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料理2 の俳句

料理2 の俳句

羹 吸い物 澄まし汁 お汁 お付け 味噌汁 赤出し 鯉濃 水団 粕汁 納豆汁 薩摩汁 巻繊汁
肉汁 豚汁 三平汁 スープ コンソメ ポタージュ 参鶏湯 トムヤンクン ブイヤベース ボルシチ
シチュー ロールキャベツ ポトフ ポワレ 煮物 煮付け 煮染め 旨煮 煮込み 煮転がし 煮浸し 煮凝り
角煮 兜煮 煮魚 筑前煮 従兄弟煮 肉ジャガ 酢豚 八宝菜 甘露煮 佃煮 時雨煮 金平牛蒡 きんぴら
伽羅蕗 煮豆 黒豆 金団 鍋物 河豚ちり 鉄ちり ちゃんこ鍋 水炊き しゃぶしゃぶ 切りたんぽ チゲ
フォンデュ 鉄板焼き 炉端焼き バーベキュー 鴫焼き ステーキ ビフテキ ハンバーグ ローストビーフ
ソテー ムニエル グラタン 燻製 スモーク 付け焼き 照り焼き 蒲焼き 焼き肉 プルコギ 焼き魚 野菜炒め
天麩羅 精進揚げ 搔き揚げ 天滓 唐揚げ 竜田揚げ フライ カツレツ 豚カツ 串カツ メンチカツ 串揚げ
コロッケ ミートボール 肉団子 酒蒸し 土瓶蒸し 茶碗蒸し 生卵 茹で卵 卵焼き 出し巻き 目玉焼き ハムエッグ
炒り卵 オムレツ 卵綴じ 伊達巻き 豆腐 冷や奴 油揚げ 厚揚げ 生揚げ 雁擬き 豆乳 湯葉 お殻 おから 麩
刺身 お造り 姿造り 馬刺 締め鯖 〆鯖 塩辛 和え物 白和え サラダ 酢の物 膾 酢蛸 マリネ 南蛮漬け 餡掛け 山掛け
漬物 お新香 香の物 一夜漬け 浅漬け 古漬け 沢庵 糠漬け 塩漬け 味噌漬け 奈良漬け べったら漬け 福神漬け
梅肉 紅生姜 搾菜 麵麻 支那竹 キムチ ピクルス 焼き海苔 大根卸し 紅葉卸し


吸い物
味噌汁
粕汁
納豆汁
豚汁
スープ
煮付
煮凝
甘露煮
佃煮
伽羅蕗
鴫焼
ステーキ
天麩羅
目玉焼
豆腐の俳句
冷奴
油揚
湯葉
刺身
膾の俳句
漬物
古漬
沢庵




ねぱーるの羹にかなたはじまる 阿部完市 軽のやまめ
月光に食し羊羹と仁羹と 岡井省二 鯛の鯛
御羹なりて青山椒をつむや貴妃 尾崎紅葉
口拭ふ梟の羹旨かつし 松瀬青々
初暦蓴羹鱸膾いつの日ぞ 高野素十
清羹に菜の花黄なる二月かな 富安風生
淡雪羹怒りうするをさびしめり 吉川与音 『琴柱』
法のため筍羹皿もかたミかな 其角
門礼の鯉の羹喰たやれ 〔ボク〕言
笋羹の嵯峨なつかしや一連中 浪化

澄まし汁

春浅し花麩のひらく澄まし汁 渡辺富栄

赤出し

留椀の赤出し仕立て鱧の皮 二神節子 『砥部』

鯉濃

鯉濃の鯉買ひ戻る土用あい 尾亀清四郎「飛天」
鯉濃の脂のもゆる雪下ろし 阿部真千雄
鯉濃も鯉の筒煮も佐久の春 大橋敦子

水団

水団の戦後生まれを自認せり 高澤良一 宿好
水団腹毎日あれから五十年 高澤良一 宿好
朧夜のわれら水団家族なり 佐藤鬼房

薩摩汁

火の島の坐る深闇薩摩汁 大岳水一路
学食に熱きメニユーや薩摩汁 山之内赫子
薩摩汁あつし五橋を渡り来て 都倉田禾
塾の子に温め直す薩摩汁 寺岡捷子
城山が見えて小部屋の薩摩汁 川村哲夫
南国忌厨に匂ふ薩摩汁 土田澪子

