拙句 秋 (高澤良一)
拙句 秋 (高澤良一)
「花霞」蔵店秋暑の樽積み上げ 石鏡
あかがねの雨樋秋の蓬春邸 素抱
あっさりとけふを送れり秋の蝉 石鏡
あやす嬰は地蔵の重さ秋の暮 素抱
あららぎの泰然栃の自若の秋 寒暑
いきさつはどうでもよけれ秋の風 寒暑
いきり立つ秋の蜂見て眼が荒れる 寒暑
いっぽんの木に群る秋暑の雀かな 寒暑
うきうきとしてランタナは秋の花 暮津
エゾオヤマリンドウ秋を告ぐ峠 寒暑
エッセイのとば口に佇つ夜の秋 鳩信
エレベーターガール長身モードの秋 燕音
おおぞらの端より貌出す秋の雲 暮津
おのづから秋となりぬる爪楊枝 素抱
お供物に両手塞がる秋彼岸 暮津
お国訛り飛び交ふ秋の自炊棟 寒暑
カーテンをふくらます風夜の秋 寒暑
かうゆう日がありて日毎に近む秋 寒暑
カナディアン・ロッキーの秋見に来たり ぱらりとせ
からからに乾く桶提げ秋彼岸 暮津
からくり奉納注ぐ秋日に手をかざし 素抱
カルテの横秋の心臓模型かな さざなみやつこ
きゅっと鳴る紅茶の砂糖秋の昼 宿好
ぎらぎらと日差すなかにも秋意かな 素抱
ぐい呑みを買ひ足すこともまた秋意 石鏡
くたくたになるまで遊ぶ秋の暮 石鏡
ぐづぐづの桜の幹に秋黴雨 さざなみやつこ
くわりんの実なりし秋光集むるは 燕音
くわりん五つばかり秋日の泰けさに 随笑
こだはりのするりと解けて秋の風 寒暑
この道の先知らざりし秋の空 暮津
こんな日はひとりがよろし秋初風 暮津
コンビニの老人向けに売る秋果 石鏡
さう思ふことのたびたび秋の風 寒暑
さきに寐し秋夜の妻の後向き 石鏡
さすり出す赤子のおくび秋日和 素抱
さみどりに秋をさそひて長ける草 暮津
シーツ取り替えて秋めく寝床かな 暮津
シナノザサ秋水音もなく流る 素抱
せいぜい知る秋草の名を独りごち 石鏡
セザンヌの裸体習作深む秋 燕音
そこそこの句が出来秋のたんぼ道 暮津
ソックスが先づ欲しくなる秋小寒 石鏡
その殻も薄手に秋のかたつむり 石鏡
その生活(たつき)手に取るやうに秋燈 素抱
それとなく秋は来にけりポタァジュに 随笑
それらしき日差しとなりぬ秋簾 素抱
たそがれ谷マッドポットの秋の声 寒暑
たまらむと牛も首振る秋の蝿 石鏡
つんつんとへなりと野辺の秋草は 石鏡
トカトンと秋も始めの家造り 素抱
トピアリー秋のイルカのジャンピング 素抱
トランプのジャック振向く夜の秋 ぱらりとせ
とりすます陶器のポット秋日差 燕音
とりとめなく秋の日注ぐ草っ原 石鏡
なによりと妻をねぎらふ秋扇 寒暑
なほ翔びて縋るものなき秋の蝉 寒暑
ハトバスの明るく秋の人運ぶ 素抱
ぱりぱりと寝しなに聞ける秋の雷 暮津
ピザの秋アイダホスペシャル平らげて 宿好
ひっひっと聞こえて遠(をち)の秋の蝉 宿好
ぶらさがり止まりが好きで秋の蝶 石鏡
ぺしゃんことなりし秋の蚊塵と捨つ 寒暑
ぺらぺらの着慣れしパジャマ夜の秋 暮津
ほうほうと馬遠の作画秋翳り 宿好
ぽつと出の社員に新宿秋夕焼 さざなみやつこ
ホテルニューグランド前飛ぶ秋つばめ 寒暑
めっきり秋らしくなる日をピザ焼く香 石鏡
もういいかいもういいよとて秋の暮 暮津
もう了る花と秋待ちゐたる花 暮津
