俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで
俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで
656名 角川学芸出版 2017.12.7発行
共鳴句を挙げる。ブランク(空白)行に挟まれた句群は同一作者。
作者名は割愛。原著にあたられたし。
先ずは作品本位で句に対し、〝俳句は無名がよい〝を実践されたし。
毛羽立つて少し凹んで冬帽子
大晦日夜は序曲のように来る
蝉時雨遠景あまりにもしづか
飾取る遠くが聞こえきたりけり
朝粥の輝き釈迦の誕生日
毬は海を 海胆は林を夢想して
しやぼん玉 天下国家の世とは別
水筒に歳月の傷清水汲む
土を出て土の一穢もなき蚯蚓
隧道の涼しその先見えてきて
冬の雲兜太の猪首ふり返り
日の差せる小径が見えてゐて寒し
爆竹を猿に鳴らさむ松納
金縷梅のほとりに人の消えやすき
夜桜に包まれ旅寝深かりし
後ろから来て立秋の風となる
蒸しタオルの顔春昼のどの椅子も
糊利きし浴衣四角く歩きをり
台風の落としてゆきし月ひとつ
涅槃図を離れてこの世動くかな
春濤も岩も迷へる者同士
わが思ふところに潜くかいつむり
ニコライの鐘鳴る町に日記買ふ
偕老やほふほふ手繰る晦日蕎麦
夏場所やまはし叩きてにらみあひ
九十三どんぐり見ればすぐ拾ふ
小流れはそこより見えず蕗広葉
春雷の次を待つごと立ちつくす
雑煮餅それとなく余生のかたち
生きていること思い出す夏座敷
闇といふ魔法じかけや猫の恋
銀座百年年の瀬となりにけり
師にありて我になきもの昼寝の句
更衣見るべき花を見尽して
ひるがへる銀座育ちの蚊食鳥
星空は戴冠式のごとく凍つ
切り落としたる鯰の頭なほ笑ふ
ネアンデルタール以来なる鬱冬籠
滝仰ぐ退りて仰ぎまたすさる
たいそうな名前がついて花菖蒲
稲妻の一閃病なきごとし
切干のちりちり時を刻みけり
豊年の暮れてしまへば大月夜
稲雀伊勢路に入ればうねり飛ぶ
アテルイの面構へして鮭のぼる
凍鶴のかたはうの足下りて来ず
寒晴や高さ貪るビルの群
青空へ狐のあげし雪けむり
郷愁に似たる涼感奥座敷
濡れ縁やほたるの闇に足を垂れ
残像に風のコスモスまたコスモス
行春の雑巾となる布巾かな
布を裁つ一瞬の息万愚節
胡桃割るとほき祖に尾の有りやなし
朝早く蚊帳を抜け出てゆきにけり
庭に出て石撫で木撫で年新た
水打つてしばらく人を遠ざけて
はじかみのはじらふごとき肌かな
冬日向歩けばよいのに歩かない
ありふれしをとこと女宵祭
法螺貝の内のくれなゐ春を待つ
なんという落日ぼおんぼおんと時計
父の日を母とならざる我と祝ぐ
日をのせて上へ下へと赤とんぼ
玉虫のごと褒めらるる死後ありや
野に山に兎走らす今日の月
頬杖の机上は獺の祭かな
二人して上座に在す生身魂
ところどころ渇筆雨の大文字
海女若し火につややかな脚を投げ
しやぼんだま炎の色をして割るる
初御空空には空の貌がある
人生に逃げ場など無し十二月
おぼろ夜の仁王ゆるめし力瘤
夕映のいろ水にある夏越かな
花冷えのなかなか沸かぬ湯に苛つ
たらちねの春眠にして永眠す
隧道の入口ミモザ出て辛夷
深海魚やたら出廻り冴返る
育つとは汚すことなり燕の子
老いらくの恋とは本を読みて秋
嚔鼻水ときどき涙三月来
食べるほど薬を飲んで夏に入る
通帳と桜貝あり抽斗に