巻繊汁

鳥雲に巻繊汁に湯葉入れて 岡井省二 鹿野

三平汁

オホツクの海の荒れをる三平汁 星紫陽子
きのふより今日沖晴れて三平汁 斎藤俊吉
海峡を望みてすする三平汁 源 鬼彦
石狩の風吹きこぼす三平汁 竹下雨石
鼻曲り鮭の鼻これ三平汁 飯塚野外
貌のなき白き目玉や三平汁 高田熊星

ポタージュ

ポタージュの厚みを唇に黄落期 桂信子 草影
ポタージュの匂ひに蜂来カフェテラス 高澤良一 燕音
唐黍もらふやよ欧風のポタージユに 山口青邨
北壁やポタージュ濃ゆく胸に熱し 田口満代子

参鶏湯

温突や参鶏湯食む扶余の夜 朱 月英

ボルシチ ブイヤベース

ボルシチの人参煮ゆる頃灯す 椎名智恵子
ボルシチ煮るシベリア颪吹く街に 渡辺千代子
春の鳶が覗きしブイヤベースかな 岸田稚魚

煮物

しぐるゝや煮物に入るゝ燗ざまし 鈴木真砂女
どんぶりで届きし煮物良寛忌 春川暖慕
むさし野や煮物あれこれして飾れや 阿部完市 純白諸事
一鍋は南瓜の煮物妻旅へ 佐藤房雄
雨厨盆の煮物の鍋ぐらぐら 高澤良一 素抱
山椒の芽母に煮物の季節来る 古賀まり子
秋しぐれ煮物しづかに音立てる 三谷いちろ
朝寒や蓋も硝子の煮物鍋 鷹羽狩行
梅雨に入るすなはち煮物辛口に 鈴木真砂女 夏帯

煮染

やはらかくなりし日ざしや煮染芋 綾部仁喜 寒木
伽羅蕗の煮染まる鍋や夕日影 滝川愚仏
過ぎぬればただの愁嘆煮染芋 大石悦子 百花
月まつる志野八寸に煮染芋 伊達大門
卓袱(しつぽく)や小皿に分けて煮染芋 照子
誕生日大皿に盛る煮染芋 西形佐太郎 『てんご』
夫見舞ふ手籠の隙に煮染芋 石田あき子
虔しき酒のはじめや煮染芋 石田波郷

煮込

とろとろと煮込スープを阪神忌 森田かりん
晩成もならざる煮込おでんかな 小野博子

煮転ばし

乾瓢を煮〆て煮転ばして春隣り 内田百間 定本内田百間句集

角煮

仰臥せり鰹の角煮舌に載せ 水原秋櫻子 蘆雁以後

兜煮

兜煮に残る目玉や義仲忌 うだつ麗子
兜煮のまなこに箸や桜どき 中村祐子
兜煮の眼玉が睨む寒九かな 吉田トヨ
兜煮の眼窩吸ひたるしぐれかな 正木ゆう子
兜煮の眼窩大きく法然忌 片山由美子
兜煮の目玉つつけば時雨れけり 金子青銅
兜煮の目玉をしやぶり信長忌 山崎房子
兜煮の目玉を食へば鷹わたる 市村究一郎
春宵や兜煮まなこ見開きて 古賀まり子

煮魚

煮魚の胡乱な眼して年逝かす 高澤良一 随笑
煮魚の酒を多めに後の雛 茨木和生
煮魚の目玉ほろりと夜の秋 名取文子
煮魚の目玉丸呑み暑気払ひ 西野敦子
煮魚の夕餉どの家冬隣 高澤良一 素抱