ヤブニッケイ一樹自尊の秋立てり 鳩信
ユーカリにつれなく落つる秋日とも 石鏡
ライターの炎に煽らるる貌秋暑 暮津
ランチタイムは秋のシシリア風ピザに 宿好
阿武隈川ぶくと秋暑の泡生める さざなみやつこ
梓川秋の清流一文字 素抱
安穏のいつまで秋のかたつむり 石鏡
一区切りつけて目を遣る秋没日 石鏡
一秋草ひよんなはづみで田に入りて さざなみやつこ
一鳥も降ろさず秋の沼の雨 石鏡
一歩づゝ秋来る空とおもひけり 暮津
引っ越しの噂立つ家秋簾 寒暑
雨もまたよろしや乱る秋草に 寒暑
雨雫して秋草の穂といふ穂 寒暑
雨撥ねて葉ばかり大き秋海棠 暮津
渦巻いて秋興深む最上川 随笑
雲遁走空は秋めくばかりかな 暮津
円空の千手かんのんさん秋寒 素抱
堰とどろ山に秋くること早き 素抱
煙草いつか止めねば断たねば深む秋 石鏡
煙草の香窓より抜けば秋の雨 暮津
遠ざかる火星の今や秋の星 素抱
横須賀へ舟賃五十銭の秋 鳩信
化野の人肌ほどの秋日差 宿好
佳き風の四通八達夜の秋 素抱
夏ものの端に秋もの吊りハンガー 素抱
夏ものをまだ手放せず秋彼岸 暮津
夏秋へ転ずる崎の鳶を見て 暮津
果物の芯の錆び出す秋彼岸 暮津
河原石手にとることも一秋思 暮津
河童が渕河童も秋思に耽る頃 寒暑
火口湖の色吹き替はる秋の風 随笑
火口湖へ降りゆく昼の秋あかね 寒暑
火山弾上にぬくもる秋の蠅 随笑
火星また一歩近づく夜の秋 素抱
賀茂なすの素の味秋はもうそこまで 石鏡
解決にまだ道遠し秋の虹 寒暑
開き閉づ翅の切なし秋の蝶 石鏡
外(と)に起こることは外(と)のこと秋簾 暮津
咳払ひせしは主か秋簾 暮津
拡声器がなり秋暑の声割れぬ 暮津
岳樺幹の阿修羅に秋烈日 ぱらりとせ
恰好の脛あり秋蚊むさぼれり 暮津
活け込みて卓上秋の野辺とせり 素抱
鎌倉に吹き込む風や秋の鳶 素抱
観念し秋暑の路を辿るのみ 暮津
関節を秋海棠も持ってをり 素抱
気をもませながら秋蝶まだ止まらず 暮津
起きあがり小法師ゆらゆら立てる秋 石鏡
仰臥漫録秋果むさぼり止まぬ段 石鏡
錦繍の秋パノラマの鳩ノ巣荘 石鏡
句集繰り起てる風こそ秋の風 暮津
苦吟してとつてつけたる秋の風 ももすずめ
隅々まで見て竹秋の闘鶏図 素抱
沓履きて古刹の秋のあめんばう 石鏡
栗材の台輪屋台秋日差す 素抱
月琴の音締めきりきり夜の秋 ぱらりとせ
月変り顔にもゆとり秋の風 暮津
権五郎神社の秋の椨の瘤 燕音
見るのみで釣りは遣らねど秋岬 暮津
見当のつくこゑ過ぎぬ秋簾 素抱
元素記号子の諳んずる夜の秋 ねずみのこまくら
言替えても痴呆は痴呆秋彼岸 暮津
古川の鯉の色差す秋の水 素抱
古川の秋の蜂守る総鎮守 素抱
古池の亀の出奔竹の秋 素抱
呼笛がぴっぴと秋めく運動場 暮津
糊の効きわろき秋暑の古切手 石鏡
後かたづけやうやくおはり夜の秋 寒暑
御用邸巡査眺むる秋の海 素抱
鯉一転秋水を遡るあり 素抱
公園の秋トピアリーコンテスト 素抱
控へをる秋宮一之御柱 鳩信
高山の秋に遊んで薦豆腐 素抱
高山は水より明ける橋の秋 素抱
酷評に怯まぬ錦秋球子富士 随笑
今朝秋のモーニングコーヒーブラックで 暮津
今朝秋の出勤途上の珈琲店 暮津
今朝秋の踝汚し戻りけり 暮津
