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扇  の俳句

扇  の俳句


扇 の例句

扇 補遺

あきんどの既につかへる扇子かな 日野草城
あふぎやる扇の風をほほ笑まれ 阿波野青畝
あやまつて清水にぬらす扇哉 正岡子規 扇
いちはやく白扇買ひしこと悔いぬ 燕雀 星野麥丘人
いつせいに年忌の扇使ひけり 石田勝彦 秋興以後
いまさばと思ふ心に扇閉づ 稲畑汀子
いろいろに扇子弄れど言ひにくし 日野草城
うすものの中に扇をつかふ腕 山口誓子
うちひらく片輪車の銀扇 山口青邨
うつくしや京の女の扇折 正岡子規 扇
うつくしや扇づくりの苗代田 山口青邨
おさらばと扇をたゝむ別れかな 正岡子規 扇
かざす顔に紅うつる扇哉 正岡子規 扇
かつみ葺く扇使ひもけふよりぞ 森澄雄
かの扇わが失くしたる舟あそび 中村汀女
ここからも風や吹くらんかけ扇 正岡子規 扇
この扇子七百五十号に多謝 阿波野青畝
この扇愛し用ゐて女持 山口青邨
これ迄と扇をたゝむ別れ哉 正岡子規 扇
こゝからも風は来るかやかけ扇 正岡子規 扇
ささやきや銀扇の風遠ざけつ 中村汀女
ざれ歌の手跡めでたき扇哉 正岡子規 扇
しひられてもの書きなぐる扇哉 正岡子規 扇
しろがねがうこんの男扇かな 岡井省二 猩々
しろがねの房つき扇置かれけり 岡井省二 鹿野
すずしろを扇の形にめでたさよ 高野素十
すてられた扇も露の宿り哉 正岡子規 露
すて扇ひろつていづち置くべしや 原石鼎 花影
たかし忌の白扇が打つ膝拍子 鷲谷七菜子 花寂び
たはれをや扇の手わさ小さかしき 正岡子規 扇
たまに出て人の扇の珍らしき 後藤夜半 底紅
たゝみたる扇にはねる蜈蚣かな 正岡子規 扇
つつ~と扇の上に粽のせ 高野素十
なかば閉ぢ扇子の白さ改まる 鷹羽狩行
にほはしく女賊の扇古りにけり 飯田蛇笏 山廬集
はや~と扇使ひぬ法然忌 岡井省二 大日
はらみつの頤と思ふ扇かな 岡井省二 前後
はるばると南の島へ白扇 有馬朗人 非稀
ひらきたるまゝの男の扇かな 岡井省二 猩々
ひろげある女の扇わがたたむ 後藤夜半 底紅
ふしさへも一と夜に出来つ扇折 正岡子規 扇
まづもゆるあはれお飾の紅扇 山口青邨
まづ扇使ふことより落著きぬ 稲畑汀子
みせばやの花に扇を捨てやらず 後藤夜半 底紅
むくつけきをのこが舞へる扇かな 村上鬼城
もてあそぶ扇となりて言とぎれ 鷲谷七菜子 黄炎
もてなせり棕梠扇にて蠅を追ひ 山口誓子
ものいはぬ座頭にくしや京扇 正岡子規 扇
ゆるやかに僧のつかへる黒扇子 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
よき人の襟にさしたる扇かな 内藤鳴雪
わが使ふ扇の影が乱すもの 中村汀女
モンペ穿きよき帯しめて扇子さし 山口青邨
一と雨の急に扇を捨てんかと 高浜年尾
一扇の軸を上座に契沖忌 飯田蛇笏 雪峡
一瀑をたたみ秘めたる扇かな 日野草城