どのやうなことばでもない竹落ち葉
花蘇芳この世はといひ身をそらし
春雷の数撃ありし夕餉かな
秋風やお腹のうすき女の児
冬薔薇満場一致とはしづか
虚子が好き立子が好きで爽波の忌
水鉄砲にやられてやるも一つかな
油蝉ばっか弟三回忌
新樹また新樹爪先立つやうに
揺れながらビールの泡の到着す
すみれ目のひとたちが自転車で来る
火が紙にくひ込んでゐる麦の秋
山鳩のこゑの風呂敷包みかな
喜雨亭忌その懐のなつかしき
揺れるだけゆれる椿をあくがれつ
秋の暮むかし銀巴里・ルパン・姫
開戦日表皮ぽろぽろクロワッサン
草氷柱草より抜けて流れけり
くちばしをあげて降ろして初鴉
囀りや鴉は鴉だけで居る
日の丸よ赤から黒になるなかれ
行列に並んで春の風邪もらふ
流氷のひそと寄せ来てひしと組む
泣き初のその執念ぞたのもしき
閂を外して桜見てもらふ
土用波ひびきくらみて返しくる
草の根を引けば手こずる素十の忌
脱ぎ捨てて木は木の形十二月
結んで開いて手を打てば春
胸像のはやくも馴染む茂かな
天心となりたる月に川の音
赤まんま還らぬものは忘じけり
冬眠を忘れた亀のごとくゐる
たんぽぽや湖の平らは野に及び
喧嘩して違ふ夕焼見て帰る
初雪に戸惑ふ事もまた楽し
風に落ちまた風に飛ぶ天道虫
穴まどいさては彼奴に奪られたな
ちゃんちゃんこ着込んで一生俳句馬鹿
子雲雀のぶらぶら歩き虫咥へ
琵琶湖北端蘆の角蘆の角
縁側に厚き日差しが載って冬
波を追ひ波に追はれて遅日の子
許されぬことして来しかうかれ猫
老人のよろけ出できし鉢たたき
まだ赤といふにはあらず苗金魚
誰も知らず秋蝉の声止みたる日
生身魂数珠揉むごとく箸洗ふ
セーターの毛玉仕方のなき人よ
浜焚火ほったらかされなほ燃ゆる
かたつむり海から生まれきし形
畳み皺ついてゐるなり鯉のぼり
晴つづき吉野の花も早からん
所々にまだ過日の雪や京の路地
海鼠かむ音かはしけり女正月
揚ひばり血が止まるまでしゃぶる指
先程の雨の滲める団扇かな
塔頭より塔頭へ猫の恋
風鈴に母の亡き世の音興る
旧盆や川瀬にをどる草の屑
大広間開けられしとき涼しかり
●合評鼎談 今年の秀句からは
雨すぐに雨粒となり吾亦紅
花の雨大和に今日は横に飛ぶ
誰がこともいつか昔にほととぎす
誰もゐぬ港に虹の立ちにけり
短日の斜めの雨となつてゆく
秋の暮青空のまだありながら
水鳥といふ水鳥や日の当たる
返信に大患のこと霞草
ハンケチに一日の皺夕桜
秋風や遺影にそなへオムライス
を挙げて置きたい。
しかし、下記は等類が擦り寄ってくるようで一抹の危うさがあると思う。
誰もが簡単に作れてしまうところがありそうなのである。
蕗剥くや臨時ニュースを聞きながら
界隈の残る桜を見て歩く
旅先にあるがごとくに端居かな
又下記の共選句には、良し悪しは別にして、どうやら下敷きがあるような気もした。
東北本線全線眠る蛇である
詫びひとつ言ひて死にたし金魚玉
に対し
長距離列車(ブルートレイン)のスパークを浴び白長須鯨(シロナガス)
繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり
以上

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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