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電車 汽車 列車 以外 の俳句

電車 汽車 列車 以外 の俳句

電車 汽車 列車 以外

あかつきの群線に貨車こごえけむ 鈴木孤声
アネモネを貨車がゆるがす友の下宿 酒井弘司
ありそめしこぼれ新米貨車ホーム 亀井糸游
いつからか都電なき町鬼灯市 山越渚
いづくより雪かぶり来し貨車すれちがふ 篠原梵
うりずんや快速船の大飛沫 伊良皆恵利子
おかしな所から機関車水出して弁当箱洗わせてくれる 市川一男
オリエント急行よぎる枯野かな 竹葉英一
かげろう土手の機関車 水で書く飢え 星永文夫
かりがねや軍港かくす貨車の胴 秋元不死男
かをりやんの上ゆく貨車の屋根にも兵 長谷川素逝 砲車
キャラメル工場を出る一輛の灼けた貨車 穴井太 穴井太集
くろがねの機関車座せり夏の月 天田牽牛子
このあたり都電快速一の午 奈良文夫
こめかみを機関車くろく突きぬける 藤木清子
さいはての貨車を塩もて充たしをり 飴山實 少長集
さざなみの春めく田川貨車長し 伊藤敬子
サボ市電物価騰りし街へ放つ 細谷源二 鐵
しだれ柳ふれて都電は雑司ヶ谷 敷地あきら
シヨール深く都電の残る町通る 伊藤いと子
スピード感全く欠除し都電うらら 北野民夫
すれ違ひゆける客車の九月かな 山西雅子
ダリアの紋章急行一過の空白に 三谷昭 獣身
つきはなす貨車コスモスのあたりまで 深川正一郎
つき放す貨車コスモスのあたりまで 深川正一郎
トラックにのり貨車にのり日の盛 久保田万太郎 草の丈
ながきながき春暁の貨車なつかしき 加藤楸邨
ひえびえと手摺見おろせば犇く貨車 古沢太穂 古沢太穂句集
ビルの日曜黄落はげしく市電過ぐ 河野多希女 琴 恋
ベッドサイドに機関車とまる月の原 須藤 徹
みずいろの舌もつ夏川市電スト 寺田京子 日の鷹
みるかげもなき向日葵と貨車一つ 京極杞陽
むし暑く馬のにほひの貨車でゆく 長谷川素逝 砲車
ゆらゆらと市電に蝶がぶつかりそう 川口重美
ゆるやかに都電を通す簾かな 松山足羽
ラッセル車まだ置かれある桜かな 橋本榮治 越在
ラッセル車先立てて着く子宝湯 佐藤俊子 『雪の本丸』
ラッセル車置かれしままに余花の雨 原田青児
ラッセル車翼たたみて鴉に似る 宮津昭彦
レール若し貨車を雪国より発たす 磯貝碧蹄館 握手
わが女冬機関車へ声あげて 鈴木六林男
われ咳きて市電夜の濠端を過ぐ 榎本冬一郎 眼光
闇汁や貨車の連結音聞こゆ 館岡沙緻
闇動きゐるは枯野を通る貨車 大橋敦子
伊勢詣各駅通過の特急で 安藤律子
鰯雲描きかけの貨車動き出す 原 孜志
引込線花菜の上に貨車憩う 田川飛旅子 花文字
雨の貨車過ぎをり雨の猫じやらし 石田波郷
唄ふごとし寒の都電の老車掌 細川加賀
厩当番貨車にとどける日にねむし 細谷源二 鐵
厩当番貨車に曠野の日を見たり 細谷源二 鐵
雲の峰音立てて貨車つながりぬ 秋山牧車
駅舎より大き機関車山笑ふ 廣田みさ江
駅遅日牛積む貨車のつづきけり 市脇千香
駅売りの冬の餡パン貨車に烏 田川飛旅子 花文字
炎天に大軋りして埠頭貨車 五十嵐播水 埠頭
炎天の貨車過ぐるまで身を反らす 菅田静歩 『大花野』
煙突の街抜け得ざる冬の貨車 河野南畦 湖の森
遠くまで見ゆる青田を午後の貨車 折井紀衣
遠くゆく貨車に師走の日のさせる 成瀬桜桃子 風色
遠花火闇よりくらく貨車ねむる 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
遠天に音なき飛行機貨車操る 鈴木六林男
遠野火や貨車に積まるる常陸牛 北見さとる
遠野火を眩しみ錆の貨車つなぐ 久行保徳
横浜の青き市電にものわすれ 渡辺白泉
黄塵に燃える夕日と機関車と 白根順子
黄落の街泊船の前に貨車 大岳水一路
屋根に雪野武士のごとき貨車一輛 椎橋清翠
加賀しぐれ馬積む貨車とならびつつ 渋谷道
夏痩の友に特急たくましく 藤木清子
夏潮のコバルト裂きて快速艇 牛田修嗣(狩)
夏涸れの河へ機関車湯をたらす 西東三鬼
火の粉とぶ火事に市電の珠数つなぎ 右城暮石 上下
火蛾と醒めおりぬ快速車の孤客 楠本憲吉
花の日の午後無蓋貨車来て溜まる 穴井太 ゆうひ領
花冷の貨車の中より牛の声 木村里風子
貨車あまたちらばり凍てて歳去りぬ 片山桃史 北方兵團
貨車いくたび過ぎし枯野の雨やまず 柴田白葉女 遠い橋
貨車が 影絵のようにとまつていて ぬくい冬の夜霧 吉岡禅寺洞
貨車がこぼした麦を夕陽があたためる 穴井太 穴井太集
貨車さかる死の合唱が遠ざかる 三谷昭 獣身
貨車すぎて鉄匂ひたる炎暑かな 松本 繁
貨車つなぐ響き枯野へ抜けにけり 寺島ただし
貨車とまる駅にあらざる霜の崖 橋本多佳子
貨車に沿い歩む浴後の裸にて 田川飛旅子 花文字
貨車に客車つなぐ霧濃き開拓駅 桜井博道 海上
貨車に寝て野分馬臭をかきたつる 金丸鐵蕉 『動輪』
貨車に遭えり彩なく寒きわが幾日 三谷昭 獣身
