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2019年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句

2019年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 あらためて作法確認初手水

 カルテ見る主治医に御慶申しけり

(患者の元気が医者の励みにもなろう)

 スケーターリンクの皺を伸ばし伸ばし

 ポインセチア言葉を返す縫ひぐるみ

 音調は青年のもの除夜の鐘

(音調はvsその音色:音調は少し硬い措辞)

 寒暁の座禅に透る鐘一打

 寒卵割る講宿の馳走かな

(寒卵富士講宿の馳走なる)

 脚ばかり見せて野兎大地駆け

(脚大きく見せて野兎大地駆く)

 去年今年ただひと色に川流る

(川は流れる …仲宗根 美樹の歌を思い出した)

 去年今年夜すがら灯し御仏壇

(去年今年vs(凩の or 大年の))

 居酒屋の肩幅の席十二月

(「肩幅の席」は的確)

 熊野古道塩漬け梅を寒干しに

 元朝参りみな低声に笑み交はし

(みな低声にvs集ふどの娘(こ)も)

 五重塔目差す人波初弘法

(東寺の弘法市などを想像した)

 行く年来る年船笛が橋渡し

(地元を詠う強みだ)

 七度目の干支は終とも年新た

 七日粥未だに慣れぬ水加減

(年季を積んでも仕損ずこともある)

 若水を汲むや真白き割烹着

(新婚時代の華やぎに似たものがある)

 終弘法「シルク」と大書の端切売

 初刷りを担ぎてきたる配達夫

 初日影満つ蹲いの水鏡

 初包丁大根人参花型に

(華やぐ心を容に…)

 初明かり富士湧水の気泡かな

 初暦巻きぐせのまま予定書き

(予定記す巻き癖のある初暦)

 除夜の鐘ひとつを聞いて寝ねにけり

(ひとつを聞いて寝ねにけりvs一つ目聞いて寝に就けり)

 新年の松蒼穹をたなごころ

(おとなしい句だが祝ぎ心如実)

 水掛けて冷えを募らす水子仏

 戦争を我も知る人日向ぼこ

(我も知る人vs吾も知る一人:「戦争を吾も知る一人白ふくらふ(白梟は自己擬人化像)」「日向ぼこ戦争遠く近くに遣り」等どうだろうか?これは直し方で秀句になる可能性あり。)

 大とんど生木の芯に水泡噴く

(芯に水泡噴くvs芯より噴くあぶく)

 大活字の本を積み上げ冬ごもり

(大活字の本vs大活字本:大活字本は造語臭いが用語として成立するのではないか?)

 大寒の日をちりぢりに割れガラス

 大初日太陽の塔ゆるぎなし

 大鷹の飛翔の足に鼠らし

(飛翔の脚vsさらへるは何:「飛翔の足」という措辞がちょっと引っかかった)

 凧うなる高みにありぬ石舞台

(素材の配置が立体的。舞台も申し分ない)

 鉄階を下る凍滝へと下る

 天邪鬼歳の市より句碑めぐり

 兎籠抱きて獣医へ初車

(そう言えば「初車」という季語があった。あまり使われないが…)

 冬日燦上毛三山位に即けり

(龍太に「山河はや冬かがやきて位に即けり」がある。之を踏まえて各々は何点をつけるか)

 冬籠趣味三昧の隠れ部屋

 読初の「一分音読」若菜集

 二日はや焼きたてパンを求む列

(「求む」と駄目を押した処に共感を禁じ得ない)

 日脚伸ぶお巡りさんと立ち話

(お巡りさんvsおまわりさん:一瞬私は「おめぐりさん」と読んだ。お遍路の別称でもあるかと勘違いした。これは損だ。)

 年の市鮑・帆立に水溢れ

(暮の活気が活写されている)

 年詰まる椅子軋ませてクリニック

 年玉を遠慮しもらふ子となりぬ

(孫の仕草を見るようで合点だ)

 年酒酌む富士の裾野に居を構へ

(七五がどっしりして目出度い)

 年明くる視野の限りを青き空

(類句あるやも知れぬがスカッとする一句)

 煤逃げや一年ぶりのルーテイーン

((今年もや or ぶらり出て)煤逃げといふルーティーン)

 白髪の張り頼もしく初鏡

 箸紙に感謝と弱音吐く齢

 八代の鶴二羽にて平成暮にけり

(今年は「年暮れ」と「元号暮れ」が重なって感慨深い。鶴二羽の残像が脳裡に残る)

 夫の物片付かぬ日々日脚伸ぶ

(日脚伸ぶvs年の瀬へ)

 福笹の大判小判鳴らしゆく

 福藁に洞ろな神馬休養す

 暮れ早し一人の旅の一人鍋

(一人鍋vs(茸鍋orひとり鍋):「一人」のリフレインは一寸五月蠅いので…)

 綿虫の意気投合のめくら飛び

 網を張る桶にすっぽん年の市

 餅花をくぐり塩豆求めけり

(小品だが臨場感はあった)

 柚子入れて一番にして仕舞風呂

(柚子入れてvs柚子風呂や:一人暮らしが窺えてほのぼの…)

 玲子さん逝去の知らせ入る七日

(逝去の知らせ入る七日vs身罷る知らせ薺の日: 身罷るは古今哀傷詞と辞書にある)

 鈴生りの金柑に鳥鈴なりに

 蓮根掘引き抜く脚の暮れにけり

(暮れにけりvs暮れかかる)

 巫女咲かす肌の柔さの餅の花

(肌の柔さvsやわ肌いろ:色で勝負したらどうだろう?)

 篝籠乱れて年の明けにけり

(乱れてvs灰白:色で勝負したら。「明けにけり」でなく「明けてをり」であろう)


以上



by 575fudemakase | 2019-01-20 20:16 | ねずみのこまくら句会


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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