2019年 12月 ねずみのこまくら句会の諸句
2019年 12月 ねずみのこまくら句会の諸句
お世話ですけど、自分なりに気付いた点附記致します
ザッと見て以下を抜いて見た。妄言陳謝。
谿底に光る集落山眠る
老いてなほ競ふ友あり賀状書く
夕の鵙一声大樹より出でず
(面白い処を詠んだ。ずうっと其処で、その樹で鳴いていたと云うこと。啼き声が木叢を出でずとは的確な判断)
木菟鳴けよでんでん太鼓鳴らす夜を
(土俗的臭いのする句)
木枯らしの揺らす屋台の赤ちゃうちん
綿虫とここでお別れ無人駅
朴落葉峠へと息ととのへて
宝くじ買ふ日本橋空っ風
(一瞬江戸時代に戻った錯覚を覚えた)
碧空に唇を寄せ柘榴の実
(唐突に「唇」など持ち出して来て面白い。一寸洒落て見た)
芙蓉枯れたがふことなく晩年へ
柊の花や抗ひ難き老い
白菜を子どものごとく抱き来たり
白菜の出荷に一家総出なる
念入りにお堂の掃除親鸞忌
(信心ぶりが窺える)
奈良しぐれ間口の狭き金継ぎ屋
討ち入りの日や二寸余の呼子笛
(義士の日としては珍しい。小物に注目した)
冬晴れの一樹しろじろ鷺の糞(まり)
冬耕の夜は高めの足枕
(淡々と述べているが体験者の重みが感じられる)
冬紅葉やかんの滾る小屋の窓
庭訓のべからず尽し虎落笛
(事実を事実通り叙した)
丹の橋を綿くきやかに雪蛍
大根干す母も姑もしたように
待ち合はす白きコートの老い見せず
尊徳の治水地いまに冬耕す
積み上げし落ち葉の中の物動く
(中で何かがモゾモゾ。正体を証さぬところが面白い)
晴れ渡る水郷巡り炬燵舟
杉の葉の爆ぜて火の入る薪ストーブ
水瓶を持つ観音の指凍みぬ
人事でなし畳む喪服の冷え纏ひ
薪ストーブあかあか熾り皆黙す
(「皆黙す」と云はれて成る程俳句と思った)
森閑と木の実しぐれの式内社
食べ放題なるも三つほど蜜柑狩り
(理(ことわり)が慎ましくて好感がもてる)
初冠雪の富士へ神鶏首を立て
手に馴染む母の指貫一葉忌
子規庵の門の閂鵯の声
擦半鐘鳴り止んでより雪催
再稼働また一基とぞ冬三日月
(ニュースを上手く一句に取り込んだ。不安を煽るニュースがまた一つ)
国宝の弥陀と湖北の冷え分かつ
香り失せ陽を一身に冬薔薇
紅葉且つ散る一対の地獄絵図
御正忌の終の手伝ひかと思ふ
(日頃の精進が口を衝いて出た)
御講凪迷ひいるかの浜に寄す
原発いらないの声かも虎落笛
(「原発いら」で先ず切れる。次いで「ないの声かも」と続く。ここら辺の音の抑揚が面白い)
牛久大仏冬麗の雲をちこちに
(確かにあの大仏 唐突に高かったような記憶ある)
菊日和背伸びして見る飴細工
寒柝や夜更けてよりの厨ごと
寒月を締め出すように雨戸繰る
(こんな見方も面白し)
寒禽のところどころに水溜り
花八手轆轤の回る音しづか
(轆轤の回る単調な音の中、曇硝子戸越しに八手が見える。寒さが刻々と張り詰めて来る)
羽交より嘴抜きて鴨辷り出す
一人居て一日籠れる白障子
(「一」「一」のリフレインが自然)
伊能地図の粗絵図を見る着膨れて
(当時の測量隊に自分も参加しているような感じを受けた)
みちのくの冬田鎮もり畝正す
ぼろ市へ都電に乗るも一年振り
ちちははと眠る化石や茶が咲ける
これ以上細くはなれぬ冬三日月
早朝より熊手掲げてコーヒー店
湯豆腐の鍋片付けて句会かな
(句作りには格好つけるなと恰もおっしゃっているような…)
御正忌の斎用意まづ湯を沸かす
師走入り真白き富士の見ゆる坂
(「土用入」の対局に「師走入」と云う言葉があってもよさそうだ)
小春日の暗渠出て水よろこべり
番鴨汐入川の汐に乗り
一寸気になった句
零余子黄葉トーテンポールと丈競ふ
(いっそのこと 零余子黄葉トーテンポールを攀じ登り でもよいのでは…)
貧民の吾に聖樹の眩しかり
