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口 の俳句

口 の俳句


下唇 口唇 紅唇 朱唇 大口 受け口 口元 口許
べろ 舌先 舌端 舌の根 乳歯 永久歯 前歯 犬歯 糸切り歯 糸切歯
奥歯 臼歯 鬼歯 八重歯 乱杭歯 歯並 味噌っ歯 義歯 入れ歯
虫歯 金歯 歯茎



朱唇

いねし子の朱唇にうるむ雪夜かな 渡邊水巴 富士
ほほづきの網の目透けり朱唇仏 水沼三郎
一点の朱唇褪せざる雛かな 行方克己 知音
夏痩のほつれ毛をかむ朱唇かな 西山泊雲 泊雲句集
花冷えの朱唇から出る毒気かな 井上啓子
寒の内朱唇干されてゐたりけり 赤松[ケイ]子
吉祥天の朱唇に供え花山葵 細見綾子
吉祥天の朱唇に供へ花山葵 細見綾子
襟巻に一片浮ける朱唇かな 原石鼎
蛍火に火傷 朱唇の仏たち 松本恭子 二つのレモン
元朝の朱唇かがやく摩崖仏 穴井太 原郷樹林
枯の中ゴッホ自画像のみ朱唇 山口誓子
桜の実朱唇ゆたかに伎芸天 松本澄江
四方枯れて朱唇匂へり伎藝天 東條素香
指輪ぬいて蜂の毒吸ふ朱唇かな 杉田久女
実桑もぐ乙女の朱唇恋知らず 杉田久女
若武者の朱唇匂へる幟かも 相生垣瓜人 明治草
朱唇あわあわ 飛雪昏らみの古仏たち 伊丹公子 沿海
朱唇ぬれて葡萄うまきかいとし子よ 杉田久女
朱唇ややあけてやさしき雛かな 阿部みどり女
朱唇仏さながらに暮れ曼珠沙華 鷹羽狩行
朱唇仏湖北しぐれてゐたりけり 福島 勲
春雪や村のほとけに朱唇あり 小川軽舟
初冬を吉祥天の朱唇かな 細見綾子
逝く春の朱唇仏画にときめくも 秋元不死男
青檜葉の一本涼し朱唇仏 宮田正和
巣づくりの鳥影窓に朱唇仏 秋元不死男
草虱つけ朱唇仏に会ひに行く 小島健 木の実
椿落ちて万緑叢中一朱唇 楠本憲吉
瞳うるみて朱唇つやゝか風邪に臥す 杉田久女
納雛なほ濃き朱唇ふくみをり 阿部みどり女
梅どきの笛寄せたまふ朱唇佛 角光雄
梅雨秘仏朱唇最も匂ひける 水原秋櫻子
梅雨秘佛朱唇最も匂ひける 水原秋櫻子 帰心
筆かみし朱唇の墨も夜涼かな 西島麥南 金剛纂
筆ほぐす朱唇の墨も夜涼かな 西島麦南
風呂吹や朱唇いつまでも衰へず 村上鬼城
壁懸の朱唇よ痛み負ふ夜か 佐藤鬼房
片向きて傾く舞童の朱唇かな 攝津幸彦 未刊句集
弁天の朱唇にほへる初巳かな 大島直子
豊秋や朱唇残れる観世音 森 澄雄
盆病むや仏の朱唇しめやかに 松村蒼石 雪
盆病むや佛の朱唇しめやかに 松村蒼石 雪
万緑の道をあつめて朱唇仏 穴井太 原郷樹林
涅槃したまへり少女の朱唇もて 後藤比奈夫
苺食む朱唇ミルクに濡れそぼち 日野草城
螢火に火傷 朱唇の仏たち 松本恭子
黴のなか仏の朱唇真一文字 鷹羽狩行