混浴の五人に秋日あけすけに 素抱
再来の秋の蚊遂に仕留められ 石鏡
最上川秋興の渦巻きては解く 随笑
最上川舳(みよし)へどんと秋の風 随笑
歳時記の表紙藍鉄夜の秋 素抱
鮭缶で二膳軽々豊の秋 暮津
擦れて鳴る並木の木の葉秋浅し 石鏡
擦過音身ほとりに殖え秋半ば 素抱
殺生な略図に迷ひ秋の暮 暮津
雑草(あらくさ)にいちいち名あり秋の野辺 石鏡
三崎より戻る電車の秋灯 素抱
三秋の季題心に留めて旅 暮津
山は秋湯けむりの立つ国境 寒暑
山頂駅鉄鎖に止まる秋あかね 寒暑
刺すことの今旺盛な秋蚊とも 暮津
姿川渡り野州の野辺の秋 素抱
子規の口吻虚子の瞑目秋の暮 随笑
子規庵の見取り図なるか秋深し 随笑
子規庵の暮秋の畳明りかな 随笑
紙屑をひねりて捨つる夜の秋 暮津
紫蘇漬の粒噛み当てて秋のこゑ 素抱
寺に自転車乗りつけてあり秋彼岸 暮津
寺町の秋を尋めゆく坂がかり 石鏡
自転車を漕いで灯点す夜の秋 素抱
辞書は机上に開きおくもの秋初風 寒暑
室内の調度に目のゆく秋隣 寒暑
実習の指圧のいろは秋の昼 素抱
手にとる本手にとらぬ本秋隣 寒暑
手に届くところに秋と屑籠と 随笑
手の翳を察すに秋蚊抜かりなし 暮津
秋あかね和賀流の句碑の肩選み 素抱
秋うらら河童と馬コの物語 寒暑
秋うらら山辺の寺の一位垣 素抱
秋さくら川を優しく曲げにけり ねずみのこまくら
秋そこに横臥屈葬人骨に 素抱
秋ぞらの端から端まで吹き晴れて 寒暑
秋ついり紛々天の篩より ぱらりとせ
秋づくと上野の山を歩きけり 素抱
秋っこと土地人の云ふそのみどり 素抱
秋の雨みしりみしりと蓮葉打ち 暮津
秋の雨松に生気のよみがへり 暮津
秋の雨太鼓橋打ち池を打ち 石鏡
秋の雨大正池の砂礫打つ 素抱
秋の雲一つ広がり薄れ消ゆ 暮津
秋の遠足車内さながら鶏舎のごと 石鏡
秋の蚊にはぐらかされてゐるごとし 寒暑
秋の蚊の拠ん所なく隅にをる 暮津
秋の蚊の幽霊じみて足の方 暮津
秋の蚊を振り切りしかと辺りみる 暮津
秋の蚊を打ちて血しぶき浴ぶ膚(はだえ) 石鏡
秋の山割りて出でくる水ふんだん 暮津
秋の昼着たきりすずめ本を読む 寒暑
秋の湯に生國は何處齢なんぼ 素抱
秋の灯に詰め替えてゐる旅鞄 素抱
秋の灯に湯呑の絵柄廻し見ぬ 寒暑
秋の日にカキノ木ダマシといふ樹木 宿好
秋の日にぬくむ渡しのごろた石 随笑
秋の日の移ろふごとく無為の日々 随笑
秋の浜流木を目に収むのみ 寒暑
秋の風最上川面を吹き広げ 随笑
秋の風翳を何處かに忘れ来し 暮津
秋の暮駅間長き八高線 石鏡
秋の暮鮭のはら身を肴とし 暮津
秋の暮鶴ケ城出てあらぬ方 石鏡
秋の夜の妻の戸締り念入りに 素抱
秋の夜の字幕に友情出演と 暮津
秋の夜の明るさ違え二タ間の灯 石鏡
秋の夜を忍んで日劇ストリップ 暮津
秋の雷どすんと荷物おろすごと 素抱
秋の蠅集(たか)る牧牛見せ呉れし(吉田牧場) 石鏡
秋はそこ光遍く徹るそら 暮津
秋はひねもす「鼻峯高慢男」読む 燕音
秋めきて雀のこゑの細みかな 寒暑
秋めくといふこゑ空に吸はれけり 暮津
秋めくといふ空の下授かる句 暮津
秋めくや土牢脇の竹箒 燕音
秋も半ばの東京より来て智恵子のそら 石鏡