貨車ぬいて海が見え出す冷房車 鈴木鷹夫 渚通り
貨車のかげ夏浪白くあがるなり 大野林火
貨車のさび草にうつりて薄暑かな 太田鴻村 穂国
貨車の屋根の煤雪の上に初雪す 原田種茅
貨車の音重し釣鐘草の昼 二宮 美代
貨車の下乾いてゐたり走り梅雨 木村里風子
貨車の間にかたまりコレラ注射受く 亀井糸游
貨車の間の冬草青し江東区 岩田昌寿 地の塩
貨車の牛ゆつくりと過ぐ遠桜 上田京子
貨車の上に黒き雪降る受難節 井沢正江
貨車の数かぞふるが癖土筆生ふ 角光雄
貨車の豚おんおんと寒きまつ只中 細谷源二
貨車の豚ひしめき過ぐる吹雪かな 高須茂
貨車の背の遠ざかるまで冬暮色 三谷昭 獣身
貨車の扉に銀の封印クリスマス 松下晴耕
貨車の扉に藁はみ出して雪国へ 林 徹
貨車の扉の隙に飯喰う梅雨の顔 飴山 實
貨車の扉を開くる手力飛び飛ぶ雪 田川飛旅子 花文字
貨車の扉を細目に海を見て涼む 田川飛旅子 花文字
貨車一つ忘られてある寒の雨 神山杏雨
貨車一輛それが陽炎となつてをる 京極杞陽 くくたち上巻
貨車遠くひびく藤の実たれきそひ 土岐錬太郎
貨車遠く尾を曳き行けり冬木立 鮫島交魚子
貨車過ぎし枕木露の石にしづむ 桜井博道 海上
貨車過ぎて毒消売の歩きだす 石田波郷
貨車過ぎて白粉花の散る兎舎の雨 宮武寒々 朱卓
貨車過ぐるひびきのつたふ雪の宿 鈴木しづ子
貨車繋ぎ全車輛鳴る大枯野 吉田輝二
貨車黒しひまはりの影とどきても 木下夕爾
貨車疾走 寒いすすきが引火する 増田まさみ
貨車灼けて満載されている怒り 森 武司
貨車秋雨ひとの振る灯を尾燈とす 中島斌男
貨車数十ゆつくり消ゆる良夜かな 平野無石
貨車通る風のつめたき茅花かな 木下夕爾
貨車渡る大鉄橋の無月かな 渡井一峰
貨車連結さる雪嶺の大盤石 齋藤愼爾
貨車黝くつながれて蝌蚪泳ぎけり 萩原麦草 麦嵐
快速はあわれなりけり蕎麦の花 阿部完市 軽のやまめ
海沿ひを走る鈍行波の花 斉藤葉子
海霧の縞日漁港路線に貨車あらはる 石原八束 空の渚
寒き夜の貨車駐らむとしつつあり 山口誓子
寒牡丹貨車が地響きしてまぶし 加藤知世子 黄 炎
寒暁をはるかな貨車の長響き 野村秋介
寒月光背後見ずとも貨車通る 桂信子
寒雀遊び空貨車溜りをり 石塚友二
寒澄むや艀の細身貨車の胴 小林康治
寒卵啜り機関車乗務かな 永田蘇水
寒鴉のりをる貨車の動き出す 木村凍邨
汗の粒貨車を外光に押しいだす 片山桃史 北方兵團
甘藷の貨車出勤の踏切断ちぬ 原田種茅 径
閑な市電尻ふり早春の運河沿いに 赤城さかえ
雁や市電待つにも人跼み 大野林火
顔過ぐる機関車の灼け旅はじまる 橋本多佳子
旗に風ある都電を見しや羽抜鶏 磯貝碧蹄館 握手
機関車が止まり秩父の百目柿 辻 男行
機関車が止まる蟋蟀の声の上 的野 雄
機関車にかこまれ濡るる東風の靴 宮武寒々 朱卓
機関車に雲や鴉や秋の山 飯田蛇笏 霊芝
機関車に試乗し燈下春惜しむ 宮武寒々 朱卓
機関車に助手穂芒を弄ぶ 山口誓子
機関車に潜る白息交しつつ 吉田未灰
機関車のしろき蒸気や草紅葉 田中冬二 俳句拾遺
機関車のひびきの残り月見草 木内怜子
機関車のやうな白鳥離水せり 脇本星浪
機関車の火夫に仰がれ朴咲けり 佐野青陽人 天の川
機関車の寒暮炎えつつ湖わたる 山口誓子
機関車の骨格太し蝉の暁 近藤一鴻
機関車の蒸気すて居り夕ざくら 田中冬二
機関車の蒸気ゆたかに霜の駅 飴山實 『おりいぶ』
機関車の息あびて咲く菫かな 太田鴻村 穂国
機関車の底まで月明か 赤尾兜子(1925-81)
機関車の湯を湯たんぽに宿直す 野崎夢放
機関車の湯を抜く音の夜寒哉 寺田寅彦
機関車の日の丸日の丸勝ちうさぎ 攝津幸彦 未刊句集
機関車の煤降る葡萄枯れし軒 木村蕪城 寒泉
機関車の率ゐて行きし晩夏かな 朝吹英和
機関車の瘤灼け孤り野を走る 西東三鬼
機関車は裾も湯げむり初詣 山口誓子
機関車は蓬の国へ消えてゆく 穴井太 天籟雑唱
機関車やなんでも食べる息白し 二村典子
機関車をねむらせている青田風 穴井太 原郷樹林
機関車を磨きあげたる師走かな 大久保重信
機関車庫出て夕月に逢ふ暮春 宮武寒々 朱卓
機関車動輪雪噛みほめく漆黒に 金丸鐵蕉 『動輪』
機関車焚きに坂勝ちの村蝶浮かす 太田土男
機翼の屑貨車に溢れて灼けつつ過ぐ 原田種茅 径
稀に蝶貨車の連結音午報音 石川桂郎
議決す馬を貨車より降さんと 鈴木六林男 谷間の旗
客車区に留る鳥のごと一貨車 竹中宏 句集未収録
急行「あじあ」静かに着きぬ秋の暮 大場白水郎 散木集
急行で著きし京都の春夕ベ 大場白水郎 散木集
急行の速度に入れば枯れふかし 西垣脩
急行の停らぬ駅や秋祭 赤星水竹居
胸の上に青嶺来てをり急行車 猪俣千代子 堆 朱
極月やさらば機関車ゴルバチヨフ 山岸竜治
桐の花貨車に秩父の土載せて 南 恵子
桐の花少年と乗る鈍行車 海老名衣子
筋肉は清明なもの陸蒸気 高橋たねを
近づいて来る除雪車の大き灯よ 長島衣伊子
銀座ここも都電なくなるマフラー購ふ 鈴木栄子