筑前煮

太古より人淋しくて筑前煮 攝津幸彦 鹿々集

酢豚

夏バテの我が身思へば酢豚など 高澤良一 寒暑
酢豚酸し正月料理に慣れし口 高澤良一 暮津

八宝菜

八宝菜天高くわれ少し肥ゆ 佐藤鬼房

きんぴらごぼう

きんぴらの歯応へ寒に入りにけり 橋本榮治 麦生
きんぴらを日向に食べて煤払 上澤樹實人
ヘコアユのきんぴらごぼうめくが揺れ 高澤良一 ぱらりとせ
根三つ葉の根のきんぴらや春障子 永井東門居
饅頭に入るきんぴらや春祝ふ 中原道夫

煮豆

黒煮豆芯まで冷えてゐたりけり 高澤良一 暮津
煮豆屋も墓地も町内燕来る 岡本 眸

黒豆

火に仕え母黒豆を黒く煮る 桂 信子
月待ちて丹波黒豆炒りにけり 吉本伊智朗
黒豆が箸から逃げる年越す夜 三浦ふみ
黒豆と小豆買ひたり春の旅(丹波) 細見綾子
黒豆のやうな瞳をして初笑 近森あき子
黒豆の稲架に霧湧く丹波なる 松崎鉄之介
黒豆の甘納豆や桃の花 長谷川櫂 蓬莱
黒豆の煮つまってきし牡丹雪 井口ひふみ
黒豆の煮ゆるくろさや冬の暮 小林羅衣
黒豆は黒汁びたり初明り 山本紫黄
黒豆を煮つめる火音・雪解音 能村登四郎
黒豆を煮んか粉雪が降つてゐる 細見綾子
黒豆石の如しふた物 尾崎放哉 小豆島時代
終弘法丹波黒豆値切りけり 草間時彦
松過ぎの黒豆を煮る鉄の鍋 草間時彦
正念を入れて黒豆煮むと思ふ 飯島晴子
丹波黒豆目下砂糖のしみつつあり 池田澄子 たましいの話
冬深む丹波黒豆煮れば風 西嶋あさ子
父母の亡き世に黒豆の甘く煮え 三好潤子
母つくりし丹波黒豆喰積に 杉本寛
露けさの丹波黒豆「どうどやす」 高澤良一 宿好

金団

流し眼は隣りの皿の栗金団 川崎展宏

鍋物

献立より消す鍋物や鳥帰る 鈴木真砂女
深谷葱着きぬ鍋物何々ぞ 水原秋櫻子
断られたりお一人の鍋物は 岩下四十雀
鍋物が続き北吹く日が続く 浜崎芙美子
鍋物によろしき小部屋年忘 森田 峠
鍋物に火のまはり来し時雨かな 鈴木真砂女
鍋物に焦げつく葱や獺祭忌 石川桂郎 四温
鍋物はおらが在所の茸攻め 高澤良一 燕音

河豚ちり

とんぼりや小上り混みし河豚ちり屋 樋口進二

ちやんこ鍋

ちやんこ鍋かこむ駒形茂兵衛級 瀧 春一
ちやんこ鍋菊菜の嵩を問はれゐて 岸 明子
菜の山取皿の山ちやんこ鍋 鷹羽狩行

しゃぶしゃぶ

しやぶしやぶと手をうごかして紙漉ける 阿波野青畝
しゃぶしゃぶと肉を揺らして神の留守 山田靖子
しやぶしやぶと肉を揺らして神の留守 山田靖子
しやぶしやぶにあたたまりつつ年忘 阿波野青畝
しゃぶしゃぶも神の手振りも日本橋 佐藤榮市

切りたんぽ

皓歯酔ひ切りたんぽ鍋煮つまるよ 佐藤鬼房

ビフテキ

花の宿ビフテキの血に皿汚す 関森勝夫
糞のごとひかるビフテキ アメリカ映画 島津 亮
暮れなづむ夏至ビフテキの血を流す 松崎鉄之介

ソテー

トナカイのソテー白夜の地下酒場 松本澄江

グラタン

グラタンの熟しと食ぶる冬至かな 阿波野青畝
グラタンの焦げ色四温子の家かな 伊藤京子
運ばれて熱きグラタン夏料理 稲畑汀子
焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き 俵万智
舌を焼く海老のグラタン巴里祭 村山古郷
夫帰り牡蛎グラタンの煮え滾る 横田昌子
餅間のグラタン舌を汚しけり 百合山羽公 樂土以後
立冬のグラタンにある海老三つ 西村延子