秋引き寄すけはひ一日一日が 石鏡
秋蔭の曼陀羅版木朱を遺(のこ)し 宿好
秋雲の移ろひ易く鶴ケ城 石鏡
秋燕この雨何時か上がるだろう 随笑
秋燕の翼返すや伊豆相模 石鏡
秋燕を見たりのこゑに振り返る 燕音
秋燕濁りやまざる最上川 随笑
秋黄蝶止まるとみせてなほ止まらず 暮津
秋海棠思ひ至るは相田サク 素抱
秋海棠情にほだされ易く生れ 暮津
秋海棠夕べ遅れて起つ風あり 素抱
秋海棠様にならぬと筆投げ出し 素抱
秋興に宿のだご汁かっぽ酒 鳩信
秋興の為せる句通りいっぺんたう 石鏡
秋興の菓子圃栗助てふ店に 随笑
秋興の経穴(ツボ)の名くさぐさ人体図 素抱
秋興の合谷(ゴウコク)を先づ覚え揉む 素抱
秋興の指圧正座に難儀せり 素抱
秋興の舟唄下る最上川 随笑
秋興の足を運んで大井川(静岡県島田宿大井川川越遺跡) 石鏡
秋興の智恵子生家の間取りかな 石鏡
秋興の忠相の墓所尋め当てぬ(浄見寺大岡越前守墓所) 石鏡
秋興の湯壺に適ふ人の数 素抱
秋興の眉ひろげたる孫六湯 素抱
秋近き灯の艶蕎麦の実かりんとう 素抱
秋空といふには少し風足らぬ 暮津
秋空にジラフ仕立てのトピアリー 素抱
秋空になすりつけたるやうな雲 石鏡
秋空に鳶の打ったる感嘆符 ぱらりとせ
秋空の見え方同じ路地をゆく 暮津
秋空へ打ってこどもの闘鶏樂 素抱
秋空を金襴屋台押し移る 素抱
秋光の横浜港に船寄らず 寒暑
秋郊の道絶え絶えに続きをり 暮津
秋郊を彩どり性(たち)の荒き花 暮津
秋祭り山車の松前鉄之助 寒暑
秋蛇に遭ひし女の気色ばむ 随笑
秋寂びて縦一文字手術痕 鳩信
秋収め村人の守る円空佛 素抱
秋秋と尾鰭を付けて啼く蝉も 鳩信
秋出水あらがふ岩を組み伏せて 寒暑
秋初風句帖持たずば頭に記す 暮津
秋暑し古称は胡桃が下稲荷 随笑
秋暑のこと家鴨に言ってもはじまらぬ 石鏡
秋暑避け投票は朝のうち 暮津
秋小寒地魚まとめ買ひしたり 石鏡
秋小寒長袖羽織り間に合はす 石鏡
秋色のこれより亘る街並木 石鏡
秋深む観音一体修復中 宿好
秋水の孤り鳴る瀬やカッパ渕 寒暑
秋澄みて一連なりの山のいろ 寒暑
秋晴のけふ何しやう先づ莨 暮津
秋晴のポニーの鼻をまさぐる子 さざなみやつこ
秋晴の観覧車乗るまでもなし 暮津
秋晴をだうかうもなく家に居り 暮津
秋晴をはばかりもなく解体屋 暮津
秋声一縷臍下丹田(せいかたんでん)より出でて(鞭声粛々・・・) 暮津
秋蝉として一日を長びかす 随笑
秋蝉のおのが鳴く番譲らざる 暮津
秋蝉のひりりと榧を離れざる ぱらりとせ
秋蝉の遠く蔵書を死蔵して 鳩信
秋蝉の壁成すごとし風絶えき 寒暑
秋扇いっぽん持ちて通院す 暮津
秋草といひて一草引いて来ぬ 随笑
秋草といふには一寸早からむ 暮津
秋草と一つ括りに野辺の草 素抱
秋草のこの名も妻の知るところ 石鏡
秋草の思ひ出せずにゐるその名 素抱
秋草の丈すんなりと雨に長け 暮津
秋草の長きは長く摘み揃え 随笑
秋草の風に打合ひ古ぶ穂よ 石鏡
秋草は茎を活けるがごとくなり 寒暑
秋草も黄勝ちの野草摘みとりぬ 宿好
秋草や舗道余熱を持ち続け 石鏡
秋草を手折るは釣れぬ証拠なり 暮津
秋草を食卓に活け愛づ生活(たつき) 素抱