七十の恋の扇面雪降れり 橋閒石 荒栲
上布着て扇子を帯にさして来し 細見綾子
下闇に白くつかへる扇子かな 日野草城
中元としての南地の舞扇 後藤比奈夫
中元の扇のことで宗花堂 高野素十
二条より嵯峨にかかりし扇かな 深見けん二
二条通富小路東扇店 山口青邨
五六本物書きすてし扇かな 内藤鳴雪
京に来て扇購ふいとま哉 正岡子規 扇
京の町にはでな扇を求めけり 正岡子規 扇
京わらべ三尺帯に扇子かな 石橋秀野
京人は男もやさし紅扇 正岡子規 扇
人待つ間扇絵の鮎泳がする 林翔
仰臥さびしき極み真赤な扇ひらく 野澤節子 未明音
仲見世の口覆の浅き扇店 富安風生
住職の大扇面の風貰ふ 山口誓子
佐理の字を写さむとおもふ扇子かな 阿波野青畝
傾城にとりかくされし扇哉 正岡子規 扇
傾城にものかゝれたる扇哉 正岡子規 扇
全開の扇田いまは刈田なり 山口誓子
六十を祝ふて贈る扇哉 正岡子規 扇
冬浪の銀扇の飛ぶ虚空かな 上野泰 春潮
出でて行くに扇子と数珠こそ忘れまじ 荻原井泉水
出雲人赤き扇をつかひけり 燕雀 星野麥丘人
剣売て扇さしたるすゞみかな 正岡子規 扇
匂はしく女賊の扇古りにけり 飯田蛇笏 霊芝
十人に十の扇の動く部屋 稲畑汀子
千部会の僧みな扇ゆるさるる 山口青邨
名園に扇子を使ふ著莪の花(後楽園) 細見綾子
君絵を画け我句を書かん白扇 正岡子規 扇
喪ごころの使ひて絵野の扇なり 岡井省二 有時
噴水へすゝむ白扇ひら~と 原石鼎 花影
塾生の詩を書きたがる扇かな 正岡子規 扇
墓石洗ひあげて扇子つかつてゐる 尾崎放哉 須磨寺時代
墨痕の隆々として古扇 石田勝彦 秋興以後
夏風邪や熊野とりおとす舞扇 山口青邨
夕涼の来てをり扇鶏頭に 森澄雄
夕涼小魚のせたる扇哉 正岡子規 扇
夕顔の花を画きたる扇哉 正岡子規 夕顔
大岡の訴を聞く扇哉 正岡子規 扇
大石忌酒盃ともなる舞扇 山口誓子
奈良扇恋はならぬときめつけし 後藤比奈夫
奈良扇男扇の好もしき 後藤夜半 底紅
奪られたる扇のことを思ひいづ 後藤夜半 翠黛
女の雛は檜扇膝の上に立て 山口誓子
女らの 扇使いに 鰭振る魚 伊丹三樹彦
女手に抓み使ひの扇よし 後藤夜半 底紅
妓生の扇がくれに澄む目かな 阿波野青畝
妻亡くし写経扇子を配りけり 松崎鉄之介
宗祇水汲むに扇子を落しけり 松崎鉄之介
小扇しづかにつかふ媾曳(あひびき)水に映り 中村草田男
小扇をはつれて見ゆる寝顔哉 正岡子規 扇
尾の鰭の扇を金魚全開す 山口誓子
山の日に桧扇の実もはじけたり(白山山麓白峰村) 細見綾子
山を見るならひに扇置きにけり 岡井省二 夏炉
山山の蒼き日と夜舞扇 高屋窓秋
川風や金波銀波の舞扇 中村草田男
帯かたく扇子あたらし子と街ヘ 及川貞 夕焼
帯の上の乳にこだはりて扇さす 飯田蛇笏 霊芝
年々やこれの扇の置きどころ 西島麦南 人音
忘扇となりて絵柄に気がつきし 能村登四郎
忘扇をとどけついでの二三言 能村登四郎
思ひ出しづかひに扇匂はする 上田五千石『琥珀』補遺