紅唇

サングラスかけて紅唇いよゝ燃え 久保田万太郎
寒牡丹の紅唇ちらと蕾なり 安住敦
吉祥天女紅唇ゆるぶ囀りに 松山足羽
空前の/紅唇/絶後の/裏切りや 折笠美秋 火傅書
鶏頭のまだ紅唇のごとき花 山西雅子
紅唇に触るる朱盃や濃白酒 松本たかし
紅唇のああと彼方の崩れ簗 鈴木鷹夫 春の門
紅唇のはみ出してをり夏帽子 横原律子
紅唇の動いて近松忌をいへり 鈴木節子
紅唇の濡るるがごとく室の花 富安風生
紅唇の面白(おもじろ)女武者ねぶた 高澤良一 寒暑
紅唇をとこしへ仏枯るるなり 大野林火 月魄集 昭和五十六年
紅唇をゆがめて桃の花くぐる 上田五千石 森林
秋の暮紅唇くろむ水鏡 上田五千石『田園』補遺
秋暁の紅唇一語洩らせしや(吾亦紅さんを悼む) 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
春の航わが紅唇を怖ぢにけり 飯島晴子
雛流れ去り紅唇を眼にのこす 林翔
繕ひし垣に紅唇ゆるぶまま 波多野爽波
濡れ色の紅唇ちらと寒念仏 田中みどり
白魚を呑んで紅唇たぢろがず 鈴木真砂女 紫木蓮
亡母の薔薇開きぬ紅唇打ちふるへ 中村草田男

下唇

嬰児涼し下唇を舌で挿す 松崎鉄之介
魚はみな下唇ののびる暗夜かな 宇多喜代子

大口

ハラフトは大口開けて舟の中 瀧井孝作
ほうぼうの大口のぞき子の大口 加藤秋邨
芋喰ふや大口あいていとし妻 飯田蛇笏 山廬集
炎昼や甕の大口絶叫す 苅田 龍
茄子咲くや大口真神畑を守り 水原秋櫻子 重陽
干す釜の大口雪を待つ如し 今瀬剛一
寄つて来し鯉の大口夏旺ん 山田国子
五月鯉ムンク叫びの大口で 関島恵美子
三日の朝フェリー二隻大口あけ 佐藤鬼房
三日の朝フエリー二隻大口あけ 佐藤鬼房
獅子舞や大口明けて梅の花 一茶
種袋大口あけて陽炎へり 前田普羅
種俵大口あけて陽炎へり 前田普羅
水温み草魚大口ゆるびけり 堀口星眠 青葉木菟
西行の大口きかぬさくらかな 田川鳳朗
蝉しぐれ柵萌大甕大口開け 成瀬櫻桃子 素心
船板の鱧大口を曝しけり 一行
大口に顔のかくれて燕の子 妙中 正
大口の笑ひ過ぎたる通草とも 多賀ますえ
大口の壺へ投げ入れ寒桜 川崎展宏
大口を開けてのけぞる蛙飛 塩川雄三
大口を開けて見上ぐる通草かな 成田久郎
大口を開けば大きな秋の風 永末恵子
大口を開けるほかなき吊鮟鱇 太田喜美子
大口真神亡びしよりの地の乾き 橋本 榮治
大口真神亡びてよりの地の乾き 橋本榮治 逆旅
二月うたてき大口あけて女医の前 山口青邨
蛤も大口明くぞ鳴く雲雀 一茶
不忘(わすれず)の山の大口真神かな 佐藤鬼房
浮かびくる鯉の大口春の雲 本宮哲郎
閻魔堂出てところてん大口に 山口冬男
鮟鱇の大口あいて笑ふ哉 寺田寅彦

受け口

うたた寝も受け口であり良寛忌 田辺 花
ほほづきにみなが受け口祭の夜 皆吉爽雨 泉声
喜雨喜雨と蛙は口を受け口に 窪田英治
末子の襟巻小鼬受け口小歯並び 中村草田男

口許 口元

ぴらぴらと蟹の口許南風吹く 高澤良一 ももすずめ
賀状には足腰弱り口元気 田中美沙子
寒紅の口許生きて来し会話 稲畑汀子
月見してものつぶやける口元よ 松瀬青々
口許が割れて洩れだす夜のタンゴ 高澤良一 燕音
口許に目許に春の風邪心地 稲畑 汀子
口許に力を入れて綱引す 高澤良一 石鏡
口許の隠るるおかめ熊手かな 行方克己 昆虫記
口元が似てゐる甲斐の梅雨いかに 佐藤鬼房
口元に熱さ残しておでん喰ふ 中里 余志
口元の母に似てきし晦日蕎麦 岩切恭子
山梨を噛めば口許風つどふ 細谷鳩舎
子地蔵の赤き口元別れ霜 竹澤茂子
聞かれたくなき口許に秋扇 稲畑廣太郎
爺(じい)さまの口許に似て隼人瓜 高澤良一 燕音
涼しさをいふ口許の黒子かな 野中亮介
鮟鱇の強つくばりの口許よ 高澤良一 随笑

