鴉 御崎敏江
肩ごしの夕日をつかむ寒鴉 安東次男 裏山
自転車の軋みを笑ふ寒鴉 脇本幸代
舞ひ下りて鹿のそばにも寒鴉 岸本尚毅 舜
芭蕉忌や己が脚噛む寒鴉 沢木欣一 雪白
藁にほのかげよりかげへ寒鴉 越央子
被災地へ心を馳せり寒鴉 村越化石
見下ろしてやがて啼きけり寒鴉 高浜虚子
触れ合はぬ距離を保ちて冬鴉 下斗米大作
通り矢の鼻先昏れて寒鴉 高澤良一 ねずみのこまくら
野の中の何に口あき寒鴉 楸邨
野をかへる屠夫に遅れて寒鴉 戸塚時不知
金閣寺足げにとび立つ寒鴉 檜 紀代
鎮守府の中の野道や寒烏 銀漢 吉岡禅寺洞
長いものひつぱり合へり寒鴉 竹田青江
隼を一過せしめて寒鴉 阿波野青畝
雌雉をかこみて襲ふ寒烏 石原八束 断腸花
風を踏み風に躓き寒鴉 山田弘子
飛び立ちて遠くへ行かぬ寒鴉 村井信子
首かしげおのれついばみ寒鴉 西東三鬼
馬の耳豚の尾寒鴉に与える 松本勇二
鳥葬のなき世に群るる寒鴉 檜 紀代
鳴きながら黒くなりゆく寒鴉 高澤晶子 純愛
鳴くたびに枝踏みゆるゝ寒鴉 高浜虚子
鷹ヶ峰出合ひがしらの寒鴉 谷口桂子
麦の芽にここも人里寒鴉 中村汀女
黎明の白鴉と寒鴉啼き交はす 高澤晶子