惟光の骨の扇を使ひをり 岡井省二 鯨と犀
懐刀のごと一文字に置く扇子 鷹羽狩行
我が咳に伽藍の扇垂木撥ね 川端茅舎
我が心よりも小さな扇子買ふ 有馬朗人 耳順
扇おき筆を執りては海を見る 山口青邨
扇おくこころに百事新たなり 飯田蛇笏 雪峡
扇なす谷にながらへ落葉焚く 佐藤鬼房
扇ひらき胸かくさうず雛かな 山口青邨
扇ほめとは美しき名の神事 後藤比奈夫
扇を逆にひらいてしまひ子は去りぬ 篠原梵 年々去来の花 雨
扇売る女脂粉をいとひけり 西島麦南 人音
扇子もて種痘のあとをかくしけり 山口青邨
扇屋に相席ありて一の午 岸田稚魚
扇屋の女中頭の年賀かな 岸田稚魚
扇山むら雲すぐる雪解かな 飯田蛇笏 山廬集
扇持たずもとより羽織などは着ず 正岡子規 扇
扇絵やありともなくて銀の浪 村上鬼城
扇置いて妓生膝を高うしぬ 阿波野青畝
扇置きいとかろやかに死の話 鈴木真砂女 紫木蓮
扇見てふし思ひ出す夜寒哉 正岡子規 夜寒
扇貼ることに始る祭あり 後藤比奈夫
扇面の引手の彫りの幾冬ぞ 中村汀女
扇面の空より水の濃かりけり 上田五千石『琥珀』補遺
扇骨木の実妃陵の鳰の鳴きにけり 岡井省二 鹿野
手擦れふと過去引き戻す扇かな 稲畑汀子
持ちそめの扇子のかたき薄暑かな 日野草城
捨つるべき扇に記す恋句はも 上田五千石『琥珀』補遺
捨ててほしいと思ひゐる扇あり 後藤比奈夫
撰りひらく湖南の扇の舐の粉にほふ 篠原梵 年々去来の花 雨
数へ日の扇だたみに減りゆきぬ 鷹羽狩行
施餓鬼すみ扇子使ひて戻りくる(故郷の丹波青垣町にて七句) 細見綾子
旅人の扇置なり石の上 正岡子規 扇
旅人の破鐘叩く扇かな 正岡子規 扇
旅衣とけば扇のはたと落つ 石橋秀野
日蔽舟扇使ひの人見ゆる 松本たかし
朝戸出の腰にしづけき扇かな 渡邊水巴 白日
東をどり白扇は鶴の舞ふごとく 山口青邨
松島に扇かさしてなかめけり 正岡子規 扇
柱たかく足倚せて扇つかひけり 飯田蛇笏 山廬集
梶鞠や天つ日さくる扇子あり 山口誓子
楽あれば苦ある扇を置きにけり 上田五千石『琥珀』補遺
檜扇に招きかへさん揚雲雀 内藤鳴雪
檜扇に歌も書れぬ思ひ哉 正岡子規 扇
檜扇のうしろ清少納言かな 平井照敏 猫町
檜扇のほつれも恋の怨かな 安住敦
檜扇をひとり使ひてさびしさよ 森澄雄
次の間に控へて扇名残かな 桂信子 草影
正しく持つてことし捨てるばかりの扇をもつ 荻原井泉水
死に近く羽根扇てふものありし 飯島晴子
母がおくる紅き扇のうれしき風 中村草田男
母使ふ扇の薫る風に近し 野澤節子 未明音
水に浮くものとし扇流さるる 後藤比奈夫
流扇の名残とどめよ大堰川 阿波野青畝
海は扇松島は其絵なりけり 正岡子規 扇
涼しさに海へなげこむ扇かな 正岡子規 涼し
涼しさのこゝを扇のかなめかな 正岡子規 涼し
涼しさよみんな開いて扇店 山口青邨
渓の蛾は扇にとりて美しき 富安風生
濃あぢさゐ扇をねたむ日なりけり 中村汀女
灯に蛾あり扇のごとく狂ひけり 阿波野青畝