軍港へ貨車の影ゆく犬ふぐり 秋元不死男
軍用貨車染めて曠野の日が終る 細谷源二 鐵
啓蟄や全長伸べ伸べ快速車 百合山羽公 寒雁
鶏卵を市電で割りぬ啄木忌 攝津幸彦
月見草めざめて黒き貨車長し 殿村莵絲子 花 季
月見草客車一輛夜の駅に 桜井博道
憲法記念日をひた走る快速車 楠本憲吉
肩かけて押す空の貨車初仕事 久野よしお
見るかげもなき向日葵と貨車一つ 杞陽
見上ぐれば春満月をよぎる貨車 岡田治子
原爆忌市電無数の手を吊りて 今井 勲
枯野来ていつもの貨車とすれ違う 佐々木はるを
狐火を見しとふ貨車の車掌かな 有働 亨
五月火夫歯のみ涼しく機関車に 吉田未灰「半弧」
後の月機関車一両だけ走る 田中啓介
口赫っと開けて森ありラッセル車 依田明倫
向日葵に古き雨降る無蓋貨車 穴井太 原郷樹林
工場の疲れ市電に充ちてシャボン臭 林田紀音夫
工賃をまもり市電の隅にたつ 細谷源二 鐵
広島や市電に牡蛎の桶持ちて 星野立子
広島や市電に牡蠣の桶持ちて 星野立子
更けて又除雪車街をゆつくりと 深見けん二
港のはづれ貨車とかならず荒地野菊 宮津昭彦
港区の梅雨茫々と無蓋貨車 右城暮石 声と声
行きつ戻りつ貨車組む小駅雪の信濃 桜井博道 海上
黒き貨車夏野を分かちはるけしや 福田和子
黒き貨車来て重砲を積み走る 細谷源二 鐵
昆布の貨車と客車二両の根室線 大野林火
昆布の貨車と客車二輛の根室線 大野林火
砂漠灼け虫の如くに長き貨車 菅野イチ子 『花漆』
妻とエレベーターの急行に乗る春の宵 橋本夢道 『無類の妻』以後
妻みごもる秋森の間貨車過ぎゆく 金子兜太 少年/生長
三の酉都電残りて乾らぶ街 杉本寛
三鬼忌の大魚担がれ貨車の中 火村卓造
三十代静止の貨車の爽涼と 大井雅人
山からの風蒼涼と夜の貨車 大井雅人 龍岡村
山は覚めて寝てゐる貨車を静かに看る 藤後左右
山越ゆる長き無蓋車夜寒星 松崎鉄之介
山懐に溜る貨車音寒桜 鍵和田[ゆう]子 未来図
山手線に国電跳ねて三十三 阿部完市 証
残雪を崖裾に圧し貨車曲る 原田種茅
子規の忌の漆黒の貨車大きかり 秋山重子
市電くる開花予想の遅れつつ 杉野一博
市電すでに日盛りの音人形店 川端青踏
市電の中を風ぬけ葵まつり過ぐ 鈴木鷹夫
市電争議などあり団扇置く日かな 長谷川かな女 雨 月
獅子舞ひとり朝の都電に拾はれつ 岡田 貞峰
紫陽花や都電おほむね無人駅 岡村和舟
視外の顔暑くねむたき市電の座 石塚友二 方寸虚実
汐留や貨車の彼方の遠桜 館岡沙緻
七夕や岡崎止りの貨車に昼 北野平八
車掌のうしろ見えては雨の市電過ぐ 野澤節子
灼くるだけ灼けて空貨車動き出す 堀 青研子
若き軍馬貨車に積まれて怒る反る 細谷源二 鐵
首夏の家朝に深夜に貨車轟き 石田波郷
樹をもたぬ蝉鈍行の川一本 飯島草炎
秋つばめ旅終る貨車濡れて着く 木田千女
秋の夜の馬を看護りぬ貨車の中 稲葉光堂
秋雨や貨車ばかりなる王寺駅 大橋櫻坡子 雨月
秋暑しホームにあまる無蓋貨車 木下夕爾
秋日濃し汐留駅の貨車溜り 加藤佳子
秋風に客車一輛牽くけむり 石橋辰之助
秋風に客車一輛索くけむり 石橋辰之助 山暦
秋風やある日都電に乗ることも 鈴木真砂女 夕螢
秋夜遭ふ機関車につづく車輛なし 山口誓子
秋夕焼牛一頭の貨車行けり 杏中清園
終戦日戦友と奉納機関車触る 河秀風
終電といふ秋の灯のなかにをり 仁平勝
終電とは締切に似る冬の靄 鈴木栄子
終電に間ある雑閙三の酉 石塚友二 方寸虚実
終電の寒さ新聞拡げ合ふ 右城暮石 上下
終電の次ぎが始発や去年今年 馬場菊子
終電はとうに過ぎにし花筏 松本康司
終電や踏みて匂はす忘れ葱 加藤秋邨 まぼろしの鹿
終電初夏なり言葉澱んで発光し 高野ムツオ 陽炎の家
十勝野の奥へと冬の貨車の音 源 鬼彦
十六夜や一輛灯す貨車よぎり 堀口星眠 営巣期
重砲を貨車に積み赤き日へ向ふ 細谷源二 鐵
重連の機関車そして蕗の薹 小野希北
春の雲貨車に積まれし牛の瞳に 成瀬桜桃子
春暁や貨車の車輪の動かぬ鉄 榎本冬一郎 眼光
春月の貨車にゆつくり抜かれけり 田川飛旅子 花文字
春塵の近江に貨車を放ちけり 斉藤夏風
準急のしばらくとまる霞かな 原田 暹
初時雨客車片側かがやけり 加藤 耕子
初嵐白鳥のせた貨車のごとく 平北ハジム
除雪車にあかつきの天昏かりき 水原秋桜子
除雪車にさらわれし人形のこと 対馬康子 愛国
除雪車に沖の鴎がたち騒ぐ 加藤楸邨
除雪車に雪降る海がうごきくる 加藤楸邨
除雪車に目覚て雪を掻きにけり 遠藤 孝作
除雪車のあとさんさんと子が溢れ 岸田稚魚
除雪車のそこのけそこのけお通りだい 高澤良一 随笑
除雪車のたむろしている駅に着く 福永鳴風
除雪車のたむろしてゐる駅に着く 福永鳴風
除雪車のプロペラ雪を噛みてやすむ 橋本多佳子
除雪車の響きにゆるるピエロかな 室谷安早子
除雪車の駆けづり湖の町眠る 伊東宏晃
除雪車の光芒闇を開き来る 金箱戈止夫
除雪車の轟々と夜を抉じ開ける 佐藤靖美
