【菊の香】
【菊の香】
この人に充ち白菊の香に発す 加藤秋邨
どこもかも菊の香オリンピアドとて 石塚友二 曠日
ともすれば菊の香寒し病上り 松窓乙二
みほとけの白菊にほの立たせける 伊丹三樹彦
闇にただよふ菊の香三十路近づきくる 中嶋秀子
雨風や菊の香うちへ皆はいる 桜井梅室
運ばれて百菊の香の駅となる 山田弘子 こぶし坂
影待や菊の香のする豆腐串 松尾芭蕉
火のはしるより枯菊の香に立てる 大橋敦子
花に月に雪にわけては菊の香に 正岡子規 菊
寒むけれど菊匂ふ壷を前うしろ 臼田亞浪 定本亜浪句集
寒菊の香を守り来て二十年 水原秋櫻子 殉教
帰来て菊の香に在るしばし哉(帰庵) 石井露月
起こさずば残菊匂はずにすみし 加倉井秋を 『真名井』
起さずば残菊匂はずにすみし 加倉井秋を
菊どきは菊の香ばかり仏の間 角川 照子
菊の香とふるし表具の一文字 露川
菊の香にあらためてしや月夜ざし 鈴木道彦
菊の香にありしんしんと夜の深さ 岸風三楼 往来
菊の香にあるだけの椅子並べ置く 田島星景子
菊の香にある吉凶の記憶かな 右城暮石 散歩圏
菊の香にうもれて瞼伏せにけり 松村蒼石 寒鶯抄
菊の香にえびは一、二度反りあがる 松本恭子 二つのレモン 以後
菊の香にくもりくも九日かな 除風
菊の香にくらがり登る節句かな 松尾芭蕉
菊の香にこゝろかよわくひとを呼ぶ 中尾白雨 中尾白雨句集
菊の香にさすが山路の雪踏哉 嵐雪
菊の香にしたしみの眸つぶやける 石原舟月 山鵲
菊の香になくや山家の古上戸 北枝 俳諧撰集「有磯海」
菊の香にもまれてねばや浜庇 向井去来
菊の香にやすんずるまもなきまくら 飯田蛇笏 家郷の霧
菊の香に一坐しばらく黙りけり 桜井梅室
菊の香に羽織の紐をむすびけり 田中冬二 麦ほこり
菊の香に寄りてかたむく鼻やさし 日野草城
菊の香に今朝あらはるゝ下戸の当 怒風
菊の香に山路は嬉し病あがり 支考
菊の香に始終を細目菊売りは 能村登四郎
菊の香に鳩も硯の水添へり 仙化
菊の香に夫を想ひて昼しづけき 桂信子 月光抄
菊の香に風炉すさまじき数寄屋哉 浪化
菊の香に鳰も硯の水添ん 嵐雪
菊の香のくらき仏に灯を献ず 杉田久女
菊の香のくらき佛に灯を献ず 杉田久女
菊の香のしづめ課せし埃り哉 田川鳳朗
菊の香のそゞろなる間へ通さるゝ 日野草城
菊の香のにがく晴れたり一茶の忌 鳥居おさむ
菊の香のはやみ仏の吾子拝む 田淵ひで 『木椅子』
菊の香のひとつを残すにほひかな 上島鬼貫
菊の香のまださめやらで月の庭 芦角
菊の香のまつすぐ立てり北斗立つ 加藤秋邨
菊の香のわけて身に入む嵐雪忌 服部嵐翠
菊の香の闇ふかければ眠るなり きくの
菊の香の闇や秘仏の曲線見ゆ 加藤知世子 花寂び
菊の香の身におのづからそひ来なる 久保田万太郎 流寓抄以後
菊の香の身に移されし芸すこし 松本たかし
菊の香の大顔見世となりにけり 水原秋櫻子 餘生
菊の香の朝や節供のあら莚 素覧
菊の香の堂の金色われをつつむ 加藤知世子
菊の香の匂ひのぼるや椴の末 卓袋
菊の香の夜の扉に合掌す 高野素十
菊の香の髯に薫する翁かな 尾崎紅葉
菊の香も市のへだてや下地窓 松岡青蘿
菊の香やあたたかきもの參らせてむ 日夏耿之介 婆羅門俳諧
