後評(2017・8)

後評(2017・8)


ねずみのこまくら句会


青鷺の黙考のふり魚捉ふ

(この一句 何処かユーモラス。そこが買いか?)


湧水に弾き出されし水馬

(例えば、柿田川のあの富士湧水などの例を見れば、湧水の弾力性は半端じゃない。正に弾き出されしなのである)


かがり火の消えていくまで盆踊

(かって秋田、西馬音内の盆踊を最後の最後まで見尽くした。踊上手は夜十一時頃から登場して雁化踊等を舞った。夜の更けるに連れ、秋田音頭も卑猥な代え唄に変じた。篝火がガクッと崩れて踊は終焉を迎える)


朝曇り鎌の切れ味悪からず

(滞り無き表現に、言うべきことは全て言ったとでも申しているような作品)


蜩やわたくし雨の過ぎし杜

(かって小生は八丈島で次句を得た。


八丈島で夕立のことを斯く言えば

明日葉を嬉しがらせる所降


小生の「所降」もこの句の「私雨」も同じ処を狙ったもの。

因みに辞書に依ると、「私雨」は局地的に降る雨のことで、箱根、比叡、丹波などのものが有名とある )


朝の試歩蝉の飛び交ふ並木道

(夏も中、後半を過ぎると蝉もバタバタと乱れ飛ぶ。そんな状況か?)


木偶となりぬ夏風邪に声盗られたる

(「木偶となりぬ」と觀念したところに、軽い納得の念を覚える)


宍道湖の締めは土用の蜆かな

(「宍道湖の締め」は「宍道湖の旅の締め」のことなのだろう。言い足らずなのか?これでオーケーなのか読者に聞いて見たいところである)


水音の途切れぬ鬼無里水芭蕉

(水芭蕉の咲くところは、雪解水なり水量が豊富なところ。「水音の途切れぬ鬼無里」とは言い得てる)


熊除け鈴響ける池の井守かな

(人気の無き山湖の静寂を想う)


白粉の花の乱るる遊女屋(のすかいや)

(正に、造った作と思うが、映画のように情念の世界が伝わって来る面も否めない)


羅や双の乳房を緊縛し

(男故女の心中は察しかねるが、字面通りに伝わって来るもの有りと判断した)


朝顔市のポスターのはや大江戸線

(「大江戸線」から江戸を引き出し朝顔市に結び付けた。ここら辺が手柄)


かの猫も消えてしまひし夏の果て

(些末なものに夏果の風情を詠みとっている)


竹の花見たさに藪に踏み入りぬ

ひつそりと咲くがよろしき竹の花

(両句 何処か無手勝流。そこに好感を持った)


青葦に涼(そよ)いでゐたる鳥の声

(漢和辞典を繰ったが、「涼」をそよぐと読ませる根拠は無いと判断するが、作者の意図を確認したいところ…)


紫陽花のてんまりてまり揺れにけり

(童謡 鞠と殿様を下敷きにした洒落た一句。リズミカルな音調を一句に取り込んだ)


風鈴の鳴る時赤子泣き止みぬ

(ひょっとした発見。たわいもないと言えばたわいもないが…)


五箇山の空うめつくす赤とんぼ

(群舞する赤蜻蛉。空埋め尽くすは常識の範疇だが、固有名詞「五箇山」でこの句は活きたのではないか?)


地獄絵に鬼灯燃ゆる珍皇寺

(目下、小生はFacebookに嵌っている。写真家の写す京都の一葉一葉に頷いている。今夏は珍皇寺も度々登場した。どの写真家も盆花のほおづきを冒頭に持って来ていた。)


山頂に己れちっぽけ星飛べり

(五七の達観したような物言いがユニーク。俳句は尋常では面白くない。尋常ならざることを申してナンボのものである…。と言ってやりすぎるとこれ亦駄目である)


大西瓜まずは佛に褒めてねと

(誰に言い聞かしているのか? 己れ自身にか? それとも孫達にか?亡き夫にか?)


田畑を守りて一人の盂蘭盆会

(一人に…の措辞に、安らぎを覚えるのか?寂寞を思うのか?それとも やれやれを思うのか?)


稲の花ぐっすり眠りし朝かな

(「稲の花」と「ぐっすり眠る」の間にはどういう関連があるのか? 「ぐっすり眠る」の古語に うまい(熟寝)がある。どうやらこの裡の一漢字「熟」にその原因があるようである)


流鏑馬道けふは涼風通ふ道

(流鏑馬から一日間を置いた叙法に、この句の安らかさの原因があろう)


大本山がらんだうなり百日紅

(大本山は本来 がらんどう。大本山は知識の宝庫。「知識の宝庫」なんてそもそもガランドウ也と禅坊主宜しく言いたい)


峯雲や父の掌の添ふ逆上がり

(きめ細かな表現に賛同した)


泥鰌鍋尻ポケットに下足札

(ザックバランな泥鰌屋の雰囲気をザックバランに詠んだ)


たよりなや甘さ控えし土用餅

(元来、土用餅は暑に打ち勝つ為に考案されたものであろう。その為には味もシッカリしていなければならない。それなのに…と言った処なのであろう)


漱石の墓所に金えのころと猫

(何故 金えのころなのか? 私は漱石全集の装丁デザインのことをちらっと想ったりした)


母許や西瓜の躍る自噴井戸

(説明の要無しであろう)


母の紅つけてうれしや祭の子

(これは人様の子を詠んだのではない。自己の懐古詠じゃあないのか? それの方が味わい深い)


雲の峰山の向かうは沸騰中

(訳は判らんが、「沸騰中」の措辞は気になる。それが読者を引っ張って離さない)


八歳の虚空八月十五日

(戦時のある時点に一気呵成に遡っていった作者に共感した)


以上


by 575fudemakase | 2017-08-20 18:37 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://fudemaka57.exblog.jp/tb/27061206
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

タツノオトシゴ
at 2019-03-20 15:43
死神
at 2019-03-20 11:55
超越体(神、悪魔等)の関連語..
at 2019-03-20 11:32
着物
at 2019-03-18 19:30
和服 和装
at 2019-03-18 19:29

外部リンク

記事ランキング