べろ

べろ出して秋風の渋かりしこと 伊藤白潮
気で病む中年 鏡裡の舌をべろべろ 冬 伊丹三樹彦
匙をもてべろべろ柿を始末せし 高澤良一 暮津
老人の口を汚してべろべろ柿 高澤良一 暮津

舌先

黒南風の舌先に蝶狂ひけり 広谷一風亭
笹鳴いて舌先かわく奪衣婆 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
舌先が莫迦になるまで氷水 高澤良一 寒暑
舌先にぽんかんの種とほき地震 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
舌先に金平糖の春しぐれ 橋閒石 微光以後
舌先に浅蜊の砂や彌陀の国 宮坂静生 春の鹿
舌先のぎうと縮める渋柿ぞ 高澤良一 さざなみやつこ
裂きたての海胆舌先にとろけゆく 上村占魚

舌端

蟹味噌に舌端大事 男の生 伊丹三樹彦
死せば死の舌端として蝉時雨 小檜山繁子
舌端に触れて余寒の林檎かな 草城
舌端に追ひ廻さるる瓜の種 前田普羅
舌端に風景かくす異邦人 堀本吟
舌端の荒れはじめたる極暑かな 野見山朱鳥 愁絶
氷菓の峯凹ます少女の堅き舌端 内藤吐天
夜の酷暑氷塊惜しむ舌端に 石塚友二 方寸虚実

舌の根

きりぎりす舌の根打つて誓言す 中村草田男
ひらひらと舌の根見せず蛇遊ぶ 右城暮石 句集外 昭和二十九年
花どきの舌の根におく熱さまし 沼尻巳津子
含嗽して舌の根甘し寒の水 石塚友二 光塵
空中戦舌の根かたく母子たつ 細谷源二 鐵
思はぬ訃聞く柿の渋舌の根に 日野草城
春塵に舌の根かわく閻魔王 葉狩てる子
舌の根のかはかぬうちにまくはうり 筑紫磐井 花鳥諷詠
舌の根の乾きがちなり牡丹の芽 内田美紗 誕生日
舌の根やときに薄氷ときに恋 池田澄子
舌の根を乾かしてゐる半夏生 菊川俊朗
舌の根を見せて真昼のランプかな 久保純夫 水渉記

乳歯

はなびらや乳歯一本てのひらに 平井照敏 猫町
銀河系宇宙に春の乳歯かな 石母田星人
校庭や乳歯が抜けてさくらんぼ 三橋鷹女
子の乳歯投げ上げし軒菖蒲葺く 大杉幸靖
色鳥も乳歯の二本のぞき来よ 鈴木節子
新緑の町に乳歯を抜きにゆく 廣瀬直人
声たてて乳歯もあらず初笑ひ 永島理江子
桃の陽にやつと乳歯を見つけたり 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
乳歯生えそろひし頃か浮いてこい 小形れい子(青樹)
乳歯生ふ月見団子の白さほど 塚田登美子
乳歯生ゆ古墳は烏蛇棲みて 橋閒石
白の原種蓮とゆきかい乳歯落つ 安井浩司 赤内楽
母の日を歌ふ乳歯の大を欠き 赤松[けい]子 白毫

