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大雪 の俳句

大雪 の俳句
大雪

どか雪のとどめさしたる葬りかな 清水基吉

どか雪のがんじがらめの朝かな 川島北葉

どか雪を嘆きの果のただ棒立ち 下田稔

どか雪に来るべきものの来し構へ 佐々木とく子 『土恋』

どか雪や赤子泣く村すぐ昏るる 清水 元

どか雪の光太郎忌となりにけり 小原山籟

どか雪に三日こもりし声の痩セ 成田智世子

どか雪のあとの青空手紙書く 木村敏男

ぼた雪や卵が安く買へるころ 中拓夫 愛鷹

あひ触れて深雪の廂夜は深し 福田蓼汀 山火
うつはりに鶏の鳴く深雪かな 吉田冬葉
おでん酒うしろ大雪となりゐたり 村山古郷
お降りのうす墨刷ける深雪かな 西本一都 景色
がう~と深雪の底の機屋かな 皆吉爽雨
がうがうと深雪の底の機屋かな 皆吉爽雨
がら~と深雪の底の機屋かな 皆吉爽雨
かん酒や深雪とならん深雪になれ 白泉
きさらぎや深雪に沈む林檎園 福田蓼汀 山火
ごう~と深雪の底の機屋かな 皆吉爽雨
こゝろだに置処なき深雪哉 松岡青蘿
ことと音又も深雪にことと音 京極杞陽
この冬の深雪に割れし墓拝む 森田 愛子
この日人逝き大雪のただ晴れけり シヤツと雑草 栗林一石路
こんにやくの一枚ありし深雪かな 龍岡晋
しんしと柱が細る深雪かな 栗生純夫
しんしんと柱が細る深雪かな 栗生純夫
たぐひなき深雪なりけり初歳 龍岡晋
ダム広き裏大雪や初紅葉 鮫島交魚子
だん~に深雪の畑となりにけり 阿部みどり女 笹鳴
だんだんに深雪の畑となりにけり 阿部みどり女
てり返す峰々の深雪に春日落つ 普羅
てり返へす峰々の深雪に春日落つ 前田普羅 飛騨紬
ぬばたまの闇も深雪も祀らるる 西本一都
のり出でて両岸迫る深雪かな 高浜年尾
バイブルに鞣し香のある深雪かな 石原八束
ひとはふり塵ののりゐる深雪かな 銀漢 吉岡禅寺洞
ひめはじめ八重垣つくる深雪かな 増田龍雨
ひめ始八重垣つくる深雪かな 増田龍雨
ふる雪やすでに深雪の一伽藍 橋本鶏二
ほつたりと鴉深雪の樹に暮るる 加藤知世子
まろ~と白大嶽や峡深雪 松根東洋城
ミサの歌こもり深雪の梁太し 宮津昭彦
みちつけて水の出でくる深雪沢 上田五千石 森林
みちのくの深雪の倉の寒造 遠藤梧逸
みな切に歩く豪雪の市民たち 西村公鳳
わが前に道なしと誦し深雪踏む 中戸川朝人 残心
わんこそば食べ大雪に泳ぎけり 小島健 木の実
わんこ蕎麦食べ大雪に泳ぎけり 小島 健
愛のごとし深雪の底の水音は 小林康治
逢ふ人の皆大雪と申しけり 雪 正岡子規
鮎の炉の火かげとゞかず深雪の戸 前田普羅 飛騨紬
伊万里絵皿ひろぐる娶り深雪晴 中戸川朝人 残心
一すぢの大雪晴となる大河 鶴田佳三
一筋の深雪の径の追儺寺 梧桐 青吾
一人づつ子に白湯のます深雪かな 長谷川春草
一人づゝ子に白湯のます深雪かな 長谷川春草
一村がかまくらとなる深雪谷 室田陽子
一文字の一葉はね居る深雪かな 西山泊雲 泊雲句集
隠沼に消えし深雪のけもの跡 山田弘子
卯の花の深雪咲きして美術館 本宮鼎三
唄弥撒の鐘にはじまる深雪晴 中戸川朝人 残心
姥捨の深雪の底の炬燵婆 藤岡筑邨
洩るる灯のそこより前後なき深雪 安東次男 裏山
駅にだけ人をり深雪村眠る 嶋田摩耶子
駅凍てゝ曠野につゞく深雪かな 前田普羅 飛騨紬
猿の湯や杉は深雪に花つけて 松村蒼石 雪
縁下へ燈火がさせる深雪かな 佐野良太 樫
遠ち方の鶏音に覚めし深雪かな 富田木歩
奥山に大雪やある余寒かな 原石鼎 花影以後
奥山に比良持つ里の深雪かな 松根東洋城
屋根の辺を人語過ぎゆく深雪かな 竹田菁雨 『瞽女慕情』
温室の花買ひぬ信濃の深雪中 及川貞 夕焼
温泉上りの身の柔らかし深雪の夜 殿村莵絲子 牡 丹
音といふ音閉ざされし深雪宿 稲畑汀子
何も飛ばず何も飛ばさず深雪晴 鈴木光彦
蝦夷わせ蝉はたと声断つ大雪谿 加藤知世子 花寂び
蝦夷見むと深雪に窪む長靴は 小林康治 玄霜
我寐れば暗の仏の深雪かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
海苔舟大雪の岸へ寄つてゐる シヤツと雑草 栗林一石路
開かぬ戸もはづれゐる戸も深雪宿 皆吉爽雨
開山の昔を今や深雪寺 尾崎迷堂 孤輪
橿鳥の鳴くばかりなる深雪かな 大橋櫻坡子 雨月
寒菊に著せたる傘も深雪かな 橋本鶏二
監視塔四囲に深雪の収容所 安田北湖
観能の灯の昼ふかき深雪かな 西島麦南 人音
観能の灯の晝ふかき深雪かな 西島麥南
岩温泉に老猿ばかり深雪晴 西本一都 景色
機音にゆきあたりたる深雪かな 清准一郎