(「眩しかり」が少し言い過ぎ?貧民の私にピカピカ聖樹かな)
湯豆腐や憂きこと忘れ明日あるさ
(あるさvs恃む)
断崖の粗きに冬の紅葉かな
(剥き出しの切岸末枯れもみぢかな)
真っ二つ割りし白菜湖の照り
(白菜 照り 真二つ あたりに少し類型臭を感じなくもない)
振袖の模様となりぬ鴨の陣
(となりぬvsでありぬ)
焦げ癖の鍋に水張る一葉忌
(焦げ跡の鍋に水張り一葉忌)
秋の蝶その後のことは杳として
(秋の蝶と七五のバランスが問題。「冬銀河」「枯木星」だとどうなるか)
散紅葉籠一杯の朝の作務
(のvsに)
三の酉ぽかぽか陽気に釣られ買ひ
(釣られvsつられ:又は 三の酉陽気がよくて衝動買)
葛湯吹きつぎて明日は待ったなし
(葛湯吹きつぎてvs吹き冷ます葛湯に)
汚染土の未だ積まる地冬ざるる
(未だvs今も)
ひとり旅湖の冷え枕上
(ひとり旅大琵琶の冷え枕頭に:但し琵琶湖=大琵琶が成立するなら。先の句会でどなたかが上記を採用していたと記憶するので言及)
つわぶきが暮れ今日という日が暮れる
(原句の叙述がどこかもたついていないか?つわぶきを呑み込みとっぷり昏るゝ庭。原句はどちらかと云うと散文調。)
この村のこの灯に尽きぬ枯野星
(尽きぬ vs 行き着く:こんな展開も面白いと思った。別趣向だが…)
以上
俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリ
全体無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
j
未分類
以前の記事
2024年 11月2024年 10月
2024年 09月
more...
フォロー中のブログ
ふらんす堂編集日記 By...魚屋三代目日記
My style
メモ帳
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
検索
タグ
お最新の記事
最近の嘱目句あれこれ16 .. |
at 2024-11-02 07:22 |
最近の嘱目句あれこれ15 .. |
at 2024-10-30 06:49 |
最近の嘱目句あれこれ14 .. |
at 2024-10-30 06:30 |
我が家の吊り鉢風景 |
at 2024-10-25 08:15 |
寺前八幡神社のぎんなん |
at 2024-10-25 07:58 |
美しい秋の風景 |
at 2024-10-10 05:04 |
最近の嘱目句あれこれ10月 .. |
at 2024-10-10 02:38 |
小沢信男 俳句世がたり 岩波.. |
at 2024-10-08 07:58 |
句集 鎌倉是空 前田吐実男を.. |
at 2024-10-07 05:29 |
最近の嘱目句あれこれ13 .. |
at 2024-10-01 06:05 |
最近の嘱目句あれこれ12 .. |
at 2024-09-27 10:23 |
山本健吉「ことばの歳事記」(.. |
at 2024-09-27 07:41 |
【やませ 山背】 |
at 2024-09-27 04:34 |
最近の嘱目句あれこれ11 .. |
at 2024-09-19 06:32 |
俳句結社 童子(2024年9.. |
at 2024-09-18 04:06 |
最近の嘱目句あれこれ10 .. |
at 2024-09-13 09:41 |
最近の嘱目句あれこれ9 2.. |
at 2024-09-11 00:12 |
最近の嘱目句あれこれ8 2.. |
at 2024-09-08 09:32 |
一徹 |
at 2024-09-02 13:26 |
最近の嘱目句あれこれ7 2.. |
at 2024-09-01 15:12 |