永久歯

どの顔も永久歯秘め卒園す 谷中淳子
永久歯とはに抜け落つ麦の秋 桑原三郎
梨齧る児に真つ白な永久歯 丸山依子

前歯

ある冬の隕石吾子の前歯抜け 山内崇弘
ねぢれたるちよろぎを噛める前歯かな 草間時彦
ヘヤピンを前歯でひらく雪降り出す 西東三鬼
まだ脱けぬ 前歯 ぐらぐら 除夜の鐘 伊丹三樹彦
よく笑ふ子の秋前歯が欠けてより 中村明子
ラグビーや前歯を欠きしまま笑ふ 荻野 操
一本の前歯がぬけて入学す 上野泰
仮装ダレスに前歯欠く主婦高笑い 飴山實 おりいぶ
花げしのふはつくやうな前歯哉 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
角砂糖前歯でかじる枯野の前 西東三鬼
笑ふ時の前歯がはえて来たは 尾崎放哉 小浜時代
笑み解けて寒紅つきし前歯かな 杉田久女
前歯で噛む聖餐のパン蝉声裡 田川飛旅子
前歯抜けお茶が素通り虫の秋 高田風人子
大根馬かなしき前歯見せにけり 川端茅舎
眺むとて前歯にしむや月の冴 尾崎紅葉
日本の麦を運びて透く前歯 桑原三郎 花表
乳のみ児に真珠の前歯桃咲けり 瀬戸清子
年若く前歯折りたる角力かな 正岡子規
梅が香や妻の前歯に齲の穴 日野草城
氷頭膾前歯応へて呉れにけり 草間時彦
風呂吹の熱さを計る前歯かな 佐々木真砂夫
無花果壊え落ち白面詐欺漢前歯なし 中村草田男
木ぎれ石くれ寒い前歯の二人見ゆ 栗林千津
陸の六月兎の前歯みごとなり 津沢マサ子

犬歯

犬歯見せ寒中水泳よりもどる 大石雄鬼
呼びあうて犬歯を見せぬ桜かな 攝津幸彦
汝が犬歯百年闌けて水芭蕉 豊口陽子

糸切り歯

きさらぎや人形にある糸切歯 藺草慶子
ほころび縫ってくれて、糸切歯 下山英太郎
夏ごろも仕上げてふかき糸切歯 渋谷道
海酸漿かんで商ふ糸切歯 金子扇踊子
吾子就学糸切歯にて糸を切る 伊藤敬子
糸切歯確かに白地縫ひ上ぐる 藤井照子
春愁や糸を切らざる糸切歯 八幡より子
針供養皓と使はぬ糸切り歯 百合山羽公
針祭る男にもある糸切歯 小野田 洋々
村の娘の由緒正しき糸切歯 穴井太 原郷樹林
朝涼を笑む島の娘の糸切歯 中村草田男
母の日や白糸を切る糸切歯 下鉢清子
縫初や亡き母に似る糸切歯 近藤一鴻
満開が暗しくらしと糸切歯 布施徳子
露のなか男嫌ひの糸切歯 鷹羽狩行
六月の乙女の白き糸切歯 今泉貞鳳
針供養皓と使はぬ絲切歯 百合山羽公 樂土

奥歯

ごまめ噛むこめかみ奥歯父にあり 熊谷愛子
ころの来て奥歯にものや子規 馬場存義
とどのつまり奥歯は抜かる夏の果 松村 遊
み吉野の奥歯に物や遅桜 西勝 選集「板東太郎」
駅でひと待つ奥歯のちからをそのまま 井内邦子
炎昼のこつんと己が奥歯なる 鎌倉佐弓
奥歯あり喉あり冬の陸奥の闇 高野ムツオ
何ものぞ奥歯にたまる小夜ぎぬた 荊口
魚跳ねて奥歯失ふ日のひかり 大森澄夫
削らるる奥歯の奥のペルシャ湾 窪田丈耳
耳へ来し奥歯の痛み青嵐 大野雑草子
春の水馬の奥歯に鳴りにけり 廣江八重櫻
春日や奥歯につぶす大あくび 雨宮抱星
田作りを奥歯で噛んで独り者 鈴木真砂女 紫木蓮
独活食うぶ奥歯の音の亡き母よ 古沢太穂
年の暮奥歯にあたれ貝の玉 此筋
墨足る筆 奥歯噛むにも 奥歯無く 伊丹三樹彦
霊まつり奥歯に物の淋しさよ 素丸 素丸発句集

臼歯

マンモスの臼歯のやうな岩に蝶 高澤良一 宿好
春の旅臼歯のようなプラットホ-ム 中島偉夫
昼のハム臼歯にからむ春の雷 角川源義
冬を緑の森まで弛みゆく臼歯 橋閒石 風景
冬景色奥山大臼歯の如く 川崎展宏
雹噛んで臼歯なほ在り故郷かな 三橋敏雄

鬼歯

豆たたく鬼歯の谺たのしめり 影島智子

八重歯

お月見の芒をかつぐ八重歯にて 川崎展宏
かんなぎは八重歯こぼしぬ梅の花 飴山實 花浴び
パン購ふは八重歯の少年朝桜 加藤水万
初春の八重歯隠さず笑まひけり 林原耒井 蜩
雪焼の笑みのこぼるる八重歯かな 有泉七種
他人の母の八重歯や木槿も若々し 草田男
独唱の少女八重歯や文化祭 那須淳男
巫女(かんなぎ)のひとりは八重歯菊日和 飯田龍太