秋草を厨厠に頒ち活け 素抱
秋草を折りとる音の根元より ももすずめ
秋草を鳥羽絵の兎高掲げ 宿好
秋草を摘める長短取り混ぜて 随笑
秋草を倒せる雨の定めなき 寒暑
秋団扇転がり込みし三連休 暮津
秋潮のにほふ散歩は胸張って 石鏡
秋蝶のあれあれとほる仁王門 宿好
秋蝶のうしろ姿をなほ追へり 素抱
秋蝶の翅の内側化粧ふ智慧 石鏡
秋蝶沿ふ仁和寺の塀長く長く 宿好
秋灯にかざして眼鏡の球(たま)の瑕 素抱
秋灯古川温泉赤濁湯 素抱
秋燈下勢ひし日には勢ひし書 鳩信
秋日差し湯釜水釜涸釜に ぱらりとせ
秋日受く額うっすら膩じみ 素抱
秋日中金襴屋台曳き据えられ 素抱
秋日中手をもてあます手長猿 石鏡
秋彼岸供花の包みをほどく音 暮津
秋彼岸親仁(おやじ)に逢ひに田沼まで 石鏡
秋浜に寄せて直ぐ引く潮あかり 素抱
秋夜読む「扨化狐通人(さてもばけたりきつねつうじん)」 燕音
秋来たり木々の陰翳礼讃す 暮津
秋来るといふ目を鹿のしたりけり 燕音
秋雷のさあらぬ体(てい)に鳴り出せる 素抱
秋雷の一つ転がる山向う 随笑
秋雷の果てはザとくる雨の快 素抱
秋雷の呼び込む風か座敷抜け 寒暑
秋雷の豆を煎るごと空ら響き 寒暑
秋立つと丸々肥えしモモスズメ ももすずめ
秋立つと梛を掠めし雀かな 寒暑
秋嶺の襞より湧きて赤とんぼ 寒暑
秋麗の宮司は佐野家湯立舞 石鏡
秋麗ら眼にせる白樺一本目 素抱
秋簾五枚連ねて真宗寺 素抱
秋簾布団の上に日のかけら 素抱
秋楡のもみづる日比谷公会堂 素抱
秋霖にてかてか黒ん坊SLは 石鏡
秋霖に家鴨も口をつつしみて 石鏡
秋霖に尚も冷えくる鼻つ先 暮津
秋霖に心さだまるすさびごと 石鏡
秋霖に打たれながらも沖かもめ 暮津
秋霖も京の干菓子もこまごまと 宿好
秋霖をついて朝より八目鰻(やつめ)漁 随笑
秋霖を衝いて弥次喜多二人旅 燕音
秋霖を突っ切るかもめの優(やさ)頭 暮津
秋黴雨蔦の細道烟らせて 燕音
秋黴雨野草画展に長居して 寒暑
十団子の碑(いしぶみ)秋の風招(よ)べり 燕音
出来秋のわが体重を量る湯屋 暮津
出来秋の光をもてりご飯粒 暮津
出流山(いずるさん)一足早く水の秋 素抱
書きあぐねをれば秋扇手にとりて ぱらりとせ
勝手に寝て勝手に起きて気づけば秋 暮津
勝手よりすげなき返事夜の秋 暮津
商ひの秋や桐下駄桐箪笥 石鏡
商秋の白虎堂とは菓子舗なり 石鏡
小刻みに蠅の向き変ふ秋日中 ぱらりとせ
小心の秋の雀も餌貰ひに 素抱
小銭入れすっからかんに秋の空 暮津
上高地ビジターセンター木々の秋 素抱
上高地帝国ホテル樅の秋 素抱
上野の山人出の秋となりにけり 燕音
乗り上げし亀の両手に秋の風 宿好
乗鞍の秋磧より林道より 素抱
城垣の上より呼べる秋の鯉 ももすずめ
畳職人雨に目を遣り秋燕 素抱
食らひつく秋の蚊打つにまだまだよ 寒暑
寝そべるに畳いちばん夜の秋 暮津
寝酒などもともとやらぬ夜の秋 素抱
寝返れば傷口ひくと夜の秋 鳩信
心音も至極尋常明日は秋 鳩信
新聞を鳴らして読める今朝の秋 素抱
人ごとのやうに云ひ退けけふ秋暑 暮津
人間に雲脂といふもの秋立ちて ぱらりとせ
仁和寺の御室で降りぬ秋袷 宿好
図書館の中庭に秋待てる樹々 石鏡