燻製

燻製にたそがれを知る貌ばかり 橋閒石
燻製の山椒魚は暴れたか 小島健 木の実
燻製魚店 昏れだす 入江よりはやく 伊丹公子
燻製魚店昏れだす 入江よりはやく 伊丹公子 陶器の天使

付焼

寒き日の酒や上戸の付焼刃 長虹
降る雪や岬に買ひし藻付焼 八牧美喜子

蒲焼

わが前の蒲焼の値を妻言はず 日野草城
丑の日の輸入蒲焼患者食 大輪昌
牡丹詠む我に蒲焼匂ひけり 阿波野青畝
蒲焼に呪文のごとく山椒かけ 高澤良一 石鏡
蒲焼の串の焦げめや西鶴忌 龍岡晋
蒲焼の土用も過ぎて帰りけり 正岡子規 土用
蒲焼はあなごなりしよ寒土用 亭午 星野麥丘人
蒲焼や身を持ち崩す幾串ぞ 中原道夫
蒲焼をするらし早も堪へがたし 日野草城
蒲焼を噛んでとろけて日短かき 日野草城
細雪客は蒲焼好みけり 村山古郷
全館冷房紙の薄さの蒲焼に 沢木欣一
太祇忌や秋の湖辺の蒲焼屋 飯田蛇笏
太祇忌や秋の湖邊の蒲焼屋 飯田蛇笏
匂ひ立つ蒲焼よわが前にのみ 日野草城
病みぬれば蒲焼を喰ふ奢かな 日野草城

焼肉

一枚の焼肉何の枯葉ぞや 山口青邨
支那街に揺るる焼肉西東忌 秋元不死男
焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き 俵万智
焼肉にうすみどりなるパセリかな 飯田蛇笏 山響集
焼肉のたれの混ぜ物めく残暑 島田牙城
焼肉の煙に靡かす 持参英旗 伊丹三樹彦
焼肉の息吐きに出て枯れ港 高井北杜
焼肉を麺麭を地に売る駅寒き 山口誓子

精進揚

昼めしの精進揚や冬隣 川上梨屋

掻揚

行く春を掻揚にして惜しみける 長谷川櫂 虚空

唐揚

亭主留守銀の太刀魚唐揚に 吉田ルツ

フライ カツレツ

ごきぶりの真闇に遊ぶフライ鍋 伊丹三樹彦
フライ返しで子を裏返す宵えびす 豊口陽子
レモン添え外食めきぬ牡蠣フライ 高澤良一 寒暑
鮎さまざまフライの鮎は眉目かくれて 中村草田男
牡蠣フライひとの別れに隣りたる 加藤秋邨
牡蠣フライ喰つて爆心地に一泊 相原左義長
牡蠣フライ食べ十二月八日かな 石川文子
牡蠣剥女など思はずよフライ食ふ 石塚友二 玉縄抄
屑籠をあふれ落つ反故牡蠣フライ永田耕衣
公魚のフライからりと光る湖 松本光司
大ひでりカツレツのころもの硬き 日野草城
蠣半荷フライにすべく酢にすべく 鈴木苔花

串カツ

串カツの匂ふ地下への階擦り減る 伊丹三樹彦

コロッケ

コロッケに藷のかたまり夜学果つ 辻桃子
コロッケもカツも同色冬ぬくし 常盤芙美男
原爆の日やコロッケの俵形 宮島晴子
神戸コロツケ買ふ列に佇ち日短 鈴木真砂女 都鳥
数え日の昼は手抜きのコロッケに 高澤良一 石鏡
揚げコロッケ油噴きゐる秋日和 高澤良一 素抱
揚げたてのコロッケを喰ふ漱石忌 平野無石