気管切開かれて声失う 大雪来ているという 折笠美秋 君なら蝶に
汽罐車庫うすけぶりたつ深雪かな 宮武寒々 朱卓
祈祷師の家に深雪のかゝり人 森田峠
起きてゐる咳や深雪となりにけり 『定本石橋秀野句文集』
叫びたい子等に深雪のつくり山 成田千空 地霊
境内や深雪晴れたる池の水 石原舟月 山鵲
教会の塔めじるしの深雪かな 山本歩禅
金箔師/鯉師の/深雪暮かな 林桂 銀の蝉
金襴の軸のさがれる深雪宿 京極杞陽
軍港の兵の愁ひに深雪晴れ 飯田蛇笏 霊芝
詣りぬれば釣鐘蒼き深雪かな 野村喜舟 小石川
鶏たかく榎の日に飛べる深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
月光に深雪の創(きず)のかくれなし 川端茅舎
月光に深雪の創のかくれなし 川端茅舎
月読の梢をわたる深雪かな 加藤楸邨
見せたやな越の山河の深雪晴 船平晩秋
見の遠き深雪の鶴になぜ泣くや 斎藤玄
元日の大雪なりし二日かな 高浜虚子
元日の大雪卸しはじめける 三宅句生
古志ふかくこし大雪の雪菜粥 長谷川櫂 古志
故里の深雪に吾子を旅発たす 山田弘子 螢川
枯蔓にうす日あたりて深雪かな 清原枴童 枴童句集
湖守るは灯一つの深雪かな 正木不如丘 句歴不如丘
午ちかく雀なき出し深雪かな 原石鼎
吾一語汝一語や夜の深雪 徳永山冬子
鯉銜え大鷺翔る深雪晴 大桃貴美子
口も手も深雪にゆるめでく廻し 宇佐美魚目 秋収冬蔵
広重の亀山の図の深雪かな 伊藤敬子
行きゆきて深雪の利根の船に逢ふ 加藤秋邨
行き暮れの深雪に埋まる渡月橋 西銘順二郎
行年の深雪の音に子と団欒 久米正雄 返り花
豪華古るラツキーシツプ深雪晴れ 飯田蛇笏 雪峡
豪雪に強気挫けて腹で泣く 三浦勲 『生きる』
豪雪に三日こもれば髭かゆし 千葉 仁
豪雪に籠りてよりの鍋光る 井出美代
豪雪に籠りひと日を銭にふれず 平井さち子 完流
豪雪の雪の匂ひに囲まるる 藤木倶子
豪雪の爪跡泳ぐ秋の蝶 小出秋光
豪雪の爪跡芽木に残りけり 高澤良一 燕音
豪雪の予報に点す雛の間 冨田みのる
豪雪や山妣にも芳紀はあつた 鈴木石夫
豪雪や母の臥所のかぐわしく 橋かんせき
豪雪を友へ禅林の太柱 福田蓼汀 秋風挽歌
豪雪下まつくらがりの茂吉の家 津田清子 二人称
豪雪報心跼めて午後すごす 平井さち子 完流
刻々と手術は進む深雪かな 中田みづほ
此あたり深雪漸く人あらず 高浜年尾
災害の跡大雪に覆はるる 西都諭子
三月の大雪見ませ淡路女忌 阿部みどり女
傘松と飼はるゝ鶴と深雪かな 野村喜舟 小石川
参籠の人の掻き居る深雪かな 比叡 野村泊月
山の音深雪にしづむ永平寺 石原八束 『操守』
山の音深雪にしづむ氷平寺 石原八束
山寺へ深雪踏みゆく郵便夫 菅原庄山子
山二つ一双なせる深雪かな 橋本鶏二
山鳩たつほかは動かぬ 深雪の町 伊丹公子 時間紀行
山門を掘り出してある深雪かな 清崎敏郎
産屋口深雪をかぶる村の墓地 つじ加代子
仔牛の耳毛深雪降る音の底 大熊輝一 土の香
司祭館大雪塊の融けのこる 小澤實
四方の深雪に山上湖温みそむ 松村蒼石 雁
子等散つて深雪の学舎たそがるゝ 石橋辰之助 山暦
師よ開けて下さい深雪の墓の扉を 平井さち子 鷹日和
死顔の妻のかしづく深雪かな 石原八束 『操守』
死者は深雪に生者は檻に安らがむ 齋藤玄 『玄』
事ぶれの軒端より声深雪宿 島崎五穂 『さざれ石』
寺領なる闇が深雪を照らしゐる 鳥居おさむ
車窓に迫り来深雪兎の走りし跡 赤城さかえ句集
手毬唄十は深雪の十日町 大井戸辿
樹も橋もこの世にありぬ深雪晴 清水径子
春の大雪一年分の鳥の羽 高野ムツオ 鳥柱
春ゆふべ大雪となるほかはなく 安東次男 昨
春深雪呼吸荒るるはただならず 溝口青於
春深雪買はねばならぬ青菜の値 及川貞 夕焼
春雪の二夜の深雪星を得ぬ 及川貞 夕焼
初雪が大雪となるよき年か 伊藤政美
初雪の深雪となるやユダ市場 有働亨 汐路
初雪の大雪になるそ口をしき 初雪 正岡子規
初雪の大雪になるぞ口をしき 正岡子規
初富士の大雪塊を野に置ける 遠藤正年
除夜の鐘かすかに聞え深雪かな 清原枴童 枴童句集
小屋ぬちに田舟乾ける深雪かな 猿橋統流子
小柴門出入のしげき深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
松島は薄雪平泉は深雪 田村了咲
湘南に春の一ト日の深雪かな 高木晴子
上*せいの燈明りわたり深雪かな 原石鼎 花影以後
新年の深雪ぬくとく愛馬飼ふ 飯田蛇笏 春蘭
深雪なほ高まりゆくは堤らし 青葉三角草
深雪に高く継ぎ足す道しるべ 羽吹利夫
深雪に入る犬の垂れ乳紅きかな 原子公平