炎天や白扇ひらき縁に人 原石鼎 花影
為山画いて皆が贊する扇哉 正岡子規 扇
爆音の空たちもどり扇持ちぬ 渡邊水巴 富士
牛若の扇は赤きとんほ哉 正岡子規 蜻蛉
物書いた扇を人に見られけり 正岡子規 扇
男なら鳥獣戲畫の扇かな 岡井省二 猩々
発心の歌書き捨てし扇哉 正岡子規 扇
白扇にいよいよ筆を惜しむべし 星野麥丘人 2002年
白扇に山水くらしほととぎす 飯田蛇笏 山廬集
白扇に描きし瓜やじぐざぐす 相生垣瓜人 明治草
白扇のさみしや霧の峰泊り 秋元不死男
白扇のゆゑの翳りをひろげたり 上田五千石 琥珀
白扇の上昇するや昇降機 中村汀女
白扇の粉落すやうな新しさ 細見綾子
白扇やいひつくろへど裏切りなり 村山故郷
白扇や乾き乾かぬ墨の痕 日野草城
白扇や恥ぢては足の指うごく 加藤秋邨
白扇や文ンにあそびて人喬し 西島麥南 金剛纂
白扇をたためば乾く山河かな 橋閒石 和栲
白扇をひらいてみても利益(りやく)なし 星野麥丘人 2001年
白扇をひらひら何を現すや 山口誓子
白扇を一気にたたみたる別れ 鷹羽狩行
白扇を伏せまぼろしの蝶押さふ 山口誓子
白扇を十本買はぼ梅雨明けむ 雨滴集 星野麥丘人
白扇を捨てて手だけになりて舞ふ 山口誓子
白扇を流してみむか壇ノ浦 星野麥丘人 2005年
白扇を用ひて山気そこなはず 上田五千石 琥珀
白扇を白扇のまま雨の夜は 星野麥丘人 2001年
白扇を落す怨情極まりて 山口誓子
白扇を蝶の如くに使ひをり 上野泰 佐介
白扇を遺児欲しがりてもてあそぶ 右城暮石 句集外 昭和二十七年
白檀の扇ぞ撓ふ我鬼忌かな 秋元不死男
白鳥の一羽白扇双開き 阿波野青畝
百日紅ちらは扇にうけて見ん 正岡子規 百日紅
目礼のあとの黙殺白扇子 鷹羽狩行
眺むるとなく開きをり奈良扇 桂信子 花影
神の扇に憤怒将門冬の燭 角川源義
福笹や早足火扇に蹤きて行く 村山故郷
秘めごとの如く使へる扇かな 中村汀女
笏あてし檜扇あてし裸雛 後藤夜半 底紅
笹につけて扇やかさん女七夕 正岡子規 七夕
簾なす雨くぐり来て扇店 中村汀女
簿水子祭の扇かざしけり 後藤夜半 翠黛
粛として葬列を待つ扇かな(国葬) 飯田龍太
紅の扇と見ゆれ帯の間 正岡子規 扇
紅扇十三にして舞をなす 正岡子規 扇
紅扇手向け太夫の墓としぬ 阿波野青畝
絵扇や鼻にぬけたる女ごゑ 藤田湘子 てんてん
緑蔭に紅覆輪の扇使ふ 山口青邨
繭買やおとなひかざす古扇 飯田蛇笏 山廬集
老そめてなほ絵扇の小さなる 村上鬼城
胸あけて人にはやらぬ扇風 能村登四郎
胸にあて女扇のたたまれぬ 後藤夜半 底紅
胸を匐ふ蟻を扇で掻き落す 山口誓子
舞扇たたむ玉の汗ただひとつぶ 山口青邨
舞扇ひらきて懸けて月を待つ 後藤夜半 底紅
舟べりに水見て扇名残かな 桂信子 花影
船に忘れし扇憶へば波模様 林翔
艶ばなし微に入るときの白扇子 鷹羽狩行
花氷かすめし風の扇より 山口青邨
花野径扇かざすは艶めける 富安風生
若き妓の扇子にも句を大石忌 森澄雄