除雪車の鎖は太し巻かれたる 長谷川櫂 古志
除雪車の傷だらけなりすれちがふ 八木林之介 青霞集
除雪車の折返し点峡せばむ 中戸川朝人 尋声
除雪車の先導なせり恵方道 小林雪雄 『海明け』
除雪車の地ひびき真夜の胸の上 黒田桜の園
除雪車の通りし後の雪を掻く 關 茂子
除雪車の通りし道に初明り 関 秀子
除雪車の働く音の昏れて来し 山田弘子 螢川
除雪車の力も及び難しとや 中田みづほ
除雪車の力尽きてはいこふ駅 水原秋桜子
除雪車を降り埋めむと雪舞へり 水原秋櫻子
除雪車を雪の中より掘り出しぬ 小沢比呂子
除雪車を優先させて救急車 津田清子
小廻りの利く除雪車も出動す 山田弘子
焼鳥や都電の軋り蹠より 木村川至
障えぎるは広島の忌の貨車の胴 徳弘純 非望
乗りてすぐ市電灯ともす秋の暮 鷹羽狩行 誕生
乗りてすぐ市電燈ともす秋の暮 鷹羽狩行
信濃森上春雪のなかの貨車 金田咲子 全身
新巻と青竹と貨車続きけり 斉藤夏風
人の家辞し市電の隅にこの冬日 香西照雄 対話
人下りし市電朧の中に揺れ 橋本鶏二
人間機関車全力疾走終ゆ霜旦 高澤良一 宿好
甚平の紐に都電の定期券 館岡沙緻
吹雪く夜は機関車の火のごと林檎磨く 竹鼻瑠璃男
水仙や貨車通過音揺曳す 湘子
水仙花引き込み線の貨車錆びる 橋本都代子
成人の日をくろがねのラッセル車 成田千空
西日中肩で押す貨車動き出す 西東三鬼
西明るし市電ひたすら雷雨衝く 右城暮石 声と声
青葉風都電跡なる切通し 長 カツコ
石炭貨車つやつや過ぎて冬日や大火焔 金丸鐵蕉 『動輪』
積乱雲野に湧き野に湧き貨車灼くる 相馬遷子 山国
赤い旗振る炎天の貨車押せり 萩原麦草 麦嵐
切山椒買うて早稲田に都電待つ 奈良英子
切迫正しくわが胸残す雪の貨車 赤尾兜子
雪に火をこぼし機関車は夜をあとすさる 栗林一石路
雪の峡客車一輛貨車に蹤き 相馬遷子 山国
雪の宿貨車の連結みてゐたり 鈴木しづ子
雪の中急行「あじあ」すれちがふ 大場白水郎 散木集
雪空のものうくて貨車うごき出す 桂信子 黄 炎
雪国へ苛性ソーダを運ぶ貨車 五島高資
雪国へ貨車は青菜を積み込める 館岡沙緻
雪積む貨車酔い痴れた手は妻の肩 金子兜太 少年/生長
雪嶺と激浪のあひ貨車長し 吉野義子
雪嶺へひびき丸太を貨車積みす 榎本冬一郎 眼光
蝉鳴ける貨車やそのまま動き出す 加藤秋邨 野哭
戦にゆく馬と人貨車に眠る 細谷源二 鐵
草いきれ貨車の落書き走り出す 原子公平
草いきれ貨車の落書走り出す 原子公平
草いろの市電のむかし雲の峯 友岡子郷
霜の貨車弾薬庫より引き出さる 木村里風子
霜の機関車の重圧にたえている車輪 栗林一石路
息にくもる特急白き椅子カバー 右城暮石 声と声
束縛を蹴散らし除雪車の夜明け 櫂未知子 貴族
卒業の歌詞を市電の中にうたふ 岩崎照子
卒業歌貨車からは豚がおろされる 加倉井秋を
多喜二忌の市電に走り追ひつくも 本多静江
打水を車体に受けて市電走る 右城暮石 声と声
待避線に急行待てり彼岸花 田中冬二 俳句拾遺
台風の駅を出てゆく豚の貨車 林 民子
台風去る市電市バスが動き出し 茨木和生 木の國
大いなる機関車濡るる花の雨 中村汀女
大雪の都電とゞまる旧居前 水原秋櫻子
大年の闇があと追ふ貨車の尻 成瀬桜桃子
大年の貨車が家を揺る世の歪み 岩田昌寿 地の塩
大兵を送り来し貨車灼けてならぶ 長谷川素逝 砲車
単線の客車に一人冬の海 今田利子
淡雪嘗めて貨車の仔牛の旅つづく 加藤秋邨 まぼろしの鹿
炭切る母貨車にひかりを奪はれつゝ 磯貝碧蹄館 握手
短日の貨車押しあひつつ停る 木下夕爾
短日や汽笛するどき埠頭貨車 五十嵐播水 埠頭
短夜や庇の下に埠頭貨車 五十嵐播水 埠頭
端居更く機関車の抜く蒸気音 安江緑翠 『枯野の家』
地の雪と貨車のかづきて来し雪と 木下夕爾
地下を出て野を立春の快速車 足立靖子 『梨花』
地響きは貨車焦れ泣きは裸子ぞ 中島斌男
致命祭市電ゆつくり坂くだる 成田淑美
中年の男は不意に年をとる貨車ゆっくりと昼の遠景 岡部桂一郎
昼寝覚む足裏に貨車のひびきと日 原田種茅 径
虫の闇放たれて来し貨車停る 内藤吐天
朝寒の市電兵馬と別れたり 石田波郷
朝焼へ朝焼へ兵の貨車退る 中島斌男
町裏に都電の軋む飾売 藤木竹志
長き貨車警笛と来る山背風 仲丸くら
長き長き春暁の貨車なつかしき 加藤秋邨 穂高
鳥雲に通り過ぐまで貨車を見て 内田美紗 魚眼石
鳥渡る鳥よりほそき貨車の笛 高杉杜詩花
津軽海峡越ゆる貨車より蜂こぼる 加藤隆二
鶴川は急行とまらず桂郎忌 草間時彦
泥寒し市電終点より先は 宮津昭彦
鉄橋に貨車さしかかる大花火 山崎 朋子
天高し鉄橋よりも長い貨車 宮城白路
転車台に腑抜け機関車冬うらら 桂樟蹊子
田*ひばりの地をゆるがせて長き貨車 伊藤いと子
都さす貨車が連なり鰯雲 桂 信子
都電まだのこる王子や酉の市 長屋せい子
都電一塊煌々たるは露けしや 岡本眸
冬ざれやうらぶれ都電ひた走り 瀧春一
冬の深夜貨車音とおる家の幅 田川飛旅子 花文字