深雪の底生まる水音に命延ぶ 小林道子 『下萌』
深雪の夜きさまとおれの酒交す 源鬼彦
深雪やむときの粉雪に星浮ぶ 松村蒼石 雪
深雪より嘴をぬき鶴歩む 大澤ひろし
深雪雲割れて真つ青霊の道 加藤知世子 花 季
深雪見むと軒へのべたる手燭かな 原石鼎 花影以後
深雪宿炭火ほのほとなりにけり 皆川盤水
深雪晴すれ違ふものみな細眼 柴田友季子
深雪晴わが影あをき虚空より 深谷雄大
深雪晴飴のいろなる鮭を干す 長谷川櫂 古志
深雪晴雁木表に馬具吊られ 松崎鉄之助
深雪晴桑の小枝のほうと出て 矢島渚男 釆薇
深雪晴血を滴らす歯科のメス 高橋六一
深雪晴小鴨花なす山の湖 笠井きよ
深雪晴酢をうつ香り二階まで 中戸川朝人
深雪晴誰にも会釈したくなる 長谷川春
深雪晴非想非非想天までも 松本たかし
深雪晴北に樹を負ふ一戸づつ 中戸川朝人 残心
深雪晴野を来て町は汚れたる 相馬遷子 雪嶺
深雪掻く家と家とをつながんと 西東三鬼
深雪谷芽木峻烈の枝を伸べ 辻田克巳
深雪中湖村一塊となり睡る 鷲谷七菜子 雨 月
深雪踏み長持唄を通しけり 濱本 八郎
深雪道のけぞり合うてすれ違ふ 長尾虚風
深雪道ゆづり合ひつつ目礼す 原 梅乃
深雪道来し方行方相似たり 中村草田男
深雪野の割れしところにさゝ流れ 高濱年尾 年尾句集
深雪野をいちにち歩き面痩せし 伊藤 敬子
神棚の大雪沓や貌を持つ 加藤知世子 花 季
針供養宮戸座裏の深雪かな 増田龍雨 龍雨句集
人の来て薬師を開ける深雪かな 大峯あきら
人を消し忘れ帝都の深雪かな 五島高資
人形のまなこが殖ゆる深雪里 源鬼彦
人形使お七に添いて深雪踏む 藍不二子
水を揉み落とす深雪の白竜頭 岡田日郎
雛の酒大雪嶺を座に入れて 吉田紫乃
雛の日の都うづめし深雪かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
杉の木の揺れて大雪とはなりぬ 今井杏太郎
摺り摺りて呉須描き易し深雪晴 稲垣光子 『絵付筆』
世に遠く浪の音する深雪かな 臼田亜浪
成人の日ぞ大雪もたのもしき 細川加賀
聖鐘へ深雪明りの梯子とどく 宮津昭彦
昔/真神の/深雪匂ひの/青春楡峠(あをだもたうげ) 林桂 銀の蝉
石狩豪雪行くは還らざるごとし 寺田京子 日の鷹
赤ちやんの通つた匂い深雪晴れ 坪内稔典
赤海老のさしみ縮めり深雪の夜 殿村莵絲子 牡 丹
雪の音絶えて深雪となりゐたり 橋本 冬樹
雪の道深雪の里を遠さかな 東洋城千句
雪卸し暮れており立つ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
雪見酒その域越ゆる深雪かな 藤戸千代子
雪折の竹もうもれし深雪かな 鈴木花蓑
雪墜ちて深雪ににぶき音うまる 桂信子 黄 炎
雪吊の千切れて垂れし深雪かな 鈴木貞雄
雪踏みの無言につづく深雪空 松村蒼石 雪
雪片のつれ立ちてくる深雪かな 高野素十
仙叟忌京の師来たる深雪坂 吉岡喜代
祖父逝くやその拓きたる野は深雪 依田明倫
僧に遇ふのみの深雪の高野かな 岩崎照子
壮行や深雪に犬のみ腰をおとし 中村草田男
早梅や深雪のあとの夜々の靄 増田龍雨
槍の穂は雪をとどめず深雪晴 福田蓼汀 山火
足裏に力あつまる深雪かな 井上雪
村まはりする花嫁御深雪晴 木村蕪城 寒泉
打解て落人圍ふ深雪かな 井上井月
大雪がくると尻振るへくさ虫 橋本榮治 逆旅
大雪が押す禅堂の雪囲ひ 山口誓子 不動
大雪といふ夜いよよ筆一本 野澤節子
大雪となりけりかるたとり更くる 孤軒
大雪となりしはまこと四月馬鹿 原田青児
大雪となりたる犬を入れて寝る 原田青児
大雪となりて今日よりお正月 前田普羅
大雪となるべし駅のはや点り 遠藤梧逸
大雪となる我が家の玄関まで 右城暮石 声と声
大雪と書くことたのし日記初 大場香波
大雪と成けり關のとざしごろ 蕪村遺稿 冬
大雪にシヨートケーキの如き街 川口咲子
大雪になるや夜討も遂に来ず 正岡子規
大雪にぽつかりと吾れ八十歳 飯島晴子
大雪に行方不明の福寿草 長谷川かな女 花寂び
大雪に止めの朝日射しにけり 坂本山秀朗
大雪に鐘つく人の見ゆるかな 大峯あきら
大雪に神事の鯉の匂ひけり 大峯あきら
大雪に竹たぢたぢとなりにけり 高澤良一 随笑
大雪に埋もる家より柩出す 関久江
大雪に狎れず怖れず棲み古りぬ 京五紅
大雪のあとのかんばせおもんみる 松澤昭
大雪のいづこ掘りたる芹なづな 長谷川櫂 古志
大雪のスキー列車の夜をいねず 水原秋桜子
大雪のたなぞこふるる別れかな 斎藤玄
大雪のたなぞこふるゝ別れかな 齋藤玄 飛雪
大雪のなほ降る闇へ鬼やらふ 相馬遷子 山河