草以忌を修し扇を忘れけり 松崎鉄之介
草鞋とけて口にくはえる扇哉 正岡子規 扇
葬列に加はる扇子つかひつつ 伊丹三樹彦
蒼茫と扇子売場でありにけり 上田五千石『琥珀』補遺
薔薇を見るわれの手にある黒扇 原石鼎 花影
薫風やむかし伯山の張扇 水原秋櫻子 蓬壺
藤を描くならはし加茂の扇には 後藤比奈夫
蛾を以て扇としけり須磨の浦 永田耕衣
衣摺りて使ふ女の扇佳し 後藤夜半 底紅
袖口に扇子の風を入れる虚子 飯島晴子
袴より抜く白扇のあたらしき 能村登四郎
要やゝ綻びし扇涼しけれ 小林康治 四季貧窮
見学の扇づかひをはゞかりぬ 清崎敏郎
話身に入りし扇をぱち~と 星野立子
誰が扇わすれおきけん松のもと 正岡子規 扇
謎扇ほほとわらひてたたまれし 阿波野青畝
謡ひながら小銭を受くる扇哉 正岡子規 扇
謡師に肩はる癖の扇哉 正岡子規 扇
象牙扇骨こま~とひらかるゝ 日野草城
豪華なる女犯の扇なぶりけり 飯田蛇笏 山廬集
贈るべき扇も持たずうき別れ 正岡子規 扇
贐といふ白扇のすがすがし 高野素十
赤きものを子はめで草のざつ扇 正岡子規 扇
近江より帰りて扇しまひけり 能村登四郎
遠雷や発止と入れし張扇 水原秋櫻子 晩華
酒を注ぎ注ぎて白扇こぼさざる 山口誓子
金扇に日輪真紅武者飾 山口誓子
金扇に紅日凝らす武者飾 山口誓子
金扇の雲浮かしたる冬の翳 飯田蛇笏 椿花集
金扇を颯々と使ふ田夫かな 山口青邨
銀扇にかくし終ふせぬこころかな 中村汀女
銀扇の外骨きつく押しひらく 野澤節子 未明音
銀扇の如くに水を打ちにけり 上野泰 佐介
銀扇をあぎとにあてゝ思ひごと 星野立子
錦蛇扇をもつて指ささる 富安風生
長旅や名残の扇用ひつ 阿波野青畝
門扇の石蕗のほとりに欲しき石 上村占魚
開き見る忘扇の花や月 山口青邨
関取の小さき扇を持ちにけり 村上鬼城
阿曽次郎と裏に書いたる扇哉 正岡子規 扇
雲の峯に扇をかざす野中哉 正岡子規 雲の峯
霧に借りしひとの扇はひとの香が 加藤秋邨
青田波扇とひらく夕べかな 上田五千石『森林』補遺
面垂れて忿怒の扇え開かず 石塚友二 方寸虚実
韮一本われの眼を扇ぐなり 飯島晴子
頬杖の鉄扇いたし時鳥 正岡子規 時鳥
頷いてばかりゐる客白扇子 中村苑子
颯々と遅参の扇つかひけり 上田五千石『天路』補遺
颯詠と二字ある扇ひろげられ 阿波野青畝
髪結ふて古風な人の扇哉 正岡子規 扇
黒扇膝にたゝみて芥子をみる 原石鼎 花影

扇 続補遺

*うたひてはひろげて見たき扇哉 猿雖
*たきしめた扇に請る葵かな 三宅嘯山
あめつちのたらずめつかふ扇哉 寥松
いねぶりや人の扇の風が来る 万子
うかるゝや扇隣に水の花 上島鬼貫
かざしてや扇にへだつ蝉の声 支考
けふこそは扇とるらめ氷室守 鈴木道彦
けふのこと扇に書にあまりけり 松窓乙二
これみつが蜘捨てにたつ扇かな 大伴大江丸
さかさまに扇をかけてまた涼し 丈草
さしかえて扇持たる別かな 木導
さしわたす扇子の影や白牡丹 素丸 素丸発句集