冬の深夜貨車音とほる家の幅 田川飛旅子
冬の水暮れては流す都電の灯 石塚友二 光塵
冬雲に向けてえいえいと貨車を押す 加藤楸邨
冬凪や鉄塊として貨車憩ふ 木下夕爾
冬夕焼電気匂つて市電来る 戸板幽詩
東風の山に覆はれ貨車の覚めたけはひ 藤後左右
東風の山の羽がひに貨車は身を振はす 藤後左右
東風の山の山ふところに泣き寄る貨車 藤後左右
東風の山はねむく貨車は走り廻る 藤後左右
東風の山は冷めたい夜の貨車を包む 藤後左右
東風の山よ夜具から貨車が這出したよ 藤後左右
東風の樹を貨車に積み込み眠れぬ山 藤後左右
東風の樹を都に送り貨車は冷めたい 藤後左右
灯蛾と醒めをりぬ快速車の孤客 楠本憲吉「孤客」
豆ランプ貨車に守り軍馬と揺られ 細谷源二 鐵
働く詩人の会合の家貨車にゆらる 古沢太穂 古沢太穂句集
特急といふも単線山桜 大久保白村
特急に乗つてきたるに立泳ぎ 金子雄山
特急の冷房効きて帽子脱ぐ 鍵岡勉
豚の貨車霜に停れり湯気洩れて 田川飛旅子 花文字
鈍行のなかなか発たぬ花の駅 鈴木鷹夫 大津絵
鈍行の隅にひとりの旅の神 丸山海道
鈍行の中まで稲田の照り返し 高澤良一 随笑
鈍行の膝に童女や夕花野 加藤耕子
鈍行もよし駅毎の刈田見て 若月一敬
鈍行も時に疾駆す葡萄郷 北野民夫
鈍行や海と平らに瑞穂の田 成田千空
鈍行を愛し冬野へ身をゆだぬ 金箱戈止夫
南蛮の花やセメント貨車通る 永方裕子
二番摘みの棉こぼしゆく無蓋貨車 毛塚静枝
日だまりに貨車溜め秋も硬質に(鶴見操車場) 河野南畦 『風の岬』
日記買ふ貨車連結の音の書肆 大岳水一路
日雷とおもえば二輌だけの貨車 渋谷道
日輪に除雪車雪をあげてすすむ 橋本多佳子
梅雨の駅貨車の全長動き出づ 西村和子
白日傘貨車を数ふることもなし 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
白露や個性は暁の一つの貨車 大井雅人 龍岡村
麦わら帽貨車のあとから風一団 友岡子郷 遠方
麦秋や貨車に飛びつく連結手 松本俊介(春燈)
晩秋の貨車にこくりと馬の首 原コウ子
晩春の雨に光るは黒き貨車 南 椏琅
非命多喜二北風の機関車煙伏す 成田千空 地霊
百年橋除雪車の来て村つなぐ 田中英子
氷雨伝う玻璃ごしに貨車よれよれに 田川飛旅子 花文字
氷雨来る財閥の名が機関車に 武田伸一
病む母に霜夜の市電閃光す 丸山哲郎
不幸なる生ひ立ちに似て冬の貨車 大牧 広
埠頭貨車一つ離れて冱ててをり 五十嵐播水 埠頭
腐草蛍に不揃ひの貨車連ね 山田静枝(青樹)
風の中唾ためて貨車見すごせる 林田紀音夫
風の中鈍行で行きさがす柩 阿部完市 絵本の空
覆われて貨車に角ばるもの北風へ 田川飛旅子 花文字
文化の日市電で回る子規の町 松本隆吉
墓地は秋頷き走りの小都電 石川桂郎
暮早し機関車刻々黒さ増す 永田耕一郎 氷紋
奉公の頃の市電に初地蔵 水野遼 『鑿』
豊年や窓枠太き鈍行車 岡本眸
北へ向く貨車は野分に拉致される 丸山嵐人
北を指し黒みだれなき除夜の貨車 大井雅人 龍岡村
北限に墨引くごとし去年の貨車 大郷石秋
北国へ発つ機関車の胴黒く 島田青蛾
睦月尽終電に鳴る打点鐘 佐々木ゆずる
満開の桜機関車独走す 津田清子 二人称
密閉されておのれの復る貨車西日 原田喬
無蓋貨車砂利満載や年暮るる 杉山満保
無蓋貨車驀進喜雨にしぶき上ぐ 依田明倫
無蓋車の製氷卸す眩暈かな 萩原麦草 麦嵐
無語の声一塊となり貨車となる 三谷昭 獣身
霧さむき函館港に貨車動く 田川飛旅子 花文字
霧の操車場機関車の灯に箸使へり 中島斌男
名月の丸太を積んで貨車つきぬ 飴山實
明治草三日うごかぬ貨車ひとつ 丸山哲郎
木の枠であつて市電の冬の蝿 杉野一博
木枯や熱き機関車の辺を過ぐる 福田蓼汀 山火
野に出でて白き翼のラッセル車 竹鼻瑠璃男
野焼の焔むら嶺に澄みて快速車 石原八束 空の渚
柳散り雨の中より都電来る 大木格次郎
揚花火貨車くろぐろと迫るかな 中戸川朝人 残心
揺れに揺れ都電荒神輿のごとし 小川背泳子
陽炎へどかつと貨車の割つて入る 丸山了
来るを信じるくらがりの硫酸貨車 上月章
雷去りて丸太積む貨車現れし 茨木和生 木の國
落葉降り華燭の車都電越す 石塚友二 光塵
梨売りの頬照らし過ぐ市電の灯 沢木欣一
離れ貨車いつも一輛梅雨埠頭 亀井糸游
陸蒸気かのナキウサギ泣かしめむ 攝津幸彦
葎茂る港埠の貨車は扉を閉さず 秋元不死男
流氷や三人で行くあかごの葬 蒲生貨車夫
例えば自転車 機関車よりも速く 木村聡雄
冷しラムネ千住の貨車の通りけり 龍岡晋
冷ゆる夕日遠き貨車より人顔出す 古沢太穂 古沢太穂句集
露の貨車病める軍馬を下ろし発つ 皆吉爽雨
労働祭市電あふるゝにまかせたり 米沢吾亦紅 童顔
佛蘭西の夏時間の野を快速車 八木林之介 青霞集
凩や夜襲のごとく貨車過ぎる 鈴木 映
曼珠沙華の群へはぐれる月の貨車 仁平勝 花盗人
夾竹桃機関車老いて捨てらるる 山本朱鷺男