水の秋石樋渡す江名子川 素抱
水も入れ替へて金魚の新居の秋 随笑
水を掻く仕草も秋のあめんぼう 鳩信
水揚げのよき秋草の一輪挿し 石鏡
杉玉に喜多方の秋紛れなし(大和川北方風土館) 石鏡
雀あぐ秋の小さな土埃 素抱
晴れわたるおおぞら秋の忍び足 寒暑
正視して絶景秋の人體展 石鏡
精一杯立ってゐるなり秋海棠 素抱
石像のテーベ市長と遭ふ秋昼 燕音
石炭紀の模型蜻蛉に秋が来て ももすずめ
赤ん坊をあづかる秋の空のもと 燕音
赤松に秋の陽赤(セキ)と鹿苑寺 宿好
赤松のわけても秋日当る幹 寒暑
赤松の秋の日暮の真宗寺 素抱
切手など買ひ足しおかねば秋隣 寒暑
舌垂らし秋暑にダァと寝そべる犬 暮津
戦争は斯くして起こる秋の風 随笑
扇面のをんな艶たる秋扇 寒暑
洗濯物家にごたごた秋黴雨 暮津
線香を身寄りの墓にも秋彼岸 暮津
禅寺の油土塀に秋闌けて 宿好
草の名の知らざるは無き女人の秋 素抱
草稿に手を置くことも夜の秋 ねずみのこまくら
蔵店の土間まっさきに秋の暮(末廣酒造) 石鏡
足許に照り返すなり秋暑の陽 暮津
足許の夜泣き石より秋の声 石鏡
足揃え摶たれし秋の蚊なりけり 石鏡
其の上の生姜畑の芝秋暑 燕音
対岸の秋やコメツガ群落見ゆ 素抱
大井神社小流れ巡らせ秋大祭 石鏡
大井川安堵の神の秋大祭 石鏡
大覚寺畳廊下の秋のこゑ 宿好
大谷石佛秋寂ぶ唇に紅さして 素抱
大凡の間取りが判る秋簾 暮津
大佛へ秋社のレトロ人力車 寒暑
大椨の何處といふなく秋じみて 素抱
沢沿ひにのぼり満山秋海棠 素抱
達者なる足腰秋のあめんぼう 随笑
団体用乗降口ある駅の秋 石鏡
断ってばかりの家居秋ぐもり 石鏡
段(きだ)のぼる気多若宮の秋の蝶 素抱
地に降りて人に動じぬ秋の鳶 素抱
地蔵湯の秋の灯洩るゝ女下駄 随笑
痴話喧嘩あとはだんまり秋すだれ 暮津
遅れゆく一羽必死よ秋の暮 ももすずめ
竹秋の竹林鳴動して止まず 鳩信
竹秋の物心より直心 ぱらりとせ
虫一つ水平飛行秋日中 さざなみやつこ
朝戸繰る音もめっきり秋らしく 暮津
町中の墓地にはやばや秋が来て 暮津
町中の墓地通り抜け秋彼岸 暮津
椎の実のここだく山は秋迎え 素抱
辻々に秋の日を浴み秋葉さま 素抱
釣人の口をへの字に秋日中 暮津
鶴ケ城櫓々に秋の風 石鏡
定年は鰐の退屈地でゆく秋 随笑
庭の秋花は大方ハーヴ系 暮津
天帝の如雨露秋霖とぞ云うて 燕音
店頭の本に目利きの要る秋ぞ 鳩信
転げ墜つところが墳や秋の蝉 寒暑
投げ合へる漁師言葉も秋の暮 素抱
棟上げの槌音一気に秋ぞ立つ 素抱
湯けむりに湯小屋包まれ秋小寒 寒暑
湯治場の錆び木杭に秋あかね 寒暑
湯畑の秋をとてつもなき湯量 随笑
湯立神楽日に日に秋の日は透きて 石鏡
等伯の松剛直に秋草図 宿好
等類の右へならへに倦む秋夜 宿好
童らの手古舞装束秋うらら 寒暑
読みかけの書に目を通す秋の雨 燕音
読む記事のみな些事ばかり秋暑なる 素抱
二、三日前まで秋蝉鳴きゐし樹 暮津
二の腕の歴然とあり秋の風 鳩信
二本松十万石の秋日和 石鏡
日に爆ぜるものの音して牧の秋 石鏡
日田杉のずんと高むや秋の空 鳩信
日本の秋一見の遠眼鏡 燕音
乳通(ちちどうし)七十八文川の秋 石鏡