さし置つ取つゝ鳴らす扇かな 三宅嘯山
しら菊に与一が扇さもあらば 秋色 俳諧嘱入尽
すまひ取扇遺ひの見事かな 三浦樗良
すゞしさや扇流れぬ宵もなし 馬場存義
そら言はむかしまことの扇かな 中川乙由
たそがれや藤植らるゝ扇取 其角
たゝみしを打ひらきてぞ扇なる 寥松
とろ~と扇も眠るすゞみ哉 望月宋屋
なぐさみも扇くらぶる斗也 杉風
なつ嶋を扇の下や四望亭 鈴木道彦
ふして拝む時には何もしら扇 小西来山
ふところに吉原本や扇うり 岩翁 伊達衣
みどり子に甜り取れし扇かな 三宅嘯山
ものかゝぬ扇涼しき別れかな 中川乙由
よにふるを何にたとへむぬれ扇 加藤曉台
わすれめや扇にむすぶ文の数 三浦樗良
三味線に月を弾出す扇かな 早野巴人
三日月の入さの松や扇をく 鈴木道彦
乞食も古き扇を頼みかな 三宅嘯山
二本目の扇をおろす暑さ哉 嵐青
二本目の扇子を下す暑さかな 嵐蘭 類題発句集
五十聟天窓をかくす扇かな 小林一茶
人々に扇をあげて草まくら 北枝
人買は草にすわつて扇かな 其角
倒の扇でもなし雲のみね 中川乙由
優々と羽扇に蝿を払ひけり 望月宋屋
児あふぐ扇の箔もまつりかな 加舎白雄
八朔や扇さしたる小百姓 蓼太 蓼太句集二編
兵の酌におりたつ扇かな 凉菟
其扇子こちから招く別かな 万子
冨士をさへ見まじとかざす扇かな 鈴木道彦
出女に扇子とられて泊りけり 桜井梅室
初夢や額にあつる扇子より 其角 五元集拾遺
前に置て神に物申扇かな 馬場存義
厠なる扇も喰らふ鼠かな 高井几董
叩首や扇を開き目を閉 桃隣
只白き扇をこのむ女かな 尚白
名月のうらや扇の二見潟 許六
名月や家の扇子はまねきよし 路通
呼懸て扇引せんにはかまど 遅望
四方からあふかれて居る扇かな 抱一 軽挙観句藻
夏野行扇のはしもたよりかな 夏目成美
夕立や扇にうけし下り蜘 炭太祇
夕顔やうすき扇の日のうつり 其角
夜歩行の露にとぢたる扇哉 高井几董
夜目にのみ扇淋しき光り哉 土芳
天の川色絵の扇ながさまし 杉風
奇麗さにかこひ古せし扇かな 田川鳳朗
女郎花うてば扇のにほひかな 言水
嬉しさを鷹に見せたる扇哉 嵐雪
寐所へさがしにかへる扇かな 園女
寐所へ扇にすへし蛍かな 園女
封切ばはや神風の扇哉 中川乙由
居双て手を唯をかぬ扇かな 杉風
嶋かげや扇子にひとつ居て見る 凉菟
常盤木や扇子を置てうたひもの 凉菟
床まくら父に骨折る扇かな 上島鬼貫
座についた顔見るやうな扇かな 牧童
忘てや人の扇を取あつさ 杉風
思へども雑の哥かく扇子哉 万子
扇から落して仕廻首途かな 凉菟
扇だけよけても波は来ざりけり 松窓乙二
扇とる手へもてなしのうちは哉 炭太祇
扇ならべ文台にその古実あり 凉菟
扇にもむせずや神の宝鶴 りん女
扇もて柳わけ行宮女かな 東皐
扇より二日もはやき別れかな 田川鳳朗
扇子では片皃見ゆる躍かな 壺中
扇子またおかぬもけしきまかせかな 土芳
扇子買にふねをつけるや花川戸 梅室 梅室家集
扇屋の暖簾白し衣かへ 利牛 炭俵
扇屋の暖簾白し衣がヘ 利牛