涸れし川わたる市電の音をたて 小路智壽子
絽羽織の幇間の居る都電かな 都筑智子
蟷螂やかはたれ時の長き貨車 川上まつえ
蟷螂よ野の国を行く昼の貨車 加川憲一
蠢蠢と市電近づくのどけしよ 八條凛子
颱風外れ月夜の貨車として進む 桂信子 黄 炎
驟雨に洗はる都電屋根からすつぽり青 磯貝碧蹄館 握手
鰤の眼の海色暁の鮮魚貨車 宮坂静生 青胡桃
鳰ちかく湖駅除雪車汚れたり 宮武寒々 朱卓

電車 汽車 列車 以外 補遺

いづくより雪かぶり来し貨車すれちがふ 篠原梵 年々去来の花 雨
いわし雲音ひびき発つ貨車二十 藤田湘子 途上
かりがねや軍港かくす貨車の胴 秋元不死男
かをりやんの上ゆく貨車の屋根にも兵 長谷川素逝 砲車
ここだ照る迷彩貨車はゆき戻らず 三橋敏雄
コスモスに白い煙の機関車が 右城暮石 句集外 昭和十一年
コスモスをはなれぬ蝶と貨車群と 中村汀女
さいはての貨車を塩もて充たしをり 飴山實
サボ市電物価騰りし街へ放つ 細谷源二 鐵
すれ違ふ梅雨の貨車実に長し 右城暮石 句集外 昭和三十八年
ソプラノ聞けり貨車揺る家に年越えて 藤田湘子 途上
ヂープ快速霜の下より埃立つ 中村草田男
つくし生ふ貨車の車輪ゆ夕日洩れ 松崎鉄之介
ともしびもなく貨車とほる梅雨の月 山口青邨
ひえびえと手摺見おろせば犇く貨車 古沢太穂 三十代
まっ青な市電の底でひと恋しき 伊丹三樹彦
まろかなる青き丘越ゆ快速に 日野草城
むし暑く馬のにほひの貨車でゆく 長谷川素逝 砲車
ゆきちがふ枯野の貨車をいつまで見る 加藤秋邨
わが左右にろしあをとめごら市電待つ 伊丹三樹彦
わが庭に貨車置きたらば虫棲まむ 安住敦
われを堰く貨車ながながと風邪心地 伊丹三樹彦
芦ちかく機関車のをり霧が吹く 大野林火 冬青集 雨夜抄
安房は山の砂無蓋車に彼岸花 古沢太穂 捲かるる鴎
一両の貨車がもとなるちちろ虫 山口誓子
芋旱り機関車こぼす太き息 角川源義
雨の貨車過ぎをり雨の猫じやらし 石田波郷
姥祀る幟を見過ぐ暑き市電 佐藤鬼房
厩当番貨車にとどける日にねむし 細谷源二 鐵
厩当番貨車に曠野の日を見たり 細谷源二 鐵
燕をまぶしみ貨車の脇通る 大野林火 海門 昭和十三年
遠目には貨車美しき枯野かな 高田風人子
横浜の青き市電にものわすれ 渡邊白泉
夏の闇火夫は火の色貨車通る 西東三鬼
夏涸れの河へ機関車湯を垂らす 西東三鬼
火の粉とぶ火事に市電の珠数つなぎ 右城暮石 上下
火蛾と醒めおりぬ快速車の孤客 楠本憲吉 楠本憲吉集
貨車からも藁を垂らして雀の巣 鷹羽狩行
貨車これの窓のみ兵に寒月光 伊丹三樹彦
貨車とまる駅にあらざる霜の崖 橋本多佳子
貨車にあけぼの丘上のたらの芽も 飯田龍太
貨車に灼けしレール踰えきてなほ病む身 野澤節子 未明音
貨車のかげ夏浪白くあがるなり 大野林火 海門 昭和十三年
貨車のかず見せて徐行の桃の村 鷹羽狩行
貨車の闇小さき鏡に霜明くる 橋本多佳子
貨車の屋根いくつ越え来し蝶の翅 鷹羽狩行
貨車の音ともなひ来る夜番かな 中村汀女
貨車の間の夜空広しや南吹く 藤田湘子 途上
貨車の扉の隙に飯喰う雨期の顔 飴山實 おりいぶ
貨車ひとつ九月の魚を運びゆけり 佐藤鬼房
貨車ゆきぬ地上寒燈青きゆゑ 山口誓子
貨車駅に貨車なく秋の蝉曇る 橋閒石
貨車押して片目は枯野見つつあり 加藤秋邨
貨車過ぎる音の朧や妻の唇 草間時彦 中年
貨車寒し百千の墓うちふるひ 石田波郷
貨車五十曳きて青野を左右に断つ 草間時彦 中年
貨車降りて兵ら糞まる土凍てたり 伊丹三樹彦
貨車黒くぬられて天に寒冷塊 松崎鉄之介
貨車長しわれのみにある夜の遮断機 金子兜太
外濠は蒼し市電に沿ひなれぬ 渡邊白泉
葛の花都電本郷の坂上る 松崎鉄之介
寒き夜の貨車に車掌の燈はあれど 山口誓子
寒き夜の貨車の犢は寝もいねず 山口誓子
寒き夜の貨車駐らんとしつゝあり 山口誓子
寒き夜を機関車走り出でむと動く 三橋敏雄
寒の闇体がくんと貨車止る 橋本多佳子
寒月光背後見ずとも貨車通る 桂信子 晩春
寒雀遊び空貨車溜りをり 石塚友二 光塵
寒星のひかりにめざめ貨車の闇 橋本多佳子
寒星を満載無蓋貨車停る 鷹羽狩行
寒夜子の玩具の機関車汽笛あぐ 松崎鉄之介
干布団都電の音にふくらめり 飯島晴子
缶ビール快速車窓やや傾ぎ 百合山羽公 樂土以後
雁や市電待つにも人跼み 大野林火 冬雁 昭和二十二年
雁ゆくやたちまち暮るる貨車の胴 草間時彦 中年
機関車がすぐ下に来て鯉幟 鷹羽狩行
機関車が身もだへ過ぐる寒き天 西東三鬼
機関車とそれはすつかり別ものの草にゐるかまきり 中川一碧樓
機関車にゐる三人の冬の夜 山口誓子
機関車に雲や鴉や秋の山 飯田蛇笏 霊芝
機関車に越の野は虹立ちやすし 草間時彦 中年
機関車に助手穂芒を弄ぶ 山口誓子
機関車のいかにも黒き五月かな 山口誓子
機関車の火屑散る闇曼珠沙華 伊丹三樹彦
機関車の寒暮炎えつつ湖わたる 山口誓子
機関車の車輪竝びたる雪催 三橋敏雄
機関車の蒸気ゆたかに霜の駅 飴山實 おりいぶ
