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2018年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句

 

 あれこれに紛れ思はぬ月に逢ふ

 えのころ草独りぼっちと言ふ自由

(「えのころ草独りぼっちと言ふ」vs「狗尾草独りぼっちといふ」 「犬」のイメージ入れたい。故に「狗尾草」)

 ストーブを独り占めしてゐたる贅

 そぞろ寒犬も朝夕薬飲む

(犬猫も薬嚥む世ぞそぞろ寒)

 ともしきは君が掬へる葛湯かな

 どんぶり提げ僧も侍れる大根焚

 ひやひやと昔質草黒紋付

(「ひやひやと」vs「ひんやりと」)

 まずまずの晩年茶の花を愛で

(「まずまずの晩年茶の花」vs「まづまづの晩年お茶の花」)

 鞍馬祭いなせな半裸火の海へ

 姥石を棚田に祀り稲を刈る

 塩梅よき酢締め落鮎づくしなる

(「塩梅よき酢締め」vs「酢加減の程よき」)

 柿熟れて白漆喰の蔵に映ゆ

(漆喰の蔵壁柿の栄ゆるなり ぐらいでどうでしょうか?)

 活字見し眼に薬注し秋暮るる

 寒椿疾(と)くに捨てたる志

(「疾(と)くに捨てたる志」vs「とっくに捨てた志」 此処は口語で遣ってしまった方がよいのでは?もちろん「疾うに捨てたる志」の形もある。)

 雁の列夕日の海へ消えにけり

(「消えにけり」vs「消えゆけり」)

 去来墓日がな筒抜け十夜鉦

(「去来墓」vs「野良の墓」 「去来墓」である必然性果たして有りや?)

 近隣に分くる艶良き庭の柿

 月光の大和三山うす墨に

(出来上るべく出来上った この微妙な処が私には不満)

 五歳児と米寿のオセロ文化の日

 吾が子抱くごと藁塚を束ねゐて

 公孫樹落葉足弱滑るな滑るなよ

(「足弱滑るな滑るなよ」vs「足弱なれば転けるなよ」)

 懇ろとなるペン胼胝と芒傷

 再会や運動場は秋日の海

 妻の留守さざんかの花散り敷くまま

 枝の先の昼月ほうと帰り花

(「ほうと」は「呆と」と書くのであろう。)

 寺の子の宵待ち顔に秋祭

 蛇穴に入りせかせかと一と日終ゆ

(せかせかと一と日過ぎるや… こんな叙法もあろう。より自然体であろう。原句はどこか計算している風がある)

 秋渇き修行僧めくジョコビッチ

 十二神将それぞれの冬構へかな

(季語としての、冬構といふ言葉の遣い方が少しずれていませんか?)

 小春日や画架におかるる未完の絵

(「小春日や」vs「竹の春」「竹」と言う素材感を入れても面白かろう)

 杖持たぬことも自慢や十夜婆

(「や」vs「を」)

 色鳥来人形供養の寺の階

 神無月ビルの腹から電車出で

(東京者なら渋谷辺りと見当がつくところ…)

 水澄みて澄みて晒さる鯉の白

(「晒す」には、いろいろな意味があるが、ここでは「広く人目に示す」の意だろう)

 水澄みて脈々とゆく飛鳥川

 睡蓮の秋冷の色凝らしたる

 星月夜バツクひとつの帰り径

(「バツク」vs「バッグ」 「バッグ」が正しい)

 石蕗に蕾数多よ誕生日

 赤んぼをあやす声して良夜かな

 禅堂の厚き草屋根冬に入る

 霜除の土深深と何の畝

(深深とは、あたりがひっそりと静まりかえっているさま。土の色まで見えて来そう)

 村芝居大きな掌にて見得を切る

(「にて」vs「もて」)

 大熊手担ぎたるままコップ酒

 炭竈樫五百本火入れ待つ

 地に還るかそけき音に紅葉散る

 朝寒の嵯峨野にて逢ふ花売女

(「にて逢ふ」vs「を往けば」 「にて逢ふ」は少し説明的、丁寧過ぎ?)

 朝刊とりに出づれば小鳥来てをりぬ

(ゆったり感が何ともいい)

 長き夜やナースコールの点滅音

(「長き夜をナースコールの呼び出し音」)

 農日誌納屋に新米積むと書く

 飛沫より鮎のこぼるる下り簗

 微笑みを残して逝けり秋の果

 冨冨冨てふ新米届き人寄する

 風呂吹きやこれから続くひとりの餉

(暗澹たる行く末を思っている)

 文化の日古事記歌謡を朗誦し

 平成のその先見えず返り花

(年号改元に老い先不安を重ねている)

 母さんもきっといる筈踊りの輪

 忘れてはならぬに忘る山の講

(上五七の叙法面白し)

 本願寺の蝋燭手向け残る虫

 棉吹きて風にぬくみのありにけり

 門前のバナナを枯らす農学部

 落鮎や生簀に影を沈ませて

(「生簀に影を沈ませて」少し格好をつけ過ぎた感あり)

 陵の濠やにほどりすぐ浮かび

(「すぐ」vs「つと」 少しボヤカシておいた方がいいのかも。副詞「つと」は「さっと」「急に」の意)

 悴めり言い訳の嘘すんなりと

一生を半農婦かな石蕗の花

(一生を半農ぐらし石蕗の花 これなら秀抜。半農婦は苦しい。言葉として成り立つか?)



以上



by 575fudemakase | 2018-12-16 18:26 | ねずみのこまくら句会


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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