大雪のふかまりゆくや音絶えて 横光利一
大雪のものしづかさや明の春 几圭 選集古今句集
大雪のもの静かさや明の春 几圭
大雪のもの静さや明の春 几 圭
大雪のルルドに来るは野鳥のみ 朝倉和江
大雪のわが掻きし道人通る 相馬遷子
大雪のわれのニコニコ絣かな 飯島晴子
大雪のわれの二コニコ絣かな 飯島晴子
大雪の蓋を開ければ煮ころがし 川崎展宏
大雪の岸ともりたる信濃川 長谷川櫂 古志
大雪の国を出で来し御慶かな 近藤浩一路 柿腸
大雪の今朝山中に煙たつ 宇多喜代子 象
大雪の山猿こころかわきけり 松村蒼石 雪
大雪の小川たぎちて道添へり 松村蒼石 雪
大雪の上にぽっかり朝日かな 雪 正岡子規
大雪の大甕の祖母の甘酒よ 阿保恭子
大雪の旦よく燃ゆかまどの火 露月句集 石井露月
大雪の旦若菜をもらひけり 加舎白雄
大雪の中戻り来し賀状かな 増田龍雨 龍雨句集
大雪の昼過きて物買ひに出る 尾崎紅葉
大雪の底に生き延びゐたりけり 伊藤玉枝
大雪の都電とゞまる旧居前 水原秋櫻子
大雪の不破の関跡訪ひもせず 高濱年尾 年尾句集
大雪の物静さやあけの春 几圭
大雪の黙を持ち込む終列車 橋本榮治 逆旅
大雪の夜の間髪や竹折るゝ 清水基吉 寒蕭々
大雪の夜は千代紙のだまし舟 奥村美那子
大雪の夜を打崩す景色かな 松岡青蘿
大雪の予感有事の予感あり 高松美智子
大雪の予報無人の駅舎にも 小島左京
大雪の廂折りたり松は無事 宇佐美魚目 天地存問
大雪の鴉も飛ばぬ野山哉 雪 正岡子規
大雪の鵯聞いてゐる墓の虚子 対馬ひさし
大雪へ機関銃夜明けている 秋山秋紅蓼
大雪やあちらこちらに富士いくつ 雪 正岡子規
大雪やあはれ痔痛む夜べなりし 富田木歩
大雪やむかし時計は柱にあり 大高弘達
大雪やものゝ音なき時の音 小杉余子 余子句選
大雪や闇にしんしん音しずめ 山本としみ
大雪や井水の流れ夜もゆたか 金尾梅の門 古志の歌
大雪や印の竿を鳴く烏 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
大雪や玉のふしどに猪こゞへ 雪 正岡子規
大雪や手毬の音の軒つゞき 富田木歩
大雪や州の雪穴のゆりかもめ 松村蒼石 雁
大雪や洲の雪穴のゆりかもめ 松村蒼石 雁
大雪や出入りの穴も明の方 一茶
大雪や焼く餅みんなふくれ来し 大谷碧雲居
大雪や上客歩行で入りおはす 蕪村遺稿 冬
大雪や寝るまでつがん仏の灯 渡辺水巴 白日
大雪や人を呼び込む壕の中 岸田稚魚
大雪や水暖かに水前寺 吉武月二郎句集
大雪や雀落しのあさましく 野村喜舟 小石川
大雪や石垣長き淀の城 雪 正岡子規
大雪や朝の茶濃くも煮えて来し 碧雲居句集 大谷碧雲居
大雪や底びかりして夜の梁 七菜子
大雪や納屋に寝に来る盲犬 村上鬼城
大雪や能登巡礼の黒づくめ 井上雪
大雪や背山は知らず峡の里 尾崎迷堂 孤輪
大雪や風鈴鳴りつ暮れてゐし 渡辺水巴 白日
大雪や夜明けの汽笛ひびきくる 伊藤君江
大雪や幽明わかず町寝たり 渡辺水巴 白日
大雪や隣のおきる聞き合せ 浪化 俳諧撰集「有磯海」
大雪や暦に記す覚え書き 椎橋清翠
大雪や狼人に近く鳴く 雪 正岡子規
大雪や藪と藪との切通し 秋紅 俳諧撰集玉藻集
大雪や關所にかゝる五六人 雪 正岡子規
大雪を出て大雪を戻りけり 工藤雄一
大雪を嘆く鴉の舌赤し 西村公鳳
大雪を報ぜしあとを楽流れ 伊藤京子
大雪を来て掛乞のねぎらはる 三宅句生
大雪を連れて父の忌来たりけり 勝又星津女
大雪を朗報のごと春立てる 百合山羽公 寒雁
大雪を囃す太鼓や鱈祭 荻原映☆
大雪塊ころげ現はれ雪崩やむ 岡田日郎
大雪原翔ちて清らな鶴の脚 禰寝雅子
大雪片不意に吾が眼の前に降る 山口誓子 青銅
大雪嶺雲突き抜けて鎮もれり 大原雪山
大年の大雪となる昼の雪 大井雅人
谷の水くゞもりひゞく深雪かな 比叡 野村泊月
谷杉の深雪に堪へてつむじ舞ふ 松村蒼石 雪
谷杉の鬱蒼真白深雪かな 松根東洋城
谷々の流れとまりし深雪かな 岡本松浜 白菊
炭鉱の灯のかたまれる深雪かな 戸沢寒子房
地の深雪宙の二階の白根澄む 飯田蛇笏 椿花集
池水にかさなりかゝる深雪哉 高井几董
遅月にふりつもりたる深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
竹に見て野を慕(なつ)かしむ深雪哉 羅父
茶焙じて我夜果てなき深雪かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
中空に起重機鳴れる深雪かな 米沢吾亦紅 童顔
鳥が去り光がのこる深雪晴 柴田白葉女
鳥とぶや深雪がかくす飛騨の国 前田普羅