酒蒸し 土瓶蒸し 茶碗蒸し

花どきの心利きたる茶碗蒸 波多野爽波
荒海のすでに暮れたり土瓶蒸 高須禎子
笹鳴の曇りて昏れぬ土瓶蒸 岡井省二 鹿野
山風に熱ッ熱ッなりし土瓶蒸 阿波野青畝
酒蒸しの浅蜊口開く夜寒かな 鈴木真砂女
初しぐれ茶碗蒸などいただきて 星野麥丘人
初時雨茶碗蒸などいただきて 寒食 星野麥丘人
初冬や妻の遊びの茶碗蒸 草間時彦
初萩の夜風となりし茶碗蒸 雨滴集 星野麥丘人
松蕈や京の下宿の土瓶蒸 松茸 正岡子規
大寒やしづかにけむる茶碗蒸 日野草城
猪垣のとつぷり暮れし土瓶蒸 森 澄雄
土瓶蒸客も刷毛目を好みけり 水原秋櫻子 餘生
土瓶蒸固形燃料真つ平 加賀雪絵
土瓶蒸切字のけりに徹しけり 亭午 星野麥丘人
土瓶蒸晩成もまた難きかな 藤田湘子 神楽
二次会の女ばかりの土瓶蒸 燕雀 星野麥丘人
盃にとくとく鳴りて土瓶蒸 阿波野青畝
蛤の酒蒸しに死を誘はる 磯貝碧蹄館
蛤の酒蒸し夫の誕生日 仲田志げ子 『埋火』
不景気を真砂女が言ひぬ土瓶蒸 鈴木鷹夫 風の祭
舞茸が花とひろごり土瓶蒸 恩智景子
緑玉の阿波のすだちや土瓶蒸 阿波野青畝
隣室によき女ごゑ土瓶蒸 森澄雄

生卵

あたたかや献血終えて生卵 三上忠英
へたる夏何かと云へば生卵 高澤良一 暮津
春一番吹きいる朝覚めきらぬ體の部分が生卵を飲む 今井恵子
生卵供へて神や夏落葉 岩田由美 夏安
生卵三つを呑んで千葉笑 市川翠峯
生卵籠ごと冷やし滝行場 西村弘子
日に一度朝来て春の生卵 鈴木鷹夫 風の祭

茹卵

寒さゆるむ城公園の茹で卵 右城暮石 句集外 昭和三十七年
岩角で割る遠足の茹で卵 山崎ひさを
枯野電車に茹で卵むく中学生 飴山實 『おりいぶ』
麦秋や会ふたび食ぶ茹卵 中西夕紀
幼年が 濃密にある 茹卵 伊丹公子
立春大吉音立てている茹卵 森田智子
茹で卵ころがしに行く紅葉山 鴻巣又四郎
茹卵 一盛り積みこむ 枯葦駅 伊丹公子 陶器の天使
茹卵むく石塔の裏を占め 橋閒石 無刻
茹卵一つ夜食に温存す 上田五千石『琥珀』補遺

卵焼

かの子忌やたんぽぽ色に卵焼 渡辺峰山
寒風に売る金色の卵焼 大木あまり
行春のわが家の色の卵焼 小川軽舟
傘雨忌や湯気立つ厚き卵焼く 宮崎良徳
秋風や卵焼でも出来んか喃(のう) 永田耕衣
杉折ににじむ春の日卵焼 長谷川櫂
生身魂達者なものよ卵焼く 高澤良一 暮津
北窓を塞ぎて尾瀬の卵焼 斎藤夏風
卵焼いてひと日始まる文化の日 大石悦子 群萌
卵焼く匂ひふはふは朝寝覚む 岸間光女

