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2019年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句

2019年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句


 涅槃堂床の暗きに猫泣けり

 料峭のごくりと水の喉通る

(料峭の vs 涅槃の日:試みとして、句に事件性を入れたい)

 野焼きせり車窓におよぶうす煙

(素直な写生が好感を齎す)

 木喰の像の撫で艶緑さす

(微笑佛の撫で艶…ならもっと物が言えそう)

 片身づつ二人で食す蒸し鰈

 碧眼の僧名を持ち卒業す

(ちょっとニュアンスが変わるが以下ではどうだろうか? 碧眼の僧も交へて卒業す)

 風船の夜は天井に頭打ち

(「の夜は」一寸引っかかる表現。厳密に見ると、この表現おかしい?)

 腐葉土を買ひ足し春を待ち侘ぶる

 琵琶湖模す池泉を望む雛の間

 白魚の「,」カンマがほどの黒目かな

(「「,」カンマ」vs「,(カンマ)」:表記がおかしい)

 梅東風や百度参りの五色紙垂(しで)

 天井に花桃の映えあずさ号

(山梨辺りを走るとこうですね)

 蝶へ手のひらひら双子のベビーカー

 朝ガラス大きく啼いて寒明くる

(原因辺りが描かれていないが、かえって興をそそられる)

 置き薬減らずにありぬ春立てり

 探梅や百歳めざす歩こう会

 卒業や校歌の山に登りもし

 切り株を椅子にしばらく利久の忌

 拭き艶の箱階段に雛明り

(素材、着眼、表記に隙がないがまぁまとまり過ぎてしまったか?)

 将門の塚に一輪落椿

 勝敗を言わず春泥落しをり

(勝ち敗けを言はず春泥落す子よ)

 春風やもう捨てようかハイヒール

(句に若さが戻る雰囲気好もしp)

 春一番天地無用の荷物着く

(荷物 vs 一荷:少しボカして言いたい。「一」のリフレインも)

 酒ならば何でもよろし蕗味噌よ

(蕗味噌は酒を選ばず八海山)

 手をめだかめだかの五十鈴川

(洗ふ vs (浄む or 浸す):言葉は綺麗な方がよい)

 取り廻す青ぬたの鉢すぐ空つぽ

(美味そうなことを絵に描いた)

 車窓ごし雛の灯見ゆる都電かな

(都電かな vs 荒川線)

 飼育舎にうさぎの跳ねる卒業歌

(卒業歌 vs 新学期:どちらかと言えば私は新学期)

 子等住まぬ家広々と春障子

 三寒は白く四温の月は黄に

(四温の月は黄に vs 四温は黄なる月:「は」のリフレインで調子を取りたい)

 柵に寄る子馬のまつげ風光る

 冴返るあばら露に小角像

(肋あらは、小角は常套的組み合わせ。コレに季語が付いただけ。一見出来ているだけで終わっている)

 菜の花菜の花白灯台の先は海

 腰越の小さき浜辺若芽干す

(小さき浜辺 vs 小さき浜辺に:チイサキよりチサキの方が私は小さいと感じる。即ち詰まった方が…表記としてはルビを振って明示すべきか?)

 高床を初蝶舞へり正倉院

(正倉院高床を舞ふもんしろてふ)

 耕しのひとりの谺戻りけり

 剣が峰を離れて春の雲となり

 月朧ストラディバリウスの余韻

(月朧 vs 月朧にて: 月朧あと突然切れるのはどうか?破調になるが調子をスムーズにしたい)

 啓蟄の虹の松原菰はづし

 近づきて雛「ひひな」と息を通わする

(通わ vs 通は:文語使いじゃあないのですか?)

 看護婦も医師も鼻声春の風邪

 海光を回して若芽刈りにけり

(にけり vs ゐたり:好みの領域ではあるが…)

 芽木明り梁をあらはに文庫蔵

 花なずな身の一病と三十年

 雲雀野に子等乗せあがる熱気球

 一粒づつ幼なのつまむ雛あられ

 ふらここや遠き昔を引き寄せて

(遠き昔を引き寄せ:これには賛否両論あろう)

 のどけしや座布団に在す願掛け石

(土俗的な味のする一句)

 ギフチョウの交尾天日滴るに

 きつぱりと前髪切りて受験の子

 お松明燃え尽き竹の骨残る

(行事最後まで見つめた賜物)

 いのちながなほ永かれと初桜

 「月光」を課題の曲に卒業子

(課題曲は締まった表現だが、課題の曲は緩んだ表現。私は前者を使いたい)

もどかしや蹇(あしなえ)攣(てなえ)冴返る

春雪の舞ふ町中に居て一人

(一人 vs ひとり)

古民家カフェ祖母の雛を守り継ぎ

春寒し歯の詰め物のほろと取れ

重ね着やいつも探している私

(未だ表現の仕方がありそう。上手く直せたら好句になろう)



以上



by 575fudemakase | 2019-03-17 18:36 | ねずみのこまくら句会


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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