鳥の嘴に赤き実のなき深雪かな 野村喜舟 小石川
鳥落ちず深雪がかくす飛騨の国 前田普羅
嬬恋の里も深雪の中の頃 成瀬正とし 星月夜
吊橋の乾きあとさき深雪道 中戸川朝人
吊橋の深雪ふみしめ飛騨へ径 前田普羅 飛騨紬
釣堀の葭簀囲ひの深雪かな 龍岡晋
庭におく深雪の石にみそさざい 飯田蛇笏 椿花集
釘店の路地に住みても深雪かな 野村喜舟
天よりも夕映敏く深雪の面 野澤節子
天井に駕籠つるしある深雪かな 龍岡晋
天壁を夕焼のぼる深雪かな 児玉南草
天墨の如し大雪になるやらん 青木月斗
天臺の大寺にして深雪かな 橋本鶏二
兎ゆきしあとのみ散りて深雪なり 及川貞
湯女どちと深雪月夜を一つ温泉に 松本たかし
湯女どちの肌の湯艶よ深雪宿 たかし
灯とぼるは家あるあかし深雪原(越後柏崎) 上村占魚 『橡の木』
燈を洩らし深雪の関ヶ原に住む 山口誓子 紅日
踏みゆきて佐渡の深雪の能舞台 坂井建
踏み出でて大雪晴に身の浮けり 岡本 眸
踏切の灯を見る窓の深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
頭より転ぶ石狩豪雪降りやむとき 寺田京子 日の鷹
闘うて鷹のえぐりし深雪なり 村越化石
闘うて鷹のゑぐりし深雪あり 村越化石
堂押祭深雪を踏んで声しぼる 皆川盤水
二日より深雪に飛ばす鉄火かな 齋藤玄 飛雪
日本曹洞第一道場深雪晴(越前永平寺) 上村占魚 『橡の木』
葱洗ふや月ほのぼのと深雪竹 飯田蛇笏 山廬集
念ごろな飛脚過ゆく深雪かな 蕪村遺稿 冬
農具市深雪を踏みてかためけり 前田普羅
農具市深雪を踏みて固めけり 前田普羅
白魚や深雪のうへの夜の雨 龍岡晋
白壁の日は水のよな深雪かな 佐野良太 樫
粕焼いて深雪の底の白髪童子 西村公鳳
薄雪の炭火深雪の炭団かな 小杉余子 余子句選
箸一ぜん買ひに出でたる深雪かな 龍岡晋
発止ときし鶺鴒つぶて深雪原 鷲谷七菜子 銃身
比良一帯の大雪となり春の雷 大須賀乙字
肥橇曳く遠深雪野に消えむため 小林康治 玄霜
非目前深雪の杉の立話 和知喜八 同齢
飛騨人や深雪の上を道案内 前田普羅 飛騨紬
眉もたぬ公卿人形の深雪晴 源鬼彦
鼻腔・気管詰まり深雪に仏貌 溝口青於
漂泊のこゝろ羽黒の深雪踏む 桑田青虎
富山にて金澤おもふ深雪かな 松根東洋城
舞踏室の灯洩れ薬師堂深雪かな 宮武寒々 朱卓
聞き及ぶ高田瞽女訪ふ深雪中 松尾緑富
兵を送る松明あらはるゝ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
片膝をついて深雪や凍死人 紅実
菩提樹の實のこぼれゐる深雪かな 河合凱夫 藤の実
望郷やしなのの山の深雪空 松村蒼石 雪
埋もれて穴あく笹の深雪かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
満目の深雪の底に温泉あり 村上三良
蓑着て街路樹へ大雪掻く人たち 橋本夢道
霧行くや樅は深雪に潰えつゝ 相馬遷子 山国
婿投げといふ奇祭あり村深雪 藤戸千代子
娘等濯ぐ深雪の中の温泉の流 伊藤柏翠
木々に隙ありて深雪や鬼やらひ 宮坂静生 春の鹿
目のあたり浴泉群女深雪晴 松本たかし
門をゆくひと物いはぬ深雪かな 会津八一
夜の柱肥るは深雪くるならむ 稲島帚木
夜桜や大雪洞の空うつり 子規
夜晴れて朝又降る深雪かな 虚子
夜明けむと大雪壁の押出づる 望月たかし
夜明けんと大雪壁の押出づる 望月たかし
野に大雪も来よとおもふ冬菜を漬ける 中塚一碧樓
葉ごもりて深雪のごとき牡丹かな 橋本鶏二
落葉松の深雪に月の遥かかな 井上康明
落暉今余光となりつ大雪野 小坂明治
離りて貧し深雪の中の翌檜 小林康治 四季貧窮
旅人に我糧わかつ深雪哉 高井几董
恋猫の通ふ深雪の紅殻戸 佐野美智
廊灯しゆく婢に月明の深雪竹 飯田蛇笏 山廬集
六尺以下を大雪とは言はず 齊藤美規
剪定は寒にするもの深雪掘る 西本一都
啼きしあと鶴は深雪の中あゆむ 安田 晃子
姨捨の深雪の底の炬燵婆 藤岡筑邨
棹立てて越の深雪やみをつくし 水田正秀
橇下りる深雪に足を下したる 高濱年尾 年尾句集
橇用意して娼家ある深雪かな 森川暁水 黴
檻の鶴いとしみのぞく深雪かな 大場白水郎 散木集
毬唄や十は深雪の十日町 大井戸辿
濤音の賀状深雪の賀状かな 大嶽青児
疼きけり深雪に地震に疼きけり 西本一都
簀囲ひに蒟蒻踏める深雪かな 野村喜舟 小石川
羚羊の跡ぞ深雪を巌頭へ 篠田悌二郎
衾被て木魚の眠る深雪かな 鈴木貞雄
蹇や深雪ゆく子を励ましつ 小林康治 玄霜
鰤の尾に大雪つもる海女の宿 前田普羅 能登蒼し
鰤来るや大雪止まぬ越の岬 羽田岳水
大雪 補遺