ハムエッグ

カフェグレコ成人の日のハムエッグ 亭午 星野麥丘人
剃りたての顔が寒さうハムエッグ ふけとしこ 鎌の刃

炒り卵

さんしゅゆの炒り卵咲き朝の日に 高澤良一 随笑
炒り卵食べて紅葉の山へかな 正木ゆう子 悠

オムレツ

オムレツが上手に焼けて落葉かな 草間時彦
オムレツにケチャップかける冬の昼 皆吉司
オムレツのふんはりできて小鳥来る 稲生 正子
オムレツのやうな薄黄に新樹山 高澤良一 素抱
オムレツの皿の白さよ苗代寒 冨永 冨
オムレツはひよこ色して春の昼 竹村幸子
ふはふはの大きオムレツ冬の雨 田中祥子
月のようなオムレツ出さる鶴帰り 大橋嶺夫
秋霞よりオムレツに眼を移す 川崎展宏
初夏の大きくてさびしいオムレツつくる 飯島晴子
入梅を告ぐオムレツの黄なる朝 山田弘子 螢川


伊達巻

伊達巻の朱のさえざえと火を埋む 日野草城
伊達巻の胴のすらりと蚊帳を吊る 日野草城

おから

おからなど食べ茶の花の咲く日かな 藤田湘子
さくら咲き河馬がおからを食べてをる 岡井省二 鯨と犀
さらさらと真砂女のおから小晦日 能村登四郎
夏深し熱きを啜る豆腐殻(おから)汁 日野草城
鯨尺おからで磨き針祭る 秋山美知子
祭来るおから自慢の晩菜屋 橋本榮治 逆旅
手の平におから煮を受く春祭 池田澄子
銭亀におからなど撒き夜店人 宮下のりを
豆腐屋のおから濛々年の暮 須原和男
忘年のおひようおからと啖ひける 岡井省二 鯨と犀
蓮如忌や御斎の膳のおから汁 紺村雪子

馬刺

この国の馬刺の生姜きびしけれ 阿波野青畝
しろしろと馬刺啖うて年の内 諸角せつ子
ひんやりと馬刺や伊那の夏はじめ 安藤衛門「田神」
一陽来復信濃に馬刺食うべかり 北見さとる
高遠や馬刺商ふ花見茶屋 今越みち子
生姜もてころす馬刺や夕しぐれ 中尾杏子
東京に出て馬刺食ふ花の雨 佐藤鬼房
如月の闇荒びたる馬刺かな 斎藤梅子
馬刺うまか肥後焼酎の冷うまか 鷹羽狩行
馬刺しを喰ふ山国の朝曇り 吉田鴻司
馬刺するりと春はおんなの喉仏 藤岡筑邨
馬刺とろりみんなの眼玉枯れのいろ 諸角せつ子
馬刺は冷たき食いもの漆黒の活火山 野田信章
馬刺を食へばかげろふ信濃かな 小島健 木の実
馬刺喰ひ*えびずるの実にささやかる 宮坂静生 樹下
馬刺食ひ夜の風花を連れ歩く 奈良文夫
馬刺食ふ木曾の真闇や秋近し 有馬朗人
馬刺食ふ木曽の真闇や秋近し 有馬朗人
馬刺食ぶ旅とはなりぬ崩れ簗 阿波野青畝
肥の国の馬刺に暑気を払ひけり 松永青山
避暑の客馬刺食べさせられにけり 阿波野青畝
冷酒に馬刺や杣の口重し 三浦妃代 『花野に佇つ』

締め鯖

締め鯖の夜も青々と祭来る 橋本榮治 越在

塩辛

塩辛にひしほに春の来にし夜ぞ 臼田亜郞 定本亜浪句集
塩辛に一壺の酒や鹿の秋 飯田蛇笏 山廬集
塩辛の塩したたかに酒涼し 上田五千石『風景』補遺
塩辛の旨く出来た日春の霜 竹田 都
書棚に塩辛壺や冬篭 高井几董