機関車の誓子も寝しや天の川 渡邊白泉
機関車の大快き夜寒かな 山口誓子
機関車の単車行くのみ野のみどり 山口誓子
機関車の底まで月明か 馬盥 赤尾兜子 歳華集
機関車の煤降る葡萄枯れし軒 木村蕪城 寒泉
機関車の皮はがれゆき秋の暮 加藤秋邨
機関車の瘤灼け孤り野を走る 西東三鬼
機関車はむかうに黒し稲雀 山口青邨
機関車は裾も湯げむり初詣 山口誓子
機関車をゆかしめ闇を見てゐたり 三橋敏雄
機関車を前後に話すことなき父子 橋閒石 荒栲
機関車を離せし後尾夜寒へ抜け 山口誓子
機関車疾駆三方青き地平線 草間時彦 中年
稀に蝶貨車の連結音午報音 石川桂郎 含羞
逆行の機関車霧に荒き息 右城暮石 句集外 昭和三十七年
急行の一駅の間の冬夕焼 松崎鉄之介
急行の停らぬ金魚田の駅よ 阿波野青畝
求職の眼にたそがれの貨車停る 伊丹三樹彦
狂ひ声して炎昼の貨車長し 鷲谷七菜子 銃身
狭間星すずし急行一過駅 上田五千石 森林
極月の旅併走の貨車長し 岡本眸
軍用貨車染めて曠野の日が終る 細谷源二 鐵
啓蟄や全長伸べ伸べ快速車 百合山羽公 寒雁
茎立ちや無蓋車二十余輌過ぎ 鷹羽狩行
月代のひろごり行けり貨車過ぎて 草間時彦 中年
月明や首出して嘶く貨車の牛 加藤秋邨
肩で押す貨車に冬暁朱の一円 佐藤鬼房
元朝の市電市バスの動けるよ 右城暮石 句集外 昭和三十七年
枯るる木々母を市電に凭らしむる 安住敦
枯野ゆく貨車に日当る鉄路あり 桂信子 草影
向日葵陽に汽罐車貨車を牽き来る 三橋鷹女
工賃をまもり市電の隅にたつ 細谷源二 鐵
広島や市電に牡蠣の桶持ちて 星野立子
更けて又除雪車街をゆつくりと 深見けん二
港区の梅雨茫々と無蓋貨車 右城暮石 声と声
行年の障子昃りぬ貨車煙 石田波郷
香水の香あり一貨車過ぐを待つ 藤田湘子 途上
黒き貨車走る渋民村稲穂波 山口青邨
黒き貨車来て重砲を積み走る 細谷源二 鐵
黒シート被し留置貨車冬ぬくし 右城暮石 句集外 昭和五十八年
黒塀のごとく貨車ゆく秋の風 山口青邨
昆布の貨車と客車二輛の根室線 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
妻みごもる秋森の間貨車過ぎゆく 金子兜太
歳晩や市電廃れて軌を除けず 鷹羽狩行
桜餅買ふや市電が又通る 高田風人子
山越ゆる長き無蓋車夜寒星 松崎鉄之介
燦めく白い貨車の刹那刹那を渇く夜 赤尾兜子 蛇
市電より降ろさる火事が間近くて 右城暮石 句集外 昭和三十九年
視外の顔暑くねむたき市電の座 石塚友二 方寸虚実
車掌のうしろ見えては梅雨の市電過ぐ 野澤節子 未明音
灼けし貨車老兵の帽あたらしき 西東三鬼
若き軍馬貨車に積まれて怒る反る 細谷源二 鐵
首夏の家朝に深夜に貨車轟き 石田波郷
首細き子がみる旱の貨車の群 金子兜太
受験季の貨車古びたるままの色 廣瀬直人
秋の暮密閉の貨車まだ発たぬ 秋元不死男
秋晴や御勅諭誦す貨車の中 石田波郷
秋日燃え落つる市電に立疲れ 石田波郷
秋風やある日都電に乗ることも 鈴木真砂女 夕螢
秋夜遭ふ機関車につづく車両なし 山口誓子
終電に間ある雑閙三の酉 石塚友二 方寸虚実
終電のスパーク青き送り梅雨 鷹羽狩行
終電の寒さ新聞拡げ合ふ 右城暮石 上下
終電の灯の遠のきて雪女郎 鷹羽狩行
終電や踏みて匂はす忘れ葱 加藤秋邨
重砲を貨車に積み赤き日へ向ふ 細谷源二 鐵
春の都電光りて中の夫見えず 岡本眸
春陰や特急富士の尾が消ゆる 日野草城
春寒の客車煤けてゐたりけり 橋閒石 朱明
春暁曳く一貨車一本の大き欅 加藤秋邨
除雪車に雪降る海がうごきくる 加藤秋邨
除雪車のあとさんさんと子が溢れ 岸田稚魚 筍流し
除雪車のきらめく燈にもつもる雪 水原秋櫻子 秋苑
除雪車のプロペラ雪を噛みてやすむ 橋本多佳子
除雪車の日暮れて着きし月寒(ツキサップ) 渡邊白泉
除雪車の力尽きてはいこふ駅 水原秋櫻子 秋苑
除雪車を据ゑて通行禁止せり 右城暮石 天水
除雪車を優先させて救急車 津田清子
乗りてすぐ市電灯ともす秋の暮 鷹羽狩行
城の濠市電近くてラムネ売る 右城暮石 句集外 昭和二十九年
信号手青旗に除雪車をゆかす 橋本多佳子
新樹明けて長き貨車駅に停りをり 村山故郷
新緑や市電の床に魚籠の濡れ 鷹羽狩行
真夜中の枯野つらぬく貨車一本 西東三鬼
身も胸も野分の貨車に打ち揺られ 加藤秋邨
人の家辞し市電の隅にこの冬日 香西照雄 対話
人波の市電をえらみ秋の風 中村汀女
垂れし手に灼け石掴み貨車を神す 西東三鬼
水仙や貨車通過音揺曳す 藤田湘子 途上
西日中肩で押す貨車動き出す 西東三鬼
西明るし市電ひたすら雷雨衝く 右城暮石 声と声
石狩川露の原木貨車が沿ふ 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
石勝に市電をとどむ秋朝々 石田波郷
積乱雲野に湧き野に湧き貨車灼くる 相馬遷子 山国
切迫正しくわが胸残す雪の貨車 赤尾兜子 蛇