あひ触れて深雪の廂夜は深し 福田蓼汀 山火
あまづたふ日のさざなみの深雪原 上村占魚
おしひらく傘新しき深雪かな 原石鼎 花影
おでん酒うしろ大雪となりゐたり 村山故郷
おのづからよき声の出て深雪晴 能村登四郎
かん酒や深雪とならん深雪になれ 渡邊白泉
きさらぎや深雪に沈む林檎園 福田蓼汀 山火
しんしんと深雪や鴨も声を断つ 野見山朱鳥 幻日
しんしんと大雪吊の天地かな 村山故郷
しんとして深雪の視野のあるばかり 加藤秋邨
そこここと網倉見ゆる深雪かな 阿波野青畝
ただに素顔の青流沿へり深雪道 中村草田男
たべ物の切口ならび夜の深雪 中村草田男
だんまりの深雪一行子を中に 平畑静塔
てり返へす峰々の深雪に春日落つ 前田普羅 飛騨紬
なつかしき水の音する深雪かな 清崎敏郎
ひとつづつ深雪の上の星の数 加藤秋邨
ぼけの蕾のふくらみようは大雪にして晴れ 荻原井泉水
みちつけて水の出でくる深雪沢 上田五千石 森林
めづらしい春の大雪 尾崎放哉 小豆島時代
ゆるやかに大雪片のまじりきし 清崎敏郎
われを呼ぶ深雪の中の母の墓 野見山朱鳥 愁絶
をさな子も深雪を帰るクリスマス 日野草城
愛のごとし深雪の底の水音は 小林康治 玄霜
逢ふ宵の大雪ふりとなりにけり 日野草城
逢ふ人の皆大雪と申しけり 正岡子規 雪
鮎の炉の火かげとゞかず深雪の戸 前田普羅 飛騨紬
井戸の窪一茶旧居の深雪中 松崎鉄之介
一葉の便りが通る深雪掻く 上田五千石 森林
飲砲光つて居る深雪 尾崎放哉 小豆島時代
駅凍てゝ曠野につゞく深雪かな 前田普羅 飛騨紬
猿の眼に 飢ありありと 深雪の檻 伊丹三樹彦
猿の湯や杉は深雪に花つけて 松村蒼石 雪
奥山に大雪やある余寒かな 原石鼎 花影以後
応挙寺大雪塊のしりぞかず 阿波野青畝
黄に爛れ深雪晴せる硫気口 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
温室の花買ひぬ信濃の深雪中 及川貞 夕焼
温室の戸を緑のぞくよ深雪晴 大野林火 雪華 昭和三十七年
温室へ出入り二日またぎの深雪晴 大野林火 雪華 昭和三十七年
音といふ音閉ざされし深雪宿 稲畑汀子
河豚の文大雪降ると物しけり 河東碧梧桐
火形(かぎゃう)にて焚火深雪にくだけゆく 平畑静塔
蝦夷見むと深雪に窪む長靴は 小林康治 玄霜
外灯立ちその先深雪道昏し 野澤節子 未明音
幹たかく葬後深雪の夕ながし 飯田龍太
観音の御衣深雪にはだけむほど 松崎鉄之介
観能の灯の昼ふかき深雪かな 西島麦南 人音
起きてゐる咳や深雪となりにけり 石橋秀野
郷倉は深雪・氷柱よ三百年 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
鏡なす大雪嶺を北の盾 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
局地性大雪六甲山に積む 山口誓子
駒鳥や大雪嶺に真横の陽 石塚友二 曠日
空の紺氷柱の瑠璃に深雪晴 松本たかし
空町へ土塀の坂や深雪晴 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
空谿の深雪のどこか月ありぬ 加藤秋邨
軍港の兵の愁ひに深雪晴れ 飯田蛇笏 霊芝
鶏たかく榎の日に飛べる深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
月光に深雪の創のかくれなし 川端茅舎
午ちかく雀なき出し深雪かな 原石鼎 花影
稿すすむ夜半サボテンの花も大 大野林火 雪華 昭和四十年
行きゆきて深雪の利根の船に逢ふ 加藤秋邨
豪華古るラツキーシツプ深雪晴れ 飯田蛇笏 雪峡
豪雪に寝て髪の毛の白くなる 山口誓子
豪雪の岩がしら息鮮しや 佐藤鬼房
豪雪の空港となり燈も見えぬ 佐藤鬼房
豪雪の夜明のおさな髪撫でる 橋閒石
豪雪や母の臥所のかぐわしく 橋閒石
豪雪をうがつわが尿レモン色 平畑静塔
豪雪を友へ禅林の太柱 福田蓼汀 秋風挽歌
豪雪報ひしひし雪割草は知る 山口青邨
骨上げ 深雪路 モンペおかしい姉遅れる 伊丹三樹彦
骨上げ 大雪 隠亡待ちのたたら踏む 伊丹三樹彦
山は深雪湯檜曽の村は夕日さす 村山故郷
山々のはればれねむる深雪かな 飯田龍太
山雀の声の深雪を誘ひゐる 飯田龍太
山刀伐の深雪の中に炭を焼く 阿波野青畝
山刀伐の深雪解けまで文字ねむれ 加藤秋邨
山門を掘り出してある深雪かな 清崎敏郎
四方の深雪に山上湖温みそむ 松村蒼石 雁
柴折戸を押すすべもなき深雪かな 原石鼎 花影
酌めば茶のすぐにさめたる深雪かな 鈴木真砂女
朱の柵とざして廟の深雪かな 日野草城
首綱で犢引き来る深雪かな 河東碧梧桐
春寒き夜半の深雪を人知らず 村山故郷
春深雪買はねばならぬ青菜の値 及川貞 夕焼
春雪の二夜の深雪星を得ぬ 及川貞 夕焼
春大雪この世眩しみゐたりけり 鷲谷七菜子 天鼓
春大雪の宵東京のラヂオ聞く 村山故郷
春大雪未明友逝き逝きて帰らぬ 金子兜太
初七日の春の深雪を忘れめや 日野草城
初雪の大雪になるそ口をしき 正岡子規 初雪
初鴉山に大雪降らせけり 岸田稚魚 紅葉山
女名の家の濡縁深雪嵩む 中村草田男
小柴門出入のしげき深雪かな 飯田蛇笏
小雪庇よし大雪庇知らざるも 右城暮石 句集外 昭和四十三年
庄司が二婦深雪のせつに馨りけり 佐藤鬼房
松の枝大雪塊ののり撓め 高野素十
鐘の音の一つひとつの深雪かな 鷲谷七菜子 天鼓
障子梅の木の影、大雪大に晴れ 荻原井泉水
上*せいの燈明りわたり深雪かな 原石鼎 花影以後
新年の深雪ぬくとく愛馬飼ふ 飯田蛇笏 春蘭
深雪して遺愛樹の洞ふたがりぬ 中村草田男
深雪つむ夜のシンクロンただ聾ひぬ 飯田蛇笏 白嶽
深雪にアイヌは腰の定りぬ 後藤比奈夫
深雪に会へば眉目の新しき 細見綾子
深雪のどれもみみづく越後の子 森澄雄
深雪の下くぐり来し水漉場に入る 橋本多佳子
深雪の顔にかかりし子の白息 細見綾子
深雪の戸はひれば読んで居り暗し 平畑静塔
深雪の照り双頬へ来てそを熱す 中村草田男
深雪の燈灯れる駅を通過せり 清崎敏郎
深雪の夜友をゆさぶりたくて訪ふ 中村草田男
深雪やへくそかづらがふとそよぎ 加藤秋邨
深雪やむときの粉雪に星浮ぶ 松村蒼石 雪
深雪よりいま一滴の旅はじまる 加藤秋邨
深雪見むと軒へのべたる手燭かな 原石鼎 花影以後
深雪降らしていま憩ふ空月と星 中村草田男
深雪宿温泉室の屋根は雪を置かず 松本たかし
深雪宿足あと家を一めぐり 高野素十
深雪晴 木馬 ブランコ みな音絶ち 伊丹三樹彦
深雪晴たばこのけむり濃むらさき 日野草城
深雪晴雁木表に馬具吊られ 松崎鉄之介
深雪晴湯花凝らしめ湯は流れ 大野林火 雪華 昭和三十七年
深雪晴非想非非想天までも 松本たかし
深雪晴野を来て町は汚れたる 相馬遷子 雪嶺