寒鴉 補遺

おふくろ捨てて女房拾うて寒鴉 中村草田男
かうと鳴き棄て石臼に寒鴉 加藤秋邨
きぬぎぬや冬の有明寒鴉 正岡子規 冬の月
こち向かぬ背なりのつばさ寒鴉 三橋敏雄
さびしさの声の割れたる寒鴉 岡本眸
ぞろぞろと歩いてゐたる寒鴉 石田勝彦 秋興以後
たわ~と冬鴉わたるつばさかな 原石鼎 花影以後
とんと地に影を重ねて寒鴉 稲畑汀子
ふるさとは寒鴉さへなつかしく 清崎敏郎
まづ谷の松が夜明けて寒鴉 飯田龍太
よきよきと寒鴉過ぎゆきもう聞えず 山口誓子
悪の血はすぐに騒いで寒鴉 鷹羽狩行
一羽二羽五羽もう飛ぶな寒鴉 鷹羽狩行
一羽翔ち一羽翔たざる寒鴉 右城暮石 句集外 昭和三十三年
一群の寒烏にぞ囃されし 相生垣瓜人 明治草
一声は歎きにも似て寒鴉 鈴木真砂女 都鳥
一族の枷などなくて寒鴉 鷹羽狩行
鴎外の俗名の墓碑寒鴉 松崎鉄之介
家二軒杉二本冬の鴉飛ぶ 正岡子規 寒鴉
河耀りて翼おもたき寒がらす 桂信子 月光抄
学校が休暇寒鴉はさびし 山口青邨
寒がらすこゑごゑさむく木隠れぬ 桂信子 月光抄
寒がらす相摶つを見るのみの窓 橋閒石
寒がらす大地乏しくひかるかな 高屋窓秋
寒なれば寒鴉の声を尤(いう)とせむ 相生垣瓜人 負暄
寒烏吾を敵視す又無視す 相生垣瓜人 明治草
寒鴉うしろ姿は山頭火 百合山羽公 樂土以後
寒鴉ころばぬために躓きて 鷹羽狩行
寒鴉その他弁財天配下 山口誓子
寒鴉たゞならぬ煙山にたつ 上村占魚 鮎
寒鴉たまたま首垂れをれり 相生垣瓜人 明治草
寒鴉つばさ使はず地を急ぐ 鷹羽狩行
寒鴉とても肉声なるはよし 鷹羽狩行
寒鴉とぶ室戸岬巌ばかりの上 山口誓子
寒鴉とぶ寂しさの声を落とし 橋閒石
寒鴉ながく啼ける日掌に喪報 伊丹三樹彦
寒鴉におびえ大学石を吊る 赤尾兜子 蛇
寒鴉にも拉し去られで残りけり 相生垣瓜人 負暄
寒鴉の髭見えて其のまゝ汽車進む 右城暮石 句集外 昭和二十三年
寒鴉ふりむいて連れなかりけり 上田五千石 琥珀
寒鴉われに聞かせし似非人語 阿波野青畝
寒鴉一羽となりて透き徹る 橋閒石 微光以後
寒鴉一片の肉争ふや 上田五千石『琥珀』補遺
寒鴉羽うちておのれ醒ましけり 鷲谷七菜子 花寂び
寒鴉下りてひとりの所作をなす 森澄雄
寒鴉我にも鳴けと命じけり 相生垣瓜人 負暄
寒鴉海より聞ゆ海に出て 木村蕪城 寒泉
寒鴉瓦礫を歩き飢ゑにけり 富安風生
寒鴉急ぐシグナル変ずれば 上田五千石『田園』補遺
寒鴉去りぬ鼻低き隣人よ 橋閒石
寒鴉犬の屍を食ふ飛鳥村 有馬朗人 知命
寒鴉肩を尖らす遠き畦 山口青邨
寒鴉見つめつづけて啼かしけり 岡本眸
寒鴉見れば見るほどいやな奴 鈴木真砂女 紫木蓮
寒鴉吾に一顧を與へけり 相生垣瓜人 負暄
寒鴉口あけて呼ぶ火山島 西東三鬼
寒鴉行けば翔ち行けば翔ち 右城暮石 句集外 昭和五十一年
寒鴉三羽こもごも口開けて鳴かず 山口青邨
寒鴉真顔とつとと田畦行く 中村汀女
寒鴉身の時計鳴り巣に帰る 秋元不死男
寒鴉人見ぬふりの人を見る 山口青邨
寒鴉水薙ぐ風に見えわたり 下村槐太 光背
寒鴉清潔に鳴きわかれゆく 飯田龍太
寒鴉声を蔀の裡にする 下村槐太 天涯
寒鴉村をでることなき妻と 百合山羽公 故園
寒鴉地を離れじとあさりけり 西島麦南 人音
寒鴉長大息をしてをれり 相生垣瓜人 明治草
寒鴉鳥の時間を告げて啼く 鷹羽狩行
寒鴉当麻の塔に巣くふらし 細見綾子
寒鴉道士と黒を競ひけり 有馬朗人 耳順
寒鴉濡れゆくまわり夜が去る 赤尾兜子 蛇
寒鴉飛びあがりつゝ土を見る 渡邊白泉
寒鴉飛び翔つところ捨て切つて 右城暮石 句集外 昭和三十三年
寒鴉不吉に声の二つづつ 上村占魚
寒鴉富田川原は塒かも 阿波野青畝
寒鴉侮る婆の独り言 橋閒石 無刻
寒鴉舞はねば襤褸にまぎるべし 岡本眸
寒鴉歩く地天に傾けり 右城暮石 句集外 昭和三十三年
寒鴉歩けば動く景色かな 永田耕衣