菊の香やぎくりと懸かる河童図 石田波郷
菊の香やたぶさよごれぬ箙さし 其角
菊の香やつれなくだまる障子骨 野紅
菊の香やならには古き仏達 松尾芭蕉
菊の香やひとつ葉をかく手先にも 炭太祇
菊の香やふるき難波の呑手共 千川
菊の香やみほとけをまのあたりにて 伊丹三樹彦
菊の香やめがねはづして睡るとき 渡邊白泉
菊の香ややれ誰やらがうしろ影 唯次妻 俳諧撰集玉藻集
菊の香や一間したゝか唐めかす 尾崎紅葉
菊の香や一葉世代の母なりき 横山康子
菊の香や雲井に近き朝朗 正岡子規 菊
菊の香や何かにうつる小盃 桃妖
菊の香や何も映らず夜の鏡 中村汀女
菊の香や加賀の鶴来の板庇 栗田やすし
菊の香や花屋が灯むせぶ程 炭太祇
菊の香や花売が身の袂にも 黒柳召波 春泥句集
菊の香や垣の裾にも貴船菊 水原秋桜子
菊の香や観音経は誰も誦し 野村喜舟 小石川
菊の香や幾鉢置いて南縁 夏目漱石 明治四十三年
菊の香や亀の卵も見たあたり寥松
菊の香や鶏の声張る平群谷 中御門あや
菊の香や月夜ながらに冬に入る 正岡子規 立冬
菊の香や見ればゆかりの袖と袖 りん女
菊の香や古人のごとく山を観る 徳永山冬子
菊の香や故郷遠き国ながら 夏目漱石 明治二十八年
菊の香や吾子の瞳に菊うつり 杉山岳陽 晩婚
菊の香や御器も其の僅宵の鍋 支考 俳諧撰集「藤の実」
菊の香や御器も其儘宵の鍋 支考
菊の香や紅裏見ゆる繩簾 吾仲
菊の香や座の定て糸仕事 朱拙
菊の香や妻と子と孫と碑のまえに 浅原六朗 紅鱒群
菊の香や桜は文で申べし 風国
菊の香や山路の旅籠奇麗也 炭太祇
菊の香や思ひにからむセレナード 日野草城
菊の香や指しなやかに伎芸天 西脇妙子
菊の香や慈悲の手ながき観世音 島田万紀子
菊の香や持古したる杖の色 木導
菊の香や酒に薬の呑ごゝろ 舎羅
菊の香や十日の朝のめしの前 黒柳召波 春泥句集
菊の香や初心を以て貴しと 桂信子 花影
菊の香や食にも茶にも井戸一つ 許六
菊の香や親子三人が亨けし氏 米沢吾亦紅 童顔
菊の香や厨子をひらきて鬼子母神 百合山羽公 春園
菊の香や水音もする垣の白 桜井梅室
菊の香や静かに暮るる能舞台 中村智子
菊の香や騒人常に苦味の中 中村草田男
菊の香や太古のままに朝日影 飯田蛇笏 山廬集
菊の香や只三人に夜の更くる 正岡子規 菊
菊の香や茶に押し合ふもこの日より 千代尼
菊の香や茶に押合ふも此日より 千代尼
菊の香や鶴はしづかに相よれる 水原秋櫻子 新樹
菊の香や庭にきれたる沓の底 ばせを 芭蕉庵小文庫
菊の香や庭に切れたる靴の底 松尾芭蕉
菊の香や灯めぐる竹のおく 井上士朗
菊の香や灯もるる観世音 高野素十
菊の香や灯もるゝ観世音 高野素十
菊の香や踏切小屋の赫きに 野村喜舟 小石川
菊の香や奈良には古き仏たち 松尾芭蕉
菊の香や奈良は幾世の男ぶり 松尾芭蕉
菊の香や日待ち明け行く橡の先 ぜぜ-探芝 俳諧撰集「藤の実」
菊の香や日待明行椽の先 探志
菊の香や芭蕉の襤褸(つづれ)金色に 川端茅舎
菊の香や芭蕉をまつる燭ひとつ 水原秋櫻子 晩華
菊の香や盃なりに大江山 りん女
菊の香や白粉の香や酒五合 尾崎紅葉
菊の香や鼻からぬけて露時雨 吾仲