雪の峡客車一輛貨車に蹤き 相馬遷子 山国
雪の野を多彩のコンテナ貨車走る 山口誓子
雪を噛み火夫機関車の火を守る 加藤秋邨
雪解風母の墓参は都電に乗り 安住敦
雪空のものうくて貨車うごき出す 桂信子 女身
雪国の旅や先ゆく機関車見え 森澄雄
雪国をがくんがくんと鈍行車 右城暮石 天水
雪積む貨車酔い痴れた手は妻の肩 金子兜太
蝉鳴ける貨車やそのまま動き出す 加藤秋邨
戦にゆく馬と人貨車に眠る 細谷源二 鐵
煽られし旱の紙片特急追ふ 伊丹三樹彦
双つ眼の貨車が引きゆく初夏の闇 佐藤鬼房
蒼い火花撒いて特急喪の僕乗せ 伊丹三樹彦
息にくもる特急白き椅子カバー 右城暮石 声と声
打水を車体に受けて市電走る 右城暮石 声と声
大いなる機関車濡るる花の雨 中村汀女
大阪城市電の窓に照るから梅雨 村山故郷
大雪の都電とどまる旧居前 水原秋櫻子 帰心
大兵を送り来し貨車灼けてならぶ 長谷川素逝 砲車
大木の下にとどまる夏の貨車 飯田龍太
但馬仔牛撫でて惜しみて貨車送り 山口誓子
単線待避の 雪片あそぶ 貨車の胴 伊丹三樹彦
淡雪嘗めて貨車の仔牛の旅つづく 加藤秋邨
炭窯の口機関車の口なるよ 山口誓子
団扇貼る目をあげ急行いよ一号 清崎敏郎
築港に向ふ市電の大夕焼 右城暮石 句集外 昭和二十八年
竹煮草まだ動かねば貨車の露 飯田龍太
朝寒の市電兵馬と別れたり 石田波郷
朝焼や貨車突放す墓の上 石田波郷
町中に麦熟れて貨車錆びはてて 加藤秋邨
長き貨車その炭車両薪車両 山口誓子
長き貨車ゆきて寒雲を厚くせり 藤田湘子 途上
長き長き春暁の貨車なつかしき 加藤秋邨
鳥雲に前うしろなき無蓋貨車 鷹羽狩行
槌打音貨車の片蔭つたひゆく 草間時彦 中年
吊橋の真上にかかる春の貨車 飯田龍太
天蓋に霜貨車の豚駅泊り 津田清子 礼拝
都電に乗る梅雨の巷のしたしさに 中村草田男
都電来る又都電来る夕立中 星野立子
都電路に剛き夏草くびくくれず 秋元不死男
都電老いぬ新緑に窓開け放ち 岡本眸
冬の水暮れては流す都電の灯 石塚友二 光塵
冬の露地裏大きな機関車きてとまる 加藤秋邨
冬河原貨車の火の粉の吹き散りぬ 橋閒石
冬夜停車貨車に越されてゐたりけり 大野林火 青水輪 昭和二十四年
冬靄濃し都電終点より橋せり上ぐ 松崎鉄之介
凍る夜へ没しゆく貨車引張られ 三橋敏雄
豆ランプ貨車に守り軍馬と揺られ 細谷源二 鐵
特急に求職の腰浮き通し 伊丹三樹彦
特急の明色瞬時田植の尻 伊丹三樹彦
鈍行に一等車あり唐黍を食ふ 山口青邨
鈍行の板の背もたれ柿日和 岡本眸
入の家辞し市電の隅にこの冬日 香西照雄
煤け雀よ貨車切る速さに馴れて鳴く 古沢太穂 火雲
麦の秋貨車牽き来しを立ち目守る 山口誓子
麦秋や或る日都電に人語絶え 秋元不死男
晩涼の貨車消えゆくは紐に似る 岡本眸
病む友へ往く、特急の疾きに乗り 日野草城
病院機枯野に貨車を見失ふ 伊丹三樹彦
埠頭貨車動きし後の秋の蝶 橋閒石 雪
埠頭地区市電西日を折り返す 右城暮石 句集外 昭和三十七年
分岐点たる駅貨車の裾氷柱 古沢太穂 捲かるる鴎以後
片陰ゆくつひに追ひくる市電なし 中村草田男
返り花鉄橋をいま貨車の列 飯田龍太
墓地は秋頷き走りの小都電 石川桂郎 含羞
豊年や窓枠太き鈍行車 岡本眸
房暗し迷彩を貨車の外にせり 三橋敏雄
満開の桜を留置貨車かくす 右城暮石 句集外 昭和五十二年
満開の桜機関車独走す 津田清子
満人のいきれ市電に暮愁あつき 伊丹三樹彦
霧の夜の貨車来て花の荷を降す 能村登四郎
椋鳥や北国へ発つ貨車そろう 飴山實 おりいぶ
名月の丸太を積んで貨車つきぬ 飴山實 おりいぶ
迷彩貨車に日を見ずてゆく兵寝たり 三橋敏雄
迷彩貨車車輪をも妖にいろどれる 三橋敏雄
迷彩貨車赤き日の出をよぎり過ぎる 三橋敏雄
綿虫や貨車が通ればその色に 岡本眸
綿虫をつけて京都の市電走る 右城暮石 句集外 昭和三十六年
盲童子しばらく貨車に横断られ 三橋敏雄
木枯や熱き機関車の辺を過ぐる 福田蓼汀 山火
野分せり貨車に揺らるる夜の闇 藤田湘子 途上
柳散り掘端の都電なくなりぬ 村山故郷
友と見る木蓮貨車にさへぎらる 細見綾子
来し方や寒の没日と無蓋車と 岡本眸
落葉降り華燭の車都電越す 石塚友二 光塵
立春の貨車よりおろす砂利一荷 亭午 星野麥丘人
冷ゆる夕日遠き貨車より人顔出す 古沢太穂 古沢太穂句集
俘虜貨車の日覆はためき迅走す 平畑静塔
俘虜貨車の馬月光の地に降りぬ 平畑静塔
曼珠沙華長き貨車ゆき眠くなる 森澄雄
杳き日の獅子舞胸を開けに来る 佐藤鬼房
颱風外れ月夜の貨車として進む 桂信子 女身
驛寒し機関車の汽罐見ゆれど噴かず 三橋敏雄

by 575fudemakase | 2018-01-29 13:02 | 無季


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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