寒鴉明恵の如く樹に居たり 相生垣瓜人 明治草
寒鴉鳴きて溜りし声を出す 右城暮石 散歩圏
寒鴉木椅子へ更に天へ飛ぶ 右城暮石 声と声
寒鴉木津は木津又淀は淀 阿波野青畝
寒鴉友の遺書持ち三年経ぬ 右城暮石 句集外 昭和三十年
寒鴉啼かねば居らず否居たり 三橋敏雄
寒鴉啼きて沖には国もなし 中村草田男
寒鴉啼くなほ深く傷つくらむを 岡本眸
寒鴉憚らずして鳴くぞよき 相生垣瓜人 明治草
飢ゑのこゑ牧に落して寒鴉 鷹羽狩行
朽ちしマスト風葬のごと寒鴉集ふ 草間時彦 中年
漁港暮れ 高所通過の寒鴉 伊丹三樹彦
橋裏の波の暗さよ寒鴉 中村汀女
橋裏をくぐりしものへ寒鴉 中村汀女
暁紅の冬鴉なりなまぐさし 佐藤鬼房
極月の人を見てをり寒鴉 加藤秋邨
桐の木の枝を好めり寒鴉 山口青邨
血まみれの東へゆるく寒鴉飛ぶ 佐藤鬼房
見世物の干墨笑ふ寒鴉 松崎鉄之介
原爆図唖々と口あく寒鴉 加藤秋邨
玄の頭塔より立ち寒鴉 松崎鉄之介
吾が汽車を見送る寒鴉身を回し 山口誓子
皇居にも鴉の声で寒鴉鳴く 山口誓子
高空のおのれに甘え冬鴉 飯田龍太
黒の着流し長汀を寒鴉 鷹羽狩行
砂丘にドラム罐波際に冬鴉 大野林火 白幡南町 昭和三十三年
砂洲を飛ぶ端から端へ寒鴉 右城暮石 虻峠
察察と寒鴉の翼静臥の上 山口誓子
山の木を雲に移れる寒鴉 平井照敏 天上大風
首かしげおのれついばみ寒鴉 西東三鬼
初鴉寒鴉にぞ様変へし 相生垣瓜人 負暄
償へよと寒鴉謝せよと山鳩鳴く 中村草田男
小雲の下行方を代へし寒鴉あり 中村草田男
松林にまた朋追へり寒鴉 原石鼎 花影
人の死を咥へ飛び去り冬鴉 野見山朱鳥 曼珠沙華
人を人と思はぬ浜の寒鴉 鈴木真砂女
人住まぬ氏神の木の冬鴉 廣瀬直人 帰路
水田あり記憶の松に寒鴉 木村蕪城 寒泉
生きてゐる瘡痍の流人冬鴉 佐藤鬼房
生国も育ちも上総冬鴉 鈴木真砂女 都鳥
喪の村の一喬木に寒鴉 阿波野青畝
啄木鳥をなぞふ寒鴉の醜きに 山口誓子
濁り水海まぎれゆく冬鴉 角川源義
誰々の生れ代りぞ寒鴉 鷹羽狩行
朝急ぐ一顧あたへし寒鴉 百合山羽公 故園
沈む日や衆を恃める寒鴉 橋閒石
敵のなきことにも倦みて寒鴉 鷹羽狩行
田に下りて一羽のこゑの寒鴉 森澄雄
倒れ木を女も跨ぐ寒鴉 橋閒石
冬烏見れば来てゐる職なきや 石川桂郎 含羞
冬鴉たたかふ翼からみたる 鷲谷七菜子 天鼓
冬鴉一つ砂丘に雨量計 松崎鉄之介
冬鴉汐木拾ひといふは貧し 鈴木真砂女 夏帯
冬鴉焦土に歌声おこる 角川源義
当麻寺の塔より高く寒鴉 細見綾子
日暮は行方 決めて 漁港の寒鴉 伊丹三樹彦
日本左衛門手下変じて寒鴉 百合山羽公 樂土以後
破船出てしばらくあるく寒鴉 上田五千石 田園
罵声をば寒鴉にぞ浴ぶされし 相生垣瓜人 負暄
白鷺動かねば寒鴉汀を遠く歩む 原石鼎 花影
麦の芽にここも人里寒鴉 中村汀女
隼を一過せしめて寒鴉 阿波野青畝
貧をかこつ隣同士の寒鴉 正岡子規寒鴉
敷石にはずみ下り立ち寒鴉 星野立子
父祖の血の声ともならず寒鴉 橋閒石 卯
母も子も眼のしたに隈(くま)寒鴉の群 金子兜太
凡鴉なり寒鴉の時に似ざるなり 相生垣瓜人 明治草
味方ほど敵の数あり寒鴉 鷹羽狩行
鳴きつれし寒鴉途中で別れわかれ 山口誓子
友として恥ぢざるべきか寒鴉 相生垣瓜人 負暄
揚舟に下りて吹かるる寒鴉 深見けん二
里の墓義央一学寒がらす 百合山羽公 樂土以後

寒鴉 続補遺 

もの喰ふてわかれ稲葉や冬鴉 凉菟
めし喰う天別いなばや冬烏 凉菟
しもを焼篝に寒鴉の声くらし 加藤曉台

以上

by 575fudemakase | 2017-04-17 04:56 | 冬の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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