菊の香や瓶より余る水に迄 其角
菊の香や父の屍へささやく母 草間時彦 中年
菊の香や風漸々に窓の破 路健
菊の香や鮒の魚拓のまだ濡れて 水原秋櫻子 霜林
菊の香や母をたたへし書の重み 稲垣光子 『絵付筆』
菊の香や民生れ増しつしかも彦 石塚友二 方寸虚実
菊の香や命惜しみしまでにして 石田波郷
菊の香や木隠れ墓の捨聖 角川源義
菊の香や裏をつけたるひとへもの 日野草城
菊の香や旅の姿を乾する 凉菟
菊の香や旅籠の主帯刀を 山口青邨
菊の香や陵王の舞強く軽く 林翔
菊の香や淋しき奥に銭の音 嵐青
菊の香や礼のかへしを小短冊 舎羅
菊の香や連舞の手の良く合ひて 足立靖子 『梨花』
菊の香や露と雫は替りけり 芙雀
菊の香や麓の里のそここゝに 尾崎迷堂 孤輪
菊の香や鬚ある人の思はるゝ 正岡子規 菊
菊の香よ露のひかりよ文化の日 久保田万太郎
菊の香をかゝえて残る九月哉 李由
菊の香をまとひて男児生まれけり 今泉貞鳳
菊の香をもてしづめたる硯哉 夏目成美
菊の香をやや遠ざけて消燈す 石田波郷
菊の香を扇に汲むで山路かな 支考
菊の鉢提げて菊の香のぼりくる 蓬田紀枝子
菊衣替へ菊の香も著せ替ふる 恩地れい子
菊匂う深きより水湧くごとく 橋閒石 微光
菊匂ひ或は秋刀魚輝けり 相生垣瓜人 明治草
菊匂ひ石鹸匂ひ洗面所 波多野爽波 鋪道の花
菊匂ふ深きより水湧くごとく 橋間石
菊匂ふ大往生といふ今宵 赤尾恵以
菊匂ふ白鮫着せの飾太刀 中戸川朝人 尋声
菊匂ふ夜の静けさを病臥せり 青山緑葉
菊畑に手鞠はひりぬ菊にほふ 山口青邨
枯れてなほ焚けば菊の香たしかなる 千原 叡子
枯菊の香を愛しともむなしとも 西島麦南
講堂に菊の香満ちて君が代や 寺田寅彦
今生の白菊にほふ別れかな 佐藤国夫
山里を行きつゝ菊の香に触れぬ 石橋辰之助 山暦
小雨して小袖に菊の香をしたむ 正岡子規 菊
埴輪観る画廊は菊の香に満てり 西島麦南 人音
新米に菊の香もあれ小六月 正岡子規 小六月
身うごけば菊の香のして忌に籠る 下田実花
人隔て菊の香隔てられぬ垣 一宮十鳩
生て世に菜汁菊の香目に月夜 支考
谷ふかく残菊匂ふ在所かな 幽軒
乳児の力ぐいぐい闇に菊の香あり 加藤知世子
猫の瞳の奥より菊の香のすなり 後藤眞吉
白菊にほのと黄のさす日和かな 鷹羽狩行
白菊の香りを高く逝かれけり 川崎展宏 冬
髪に挿す黄菊白菊にほへども狂はねば告げ得ざらむこころ 藤井常世
筆擱けば真夜の白菊匂ひけり 日野草城
百菊の香をあつめてや後の月 洒堂
仏壇の十日の菊の香かな 蝶夢
暮るるまで菊活け菊の香に眠る 古賀まり子 降誕歌
末弟子菊の香およぶ果にあり 能村登四郎
霧の香のなかの菊の香一葉忌 飯田龍太
夜に入れば白菊の香の虚空より 飯田龍太
俤は菊の香深き墨絵かな 除風
檜の香は白菊の香よ木倉冷ゆ 松崎鉄之介
鼈甲の帆船すすむ菊の香に 山口青邨
by 575fudemakase
| 2018-10-10 16:27
| 秋の季語
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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