深雪青翳畦川ほそき音ひらき 鷲谷七菜子 銃身
深雪掻く家と家とをつながんと 西東三鬼
深雪中湖村一塊となり睡る 鷲谷七菜子 銃身
深雪踏む楽しさ胸に旅始 林翔
深雪踏む白き看護婦呼べばふり向く 西東三鬼
深雪道来し方行方相似たり 中村草田男
深雪野の美濃や近江は彦根まで 石塚友二 玉縄抄
世に遠く浪の音する深雪かな 臼田亜浪 旅人 抄
石の精神、まず大雪をぬきんず 荻原井泉水
雪卸し暮れており立つ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
雪墜ちて深雪ににぶき音うまる 桂信子 女身
雪踏みの無言につづく深雪空 松村蒼石 雪
壮行や深雪に犬のみ腰をおとし 中村草田男
槍の穂は雪をとどめず深雪晴 福田蓼汀 山火
村まはりする花嫁御深雪晴 木村蕪城 寒泉
大雪が押す禅堂の雪囲ひ 山口誓子
大雪となるべし春の夜空これ 岸田稚魚 紅葉山
大雪となる我が家の玄関まで 右城暮石 声と声
大雪となる兎の赤い眼玉である 尾崎放哉 須磨寺時代
大雪になるや夜討も遂に來ず 正岡子規 雪
大雪にぽつかりと吾れ八十歳 飯島晴子
大雪にほめき出る月ありにけり 原石鼎 花影
大雪に耐ふる柱の時計うつ 橋閒石
大雪に耐ゆる柱の時計うつ 橋閒石 朱明
大雪に埋れざるものなかりけり 三橋敏雄
大雪に来て肥を汲む男かな 原石鼎 花影
大雪のただひたぶりな一日かな 細見綾子
大雪のたなぞこふるゝ別れかな 齋藤玄 飛雪
大雪のなほ降る闇へ鬼やらふ 相馬遷子 山河
大雪のわが掻きし道人通る 相馬遷子 山河
大雪のわれのニコニコ絣かな 飯島晴子
大雪の山猿こころかわきけり 松村蒼石 雪
大雪の小川たぎちて道添へり 松村蒼石 雪
大雪の上にぽっかり朝日かな 正岡子規 雪
大雪の村に水銀燈点る 山口誓子
大雪の谷間に低き小村かな 内藤鳴雪
大雪の朝を出でゆく魚の骨 佐藤鬼房
大雪の都電とどまる旧居前 水原秋櫻子 帰心
大雪の夜の排卵を拝むなり 橋閒石
大雪の夜の白檀を燻ずべし 橋閒石
大雪の夜を福寿草ひらきけり 橋閒石
大雪の鴉も飛ばぬ野山哉 正岡子規 雪
大雪やあちらこちらに富士いくつ 正岡子規 雪
大雪やめくら暦の里埋もれ 百合山羽公 樂土
大雪や玉のふしどに猪こゞへ 正岡子規 雪
大雪や山毛欅の諸枝のどこか揺れ 阿波野青畝
大雪や洲の雪穴のゆりかもめ 松村蒼石 雁
大雪や寝るまでつがん仏の灯 渡邊水巴 白日
大雪や人を呼び込む壕の中 岸田稚魚 雁渡し
大雪や石垣長き淀の城 正岡子規 雪
大雪や底びかりして夜の梁 鷲谷七菜子 花寂び
大雪や納屋に寝に来る盲犬 村上鬼城
大雪や風鈴鳴りつ暮れてゐし 渡邊水巴 白日
大雪や母の点つ茶の泡みどり 大野林火 白幡南町 昭和二十八年
大雪や幽明わかず町寝たり 渡邊水巴 白日
大雪や狼人に近く鳴く 正岡子規 雪
大雪や關所にかゝる五六人 正岡子規 雪
大雪を曳きあへずして汽車うごく 平畑静塔
大雪を冠りて木々も低頭す 山口誓子
大雪を見に大雪の国へ行く 山口誓子
大雪を降らして伊吹雪少な 山口誓子
大雪を降らす曲者伊吹山 山口誓子
大雪を必然として埋れ住む 山口誓子
大雪を朗報のごと春立てる 百合山羽公 寒雁
大雪原人の住む燈の見当らず 山口誓子
大雪原地球のうねりそのままに 山口誓子
大雪原天には月を掲ぐのみ 山口誓子
大雪片不意に吾が眼の前に降る 山口誓子
大雪嶺子らの喊声打ち返し 上田五千石『田園』補遺
大沢の深雪解くるに間あるなり 山口誓子
大年の襖の隙の深雪かな 百合山羽公 春園
瀧尻の渦ながれつぐ深雪かな 飯田蛇笏 心像
啄木鳥や深雪に立てる木も凍り 水原秋櫻子 秋苑
谷杉の深雪に堪へてつむじ舞ふ 松村蒼石 雪
地の深雪宙の二階の白根澄む 飯田蛇笏
地は厚くして大雪の富士を載す 山口誓子
遅月にふりつもりたる深雪かな 飯田蛇笏 山廬集
竹の張力、太陽へ大雪を払う 荻原井泉水
竹垣にひそむ雉子の眸深雪晴れ 廣瀬直人 帰路
鳥とぶや深雪がかくす飛騨の国 前田普羅 飛騨紬
吊橋の深雪ふみしめ飛騨へ径 前田普羅 飛騨紬
庭におく深雪の石にみそさざい 飯田蛇笏
天よりも夕映敏く深雪の面 野澤節子 未明音
兎ゆきしあとのみ散りて深雪なり 及川貞 夕焼
盗伐で生く曲木部落いま深雪 佐藤鬼房
湯汲老婆に 妓から会釈の 深雪の橋 伊丹三樹彦
湯女どちと深雪月夜を一つ温泉に 松本たかし
湯女どちの肌の湯艶よ深雪宿 松本たかし
湯畑の湯花採る日や深雪晴 松本たかし
燈を洩らし深雪の関ケ原に住む 山口誓子
踏み出でて大雪晴に身の浮けり 岡本眸
踏切の灯を見る窓の深雪かな 飯田蛇笏
二十五年目といふ大雪に降られたる 細見綾子
二日より深雪に飛ばす鉄火かな 齋藤玄 飛雪
日のあたる方へ深雪の幹歩む 藤田湘子
日暮まで降り出して大雪となる 右城暮石 散歩圏
日本曹洞第一道場深雪晴 上村占魚
日輪のいでて深雪やスキー行 百合山羽公 春園
葱洗ふや月ほのぼのと深雪竹 飯田蛇笏 山廬集
農具市深雪を踏みて固めけり 前田普羅 普羅句集
白鳥座大雪嶺を越えて翔く 上田五千石『田園』補遺
発止ときし鶺鴒つぶて深雪原 鷲谷七菜子 銃身
半ば魔を恃む深雪に両足消し 西東三鬼
彼岸過ぎの大雪ふるさと人嘆く(丹波) 細見綾子
肥橇曳く遠深雪野に消えむため 小林康治 玄霜
飛騨人や深雪の上を道案内 前田普羅 飛騨紬
富士の里大雪に筬を鴫らす門 村山故郷
負け独楽のつきささりたる深雪かな 加藤秋邨
復活や深雪に墓の抱かれて 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
兵を送る松明あらはるゝ深雪かな 前田普羅 飛騨紬
暮れてなほ倶楽部にゐたり外は深雪 村山故郷
望郷やしなのの山の深雪空 松村蒼石 雪
枕辺に妻ゐて春の深雪云ふ 村山故郷
霧行くや樅は深雪に潰えつゝ 相馬遷子 山国
明け方の暗さもどりし深雪に降り立つ 篠原梵 年々去来の花 皿
木立裾落ち込んでゐる深雪かな 高浜年尾
黙々生きて暁の深雪に顔を捺す 佐藤鬼房
目のあたり浴泉群女深雪晴 松本たかし
夜の明けてゆくと深雪の冷えぞこれ 篠原梵 年々去来の花 皿
野に大雪も来よとおもふ冬菜を漬ける 中川一碧樓
柳鰈貰ふ大雪そのあとに 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
落葉松林の奥しづかなる深雪かな 村山故郷
離りて貧し深雪の中の翌檜 小林康治 四季貧窮
嶺近く大雪晴るる水迅し 廣瀬直人 帰路
廊灯しゆく婢に月明の深雪竹 飯田蛇笏 山廬集
老孤松大雪景を降らしけり 永田耕衣
老松方方を拝す大雪景 永田耕衣
煖炉に立つ大雪を積む聖樹 山口誓子
蹇や深雪ゆく子を励ましつ 小林康治 玄霜
鰤の尾に大雪つもる海女の宿 前田普羅 能登蒼し