サラダ

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智
カルキ匂わせジヨークのような朝のサラダ 安西篤
サラダふた皿 同齢女流書家とです 伊丹公子
サラダ菜の青白をはりはりと噛む 日野草城
サラダ皿盛り 明治の時計は換えたと 母 伊丹三樹彦
サラダ食む落葉の地下と思ひをり 鳥居おさむ
サラダ油に日暮のひかり菜種梅雨 廣瀬町子
サラダ油濫費の少女らを鷺癒えて翔つ 橋閒石
たんぽぽのサラダの話野の話 高野素十
ベゴニアの花がサラダに巴里祭 いさ桜子
夏野菜みな細切りにしてサラダ 高木 晴子
花よりもサラダを燦と聖夜餐 鷹羽狩行
郭公やサラダのやうな朝がくる 喜納とし子
牛蒡サラダに軽井沢風コッペパン 高澤良一 燕音
空豆のサラダに今日は始まりぬ 石川裕子
合格の子さりさりとサラダ食む 高田よし子
菜畑はまるごとサラダ朝の蝶 吉原文音
三月やサラダに散らすアーモンド 高橋悦男
七草の一つ加へてサラダ盛る 斉藤静枝
手づくりの胡瓜夕餉のサラダかな 麻生 良昭
週末のサラダはみどり春の雪 阿久澤博幸
松過ぎてサラダ色めく夕餉膳 初川トミ子
心から牛蒡サラダや独活サラダ 山田みづえ
世にふるも皿にサラダを盛りあげる 村井和一
生身魂野菜サラダに目の無くて 高澤良一 暮津
冬のサラダ盛つて絵皿の鳥隠す 鈴木鷹夫 渚通り
背後からピカソの片目サラダ盛る 橋本純子
柊がサラダにありし聖夜餐 山口誓子
野菜サラダけっこう場所をとる朝だ 前田弘
野菜サラダを盛り上げてゆく平和主義 森須 蘭
夕霞サラダを街に買ひに出て 依光正樹

酢の物

酢の物に厭き薄氷を踏みわたる 間石
酢の物の酢を飲み干せり鴎外忌 藤崎実「環流」
諍ひのあとの酢の物麦の秋 坂本泰介

酢蛸

波音にむせび酢蛸に咽びける 安達実生子


香の物

芋煮会差し入れありぬ香の物 高澤良一 随笑
雨はみぞれに霙はゆきに香の物 池田澄子 たましいの話
種子包む家には古き香の物 野坡
酉の市はづれて買ひぬ香の物 池田充子

一夜漬

夏大根ぴりゝと親し一夜漬 菊地トメ子

浅漬

嫁の座や浅漬の味ほろにがし 渡辺七三郎
歯にしみて浅漬さむし草まくら 舎羅
寸厚き浅漬を食ふ奢りかな 久米三汀
浅漬にかすかにありし包丁目 能村登四郎
浅漬にかなりかすかに脳軟化 志波響太郎
浅漬に笠を脱けり雪の宿 其角
浅漬に老の耳奥ひびきけり 村上信子
浅漬のどこかが辛し雨つのる 古田紀一
浅漬の瓜の青白噛むひびき 日野草城
浅漬の瓜断つ音や夏の靄 日野草城
浅漬の茄子を称へて戦中派 井坂景秋
浅漬の寒き匂ひや小豆粥 故流
浅漬の歯に透通る男かな 蓼太
浅漬の重石になくやみそさゞゐ 吾仲
浅漬の辛さそのまま選評に 中原道夫
浅漬の大根洗ふ月夜哉 俊似
浅漬の茶飯よろこぶ老医かな 吉田孤羊
浅漬の贅一本を切る夕餉 坊城中子
浅漬やあさき夢なるうつせごと 能村登四郎
浅漬や糠手にあげる額髪 村上鬼城
浅漬や糠手にはさむ額髪 村上鬼城
浅漬や今年の出来の妻の味 高野玉風
浅漬や人は流れに逆らはず 山田弘子 懐
浅漬や人清福に住まひゐし 三浦俊
浅漬や厨に月の影しろし 勝田千以
浅漬や雪膚碧眼の子の日本語 日野草城
浅漬や八町掘の汐かくれ 調兼 富士石
浅漬や飯を控ふる病にて 川畑火川
浅漬を噛みその音に酔ひゐたり 能村登四郎
浅漬を噛み贋の歯の贋の音 能村登四郎
浅漬を噛む音父に似てきしや 福島壺春
浅漬を堅田にもらふ月のもと 岡井省二 五劫集
浅漬を提げて渋谷の夕月夜 久米三汀
男手の浅漬の菜の大盛りに 高橋悦男
末法の世の浅漬のあまかりし 能村登四郎
齢もとる筈よ浅漬噛み鳴らし 高澤良一 暮津