乱杭歯

雲の峯灼け善人の乱杭歯 橋閒石 無刻

歯並

こま~と白き歯並や桜鯛 川端茅舎
こま~と白き歯並や櫻鯛 川端茅舎
雪を来て角巻おばこ歯並美し 皆川白陀
末子の襟巻小鼬受け口小歯並び 中村草田男
万緑下浄き歯並を見せて閉づ 橋本多佳子
瘤鯛見て笑った 歯並さみしい奴 伊丹三樹彦

味噌っ歯

ほころびて垣の連翹味噌っ歯めく 高澤良一 さざなみやつこ
桑の実や味噌つ歯の子にして雀斑 鷹羽狩行
林檎割る味噌っ歯風の吹く日かな 飯田龍太

義歯

けいちつや別々に寝る義歯と母 小原禎子 銀化
ねもごろに義歯をみがくや初手水 日野草城
義歯のさみしき三日月も寒に入る 飯田龍太
義歯もまたかなしきかなや小豆粥 古川芋蔓
義歯ゆるむばかり夕べの落葉焚 佐藤鬼房
義歯除ればまことのぢぢい福沸 阿波野青畝
義歯沈む春暁のコツプ死後のごと 田川飛旅子
極月の磯波に義歯抜きとられ 佐藤鬼房
玄海沿いの夢寐(むび)に 木の義歯 石の錨 伊丹三樹彦
春風や噛むべくもなく義歯確に 三橋敏雄
氷飲みて義歯黄金(いればこがね)のつめたさなる 大野林火 青水輪 昭和二十四年
六月の義歯の隙間の波殺し 佐藤鬼房
鮟鱇の口して義歯の型とらる 田川飛旅子 『山法師』

入れ歯

きりぎりす入れ歯はずして両親は 坪内稔典
口中に入れ歯遊ばす燕来と 田川飛旅子

虫歯

こがらしやそげし虫歯を掌にのせて 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
マドンナの虫歯をのぞく松の内 星野石雀
わけもなや虫歯のおこる秋の暮 加舎白雄
極月の虫歯の深く奥へかな 如月 真菜
鶏合虫歯のはれを抑えつゝ 野村喜舟 小石川
青葉闇ネロも病みたる虫歯病む 鈴木公二
前厄の虫歯三寒四温かな 橋本白木
抱籠を抱いて虫歯に泣く夜かな 正岡子規
寐入かね虫歯に響くきぬたかな 凉菟
椽端や虫歯抱へて夏の月 夏の月 正岡子規
筍に虫歯痛みて暮の春 春の暮 正岡子規
蜩が一つ虫歯に灯を入れぬ 小檜山繁子

金歯

ひとわらふ金歯ひかるはさびしきかな 片山桃史 北方兵團
干飯噛む錆びし昭和の金歯かな 五島エミ
金歯入れ帰る急坂風死せり 赤尾兜子 玄玄
狛犬の金歯赫々木下闇 河野静雲 閻魔
祭酒海女の金歯の唇ゆるび 冨田みのる
総金歯の美少女のごとき春夕焼 高山れおな
百姓の金歯光るや秋の暮 猿橋統流子
裸の胸へ喫ひ込む煙草金歯光り 中村草田男

歯茎

すりこ木のやうな歯茎も花の春 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
歯茎かゆく乳首かむ子や花曇 杉田久女
歯茎の夜へ羽ばたいて行った悪魔の顔 仲上隆夫
歯茎まで見せて笑ひぬ冷やし馬 加藤かけい
歯茎見せ笑ふ一望の寒き田園 右城暮石 句集外 昭和三十三年
秋の夜の歯茎もくろし耶蘇教徒 岩田昌寿 地の塩
秋竃歯茎桃色茫として 赤尾兜子 歳華集
秋風に見す雑言の歯茎かな 安斎櫻[カイ]子
数の子に老の歯茎を鳴らしけり
馬の子の歯茎桃色胡桃見て 加藤秋邨


以上




by 575fudemakase | 2019-05-10 02:16 | 無季


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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