大雪 続補遺

あかるさに蠅の出て行深雪哉 田川鳳朗
こゝろだに置処なき深雪哉 松岡青蘿
たをやかに柳もうけよ初深雪 馬場存義
ない事のやうに来ていふ深雪哉 田川鳳朗
よし野山も唯大雪の夕哉 野水
大雪と成けりけさは鶴のこゑ 蒼虬
大雪に埋まぬものや鏡の声 落梧
大雪に明たまゝ也枝折門 荻人
大雪に餅をならべし莚かな 建部巣兆
大雪のこゝにも食のけぶりかな 不玉
大雪のつみ残しけり腹のうち 田川鳳朗
大雪の降とは見えず浦のさま 蒼虬
大雪の旦若菜をもらひけり 白雄
大雪の中からほのと赤つばき 諷竹
大雪の夜を打崩す景色かな 松岡青蘿
大雪やむぐらの宿のひしけ物 野水
大雪や我を山家に庭の松 夏目成美
大雪や水の枝折の埋跡 野坡
大雪や落つきて啼鳥の声 紫白女
大雪や里どまりするひわの声 卯七
大雪や隣のをきる聞合せ 浪化
大雪や隣へ行ば雪の洞 路健
池水にかさなりかゝる深雪哉 几董
猪突の控に立る深雪かな 加藤曉台
底冷やいつ大雪の朝ぼらけ 此筋
日比見し松も深雪の高根哉 高桑闌更
旅人に我糧わかつ深雪哉 几董
棹立て越の深雪やみほつくし 正秀
以上


by 575fudemakase | 2018-02-15 05:53 | 冬の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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