糠漬

糠漬の茄子紫に明け易き 茄子 正岡子規
糠漬の床盛りあがる暑さかな 高橋悦子

塩漬

つくばねの実の塩漬や酒ほしし 石川桂郎
塩漬の衝羽根飾る山料理 柴原保佳
塩漬の梅実いよいよ青かりき 飯田蛇笏
塩漬魚 ただよう厨 月満ちて 伊丹公子 パースの秋
芥子漬に塩漬に茄子生るは~ 高浜虚子
暑さ静かに塩漬の梅日々に干す 細見綾子 桃は八重

味噌漬

初商女坂下味噌漬屋 高澤良一 暮津
味噌漬のぐぢが食べごろ春星忌 草間時彦
味噌漬の鮭の赤き身小正月 菅原多つを

奈良漬

高校女生徒奈良漬に酔ひ寺紅葉 中村草田男
人日の灯の明るくて奈良漬屋 吉田成子
水無月や奈良漬つける糟の酔 許六
奈良漬に酔ひしや燈下親しむに 佐藤鬼房
奈良漬ノ秋ヲ忘レヌ誠カナ 秋 正岡子規
奈良漬をならべて奈良の春祭 大野紫陽
霧雨に奈良漬食ふも別れかな 小宮豊隆

べったら漬

べつたら漬たのみで飯もよく炊けぬ 水原秋櫻子 緑雲
べつたら漬ばりばり噛んで誕生日 林萬壽美
べつたら漬下戸の父今どのあたり 鈴木智子
べったら漬色白女将の腕ほど 高澤良一 燕音
べつたら漬買ひて匂ひのつきまとふ 梅田男
茨木の腕の重さべったら漬提げ 成瀬桜桃子
市初日べったら漬の値踏みせり 高澤良一 燕音
人の出やべつたら漬のほか提げず 山崎ひさを
提げ重るべつたら漬の夜空かな 能村登四郎

福神漬

なんとなく松過ぎ福神漬甘き 岡本 眸
一茶忌の福神漬を噛み鳴らし 高澤良一 随笑
着膨れて福神漬を零しけり 高澤良一 石鏡
八朔や樽の福神漬の尽き 鷹羽狩行
夜業終へ福神漬の赤々と 山口昭男
葉桜や福神漬はさみしかり 宮坂静生 春の鹿

紅生姜

さびしきは冷し中華の紅生姜 望月秀子
割箸に紅生姜あと生身魂 鷹羽狩行
紅生姜紅が飯染む朝ぐもり 能村登四郎
今日生きて明日は明日紅生姜 岡本眸
小世帯相手店明し目刺・紅生姜 中村草田男
染付の皿鮎鮓の紅生姜 河野 伸子
大念仏飯に染みたる紅生姜 小島千架子
大念佛飯に染みたる紅生姜 小島千架子
熱飯に紅生姜夏百日来 森 澄雄

搾菜(ザーサイ)

長江の搾菜(ザーサイ)干場陽炎へり 松崎鉄之介

キムチ

キムチ辛しうすばかげろふ灯を取りに 山田弘子 懐
キムチ漬ける沙也可の裔の手元涼し 上原瑞子 『燈台草』
韓国産キムチ供へし初閻魔 中村抜刀子
啓蟄や道にはみ出すキムチ甕 渡辺 立男
絹ごしの豆腐にキムチ暑気払い 岡本京子(アカシヤ)
高麗五月キムチのほてり口中に 平井さち子 紅き栞
唐辛子干しキムチ甕並べ立て 上村占魚
年の夜のキムチのにほふ警備室 和田幸八

焼海苔

ある朝の焼海苔にあるうらおもて 小沢信男

ピクルス

ジャムに封ピクルスに封夏終る 三宅絹子



以上



by 575fudemakase | 2019-06-03 17:29 | 無季


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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