尿管は腎臓を出て水の秋 石鏡
忍性の赤鼻に秋立ちにけり ぱらりとせ
認知症とはけったいな秋彼岸 暮津
熱泥のべっぷべっぷと秋の雨 鳩信
波間に空瓶ぷかり川崎洋死す秋 石鏡
俳諧の奉行何処に豊の秋 鳩信
鳩鴉上野の秋を愉しむや 素抱
判りにくき墓地の地図見て秋彼岸 暮津
犯人を妻見破れり夜の秋 石鏡
飯うまき三秋も早や半ばかな 寒暑
眉唾もの黄表紙ひろぐ秋燈下 燕音
美術の秋上野にぽんと降り立ちて 石鏡
筆ささと芋銭のスケッチ秋の生りもの 石鏡
標本としての脳天自尊の秋(倣蛇笏(誰彼もあらず一天自尊の秋飯田蛇笏)) 石鏡
布袋からくり神髄見する秋の空 素抱
風通る所に身を置く夜の秋 素抱
風流山車秋の八幡下りかな 寒暑
腹くちく読めば字が逃げ秋灯下 暮津
腹話術腹の底より秋の暮 鳩信
噴水のひとり働き秋の雨 寒暑
塀低く隣り合はせの寺の秋 石鏡
片づけてはならぬ机の物に秋日 随笑
片づけるつもりの机上秋日さす 暮津
返信の出だし書き出す夜の秋 暮津
墓所に向ひ歩いてゆけば秋の山 暮津
墓地の塀少し撓んで秋彼岸 暮津
方形に秋の日容るる石ノ庭 宿好
牧牛の尾を振る他は秋の風 石鏡
妹が姉を誘ひて秋彼岸 暮津
桝酒に口とがらする夜の秋 ねずみのこまくら
味噌蔵の土塗り引き戸秋寂びて(蔵屋敷) 石鏡
無聊とて秋はかまけるもの多く 素抱
椋鳥きょときょと鴉とんとん秋の浜 石鏡
迷へども持って出かけぬ秋あふぎ 鳩信
鳴きざまの朝からなげやり秋の蝉 暮津
木道を一人歩める秋の音 素抱
木斛の葉っぱぴかりと秋がくる さざなみやつこ
目に見えて秋の立つなりはぐれ雲 暮津
目もさやに秋は来にけり牛蒡の葉 素抱
夜の秋赤鉛筆が見当たらず 素抱
夜の秋湯屋の板間の節くろぐろ 暮津
夜や秋のウイスキーボンボン噛み砕く 素抱
夜や秋の手にとりてみぬ不審紙 ももすずめ
野崎神楽六角牛神楽秋祭 寒暑
有袋類おばさん秋の日向路へ 鳩信
揚げコロッケ油噴きゐる秋日和 素抱
揚げものの鰍つまめば秋の音 素抱
揚菓子の拍子抜けして秋湿り 素抱
用済みの鉢重ね置く秋日和 暮津
来客は母の錯覚竹の秋 暮津
略図又出して確かむ秋の昼 暮津
流れくる草に飛びつく秋鯉も 素抱
旅の細部思ひ出しをり秋簾 素抱
料亭の一繋舟に秋日差 さざなみやつこ
力んでは秋の蚊をまた打ち損ず 暮津
力要る老いの脱糞麦の秋 暮津
林間にたまりては干ぬ秋の水 寒暑
列島は秋めく雲の通り道(天気図) 暮津
練り歩くやっこの毛臑秋の風(静岡県島田帯まつり) 石鏡
路地をゆく跫音つぶさに夜の秋 素抱
蝋の香を立たせピザ焼く秋の昼 暮津
和ろうそく作り細々秋灯 素抱
椨抱えこゑふりしぼる秋の蝉 随笑
皺寄せのとんだ処に秋始め 寒暑
芒赤う秋が一足さきに来ぬ 鳩信
藪つばきなど見て秋谷一丁目 素抱
(末尾は句集名)
以上
by 575fudemakase
| 2019-06-26 17:51
| 自作

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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