扇折いかに持たる汗ぬぐひ 千那
扇折子に耻しきけはひかな 尚白
手にとれば歩行たく成る扇哉 小林一茶
手にふれて一字を探れ破れ扇 芙雀
手拭をしめしてきせよ扇づら 其角
抜書や扇の真砂ありそ海 凉菟
文字摺の石の幅知ル扇哉 桃隣
日南ゆく片顔黒き扇かな 一笑(金沢)
明月や国では鮎の扇子だけ 凉葉
暮まつや白地扇の風あたり 良品
月なき夜柳をあふぐ扇哉 越人
朝顔や扇の骨をかきね哉 其角
松かげにみるや扇の道中記 炭太祇
松杉の宿や扇の明はじめ 露川
柴石の扇子に重し夕涼み 朱拙
案内者や扇ひらいて和歌の浦 路青
武士は扇法師は団こそよけれ 東皐
気のつまる相手には先扇哉 鼠弾
水の粉に風の垣なる扇かな 其角
海ひとつへだてゝまねく扇子哉 露川
涼しさや先門出から御田扇 中川乙由
涼しさや扇流れぬ宵もなし 存義 俳諧新選
涼しさを百里封して扇哉 中川乙由
淋しさに扇かりけり早泊り 藤森素檗
湖の風を帆にして扇かな 露川
片手綱馬上に扇見事なり 加舎白雄
町礼や袴のひもに扇さす 曲翠
白扇古郷と書て手向けり 田川鳳朗
白雲や扇をつかふ須磨の浦 野坡
目に嬉し恋君の扇真白なる 与謝蕪村
眠気来て片わきあふぐ扇かな 諷竹
石の上に落るものなしをく扇 舎羅
石竹や蒔た扇も今いとふ 中川乙由
砂もてり我も扇に一すくひ 凉菟
神鳴の灸する絵も扇哉 史邦
紗の袷のせて扇のしはりかな 良品
紫陽花やのろま遣ひのさし扇 米翁 染井山荘発句藻
維光が厠に持し扇哉 其角
繪着て小扇おもき端居哉 尚白
置ざまと書なぐりたる扇哉 望翠
自他に背かず愛扇風を*うなずけり 挙白
色町や扇かくれの人こゝろ 香以 香以居士発句
芦の根に落すと見しかぬれ扇 松窓乙二
花鳥もうら絵はうすき扇かな 炭太祇
草の戸や扇の箔に蚤のつく 寥松
蜑の子や何はなくとも盆扇 加藤曉台
蝸牛扇子鳴らせばふりかへる 桜井梅室
説法の扇に散や合歓の花 中川乙由
誰やらん扇のうごく月の影 望月宋屋
貧し気に扇の見ゆる戸口かな 夏目成美
身の程をしりぬ扇のしめる夜半 玄梅
都人の扇にかける網代哉 許六
酒のみの日に~かはる扇子かな 桜井梅室
野はづれや扇かざして立どまる 利牛
鉢の木の扇笑ふなかへり花 其角 五元集
隠し画の主まどひぬる扇かな 三宅嘯山
雨誉めて畳む扇かな 寥松 発句類聚
面とりて六十の野良が扇かな 東皐
面頬をはづして将の扇哉 黒柳召波
頤はしのびたらざる扇かな 朱拙
顔ばかり扇に吹すひるね哉 句空
風をさへまねき出したる扇哉 杉木望一
風声水音都の不二を扇かな 早野巴人
飛蛍舟に扇を揚にけり 高桑闌更
高椽や扇であふぐ馬の面 鈴木道彦

以上

by 575fudemakase | 2017-05-17 09:03 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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